JP6955744B2 - 微粒子含有スラリー溶射装置及び該溶射システム - Google Patents

微粒子含有スラリー溶射装置及び該溶射システム Download PDF

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本発明は、微粒子含有スラリー溶射装置及び該溶射装置を備えた溶射システムに関する。
近年、ボイドやクラックの発生を抑えながら、被覆材の表面に、耐熱性及び被膜強度に優れた緻密な溶射被膜を形成することが、強く望まれている。そのための方法として、特許文献1には、耐熱性を有する微粒子を溶射材料として用いることが開示されている。具体的には、微粒子を有機溶媒に分散させた微粒子含有スラリーを作成し、これを噴霧化させた状態で燃焼フレームに導入することによって、有機溶媒を消失させながら、微粒子を被溶射材に溶射する。
溶射装置は、例えば、燃焼用ガスが燃焼したガスフレームを生じる燃焼室と、燃焼室に燃焼用ガスを供給するガスノズルと、微粒子含有スラリーを燃焼室に向けて搬送するスラリー搬送管とを備え、該溶射装置によって、ガスフレームに微粒子含有スラリーが導入された熱流体が、被溶射材に向けて溶射されるようになっている。
特開2014−213214号公報
特許文献1には、微粒子含有スラリーをガスフレームにより均一に分散させるため、スラリー搬送管をガスノズルの内側に同軸に配設し、ガスフレームに対して同軸に微粒子含有スラリーを供給することが開示されている。この場合、スラリー搬送管の出口端部は、燃焼室に開口することになるので、ガスフレームに晒される結果、過度に温度上昇してしまう場合がある。
この場合、微粒子含有スラリーは、スラリー搬送管の出口端部を通過するときに加熱される。この結果、微粒子含有スラリーは、有機溶媒が消失して、微粒子がスラリー搬送管の内側に固着してしまう場合がある。特に、微粒子としてナノ微粒子を含んだ微粒子含有スラリーを用いた場合には、ナノ粒子がスラリー搬送管の内壁との摩擦によってこの内壁に付着しやすく、その結果、スラリー搬送管に狭窄が生じてしまい、微粒子の搬送に不良が生じる。
本発明は、噴霧状とされた微粒子含有スラリーを、スラリー搬送管を介してガスフレームに導入させる際に、略均一に分布させつつ、スラリー搬送管の狭窄を抑制できる、微粒子含有スラリー溶射装置及び該溶射装置を備えた溶射システムを提供することを目的とする。
本願の第1発明に係る微粒子含有スラリー噴霧装置は、酸素と燃料とが燃焼したガスフレームを生じる燃焼室と、前記燃焼室に前記酸素及び前記燃料を供給するガスノズルと、前記ガスノズルの内径側に同軸に配置されており、微粒子含有スラリーを前記ガスフレームに溶射材料として搬送する、スラリー搬送管と、を備え、前記ガスフレームに前記微粒子含有スラリーが導入された熱流体によって、溶射し、前記スラリー搬送管は、前記微粒子含有スラリーが流れる内管とこの外周側に間隔を空けて配置された外管とを有する二重管であって、前記内管と前記外管との間に冷却媒体が供給されるようになっていることを特徴としている。
上記第1発明に係る微粒子含有スラリー溶射装置は、更に、次のような構成を備えることが好ましい。
(A)前記スラリー搬送管は、前記内管と前記外管との間から前記燃焼室に向けて前記冷却媒体が放出されるようになっている。
(B)前記ガスノズルは、前記空気を前記燃焼室に供給する酸素供給経路と、前記燃料を前記燃焼室に供給する燃料供給経路と、を有しており、前記酸素供給経路と前記燃料供給経路とが別系統として構成されている。
(C)前記構成(B)において、前記酸素供給経路は、前記燃焼室に連通した複数の第1傾斜孔を有し、前記燃料供給経路は、前記燃焼室に連通した複数の第2傾斜孔を有し、複数の前記第1傾斜孔及び前記第2傾斜孔は、前記ガスノズルの出口端部における開口部が、同一円周上に交互に並ぶように配置されていると共に、前記開口部における中心軸線が、前記燃焼室に向かってこの径方向側に略同一角度で傾斜している。
(D)前記ガスノズルの外周部に取り付けられて溶射方向に延びており、内側に前記燃焼室が画定された、キャップを、更に有し、前記キャップの内周壁面に、掃気媒体が供給されるようになっている。
(E)前記構成(D)において、前記キャップは、流路絞り部を有している。
(F)前記微粒子含有スラリーは、ナノ粒子含有スラリーであり、前記スラリー搬送管に、前記ナノ粒子含有スラリーが噴霧化された状態で供給される。
また、本願の第2発明に係る微粒子含有スラリー溶射システムは、上記第1発明に係る微粒子含有スラリー溶射装置と、前記微粒子含有スラリーを噴霧化して前記スラリー搬送管に供給する、スラリー噴霧装置と、前記スラリー噴霧装置に、前記微粒子含有スラリーを供給するスラリー供給装置と、を更に備えていることを特徴としている。
上記第2発明に係る微粒子含有スラリー溶射システムは、更に、次のような構成を備えることが好ましい。
(a)前記スラリー供給装置は、溶射材料が予め充填されたカセットタイプのシリンジを有している。
(b)前記スラリー供給装置と前記スラリー噴霧装置とを接続する、スラリー供給経路と、前記スラリー供給経路に設けられ、該経路を開閉可能なスラリー制御弁とを、を更に備え、前記スラリー制御弁は、前記スラリー供給経路を介して前記スラリー供給装置が接続されるスラリー入口部と、前記スラリー供給経路を介して前記スラリー噴霧装置が接続されるスラリー出口部と、前記スラリー入口部と前記スラリー出口部とを接続する、流路接続室と、前記スラリー入口部と前記流路接続室との接続部に形成された、第1バルブシートと、前記スラリー出口部と前記流路接続室との接続部に形成された、第2バルブシートと、前記流路接続室に設けられており、前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートに当接してこれらのバルブシートを閉じるバルブ閉位置と前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートから離間してこれらのバルブシートを開くバルブ開位置とにわたって移動可能になっている、バルブ体と、を備え、前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートが、前記バルブ体の移動方向に対して傾斜している。
(c)前記構成(b)において、前記バルブ体は、前記移動方向に貫通する貫通孔を有しており、前記流路接続室は、前記バルブ体の移動方向において、前記バルブ体の一方側に画定される空間と他方側に画定される空間とが、前記貫通孔によって連通するようになっている。
(d)前記構成(b)において、前記バルブ体は、前記バルブ閉位置において、前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートに向けて弾性的に付勢されるようになっている。
(e)前記構成(b)において、前記スラリー制御弁は、前記スラリー供給装置から供給される前記微粒子含有スラリーの圧力が、所定圧力以上となる場合に、バルブ開位置に制御されるようになっている。
(f)前記構成(e)において、前記微粒子含有スラリーの前記所定圧力は、前記スラリー噴霧装置が前記微粒子含有スラリーを噴霧するための噴霧媒体の圧力よりも高い。
上記第1発明によれば、スラリー搬送管の温度上昇が抑制されるので、スラリー搬送管の内管の内壁面に、微粒子が熱によって固着することが抑制される。
上記構成(A)によれば、微粒子含有スラリーは、スラリー搬送管の出口端部において媒体によって熱流体へ向かって吹き飛ばされる。したがって、スラリー供給管の出口端部において、微粒子含有スラリーの垂れ落ちが抑制されるので、出口端部における、微粒子の固着を抑制できる。
上記構成(B)によれば、酸素と燃料とが、燃焼室においてガスノズルから離れた位置で混合されるので、ガスフレームは、ガスノズルから離れた位置に生じる。この結果、ガスフレームからガスノズルへの入熱が抑制されるので、ガスノズルと同軸に配置されたスラリー搬送管の温度上昇が抑制される。したがって、スラリー搬送管における、微粒子の固着が抑制される。
上記構成(C)によれば、酸素と燃料とを別系統で燃焼室に供給しながらも、酸素と燃料とが略均一に混合された混合ガスから、燃焼状態のよいガスフレームが得られる。しかも、ガスフレームは、スラリー搬送管の軸線上に生じるので、微粒子含有スラリーを略均一に含有した熱流体が得られる。これによって、微粒子が略均一に溶射された溶射被膜が得られる。
上記構成(D)によれば、微粒子含有スラリーが、エアキャップの内周壁面から掃気用媒体によって掃気されると共に、エアキャップの温度上昇が抑制される。これによって、エアキャップの内周壁面における、微粒子の固着が抑制される。
上記構成(E)によれば、流路絞り部におけるベンチュリー効果によって、熱流体を溶射方向に排出させやすい。したがって、エアキャップの内周壁面における、微粒子の固着がより一層抑制される。
上記構成(F)によれば、ナノ粒子が溶射装置で固着堆積することを抑制しつつ、溶射できる。
上記第2発明によれば、スラリー噴霧装置は、この外部に設けられたスラリー供給装置によって微粒子含有スラリーが供給されるので、微粒子含有スラリーを貯留するスラリー貯留部を設けることを要せずコンパクトに構成できる。しかも、スラリー供給装置によって、微粒子含有スラリーの供給量、供給速度、供給圧力を細かく制御できる。
上記構成(a)によれば、カセットタイプのシリンジを交換することによって、微粒子含有スラリーの補給を容易にできると共に、異なる種類のスラリーへの切り換えを容易にできる。また、シリンジごと交換することにより、スラリー供給装置に残存する微粒子含有スラリーを取り除く手間を省略できる。さらに、少容量タイプ(例えば50cc)のシリンジを使用することによって、高価な微粒子を含有した微粒子含有スラリーを無駄なく使用できる。
上記構成(b)によれば、バルブシートにバルブ体が摺動しないので、バルブシートとバルブ体との間における、微粒子含有スラリーの噛み込みが抑制される。また、この結果、バルブシートとバルブ体における摩耗も抑制される。更に、バルブ体は、流路接続室に配置されているので、スラリー入口部及びスラリー出口部の流路がバルブ体によって狭められることがなく、微粒子含有スラリーの流量を確保しやすい。
上記構成(c)によれば、バルブ体の移動を流路接続室の微粒子含有スラリーが遮ることがなく、バルブ体を迅速に移動させることができる。これにより、スラリー制御弁を迅速に開閉させることができる。
上記構成(d)によれば、バルブ閉時に、バルブ体のバルブシートへの着座時の衝撃を緩和できる。これによって、バルブ体及びバルブシートの損耗を抑制して、スラリー制御弁の耐久性を向上できる。
