JP6953257B2 - 消耗電極式アーク溶解炉の操業方法および、消耗電極式アーク溶解炉 - Google Patents

消耗電極式アーク溶解炉の操業方法および、消耗電極式アーク溶解炉 Download PDF

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Description

この発明は、消耗電極を、その上端に取り付けたスタブを介してスティンガーロッドで把持させ、該スティンガーロッドにより消耗電極をるつぼ内で吊下げ支持して通電することで、消耗電極とるつぼ内の鋳塊の溶湯プールとの間に発生するアーク熱によって消耗電極を溶解させる消耗電極式アーク溶解炉に関するものであり、特には、スタブとスティンガーロッドとの物理的及び電気的な接続の信頼性を向上させることのできる技術を提案するものである。
たとえば、チタン、ジルコニウム、タンタル、モリブデンといった高融点活性金属またはその合金等のインゴットを製造するためのこの種のアーク溶解炉は、水冷銅るつぼ中の溶湯との間に真空下でアークを生じさせる真空アーク再溶解(VAR)等に用いられることがある。
かかるアーク溶解炉の一例として図2に示す消耗電極式アーク溶解炉21は、主として、消耗電極22が内部に配置されるるつぼ23と、消耗電極22の上端に取り付けた接続用冶具としてのスタブ24と、スタブ24を把持して、消耗電極22をるつぼ23内で吊下げ支持するとともに昇降変位させるスティンガーロッド25とを備え、スティンガーロッド25の下端側には、スタブ24を把持するクランプ部25aが設けられている。なお、この消耗電極式アーク溶解炉21はさらに、るつぼ23の周囲に配置した水冷ジャケット26及び、るつぼ23の上方側に配置されてその内部を真空チャンバーに区画する真空タンク27、ならびに、図示しない電源、ケーブルその他の所要の設備を備えるものである。
消耗電極式アーク溶解炉21を用いて真空アーク再溶解を行うには、電源の一端をスティンガーロッド25に接続するとともに他端をるつぼ23に接続し、真空タンク27をセットして、るつぼ23内を真空チャンバーにする。その状態で、スティンガーロッド25の作動に基き、消耗電極22の下端をるつぼ23の底部に近接させて通電することにより、スティンガーロッド25からスタブ24を経て電流が流れる消耗電極22を一方の電極とし、るつぼ23を他方の電極として、溶解で形成される鋳塊上部の溶湯プールと消耗電極22の先端との間に真空下でアークを生じさせる。そして、そのアークにより局所的に発する高熱により、消耗電極22を加熱して溶解させることができる。
このようなアーク溶解法に関する技術として従来は、特許文献1〜6に記載されたもの等がある。
なお、スタブ24を把持するスティンガーロッド25は、図3に示すように、スタブ24を把持するクランプ部25aの他、消耗電極22の重量を支える支持外管28、支持外管28の内側に位置して支持外管28に対する軸線方向に沿う相対変位が可能な通電内管29、及び、支持外管28に対して通電内管29を相対変位させるエアシリンダー等の押圧機構30等により構成される。
スティンガーロッド25の、スタブ24との電気的及び物理的な接続は、押圧機構30の作動により、図4に示すように、支持外管28に対して通電内管29を、スタブ24側の下方側に向けて移動させることで実現することができる。具体的には、通電内管29の当該移動に伴い、クランプ部25a内で支持外管28の下端側部分内に格納されたボールチャック31が外周側に押し出され、スタブ24の上端面に設けた凹部24aの内側面の窪みに嵌り込んで両者が連結されるとともに、通電内管29の下端側の先端部を構成するロッドプラグ29aが、スタブ24の凹部24a内のスタブソケット24bに接触し、そこでスティンガーロッド25からスタブ24、ひいては消耗電極22への通電が可能になる。
米国特許第3202751号明細書 米国特許第3215974号明細書 米国特許第3293347号明細書 特許第3005641号公報 特開2006−66156号公報 特開2009−46715号公報
ところで一般に、消耗電極式アーク溶解炉21のスタブ24は、アーク溶解を実施する度に消耗される消耗電極22とは異なり、溶解終了後にそれが取り付けられている消耗電極22の未溶解残部から切り離され、次の溶解で再度用いられる。
