JP6953606B1 - 有機ハロゲン系化合物分解剤、その製造方法、及び、土壌又は地下水の浄化方法 - Google Patents

有機ハロゲン系化合物分解剤、その製造方法、及び、土壌又は地下水の浄化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6953606B1
JP6953606B1 JP2020204660A JP2020204660A JP6953606B1 JP 6953606 B1 JP6953606 B1 JP 6953606B1 JP 2020204660 A JP2020204660 A JP 2020204660A JP 2020204660 A JP2020204660 A JP 2020204660A JP 6953606 B1 JP6953606 B1 JP 6953606B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
water
organic halogen
nickel salt
decomposing agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020204660A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022062660A (ja
Inventor
俊輔 吉
俊輔 吉
勝 友口
勝 友口
昇吾 寺島
昇吾 寺島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Eco Systems Co Ltd
Original Assignee
Dowa Eco Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Eco Systems Co Ltd filed Critical Dowa Eco Systems Co Ltd
Application granted granted Critical
Publication of JP6953606B1 publication Critical patent/JP6953606B1/ja
Publication of JP2022062660A publication Critical patent/JP2022062660A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

【課題】従来技術に比べて簡便な作業により得られる有機ハロゲン系化合物分解剤により十分なVOCs分解効果を発揮させる。【解決手段】鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と、水溶性ニッケル塩粒子と、を備え、両粒子の少なくとも一定量は、金属粒子上に水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤及びその関連技術を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機ハロゲン系化合物分解剤、その製造方法、及び、土壌又は地下水の浄化方法に関する。
従来から、揮発性有機化合物(VOCs)で汚染された土壌や地下水を浄化する技術が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、鉄粉と水溶性ニッケル水溶液を粉砕や強攪拌して鉄粉表面にニッケルを析出させ、当該ニッケルを鉄と部分合金化させた有機ハロゲン化物分解用処理剤が提案されている。
また、特許文献2には、鉄を主成分とする金属粒子の表面に、ニッケルを主成分とする金属粒子を圧着接合して成る有機ハロゲン化合物分解用金属粉が提案されている。
特開2011−26524号公報 特許第4848540号明細書
本発明者は、特許文献1及び2に記載の技術について再検討した。その結果、以下の課題が知見された。
特許文献1に記載の技術のように、鉄とニッケルを合金化してしまうと、各単体の場合よりも標準電位差が小さくなり、VOCsの一種である有機ハロゲン系化合物の分解速度が低下することがあった。
また、特許文献1に記載の技術では、鉄粉とニッケル塩水溶液を用いて金属析出とメカニカルアロイング化する際に、さらにニッケル粉を加えることが好ましく(0021段落参照)、これにより、微細なニッケル金属と粗大な金属ニッケルの両方が存在し、活性(性質)の異なる部分合金サイトを有する鉄粉を得ることとしている。
しかし、金属ニッケル粉末の価格は高く、湿式での製法は複雑でコストがかかるという問題があった。
一方、特許文献2に記載の技術では、VOCsの分解速度の低下に対し、鉄(Fe)を主成分とする母材金属相と、ニッケル(Ni)を主成分とする付着金属相とを合金化せず圧着接合している(実施例1)。
しかし、高いVOCs分解効果を得るためには、Ni付着金属相は高純度とする、又は、Ni付着金属相の粒子サイズを、少なくともFe母材金属相の粒子サイズよりも小さくする必要がある(実施例1)。
このため、Ni付着金属相におけるNiの高純度化、Ni付着金属相の粒子サイズの適切な設定が必要になる。これらを実施するための具体的な作業内容は複雑であり、製造コストがかさむという問題があった。
つまり、従来技術だと、大きなVOCs分解効果を得ようとする場合、製造コストに見合ったVOCs分解効果が必ずしも得られないことが、本発明者により知見された。
本発明は、従来技術に比べて簡便な作業により得られる有機ハロゲン系化合物分解剤により十分なVOCs分解効果を発揮させることを目的とする。
本発明の第1の態様は、
鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と、水溶性ニッケル塩粒子と、を備え、両粒子の少なくとも一定量は、前記金属粒子上に前記水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の態様において、
前記水溶性ニッケル塩は、水溶時にプロトンを生じさせる塩である。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載の態様において、
前記水溶性ニッケル塩は水和物を含む。
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載の態様において、
前記水溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケル及びその水和物、硝酸ニッケル及びその水和物、並びに、塩化ニッケル及びその水和物の少なくともいずれかである。