上記構成(e)によれば、微粒子含有スラリーは、所定圧力以上とされた状態でスラリー噴霧装置に供給されるので、略均一な粒径を有するように噴霧化される。したがって、該噴霧を利用して溶射を行うことによって、緻密な溶射被膜が得られる。
上記構成(f)によれば、微粒子含有スラリーを、噴霧圧力に抗して噴霧装置に導入できる。
本発明に係る微粒子含有スラリー溶射装置及び該溶射装置を備えた溶射システムによれば、噴霧状とされた微粒子含有スラリーを、スラリー搬送管を介してガスフレームに導入させる際に、略均一に分布させつつ、スラリー搬送管の狭窄を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る溶射システムの概略図である。 スラリー供給装置の断面図である。 スラリー制御弁の断面図である。 図3のIV−IV線における断面図である。 図4のV−V線における断面図である。 スラリー制御弁の作動を説明する図である 噴霧装置の断面図である。 図7のVIII−VIII線における断面図である。 図7のIX−IX線における断面図である。 図7のX−X線における断面図である。 図7のXI−XI線における断面図である。 溶射装置の縦断面図である。 図12のXIII−XIII線における断面図である。 図12のA矢視によるスラリー溶射装置の後面図である。 図12のB矢視によるスラリー溶射装置の前面図である。 図12のXVI−XVI線における断面図である。 図12のXVII−XVII線における断面図である。 図12のXVIII−XVIII線における断面図である。 スラリー溶射装置の作動を模式的に示す図である。
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る溶射システム1を示している。溶射システム1は、溶射材として微粒子を有機溶媒に分散させた微粒子含有スラリーを使用して、微粒子を被溶射材Wに溶射するものである。
溶射システム1(微粒子含有スラリー溶射システム)は、スラリー供給装置10、スラリー制御弁30、スラリー噴霧装置50、スラリー搬送管80、及びスラリー溶射装置100(微粒子含有スラリー溶射装置)を備えている。微粒子含有スラリーは、スラリー供給装置10から、スラリー制御弁30を介して、スラリー噴霧装置50に供給される。次いで、微粒子含有スラリーは、スラリー噴霧装置50によって噴霧化された後、スラリー搬送管80を介してスラリー溶射装置100に搬送される。スラリー溶射装置100は、微粒子含有スラリーの有機溶媒をガスフレームによって消失させて、微粒子を被溶射材Wに向けて溶射する。
また、溶射システム1では、上記各装置/機器がロボットアーム2に搭載されている。さらに、溶射システム1は、図1に概略的に示す制御装置3を備えている。
[スラリー供給装置]
図2は、スラリー供給装置10の縦断面図を示している。スラリー供給装置10は、シリンジ11と、該シリンジ11内に前進後退可能に配設されたプランジャ14と、プランジャ14をシリンジ11の軸線方向に押すプッシャロッド16と、プッシャロッド16をシリンジ11の軸線方向に沿って前進後退させる駆動部20とを備えている。また、スラリー供給装置10において、上記各部材はベースプレート17に取り付けられている。
以下の説明では、シリンジ11からここに充填された内容物(微粒子含有スラリー)を放出させるプランジャ14の移動方向をスラリー供給装置10の前方と称し、この逆方向すなわちシリンジ11に内容物を充填させるプランジャ14の移動方向をスラリー供給装置10の後方と称する。また、図中の上下方向をスラリー供給装置10の上下方向と称する。
(シリンジ)
シリンジ11は、溶射材としての微粒子含有スラリーが予め充填されたカセットタイプのシリンジであり、前端部に縮径された放出口11aを有している。シリンジ11は、放出口11aを有する先端部12と、これに連続して後方に延びる本体部13とを有している。先端部12は、内面形状が前方に向かって縮径する円錐状に形成されている。本体部13は、円筒状に形成されている。
シリンジ11は、ベースプレート17の上側において、本体部13が上下半割式のクランプ18によって上下方向に挟持されており、先端部12がジョイントブロック19に後方から差し込まれて支持されている。半割式のクランプ18を開放することによって、シリンジ11を、スラリー供給装置10から容易に着脱できるようになっている。
これによって、微粒子含有スラリーの補給を容易にできると共に、異なる種類のスラリーへの切り換えを容易にできる。また、シリンジ11ごと交換することにより、スラリー供給装置10に残存する微粒子含有スラリーを取り除く手間を省略できる。
シリンジ11の容量は、少容量(例えば最大容量が50cc以下)に構成されている。シリンジ11の容量を少容量に設定することにより、ここに充填された微粒子含有スラリーを使い切りやすい。これによって、微粒子含有スラリーを、シリンジ11における残存を抑制することができ、無駄を抑制しつつ効率的に使用できる。特に、微粒子含有スラリーとして、高価なナノ粒子含有スラリー(例えばイットリウム酸化物等)を採用した場合において、無駄を抑制することによって、コストを効果的に節減できる。また、シリンジ11を少容量タイプとすることによって、スラリー供給装置10のコンパクト化が実現され、ロボットアーム2への搭載性がよい。
また、図2において仮想線で示すように、シリンジ11を、先端部12と本体部13とに前後方向に分割して構成してもよい。この場合、シリンジ11に残存する微粒子含有スラリーを容易に回収することができ、これによっても無駄を抑制できる。
(プランジャ)
プランジャ14は、シリンジ11内を後側において封止するとともに、前後方向に移動可能に構成されている。プランジャ14は、前端部側にシリンジ11の先端部の内面形状に略一致する円錐部15を有している。プランジャ14は、シリンジ11内の前端部に位置する状態で、円錐部15がシリンジ11の先端部12の内面形状に略一致するので、シリンジ11のデッドスペースを低減でき、微粒子含有スラリーを無駄なく押し出すことができる。
(プッシャロッド)
プッシャロッド16は、ベースプレート17の上方において前後方向に延びる棒状部材であり、前端部においてプランジャ14に後側から当接している。
(駆動部)
駆動部20は、駆動モータ21、カップリング22、ボールねじ23、ナット受け24、キャリッジ25、リニアガイド26、及びブラケット27を備えている。駆動モータ21は、ベースプレート17の下側に取り付けられており、この出力軸にカップリング22を介してボールねじ23が接続されている。ボールねじ23は、前後方向に延びており、この途中部分にナット受け24が螺合している。ナット受け24の上部には、キャリッジ25が取り付けられている。
ここで、ベースプレート17には、前後方向に延びるスロット17aが、上下に貫通形成されている。キャリッジ25は、スロット17aを貫通してベースプレート17の下方から上方へ延びている。キャリッジ25は、リニアガイド26によって、前後方向の移動が案内されるようになっている。キャリッジ25の上部には、ブラケット27が取り付けられている。ブラケット27には、プッシャロッド16の後端部が固着されている。
すなわち、スラリー供給装置10は、駆動モータ21を駆動制御することによって、ボールねじ23、ナット受け24及びキャリッジ25を介して、プッシャロッド16を前方に移動させることができる。この結果、プランジャ14は、プッシャロッド16によって押されてシリンジ11内を前方に移動するので、シリンジ11に充填された微粒子含有スラリーが加圧された状態で放出口11aから放出されるようになっている。
なお、駆動モータ21としては、ステッピングモータ(例えば5相ステッピングモータ)を採用してもよい。この場合、制御装置3を介して駆動モータ21の回転速度及び/又は回転量を制御することによって、キャリッジ25の移動速度及び/又は移動量を制御することができる。これによって、シリンジ11から押し出される微粒子含有スラリーの放出量、放出速度及び放出圧力を制御できる。
ジョイントブロック19には、この前側に接続された第1スラリー供給配管5とシリンジ11の放出口とを連通する連通孔19aが貫通形成されている。第1スラリー供給配管5は、スラリー供給装置10とスラリー制御弁30とを接続する配管であり、該配管内に、スラリー供給装置10とスラリー噴霧装置50とを接続するスラリー供給経路の上流側部分が画定されている。
また、ジョイントブロック19の上部には、圧力センサ28が配設されている。圧力センサ28によって連通孔19a内の微粒子含有スラリーの圧力が計測される。制御装置3は、圧力センサ28で計測された連通孔19a内の微粒子含有スラリーの圧力値に基づいて、駆動モータ21を制御し、さらに後述するように、スラリー制御弁30の開閉を制御する。
例えば、検出された微粒子含有スラリーの圧力が所定圧力より高い場合には、制御装置3は、スラリー供給経路に閉塞が生じていると判断して駆動モータ21を停止させることによって、閉塞状態で無理に押し出すことに起因した漏れ、破損等の故障が防止されている。
また、検出された微粒子含有スラリーの圧力が他の所定圧力より低い場合には、プッシャロッド16がプランジャ14に当接していないと判断して駆動モータ21の回転を増速し、プッシャロッド16をプランジャ14に早期に当接させることができる。これによって、プッシャロッド16の空走時間を短縮して、効率的に微粒子含有スラリーを押し出すことができる。
[スラリー制御弁]
図3は、スラリー制御弁30の縦断面図であり、スラリー制御弁30が閉状態である場合が示されている。スラリー制御弁30は、スラリー供給経路の途中に設けられており、制御装置3によって制御されて、スラリー供給経路を開閉可能に構成されている。スラリー制御弁30は、スラリー供給経路が接続される本体ケーシング31と、本体ケーシング31の内側に配設されたバルブ体40と、バルブ体40を上下に移動させるシリンダ38とを有している。
なお、スラリー供給経路は、スラリー供給装置10とスラリー制御弁30とを接続する第1スラリー供給配管5と、スラリー制御弁30とスラリー噴霧装置50とを接続する第2スラリー供給配管6とによって少なくとも構成されている。また、以下の説明では、スラリー供給経路において、スラリー制御弁30から見て、スラリー供給装置10側へ向かう方向をスラリー供給方向の上流側と称し、スラリー噴霧装置50側へ向かう方向をスラリー供給方向の下流側と称する。
(本体ケーシング)
本体ケーシング31には、スラリー供給経路を介してスラリー供給装置10が接続されるスラリー入口部32と、スラリー供給経路を介してスラリー噴霧装置50が接続されるスラリー出口部33と、スラリー入口部32とスラリー出口部33とを接続する流路接続室34とが、形成されている。スラリー入口部32、スラリー出口部33、及び流路接続室34は、微粒子含有スラリーで充填されている。
