JP6955667B2 - 紙送りローラおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかし、およそ2〜3μm程度の大きな紙粉は排出されにくい上、紙送りのためにローラ本体の外周面を用紙に繰り返し接触させると、当該外周面に、用紙との接触圧などによって圧着されやすい。そして、紙送りを繰り返すと、ローラ本体の外周面に圧着される紙粉の数が増加するとともに、当該外周面上に紙粉が圧着された領域が拡がる。そのため、ローラ本体の外周面と用紙とが紙粉を介さずに直接に接触する面積(接触面積)が減少する結果、外周面の摩擦係数が低下して、良好な通紙性能を維持することができなくなるという課題を生じる。
また、本発明は、かかる本発明の紙送りローラを含む画像形成装置である。
図3、図4を参照して、かかる従来の紙送りローラ11は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料によって筒状に形成されたローラ本体12と、当該ローラ本体12の中心の通孔13に挿通されて固定されたシャフト14とを含んでいる。ローラ本体12の外周面15は、当該外周面15が砥石などを用いて研削加工された結果、ローラ本体12の軸方向に沿う鱗状部16が周方向に重なった状態とされている。
外周面5に付着した紙粉は、研磨目6の凹部内に収容される。また、凹部内に収容された紙粉は、たとえ、2〜3μm程度の大きなものであっても、紙送りのために外周面5を用紙の表面に接触させながら、ローラ本体2を、シャフト4を中心として回転させた際に、外周面5に加わる周方向の回転力を受けて、強制的に、同方向に沿う研磨目6の凹部を介して、外周面5の外へスムースに排出される。
研磨目6の大きさは、外周面5の、軸方向の表面粗さで表して、日本工業規格JIS B0601:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」において規定された、輪郭曲線の最大高さRz:6.3μm以上、8.6μm以下、算術平均高さRa:1.1μm以上、1.2μm以下で、かつ輪郭曲線要素の平均長さRSm:8.9μm以上、11.2μm以下に限定される。
EPDMとしては、エチレンとプロピレンに少量の第3成分(ジエン分)を加えることで主鎖中に二重結合を導入した、架橋性を有する種々のEPDMが使用可能である。EPDMとしては、第3成分の種類や量の違いによる様々な製品が提供されている。代表的な第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられる。
これらEPDMの1種または2種以上を使用できる。
IRとしては、ポリイソプレン構造を有し、なおかつ架橋性を有する種々の重合体が、使用可能である。
ローラ本体2を、架橋性のゴムによって形成する場合、ゴムには、当該ゴムを架橋させるための架橋剤を配合する。架橋剤としては、たとえば、硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物架橋剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。とくに、EPDM単体、またはEPDMとIRの併用系では、架橋剤として過酸化物架橋剤が好ましい。
上記ゴムからなるローラ本体2を備えた紙送りローラ1を製造するには、まず、ゴムに、架橋剤や各種の添加剤を配合し、混練してゴム組成物を調製する。次いで、調製したゴム組成物を、たとえば、プレス成形、トランスファー成形、インジェクション成形、押出成形等の、各種の成形方法によって筒状に成形するとともに、ゴムを架橋させてローラ本体2を形成する。
型を用いた成形方法では、シャフト4は、ローラ本体2の成形後から、当該ローラ本体2の外周面5の研磨後までの任意の時点で、通孔3に挿通してローラ本体2に固定できる。あるいは、型にシャフト4をセットした状態でゴム組成物を充填して、成形および架橋させる、いわゆるインサート成形によって、ローラ本体2を形成するとともに、シャフト4を固定してもよい。また、押出成形では、筒状体のカット後から、ローラ本体2の外周面5の研磨後までの任意の時点で、シャフト4を通孔3に挿通して固定できる。
