JP6953702B2 - 分離および培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、標的細胞を含む生物試料から当該標的細胞を分離、培養する方法に関する。特に本発明は、前記生物試料から比重分離によって標的細胞を濃縮し、低張な溶液で標的細胞以外の成分を除去した後、高度に濃縮された標的細胞を培養する方法に関する。
がん研究分野において、がん細胞を生体外で増殖、維持させるため、種々の細胞培養技術が開発されてきている。細胞培養は、組織や体液などから分離した細胞を培地中で生体外にて増殖、分化または維持する技術であり、生体内の細胞、特にがん細胞の機能、悪性度や構造等を詳細に解析するために重要な技術である。このような培養細胞は、化学物質、医薬品等の薬効、毒性評価や、酵素、細胞増殖因子、抗体等の有用物質の大量生産に例示される様々な分野で利用されている(特許文献1)。特にがん研究では、一般的に継代培養可能な癌細胞株が用いられており、例えば、ヒト乳癌細胞株(MDF7、MDA−M
B−231、SKBR−3、T−47D)、ヒト肺癌細胞株(A549、H1975、PC9)、ヒト大腸癌細胞株(HCT−116、HT29、WiDr)及びヒト前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP)が挙げられる。
一方で癌患者由来のがん細胞を培養する技術が有望とされ、様々な生物標本から培養株を確立し、診断や治療の標的となる細胞内外の分子(バイオマーカー)の探索・同定へ利用するための手法開発が進められている(特許文献2)。
国際公開WO2012/046797号 特表2009−529880号公報
原発巣のがん細胞が血管内に浸潤した血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell,CTC)は、末梢血流またはリンパ液を介し遠隔臓器への転移に関与していることが報告されており、転移メカニズムの解明、治療ターゲットなどの探索のため、CTCの分離および性状解析が進められている。しかしながら、CTCはがん患者の血液1mL(血球細胞数約50億個)に数個から数十個程度しか存在していない希少な細胞であることが、その性状解明を困難にしている(Cristofanilli M et. al.,N Engl J Med,351(8),781−791(2004))。希少細胞の解析のため、血液試料から標的細胞以外の成分を除去することで得たCTCの濃縮液をマウスへ接種することで増殖、腫瘍形成させる方法が提案されている(Laure Cayefourcq et. al.,Cancer Res,75(5),892−901(2015))。また血液中のマクロファージの分離、培養においては、標的細胞以外の成分(赤血球、白血球)の除去手法や混入細胞自体が、標的細胞(マクロファージ)の高純度培養に悪影響を及ぼす。したがって、標的細胞へのダメージを軽減しながら、標的細胞以外の成分を浸透圧ショックによって破壊する方法が提案されている(特表平10−502257号公報)。
しかしながら、これらの方法は分離操作が煩雑であり、培養開始までに時間を要することから細胞の生存活性が低下すること、また混入する標的細胞以外の成分が生育阻害の原因となることから希少細胞の効率的な培養には不適であるという課題があった。
そこで本発明の目的は、生物試料中の標的細胞を効率的に分離し、培養する方法を提供することにある。
前記目的に鑑みて完成された本発明は、標的細胞を短時間で効率的に濃縮した後、低張な溶液で標的細胞以外の成分を除去することにより、高度に濃縮された態様で標的細胞を分離すること、及び前記分離した標的細胞を培養することを特徴とする。
すなわち本発明の第一の態様は、生物試料中の標的細胞の分離方法であって、生物試料から標的細胞を濃縮して濃縮液を得る第一工程と、前記第一工程で得られた濃縮液を低張な溶液で処理する第二工程と、を備えることを特徴とする、前記分離方法である。
また本発明の第二の態様は、前記第一工程が、生物試料中の標的細胞と標的細胞以外の成分との間の比重差を用いて濃縮する工程であることを特徴とする、前記第一の態様に記載の分離方法である。
また本発明の第三の態様は、前記生物試料が血液試料であることを特徴とする、前記第一又は第二の態様に記載の分離方法である。
また本発明の第四の態様は、前記低張な溶液が純水であることを特徴とする、前記第一から第三の態様のいずれか一態様に記載の分離方法である。
さらに本発明の第五の態様は、前記第二工程の後、標的細胞を培養することを特徴とする、前記第一から第四の態様のいずれか一態様に記載の分離方法で分離した標的細胞の培養方法である。
なお本発明の第五の態様の具体例として、前記第二工程の後、標的細胞を、前記標的細胞の相互作用に関わる因子若しくは前記標的細胞の性質に関連する因子を被覆した基材又はこれら因子を含む培養液を用いて培養することを特徴とする、前記第一から第四の態様のいずれか一態様に記載の分離方法で分離した標的細胞の培養方法があげられる。
