JP6953257B2 - 消耗電極式アーク溶解炉の操業方法および、消耗電極式アーク溶解炉 - Google Patents
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Description
このようなアーク溶解法に関する技術として従来は、特許文献1〜6に記載されたもの等がある。
ここで、スタブ24は繰り返し使用していると、熱や押圧力等の作用に起因してスタブソケット24bその他の部分に変形が生じ、これに伴って、スタブソケット24bに接触するロッドプラグ29aとしての先端部を有する通電内管29の、押圧機構30による下方側へのストローク量が変化することが解かった。
要するに、ある程度の回数もしくは期間で繰り返し使用されたスタブ24は部分的ないし全体的な交換ないし修繕が必要であるにも関わらず、従来は、スタブ24を交換ないし修繕すべき時期を把握することができずに、そのまま使用し続けた結果として、上述したような事故や故障等が生じていた。
この場合、前記通電内管のストローク量を、前記変位センサーからの信号を受信することのできるモニターで観測することが好適である。
また、この発明の消耗電極式アーク溶解炉は、前記変位センサーに有線もしくは無線で接続されて、前記通電内管のストローク量に関する信号を、前記変位センサーから受信することのできるモニターをさらに備えることが好ましい。
この発明の一の実施形態の操業方法は、図2に例示するような消耗電極式アーク溶解炉21を用いて実施することができる。この消耗電極式アーク溶解炉21は、先に述べたところと重複するものもあるが、図2に示すように、消耗電極22が内部に配置されるるつぼ23と、消耗電極22の上端の略中央域に溶接等により取り付けられる実質的に円柱状等のスタブ24と、たとえばスティンガーロッド25の下端側にスタブ24を把持するクランプ部25aが設けられ、当該クランプ部25a等でスタブ24を把持することにより、スタブ24が取り付けられた消耗電極22を、るつぼ23内で吊下げ支持するとともに昇降変位させることのできるスティンガーロッド25と、るつぼ23の周囲に配置された水冷ジャケット26と、るつぼ23の上方側に配置されてその内部を真空チャンバーに区画する真空タンク27とを備えるものであり、その他にさらに、図示しない電源、ケーブル等の設備が含まれる。
なお、スタブ24は、図4に示すように、そのスタブ24の上端面から窪む凹部24a内の底部にスタブソケット24bが設けられており、銅その他の導電性金属材料からなるこのスタブソケット24bは、上方側に向かうに従い内径が増大するテーパ内面を有するものであって、スティンガーロッド25との間での電気的な接続に用いられる。
また、押圧機構30によって通電内管29を過剰に下降させると、ボールチャック31の球体の破損や、スタブ24の凹部24aの球体受容部24cの変形が生じる。
図1〜4に示す構造を有する消耗電極式アーク溶解炉において、消耗電極をセットするに当り、変位センサーを用いて、スティンガーロッドの通電内管のストローク量を計測した。変位センサーは、キーエンス社製の超音波変位センサー(UD−300シリーズ、センサヘッド:KEYENCE UD−310、アンプユニット:KEYENCE UD−300)とした。
次に、新品のスタブソケットを有するスタブを消耗電極に溶接し、その消耗電極を装着した状態で計測したところ、通電内管のストローク量は71mmであった。この値は上記の設定許容範囲内であったので、最大電流42KAとし、純チタン2種相当材(酸素含有量[%O]=0.10)の消耗電極(重量:15.3Ton)の1次溶解を、内径が1185mmのるつぼを用いて行った。溶解終了時に、通電内管のストローク量を確認したところ、71mmであった。
20回の溶解(累計溶解重量:300ton)を繰り返し行った後のスタブを、純チタンの一次溶解用の消耗電極(重量:15.3ton)に溶接し、その消耗電極を装着した状態で、通電内管のストローク量を計測した。その際に計測された通電内管のストローク量は67mmであった。これは上述した設定許容範囲を下回る値であったので、接触不良と判断して、スタブソケットを新品のものに交換した後に再度、通電内管のストローク量を計測したところ、通電内管のストローク量は70mmであった。スタブソケット交換後のこのストローク量は設定許容範囲内であったので、実施例1と同様の条件にてアーク溶解を行った結果、問題なく実施することができた。
33回の溶解(累計溶解重量:300ton)を繰り返し行った後のスタブを、純チタンの一次溶解用の消耗電極(重量:15.3ton)に溶接し、その消耗電極を装着した状態で、通電内管のストローク量を計測した。その際に計測された通電内管のストローク量は66mmであった。これは上述した設定許容範囲を下回る値であったので、接触不良と判断して、スタブソケットを新品のものに交換した後に再度、通電内管のストローク量を計測したが、通電内管のストローク量は68mmであり、再び設定許容範囲を下回った。そのため、スタブ本体側の不良と判断し、スタブ本体を交換して通電内管のストローク量を計測したところ、通電内管のストローク量は71mmとなった。スタブ本体交換後のこのストローク量は設定許容範囲内であったので、実施例1と同様の条件にてアーク溶解を行った結果、問題なく実施することができた。