本発明の第5の態様は、第1〜第4のいずれか一つの態様に記載の態様において、
前記水溶性ニッケル塩粒子の一部が、前記金属粒子との圧着接合体を構成する。
本発明の第6の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に記載の態様において、
前記水溶性ニッケル塩粒子におけるニッケルの含有量は、前記金属粒子を100質量部としたとき、0を超え且つ50質量部以下である。
本発明の第7の態様は、
鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と水溶性ニッケル塩粒子とを乾式共粉砕により機械的に混合して接触させ、衝突圧力により、両粒子の少なくとも一定量を互いに付着させる付着工程を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法である。
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載の態様において、
前記付着工程前の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径は150〜5000μmである。
本発明の第9の態様は、第7又は第8の態様に記載の態様において、
前記付着工程においては、前記水溶性ニッケル塩粒子の一部を前記金属粒子に接合させる。
本発明の第10の態様は、
有機ハロゲン系化合物を含有する土壌及び地下水の少なくともいずれか対し、第1〜第6の態様のいずれか一つに記載の有機ハロゲン系化合物分解剤、又は、第7〜第9の態様のいずれか一つに記載の製造方法により製造された有機ハロゲン系化合物分解剤を接触させることにより、有機ハロゲン系化合物を分解する、土壌又は地下水の浄化方法である。
本発明によれば、従来技術に比べて簡便な作業により得られる有機ハロゲン系化合物分解剤により十分なVOCs分解効果を発揮できる。
図1(a)は鉄粉粒子(Fe金属相)のSEM観察で得られた写真であり、図1(b)〜(d)はFE−SEM(電解放出型走査電子顕微鏡)で得られた元素分布図(いずれもK線)であり、図1(b)はFe、図1(c)はNi、図1(d)はSに関する。 図2(a)は鉄粉粒子(Fe金属相)の断面に対するSEM観察(倍率1000倍)で得られた写真であり、図2(b)〜(d)はSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)で得られた元素分布図(いずれもK線)であり、図2(b)はFe、図2(c)はNi、図2(d)はSに関する。 図3(a)は鉄粉粒子(Fe金属相)の断面に対するSEM観察(倍率5000倍)で得られた写真であり、図3(b)〜(d)はSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)で得られた元素分布図(いずれもK線)であり、図3(b)はFe、図3(c)はNi、図3(d)はSに関する。
以下、本発明の実施の形態について説明を行う。本明細書では「〜」は所定の数値以上且つ所定の数値以下を指す。以下の順で説明を行う。
1.本発明のコンセプト
2.有機ハロゲン系化合物分解剤
3.有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法
4.土壌又は地下水の浄化方法
5.その他
<1.本発明のコンセプト>
本発明では、Fe(イオン化傾向:大)と、Feに対する異種金属であるNi(イオン化傾向:小)とで、イオン化傾向の差を利用して局部電池構造を構築して得られるeによりVOCsの脱塩素化反応を進める。これは、特許文献2に記載の技術も同様である。
局部電池構造に伴う主な反応は以下の通りである。以下の金属の価数は一例である。
Fe→Fe2++2e ・・・(1)
Ni2++2e→Ni ・・・(2)
その一方、特許文献2だと、局部電池構造を効率的に構築しようとすると、Fe相に接合するNi相の大きさを小さくしたり、Ni相のNi純度を上げたりしなければならない。それが、本発明の課題の発生にもつながっている。
本発明者は、本発明の課題を解決すべく、特許文献2が前提としている内容から検討した。特許文献2では、Feを主成分とする金属粒子(以降、Fe粒子)に対し、予めFe粒子よりも小径化させたNiを主成分とする金属粒子(以降、Ni粒子)を非合金状態で圧着接合させることを前提としている。本発明者は、そもそも、局部電池構造の構築には金属Ni(即ち高純度Ni)を用意する必要は無いのではないか、と考えた。
そこで、本発明者は、局部電池構造を構築すべく、Fe粒子に対して水溶性ニッケル塩粒子を用意することを知見した。
特許文献2の有機ハロゲン化合物分解剤は、土壌に加え地下水又は地表水の浄化に使用される。水と接触することを考慮すると、水溶性化合物を使用すること自体、当業者では想像しがたい。
ところが、本発明者の調べによれば、Fe粒子に対して水溶性ニッケル塩粒子を圧着接合させた状態(場合によっては一部が圧着接合し、別の一部は水溶性ニッケル塩粒子単体としてFe粒子の周囲に存在する状態)でも十分なVOCs分解効果が得られることがわかった。
本発明のコンセプトは、局部電池構造を構築するにしても、イオン化傾向が小さいNiはVOCs分解の際に当初からイオン化する又はイオン化しやすい状況下に置く方が効率は良いという考えから、水溶性ニッケル塩粒子を用意したことにある。そして、Fe粒子に圧着接合した水溶性ニッケル塩粒子が水により溶解した場合、Niはイオン化し、上記(2)の反応の左辺の準備が速やかに完了する。
Feに対する異種金属が水により溶解するならば、Fe粒子に圧着接合する粒子の径は小さくする必要はない。水溶性ニッケル塩粒子は、水との接触により徐々に小さくなるし、そもそも本発明のコンセプトに従えば、全ての水溶性ニッケル塩粒子がFe粒子と圧着接合する必要はない。水溶性ニッケル塩粒子の一部がFe粒子の近傍に存在していれば、水に溶解して生成したNiイオンがFe粒子と局部電池構造を構築できる。
この観点に基づけば、Fe粒子に対して水溶性ニッケル塩粒子の少なくとも一部は圧着接合するのが好ましい一方、本発明はこの態様に限定されない。例えば、Fe粒子に対して水溶性ニッケル塩粒子の少なくとも一部が圧着接合ではなく単に付着した状態でも本発明の効果を奏する。この付着の状態と圧着接合の状態とを包含する表現が「両粒子の少なくとも一定量は、金属粒子上に水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する」である。以降、両粒子を圧着接合させる場合について主に例示する。