すなわち、スラリー入口部32とスラリー出口部33とが、流路接続室34を介して連通している状態では、スラリー供給装置10からスラリー制御弁30に微粒子含有スラリーが新たに供給された場合、スラリー入口部32内の微粒子含有スラリーが流路接続室に押し出される。これに伴って、流路接続室34内の微粒子含有スラリーがスラリー出口部33に押し出されて、スラリー出口部33内の微粒子含有スラリーが第2スラリー供給配管6に押し出される。
流路接続室34には、バルブ体40が上下動可能に配設されている。流路接続室34は、バルブ体40によってこの上下に、上部チャンバ34aと下部チャンバ34bとに分割されている。流路接続室34は、図3に示す断面視で、下方に向かって幅狭となる逆台形状(楔形状とも称する)に構成されている。流路接続室34とスラリー入口部32との間には、下方に向かってスラリー供給経路の下流側に向かって傾斜した第1バルブシート35が形成されている。また、流路接続室34とスラリー出口部33との間には、下方に向かってスラリー供給経路の上流側に向かって傾斜した第2バルブシート36が形成されている。
スラリー入口部32は、流路接続室34との接続部において、第1バルブシート35に対して略直角に形成されており、スラリー供給方向の上流側に向かって下方に傾斜した方向に延びている。同様に、スラリー出口部33は、流路接続室34との接続部において、第2バルブシート36に対して略直角に形成されており、スラリー供給方向の下流側に向かって下方に傾斜した方向に延びている。
これによって、スラリー入口部32及びスラリー出口部33それぞれの、流路接続室34との接続部に構成されるオリフィス部の流路面積を効率的に確保することができ、該オリフィス部を通過する微粒子含有スラリーの圧力損失が低減されている。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。流路接続室34は、図4において略矩形状に構成されており、スラリー供給方向に対向する一対の側面に、第1バルブシート35及び第2バルブシート36が形成されており、スラリー供給方向に交差する方向に対向する一対の側面に、スラリー供給方向に交差する方向に凹設されたガイド溝37がそれぞれ形成されている。図4のV−V線に沿った断面図である図5を併せて参照して、ガイド溝37は上下方向に延びている。
(シリンダ)
図3に示すように、シリンダ38は、本体ケーシング31の上方に位置しており、下面側に上下方向に突出後退可能なロッド38aを有している。シリンダ38は、例えば、エア作動式を採用することができ、この場合、制御装置3によって制御されて、ロッド38aを高速に突出後退させることができる。
ロッド38aの下端部には、この下方に延びる駆動ロッド39が取り付けられている。駆動ロッド39の先端部には、バルブ体40が上下動可能に取り付けられている。バルブ体40は、上端部においてコイルスプリング49により下方に向けて付勢されており、下端部においてロッド38aに締結された締結ナット39aによって下方から支持されている。
(バルブ体)
バルブ体40は、第1バルブシート35及び第2バルブシート36に平行な第1バルブ面41及び第2バルブ面42を有しており、図3に示す断面視で下方に向かって幅狭となる逆台形状(楔形状とも称する)に構成されている。バルブ体40の中央部には、駆動ロッド39の先端部が上下に挿通する貫通開口43が形成されている。バルブ体40の上面側には、貫通開口43の周囲にコイルスプリング49の下端部が当接するスプリングシート44が座繰り加工により形成されており、下面側には、貫通開口43の周囲に駆動ロッド39の先端部に固定される締結ナット39aが収容されるナット収容部45が座繰り加工により形成されている。
また、バルブ体40は、図4に示す断面図おいて略矩形状に構成されており、第1バルブ面41及び第2バルブ面42が、スラリー供給方向に対向する一対の側面に形成されており、スラリー供給方向に交差する方向に対向する一対の側面に、スラリー供給方向に交差する方向に突設されたガイド突起46がそれぞれ形成されている。ガイド突起46は、ガイド溝37の内側に位置しており、各壁面が、ガイド溝37を構成する各溝壁面に対して略当接するように、若しくは微少な隙間を介して対向位置するように、形成されている。図5を併せて参照して、ガイド突起46は、後述するスクレーパ溝48の上下に一対に形成されている。
また、バルブ体40は、スラリー供給方向に交差する方向において貫通開口43の両側に、上下に貫通する一対の連通孔47が形成されている。図5に示すように、ガイド突起46が形成された一対の側面部には、上下方向の途中部分において、スラリー供給方向に延びるスクレーパ溝48が形成されている。
(スラリー制御弁の作動)
スラリー制御弁30は、シリンダ38のロッド38aの上下動によりバルブ体40をバルブ閉位置とバルブ開位置との間に移動させる。図3に示すバルブ閉位置では、バルブ体40は下方端に位置しており、第1及び第2バルブ面41,42が第1及び第2バルブシート35,36を閉止して、スラリー入口部32とスラリー出口部33とが連通していない。図6(a)に示すバルブ開位置では、バルブ体40は上方端に位置しており、第1及び第2バルブ面41,42が第1及び第2バルブシート35,36から離れて位置しており、スラリー入口部32とスラリー出口部33とが連通した状態となる。
以下、図6を参照して、バルブ体40が、バルブ開位置(図6(a))からバルブ閉位置(図6(b)及び(c))に移動する際の、スラリー制御弁30の作動を説明する。
図6(a)に示されるバルブ開位置においては、シリンダ38のロッド38aは上側(後退側)の移動端位置(後退位置)に保持されている。この状態では、バルブ体40は、締結ナット39aにより上方へ引き上げられて、第1バルブ面41及び第2バルブ面42がそれぞれ第1バルブシート35及び第2バルブシート36から上方へ離間した位置に位置しており、スラリー入口部32、スラリー出口部33に対向していない。
すなわち、バルブ開位置では、第1バルブシート35及び第2バルブシート36はバルブ体40によって閉止されておらず、スラリー入口部32とスラリー出口部33とが流路接続室34を介して連通するようになっている。この状態で、スラリー供給装置10から微粒子含有スラリーが供給されると、スラリー制御弁30内の微粒子含有スラリーが押し出されてスラリー噴霧装置50へ供給される。すなわち、微粒子含有スラリーが、スラリー供給装置10からスラリー制御弁30を介してスラリー噴霧装置50へ供給される。
図6(a)に示される状態から、制御装置3によって、シリンダ38のロッド38aを下側に移動させると、図6(b)に示すように、まず、バルブ体40の第1バルブ面41及び第2バルブ面42が、第1バルブシート35及び第2バルブシート36に当接する。この状態では、コイルスプリング49は十分に圧縮されておらず、バルブ体40は、完全に第1バルブシート35及び第2バルブシート36を完全には閉止していない。
図6(b)に示される状態から、シリンダ38のロッド38aをさらに下側に移動させて、下側(前進側)の移動端位置(前端位置)に位置させると、図6(c)に示すように、ロッド38aの段部とバルブ体40のスプリングシート44との間に弾設されたコイルスプリング49が圧縮量ΔDだけさらに圧縮されることになり、バルブ体40を、第1バルブシート35及び第2バルブシート36に対して弾性的に押しつけるようになっている。
この状態では、スラリー入口部32とスラリー出口部33との連通がバルブ体40によって阻止されるようになっており、スラリー供給装置10から微粒子含有スラリーが供給されても、スラリー制御弁30内の微粒子含有スラリーはスラリー噴霧装置50に供給されない。すなわち、バルブ体40はバルブ閉位置に位置することになる。
ここで、上述したように、第1及び第2バルブシート35、36は、下方に向かってスラリー供給方向に傾斜しているので、バルブ体40の移動方向(上下方向)に対して傾斜している。すなわち、バルブ体40は、上下動する際に、第1及び第2バルブシート35、36に摺動しないので、バルブ体40と第1及び第2バルブシート35、36との間における、微粒子含有スラリーの噛み込みが抑制される。この結果、バルブ体40と第1及び第2バルブシート35、36間の摩耗も抑制される。
更に、バルブ体40は、流路接続室34に配置されており、バルブ開位置に位置する状態では、スラリー入口部32及びスラリー出口部33に対向していないので、スラリー入口部32及びスラリー出口部33の流路がバルブ体40によって狭められることがなく、微粒子含有スラリーの流量を確保しやすい。
また、バルブ体40はコイルスプリング49によって下方に付勢されているので、バルブ閉時に、バルブ体40の第1及び第2バルブシート35、36への着座時の衝撃を緩和できる。これによって、バルブ体40及び第1及び第2バルブシート35、36の損耗を抑制して、スラリー制御弁30の耐久性を向上できる。
ここで、バルブ体40がバルブ開位置(上側)からバルブ閉位置(下側)に移動する際、上部チャンバ34aは容量が増大する一方で、下部チャンバ34bは容量が減少することになる。このとき、バルブ体40には、上下方向に連通する一対の連通孔47が形成されているので、バルブ体40の移動に応じて、上部チャンバ34aと下部チャンバ34bとの間で、微粒子含有スラリーをスムーズに移動させることができる。すなわち、バルブ体40を迅速に開閉させることができる。
例えば、バルブ体40をバルブ開位置からバルブ閉位置に移動させる際に、下部チャンバ34b内の微粒子含有スラリーを、連通孔47を介して上部チャンバ34aに移動させることができる。同様に、バルブ体40をバルブ閉位置からバルブ開位置に移動させる場合、上部チャンバ34a内の微粒子含有スラリーを、連通孔を介して下部チャンバ34bに移動させることができる。したがって、バルブ体40の上下動が、微粒子含有スラリーによって阻害されることがない。
また、バルブ体40は、ガイド突起46がガイド溝37によってガイドされるので、バルブ開位置とバルブ閉位置との間の移動時における揺動が抑制されている。さらに、バルブ体40は、スクレーパ溝48が形成されているので、ガイド溝37への微粒子含有スラリーの噛み込みが防止されるようになっている。
[スラリー噴霧装置]
図7は、スラリー噴霧装置50の軸線に沿った縦断面図である。スラリー噴霧装置50は、本体ケーシング51と、本体ケーシング51の内側に構成された噴霧部60及び供給部52と、本体ケーシング51の後側に構成されたノズル拡縮部70とを有している。噴霧部60は、微粒子含有スラリーを、ノズル68を介して噴霧化する。供給部52は、噴霧部60に微粒子含有スラリーを供給する。ノズル拡縮部70は、ノズル68の開口面積を拡大縮小させる。以下の説明では、スラリー噴霧装置50から噴霧化された微粒子含有スラリーが搬送される方向(図中左側)を前方と称し、この反対方向(図中右側)を後方と称する。