上述した変位センサーによるストローク量の計測を行わず、最大電流を42KAとしたことを除いて実施例1とほぼ同様の条件にてアーク溶解を行ったところ、10回前後の溶解の途中で、スタブの球体受容部が熱変形し、消耗電極の落下事故が起こった。このときのストローク量は設定許容範囲から外れていたと推測される。
2 モニター
21 消耗電極式アーク溶解炉
22 消耗電極
23 るつぼ
24 スタブ
24a 凹部
24b スタブソケット
24c 球体受容部
25 スティンガーロッド
25a クランプ部
26 水冷ジャケット
27 真空タンク
28 支持外管
28a 上端フランジ
29 通電内管
29a ロッドプラグ
30 押圧機構(エアシリンダー)
31 ボールチャック
31a 貫通孔
D 変位センサーと支持外管の上端フランジの上端面との間の距離
Claims (11)
- 内部に消耗電極が配置されるるつぼ、消耗電極の上端に取り付けられるスタブ、及び、スタブを把持して、るつぼ内で消耗電極を吊下げ支持するとともに消耗電極を昇降変位させることが可能なスティンガーロッドを備え、前記スティンガーロッドが、消耗電極の支持を担う支持外管と、支持外管の内側で支持外管に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置され、先端部をスタブに接触させて電源からの電流をスタブへ流す通電内管と、支持外管に対して通電内管を相対変位させ、通電内管の先端部をスタブに向けて押圧する押圧機構とを有してなる消耗電極式アーク溶解炉を操業する方法であって、
通電内管の先端部とスタブとの接触状態の確認を行うに当り、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測する、消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。 - 前記通電内管のストローク量の計測に、スティンガーロッドに取り付けた変位センサーを用いる、請求項1に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
- 前記変位センサーを超音波式変位センサーとする、請求項2に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
- 前記通電内管のストローク量を、前記変位センサーからの信号を受信することのできるモニターで観測する、請求項2又は3に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
- 前記スタブが、スティンガーロッドの通電内管の先端部に接触するスタブソケットを有し、前記通電内管のストローク量の計測結果に応じて、スタブソケットの交換及び、スタブの修繕のうちの少なくとも一方を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
- 前記通電内管の計測されたストローク量が設定許容範囲を外れた場合に、警報を発する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
- 前記通電内管のストローク量の計測を含む前記接触状態の確認を、当該消耗電極式アーク溶解炉を用いたアーク溶解を実施する度に、そのアーク溶解の通電に先立って行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉の操業方法。
- 内部に消耗電極が配置されるるつぼ、消耗電極の上端に取り付けられるスタブ、及び、スタブを把持して、るつぼ内で消耗電極を吊下げ支持するとともに消耗電極を昇降変位させることが可能なスティンガーロッドを備え、前記スティンガーロッドが、消耗電極を保持する支持外管と、支持外管の内側で支持外管に対して軸線方向に沿って相対変位可能に配置され、先端部をスタブに接触させて電源からの電流をスタブへ流す通電内管と、支持外管に対して通電内管を相対変位させ、通電内管の先端部をスタブに向けて押圧する押圧機構とを有し、
スティンガーロッド及びスタブを介する消耗電極への通電ならびに、るつぼへの通電により、消耗電極とるつぼ内の溶湯プールとの間にアークを生じさせ、その熱により消耗電極を溶解させる消耗電極式アーク溶解炉であって、
スティンガーロッドに、押圧機構の作動に基く支持外管内での通電内管のストローク量を計測する変位センサーを取り付けてなる消耗電極式アーク溶解炉。 - 前記変位センサーを超音波式変位センサーとしてなる請求項8に記載の消耗電極式アーク溶解炉。
- 前記変位センサーに有線もしくは無線で接続されて、前記通電内管のストローク量に関する信号を、前記変位センサーから受信することのできるモニターをさらに備える請求項8又は9に記載の消耗電極式アーク溶解炉。
- 前記変位センサーにより計測された通電内管のストローク量が設定許容範囲を外れた場合に、警報を発する警報装置をさらに備える請求項8〜10のいずれか一項に記載の消耗電極式アーク溶解炉。
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