本発明の画像形成装置は、上記本発明の紙送りローラを、たとえば、給紙ローラ、搬送ローラ、プラテンローラ、排紙ローラ等として組み込んだことを特徴とするものである。かかる本発明の画像形成装置としては、たとえば、レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した種々の画像形成装置が挙げられる。
〈実施例1〉
EPDMと、過酸化物架橋剤とを含むゴム組成物を、プレス成形用の型内に充填して型締めをし、160℃で20分間加熱してゴムを架橋させて、筒状のローラ本体を形成した。
研磨後の外周面を、実体顕微鏡を用いて観察したところ、図2に示すように、当該外周面は、ローラ本体の周方向に沿う筋状の研磨目を有していることが確認された。また、外周面上の任意の3点で、前述した日本工業規格JIS B0601:2001において規定された、当該外周面の軸方向の、輪郭曲線の最大高さRz、算術平均高さRa、および輪郭曲線要素の平均長さRSmを求めたところ、表1に示す結果が得られた。
実施例1と同じゴム組成物を、プレス成形用の型内に充填して型締めをし、160℃で20分間加熱してゴムを架橋させて、筒状のローラ本体を形成した。
次いで、形成したローラ本体の通孔にシャフトを圧入して固定した状態で、当該シャフトを中心としてローラ本体を回転させながら、当該ローラ本体の外周面を、所定の外径となるように、砥石を用いて研削加工して紙送りローラを製造した。
実施例1と同じゴム組成物を、プレス成形用の型内に充填して型締めをし、160℃で20分間加熱してゴムを架橋させて、筒状のローラ本体を形成した。
次いで、形成したローラ本体の通孔にシャフトを圧入して固定したものの、当該ローラ本体の外周面を研磨も研削加工もせずに紙送りローラを製造した。
実施例、比較例で製造した紙送りローラを、モノクロ複合機〔日本ヒューレット・パッカード(株)製のHP LaserJet M4555hMFP〕に組み込んで、普通紙を連続で通紙させた。
そして、モノクロ複合機に組み込む前の初期状態の摩擦係数μ0、20000枚の連続通紙後の摩擦係数μa1、および60000枚の連続通紙後の摩擦係数μa2を、それぞれ下記の測定方法によって測定した。
金属板を水平に設置し、当該金属板と紙送りローラとの間に、一端をロードセルに接続した紙〔富士ゼロックス(株)製のP紙(普通紙)〕の他端を挟んだ状態で、紙送りローラのシャフトに0.98N(=100gf)の鉛直荷重Wを加えた。
この状態で、温度23±2℃、相対湿度55±10%の環境下、紙送りローラを周速100mm/秒で回転させて、ロードセルに加わる搬送力F(gf)を測定した。
μ=F×0.01(gf)/W(gf) (1)
によって摩擦係数μを求めた。
(摩擦係数保持係数Sの算出)
発明者の検討によると、紙送りローラの摩擦係数は、通紙によってローラ本体の外周面に圧着される紙粉の数の増加とともに、おおよそ図6に実線の曲線で示す経緯を辿る。すなわち、摩擦係数は、初期状態のμ0から、通紙開始とともに外周面に紙粉が圧着され始めることで急速に低下し、外周面に圧着される紙粉の数が飽和に近づくにつれて、低下が徐々に緩やかになる傾向を示す。
S1=(μ0+μa1)×a1÷2 (2)
と、通紙枚数a1枚からa2枚までの後期の面積
S2=(μa1+μa2)×(a2−a1)÷2 (3)
とを求めた。そして、式(4)
S=S1+S2 (4)
で求められる合計の面積Sを、摩擦係数保持係数として、その代償により、通紙枚数0枚からa2枚までの間、良好な通紙性能を維持できるか否かを評価することとした。
評価結果を表4に示す。なお表では、摩擦係数保持係数Sを、1/1000の数値で示している。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
6 研磨目
a1、a2 通紙枚数
μ0、μa1、μa2 摩擦係数
Claims (2)
- 弾性体からなる筒状のローラ本体を含み、前記ローラ本体の外周面は、周方向に沿う筋状の研磨目を有し、かつ前記外周面は、軸方向の表面粗さが、日本工業規格JIS B0601:2001において規定された、輪郭曲線の最大高さRz:6.3μm以上、8.6μm以下、算術平均高さRa:1.1μm以上、1.2μm以下で、かつ輪郭曲線要素の平均長さRSm:8.9μm以上、11.2μm以下である紙送りローラ。
- 前記請求項1に記載の紙送りローラを含む画像形成装置。
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