ここで、スタブ24は繰り返し使用していると、熱や押圧力等の作用に起因してスタブソケット24bその他の部分に変形が生じ、これに伴って、スタブソケット24bに接触するロッドプラグ29aとしての先端部を有する通電内管29の、押圧機構30による下方側へのストローク量が変化することが解かった。
そして、このストローク量の変化を考慮せず、押圧機構30で下降される通電内管29のロッドプラグ29aがスタブソケット24bに十分に接触していない状態で、アーク溶解を行った場合は、溶解中にスタブ24とスティンガーロッド25との間の接触面積が相対的に大きな箇所で抵抗発熱により高温が生じ、スタブ24のスタブソケット24bやボールチャック31近傍の部分が軟化して大きく変形する。それにより、消耗電極22がクランプ部25aから外れて落下し、また製品不良が発生するという問題があった。
この一方で、ロッドプラグ29aとスタブソケット24bとの接触面積を無理に確保しようとして、押圧機構30によって通電内管29を下降させすぎた場合は、ボールチャック31の球体の破損や、スタブ24の凹部24aの内側面の変形が生じる。
要するに、ある程度の回数もしくは期間で繰り返し使用されたスタブ24は部分的ないし全体的な交換ないし修繕が必要であるにも関わらず、従来は、スタブ24を交換ないし修繕すべき時期を把握することができずに、そのまま使用し続けた結果として、上述したような事故や故障等が生じていた。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、繰り返し使用されるスタブを補修すべき時期を適切に把握し、スタブとスティンガーロッドとの物理的及び電気的な接続の信頼性を高めることのできる消耗電極式アーク溶解炉の操業方法および、消耗電極式アーク溶解炉を提供することにある。
この発明の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法は、内部に消耗電極が配置されるるつぼ、消耗電極の上端に取り付けられるスタブ、及び、スタブを把持して、るつぼ内で消耗電極を吊下げ支持するとともに消耗電極を昇降変位させることが可能なスティンガーロッドを備え、前記スティンガーロッドが、消耗電極の支持を担う支持外管と、支持外管の内側で支持外管に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置され、先端部をスタブに接触させて電源からの電流をスタブへ流す通電内管と、支持外管に対して通電内管を相対変位させ、通電内管の先端部をスタブに向けて押圧する押圧機構とを有してなる消耗電極式アーク溶解炉を操業する方法であって、通電内管の先端部とスタブとの接触状態の確認を行うに当り、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測することにある。
この発明の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法では、前記通電内管のストローク量の計測に、スティンガーロッドに取り付けた変位センサー、なかでも特に超音波式変位センサーを用いることが好ましい。
この場合、前記通電内管のストローク量を、前記変位センサーからの信号を受信することのできるモニターで観測することが好適である。
また、この発明の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法では、前記スタブが、スティンガーロッドの通電内管の先端部に接触するスタブソケットを有し、前記通電内管のストローク量の計測結果に応じて、スタブソケットの交換及び、スタブの修繕のうちの少なくとも一方を行うことが好ましい。
なお、この発明の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法では、前記通電内管の計測されたストローク量が設定許容範囲を外れた場合に、警報を発することが好ましい。
また、この発明の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法では、前記通電内管のストローク量の計測を含む前記接触状態の確認を、当該消耗電極式アーク溶解炉を用いたアーク溶解を実施する度に、そのアーク溶解の通電に先立って行うことが好ましい。