特許文献2の技術では、高いVOCs分解効果を得るためにはNi相の純度を高くする必要がある。その一方、本発明のコンセプトに従えば、水に溶解したNiイオンがFe粒子の近傍に存在すればよく、溶解前の水溶性ニッケル塩粒子のNiの純度は問題にならない。強いて言えば、水溶性ニッケル塩粒子に含有されるNiの量が多ければ、水溶性ニッケル塩粒子の添加量が少なくて済む。ただ、特許文献2の技術を用いる場合に比べ、Niの純度がVOCs分解効果と製造コストに与える影響は少ない。
水溶性ニッケル塩粒子の粗さについてもNiの純度と同様であり、結局、水溶性ニッケル塩粒子は水に溶解するため、水溶性ニッケル塩粒子が粗くても局部電池構造の構築に影響を与えない。
水溶性ニッケル塩粒子が水に溶解したとしても十分なVOCs分解効果が得られることは後掲の実施例が示す通りである。推測ではあるが、両粒子の少なくとも一定量は、金属粒子上に水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する関係上、水溶性ニッケル塩粒子が水に溶解したとしてもNiイオンは溶け残っている水溶性ニッケル塩粒子(ひいては該粒子が付着したFe粒子)の近傍に存在し続けられること、更には処理対象の一つである土壌中の水分、地下水は一般の河川等に比べて急流ではないことから、Niイオンが完全に流されることない。
つまり、土壌中でもNiイオンの濃度を確保でき、その結果、十分なVOCs分解効果が得られていると推察される。
<2.有機ハロゲン系化合物分解剤>
以上のコンセプトに基づき創出されたのが以下の構成である。
「鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と、水溶性ニッケル塩粒子と、を備え、両粒子の少なくとも一定量は、前記金属粒子上に前記水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤。」
有機ハロゲン系化合物分解剤(以降、単に「分解剤」とも称する。)の対象(ターゲット)は、有機ハロゲン系化合物である。有機ハロゲン系化合物としては、特許文献2に記載の有機ハロゲン化合物及びその誘導体が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、クロロエチレン(CE)、シス−1,2−ジクロロエチレン(cis−1,2−DCE)、トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)等の有機塩素化合物である。これらはVOCsでもある。分解剤は、これらのうち少なくとも一つを分解する。
鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子(Fe粒子)としては、例えば鉄鉱石の還元により製造された還元鉄粉、或いは溶鉄のアトマイズなどにより製造されたアトマイズ鉄粉などを用いることができる。原料鉄粉は鉄を主成分としていればよいが、2次汚染源となるクロムや鉛などの成分を含有しないことが望ましい。以降、Fe粒子のことを鉄粉ともいう。
Fe粒子の粒径の調整は、篩を用い、Fe粒子が粒径1〜500μmの範囲に収まるようにしてもよい。その際、45μm以下のFe粒子を50%以下としてもよい。
本明細書における粒径は、所定の目の粗さの篩を通過するものを所定範囲内の粒径としてもよいし、例えばレーザー回折散乱式粒度分布装置(SYMPATEC社製のヘロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS))により測定したときの累積体積50%粒子径(D50)としてもよい。
水溶性ニッケル塩粒子は、水溶性であり、水に溶解時にNiイオンが生成されれば限定は無い。
本明細書における「水溶性」とは、溶解度が10g/100HO(20℃)以上であることを意味する。水溶性ニッケル塩粒子の溶解度の上限を規定する必要はないが、上限の一例は200g/100HO(20℃)である。
前記水溶性ニッケル塩は、水溶時にプロトン(H)を生じさせる塩であるのが好ましい。つまり、前記水溶性ニッケル塩は、水溶前から水溶後にかけて水溶液のpHを減少させる塩であるのが好ましい。VOCsの分解に寄与する自由電子(e)は、Fe→Fe2++2eの反応によるが、この鉄の溶解反応はpHが3.5〜9.0であることが好ましいが、酸性側の方がより反応が早く進む。このため、水溶前から水溶後にかけて水溶液のpHを減少させることにより上記(1)の反応(Feに係る反応)が進み、局部電池構造の構築が促進されていると推察される。但し、水溶時にプロトンを生じさせない塩(例えば水溶後のpHを増加させる塩)であっても局部電池構造が構築されれば使用しても差し支えない。
前記水溶性ニッケル塩は水和物を含むのが好ましい。また、前記水溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
硫酸ニッケルは結晶水を持つ6水和物(NiSO・6HO)の形態で通常入手が可能であり、6水和物のまま使用することで製造工程が簡便かつ、結果として最も製造コストの低減を図ることが出来る。また、市販される硫酸ニッケル6水和物の中央(メディアン)径は、本発明で使用する鉄粉よりも粗粒である。そのため、当該水和物を多量に添加した場合でも、鉄粉粒子表面の全てがニッケル化合物でコーティングされる可能性は小さく、従って鉄粉表面での局部電池反応形成を阻害することがない。また、特許文献2での回避対象となる、メカノケミカル反応によるNi−Fe合金化も進まずに済む。
後掲の実施例が示すように、硫酸ニッケル(II)の6水和物の方が、硫酸ニッケル(II)の1水和物よりもVOCs分解効果が高い。それを加味すると、水溶性ニッケル塩のn水和物のnは4以上の整数であるのが好ましく、4〜6であるのがより好ましい。
水溶性ニッケル塩の無水和物を使用しても構わない。無水和物であれば、水溶性ニッケル塩の使用量を減らせるうえ、<3.有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法>で述べる乾式共粉砕に要する時間を減らせる。
水溶性ニッケル塩の6水和物を脱水させて1〜4水和物としてもよい。これにより、無水和物の場合までとはいかないまでも、脱水することで風解性を有するため、水溶性ニッケル塩の使用量を減らせるうえ、乾式共粉砕に要する時間を減らせる。水和物の数は、VOCs分解効果、製造コスト等を考慮して適宜決定すればよい。
前記水溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケル(II)及びその水和物、硝酸ニッケル(II)及びその水和物、並びに、塩化ニッケル(II)及びその水和物、並びに、及びその水和物の少なくともいずれかであるのが好ましい。水溶性ニッケル塩が硫酸ニッケル(II)であれば、水に溶解した後のpH低減効果が大きく、VOCs分解効果が大きくなるため好ましい。以降、水溶性ニッケル塩のニッケルの価数は2価とするが、本発明はこれに限定されない。