また本発明の第六の態様は、標的細胞を実験動物に移植して培養することを特徴とする、前記第五の態様に記載の培養方法である。
本発明は、標的細胞を短時間で効率的に濃縮した後、低張な溶液、特に純水を使用することで標的細胞以外の成分を除去することにより、高度に濃縮された態様で標的細胞を分離すること、及び前記分離した標的細胞を培養することを特徴とする。本発明の方法は、標的細胞へのダメージを低減しながら標的細胞以外の成分を排除することで高度に濃縮された標的細胞を得ることができるため、標的細胞が培養プレートに、より接着することが可能なことから、効率的な培養が可能となる。
本発明の分離方法で使用可能な、細胞を濃縮するための分離構造体を説明するための図である。 図1に示す分離構造体を用いた細胞濃縮工程(本発明における第一工程)を説明するための図である。 図1に示す分離構造体を用いた細胞濃縮工程(本発明における第一工程)を説明するための図である。 実施例1の結果(細胞の増殖)を説明するための図である。 実施例2の結果(細胞の増殖)を説明するための図である。 比較例1の結果(細胞の増殖)を説明するための図である。 実施例3の結果(細胞の増殖)を説明するための図である。 実施例4の結果(細胞の増殖)を説明するための図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において生物試料とは、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、髄液、腹水、羊水等の生体試料、細胞の凝集物、腫瘍、リンパ節、動脈等の器官や組織に由来する試料、細胞培養物、組織培養物等の培養試料、海水、下水等の環境試料が例示できる。
本発明において標的細胞とは、生物試料から抽出された任意の細胞を指し、白血球、血管内皮細胞、血中循環内皮前駆細胞、幹細胞、がん細胞、グラム陰性菌、ブドウ球菌、髄膜炎菌が例示できる。癌の早期診断や転移診断に本発明を適用する場合は、主に癌細胞を標的細胞とすることが好ましく、急性白血病の診断に本発明を適用する場合は、白血病細胞を標的細胞とすることが好ましい。また微生物等単細胞生物の培養液中に含まれる当該単細胞生物を標的細胞としてもよい。
本発明において、生物試料から標的細胞を濃縮して濃縮液を得る工程(第一工程)は、生物試料から標的細胞以外の成分(細胞等)を除去することで標的細胞をより選択的に濃縮できれば特に制限はない。例えば、生物試料が血液試料であり、標的細胞が血液中のリンパ液を通じて遠隔転移する生きたがん細胞(例えば、胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、肺がん、すい臓がん、膀胱がん、子宮がん(上皮性腫瘍)由来の細胞)である場合、血液試料から、がん細胞以外の細胞(赤血球、血小板、白血球など)及びその他死細胞を除去することで、生きたがん細胞をより選択的に濃縮できる方法であれば特に限定はない。
生物試料から標的細胞を濃縮して濃縮液を得る(本発明における第一工程を行なう)方法として、標的細胞と標的細胞以外の成分とのサイズの違いにて分離濃縮するフィルター法、細胞表面の抗体発現プロファイルの違いを利用し、抗体磁性粒子で分離濃縮する磁気ビーズ法、細胞間の比重差を利用した比重法が例示できる。なお前述した方法を2つ以上組み合わせて第一工程を行なってもよく、これにより標的細胞の濃縮液をより高純度に取得することができる。
フィルター法は、試料をフィルターに通すことで標的細胞以外の成分をフィルター通過させ、標的細胞をフィルターに捕捉し、濃縮する方法である。逆に標的細胞をフィルター通過させ、標的細胞以外の成分をフィルター捕捉する方法であってもよい。フィルターに形成する貫通孔は、使用用途によって適宜調整することができるが、例えば、がん細胞(約20μm)をフィルターに捕捉する場合、開口部が円形となるものが好ましく、その孔径は1から20μm、好ましくは1から10μm、特に好ましくは2から8μmである。孔径が1μmより小さいとフィルターに目詰まりが発生することでフィルター付近の吸引圧が上昇し、細胞が破壊されることがある。一方で10μmより大きくなると、小径のがん細胞がフィルターを通過し取りこぼす可能性がある。貫通孔の数や配置については特に制限はないが、多数の貫通孔を設けることが細胞分離効率を向上する上で好ましい。多数の貫通孔を設ける場合、貫通孔間の距離(ある貫通孔の開口部の中心から、他の貫通孔の開口部の中心点までの距離)を等間隔とすることが好ましい。貫通孔間の距離は貫通孔の孔径を考慮して適宜決定することができるが、20μm以上とすることを例示できる。より具体的には、例えば孔径が8から10μmである場合には、貫通孔間の距離を50μm程度とすることが特に好ましい。
