マンホールポンプ装置等の排水設備は、予め設定された計画排水量等に基づいて設計されているため、人口密度等が予め想定された規模に到るまでの中途段階では、実際の排水量が計画排水量よりも少ない状況が生じ、そのような状況で常に一定に定まったポンプ停止水位まで圧送すると、効率が悪く揚程の高い領域を含めた運転となり、単位送水量当たりの消費電力量が嵩むという問題があった。
また、人口密度等が予め想定された規模に到った後に、人口減少等によって実際の排水量が計画排水量よりも少ない状況が生じる場合もあり、そのような場合にも常に一定に定まったポンプ停止水位まで圧送すると、単位送水量当たりの消費電力量が嵩むという問題があった。
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、ポンプ設備の容量を有効に利用して、ポンプの起動、停止を制御して運転することにより消費電力量を効果的に抑制することが可能なマンホールポンプシステムを提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるマンホールポンプシステムの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、水位計で検出された貯水槽の水位が起動水位になるとポンプを起動し、その後停止水位になると前記ポンプを停止するポンプ制御装置を備えた複数のマンホールポンプ装置により汚水を下水処理施設に搬送するマンホールポンプシステムであって、各ポンプ制御装置は、前記停止水位として、有効貯留水深下端水位となる第1停止水位と、前記ポンプの単位送水量当たりの消費電力量に基づいて前記第1停止水位を基準にして前記起動水位側に設定された第2停止水位が設定可能に構成され、前記貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量を指標にして、前記第1停止水位と前記第2停止水位の何れか一方を前記停止水位に設定するように構成されている点にある。
汚水を下水処理施設に搬送する経路に沿って配された各マンホールへの流入水量または流出水量の増減には相関があり、上流側で生じる汚水の増減傾向が下流側に伝達される。例えば、各貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が多い場合には、第1停止水位を停止水位に設定して各ポンプを駆動することにより、頻繁なポンプ起動の発生を回避することができ、各貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が少ない場合には、第1停止水位を基準にして起動水位側に設定された第2停止水位を停止水位に設定して各ポンプを駆動し、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することができる。このようにしてシステム全体として消費電力を効果的に抑制することができるようになる。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、水位計で検出された貯水槽の水位が起動水位になるとポンプを起動し、その後停止水位になると前記ポンプを停止するポンプ制御装置を備えた複数のマンホールポンプ装置により汚水を下水処理施設に搬送するマンホールポンプシステムであって、各ポンプ制御装置は、前記停止水位として、有効貯留水深下端水位となる第1停止水位と、前記ポンプの単位送水量当たりの消費電力量に基づいて前記第1停止水位を基準にして前記起動水位側に設定された第2停止水位が設定可能に構成され、前記ポンプの所定時間当たりの起動頻度を指標にして、前記第1停止水位と前記第2停止水位の何れか一方を前記停止水位に設定するように構成されている点にある。
貯水設備に設けられるポンプは、所定時間における最大起動頻度が定められている。しかし、貯水槽に対する流入水量あるいは流出水量が最大となる場合以外は起動頻度に余裕がある。そこで、所定時間当たりの起動頻度に基づいて、第1停止水位を基準にして起動水位側に設定された第2停止水位を停止水位に設定してポンプを駆動し、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することにより消費電力を抑制することができるようになる。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、汚水の搬送経路に沿って隣接配置されたマンホールポンプ装置間で、下流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位と起動水位との間の貯水容量が、上流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位と起動水位との間の貯水容量以下となるように、下流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位が設定されている点にある。
第2停止水位が停止水位に設定された場合に、上流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位と起動水位との間の貯水容量が上流側のポンプにより一度に下流側のマンホールポンプ装置に流入する水量となる。そのような場合に、当該水量よりも下流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位と起動水位との間の貯水容量が同等以下となるように流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位が設定されていれば、下流側のマンホールポンプほど単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することができるようになる。例えば、隣接配置されたマンホールポンプ装置の各貯水槽の断面積が同一であれば、下流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位を、上流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位と同等かそれ以上の高位に設定すればよい。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、各ポンプ制御装置は、ポンプの起動頻度が予め設定された起動頻度よりも高くなると、前記第2停止水位を低位に変更設定するように構成されている点にある。