この発明の消耗電極式アーク溶解炉は、内部に消耗電極が配置されるるつぼ、消耗電極の上端に取り付けられるスタブ、及び、スタブを把持して、るつぼ内で消耗電極を吊下げ支持するとともに消耗電極を昇降変位させることが可能なスティンガーロッドを備え、前記スティンガーロッドが、消耗電極を保持する支持外管と、支持外管の内側で支持外管に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置され、先端部をスタブに接触させて電源からの電流をスタブへ流す通電内管と、支持外管に対して通電内管を相対変位させ、通電内管の先端部をスタブに向けて押圧する押圧機構とを有し、スティンガーロッド及びスタブを介する消耗電極への通電ならびに、るつぼへの通電により、消耗電極とるつぼ内の溶湯プールとの間にアークを生じさせ、その熱により消耗電極を溶解させる消耗電極式アーク溶解炉であって、スティンガーロッドに、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測する変位センサーを取り付けてなるものである。
この発明の消耗電極式アーク溶解炉では、前記変位センサーを超音波式変位センサーとすることが好ましい。
また、この発明の消耗電極式アーク溶解炉は、前記変位センサーに有線もしくは無線で接続されて、前記通電内管のストローク量に関する信号を、前記変位センサーから受信することのできるモニターをさらに備えることが好ましい。
なお、この発明の消耗電極式アーク溶解炉は、前記変位センサーにより計測された通電内管のストローク量が設定許容範囲を外れた場合に、警報を発する警報装置をさらに備えることが好ましい。
この発明によれば、通電内管の先端部とスタブとの接触状態の確認を行うに当り、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測することができるので、当該ストローク量の変化を通じてスタブの状態変化を監視することができ、それにより、繰り返し使用されるスタブの補修すべき時期を適切に把握することができる。その結果として、スタブとスティンガーロッドとの物理的及び電気的な接続の信頼性を高めることが可能になる。
この発明の一の実施形態に係る消耗電極式アーク溶解炉の操業方法を示す、中心軸線に沿う部分断面図である。 消耗電極式アーク溶解炉の一例を示す、中心軸線に沿う断面図である。 図2の消耗電極式アーク溶解炉のスティンガーロッドを示す部分断面図である。 図2の消耗電極式アーク溶解炉のスティンガーロッドとスタブとの接続箇所を示す部分断面図である。
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の操業方法は、図2に例示するような消耗電極式アーク溶解炉21を用いて実施することができる。この消耗電極式アーク溶解炉21は、先に述べたところと重複するものもあるが、図2に示すように、消耗電極22が内部に配置されるるつぼ23と、消耗電極22の上端の略中央域に溶接等により取り付けられる実質的に円柱状等のスタブ24と、たとえばスティンガーロッド25の下端側にスタブ24を把持するクランプ部25aが設けられ、当該クランプ部25a等でスタブ24を把持することにより、スタブ24が取り付けられた消耗電極22を、るつぼ23内で吊下げ支持するとともに昇降変位させることのできるスティンガーロッド25と、るつぼ23の周囲に配置された水冷ジャケット26と、るつぼ23の上方側に配置されてその内部を真空チャンバーに区画する真空タンク27とを備えるものであり、その他にさらに、図示しない電源、ケーブル等の設備が含まれる。
なおここで、円筒状その他の所定の形状をなす銅製等のるつぼ23は、消耗電極式アーク溶解炉21の使用に際し、その上方側に真空タンク27が気密に取り付けられて内部が真空チャンバーに区画された状態で、アーク溶解の実施により消耗電極22が溶解した溶湯を貯留するとともに、水冷ジャケット26による冷却作用に基き、当該溶湯を冷却固化させるべく機能する。
またここで、消耗電極22としては、粒状等の原料粉末を圧縮成形して得られた円形断面の柱状もしくは棒状等の成形体を束ねて溶接したもの又は、一回以上溶解された同様の形状の鋳塊等を用いることができる。消耗電極22は、一回のアーク溶解の実施の都度、溶解された後に冷却されて所期したインゴットになるものであり、アーク溶解の開始前に、新たな消耗電極22が消耗電極式アーク溶解炉21に、スティンガーロッド25に把持されるスタブ24を介して配置される。
