JP6954731B2 - 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法 - Google Patents

酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6954731B2
JP6954731B2 JP2016204066A JP2016204066A JP6954731B2 JP 6954731 B2 JP6954731 B2 JP 6954731B2 JP 2016204066 A JP2016204066 A JP 2016204066A JP 2016204066 A JP2016204066 A JP 2016204066A JP 6954731 B2 JP6954731 B2 JP 6954731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
milk
acid
producing
coagulable
protein concentrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016204066A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018064481A (ja
Inventor
成子 金子
成子 金子
淳平 斎藤
淳平 斎藤
隆之 久保田
隆之 久保田
誠二 長岡
誠二 長岡
浩 越膳
浩 越膳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Co Ltd
Original Assignee
Meiji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Co Ltd filed Critical Meiji Co Ltd
Priority to JP2016204066A priority Critical patent/JP6954731B2/ja
Publication of JP2018064481A publication Critical patent/JP2018064481A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6954731B2 publication Critical patent/JP6954731B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)

Description

本発明は、酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法に関する。
発酵乳(ヨーグルト、チーズ)等の乳食品(乳製品)は、原料乳のタンパク質が酸により凝固する性質(酸凝固性)を利用した食品である。この酸凝固性の乳食品のうち、チーズを製造するための原材料として、乳タンパク質濃縮物を使用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、食感や物性等にすぐれた酸凝固性の乳食品を提供することが常に求められており、また、酸凝固性の乳食品を製造するために好適な乳タンパク質濃縮物を提供することが求められている。
特表2006−528487号公報
本発明の目的は、食感や物性等にすぐれた酸凝固性の乳食品を製造するための新規な方法を提供することにある。
本発明によれば、以下の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法等を提供できる。
1.酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法であって、次の工程:
(a)原料乳を提供する工程;
(b)前記原料乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;及び
(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程
を含む前記製造方法。
2.さらに次の工程:
(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程
を含む、1に記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
3.前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、1又は2に記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
4.前記工程(b)を10℃以下で行う、1〜3のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
5.前記工程(c)において、分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いる、1〜4のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
6.酸凝固性の乳食品の製造方法であって、次の工程:
(a)原料乳を提供する工程;
(b)前記原料乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;
(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;
(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程;