磁気ビーズ法は、標的細胞を、当該細胞に特異的な抗原に対する抗体を結合した磁性粒子(抗体磁性粒子A)とを接触させることで、標的細胞を抗体磁性粒子Aに結合させた後、磁力によって標的細胞を捕捉する方法である。逆に、生物試料中に含まれる標的細胞以外の成分に特異的な抗原に対する抗体を結合した磁性粒子(抗体磁性粒子B)を用いて、標的細胞以外の成分を抗体磁性粒子Bに結合させた後、磁力によって標的細胞以外の成分を除去し、標的細胞を濃縮させる方法であってもよい。抗体磁性粒子Bは標的細胞に非反応である適切な材料により形成されていることが好ましい。例えば、生物試料が血液試料であり、標的細胞ががん細胞の場合、標的細胞以外の成分である白血球に特異的、かつがん細胞では発現していない抗原(白血球特異的抗原)に対する抗体を結合した磁性粒子を抗体磁性粒子Bとして用いて、磁気ビーズ法による濃縮工程(本発明における第一工程)を行なえばよい。白血球特異的抗原の一例としては、CD1、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、CD11b、CD13、CD14、CD16、CD19、CD20、CD22、CD23、CD33、CD34、CD36、CD41、CD42、CD45、CD45RA、CD45RO、CD56、CD66b等の中から選ぶとよい。
比重法は、標的細胞と標的細胞以外の成分とを比重差によって分離することで、標的細胞を濃縮する方法である。比重法は、標的細胞を短時間で選択的に濃縮できることから、本発明における第一工程で用いる方法として特に好ましい方法である。比重法は、例えば密度勾配溶液が入った遠沈管に生物試料を重層した後、遠心分離操作をすることで、標的細胞と標的細胞以外の成分とを比重差に基づき分離させ、前記標的細胞を濃縮させればよい。密度勾配溶液は、それ自身で又は遠心分離によって密度勾配を形成する液体状の物質であり、目的とする細胞の密度(比重)を特定し、その分離に適当なものを選択して使用すれば良い。選択の指標としては、栄養成分、pH、等張性が例示できる。具体的にはショ糖、グリセロール、デキストラン、メトリザミド、イオディキサノール、ショ糖とエピクロロヒドリンの共重合体、ポリビニルピロリドンの被膜をもつコロイド状シリカ粒子、スクロースポリマー、ジアトリゾ酸、イオヘキソール、ニコデンツ(商品名)等のイオン性又は非イオン性のものが例示できる。市販されている密度勾配溶液として、GEヘルスケア バイオサイエンス社製のFicoll、Ficoll−Paque及びPercoll(いずれも商品名)、Axis−Shield PoC AS社製のLymphoprep、Polymorphprep及びOptiPrep(いずれも商品名)が例示できる。
本発明における第一工程を、前述した比重法で行なう場合、図1に示す分離構造体1を用いて行なうと、簡便かつ効率的に第一工程が行なえるため好ましい。図1に示す分離構造体1は、2つの筒状部材2・3から構成されている。分離構造体1の上部を構成する筒状部材2は開口を有し、下部を構成する筒状部材3は一端が閉塞して底部5を形成している。筒状部材2・3は、それぞれ開口又は底部の反対の端に連通開口6が設けられ、該両部材2・3が連結された場合に両筒状部材2・3の内部空間が連通し、全体として一つの分離構造体1を形成する。以下、図1に示す分離構造体1を用いた標的細胞濃縮工程(本発明における第一工程)の一例を詳細に説明する。
図1に示す分離構造体1を用いて第一工程を行なう際は、まず密度勾配溶液を、分離構造体1の底部5(筒状部材3の閉塞端)から分離部近傍まで注入する。より具体的には、分離構造体1を静置した場合に、密度勾配溶液の液面高さが上側の筒状部材2の連通開口6より高くなる位置(筒状部材2側になる)、すなわち、下側の筒状部材(筒状部材3)を分離した際に、遠心分離操作により密度勾配溶液を通過して筒状部材3の閉塞端5側に移動した成分を密度勾配溶液の大半とともに筒状部材3に、密度勾配溶液上に維持された目的成分(標的細胞)を筒状部材2に維持された状態で分離できる程度、好ましくは1mm程度、高くなる位置まで注入する。その後、生物試料を密度勾配溶液の上に重層し、開口部をキャップ4で密閉し、遠心分離操作を行なう。遠心分離操作は、一般には1000から2000×g程度の低速で実施すれば良いが、目的とする細胞の密度や使用する密度勾配溶液の密度を勘案し、密度勾配溶液の上に維持される条件を選択する。例えば目的とする細胞が生きたがん細胞であり、上記のような遠心分離を行なうのであれば、がん細胞の種類に応じて密度勾配溶液の密度を1.060から1.095g/mLの範囲とすることが好ましい。また生理学的浸透圧は200から450mOsm/kg・HOの範囲が好ましく、300から400mOsm/kg・HOがより好ましい。溶液のpHは6.8から7.8の範囲に調整することが例示できる。