これに対し、スタブ24は繰り返し用いることができるものであって、アーク溶解の開始前に、消耗電極22に溶接等によって取り付けられるとともに、その終了後に、溶解されずに残った消耗電極22の上端側残部から切り離される。
なお、スタブ24は、図4に示すように、そのスタブ24の上端面から窪む凹部24a内の底部にスタブソケット24bが設けられており、銅その他の導電性金属材料からなるこのスタブソケット24bは、上方側に向かうに従い内径が増大するテーパ内面を有するものであって、スティンガーロッド25との間での電気的な接続に用いられる。
そしてまた、スタブ24を把持して消耗電極22を昇降変位させるべく駆動されるスティンガーロッド25は、図3に示すように、概して、消耗電極式アーク溶解炉21の図示しない固定部に連結されて、消耗電極22の重量を支える支持外管28と、支持外管28の内側に支持外管28に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置されて、先端部に、上記のスタブソケット24bと接触するロッドプラグ29aが設けられた通電内管29と、支持外管28に対して通電内管29を相対変位させ、ロッドプラグ29aをスタブソケット24bに向けて押圧するエアシリンダー等の押圧機構30とを含む。銅等の導電性金属製のロッドプラグ29aは、円柱基部と、円柱基部より下方側に位置して、スタブソケット24bのテーパ内面に対応するテーパ外面を有する円錐台先端部とで構成されて、スタブソケット24bと電気的に接続される。なお、スタブソケット24b及びロッドプラグ29aはいずれも、銅、なかでも、JIS C1020に規定される無酸素銅からなるものとすることが、通電性の観点から好ましい。
また、このスティンガーロッド25では、スタブ24との物理的接続を実現するため、図4に示すように、支持外管28の下端側部分に、その周方向に等間隔に複数個の貫通孔31aが形成されるとともに、それらの各貫通孔31aに嵌め込まれた複数個の球体からなるボールチャック31が設けられており、これに対応させて、スタブ24の凹部24aの内側面には、該内側面から部分的に窪んだ球体受容部24cが設けられている。このような構造により、先端側部分に先端側に向けて次第に先細りになる外周面を有する通電内管29が、押圧機構30で支持外管28に対して下降させられると、通電内管29の当該外周面が、支持外管28のボールチャック31の球体を外周側に押し出し、その押し出された球体が、スタブ24の球体受容部24c内に食い込む。これにより、スティンガーロッド25とスタブ24が連結される。
このような消耗電極式アーク溶解炉21を用いた真空アーク再溶解では、既に一回以上溶解された鋳塊を消耗電極22として用いることとし、電源の一端をスティンガーロッド25に接続するとともに電源の他端をるつぼ23に接続し、真空タンク27をるつぼ23の上方側に取り付けて、るつぼ23内を真空引きして真空チャンバーにする。
その後、スティンガーロッド25を作動させて消耗電極22の下端をるつぼ23の底部に近接させ、スティンガーロッド25からスタブ24を通して消耗電極22に通電するとともに、るつぼ23に通電する。それにより、消耗電極22が一方の電極となり、るつぼ23が他方の電極となって、溶解で形成される鋳塊上部の溶湯プールと消耗電極22の先端との間にアークを生じさせる。ここでは、このアークによる高熱が、消耗電極22を加熱して溶解させ、るつぼ23内に溶湯をもたらす。かかる溶湯は、るつぼ23の周囲に配置した水冷ジャケット26により冷却されて凝固し、所望のインゴットを製造することができる。
ここにおいて、溶解終了後に消耗電極22の溶け残りの上端残部から切り離して繰り返し用いるスタブ24は、その使用の回数ないし時間を重ねるに従い、溶解中に水冷されないスタブ24に生じる高温のジュール熱や、ボールチャック31の球体からの力の作用等によって、スタブソケット24bや凹部24aの球体受容部24c近傍その他の部分が変形することがある。