(e)前記乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する工程;及び
(f)前記調合乳を酸凝固させて、酸凝固性の乳食品を製造する工程
を含む、酸凝固性の乳食品の製造方法。
7.前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、6に記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
8.前記工程(b)を10℃以下で行う、6又は7に記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
9.前記工程(c)において、分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いる、6〜8のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
10.前記工程(f)において、有機酸を用いる、6〜9のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
11.前記工程(f)において、乳酸菌を用いる、6〜10のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
12.前記酸凝固性乳食品が発酵乳である、11に記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
本発明によれば、食感や物性等にすぐれた酸凝固性の乳食品を製造するための新規な方法を提供することができる。
実施例2及び比較例2で製造された発酵乳の静置離水量を示す図である。 実施例2及び比較例2で製造された発酵乳の食感のなめらかさを示す図である。
本発明において、酸凝固性の乳食品とは、動物の乳を含む原材料に酸を加えて凝固(酸凝固)させることにより製造される食品をいうものとする。酸凝固とは、動物の乳のタンパク質が酸により凝固する現象をいう。動物の乳とは、例えば、牛、水牛、ヤギ、羊、馬等の乳が挙げられる。このとき、牛の乳は、比較的に安価で多量に入手できるため、経済的に有利であって好ましい。また、本発明において、酸凝固性の乳食品とは、例えば、乳酸菌及び/又は酵母を用いて凝固(発酵)させる発酵乳(ヨーグルト、チーズ(当業界において、一般的にチーズ様食品と呼ばれるチーズ類似物を含む))等が挙げられる。
[酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法]
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法は、次の工程:(a)脱脂乳を提供する工程;(b)前記脱脂乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;及び(c)前記脱脂乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法にしたがって製造される乳タンパク質濃縮物は、熱安定性にすぐれ、酸凝固性の乳食品を製造するための原材料として好適である。本発明の製造方法にしたがって製造される乳タンパク質濃縮物を用いることにより、食感や物性等にすぐれた酸凝固性の乳食品を製造できる。
以下、各工程について説明する。
工程(a):原料乳提供工程
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、工程(a)において、原料乳を提供する。原料乳は、例えば、生乳(全脂乳)、脱脂乳であり、生乳を遠心分離処理や膜分離処理することにより提供される脱脂乳であることが好ましい。遠心分離処理や膜分離処理の条件は、特に限定されず、適宜決定することができる。ここで、遠心分離処理では、例えば、生乳を50℃〜60℃に保ちながら、重量加速度を1500〜6000Gに設定すると、脱脂乳とクリームを安定的に分離しやすくて好ましい。また、膜分離処理では、例えば、生乳を5℃〜10℃に保ちながら、セラミック製の精密濾過(MF)膜を用いると、脱脂乳とクリームを安定的に分離しやすくて好ましい。なお、遠心分離処理や膜分離処理した後には、脱脂乳の品質を保持する観点から、脱脂乳を1〜5℃に保つことが好ましい。
工程(b):酸性域へのpH調整工程
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、工程(a)に続いて、工程(b)において、原料乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する。工程(b)において、原料乳のpHを、5.5〜6.0に調整することが好ましく、5.5〜5.8に調整することがより好ましい。
リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される特定のpH調整剤を用いて、原料乳のpHを、5.5〜6.2の特定の酸性域に調整することにより、原料乳のカゼイン等に結合したカルシウムを効率的に遊離(イオン化)させ、工程(b)に続いて、工程(c)において、限外濾過処理により、乳タンパク質成分とカルシウムを分離できる。また、リン酸及びリン酸塩を用いて、原料乳のpHを調整することにより、多量のミセル化カゼインを含む乳濃縮物を製造することができる。例えば、このような乳濃縮物から酸凝固性の乳食品を製造すると、食感がなめらかで、物性が離水しにくく、弾力性がある組織を形成することができる。