遠心分離操作により、密度勾配溶液の密度より大きな密度を有する成分(例えば死滅した細胞など)は密度勾配溶液の勾配層を通過して下側の筒状部材(筒状部材3)中に移動する。一方、密度勾配溶液より小さな密度を有する標的細胞(例えば生きたがん細胞など)は、上側の筒状部材(筒状部材2)内の密度勾配溶液の上に維持される。そこで開口部のキャップ4による密閉を維持したまま、連結された筒状部材を図1で示した状態となるように分離すれば、上側の筒状部材(筒状部材2)中に標的細胞を含む画分(標的細胞濃縮液)を回収することができる。なお前記回収操作は、例えばキャップ4を取り外すことによって筒状部材2内の密閉状態を開放し下方へ滴下させる操作で、特別の熟練を要することなく容易に回収することができる。一方、下側の筒状部材(筒状部材3)中に移動した画分については、例えば当該筒状部材とともに廃棄すればよい。
本発明における第一工程を行なう際、標的細胞に特異的に結合する物質又は標的細胞以外の成分に特異的に結合する物質をあらかじめ生物試料に添加することにより、標的細胞を更に効率的に濃縮することができる。なお、前記特異的に結合する物質と多孔質シリカ粒子等の比較的密度が小さい物質を結合させれば、見かけ上の密度を小さくすることができる。このように、密度を調整する目的で使用する物質としては、前記多孔質シリカ粒子に加え、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカルボネート等のポリビニル化合物に代表される有機ポリマー、ポリスチレンラテックス、ナイロン、ポリテレフタレート等の共重合体、ガラス、シリカ、ジルコニア等の無機材料、セルロース、デキストラン、アガロース、セルロース、セファロース等の生体ポリマー、赤血球などの生体試料が例示できる。標的細胞(又は標的細胞以外の成分)と特異的に結合する物質としては、抗体、抗原、ペプチド、ポリペプチド、成長因子、サイトカイン、レクチン等の生体高分子を例示できる(以降、特異的に結合する物質と密度を調整する目的で使用する物質の単独もしくは両者の複合体を「結合剤」と呼ぶことがある)。
本発明の分離方法では、第一工程で標的細胞の濃縮液を得た後、当該濃縮液を低張な溶液で処理する第二工程に供する。第二工程は、前記濃縮液に残存する標的細胞以外の成分を除去する工程である。
本発明において低張な溶液とは、浸透圧が生理的浸透圧(285±5mOsm/kg・HO)以下の溶液のことを指し、浸透圧が150mOsm/kg・HO以下であればより好ましく、0から100mOsm/kg・HOの範囲がさらにより好ましい。また溶液のpHは、生理的pH域である6.8から7.8の範囲とすると好ましい。生物試料がヒト由来の試料である場合の低張な溶液の一例として、0.9%(w/v)以下の食塩水、5%(w/v)以下のグルコースやマンニトールなどの糖溶液、2.5%(w/v)以下のグルタミン酸ナトリウム溶液や純水等があげられる。中でも低張な溶液として、生物試料との浸透圧差が大きく、かつpHが生理的pH域である、純水を用いると、標的細胞以外の成分を効率的に除去できるため好ましい。なお第二工程により標的細胞以外の成分を除去した後は、標的細胞の形態を保持、回復させるため、処理液を、標的細胞の保持、回復に適した浸透圧を有した溶液に置換するとよい。置換する溶液の浸透圧は、150から600mOsm/kg・HOの範囲、特に150から300mOsm/kg・HOであることが好ましい。具体例として、標的細胞の増殖に適した培養液又は培養液の希釈溶液が例示できる。
本発明の分離方法で得られた標的細胞の濃縮液は、各種緩衝液、生理食塩水又は細胞培養液等で洗浄、置換後、マルチウェルプレートなどに播種することで、標的細胞の1細胞レベルでの性状解析や単一細胞からの培養が可能である。加えて、濃縮された標的細胞からの抽出物を抗体産生のための免疫抗原として利用することも例示できる。
本発明の分離方法で得られた標的細胞を培養(以下、単に「本発明の培養」とも表記する)する際は、標的細胞へのダメージを考慮すると、第二工程の後、増殖に最適な培養液で低張から等張へ溶液を回復させながら洗浄することで溶血破砕片などを除去した後、培養を開始することが好ましい。
本発明の培養方法で用いる培養液は、標的細胞が増殖可能な溶液であれば特に制限はない。例えば、Hanks’ balanced salt solution、Dulbecco’s Modified Eagles’s Medium(DMEM)、Ham’s Nutrient Mixture F12、DMEM/F12、McCoy’s 5A medium、MEM(Minimum Essential Medium)、Eagles’s Minimum Essential Medium(EMEM)、Roswell Park Memorial Institute(RPMI1640)、Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM)、Eagle’s Basal Medium(BME)、Medium 199、(以降に示す培養液は全て商品名)X−vivo 10、X−vivo 15、X−vivo 20、StemSpan−ACF、StemSpan−H3000、StemSpan−SFEM、Stemline II、StemPro 34、StemXVivo、StemPro hESC SFM、StemPro MSC SFM、StemPro MSC SFM Xenofree、StemPro NSC SFM、ReproNaive、Stemfit AK02N、ReproXF、ReproFF2、ReproFF、NutriStemが例示できる。