前記水溶性ニッケル塩粒子の一部が、前記金属粒子と付着し(好適には圧着接合体を構成し)てもよい。つまり、水溶性ニッケル塩粒子の一部のみが、Fe粒子と付着(好適には圧着接合体を構成)し、それ以外の水溶性ニッケル塩粒子は、Fe粒子と接触せずに、水溶性ニッケル塩粒子単体又は凝集体としてFe粒子の近傍に存在してもよい。
両者の接合体を存在させることにより、土壌中において、鉄粉粒子近傍にニッケル粒子が配置されるため、ニッケル化合物の添加量を減らすことができる。
先に述べたように、Fe粒子の近傍にNiイオンが存在していれば、全ての水溶性ニッケル塩粒子がFe粒子と圧着接合(或いは付着)せずともよい。これにより、分解剤の製造の際の裕度が増加する。
本発明の有機ハロゲン系化合物分解剤におけるニッケルの含有量には限定は無いが、一例としては、前記金属粒子(例えばFe粒子、鉄粉)を100質量部としたとき、0を超え且つ50質量部以下であるのが好ましい。更に、下限としては0.1質量部が好ましく、0.2質量部がより好ましく、1質量部が更に好ましい。更に、上限としては、4質量部、10質量部、12質量部、15質量部、20質量部、30質量部、又は40質量部が好ましい。
後掲の付着工程後の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径は、一例としては0.1〜600μmである。詳しくは<3.有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法>にて説明する。
本明細書における「両粒子の少なくとも一定量は、金属粒子上に水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する」とは、全てのFe粒子に対し、全ての水溶性ニッケル塩粒子が各々のFe粒子に対して付着(例えば圧着接合)した場合も含むし、全てのFe粒子には水溶性ニッケル塩粒子が付着(例えば圧着接合)する一方で残りの水溶性ニッケル塩粒子はそうではない場合も含むし、水溶性ニッケル塩粒子が付着(例えば圧着接合)していないFe粒子が存在する場合も含む。
本発明のコンセプトにより、有機ハロゲン系化合物の分解開始時にNiイオンがFe粒子の近傍に存在することになり、全部の両粒子同士が圧着接合(或いは付着)する必要がなくなった。そのため、両粒子の少なくとも一定量が互いに圧着接合体を構成(或いは両粒子が付着する状態を実現)すれば足りる。
水溶性ニッケル塩粒子が圧着接合(或いは付着)していないFe粒子の量には限定は無いが、一例としては、全Fe粒子の量を100質量部としたとき、0〜80質量部であるのが好ましい。
Fe粒子に圧着接合(或いは付着)していない水溶性ニッケル塩粒子の量には限定は無いが、一例としては、全水溶性ニッケル塩粒子の量を100質量部としたとき、0〜80質量部(好適には10〜50質量部)であるのが好ましい。
<3.有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法>
有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法は、以下の構成を有する。
「鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と水溶性ニッケル塩粒子とを乾式共粉砕により機械的に混合して接触させ、衝突圧力により、両粒子の少なくとも一定量を互いに付着させる付着工程を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法。」
以下、<2.有機ハロゲン系化合物分解剤>と重複する内容は記載を省略する。以降、付着工程の好適な一具体例として圧着接合を行う接合工程を例示する。
特許文献2に記載の技術とは異なり、前記接合工程前の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径には限定は無い。つまり、Fe粒子よりも大きい水溶性ニッケル塩粒子を採用しても構わないし、接合工程後の水溶性ニッケル塩粒子もFe粒子より大きくても構わない。
接合工程では、Fe粒子と水溶性ニッケル塩粒子とを乾式共粉砕により機械的に混合する。具体的な手法には限定は無く、公知の装置を使用すればよい。例えばボールミル又は振動ミル等の装置を使用可能である。接合の手前の状態(単に接触した状態)に留める場合は、接合する場合よりも緩い条件で混合を行えばよく、乳鉢などにより手作業での混合を行ってもよい。
前記接合工程前の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径は、1〜5000μmで使用できる。好ましくは150〜5000μm、より好ましくは300〜5000μm、更に好ましくは600〜5000μmであることがよい。一つの具体例を挙げると、硫酸ニッケル・6水和物の粒径、硫酸ニッケル・4水和物の粒径、及び硫酸ニッケル・1水和物の粒径に関しては、篩を用いたとき、全粒子の30%が600〜2000μmの範囲に収まるように設定してもよい(後掲の実施例の項目参照)。前記接合工程後の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径は、一例としては0.1〜600μmである。つまり、前記接合工程前の前記水溶性ニッケル塩粒子は、乾式共粉砕により機械的に混合する際に破砕され、且つ、前記水溶性ニッケル塩粒子の少なくとも一部がFe粒子と衝突して両者が圧着接合する。なお、圧着接合体の粒径は、一例としては1〜1500μm、好ましくは1〜600μmである。
前記接合工程後の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径の上記範囲はあくまで一例である。水溶性ニッケル塩粒子が水和物である場合、接合工程中、水和物が水となり、自ずと水溶性ニッケル塩粒子が小さくなるためである。また、乾式共粉砕により機械的に混合する際に破砕され、元の粒径から大きく変動するためである。
そもそも本発明のコンセプトに従えば、全ての水溶性ニッケル塩粒子がFe粒子と圧着接合する必要はなく、そうなると、特許文献2に記載のようにNi粒子をFe粒子よりも小さい粒子とするといった粒径の制限がなくなる。水溶性ニッケル塩粒子の粒径の上記範囲が広いのは、本発明のコンセプトによる制限の解除の恩恵を享受しているからこそである。