そして、そのようなスタブ24の変形は、押圧機構30による通電内管29の下方側へのストローク量を変化させるところ、それにも関わらず、これまでと同様の条件の下で通電内管29を下降させてアーク溶解を行うと、ロッドプラグ29aとスタブソケット24bとの所要の接触面積が確保されていない状態で通電させることになる場合がある。この場合、ロッドプラグ29aとスタブソケット24bとの接触面のうちの部分的に接触面積が大きい箇所が抵抗発熱によって高温となって、スタブソケット24aが大きく変形し、その結果として、甚だしくは、消耗電極22がクランプ部25aから外れて落下したり、製品不良が発生したりする。
また、押圧機構30によって通電内管29を過剰に下降させると、ボールチャック31の球体の破損や、スタブ24の凹部24aの球体受容部24cの変形が生じる。
このような事故や故障、不具合の発生を防止するため、この実施形態では、押圧機構30の作動による支持外管28内での通電内管29のストローク量を計測し、その計測結果を基に、通電内管29のロッドプラグ29aとスタブ24のスタブソケット24bとの接触状態の確認を行う。
一般にスタブ24は使用回数を重ねると、通電内管29のストローク量を減少させる傾向にあるので、たとえば、通電内管29のストローク量の下限閾値を設定し、その設定下限閾値を下回った値が計測された場合に、スタブソケット24bの交換や、スタブ24の修繕、たとえば機械加工を行うことができる。それにより、上述したような事故ないし不具合の発生を有効に防止することができる。下限閾値に加えて、又はそれに代えて、通電内管29のストローク量の上限閾値を設定し、ストローク量の下限側のみらなず上限側も管理できることは勿論である。下限閾値及び上限閾値の両方を設定した場合、つまりストローク量の許容範囲を設定した場合は、より信頼性が高まる。
通電内管29のストローク量の計測は、消耗電極式アーク溶解炉21を用いたアーク溶解を実施する都度、そのアーク溶解の通電前に行うことが、各アーク溶解での事故等の発生を防止することができて、安全性をより高めることができる点で好適である。なお、溶解中は、クランプ部25aのボールチャック31がスタブ24をチャックした状態した状態であり、ここでボールチャック31のチャックを解放すると消耗電極22が落下してしまうので、通電内管29のストローク量の計測が困難である。
通電内管29のストローク量の計測値が、設定下限閾値を下回った場合、設定上限閾値を上回った場合または、設定範囲から外れた場合は、たとえば、消耗電極22のセット前に、公知の警報装置等から、たとえば可聴の警報を発する等して、そのスタブ24の更なる使用を禁止する措置を講ずることができる。
また、通電内管29のストローク量の計測は、マイクロメーターまたは、各種変位センサーその他の種々の計測器を用いて行うことができるが、なかでも、図1に例示するように、変位センサー1を消耗電極式アーク溶解炉21の特にスティンガーロッド25に取り付けて用いることが好ましい。これはすなわち、マイクロメーターを用いる場合、作業性が悪いだけでなく、一般に高所に位置する押圧機構30としてのエアシリンダーのピストンストローク量又は、通電内管29が支持外管28から露出する部分を計測することになるが、地上5メートル程の高所作業となるからである。
一方、変位センサー1を用いる場合は、変位センサー1を、図1に示すように有線で、又は無線でモニター2に接続することができ、この場合、低所に設置することのできるモニター2により、連続的もしくは定期的に又は、要求した際に、通電内管29のストローク量の計測値を取得及び確認することができるので、高所作業が不要になる。
なお、図1に示すところでは、変位センサー1は、支持外管28から通電内管29の露出する上端側部分に取り付け、支持外管28の上端フランジ28aの上端面との間の距離Dを測定することにより、通電内管29のストローク量を計測するものとしているが、変位センサー1による測定距離及び、その取付け箇所はこれに限らず、支持外管28に対する通電内管29の相対変位または、エアシリンダーのピストンストローク量等、それを測定できる様々な箇所とすることができる。
変位センサー1としては、接触式変位センサーや、非接触式変位センサー、具体的には光学式変位センサー、レーザーフォーカス式変位センサー、過電流式変位センサー、超音波式変位センサー、静電容量式変位センサー等といった種々のものを用いることができるが、なかでも、非接触の超音波式変位センサーが好ましい。超音波式変位センサーは、レーザー式変位センサー等に比して、消耗電極式アーク溶解炉21の周囲に存在することの多い粉塵の影響を受けにくく、高い精度での計測が可能である。
