JP6955241B2 - 回転伝達機構及びそれを備えた自転車 - Google Patents
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Description
自転車の場合、足の上下運動をクランクによって回転運動に変換するため、特に上死点及び下死点においてスムーズに脚力を伝達することは困難であり、膝や足首への負担増加を招くと共に、トルクの途切れ、スピードの低下が発生し、低速で走行する場合には、ふらつきが発生し易く、走行の安定性が低下するという問題点があった。
そこで、従来から、自転車において、走行時の衝撃を吸収すること、回転効率の向上を図ること、推進力、加速を滑らかにして運転者の疲労を軽減すること等を目的として、様々な構造が検討されている。
(特許文献2)には、「第1フレーム部材に固定可能であり、内部に形成された収納空間と収納空間の内周面から内方に突出する少なくとも一つの第1突出部とを有する第1部材と、第2フレーム部材に固定可能であり第1部材の収納空間内に相対回転自在に配置され、外周面から外方に突出する第2突出部を有する第2部材と、第1部材と第2部材との間に両突出部で区画されて形成される2種の空間のうち一方に装着され、第1突出部と第2突出部とに保持されかつ内周面と外周面との少なくともいずれか一方との間に隙間をあけて配置され、両部材の相対回転により伸縮する第1弾性部材と、を備えた自転車用緩衝装置」が開示されている。
(特許文献3)には、「外周に多数の歯を備えたギヤ本体と、該ギヤ本体を支持する支持体とから成り、これらギヤ本体と支持体との間に、これらギヤ本体と支持体との一方から他方に動力を伝える動力伝達部を設けて、この動力伝達部に、ギヤ本体と支持体とを所定角度相対回転可能とする隙間を設けると共に、動力伝達部と異なる部位に、隙間を保持し、かつ、ギヤ本体と支持体との相対回転時弾性変形して、隙間を吸収し、動力伝達部からの動力伝達を可能とする弾性体を設けたことを特徴とする自転車用駆動ギヤ」が開示されている。
(特許文献4)には、「前歯車の内側周壁内に、該前歯車の回転方向と逆方向に巻装された巻バネが組み込まれて、該巻バネの作用によりペダルアームの過大踏み圧によるトルクが巻バネに蓄積され、ペダル入力の不足時には蓄積されたトルクが補足されて、ペダルによる回転効率が向上せられる構成を特徴とする自転車の動力伝達装置。」が開示されている。
(特許文献5)には、「自転車のギヤ軸に複数個のばね受け片を放射状に突設した金具を嵌着し、ばね受け片の外周縁に内周面が支えられてギヤ軸と同芯に回動する環状体を嵌装してクランクの基端部とし環状体内周面にばね押し片をばね受け片に対応するように突設し、ばね受け片とばね押し片の間にばね体を挿入配置することにより、力を受けてクランクが回転すると基端部の環状体も共にギヤ軸に先行して回転し、突設したばね押し片はばね体を圧縮し、その反力がばね受け片を押してギヤ軸を回転さすことを特徴とする自転車のクランク装置」が開示されている。
(1)(特許文献1)の自転車は、抗力に対応してペダルの回転半径を自動的に伸長させるので、クランク機構の構造が複雑になり、部品点数が増加し、動作安定性、組立作業性、量産性に欠けるという課題を有していた。
また、抗力が大きな時にペダルの回転半径を大きくすることにより、小さな入力で大きな出力を得ることができ、漕ぎ始めなどにおける負荷を低減することはできるが、ペダルの軌跡が円軌道を描くことができず、無理な漕ぎ方をする必要があるため、膝や足首などに大きな負担がかかるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)の自転車用緩衝装置は、第1フレーム部材又は第2フレーム部材に路面から衝撃が作用すると、第1部材と第2部材とが相対回転し、両突出部で区画される空間の一方に装着された第1弾性部材が両突出部に挟まれて圧縮変形して弾性復元力が発生し衝撃が吸収されるものであるが、サスペンション組立体が外側部材によって主フレーム部材に固定されているため、クランクの初動時の衝撃エネルギーを吸収して蓄積し、蓄積されたエネルギーを弾性体の復元時に回転力に変換して推進力として有効に利用することができず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化などに関しては考慮されていなかった。
(3)(特許文献3)の自転車用駆動ギヤは、踏込み開始時の駆動力による衝撃を緩和することを目的としており、弾性体を動力伝達部と異なる部位でギヤ本体と支持体との間に設け、弾性体を捩るように変形させる構造であるため、弾性体が変形し難く、エネルギーを蓄積し難いので、弾性体の復元を有効に回転力に変換することが困難で、エネルギーの有効利用性に欠けるという課題を有していた。