前記接合工程においては、前記水溶性ニッケル塩粒子の一部を前記金属粒子に接合させてもよい。つまり、水溶性ニッケル塩粒子の一部のみが、Fe粒子との圧着接合体を構成し、それ以外の水溶性ニッケル塩粒子は、Fe粒子と接触せずに、水溶性ニッケル塩粒子単体又は凝集体としてFe粒子の近傍に存在してもよい。つまり、水溶性ニッケル塩粒子を過粉砕することなく、一部を単体で分解剤内に留めておいてもよい。
<4.土壌又は地下水の浄化方法>
土壌又は地下水の浄化方法は、以下の構成を有する。
「有機ハロゲン系化合物を含有する、土壌及び地下水の少なくともいずれかに対し、上記有機ハロゲン系化合物分解剤、又は、上記製造方法により製造された有機ハロゲン系化合物分解剤を接触させることにより、有機ハロゲン系化合物を分解する、土壌又は地下水の浄化方法。」
「有機ハロゲン系化合物を含有する土壌」とは、VOCsが付着した土壌を指す。
「有機ハロゲン系化合物を含有する地下水」とは、VOCsを含有する地中水を示す。ここでの地中としては土壌中を流れる水、又は、流れない宙水や土壌間隙水の双方を含む。なお、この地下水中のVOCsは、土壌に付着したVOCsが溶出したものを含む。
具体的な浄化方法の施行方法には限定は無い。例えば、特開2019−103991号公報の[0017][0018]「0020」に記載の有機ハロゲン化合物分解用金属粉の施行方法を採用しても構わない。該施行方法を一部変更の上再掲すると、以下の通りである。
本発明に係る分解剤は、地下水位以下の所謂、飽和帯の土壌のみならず、水で満たされていない地下水位以上の不飽和帯の土壌、更に掘削後の土壌を含む含水率が5質量%以上の土壌全般及び当該土壌中の水分、並びに地下水において還元作用を発揮し、VOCsを分解すると考えられる。
そして、上記土壌及び地下水への分解剤の添加量は、土壌及び地下水の質質量に対して0.1〜10質量%の範囲とすることが好ましい。これは、鉄粉を0.1質量%以上添加すれば、VOCsの分解速度が担保出来、10質量%以下の添加であれば経済的に好ましいからである。
本発明に係る分解剤を、VOCsで汚染された土壌中及び/又は地下水中へ分散させて鉄粉分散層を敷設する。この鉄粉分散層を敷設する際、当該CEで汚染された土壌及び/又は地下水が存在する領域、更に好ましくは当該領域の近傍へも、前記分解剤を分散させて鉄粉分散層を敷設する。
本発明に係る分解剤を土壌及び地下水に添加して混合し分散させて、鉄粉分散層を敷設するには、原位置処理の場合においては、空気若しくは水等による高圧媒体を利用して地中に分散する方法、又は土壌の場合は地盤改良工事で利用される土木機械を用いて機械的に掘削混合する方法を採ることができる。
一方で、土壌に掘削混合する方法においては、ニーダー、ミキサー、ブレンダー等の混合装置の利用も可能である。特に、掘削する土壌が粘土質等で流動性が低い場合、数個の軸を持つ回転するハンマーによる打撃式混合方法が好ましい。
<5.その他>
本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(有機ハロゲン化合物分解性能評価試験)
以下に実施例を挙げるが、実施例中のVOCsの分解能は、次の手順1〜5に従う試験方法により、cis−1,2−DCEを対象とする分解反応速度定数kobs(単純にkと示す)を算出して評価したものである。
手順1:100mLバイアル瓶に、50mLのイオン交換水と0.5gの分解剤を入れ、フッ素樹脂製ライナー付きブチルゴム栓をアルミニウム・キャップで締め付けて密栓する。
手順2:マイクロシリンジを用いて、cis−1,2−DCE及びベンゼンを各1μL注入する。
手順3:20℃の恒温槽中で1時間静置し、上記バイアル瓶のヘッドスペースガスを1μL採取し、ガスクロマトグラフにて手順1で注入したcis−1,2−DCEのガス濃度を測定、この値を初期濃度(C)とする。
手順4:手順3の測定後、一定時間毎にヘッドスペースガスのガスクロマトグラフによる分析を行い、cis−1,2−DCEのガス濃度をし、その濃度減衰を評価する。
手順5:cis−1,2−DCEの分解反応速度定数k(単位:day−1)は、次式で表すことが出来る。
Ln(C/C)=−k×t ・・・(3)
ここでtは初期濃度測定時からの経過日数を示す。
(実施例1)
原料鉄粉として、平均粒径100μm、見掛密度2.5g/cm、金属鉄含有量が97.6%の還元鉄粉を使用した。この還元鉄粉100g(Feとして97.6gを含む)と共に、硫酸ニッケル・6水和物(NiSO・6HO)を還元鉄粉中の鉄量に対して、ニッケルが1質量%になる量(即ち、Ni/Fe=0.01の比、100質量部のFeに対してNiが1質量部、本実施例では具体的には4.37g)で、容量3.5リットルの円筒型SUS製ポットに投入した。この硫酸ニッケル・6水和物の粒径に関しては、全粒子の30%が600〜2000μmの粒径を有していた。
SUS製ポットには、粉砕メディアとして10mm径のZrOボールをポット内容積に対して50容積%の量で充填し、回転ミルに設置した。回転ミルの回転数を200rpmとし、30分間の粉砕処理を行った。以上の乾式共粉砕(メカノケミカル)法により、硫酸ニッケル圧着鉄粉を調整した。
前記調整された試料をFE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡、型式:JSM−6700F、日本電子株式会社製)を用いて観察したところ、鉄粉粒子(Fe金属相)表面にニッケル及び硫黄(硫酸ニッケル)が直接接合された形態にて点在していた。その様子を示すのが図1である。図1(a)は鉄粉粒子(Fe金属相)のSEM観察で得られた写真であり、図1(b)〜(d)はSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)で得られた元素分布図(いずれもK線)であり、図1(b)はFe、図1(c)はNi、図1(d)はSに関する。
また、前記調整された試料(図1の粒子とは別粒子)をFIB加工により断面を露出させ、該断面を上記FE−SEMにより観察した結果を示すのが図2(倍率1000倍)及び図3(倍率5000倍)である。
図2(a)は鉄粉粒子(Fe金属相)の断面に対するSEM観察(倍率1000倍)で得られた写真であり、図2(b)〜(d)はSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)で得られた元素分布図(いずれもK線)であり、図2(b)はFe、図2(c)はNi、図2(d)はSに関する。
図3(a)は鉄粉粒子(Fe金属相)の断面に対するSEM観察(倍率5000倍)で得られた写真であり、図3(b)〜(d)はSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)で得られた元素分布図(いずれもK線)であり、図3(b)はFe、図3(c)はNi、図3(d)はSに関する。