本発明において、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される特定のpH調整剤は、1種を単独で使用してもよく、又は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明において、リン酸塩は、食品添加物として認められているリン酸塩であればよく、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が挙げられる。本発明において、リン酸及びリン酸塩は、例えば、水溶液の形態で使用でき、この水溶液の濃度は、特に限定されず、適宜調整すればよい。
工程(b)において、原料乳の品質を保持する観点などから、原料乳のpHの調整では、例えば、1〜10℃で行われ、1〜5℃で行われることが好ましい。
工程(c):限外濾過処理工程
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、工程(b)に続いて、工程(c)において、原料乳を限外濾過(UF)処理して、乳タンパク質濃縮物を得る。原料乳を限外濾過処理することにより、原料乳の乳タンパク質(成分)と乳糖、ミネラル等を分離し、乳タンパク質(成分)を濃縮できる。
工程(c)において、限外濾過(UF)膜の分画分子量は、例えば、8〜12kDaであり、8〜11kDaが好ましく、9〜11kDaがより好ましい。また、工程(c)において、原料乳の濃縮倍率は、例えば、2.5〜5倍であり、2.5〜4倍が好ましく、3〜4倍がより好ましくは、3〜3.5倍がさらに好ましい。
工程(d):中性域へのpH調整工程
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、さらに次の工程:(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7.0に調整する工程を含むことが好ましい。乳タンパク質濃縮物のpHを、6.3〜7.0の特定の中性域に調整することにより、乳タンパク質濃縮物の品質を安定化して、熱安定性にすぐれた状態を維持できる。
乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7.0に調整するためのpH調整剤は、特に限定されず、任意のものを使用できる。かかるpH調整剤は、1種を単独で使用してもよく、又は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法にしたがって製造される乳タンパク質濃縮物は、熱安定性にすぐれ、酸凝固性の乳食品を製造するための原材料として好適である。また、本発明の製造方法にしたがって製造される乳タンパク質濃縮物は、上記の各工程を経た液体の形態で使用してもよく、又は、上記の各工程の後に濃縮や乾燥させて、液体や固体の形態で使用してもよい。
[酸凝固性乳食品の製造方法]
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法は、次の工程:(a)原料乳を提供する工程;(b)前記原料乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7.0に調整する工程;(e)前記乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する工程;及び(f)前記調合乳を酸凝固させて、酸凝固性の乳食品を製造する工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法にしたがって製造される酸凝固性の乳食品は、食感や物性等にすぐれている。特に、本発明の製造方法にしたがって製造される発酵乳は、静置離水量が少なく、なめらかな食感を有する。
以下、各工程について説明する。
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法において、工程(a)〜工程(d)は、上記で説明した本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法における工程(a)〜工程(d)とそれぞれ同じである。
工程(e):調合乳調製工程
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法では、工程(d)に続いて、工程(e)において、乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する。これにより、酸凝固性の乳食品を製造するための原材料である調合乳が提供される。
本発明において、調合乳とは、酸凝固性の乳食品を製造するための原材料であって、乳タンパク質濃縮物を含む液体である。ここで、調合乳は、乳タンパク質濃縮物を含むほか、目的とする酸凝固性の乳食品を構成するための任意の副原料を含んでもよい。これらの副原料は、特に限定されず、適宜選定することができる。これらの副原料は、例えば、一般的な乳製品に配合される成分である酸味料、野菜や果物や種実、野菜汁や果物汁や種実汁、野菜や果物や種実のエキス、ビタミン、ミネラル、ペプチドやアミノ酸等などの栄養成分を含む素材、乳酸菌、ビフィズス菌、プロピオン酸菌等の有用な微生物、有用な微生物の培養物、有用な微生物の発酵物、ローヤルゼリー、グルコサミン、アスタキサンチン、ポリフェノール等の既存の機能性素材、香料、pH調整剤、賦形剤、酸味料、着色料、乳化剤、保存料等が挙げられる。また、調合乳は、例えば、酸化防止剤、pH調整剤、賦形剤、酸味料、着色料、乳化剤、保存料等の任意の食品添加剤を含んでもよい。
工程(f):酸凝固工程
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法では、工程(e)に続いて、工程(f)において、調合乳を酸凝固させて、酸凝固性の乳食品を製造する。調合乳の酸凝固では、有機酸を用いることによって行ってもよく、又は、乳酸菌等の微生物を用いることによって行ってもよい。