また、部品点数が多く、構造が複雑で量産性に欠けると共に、ギヤ本体と支持体が弾性体を介して一体化されているため、ギヤ本体や弾性体を交換することが困難であり、メンテナンス性に欠けるという課題を有していた。
(4)(特許文献4)の自転車の動力伝達装置は、ペダルの過大踏み圧によるトルクを蓄積し、蓄積されたトルクをペダル入力の不足時に補足して踏み圧入力を安定化してペダルによる回転効率の向上を図ること、推進、加速を滑らかにして疲労を軽減することを目的としているが、トルクの蓄積、補足をゼンマイ(板バネ)状バネやコイル状バネなどの巻バネによって行っているため、巻バネを巻き終わってトルクが蓄積されるまでに時間がかかり、その間はペダル軸が前歯車に対して空回りして動力を伝達することができず、著しく使用性に欠けるという課題を有していた。
また、巻バネが破損した場合、ペダル軸から前歯車に動力を伝達することができず、走行不能になるため、動力伝達の確実性、安定性に欠けるという課題を有していた。
(5)(特許文献5)の自転車のクランク装置は、クランクの基端部である環状体の内周面が、ばね受け片の外周縁に支えられているので、環状体の内周面とばね受け片の外周縁との間の摩擦力により、クランクとギヤ軸が共周りし易く、環状体をギヤ軸に先行して回転させることが困難で、ばね体を確実に圧縮することができず、動作安定性に欠け、上死点での蓄力(衝撃エネルギーの吸収)と下死点での復元が十分に行われず、回転効率や加速性の向上、回転トルクの均一化の効果が不十分であるという課題を有していた。
また、ギヤ軸の両端にクランク装置を取り付けなければならないため、部品点数が増加し、装置全体が複雑化、大型化し、省スペース性、量産性に欠けると共に、両端のクランクの位相によってギヤ軸に捩れが発生し、入力されたエネルギーの蓄力や蓄力されたエネルギーの回転力への変換を効率的に行うことができず、耐久性、動作安定性、効率性に欠けるという課題を有していた。
すなわち、(特許文献6)には、「回転軸を有する内部回転部材と前記内部回転部材の前記回転軸に回動自在に配設される外部回転部材とを有する自転車用回転伝達機構と、前記自転車用回転伝達機構の前記内部回転部材の前記両端部に180度の位相差で配設される左右のクランクアームと、前記クランクアームの端部に回動自在に配設されるペダルと、を備えた自転車であって、
前記内部回転部材が、前記回転軸と一体に形成され又は前記回転軸の外周に固設され前記回転軸の外周側に突出する1以上の外周凸部を有し、
前記外部回転部材が、前記内部回転部材の前記外周凸部の側部位置で前記回転軸に回動自在に挿設される側板部と、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記回転軸と同心円状に前記側板部の外周に立設される外筒部と、前記外筒部の内周側に突出するように前記側板部及び/又は前記外筒部と一体に形成され或いは前記側板部及び/又は前記外筒部に固定され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置される1以上の内周凸部と、を有し、
前記外部回転部材の前記側板部又は前記外筒部にチェーンリングが形設又は固設され、
前記外周凸部と前進する際の前記外周凸部の回転方向側の前記内周凸部との間に弾性変形部が配設され、前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に回転する際に、前記弾性変形部が、前記外周凸部と前記内周凸部の間に挟まれて弾性変形することを特徴とする自転車。」が開示されている。
(1)回転軸に挿通される内部回転部材と、前記内部回転部材に回動自在に配設される外部回転部材と、を備え、
前記内部回転部材は、回転軸挿通孔を有する円盤状の内部回転部材本体と、前記内部回転部材本体に一体形成され又は前記内部回転部材本体に固設され前記内部回転部材本体の外周側に突出する1つ又は複数の外周凸部と、を備え、
前記外部回転部材は、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記内部回転部材に回動自在に配設された円環部と、前記円環部の内周側に突出するように前記円環部に一体形成され又は前記円環部に固設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置された1つ又は複数の内周凸部と、を備え、