(本体ケーシング)
本体ケーシング51は、内径部に前後方向に貫通した本体ケーシング開口部53が形成されている。本体ケーシング開口部53の前端部には座繰り孔部53aが形成されている。座繰り孔部53aには、アダプタ58が前側から固着されている。
アダプタ58は後面に後方に突出した円筒部58aを有し、円筒部58aは、本体ケーシング51の座繰り孔部53aに前側から差し込まれている。また、アダプタ58は、内径部に前後方向に貫通したアダプタ開口部59を有している。アダプタ開口部59は、前端部に位置する座繰り孔部59aと、後端部に位置する噴霧ガイド孔部59bとを有している。
座繰り孔部59aは、前方から座繰り加工により形成されている。噴霧ガイド孔部59bは、後端部が一定の孔径を有する直線状に形成されるとともに、前後方向の途中部分から前方に向かって縮径したテーパー状に形成されており、この前端部(座繰り孔部59aとの接続部)において座繰り孔部59aの座繰り径よりも小さくなるように形成されている。
(噴霧部)
噴霧部60は、前後方向に延びており前端部にスリット62を有する円筒状の同軸ノズル61と、スリット62に径方向に係合して同軸ノズル61の前進後退をガイドするスリット受け66とを有している。
同軸ノズル61は、前方から第1円筒部61a、第2円筒部61b、及び第3円筒部61cを有している。各円筒部の外径は、第1円筒部61a<第2円筒部61b<第3円筒部61cである。また、同軸ノズル61の内径部には、前後方向に貫通した噴霧媒体通路63が形成されている。
第1円筒部61Aには、複数のスリット62が形成されている。複数のスリット62は、前端部から軸方向に沿って後方に延びており、外周部から噴霧媒体通路63に連通するように径方向に貫通している。複数のスリット62は、全て同じ大きさに形成されており、周方向に均等に配置されている。
第2円筒部61Bには、径方向に突出するガイド突起64が形成されている。図8は、スラリー噴霧装置50のガイド突起64の前方位置における断面図を示している。図8に示すように、ガイド突起64は、径方向に対向して一対に突出するように矩形状に形成されている。
図7に示すように、第3円筒部61Cは、後端部に、噴霧媒体供給口631を有している。噴霧媒体供給口631は、前端部が噴霧媒体通路63に連通しており、後端部に噴霧媒体供給手段7から噴霧媒体(例えば圧搾空気、加圧酸素)が供給されるようになっている。噴霧媒体供給手段7は、制御装置3によって、噴霧媒体の供給量及び供給圧力が制御される。また、第3円筒部61Cの外周部には、ねじ部65が形成されている。
スリット受け66は、本体ケーシング開口部53に形成された座繰り孔部53aに取り付けられており、前端面においてアダプタ58の円筒部58aによって支持されている。すなわち、スリット受け66は、本体ケーシング開口部53において、座繰り孔部53aとアダプタ58とによって前後方向に挟持されている。
スリット受け66は、板状部材であって、中央部に前後方向に貫通するスリット嵌合開口67を有している。スリット嵌合開口67は、同軸ノズル61のスリット62に外嵌するように形成されている。図9はスリット受け66における断面図を示している。図9に示すように、スリット嵌合開口67は、大径部67aと、大径部67aから径方向内側へ突出した突出部67bと、突出部67bの径方向内側の端面部である小径部67cとから構成されている。
大径部67aは、スリット62が形成されている第1円筒部61Aの外径に略一致する大きさに形成されている。小径部67cは、噴霧媒体通路63の通路径に略一致する大きさに形成されている。また、突出部63bの大きさは、同軸ノズル61をスリット嵌合開口67に組み付けたときに、突出部63bがスリット62の周方向寸法に略一致するように設定されている。
図7において拡大して示すように、同軸ノズル61がスリット受け66に組み付けられると、複数のノズル68が、スリット62における突出部67bとの非嵌合部分によって形成される。複数のノズル68は、同軸ノズル61の外周部から噴霧媒体通路63に連通している。複数のノズル68は、径方向に複数等間隔で並んでおり、それぞれ同じ大きさに構成されている。
また、突出部67bがスリット62に嵌合できるので、同軸ノズル61は、スリット受け66に対して、軸方向に前進後退可能となっている。これにより、同軸ノズル61が後方へ移動すると、ノズル68の軸方向長さHが増大しノズル68の開口面積が拡大し、逆に同軸ノズル61が前方へ移動すると、ノズル68の軸方向長さHが減少しノズル68の開口面積が減少する。
また、噴霧部60は、スラリーの材質に応じて噴霧径のより均一化が要求される場合の為に、スリット受け66の前方側に多孔ノズル69をさらに備えている。多孔ノズル69は、スリット受け66に近接して配置されており、円形の板状部材であって、同軸ノズル61に軸心を一致させた状態で配置されている。多孔ノズル69は、アダプタ開口部59の座繰り孔部59aに取り付けられており、前方から後述する内管ホルダ84の円筒部84aによって支持されている。したがって、多孔ノズル69は、アダプタ開口部59において、座繰り孔部59aと内管ホルダ84とによって前後方向に挟持されている。
図10は、スラリー噴霧装置50の多孔ノズル69における断面図を示している。図10に示すように、多孔ノズル69には、前後方向に貫通した複数の貫通孔69aが形成されている。複数の貫通孔69aは、噴霧媒体通路63の通路径を投影した領域内(二点鎖線で示す)に位置するように小径に形成されており、それぞれの孔径が例えば1mm以下、より好ましくは0.7mmに形成されている。
(供給部)
図7に示すように、供給部52は、本体ケーシング51に構成されている。本体ケーシング開口部53の開口径は、同軸ノズル61の第1円筒部61A及び第2円筒部61Bよりも大きい。本体ケーシング51には、この外周部と本体ケーシング開口部53とを径方向に連通する連通孔54が貫通形成されている。
本体ケーシング開口部53と同軸ノズル61の第1円筒部61A及び第2円筒部61Bとの径方向間には、スラリー収容部55が構成されている。スラリー収容部55は、前端が、スリット受け66の後端面によって画定されており、後端が、第2円筒部61Bと本体ケーシング開口部53との間に配設されたロッド専用パッキン56及びダストシール57により画定されている。
連通孔54には、第2スラリー供給配管6が接続されている。すなわち、スラリー収容部55には、第2スラリー供給配管6を介してスラリー制御弁30から微粒子含有スラリーが供給されるようになっている。
(ノズル拡縮部)
ノズル拡縮部70は、本体ケーシング51の後側に固着されたホルダ71と、ホルダ71にクロスローラ軸受72を介して回転自在に配設されたハウジング73と、ハウジング73の後側に固着された調整ナット74とを有している。
ホルダ71は、径方向内側に、同軸ノズル61の第2円筒部61Bが挿通される挿通孔71aが形成されている。図8に示すように、挿通孔71aには、径方向に一対のガイド溝71bが形成されている。ガイド溝71bの内側に、同軸ノズル61の一対のガイド突起64がそれぞれ位置している。ガイド溝71bの各溝壁面は、ガイド突起64の各壁面に対して略当接するように、若しくは微少な隙間を介して対向位置している。
図7に示すように、調整ナット74は、径方向内側に、前後方向に貫通したねじ孔74aが形成されている。ねじ孔74aは、同軸ノズル61の第3円筒部61Cに形成されたねじ部65に螺合している。すなわち、調整ナット74を、ハウジング73と共にホルダ71に対して回転させると、同軸ノズル61は、ガイド突起64がホルダ71のガイド溝71bによって規制されて回転せずに、ねじ部65のリードにしたがって、ホルダ71に対して前進又は後退する。
したがって、調整ナット74を回動させることによって、同軸ノズル61を前進後退自在に移動させることができる。この結果、同軸ノズル61のスリット62とスリット受け66とによって形成されるノズル68は、軸方向長さが増減し、ノズル68の開口面積が拡大縮小される。
(スラリー噴霧装置の作動)
上記説明したスラリー噴霧装置50では、スラリー収容部55に微粒子含有スラリーが充填された状態で、連通孔54を介してさらに微粒子含有スラリーが供給された場合に、スラリー収容部55内の微粒子含有スラリーが、複数のノズル68を通して、噴霧媒体通路63内に押し出される。
噴霧媒体通路63内には、噴霧媒体、例えば圧搾空気、加圧酸素が、噴霧媒体供給手段7から供給されており、噴霧媒体通路63内に押し出された微粒子含有スラリーは、圧搾空気によって剪断力を受けて流動化し、さらに、噴霧媒体による剪断力を受けて、噴霧化される。このとき、複数のノズル68は、周方向に等間隔に形成されているので、微粒子含有スラリーは、噴霧媒体通路63の内周において均等に押し出される。これにより、微粒子含有スラリーの噴霧は、均一化される。
また、ノズル拡縮部70により複数のノズル68の開口面積を拡大縮小させることによって、微粒子含有スラリーが噴霧媒体通路63内に押し出される量を制御することによって、所望の噴霧径を有する噴霧を生成させることができる。
多孔ノズル69には、複数の貫通孔69aが形成されており、噴霧化された微粒子含有スラリーは貫通孔69aを通過して、さらにこの下流側に流れる。ここで、噴霧化された微粒子含有スラリーは、噴霧径が貫通孔69aの孔径よりも小さい場合のみ、この下流側に流れるようになっている。換言すれば、多孔ノズル69を通過させることによって、貫通孔69aの孔径よりも大きな噴霧が、この下流側に流れることが防止されている。
すなわち、多孔ノズル69は、微粒子含有スラリーの噴霧から所定径以下の噴霧を選別する、篩いの役割を果たしている。例えば、ノズル68から不所望に噴霧径の大きな噴霧が生じた場合であっても、該噴霧径の大きな噴霧が、多孔ノズル69によって下流側に供給されることが防止される。また、多孔ノズル69は、内管ホルダ84を取り外すことで、容易に着脱できるようになっているので、所望の粒子径に応じて、適宜設定された多孔ノズル69に容易に交換できる。
[スラリー搬送管]
図7に示すように、スラリー搬送管80は、スラリー噴霧装置50の前側に取り付けられている。スラリー搬送管80は、内管81と、この外周側に間隔を空けて配置された外管82と、内管81と外管82との間に冷却媒体を供給する冷却媒体供給部90とを有している。
すなわち、スラリー搬送管80は、内管81と外管82とによって二重管に構成されるとともに、これらの配管の間に供給される冷却媒体によって冷却されるようになっている。また、スラリー搬送管80は、スラリー噴霧装置50の前端部に取り付けられた内管ホルダ84をさらに有している。