なお、これらの培養液に、標的細胞の相互作用に関わる因子や標的細胞の性質に関連する因子を添加すると、標的細胞の増殖が促進されるため好ましい。前述した因子の一例として、細胞外マトリックス(マトリゲル、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチン、トロンボスポンディン、ヘモネクチン、プロテオグリカン類(デコリン、アグリカン、バイグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、ヒアルロン酸、バーシカン、ニューロカン、ブレビカン、ビグリカン、セルグリシン、パールカン、シンデカン、グリピカン、ルミカン、ケラトカンなど)、カドヘリンファミリー(E−カドヘリン、N−カドヘリン、VE−カドヘリン、P−カドヘリン、Tカドヘリン、プロトカドヘイリン、Flamingo、Fat、デスモソーマルカドヘリンなど)、免疫グロブリンスーパーファミリー(NCAM、VCAM、ICAM、PECAM、L1、ネクチンなど)、セレクチンファミリー(E−セレクチン、L−セレクチン、P−セレクチンなど)、インテグリンファミリー、CD28ファミリー(CD28、CTLA−4、ICOS、PD−1など)、B7ファミリー(B7−1、B7−2、B7h、PD−L1、PD−L2など)、EpCAM(Epithelial Cell Adhesion Molecule)、CD34、CD44があげられる。また、これらの培養液に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、各種アミノ酸、各種ビタミン、サイトカイン、ホルモン、増殖因子(TGF−α、TGF−β、MIP−1α、上皮細胞増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子、神経細胞増殖因子(NGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)など)、薬剤(抗生物質、白血病抑制因子(LIF)、ROCK阻害剤、GSK阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤など)、血清、脂肪酸、糖等の添加物を添加してもよい。またスフェロイド細胞培養を行なう代わりに、スフェロイドを形成するのに関連する因子や添加物を培養液に添加してもよい。前述した因子および添加物は、その断片、又は一部の領域を含む融合物でもよく、目的に応じて2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
本発明の培養方法で用いる培養基材は、標的細胞を増殖可能な部材であれば、特に制限はない。例えば、フラスコ、ディッシュ、マイクロウエルプレート、シャーレ、チューブ、培養バックに例示される培養容器、前述した標的細胞の相互作用に関わる因子や標的細胞の性質に関連する因子を被覆した前記培養容器、表面に凹凸形状などが設けられた三次元培養用の基材が例示できる。中でも、標的細胞の相互作用に関わる因子や標的細胞の性質に関連する因子を被覆した培養容器(基材)を用いると標的細胞の増殖が促進されるため好ましい。スフェロイド細胞培養を行なう代わりに、スフェロイドを形成するのに関連する因子や添加物を基材に被覆させるとよい。また、前述した因子および添加物は、その断片、又は一部の領域を含む融合物でもよく、目的に応じて2種類以上を組み合わせて培養基材に被覆してもよい。
本発明の培養方法では、標的細胞を当該標的細胞とは相違する細胞(フィーダー細胞)とともに共培養してもよい。フィーダー細胞としては、胎児線維芽細胞等のストローマ細胞等を用いることができる。前記フィーダー細胞は2種類以上の細胞種の組み合わせでもよく、フィーダー細胞の組成は、生体中における標的細胞の周辺環境に存在しうる細胞群から選択してもよい。
本発明の培養方法の別の態様として、標的細胞をマウス、ラット、ウサギなどの実験動物に移植し、当該実験動物内で標的細胞を培養する方法があげられる。標的細胞がヒト由来のがん細胞又はがん組織である場合の一例として、前記細胞又は組織を免疫不全マウスに移植したxenograftモデルを生体内の環境を再現した培養産物として用いることができる。特に本方法は、臨床検体の微量ながん細胞を安定的に増殖させる場合に有効である。利用可能な免疫不全マウスとして、ヌードマウス、SCID(Severe Combined Immunodeficiency)マウス、NOD−scidマウス、NOGマウスが例示できる。