前記外周凸部と前進する際の前記外周凸部の回転方向側の前記内周凸部との間に弾性変形部が配設され、前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に回転する際に、前記弾性変形部が、前記外周凸部と前記内周凸部の間に挟まれて弾性変形する回転伝達機構であって、
前記弾性変形部は、部分的に空間が形成されていることを特徴とする。
(4)本発明の回転伝達機構の上記(1)乃至(3)のいずれか一つの構成を備えたことを特徴とする。
(回転伝達機構の構成)
まず、本発明の実施の形態1における回転伝達機構の構成について、図1〜図6を参照しながら説明する。
また、内部回転部材3は、内部回転部材本体3aに一体形成され内部回転部材本体3aの外周側に突出する5つの外周凸部3fを備えており、当該外周凸部3fの表面と裏面にはそれぞれベアリング用ボール3g,3hが回転可能に保持されている。ボール3g,3hは、外周凸部3fの径方向突出高さに対して45〜65%、好ましくは58〜62%の位置にある。
また、外部回転部材4は、円環部4bの内周側に突出するように円環部4bに一体形成され内部回転部材3の外周凸部3fと交互に配置された5つの内周凸部4dを備えている。
さらに、外部回転部材4の円環部4bの裏面側の外周部には、チェーンリング5が固設されている。
より具体的には、外周凸部3fは、回転方向側の面が回転方向と反対側の面よりも緩やかな傾きをもって形成されており、かつ、回転方向側の面と内部回転部材本体3aとの境界部分にアールがつけられている。このような形状とすることによって外周凸部3fの回転方向側の面を広くしたことにより、外周凸部3fの高さを低くすることが可能となり、回転伝達機構1の小型化を図ることができる。また、外周側に向かうにつれて弾性変形部6の圧縮距離が大きくなるため、より多くの圧縮エネルギーを蓄えることができる。
また、円環部4bの厚みを調整することにより、回転伝達機構1の回転時における遠心力を調整することができるので、回転の慣性力を調整することができる。
次に、本実施の形態における回転伝達機構1の使用例について、図7,図8をも参照しながら説明する。
クランクアーム9a,9bの端部には、回動自在なペダル(図示せず)が配設されている。
そして、クランク軸2が回転して、外周凸部3fが内周凸部4dに近づくと、弾性変形部6が、外周凸部3fと内周凸部4dの間に挟まれることによって圧縮され、入力エネルギーの一部が弾性変形部6に蓄えられる。
クランク軸2の回転の初期(図6→図8)では弾性変形部6が弾性変形するが、変形後は、クランク軸2の回転力が外周凸部3fから内周凸部4dに伝達され、クランク軸2からチェーンリング5までが略一体となって回転し、チェーンリング5に張設されたチェーン(図示せず)によって後輪側のスプロケットへと確実に回転が伝達される。
弾性変形(圧縮変形)された弾性変形部6は、ペダルからの入力が途切れたり弱まったりした時に復元し、復元エネルギーとして内周凸部4dを押圧して、外部回転部材4及びチェーンリング5を進行方向に回転させる。すなわち、弾性変形部6の圧縮(弾性)エネルギーが、回転エネルギーに変換されて、自転車の推進力として利用される。
また、本実施の形態においては、内周凸部4dが円環部4bに一体形成されている場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。内周凸部は、円環部に固設されていてもよい。
弾性変形部は、内部回転部材3と外部回転部材4が相対的に回転する際に弾性変形(圧縮変形)し、変形後は内部回転部材3と外部回転部材4の間で回転を伝達できるものであればよく、弾性変形部の形状、大きさ、変形量、弾性率などは、使用者の好みに応じて、適宜、選択することができる。弾性変形部としては、合成ゴムの他に、例えば、外周凸部3fと内周凸部4dの間に封入される気体などを用いることもできる。
図10は、本発明の実施の形態1の応用例における回転伝達機構の、カバー部を取り外した状態を示す表面図である。(a)は、弾性変形部が弾性変形(圧縮変形)されていない状態を示す表面図である。(b)は、弾性変形部が弾性変形(圧縮変形)された状態を示す表面図である。