本発明において、有機酸とは、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸等が挙げられる。有機酸の濃度、添加量等は、特に限定されず、適宜決定することができる。有機酸を使用して製造される酸凝固性の乳食品とは、例えば、チーズ(例えば、フレッシュチーズ)等が挙げられる。
本発明において、乳酸菌とは、例えば、ラクトバチルス属、ワイセラ属等の乳酸桿菌、ペディオコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属等の乳酸球菌等が挙げられる。また、乳酸菌に加えて、ビフィズス菌、プロピオン酸菌等を使用することができる。乳酸菌の種類は、特に限定されず、適宜選定することができるが、酸凝固性の乳食品の食感や物性を向上する観点から、ラクトバチルス属とストレプトコッカス属を組合せて使用することが好ましい。乳酸菌のスターターの濃度(菌数)、添加量等は、特に限定されず、適宜決定することができる。乳酸菌を使用して製造される酸凝固性の乳食品とは、例えば、ヨーグルト、チーズ等が挙げられる。
以下、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これら実施例の記載に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で検討したパラメータの測定方法を説明する。
(熱安定性)
乳タンパク質濃縮物の熱安定性は、試料4mlを14ml容の丸底バイアル瓶に入れ密封し、130℃の油浴中で振とうしながら、目視で凝固が始まるまでの時間(熱凝固時間)を測定して評価した。
(静置離水量)
発酵乳(ヨーグルト)の静置離水量は、シャーレに32メッシュの篩をセットし、篩の上にヨーグルト70gを載せ、2時間で冷蔵保管した後にシャーレに溜まったホエイの重量を測定し、発酵乳の重量に対するホエイの重量の割合を静置離水量[重量%]とした。
(食感のなめらかさ)
発酵乳(ヨーグルト)を氷で冷却した状態で喫食し、食感のなめらかさを1〜5の5段階の点数で評価し、専門パネルの5名による平均値を求めた。点数が高いほど、よりなめらかであることを意味する。
[実施例1]
生乳を50℃にて遠心分離処理し、脂肪分を除去して脱脂乳を調製した。この脱脂乳を5℃に冷却し、リン酸水溶液(90重量%)を用いて、pHを5.6に調整し、2時間で保持した。限外濾過膜(スパイラル型膜、Koch Membrane Systems社、HpHT 3838−K131−NYV、分画分子量:10,000Da、膜面積:6.1m)2本を並列に用いて、この脱脂乳を限外濾過処理することにより、濃縮倍率を4倍に濃縮し、乳タンパク質濃縮物を調製した。2Nの水酸化ナトリウム(NaOH)と2Nの水酸化カリウム(KOH)を3:7の比率で混合した水溶液を用いて、この乳タンパク質濃縮物について、pHを6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0に調整した試料を調製し、熱凝固時間を測定した。
[比較例1]
脱脂乳について、pHを調整する際に、リン酸水溶液ではなく、塩酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして、乳タンパク質濃縮物を調製した。この乳タンパク質濃縮物について、pHを6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0に調整した試料を調製し、熱凝固時間を測定した。
pHが6.3〜7.0の各試料について、実施例1、比較例1ともに、熱安定性は良好であった。すべてのpH(pHが6.3〜7.0)において、実施例1では、比較例1より、熱凝固時間が長く、熱安定性にすぐれていた。
[実施例2]
実施例1で得られた乳タンパク質濃縮物(pHが6.7)から、固形分濃度が15重量%、タンパク質濃度が10重量%、pHが6.7の調合乳(ヨーグルトミックス)を調製し、加熱殺菌した。加熱殺菌は、ジャケット付きのタンクを用いて、回分式に95℃・達温で行うか、あるいは、プレート式熱交換機(Powerpoint International社製)を用いて、連続式に130℃・2秒間で行った。加熱殺菌した原料乳を43℃に冷却し、乳酸菌スターター(株式会社明治製「明治ブルガリアフルーツヨーグルト」から分離した)を2重量%の量で添加してから、酸度が1.3〜1.5%になるように、43℃・5.5時間で発酵させて、ヨーグルト(発酵乳)を製造した。このヨーグルトについて、静置離水量、食感のなめらかさを評価した。結果を図1〜図2に示す。
[比較例2]
比較例1で得られた乳タンパク質濃縮物(pHが6.7)から、固形分濃度が15重量%、タンパク質濃度が10重量%、pHが6.7の調合乳(ヨーグルトミックス)を調製し、実施例1と同様にして、加熱殺菌した。加熱殺菌した原料乳を43℃に冷却し、乳酸菌スターター(株式会社明治製「明治ブルガリアフルーツヨーグルト」から分離した)を2重量%の量で添加してから、酸度が1.3〜1.5%になるように、43℃・5時間で発酵させて、ヨーグルト(発酵乳)を製造した。このヨーグルトについて、静置離水量、食感のなめらかさを評価した。結果を図1〜図2に示す。
95℃及び130℃の加熱殺菌条件において、実施例2では、比較例2より、発酵乳の静置離水量が著しく少なく、物性が安定していた。また、95℃及び130℃の加熱殺菌条件において、実施例2では、比較例2より、発酵乳の食感のなめらかさが良好であった。
本発明によれば、熱安定性にすぐれ、酸凝固性の乳食品を製造するための原材料として好適な、乳タンパク質濃縮物を製造できる。また、本発明によれば、食感と物性等にすぐれた酸凝固性の乳食品を製造できる。