本発明の分離方法を利用して分離した標的細胞が、前記培養基材および培養液において「増殖能を有する、もしくは増殖能を保持している」状態は、最適化された培養条件にて、少なくとも10日以上、好ましくは15日以上の期間において継続した増殖能を保持していることをいう。培養条件は、分離する標的細胞の特性によって適宜設定すればよいが、例えば、培養温度は、約30から40℃であり、より好ましくは37℃である。またCO濃度は、約1から10%、好ましくは約2から5%である。
本発明の分離方法で分離された標的細胞は、半永久的に増殖が維持されうるような不死化処理をしてもよい。一般的に初代培養細胞は、増殖可能な環境下において一定数の細胞分裂を超えると死滅することが報告されている。このような課題に対し、細胞を不死化する手法が開発されている。例えば、猿ウイルス40(simian virus 40:SV40)T抗原といったウイルス遺伝子を利用して不死化を誘発する方法が例示できる。SV40T抗原は感染細胞におけるテロメア活性を誘導できると言われている。また例えば、ヒト細胞など細胞分裂によりテロメア鎖長に影響がみられる細胞においては、ヒトテロメア逆転写タンパク質(human TElomerase Reverse Transcriptase:hTERT)を用いて不死化することも可能である。テロメラーゼは、細胞分裂によるテロメア長の短縮に対して、テロメア長を維持するように働く酵素である。通常、ほとんどの体細胞において不活性化されているが、hTERTを強制発現させると細胞分裂に伴う老化が回避できるようテロメア鎖長を維持する。hTERTの過剰発現により不死化された細胞は、安定的な遺伝子型および表現型のマーカーを維持可能であることが確認されている。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示した態様の分離構造体1を使用して、がん細胞の分離および培養を行なった。分離構造体1は、詳細には、筒状部材2は内径Φ18mm、縦70mm、容量15mLの円筒状のポリプロピレン製部材である。また筒状部材2の先細り形状7の部分の傾斜角度は30°であり、筒状部材2との連通開口6は内径Φ2mmである。筒状部材3は内径Φ10mm、縦54mm、容量3mLのポリプロピレン製部材である。
図2に模式的に示したように、分離構造体1の下側の筒状部材3に、密度が1.077g/mL、浸透圧300mOsm/kg・HOの密度勾配溶液9を3mL注入した(図中下部の白抜き部分が密度勾配溶液で満たした部分である)。詳しくは密度勾配溶液の液面高さが、上側の筒状部材2の連通開口6よりも約1mm高くなるように(従って液面は、上側筒状部材2の内部に位置する)注入した。続いて密度勾配溶液9の上に、生物試料として、3mLの血液試料と3mLの生理食塩水と75μLの結合剤(商品名RosetteSep、StemCell Technologies社製)との混合液8を重層した(図2中、黒塗部分が重層した混合液8の部分である)。前記血液試料は、インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(PC9)を懸濁した懸濁液である。当該がん細胞は、細胞密度が約2×10個/cmになるように静置培養後、0.25%(w/v)トリプシン/1mM EDTAにより細胞をディッシュから剥離し、限界希釈により調整したものである。
試料注入後、分離構造体の開口をキャップ4(ポリプロピレン製)で密閉し、2000×gで5分間、室温にて遠心分離した。遠心分離操作により、図3左に示したように、密度勾配溶液と試料の界面10に細胞は維持された。キャップ4を取り外すことなく分離構造体を構成する筒状部材2と筒状部材3とを連通開口6で分離した後、図3右に示したようにキャップをはずして密閉を開放することで、上側の筒状部材2の連通開口6より密度勾配溶液の一部とその上に維持された細胞を流出させて下方に設置した50mLチューブに回収した。なお前記50mLチューブには、低張な溶液である滅菌した純水を予め6mL入れておき、上側筒状部材2からの回収試料に混入した赤血球(がん細胞以外の細胞)を即座に破砕処理した。更に上側筒状部材2の内壁を滅菌した純水で洗浄し、壁に付着したがん細胞を回収するとともに残存した赤血球を破砕処理した。
回収した細胞の懸濁液にHanks’ balanced salt solution(Hanks’溶液)を添加して30mLまでメスアップすることで生理的浸透圧付近にまで戻した後、300×gで10分間室温にて遠心分離した。遠心分離後、ペレットの頂部の液体をピペットで取り出し、最終液量を1mLとした。なお、がん細胞とともに混入する白血球数は100万個前後であった。