図10に示す例では、空間6aは、弾性変形部6Aの略中央において、クランク軸2と同一の方向に延びる貫通孔である。空間6aの大きさは、所望する弾性変形部6Aを弾性変形(圧縮変形)させる力(回転伝達機構1Aを回転させるときの負荷)に応じて、調整してもよい。例えば、空間6aの面積(クランク軸2が延びる方向から見て)は、弾性変形部6Aの面積に対して、20%以上かつ5平方cm以下にする。空間6aが存在しない場合の弾性変形部6Aは、圧縮時に全体が圧縮されるが、空間6aが存在することで、圧縮時に弾性変形部6Aが部分的に応力を受けることになる。従って弾性変形部6Aの面積に占める空間の大きさが大きいと軽量化のメリットが増す反面、大きすぎると、上記応力による変形が大きくなりすぎ、弾性変形部6Aの劣化の要因となりうる。また弾性変形部6Aの断面積が大きすぎると、圧縮時に内部に空気を閉じ込めることができなくなる。この回転伝達機構1を自転車に適用した場合、こぐ際の通常の回転速度から、0.1秒程度空気を閉じ込めれば十分であり、そのために開口面積は5平方cm以下、望ましくは3平方cm以下とするとよい。さらに、空間6aの内部に、弾性変形部6Aとは弾性率が異なる部材を挿入してもよい。
なお、空間6aは、貫通孔に限らず、弾性変形部6Aが部分的に欠き込まれた穴等や凹部形状であってもよい。この場合は、圧縮されたときに内部に空気が閉じ込められやすく、空気自体を弾性変形する媒体として機能させやすい。
(回転伝達機構の構成)
次に、本発明の実施の形態2における回転伝達機構の構成について、図11〜図13を参照しながら説明する。
また、内部回転部材3’は、内部回転部材本体3aに一体形成され内部回転部材本体3aの外周側に突出する5つの外周凸部3fを備えており、当該外周凸部3fの表面と裏面にはそれぞれベアリング用ボール3g,3hが回転可能に保持されている(図4,図5参照)。
次に、本実施の形態における回転伝達機構12の使用例について、図14,図15をも参照しながら説明する。
図14,図15に示すように、電動アシスト自転車のモータ駆動ユニット13には、左右に貫通した状態で回転軸としてのクランク軸14が回動自在に保持されている。クランク軸14の右側端部には、内部回転部材3’のスプライン穴3’dと嵌合するスプライン14aがクランク軸14と同心状に固着されており、当該スプライン14aに内部回転部材3’のスプライン穴3’dを挿通することにより、クランク軸14の右側端部に回転伝達機構12が装着されている。また、クランク軸14の左右両端には、クランクアーム15a,15bが互いに180度の位相差をもって固定されている。図14,図15中、参照符号16は、クランク軸14にクランクアーム15a,15bを固定するためのクランクアーム固定部材である。
クランクアーム15a,15bの端部には、回動自在なペダル(図示せず)が配設されている。
(回転伝達機構の構成)
次に、本発明の実施の形態3における回転伝達機構の構成について、図16〜図19を参照しながら説明する。
また、内部回転部材18は、内部回転部材本体18aに一体形成され内部回転部材本体18aの外周側に突出する6つの外周凸部18fを備えており、当該外周凸部18fの表面と裏面にはそれぞれベアリング用ボール18g,18hが回転可能に保持されている。ボール18g,18hは、外周凸部18fの径方向突出高さに対して45〜65%、好ましくは58〜62%の位置にある。
また、外部回転部材19は、円環部19bの内周側に突出するように円環部19bに一体形成され内部回転部材18の外周凸部18fと交互に配置された6つの内周凸部19dを備えている。側板部19aとカバー部19cは、内周凸部19dにネジ留め固定されている。
さらに、外部回転部材19の円環部19bの裏面側の外周部には、チェーンリング20が固設されている。
より具体的には、外周凸部18fは、回転方向側の面が回転方向と反対側の面よりも緩やかな傾きをもって形成されており、かつ、回転方向側の面と内部回転部材本体18aとの境界部分にアールがつけられている。このような形状とすることによって外周凸部18fの回転方向側の面を広くしたことにより、外周凸部18fの高さを低くすることが可能となり、回転伝達機構17の小型化を図ることができる。また、外周側に向かうにつれて弾性変形部21の圧縮距離が大きくなるため、より多くの圧縮エネルギーを蓄えることができる。
次に、本実施の形態における回転伝達機構17の使用例について、図20〜図22をも参照しながら説明する。
図20,図21に示すように、電動アシスト自転車のモータ駆動ユニット13には、左右に貫通した状態で回転軸としてのクランク軸14が回動自在に保持されている。クランク軸14の右側端部には、内部回転部材18のスプライン穴18eと嵌合するスプライン14aがクランク軸14と同心状に固着されており、当該スプライン14aに内部回転部材18のスプライン穴18eを挿通することにより、クランク軸14の右側端部に回転伝達機構17が装着されている。また、クランク軸14の左右両端には、クランクアーム15a,15bが互いに180度の位相差をもって固定されている。図20,図21中、参照符号16は、クランク軸14にクランクアーム15a,15bを固定するためのクランクアーム固定部材である。