図2及び図3が示すように、鉄粉粒子(Fe金属相)表面にニッケル及び硫黄(硫酸ニッケル)が直接接合された形態にて点在していることが改めて示された。
更に、前記調整された試料において鉄粉粒子(Fe金属相)表面にニッケル及び硫黄(硫酸ニッケル)が付着したものの割合及び付着せず単体のものの割合を調べた。
手順としては、まず、目開き400μmの金篩で硫酸ニッケル圧着鉄粉を分級した。原料鉄粉は全粒子が250μm以下なので、金篩上の物質を全量、硫酸ニッケルの単体粒子とみなした。
次に、金篩下の産物を500Gの棒磁石を用いて磁選した。
そして、磁着物を、鉄粉及び鉄粉に付着した硫酸ニッケル粒子とみなし、非磁着物を、硫酸ニッケルの単体粒子とみなした。
その結果、本実施例だと、添加した硫酸ニッケル・6水和物4.37gのうち、鉄粉粒子に付着したものが2.75g(63%)であり、鉄粉粒子に付着せず単体として存在したものが1.62g(37%)であった。
更に、この試料について前記有機ハロゲン化合物分解性能評価試験を行った結果を後掲の表1に併記した。
(実施例2〜5)
鉄粉への添加剤である水溶性ニッケル塩として、硫酸ニッケルの種類(結晶水の含有量が異なる硫酸ニッケル)、硫酸ニッケル以外のニッケル塩類(塩化ニッケル、酢酸ニッケル)を使用した以外、実施例1に准じた乾式協粉砕(メカノケミカル)法により水溶性ニッケル塩圧着鉄粉を調整した(実施例2〜5)。
なお、硫酸ニッケル・4水和物及び硫酸ニッケル・1水和物は、それぞれ、実施例1で使用した硫酸ニッケル・6水和物(NiSO・6HO)を、一定温度で加熱乾燥することで得た。
この加熱乾燥は、定温乾燥機内に硫酸ニッケル・6水和物100.0gを薄く敷き詰め、105±5℃及び200±5℃の条件で、それぞれ1時間、加熱乾燥を行った。
105±5℃で加熱乾燥した硫酸ニッケル・6水和物は、100.0gから81.5gヘ減少し、200±5℃で加熱乾燥した硫酸ニッケル・6水和物は、100.0gから66.3gへ減少した。
これらの重量変化より、105±5℃で加熱乾燥して得られたものは硫酸ニッケル・4水和物(重量減少の理論値:86.3g)、200±5℃で加熱乾燥して得られたものは硫酸ニッケル・1水和物(重量減少の理論値:65.8g)がそれぞれ主体の水和物であると評価した。
実施例2に関しては、粉砕処理時間として30分間の粉砕処理を行った。そして、実施例2に関しては、実施例1と同様の手順で、前記調整された試料において鉄粉粒子(Fe金属相)表面にニッケル及び硫黄(硫酸ニッケル)が付着したものの割合及び付着せず単体のものの割合を調べた。その結果、添加した硫酸ニッケル・4水和物3.77gのうち、鉄粉粒子に付着したものが2.98g(79%)であり、鉄粉粒子に付着せず単体として存在したものが0.79g(21%)であった。
実施例2〜5において、硫酸ニッケル・4水和物の粒径、及び硫酸ニッケル・1水和物の粒径に関しては、全粒子の60%が600〜2000μmの粒径を有していた。各例で得られた試料を、前記有機ハロゲン化合物分解性能評価試験を適用の上、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に併記した。
(比較例1〜4)
比較例1として鉄粉への添加剤を用いない場合、比較例2〜4として、水溶性ニッケル塩以外のニッケル粉末を使用し、実施例1に准じた乾式協粉砕(メカノケミカル)法によりニッケル粉圧着鉄粉を調整した。
比較例2では平均粒径70μm、ニッケル含有量が99.8%の金属ニッケル粉を使用した。
比較例3では平均粒径2.5μm、見掛密度0.55g/cm、ニッケル含有量が99.9%のカルボニル法により作製された金属ニッケル粉、比較例4では難溶性ニッケル化合物として、酸化ニッケル(II)を使用した。各例で得られた試料を、前記有機ハロゲン化合物分解性能評価試験を適用の上、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に併記した。
Figure 0006953606
表1の結果より次のことがわかる。
・実施例1、2及び3より水和数によらずVOCsの分解効果が発揮可能である。
・硫酸ニッケル以外の水和物についても、塩化ニッケル、酢酸ニッケルが使用可能である。
比較のために、原料とした還元鉄粉そのもの、あるいは水溶性ニッケル塩に変えて、金属ニッケル粉、難溶性のニッケル塩である水酸化ニッケルを鉄粉表面に圧着させた試料を用いた有機ハロゲン化合物分解性能評価試験の結果、いずれの試料においても分解速度定数は実施例1と比較して著しく低い値を取った。
(実施例6〜11)
Ni/Feの値以外、実施例1に准じた乾式共粉砕(メカノケミカル)法により水溶性ニッケル塩圧着鉄粉を調整した(実施例6〜11)。各例で得られた試料を、前記有機ハロゲン化合物分解性能評価試験を適用の上、実施例1と同様に評価し、その結果を表2に併記した。
Figure 0006953606
表2より以下のことがわかる。即ち、硫酸ニッケル6水和物をもちいた場合、ニッケル添加量は、鉄に対して0.1質量部〜10質量部の範囲で効果がえられ、好ましくは0.2質量部〜4質量部の範囲内となる。
(サンプル保管の影響調査(硫酸による鉄粉表面の酸化影響の調査))
実施例1の試料を、常温で8か月(240日)保管し、調整より120日後、180日後及び240日後に再度、前記有機ハロゲン化合物分解性能評価試験を実施した。結果を表3に示す。
Figure 0006953606
保管の影響、即ち鉄粉のVOCs分解性能劣化は見られず、実施例1の分解剤は、依然としてVOCsの分解剤として有効であった。

Claims (9)

  1. 鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と、水和物からなる水溶性ニッケル塩粒子と、を備え、両粒子の少なくとも一定量は、前記金属粒子上に前記水溶性ニッケル塩粒子が付着した構成を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤。
  2. 前記水溶性ニッケル塩は、水溶時にプロトンを生じさせる塩である、請求項1に記載の有機ハロゲン系化合物分解剤。
  3. 前記水溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケル水和物、硝酸ニッケル水和物、並びに、塩化ニッケル水和物の少なくともいずれかである、請求項1に記載の有機ハロゲン系化合物分解剤。