回収した1mLの細胞懸濁液は、接着細胞培養用のマルチウェルプレートに播種し、37℃、5% CO濃度のインキュベーター内にて培養し、5日毎に培地交換を実施した。細胞の増殖を顕微鏡にて観察したところ、図4に示したように分離されたヒト肺がん細胞は経時的に増殖していることが分かり、培養10日目で305個/mm、15日目後には1580個/mmと良好な細胞接着、伸長が確認できた。
実施例2
実施例1と同様に、生物試料として、健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(PC9)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離操作を実施した。実施例2では、前記生物試料を重層し、5分静置した後に遠心分離を実施した。なお、密度差分離における遠心条件は2000×g、5分間、室温にて実施した。なお、がん細胞とともに混入する白血球数は50万個前後であった。
実施例1と同様に、分離培養したがん細胞の増殖を観察したところ、結合剤を添加直後に遠心分離した試料(実施例1)と比較して、混入した白血球数は削減されており、図5に示すように培養10日後で460個/mmと増殖が明らかに良好であることが分かった。
比較例1
実施例1と同様に、生物試料として、健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(PC9)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し、遠心分離操作を実施した。なお、密度差分離における遠心は2000×g、5分間、回収における遠心は300×g、10分間室温にて実施した。比較例1では、上部筒状部材2からの回収試料に混入した赤血球の破砕処理を、塩化アンモニウム溶液を用いて実施した。
実施例1と同様に、分離培養したがん細胞の増殖を観察したところ、図6に示すように培養10日目で128個/mm、15日目後に605個/mmと実施例1に示した低張液による溶血処理細胞と比較して、増殖速度が1/3程度であることが確認できた。
実施例3
実施例2と同様に、生物試料として、健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(PC9)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し5分静置後、遠心分離操作を実施し、滅菌した純水を用いて赤血球の破砕処理をすることで、細胞懸濁液を回収した。実施例3では、回収した1mLの細胞懸濁液は、以下の(A)から(G)に示す、がん細胞の相互作用に関わる因子(タンパク質)のいずれかで被覆した細胞培養用のマルチウェルプレートに播種し、37℃、5% CO濃度のインキュベーター内にて培養し、5日毎に培地交換を実施した。なおこれら因子は免疫グロブリンのFc領域との融合体であり、当該Fc領域を介して前記基材固相表面に固定されている。
(A)E−カドヘリン(10204−H02H;Sino Biological社製)
(B)EpCAM(10694−H02H;Sino Biological社製)
(C)ICAM−1(10346−H03H;Sino Biological社製)
(D)VCAM−1(10113−H02H;Sino Biological社製)
(E)E−セレクチン(10335−H03H;Sino Biological製)
(F)CD44(12211−H02H;Sino Biological社製)
(G)PD−1(10377−H03H;Sino Biological社製)
また培養に用いた、がん細胞の相互作用に関わる因子で被覆したプレートの作製は、前記因子のPBS希釈溶液(10μg/mL)を、無処理ポリスチレン製培養マルチウェルプレートに注ぎ、37℃で一晩コーティング処理し、洗浄後、細胞の非特異的接着を抑えるため、細胞を播種する前に、0.1%(w/v)BSAを含むPBSで1時間のブロッキング処理を行ない、作製した。
細胞の増殖を培養10日目に顕微鏡にて観察したところ、図7及び表1に示すように増殖が良好であることが分かった。
Figure 0006953702
比較例2
実施例2と同様に、生物試料として、健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(PC9)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し5分静置後、遠心分離操作を実施し、滅菌した純水を用いて赤血球の破砕処理をすることで、細胞懸濁液を回収した。比較例2では、回収した1mLの細胞懸濁液は、無処理ポリスチレン製培養マルチウェルプレートに播種し、37℃、5% CO濃度のインキュベーター内にて培養し、5日毎に培地交換を実施した。
細胞の増殖を培養10日目に顕微鏡にて観察したが、細胞がプレートに接着できず、細胞の増殖は確認できなかった。