(内管ホルダ)
内管ホルダ84は、内管81の後端部を支持している。内管ホルダ84は、後端部に後方に突出する円筒部84aを有するとともに、内径部に前後方向に貫通した内管ホルダ開口部85を有している。内管ホルダ開口部85は、前端部に位置する座繰り孔部85aと、後端部に位置する面取り部85bと、座繰り孔部85aと面取り部85bとの間に位置する内管支持部85cとを有している。
座繰り孔部85aは、前方から座繰り加工により形成されている。面取り部85bは、後端部の孔径(面取り径)が、前面視において多孔ノズル69に形成された複数の貫通孔69aを含む大きさに形成されており、前端部の孔径(面取り径)が、内管支持部85cに支持された内管81の内径に略一致する大きさに形成されている。内管支持部85cの内径は、内管81の外径に略一致する大きさに形成されている。
(内管)
内管81は、前後方向に延びる管状部材である。内管81は、後端部において内管ホルダ84の内管支持部85cに前側から差し込まれて支持されており、面取り部85bを介して多孔ノズル69の下流側(前側)に近接した位置に配置されている。図12に示すように、内管81の前端部は、スラリー溶射装置100の燃焼室105の上流側(後側)に近接した位置に位置している。
(外管)
図7に示すように、外管82は、前後方向に延びる管状部材であり、外径が内管81よりも大きい。より具体的には、外管82の内径は、内管81の外径よりも大きく、外管82の内径側に間隔を空けて内管81が配設されている。外管82は、内管81の後端部よりも前方に位置している。また、図10に示すように、外管82は、内管81の前端部よりも後方に位置している。すなわち、外管82は、内管81よりも短い。
(冷却媒体供給部)
図7に示すように、冷却媒体供給部90は、冷却ノズル91と、冷却ノズルホルダ95とを有している。冷却ノズル91は、前方に向かって外径が小さくなる略円錐台状のノズル本体部92と、この後端部において後方に延びる円筒部93と、内径側において前後方向に貫通するノズル開口部94とを有している。
図11は、スラリー搬送管80の冷却媒体供給部90における断面図である。図11に示すように、ノズル本体部92の外周面には、該外周面に沿って前後方向に延びる複数の溝部92aが形成されている。複数の溝部92aは、周方向に等間隔で同じ大きさに形成されている。図7に示すように、冷却ノズル91は、円筒部93が、内管ホルダ開口部85の座繰り孔部85aに前側から差し込まれて組み付けられている。ノズル開口部94には内管81が前後方向に貫通して延びている。
冷却ノズルホルダ95は、内管ホルダ84の前側に取り付けられている。冷却ノズルホルダ95は内径部に、前後方向に貫通した冷却ノズルホルダ開口部96を有している。冷却ノズルホルダ開口部96は、前端部に位置する座繰り孔部96aと、後端部に位置するテーパー孔部96bとを有している。
座繰り孔部96aは、前方から座繰り加工により形成されている。テーパー孔部96bは、孔径が前方に向かって縮小するように形成されており、ここに冷却ノズル91が後方から組み付けられるようになっている。テーパー孔部96bは、後端部の孔径がノズル本体部92の後端部の外径に略一致しており、前端部(座繰り孔部96aとの接続部)の孔径がノズル本体部92の前端部の外径よりも小さく且つ座繰り孔部96aの孔径よりも小さい。
また、前後方向において、テーパー孔部96bは、ノズル本体部92よりも長い。さらに、テーパー孔部96bの孔壁面の前後方向に対する傾斜角度は、ノズル本体部92の前後方向に対する傾斜角度に一致している。すなわち、テーパー孔部96bに冷却ノズル91が組み付けられた状態で、ノズル本体部92の外周面がテーパー孔部96bの孔壁面に略一致するように構成されている。この状態では、ノズル本体部92とテーパー孔部96bとの間には、溝部92aにより前後方向に延びる複数の、冷却媒体経路が構成されている。
また、冷却媒体供給部90は、前後方向の途中部分、より具体的にはテーパー孔部96bから径方向外側に拡径するように、この軸心周りに環状に形成された冷却媒体導入室97と、該冷却媒体導入室97と外部とを連通する一対の連通孔98とを更に有している。
(スラリー搬送管の作動)
図11を併せて参照して、連通孔98には、冷却媒体供給手段8によって、冷却媒体が供給されるようになっている。冷却媒体供給手段8の作動、供給量、及び/又は供給圧力は、制御装置3によって制御される。
図7に示すように、冷却ノズルホルダ95の座繰り孔部96aには、外管82の後端部が支持されるようになっている。ここで、外管82は、冷却ノズル91よりも前側に位置しており、冷却ノズル91の前側において内管81と外管82とによって二重管が構成されている。また、ノズル本体部92の外周面とテーパー孔部96bとの間に形成された複数の溝部92aによる冷却媒体経路は、外管82の後側であって内管81の外周側に画定される空間に連通している。
すなわち、冷却媒体供給手段8から供給された冷却媒体は、一対の連通孔98を介して、冷却媒体導入室97に導入された後、該冷却媒体導入室97の径方向内側に連通している複数の溝部92aを介して前方に向けて径方向内側に案内されて、内管81の外周側に至る。さらに、冷却媒体は、内管81の外周部に沿って前方に流れて、内管81と外管82との間を前方に向かって流れる。
図12に示すように、内管81と外管82との間を流れる冷却媒体は、スラリー溶射装置100の燃焼室に放出されるようになっている。なお、冷却媒体として、例えば圧搾空気を用いることができる。
[スラリー溶射装置]
図12はスラリー溶射装置100の軸線に沿った水平断面図を示し、図13は図12のXIII−XIII線に沿ったスラリー溶射装置100の縦断面図を示している。また、図14はスラリー溶射装置100の後面図を示し、図15はスラリー溶射装置100の前面図を示している。図12に示すように、スラリー溶射装置100は、ホルダ110、ケーシング120、ガスノズル130、エアノズル140、エアキャップ150、及びノズル取り外し部160を有している。
以下の説明では、スラリー溶射装置100からガスフレームが溶射される溶射方向を、スラリー溶射装置100の前方(図中左側)と称し、この逆方向(図中右側)を後方と称する。また、図12において、上下方向をスラリー溶射装置100の左右方向と称し、図13において、上下方向をスラリー溶射装置100の上下方向と称する。
(ホルダ)
図12及び図13に示すように、ホルダ110は、スラリー溶射装置100の後端部に位置している。ホルダ110は、他の部品を支持するとともに、ロボットアーム2に取り付けられる取付ベースを構成している。ホルダ110の左右方向及び上下方向の中央部には前後方向に貫通したホルダ開口部111が形成されている。ホルダ開口部111には、スラリー搬送管80が前後方向に貫通するようになっている。ホルダ開口部111は、前方から順に、第1ホルダ孔111a、第2ホルダ孔111b、及び第3ホルダ孔111cを有している。
第1ホルダ孔111aの孔径は、第2ホルダ孔111bより小さく、第2ホルダ孔112bの孔径は第3ホルダ孔113cの孔径よりも小さい。すなわち、ホルダ開口部111は、第1ホルダ孔111aから第2及び第3ホルダ孔111b、111cに向かって孔径が順に拡大する、段付き孔部として形成されている。
図12に示すように、ホルダ開口部111の右側及び左側には、前後方向に延びるホルダ右側孔112及びホルダ左側孔113が形成されている。また、図13に示すように、ホルダ開口部111の上側には、前後方向に延びるホルダ上側孔114が形成されている。ホルダ右側孔112、ホルダ左側孔113、及びホルダ上側孔114は、ホルダ110を前後方向に貫通しておらず、ホルダ110の前端部にのみ開口する止まり孔である。
また、図12〜図14を参照して、ホルダ110は、燃焼用の酸素が供給される酸素供給口115と、燃料が供給される燃料供給口116と、掃気媒体が供給される掃気媒体供給口117とを有している。なお、燃料として、例えばアセチレン、プロパン、水素、エチレンを使用でき、掃気媒体として、例えば圧搾空気を使用できる。
ホルダ110に供給される、酸素、燃料、掃気媒体は、燃焼用ガス供給手段9によって供給される。燃焼用ガス供給手段9は、制御装置3によって、酸素、燃料、掃気媒体それぞれの、供給量、供給圧力が制御されるようになっている。
図14に示す後面視において、酸素供給口115、燃料供給口116、及び掃気媒体供給口117はそれぞれ、ホルダ110の異なる側面部に形成されている。具体的には、ホルダ110の右側面には、酸素供給口115が形成されており、ホルダ110の左側面には燃料供給口116が形成されており、ホルダ110の上面には掃気媒体供給口117が形成されている。
図12に示すように、酸素供給口115は左側に延びて、ホルダ右側孔112に連通している。同様に、燃料供給口116は右側に延びて、ホルダ左側孔113に連通している。図13に示すように、掃気媒体供給口117は下側に延びて、ホルダ上側孔114に連通している。
(ケーシング)
図12及び図13に示すように、ケーシング120は、ホルダ110の前端面から前方に延びており、前方から、第1円筒部121、第2円筒部122、及び第3円筒部123を有している。各円筒部の外径は、第1円筒部121<第2円筒部122<第3円筒部123である。ケーシング120は、第3円筒部123によってホルダ110の前端面に取り付けられている。第2円筒部122の外周部には、ねじ部122aが形成されている。
ケーシング120の径方向中央部には、前後方向に貫通したケーシング開口部124が形成されている。ケーシング開口部124は、前方から順に、第1孔部124a、第2孔部124b、第3孔部124c、及び第4孔部124dを有しており、それぞれ後方に向かって段階的に孔径が縮小するように形成されている。すなわち、ケーシング開口部124の孔径は、第1孔部124a>第2孔部124b>第3孔部124c>第4孔部124dである。
図17は、第1孔部124aの後端部における、スラリー溶射装置100の軸方向に垂直な断面図である。図17を併せて参照して、第1孔部124aの後端部には、右側に円弧状に拡張された右側拡張室125が連続して形成されている。
図18は、第2孔部124bの後端部における、スラリー溶射装置100の軸方向に垂直な断面図である。図18を併せて参照して、第2孔部124bの後端部には、左側に円弧状に拡張された左側拡張室126が連続して形成されている。また、第2円筒部122の外周部には、上部の後側より部分に、左右方向に略平行に切り欠かれた上側切欠部122bが形成されている。