  4. 前記水溶性ニッケル塩粒子の一部が、前記金属粒子との圧着接合体を構成する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機ハロゲン系化合物分解剤。
  5. 前記水溶性ニッケル塩粒子におけるニッケルの含有量は、前記金属粒子を100質量部としたとき、0.22〜50質量部である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機ハロゲン系化合物分解剤。
  6. 鉄を主成分とする粒径1〜500μmの金属粒子と水和物からなる水溶性ニッケル塩粒子とを乾式共粉砕により機械的に混合して接触させ、衝突圧力により、両粒子の少なくとも一定量を互いに付着させる付着工程を有する、有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法。
  7. 前記付着工程前の前記水溶性ニッケル塩粒子の粒径は300〜5000μmである、請求項6に記載の有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法。
  8. 前記付着工程においては、前記水溶性ニッケル塩粒子の一部を前記金属粒子に接合させる、請求項6又は7に記載の有機ハロゲン系化合物分解剤の製造方法。
  9. 有機ハロゲン系化合物を含有する、土壌及び地下水の少なくともいずれかに対し、請求項1〜5のいずれか一つに記載の有機ハロゲン系化合物分解剤、又は、請求項6〜8のいずれか一つに記載の製造方法により製造された有機ハロゲン系化合物分解剤を接触させることにより、有機ハロゲン系化合物を分解する、土壌又は地下水の浄化方法。
JP2020204660A 2020-10-08 2020-12-10 有機ハロゲン系化合物分解剤、その製造方法、及び、土壌又は地下水の浄化方法 Active JP6953606B1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020170482 2020-10-08
JP2020170482 2020-10-08

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6953606B1 true JP6953606B1 (ja) 2021-10-27
JP2022062660A JP2022062660A (ja) 2022-04-20

Family

ID=78150222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020204660A Active JP6953606B1 (ja) 2020-10-08 2020-12-10 有機ハロゲン系化合物分解剤、その製造方法、及び、土壌又は地下水の浄化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6953606B1 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200190A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 炭化水素及びハロゲン含有有機物燃焼分解除去剤
JP2006326561A (ja) * 2005-05-30 2006-12-07 Kobe Steel Ltd 浄化用鉄系粉末およびその製造方法並びに球状金属Ni微粒子の製造方法
JP2010125400A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Jfe Mineral Co Ltd 有機ハロゲン化合物に汚染された土壌・地下水の浄化剤及びその製造方法
JP2010194450A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Tosoh Corp 有機ハロゲン化物の浄化方法
JP2010194451A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Tosoh Corp 有機ハロゲン化物浄化剤及びそれを用いた浄化方法
JP2011241373A (ja) * 2010-04-23 2011-12-01 Tosoh Corp 有機ハロゲン化物浄化剤及びそれを用いた浄化方法
JP2012126905A (ja) * 2012-01-23 2012-07-05 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 有機化合物分解材及びそれを用いた土壌または水の処理方法
WO2019054214A1 (ja) * 2017-09-13 2019-03-21 株式会社大阪ソーダ 重金属処理剤および重金属処理剤の製造方法
JP2019151825A (ja) * 2018-02-28 2019-09-12 株式会社栗本鐵工所 有機汚染物質の浄化剤及びその製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200190A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 炭化水素及びハロゲン含有有機物燃焼分解除去剤
JP2006326561A (ja) * 2005-05-30 2006-12-07 Kobe Steel Ltd 浄化用鉄系粉末およびその製造方法並びに球状金属Ni微粒子の製造方法
JP2010125400A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Jfe Mineral Co Ltd 有機ハロゲン化合物に汚染された土壌・地下水の浄化剤及びその製造方法
JP2010194450A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Tosoh Corp 有機ハロゲン化物の浄化方法
JP2010194451A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Tosoh Corp 有機ハロゲン化物浄化剤及びそれを用いた浄化方法
JP2011241373A (ja) * 2010-04-23 2011-12-01 Tosoh Corp 有機ハロゲン化物浄化剤及びそれを用いた浄化方法
JP2012126905A (ja) * 2012-01-23 2012-07-05 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 有機化合物分解材及びそれを用いた土壌または水の処理方法