次に、この発明の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法を試験的に実施し、その効果を確認したので、以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(実施例1)
図1〜4に示す構造を有する消耗電極式アーク溶解炉において、消耗電極をセットするに当り、変位センサーを用いて、スティンガーロッドの通電内管のストローク量を計測した。変位センサーは、キーエンス社製の超音波変位センサー(UD−300シリーズ、センサヘッド:KEYENCE UD−310、アンプユニット:KEYENCE UD−300)とした。
ここで、通電内管のストローク量の設定許容範囲は、69mm〜74mmとした。この設定許容範囲は、消耗電極を装着していない状態での移動距離の63mmに、余裕代としてのボールチャックの食い込み量、スタブソケットとロッドプラグとの適応量および、外管の熱膨張量を足し合わせて決定したものである。
消耗電極を装着する前の状態での通電内管のストローク量は63mmであった。
次に、新品のスタブソケットを有するスタブを消耗電極に溶接し、その消耗電極を装着した状態で計測したところ、通電内管のストローク量は71mmであった。この値は上記の設定許容範囲内であったので、最大電流42KAとし、純チタン2種相当材(酸素含有量[%O]=0.10)の消耗電極(重量:15.3Ton)の1次溶解を、内径が1185mmのるつぼを用いて行った。溶解終了時に、通電内管のストローク量を確認したところ、71mmであった。
(実施例2)
20回の溶解(累計溶解重量:300ton)を繰り返し行った後のスタブを、純チタンの一次溶解用の消耗電極(重量:15.3ton)に溶接し、その消耗電極を装着した状態で、通電内管のストローク量を計測した。その際に計測された通電内管のストローク量は67mmであった。これは上述した設定許容範囲を下回る値であったので、接触不良と判断して、スタブソケットを新品のものに交換した後に再度、通電内管のストローク量を計測したところ、通電内管のストローク量は70mmであった。スタブソケット交換後のこのストローク量は設定許容範囲内であったので、実施例1と同様の条件にてアーク溶解を行った結果、問題なく実施することができた。
(実施例3)
33回の溶解(累計溶解重量:300ton)を繰り返し行った後のスタブを、純チタンの一次溶解用の消耗電極(重量:15.3ton)に溶接し、その消耗電極を装着した状態で、通電内管のストローク量を計測した。その際に計測された通電内管のストローク量は66mmであった。これは上述した設定許容範囲を下回る値であったので、接触不良と判断して、スタブソケットを新品のものに交換した後に再度、通電内管のストローク量を計測したが、通電内管のストローク量は68mmであり、再び設定許容範囲を下回った。そのため、スタブ本体側の不良と判断し、スタブ本体を交換して通電内管のストローク量を計測したところ、通電内管のストローク量は71mmとなった。スタブ本体交換後のこのストローク量は設定許容範囲内であったので、実施例1と同様の条件にてアーク溶解を行った結果、問題なく実施することができた。
(比較例1)
上述した変位センサーによるストローク量の計測を行わず、最大電流を42KAとしたことを除いて実施例1とほぼ同様の条件にてアーク溶解を行ったところ、10回前後の溶解の途中で、スタブの球体受容部が熱変形し、消耗電極の落下事故が起こった。このときのストローク量は設定許容範囲から外れていたと推測される。
以上より、この発明によれば、スタブを補修すべき時期を適切に把握できることが解った。
1 変位センサー
2 モニター
21 消耗電極式アーク溶解炉
22 消耗電極
23 るつぼ
24 スタブ
24a 凹部
24b スタブソケット
24c 球体受容部
25 スティンガーロッド
25a クランプ部
26 水冷ジャケット
27 真空タンク
28 支持外管
28a 上端フランジ
29 通電内管
29a ロッドプラグ
30 押圧機構(エアシリンダー)
31 ボールチャック
31a 貫通孔
D 変位センサーと支持外管の上端フランジの上端面との間の距離

Claims (11)