Claims (6)

  1. 酸凝固性のヨーグルト用の乳タンパク質濃縮物の製造方法であって、次の工程:
    (a)原料乳を提供する工程;
    (b)前記原料乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;
    (c)分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いて前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;及び
    (d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程
    を含み、
    前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する前記製造方法。
  2. 前記工程(b)を10℃以下で行う、請求項1に記載の酸凝固性のヨーグルト用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
  3. 酸凝固性のヨーグルトの製造方法であって、次の工程:
    (a)原料乳を提供する工程;
    (b)前記原料乳のpHを、リン酸及びリン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;
    (c)分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いて前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;
    (d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程;
    (e)前記乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する工程;及び
    (f)前記調合乳を酸凝固させて、酸凝固性のヨーグルトを製造する工程を含む、酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
  4. 前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、請求項に記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
  5. 前記工程(b)を10℃以下で行う、請求項又はに記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
  6. 前記工程(f)において、乳酸菌を用いる、請求項のいずれかに記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
JP2016204066A 2016-10-18 2016-10-18 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法 Active JP6954731B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016204066A JP6954731B2 (ja) 2016-10-18 2016-10-18 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016204066A JP6954731B2 (ja) 2016-10-18 2016-10-18 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018064481A JP2018064481A (ja) 2018-04-26
JP6954731B2 true JP6954731B2 (ja) 2021-10-27

Family

ID=62085173

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016204066A Active JP6954731B2 (ja) 2016-10-18 2016-10-18 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6954731B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0755630A1 (en) * 1995-07-28 1997-01-29 KRAFT JACOBS SUCHARD R & D, INC. Acidified ultrafiltration concentrates as raw material for the production of processed cheese
CA2287708A1 (en) * 1998-10-27 2000-04-27 Kraft Foods, Inc. Continuous manufacture of process cheese
US6177118B1 (en) * 1998-11-06 2001-01-23 New Zealand Milk Products (North America) Inc. Methods for producing cheese and cheese products
NZ501676A (en) * 1999-12-09 2002-12-20 New Zealand Dairy Board Calcium-depleted milk protein products and use in cheese manufacture to reduce nugget-formation
US20050202134A1 (en) * 2004-03-12 2005-09-15 Land O'lakes, Inc. Process for the manufacture of cheese base and the products made therefrom
NZ549470A (en) * 2006-08-28 2009-01-31 Fonterra Co Operative Group Dairy product and process

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018064481A (ja) 2018-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101998891B1 (ko) 치즈 및 그의 제조
JP5421123B2 (ja) 新規なドリンクヨーグルトおよびその製造方法
EP2451292B1 (en) A drinkable acidified dairy product based on acid whey and a process of preparing it
KR100588922B1 (ko) 치즈 및 치즈제품의 제조방법
US3937843A (en) Bean-odor-free soy bean product and its production
CN108697110B (zh) 奶制品和方法
JP2010512798A (ja) 酪農調合物及びその製法
US11672257B2 (en) Methods for making high-protein greek yogurt using membrane systems before and after fermentation
RU2689723C2 (ru) Концентрат белка молочной сыворотки, кисломолочный продукт, содержащий концентрат, и способы
WO2009150183A1 (en) Micellar casein powders with different levels of calcium and cheeses prepared therefrom
EP3125698A1 (en) Protein products and methods for producing them
JP2018074913A (ja) 濃厚な発酵乳およびその製造方法
US20170013853A1 (en) Smooth cottage cheese and cottage cheese product, process and method
JP2018074911A (ja) 濃厚な発酵乳およびその製造方法
RU2383140C2 (ru) Способ производства сырного продукта
JP6954731B2 (ja) 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法
JP6954732B2 (ja) 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法
WO2012147906A1 (ja) ホエイを利用した乳加工食品およびその製造方法
US20170332653A1 (en) Process of manufacturing milk curd and cheese by direct chemical acidification
JP6047638B2 (ja) クリームチーズの製造方法
CA2897604C (en) Smooth cottage cheese and cottage cheese product, process and method
Attia et al. Impact of Adding Whey Protein Concentrate to Goats Milk on the Properties of yoghurt
JP2023146243A (ja) 発酵乳および発酵乳様の酸性ゲルの製造方法
KR20220155318A (ko) 신규한 고단백질, 산성화된 유제품, 이의 생산 방법 및 산성화된 유제품을 생산하기 위한 신규한 유청 단백질 분말
KR20210055266A (ko) 천연치즈 및 가공치즈 등 다양한 치즈 및 치즈 상품에 관한 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190930

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200825

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210406

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6954731

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150