実施例4
実施例2と同様に、生物試料として、健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(A549)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し5分静置後、遠心分離操作を実施し、滅菌した純水を用いて赤血球の破砕処理をすることで、細胞懸濁液を回収した。当該がん細胞は、細胞密度が約2×10個/cmになるように静置し、5ng/mLのTGF−βを添加して培養後、0.25%トリプシン/1mM EDTAにより細胞をディッシュから剥離し、限界希釈により調整したものである。実施例4では、回収した1mLの細胞懸濁液は、以下の(H)および(I)に示す、がん細胞の相互作用に関わる因子(タンパク質)のいずれかで被覆したマルチウェルプレートに播種し、37℃、5% CO濃度のインキュベーター内にて5ng/mLのTGF−βを添加して培養し、5日毎に培地交換を実施した。
(H)N−カドヘリン(10204−H02H;Sino Biological社製)
(I)NCAM−2(16067−H02H;Sino Biological社製)
また培養に用いた、がん細胞の相互作用に関わる因子で被覆したプレートの作製は、前記因子のPBS希釈溶液(10μg/mL)を、無処理ポリスチレン製培養マルチウェルプレートに注ぎ、37℃で一晩コーティング処理し、洗浄後、細胞の非特異的接着を抑えるため、細胞を播種する前に、0.1%(w/v)BSAを含むPBSで1時間のブロッキング処理を行ない、作製した。
細胞の増殖を顕微鏡にて観察したところ、図8及び表2に示すように増殖が良好であることが分かった。
Figure 0006953702
比較例3
実施例4と同様に、生物試料として、健常者血液に約100個のヒト肺がん細胞(A549)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層し5分静置後、遠心分離操作を実施し、滅菌した純水を用いて赤血球の破砕処理をすることで、細胞懸濁液を回収した。比較例3では、回収した1mLの細胞懸濁液は、無処理ポリスチレン製培養マルチウェルプレートに播種し、37℃、5% CO濃度のインキュベーター内にて5ng/mLのTGF−βを添加して培養し、5日毎に培地交換を実施した。
細胞の増殖を培養10日目に顕微鏡にて観察したが、細胞がプレートに接着できず、細胞の増殖は確認できなかった。
実施例5
実施例1と同様にして、生物試料として、健常者血液に約1×10個のヒト肺がん細胞(PC9)を混合して得られた血液試料、生理食塩水及び結合剤の混合液を密度勾配溶液の上へ重層後、遠心分離操作を実施し、滅菌した純水による赤血球の破砕処理後、Hanks’溶液を添加して遠心分離した。遠心分離後、ペレットの頂部の液体をピペットで取り出し、最終液量を25μLとした。前記溶液に、マトリゲル25μLを添加した細胞懸濁液を、ヌードマウスであるKSN/Slcマウス(6週齢、オス、日本エスエルシー社製)の皮下に全量接種した。接種したがん細胞の増殖は、腫瘍形成部の体積(長径×長径×短径÷2)を基に評価した。
比較例4
実施例5に記載の赤血球の破砕処理を、塩化アンモニウム溶液を用いて実施した他は、実施例5と同様な方法で、マウスに接種したがん細胞の増殖を評価した。
実施例5及び比較例4でのがん細胞の増殖の結果をまとめて表3に示す。赤血球の破砕工程において、塩化アンモニウム溶液を用いたとき(比較例4)、マウスへのがん細胞接種28日目での腫瘍形成部の体積は0.10cmであった。一方、滅菌水を赤血球の破砕液として用いること(実施例5)で、腫瘍形成部の体積は0.26cmと、塩化アンモニウム添加時(比較例4)(0.10cm)と比較して、がん細胞増殖能が向上していることがわかる。
Figure 0006953702
1:分離構造体
2:筒状部材(上側)
3:筒状部材(下側)
4:キャップ
5:底部
6:連通開口
7:先細り形状
8:混合液
9:密度勾配溶液
10:界面

Claims (4)

  1. 血液試料中の腫瘍細胞の分離方法であって、血液試料から腫瘍細胞を濃縮して濃縮液を得る第一工程と、前記第一工程で得られた濃縮液を純水で処理する第二工程と、を備えることを特徴とする、前記分離方法。
  2. 前記第一工程が、腫瘍細胞腫瘍細胞以外の成分との間の比重差を用いて濃縮する工程であることを特徴とする、請求項1に記載の分離方法。
  3. 前記第二工程の後、腫瘍細胞を培養することを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離方法で分離した腫瘍細胞の培養方法。
  4. 腫瘍細胞を実験動物に移植して培養することを特徴とする、請求項3に記載の培養方法。
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