WO2019054214A1 (ja) * 2017-09-13 2019-03-21 株式会社大阪ソーダ 重金属処理剤および重金属処理剤の製造方法
JP2019151825A (ja) * 2018-02-28 2019-09-12 株式会社栗本鐵工所 有機汚染物質の浄化剤及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022062660A (ja) 2022-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhao et al. Dependence of catalytic properties of Al/Fe2O3 thermites on morphology of Fe2O3 particles in combustion reactions
Chen et al. AuPd bimetallic nanoparticles decorated on graphene nanosheets: their green synthesis, growth mechanism and high catalytic ability in 4-nitrophenol reduction
Razavi-Tousi et al. Effect of addition of water-soluble salts on the hydrogen generation of aluminum in reaction with hot water
CN103708560B (zh) 一种纳米三氧化钨粉末的制备方法
AU2012232759B2 (en) Method for producing silver nanofilaments
Chen et al. Effect of La2O3 addition on the synthesis of tungsten nanopowder via combustion-based method
Cao et al. Lead-chlorine synergistic immobilization mechanism in municipal solid waste incineration fly ash (MSWIFA)-based magnesium potassium phosphate cement
Andrés-Vergés et al. Core/shell magnetite/bismuth oxide nanocrystals with tunable size, colloidal, and magnetic properties
Zou et al. In-situ and self-distributed: A new understanding on catalyzed thermal decomposition process of ammonium perchlorate over Nd2O3
Lu et al. Fabrication, characterization, and formation mechanism of hollow spindle-like hematite via a solvothermal process
JP6953606B1 (ja) 有機ハロゲン系化合物分解剤、その製造方法、及び、土壌又は地下水の浄化方法
CN102031093A (zh) 一种纳米无水防冻液的制备方法及其制备的纳米无水防冻液
CN107442130A (zh) 一种坡缕石负载型铜锰氧化物及其制备方法和应用
US20210197267A1 (en) Micro-nanostructure manufactured using amorphous nanostructure and manufacturing method therefor
CN102770370B (zh) 合成金属复合氧化物的方法和通过其获得的金属复合氧化物
Kang et al. Surfactant-assisted electrochemical method for dendritic silver nanocrystals with advanced structure
Tran et al. Configuration of microbially synthesized Pd–Au nanoparticles studied by STEM-based techniques
de Albuquerque Brocchi et al. Reduction reactions applied for synthesizing different nano-structured materials
Pan et al. Synthesis of nanostructured M/Fe3O4 (M= Ag, Cu) composites using hexamethylentetramine and their electrocatalytic properties
KR20140124250A (ko) 초미립 텅스텐카바이드-코발트 복합분말의 제조방법
RU2009138819A (ru) Нанокомпозитный материал на основе минеральных вяжущих
TWI713664B (zh) 砷之不溶化材及不溶化方法
Wang et al. Effects of different functional group-containing organics on morphology-controlled synthesis of silver nanoparticles at room temperature
JPH1161125A (ja) 地盤注入材
JP2007070133A (ja) セメント組成物用微粒子シリカスラリーの製造方法及びそのセメント組成物用微粒子シリカスラリー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201210

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20201210

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20210128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210921

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6953606

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150