クランクアーム15a,15bの端部には、回動自在なペダル(図示せず)が配設されている。
そして、クランク軸14が回転して、外周凸部18fが内周凸部19dに近づくと、弾性変形部21が、外周凸部18fと内周凸部19dの間に挟まれることによって圧縮され、入力エネルギーの一部が弾性変形部21に蓄えられる。
クランク軸14の回転の初期(図19→図22)では弾性変形部21が弾性変形するが、変形後は、クランク軸14の回転力が外周凸部18fから内周凸部19dに伝達され、クランク軸14からチェーンリング20までが略一体となって回転し、チェーンリング20に張設されたチェーン(図示せず)によって後輪側のスプロケットへと確実に回転が伝達される。
弾性変形(圧縮変形)された弾性変形部21は、ペダルからの入力が途切れたり弱まったりした時に復元し、復元エネルギーとして内周凸部19dを押圧して、外部回転部材19及びチェーンリング20を進行方向に回転させる。すなわち、弾性変形部21の圧縮(弾性)エネルギーが、回転エネルギーに変換されて、電動アシスト自転車の推進力として利用される。
また、本実施の形態においては、内周凸部19dが円環部19bに一体形成されている場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。内周凸部は、円環部に固設されていてもよい。
弾性変形部は、内部回転部材18と外部回転部材19が相対的に回転する際に弾性変形(圧縮変形)し、変形後は内部回転部材18と外部回転部材19の間で回転を伝達できるものであればよく、弾性変形部の変形量、弾性率などは、使用者の好みに応じて、適宜、選択することができる。弾性変形部としては、合成ゴムの他に、例えば、外周凸部18fと内周凸部19dの間に封入される気体などを用いることもできる。
(回転伝達機構の構成)
次に、本発明の実施の形態4における回転伝達機構の構成について、図23を参照しながら説明する。
また、内部回転部材23は、内部回転部材本体23aに一体形成され内部回転部材本体23aの外周側に突出する5つの外周凸部23fを備えており、当該外周凸部23fの表面と裏面にはそれぞれベアリング用ボール(図示せず)回転可能に保持されている。
外周凸部23fは、回転方向側の面が回転方向と反対側の面よりも緩やかな傾きをもって形成されており、かつ、回転方向側の面と内部回転部材本体23aとの境界部分にアールがつけられている。
また、外部回転部材24は、円環部24bの内周側に突出するように円環部24bに一体形成され内部回転部材23の外周凸部23fと交互に配置された5つの内周凸部24dを備えている。側板部24aとカバー部は、内周凸部24dにネジ留め固定されている。
さらに、外部回転部材24の円環部24bの裏面側の外周部には、チェーンリング25が固設されている。
永久磁石Bは、電磁石Aと対向する側の磁極がS極となるように内周凸部24dに取り付けられている。
電磁石Aは、永久磁石Bと対向する側の極性をN極とS極で切り替えることができるようにされている。磁極の切り替えは、例えば、流す電流の向きを変えることによって実現することができる。また、磁極の切り替えは、例えば、クランク軸が止まったタイミングで行われ、クランク軸が止まったかどうかの判断は、例えば、電動アシスト自転車のモータ駆動ユニットに内蔵されるトルクセンサを用いて行うことができる。
次に、本実施の形態における回転伝達機構22の動作について、図24をも参照しながら説明する。ここでは、例えば、当該回転伝達機構22を自転車のクランク軸に装着した場合を例に挙げて説明する。
クランク軸の回転が止まると、トルクセンサがこれを検出する。そして、トルクセンサから電流制御部に信号が送られ、当該電流制御部により、電磁石Aに流れる電流の向きが変えられて、電磁石Aの、永久磁石Bと対向する側の極性がS極からN極に切り替えられる(図24(1)参照)。その結果、電磁石Aが取り付けられた外周凸部23fが永久磁石Bが取り付けられた内周凸部24dに近づいていき、電磁石Aが取り付けられた外周凸部23fが永久磁石Bが取り付けられた内周凸部24dに当接する(電磁石AのN極と永久磁石BのS極がくっつく)。このとき、クランク軸は、内部回転部材23と共に一旦回転した後、停止する。
クランク軸の回転が止まると、トルクセンサがこれを検出する。そして、トルクセンサから電流制御部に信号が送られ、当該電流制御部により、電磁石Aに流れる電流の向きが変えられて、電磁石Aの、永久磁石Bと対向する側の極性がN極からS極に切り替えられる(図24(2)参照)。その結果、図24(3)に示すように、永久磁石Bが取り付けられた内周凸部24dが電磁石Aが取り付けられた外周凸部23fから離れていく(電磁石AのS極と永久磁石BのS極が反発し合う)(図24(3)の矢印d参照)。これにより、外部回転部材24が回転し、当該外部回転部材24は、内周凸部24dが外周凸部23fに当接した状態で内部回転部材23(クランク軸)と共に更に回転した後、停止する。