また、図12に示すように、ケーシング120は、ケーシング開口部124の右側及び左側に、前後方向に延びるケーシング右側孔127及びケーシング左側孔128が形成されている。ケーシング右側孔127は、後端部がケーシング120の後端面に開口しており、前端部が右側拡張室125に連通している。ケーシング左側孔128は、後端部がケーシング120の後端面に開口しており、前端部が左側拡張室126に連通している。
図13に示すように、ケーシング120は、さらに、ケーシング開口部124の上側に、前後方向に延びるケーシング上側孔129が形成されている。ケーシング上側孔129は、後端部がケーシング120の後端面に開口しており、前端部が上側切欠部122bに連通している。
図12及び図13に示すように、ケーシング120は、ホルダ110に取り付けられた状態で、第4孔部124dが第1ホルダ孔111aに対応して位置している。また、ケーシング右側孔127がホルダ右側孔112に対応して位置しており、ケーシング左側孔128がホルダ左側孔113に対応して位置しており、ケーシング上側孔129がホルダ上側孔114に対応して位置している。
より具体的には、ケーシング右側孔127とホルダ右側孔112との接続部には、これらにわたってスリーブ101が介設されており、これによって、ケーシング右側孔127とホルダ右側孔112とが同心状に位置している。同様に、ケーシング左側孔128とホルダ左側孔113との接続部にもスリーブ101が介設されており、これらが互いに同心状に配置されている。同様に、ケーシング上側孔129とホルダ上側孔114との接続部にもスリーブ101が介設されており、これらが互いに同心状に配置されている。
(ガスノズル)
図12に示すように、ガスノズル130は、前後方向に延びており、前部がケーシング120の前方に延びており、後部がケーシング開口部124に前方から差し込まれている。ガスノズル130の前部は、前方に向かって外径が小さくなるように、円錐台状に前方に延びている。また、ガスノズル130の前端部面には、径方向中央部分において、円錐台状に前方に突出した先端部130aが形成されている。
図15に示すように、ガスノズル130の前部の外周部には、該外周部に沿って前後方向に延びる複数の傾斜溝部130bが形成されている。複数の傾斜溝部130bは、周方向に等間隔で同じ大きさに形成されている。また、図12に示すように、傾斜溝部130bは、ガスノズル130の前部の外周部のうち、略前側半分に形成されている。
ガスノズル130の後部は、前方から順に、第1円筒部131、第2円筒部132、及び第3円筒部133を有しており、それぞれ後方に向かって段階的に外径が小さくなるように形成されている。すなわち、ガスノズル130の後部の外径は、第1円筒部131>第2円筒部132>第3円筒部133である。
第1円筒部131、第2円筒部132、及び第3円筒部133の外径はそれぞれ、ケーシング120の第1孔部124a、第2孔部124b、及び第3孔部124cの孔径に略等しい。第1円筒部131の外周部のうち前後方向の略中央位置には、所定深さで径方向に切欠かれた、環状の切欠部131aが形成されている。
また、図17を併せて参照して、第1円筒部131の後端部には、前方に延びて切欠部131aに連通する、複数の連通孔131bが形成されている。複数の連通孔131bは、周方向に略等間隔で並ぶように形成されている。
図16は、切欠部131aにおける、スラリー溶射装置100の軸線に垂直な断面図である。図16に示すように、切欠部131aの内径部には、径方向内側に延びる複数の径方向孔131cが、周方向に等間隔で形成されている。複数の径方向孔131cはそれぞれ、止まり孔として略同じ深さに形成されている。
図12に示すように、ガスノズル130を、第3円筒部133の後端面がケーシング120の第3孔部124cの孔底に当接するように、ケーシング開口部124に前方から組み付けた状態で、第2円筒部132の後端部は第2孔部124bの孔底から前方に離間して位置している。より具体的には、前後方向において、第2円筒部132の後端部は、左側拡張室126の前端面に略一致している。
すなわち、図18を併せて参照して、第3円筒部133の周囲であって第2円筒部132の後端面と第2孔部124bの孔底との間には、環状の第1空間134が画定されている。第1空間134は、左側拡張室126に連通している。
図12に示すように、第1円筒部131の後端部は第1孔部124aの孔底から前方に離間して位置している。より具体的には、前後方向において、第1円筒部131の後端部は、右側拡張室125の前端面に略一致している。すなわち、図17を併せて参照して、第2円筒部132の周囲であって第1円筒部131の後端面と第1孔部124aの孔底との間には、環状の第2空間135が画定されている。第2空間135は、右側拡張室125に連通している。
ガスノズル130の径方向中央部には、前後方向に貫通したガスノズル開口部136が形成されている。ガスノズル開口部136は、前方から順に、第1孔部136a、第2孔部136b、及び第3孔部136cを有しており、それぞれ後方に向かって段階的に孔径が拡大するように形成されている。すなわち、ガスノズル開口部136の孔径は、第1孔部136a<第2孔部136b<第3孔部136cである。
第1孔部136aの内径側には、スラリー搬送管80の内管81の前端部が位置している。第2孔部136bの前端部には、内管支持リング102を介して内管81が径方向に支持されている。内管支持リング102は、上下左右の4カ所において径方向内側に延びる支持部を備え、該支持部によって内管81が支持されている。第2孔部136bの、内管支持リング102の後側の部分によって、スラリー搬送管80の外管82が径方向に支持されている。第3孔部136cには、雌ねじ部136dが形成されている。
ガスノズル130は、ガスノズル開口部136の周囲において、前方に向かって径方向内側に傾斜して延びる複数の傾斜孔部137を有している。傾斜孔部137は、第2空間135に連通した第1傾斜孔137aと、第1空間134に連通した第2傾斜孔137bとを有している。
第1傾斜孔137aは、径方向孔131cの孔底側部分から、ガスノズル130の前端面まで前方に延びており、ガスノズル130の中心軸線に対して傾斜角度θ1で径方向内側に傾斜している。第2傾斜孔137bは、第2円筒部132の後端面からガスノズル130の前端面まで前方に延びており、ガスノズル130の中心軸線に対して傾斜角度θ2で径方向内側に傾斜している。
図16に示すように、複数の第1傾斜孔137aはそれぞれ、複数の径方向孔131cに連通するように形成されており、複数の第2傾斜孔137bはそれぞれ、複数の径方向孔131cの間に形成されている。換言すれば、複数の第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bは、周方向に交互に並ぶように設けられている。
また、図15に示すように、ガスノズル130の前端面において、複数の第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bは、先端部130aの外周側における開口部が同一円周上に交互に並んでいる。さらに、第1傾斜孔137aの傾斜角度θ1と、第2傾斜孔137bの傾斜角度θ2とは同じ角度であって、例えば3°に設定されている。また、複数の第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bは、ガスノズル130の前部の外周部に形成された傾斜溝部130bの径方向内側に対応位置するように、ガスノズル130の中心軸線に対して同じ角度位置に形成されている。
(エアノズル)
図12に示すように、エアノズル140は、ガスノズル130の前部を外周側から覆うとともに、この内側空間においてガスノズル130の前側に燃焼室105を画定するように中空状に構成されている。エアノズル140は、前方に向かって外径が小さくなるように円錐台状に延びており、後端部に後部フランジ141を備えている。エアノズル140は、後部フランジ141を介して、ケーシング120の前端面とガスノズル130の第1円筒部131の前端面とに亘って取り付けられている。
エアノズル140の径方向中央部には、前後方向に貫通したエアノズル開口部142が形成されている。エアノズル開口部142は、前方から順に、第1孔部142a、第2孔部142b、及び第3孔部142cを有している。
第1孔部142aは、同一径で前後方向に延びる直線孔として形成されている。第2孔部142bは、前方に向かって孔径が縮小するテーパー孔として形成されており、この孔壁面にガスノズル130の前部の外周部が略当接するようになっている。第3孔部142cは、前方に向かって孔径が縮小するテーパー孔として形成されており、この孔壁面はガスノズル130の前部の外周部に対して略一定間隔を空けて外径側に位置している。
すなわち、エアノズル開口部142のうち、第1孔部142aと、第2孔部142bのうちガスノズル130よりも前側に位置する部分とによってl、これらの内側に燃焼室105が画定されている。燃焼室105は、第2孔部142bから第1孔部142aに向かって縮径するようになっており、この前端部に位置する第1孔部142aが燃焼室105の絞り部として構成されている。また、第2孔部142bとガスノズル130との径方向間に、前方に向かって径方向内側に傾斜して延びる円筒状の第3空間143が形成されている。
後部フランジ141の後端面には、前方に向かって凹となる複数の溝部141aが形成されている。複数の溝部141aはそれぞれ、径方向に延びており、後部フランジ141の外径部とエアノズル開口部142とを径方向に連通している。
(エアキャップ)
エアキャップ150は、ケーシング120を前方からこの外周部を覆うように構成されており、ケーシング120の第1円筒部121の外周側に位置する第1円筒部151と、この後側に形成されておりケーシング120の第2円筒部122の外周側に位置する第2円筒部152と、第1円筒部151の前側に形成されておりケーシング120の第1円筒部121の前方に位置する前部フランジ153とを有している。
すなわち、エアキャップ150とケーシング120との間には、円筒状に前方に延びるとともに、前部フランジ153の後面において径方向内側に延びる、第4空間154が形成されている。
第1円筒部151は、ケーシング120の第1円筒部121に対して空間を介して外径側に離間して位置している。第2円筒部152の内径部には、雌ねじ部152aが形成されている。雌ねじ部152aは、ケーシング120の第2円筒部122のねじ部122aに螺合している。
前部フランジ153は、径方向中央部に前後方向に貫通したフランジ孔153aを有している。フランジ孔153aには、エアノズル140の後部フランジ141に隣接した基端部が内嵌されるようになっている。また、前部フランジ153は、エアノズル140の後部フランジ141の前端面に当接している。