  1. 内部に消耗電極が配置されるるつぼ、消耗電極の上端に取り付けられるスタブ、及び、スタブを把持して、るつぼ内で消耗電極を吊下げ支持するとともに消耗電極を昇降変位させることが可能なスティンガーロッドを備え、前記スティンガーロッドが、消耗電極の支持を担う支持外管と、支持外管の内側で支持外管に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置され、先端部をスタブに接触させて電源からの電流をスタブへ流す通電内管と、支持外管に対して通電内管を相対変位させ、通電内管の先端部をスタブに向けて押圧する押圧機構とを有してなる消耗電極式アーク溶解炉を操業する方法であって、
    通電内管の先端部とスタブとの接触状態の確認を行うに当り、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測する、消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  2. 前記通電内管のストローク量の計測に、スティンガーロッドに取り付けた変位センサーを用いる、請求項1に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  3. 前記変位センサーを超音波式変位センサーとする、請求項2に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  4. 前記通電内管のストローク量を、前記変位センサーからの信号を受信することのできるモニターで観測する、請求項2又は3に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  5. 前記スタブが、スティンガーロッドの通電内管の先端部に接触するスタブソケットを有し、前記通電内管のストローク量の計測結果に応じて、スタブソケットの交換及び、スタブの修繕のうちの少なくとも一方を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  6. 前記通電内管の計測されたストローク量が設定許容範囲を外れた場合に、警報を発する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  7. 前記通電内管のストローク量の計測を含む前記接触状態の確認を、当該消耗電極式アーク溶解炉を用いたアーク溶解を実施する度に、そのアーク溶解の通電に先立って行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
  8. 内部に消耗電極が配置されるるつぼ、消耗電極の上端に取り付けられるスタブ、及び、スタブを把持して、るつぼ内で消耗電極を吊下げ支持するとともに消耗電極を昇降変位させることが可能なスティンガーロッドを備え、前記スティンガーロッドが、消耗電極を保持する支持外管と、支持外管の内側で支持外管に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置され、先端部をスタブに接触させて電源からの電流をスタブへ流す通電内管と、支持外管に対して通電内管を相対変位させ、通電内管の先端部をスタブに向けて押圧する押圧機構とを有し、
    スティンガーロッド及びスタブを介する消耗電極への通電ならびに、るつぼへの通電により、消耗電極とるつぼ内の溶湯プールとの間にアークを生じさせ、その熱により消耗電極を溶解させる消耗電極式アーク溶解炉であって、
    スティンガーロッドに、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測する変位センサーを取り付けてなる消耗電極式アーク溶解炉。
  9. 前記変位センサーを超音波式変位センサーとしてなる請求項8に記載の消耗電極式アーク溶解炉。
  10. 前記変位センサーに有線もしくは無線で接続されて、前記通電内管のストローク量に関する信号を、前記変位センサーから受信することのできるモニターをさらに備える請求項8又は9に記載の消耗電極式アーク溶解炉。
  11. 前記変位センサーにより計測された通電内管のストローク量が設定許容範囲を外れた場合に、警報を発する警報装置をさらに備える請求項8〜10のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉。
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