以上の動作が繰り返されて、外部回転部材24からチェーンリング25までが略一体となって回転し、チェーンリング25に張設されたチェーン(図示せず)によって後輪側のスプロケットへと回転が伝達される。
また、本実施の形態においては、内周凸部24dが円環部24bに一体形成されている場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。内周凸部は、円環部に固設されていてもよい。
さらに、外周凸部23fの回転方向と反対側の面にエラストマ等からなる弾性部材27を取り付けて、ダンパ効果を持たせるようにしてもよい。この弾性部材27には、上述した空間6aを設けてもよい。
2,14 クランク軸(回転軸)
3,18,23 内部回転部材
3a,18a,23a 内部回転部材本体
3b,3c,18b,18c,23b,23c 凸部
3d 圧入用凹部
3’d,18e スプライン穴
3e,18d,23d クランク軸挿通孔
3f,18f,23f 外周凸部
3g,3h,18g,18h ベアリング用ボール
4,19,24 外部回転部材
4a,19a,24a 側板部
4b,19b,24b 円環部
4c,19c,24d カバー部
4d,19d 内周凸部
5,20,25 チェーンリング
6,6A,21 弾性変形部
6a 空間
14a スプライン
A 電磁石
B 永久磁石
Claims (4)
- 回転軸に挿通される内部回転部材と、前記内部回転部材に回動自在に配設される外部回転部材と、を備え、
前記内部回転部材は、回転軸挿通孔を有する円盤状の内部回転部材本体と、前記内部回転部材本体に一体形成され又は前記内部回転部材本体に固設され前記内部回転部材本体の外周側に突出する1つ又は複数の外周凸部と、を備え、
前記外部回転部材は、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記内部回転部材に回動自在に配設された円環部と、前記円環部の内周側に突出するように前記円環部に一体形成され又は前記円環部に固設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置された1つ又は複数の内周凸部と、を備え、
前記外周凸部と前進する際の前記外周凸部の回転方向側の前記内周凸部との間に合成ゴム製の弾性変形部が配設され、前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に回転する際に、前記合成ゴム製の弾性変形部が、前記外周凸部と前記内周凸部の間に挟まれて弾性変形する回転伝達機構であって、
前記合成ゴム製の弾性変形部は、部分的に空間が形成され、
前記外周凸部は、回転方向側の面が回転方向と反対側の面よりも緩やかな傾きをもって形成されており、かつ、回転方向側の面と前記内部回転部材本体との境界部分にアールがつけられている、回転伝達機構。 - 回転軸に挿通される内部回転部材と、前記内部回転部材に回動自在に配設される外部回転部材と、を備え、
前記内部回転部材は、回転軸挿通孔を有する円盤状の内部回転部材本体と、前記内部回転部材本体に一体形成され又は前記内部回転部材本体に固設され前記内部回転部材本体の外周側に突出する1つ又は複数の外周凸部と、を備え、
前記外部回転部材は、前記内部回転部材の前記外周凸部の外側で前記内部回転部材に回動自在に配設された円環部と、前記円環部の内周側に突出するように前記円環部に一体形成され又は前記円環部に固設され前記内部回転部材の前記外周凸部と交互に配置された1つ又は複数の内周凸部と、を備え、
前記外周凸部と前進する際の前記外周凸部の回転方向側の前記内周凸部との間に合成ゴム製の弾性変形部が配設され、前記内部回転部材と前記外部回転部材が相対的に回転する際に、前記合成ゴム製の弾性変形部が、前記外周凸部と前記内周凸部の間に挟まれて弾性変形する回転伝達機構であって、
前記合成ゴム製の弾性変形部は、部分的に空間が形成されている回転伝達機構。 - 前記合成ゴム製の弾性変形部の側方への変形は、側板部とカバー部とにより挟み込むことで、前記空間が、略密封状態となる請求項1に記載の回転伝達機構。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転伝達機構を備えた自転車。
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