すなわち、エアキャップ150は、第2円筒部152の雌ねじ部152aによって、ケーシング120のねじ部122aに螺合された状態で、前部フランジ153が、エアノズル140を、この後部フランジ141においてケーシング120及びガスノズル130の第1円筒部131の前端面に向けて押さえ付けることによって、保持するようになっている。
(ノズル取り外し部)
図12に示すように、ノズル取り外し部160は、ノズル取り外しボルト161、ブッシュ164、及びOリング押さえ165を有している。ノズル取り外しボルト161は、後端部に位置するボルト頭部162と、この前方に延びるボルト軸部163とを有している。
ボルト頭部162の外周部には、前後方向の略中央部分に、環状の溝部162aが形成されている。溝部162aの前後方向幅寸法は、第3ホルダ孔111cの前後方向寸法に略一致している。また、図14を併せて参照して、ボルト頭部162は、溝部162aの後側部分が後面視で六角形に形成されている。
図12に示すように、ボルト軸部163は、ホルダ110のホルダ開口部111内に位置する第1軸部163aと、この前側に隣接して前方に延びる第2軸部163bとを有している。第2軸部163bは、第1軸部163aよりも外径が小さく、ねじ部163cが形成されている。ねじ部163cは、ガスノズル130の第3孔部136cに形成された雌ねじ部136dに螺合している。
図14を併せて参照して、ブッシュ164は、径方向に二分割されるようになっており、径方向中央部にブッシュ孔部164aが形成されている。ブッシュ孔部164aは、ボルト頭部162の溝部162aの溝底における溝底径に略一致する大きさに形成されている。また、ブッシュ164の前後方向幅寸法は、ボルト頭部162の溝部162aの前後方向幅寸法に略一致する大きさに形成されている。
ブッシュ164は、径方向に分割された状態で、一対の半割状のブッシュ孔部164aを、ボルト頭部162の溝部162aに対して径方向に係合させた状態で、第3ホルダ孔111cに取り付けられている。これによって、ノズル取り外しボルト161の前後方向の位置決めがなされている。なお、このとき、ブッシュ164の後端面は、ホルダ110の後端面と略面一状に位置している。
また、ノズル取り外しボルト161の径方向中央部分には、前後方向に貫通したボルト開口部166が形成されている。ボルト開口部166は、後端部に形成された座繰り孔部166aと、座繰り孔部166aの前端面から前方に延びる貫通孔部166bとを有している。貫通孔部166bには、スラリー搬送管80が前後方向に貫通するようになっている。また、座繰り孔部166aの孔壁面には、雌ねじ部166cが形成されている。
また、座繰り孔部166aの溝底には、スラリー搬送管80と貫通孔部166bとの間に画定される空間を後方から封止するOリング103が配設されている。
Oリング押さえ165は、後端部に位置するボルト頭部165aと、この前方に延びるボルト軸部165bとを有している。ボルト頭部165aは、図14に示す後面視において六角形状に形成されている。ボルト軸部165bは、外周にねじ部165cが形成されている。また、Oリング押さえ165の径方向中央部分には、前後方向に貫通したOリング押さえ開口部167が形成されている。Oリング押さえ開口部167には、スラリー搬送管80が前後方向に貫通するようになっている。
Oリング押さえ165は、ねじ部165cを雌ねじ部166cに螺合させて、ボルト頭部162の座繰り孔部166aに組み付けられるようになっている。Oリング押さえ165が、座繰り孔部166aに組み付けられた状態で、Oリング103は、スラリー搬送管80の外周部を封止しつつ、座繰り孔部166aの溝底面とOリング押さえ165の前端面との間で挟持されている。
上述したスラリー溶射装置100では、ホルダ110に導入された、酸素、燃料、及び圧搾空気を、それぞれ個別に、燃焼室105に導入する、酸素供給経路、燃料供給経路、及び圧搾空気供給経路が形成されている。
(酸素供給経路)
図12に示すように、酸素供給経路は、ホルダ110の酸素供給口115及びホルダ右側孔112と、スリーブ101と、ケーシング120のケーシング右側孔127及び右側拡張室125と、第2空間135と、ガスノズル130の連通孔131b、切欠部131a、径方向孔131c、及び第1傾斜孔137aとによって少なくとも構成されている。すなわち、酸素供給経路に導入された酸素は、第1傾斜孔137aから、燃焼室105へ、前方に向かって傾斜角度θ1で径方向内側に供給される。
(燃料供給経路)
燃料供給経路は、ホルダ110の燃料供給口116及びホルダ左側孔113と、スリーブ101と、ケーシング120のケーシング右側孔128及び左側拡張室126と、第1空間134と、ガスノズル130の第2傾斜孔137bとによって少なくとも構成されている。すなわち、燃料供給経路に導入された燃料(例えばアセチレン)は、第2傾斜孔137bから、燃焼室105へ、前方に向かって傾斜角度θ2で径方向内側に供給される。
(掃気媒体供給通路)
図13に示すように、掃気媒体供給経路は、ホルダ110掃気媒体供給口117及びホルダ上側孔114と、スリーブ101と、ケーシング120のケーシング上側孔129及び上側切欠部122bと、第4空間154と、エアノズル140の溝部141aと、第3空間143と、ガスノズル130の傾斜溝部130bとによって少なくとも構成されている。掃気媒体供給経路に導入された掃気媒体は、ガスノズル130の傾斜溝部130bから、燃焼室105へ、前方へ向かってエアノズル140の第2孔部142bの内周壁面に沿って放出される。
[溶射システムの作動及び作用効果]
上述した溶射システム1では、制御装置3が、スラリー供給装置10、スラリー制御弁30、スラリー噴霧装置50、スラリー搬送管80、及びスラリー溶射装置100の作動を統括的に制御して、これによって微粒子が被溶射材Wの所望の位置に向けて溶射されるようになっている。
制御装置3は、スラリー供給装置10の駆動部20を制御することによって、微粒子含有スラリーが、シリンジ11から押し出されて、第1スラリー供給配管5を介して、スラリー制御弁30に供給されるようになっている。このとき、制御装置3は、スラリー供給装置10の圧力センサ28によって検出される、シリンジ11から押し出された微粒子含有スラリーの圧力に基づいて、スラリー制御弁30の開閉を制御する。
具体的には、制御装置3は、圧力センサ28によって検出される微粒子含有スラリーの圧力値が所定圧力以上になるまで、バルブ体40をバルブ閉位置に位置させるようにシリンダ38を制御する。
圧力センサ28によって検出された微粒子含有スラリーの圧力が、所定圧力以上となった場合に、制御装置3は、スラリー制御弁30のシリンダ38を制御して、バルブ体40をバルブ開位置に移動させる。この結果、所定圧力以上となった微粒子含有スラリーが、スラリー噴霧装置50に供給される。
スラリー噴霧装置50に供給された微粒子含有スラリーは、噴霧部60のノズル68から、同軸ノズル61の内径側の噴霧媒体通路63に押し出される。噴霧媒体通路63には、噴霧媒体供給手段7から噴霧媒体としての圧搾空気が供給されている。制御装置3は、噴霧媒体供給手段7を制御して、噴霧媒体通路63に供給される圧搾空気の圧力を所定圧力に制御する。
ここで、圧搾空気に設定される所定圧力は、微粒子含有スラリーに設定される所定圧力よりも低い。これによって、微粒子含有スラリーを、圧搾空気による圧力に抗して、ノズル68から、噴霧媒体通路63に押し出すことができるようになっている。
噴霧媒体通路63に押し出された微粒子含有スラリーは、噴霧媒体によって噴霧化される。微粒子含有スラリーの噴霧は、多孔ノズル69を通過して、ここに形成された貫通孔69aよりも小さな噴霧がスラリー搬送管80に供給される。
なお、スラリー噴霧装置50では、ノズル拡縮部70を操作することによって、ノズル68が所望の開口面積となるように予め調整されている。これによって、微粒子含有スラリーを所望の粒子径に噴霧化させることができる。例えば、噴霧させる微粒子の性状又は溶射被膜の性状に合わせて、微粒子の噴霧径を制御してもよい。
図19は、スラリー溶射装置100の作動を模式的に示している。図19に示すように、微粒子含有スラリーの噴霧は、スラリー搬送管80の内管81を通して、スラリー溶射装置100の燃焼室105に放出される。スラリー溶射装置100では、スラリー搬送管80に対してこの周囲に同軸に配置された、ガスノズル130の第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bそれぞれから個別に、酸素及び燃料としてのアセチレン等が供給される。
第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bは、それぞれ、燃焼室105に向かって、径方向内側に傾斜しているので、酸素及びアセチレン等は、ガスノズル130から前方に離間した位置で混合されてガスフレームが生成される。この結果、ガスフレームからガスノズル130への入熱が抑制されるので、ガスノズル130と同軸に配置されたスラリー搬送管80の温度上昇が抑制される。したがって、スラリー搬送管80における、微粒子の固着が抑制される。
さらに、燃焼室105に酸素を供給する第1傾斜孔137aと、アセチレン等を供給する第2傾斜孔137bはそれぞれ、同一円周上に交互に配置されており、且つ、出口開口部における中心軸線がそれぞれ、燃焼室105に向かって径方向内側に略同一角度で傾斜している。
これによって、酸素とアセチレン等とを別系統により燃焼室105に供給しながらも、これらが略均一に混合された混合ガスを得られるとともに、燃焼状態のよいガスフレームが得られる。しかも、ガスフレームは、スラリー搬送管80の軸線上に生じるので、微粒子含有スラリーを略均一に含有した熱流体が得られる。これによって、微粒子が略均一に溶射された溶射被膜が得られる。
ガスフレームの後方から、これに対して同軸に配置されたスラリー搬送管80から、微粒子含有スラリーの噴霧が導入される。ガスフレームにおいて、微粒子含有スラリーから有機溶媒が消失されて、微粒子が被溶射材に溶射される。
ここで、スラリー搬送管80は、内管81と外管82とを有する二重管に構成されており、内管81と外管82との間には、冷却媒体としての圧搾空気が、冷却媒体供給手段8から供給される。これによって、スラリー搬送管80の温度上昇が抑制されるので、スラリー搬送管80の内管81の内壁面に、微粒子が熱によって固着することが抑制される。
また、内管81と外管82との間に供給された圧搾空気は、内管81の前端部における外周部から燃焼室105に導入される。この結果、微粒子含有スラリーが内管81から燃焼室105に導入される際に、この前端縁部に付着して垂れ落ちることが抑制されている。したがって、スラリー搬送管80の出口端部における、微粒子の固着を抑制できる。
また、燃焼室105の外周部には、掃気媒体供給経路を介して、掃気媒体としての圧搾空気が供給されるようになっている。これによって、エアノズル140の内周壁面を掃気することができ、燃焼室105に供給された微粒子の該壁面への付着が抑制されている。
しかも、ガスノズル130において、圧搾空気が放出される複数の傾斜溝部130bはそれぞれ、これらの径方向内側に開口する、複数の第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bに対して、径方向外側に対応して位置している。したがって、第1傾斜孔137a及び第2傾斜孔137bから燃焼室105に供給される酸素及びアセチレン等が、エアノズル140の内周壁面に至ることを抑制してガスフレームを燃焼室105の径方向内側に案内しやすい。
これによって、ガスフレームに導入される微粒子含有スラリーが、エアノズル140の内周壁面に付着することを効果的に抑制することができる。
さらにまた、燃焼室105を画定するエアノズル140は前端部に流路絞り部としての第1孔部142aが形成されているので、ベンチュリー効果により燃焼室105に導入された微粒子含有スラリーの噴霧及び該噴霧が導入されるガスフレームを第1孔部142aの前方側へ向けて排出させやすい。これによって、エアノズル140の内周壁面における、微粒子の固着がより一層抑制される。
[ガスノズルの着脱]
次に、ガスノズル130のケーシング120からの着脱について説明する。ホルダ110、ケーシング120、及びガスノズル130の間には、Oリング103が適宜設けられており、これらに構成される酸素供給経路、燃料供給経路、及び掃気媒体供給経路を封止している。
具体的には、ホルダ110とケーシング120との接合部には、スリーブ101の外周側にOリング103が配設されている。また、ケーシング120とガスノズル130との接合部に関して、第3孔部124c及び第3円筒部133間と、第2孔部124b及び第2円筒部132間と、第1孔部124a及び第1円筒部131間と、にはそれぞれケーシング120側にOリング103が配設されている。なお、第1孔部124a及び第1円筒部131には、切欠部131aの前後に2つのOリング103が配設されている。
したがって、ガスノズル130とケーシング開口部124との間には、Oリング103が4箇所に配設されている。このため、ガスノズル130は、ケーシング開口部124に対して、Oリング103による径方向内側への緊迫力を受けるため、取り外しにくい。
ここで、本実施形態に係るスラリー溶射装置100は、ノズル取り外し部160を備えている。ノズル取り外しボルト161をホルダ110に対して回転させることによって、ノズル取り外しボルト161のボルト軸部165bのねじ部165cに螺合された、ガスノズル130を、この後端部に形成された雌ねじ部136dのリードにしたがって、ノズル取り外しボルト161に対して離間させることができる。
このとき、ノズル取り外しボルト161は、ブッシュ164によって前後方向の位置が規定されており、ホルダ110に対して前後方向に移動不能に構成されている。したがって、ノズル取り外しボルト161を回転させて、ガスノズル130を、Oリング103による緊迫力がなくなるか若しくは低減される位置まで前方に押し出すことによって、ガスノズル130をケーシング開口部124から容易に取り外すことができるようになっている。
上記実施形態では、溶射材料として微粒子含有スラリーを例にとって説明したが、微粒子にはナノ粒子が含まれんでもよい。微粒子含有スラリーとして、例えばナノ粒子のみが有機溶媒に分散された、ナノ粒子含有スラリーを採用してもよい。配管内における搬送が容易ではないナノ粒子含有スラリーにおいて、本発明の効果がより好適に発揮される。
本発明に係る微粒子含有スラリー溶射装置及び該溶射装置を備えた溶射システムによれば、微粒子含有スラリーを、スラリー搬送管を介してガスフレームに導入させる際に、略均一に分布させつつ、スラリー搬送管の狭窄を抑制できるので、産業上の利用価値が大である。
1 溶射システム
3 制御装置
7 噴霧媒体供給手段
8 冷却媒体供給手段
10 スラリー供給装置
11 シリンジ
14 プランジャ
16 プッシャロッド
20 駆動部
28 圧力センサ
30 スラリー制御弁
31 本体ケーシング
32 スラリー入口部
33 スラリー出口部
34 流路接続室
35 第1バルブシート
36 第2バルブシート
38 シリンダ
40 バルブ体
41 第1バルブ面
42 第2バルブ面
49 コイルスプリング
50 スラリー噴霧装置
51 本体ケーシング
52 供給部
55 スラリー収容部
60 噴霧部
61 同軸ノズル
62 スリット
63 噴霧媒体通路
68 ノズル
70 ノズル拡縮部
80 スラリー搬送管
81 内管
82 外管
84 内管ホルダ
90 冷却媒体供給部
100 スラリー溶射装置
105 燃焼室
110 ホルダ
115 酸素供給口
116 燃料供給口
117 掃気媒体供給口
120 ケーシング
130 ガスノズル
140 エアノズル
150 エアキャップ
160 ノズル取り外し部
161 ノズル取り外しボルト

Claims (13)

  1. 酸素と燃料とが燃焼したガスフレームを生じる燃焼室と、
    前記燃焼室に前記酸素及び前記燃料を供給するガスノズルと、
    前記ガスノズルの内径側に同軸に配置されており、微粒子含有スラリーを前記ガスフレームに溶射材料として搬送する、スラリー搬送管と、を備え、
    前記ガスフレームに前記微粒子含有スラリーが導入された熱流体によって、溶射する、微粒子含有スラリー溶射装置であって、
    前記スラリー搬送管は、前記微粒子含有スラリーが流れる内管とこの外周側に間隔を空けて配置された外管とを有する二重管であって、前記内管と前記外管との間に冷却媒体が供給されるようになっており、
    前記スラリー搬送管は、前記内管と前記外管との間から前記燃焼室に向けて前記冷却媒体が放出されるようになっている、微粒子含有スラリー溶射装置。
  2. 前記ガスノズルは、
    前記酸素を前記燃焼室に供給する酸素供給経路と、
    前記燃料を前記燃焼室に供給する燃料供給経路と、を有しており、
    前記酸素供給経路と前記燃料供給経路とが別系統として構成されている、
    請求項に記載の微粒子含有スラリー溶射装置。
  3. 前記酸素供給経路は、前記燃焼室に連通した複数の第1傾斜孔を有し、
    前記燃料供給経路は、前記燃焼室に連通した複数の第2傾斜孔を有し、
    複数の前記第1傾斜孔及び前記第2傾斜孔は、前記ガスノズルの出口端部における開口部が、同一円周上に交互に並ぶように配置されていると共に、前記開口部における中心軸線が、前記燃焼室に向かってこの径方向側に略同一角度で傾斜している、
    請求項に記載の微粒子含有スラリー溶射装置。
  4. 前記ガスノズルの外周部に取り付けられて溶射方向に延びており、内側に前記燃焼室が画定された、キャップを、更に有し、
    前記キャップの内周壁面に、掃気媒体が供給されるようになっている、
    請求項1〜のいずれか1つに記載の微粒子含有スラリー溶射装置。
  5. 前記キャップは、流路絞り部を有している、
    請求項に記載の微粒子含有スラリー溶射装置。
  6. 前記微粒子含有スラリーは、ナノ粒子含有スラリーであり、
    前記スラリー搬送管に、前記ナノ粒子含有スラリーが噴霧化された状態で供給される、
    請求項1〜のいずれか1つに記載の微粒子含有スラリー溶射装置。
  7. 請求項1〜のいずれか1つに記載の微粒子含有スラリー溶射装置と、
    前記微粒子含有スラリーを噴霧化して前記スラリー搬送管に供給する、スラリー噴霧装置と、
    前記スラリー噴霧装置に、前記微粒子含有スラリーを供給するスラリー供給装置と、を更に備えている、微粒子含有スラリー溶射システム。
  8. 前記スラリー供給装置は、溶射材料が予め充填されたカセットタイプのシリンジを有している、請求項に記載の微粒子含有スラリー溶射システム。
  9. 前記スラリー供給装置と前記スラリー噴霧装置とを接続する、スラリー供給経路と、
    前記スラリー供給経路に設けられ、該経路を開閉可能なスラリー制御弁とを、を更に備え、
    前記スラリー制御弁は、
    前記スラリー供給経路を介して前記スラリー供給装置が接続されるスラリー入口部と、
    前記スラリー供給経路を介して前記スラリー噴霧装置が接続されるスラリー出口部と、
    前記スラリー入口部と前記スラリー出口部とを接続する、流路接続室と、
    前記スラリー入口部と前記流路接続室との接続部に形成された、第1バルブシートと、
    前記スラリー出口部と前記流路接続室との接続部に形成された、第2バルブシートと、
    前記流路接続室に設けられており、前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートに当接してこれらのバルブシートを閉じるバルブ閉位置と前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートから離間してこれらのバルブシートを開くバルブ開位置とにわたって移動可能になっている、バルブ体と、を備え、
    前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートが、前記バルブ体の移動方向に対して傾斜している、
    請求項7又は8に記載の微粒子含有スラリー溶射システム。
  10. 前記バルブ体は、前記移動方向に貫通する貫通孔を有しており、
    前記流路接続室は、前記バルブ体の移動方向において、前記バルブ体の一方側に画定される空間と他方側に画定される空間とが、前記貫通孔によって連通するようになっている、
    請求項に記載の微粒子含有スラリー溶射システム。
  11. 前記バルブ体は、前記バルブ閉位置において、前記第1バルブシート及び前記第2バルブシートに向けて弾性的に付勢されるようになっている、
    請求項9又は10に記載の微粒子含有スラリー溶射システム。
  12. 前記スラリー制御弁は、前記スラリー供給装置から供給される前記微粒子含有スラリーの圧力が、所定圧力以上となる場合に、バルブ開位置に制御されるようになっている、
    請求項9〜11のいずれか1つに記載の微粒子含有スラリー溶射システム。
  13. 前記微粒子含有スラリーの前記所定圧力は、前記スラリー噴霧装置が前記微粒子含有スラリーを噴霧するための噴霧媒体の圧力よりも高い、
    請求項12に記載の微粒子含有スラリー溶射システム。
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