ポンプの所定時間当たりの起動頻度によっては、固定された値の第2停止水位で運転を続けることが困難となる場合が生じるが、その時に設定される第2停止水位が第1停止水位を基準にして指標に基づいて第1停止水位側に可変設定されると、より柔軟に電力消費量を低減することが可能になる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、汚水の搬送経路に沿って下流側に設置されたマンホールポンプ装置のポンプ制御装置は、前記貯水槽の水位が起動水位になると上流側のマンホールポンプ装置のポンプ制御装置に起動指令を出力し、上流側のマンホールポンプ装置のポンプが起動されたことを確認した後にポンプを起動するように構成されている点にある。
下流側のマンホールポンプ装置の貯水槽の水位が起動水位になると、ポンプを起動する前に上流側のマンホールポンプ装置のポンプ制御装置に起動指令を出力し、上流側のマンホールポンプ装置から汚水が流入するのを待ってポンプを起動することにより、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域での運転時間を稼ぐことができるようになる。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第五の特徴構成に加えて、汚水の搬送経路に沿って下流側に設置されたマンホールポンプ装置のポンプ制御装置は、上流側のマンホールポンプ装置のポンプ制御装置に起動指令を出力した後、所定時間が経過すると上流側のマンホールポンプ装置のポンプの起動を確認することなくポンプを起動するように構成されている点にある。
上流側のマンホールポンプ装置からの汚水の流入を待つ間に、下流側のマンホールポンプ装置の貯水槽の水位が上昇すると汚水が溢流する虞がある。上流側のマンホールポンプ装置のポンプ制御装置に起動指令を出力した後、所定時間が経過するとポンプを起動することで、そのような事態を回避することができる。
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、汚水の搬送経路に沿って下流側に設置されたマンホールポンプ装置のポンプ制御装置は、前記貯水槽の水位が起動水位になると所定時間が経過した後にポンプを起動するように構成されている。
貯水槽の水位が起動水位になっても汚水が貯水槽から直ちに溢流する異常高水位になるようなことはなく、通常はある程度の余裕がある。そこで、貯水槽の水位が起動水位になっても所定時間待機した後にポンプを起動することにより、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域での運転時間を稼ぐことができるようになる。
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記ポンプ制御装置は、貯水槽の水位が起動水位になり、前記指標に基づいて前記停止水位を前記第2停止水位に設定されていても所定の条件を満たすと、前記指標にかかわらず前記停止水位を前記第1停止水位に設定するスカム排出制御を実行するように構成されている点にある。
停止水位を第1停止水位よりも起動水位側の第2停止水位に設定された状態で運転が継続されると、貯水槽に継続的に汚水が滞留してスカムが発生し成長し、悪臭の発生や送水管の詰りなど貯水槽の環境を悪化させる虞がある。そのような場合に備えて、指標に基づいて停止水位を第2停止水位に設定されていても強制的に第1停止水位に設定することにより汚水とともにスカムが下流側に搬送され、環境の悪化を防止することができる。
同第九の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第八の特徴構成に加えて、前記所定の条件が時刻情報であり、汚水の搬送経路に沿って下流側のマンホールポンプ装置ほど遅い時刻に設定されている点にある。
指標に基づいて停止水位を第2停止水位に設定されていても所定時刻になると強制的に第1停止水位に設定することで、汚水とともにスカムが下流側に搬送される。所定時刻が下流側のマンホールポンプ装置ほど遅い時刻に設定されることにより、汚水搬送経路に沿って上流側から下流側にスカムが滞ることなく搬送されるようになる。
同第十の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第八の特徴構成に加えて、前記所定の条件が上流側のマンホールポンプ設備のポンプ制御装置から送信されるスカム排出指令の確認である点にある。
上流側のマンホールポンプ設備のポンプ制御装置からスカム排出指令を受信した下流側のマンホールポンプ設備のポンプ制御装置が停止水位を第1停止水位に設定するスカム排出制御を実行する上流側から下流側の順にスカム排出制御が実行され、汚水搬送経路に沿って上流側から下流側にスカムが滞ることなく搬送されるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、ポンプ設備の容量を有効に利用して、ポンプの起動、停止を制御して運転することにより消費電力量を効果的に抑制することが可能なマンホールポンプシステムを提供することができるようになった。
以下に、本発明によるマンホールポンプシステムと当該マンホールポンプシステムに組み込まれるポンプ制御装置並びにポンプ運転方法を説明する。
図1及び図2に示すように、地中に埋設された汚水配管に沿って所定の間隔で配置された複数台のマンホールポンプ装置10(10−1〜10−n)により本発明によるマンホールポンプシステム100が構成されている。nは設備数であり、十数施設から数十施設で一つのグループが構成されている。そして、汚水処理場に向けて配される汚水配管の経路に沿って複数のグループが構築されている。
各マンホールポンプ装置10は、流入管12から流入した汚水を貯留する貯水槽としてのマンホール11と、マンホール11に貯留された汚水を立上り配管13を介して流出管14に圧送する2台の水中ポンプ20と、マンホール11に貯留された汚水の水位を計測する水位センサ15を備えている。
水位センサ15として投込圧力式や気泡式の水位センサが用いられ、マンホール11の底部に設置されて、マンホール11に貯留される汚水の水位を連続的に検出するように構成されている。更に、水位センサ15の故障に備えてバックアップ用のフロート式の水位センサ16が異常高水位となる高さに設置され、水位センサ15及び水位センサ16で異常高水位HHWLを検出するように構成されている。尚、水位センサとして浮子式の水位センサを用いて、所定の水位となる毎に水位を検知する等、その他公知の水位センサによって水位を計測するように構成してもよい。
各マンホールポンプ装置10の地上近傍には水中ポンプ20の起動・停止を制御する制御装置51を備えた制御盤50が設けられている。制御装置51と水中ポンプ20の間に水中ポンプ20に組み込まれた電動機30に給電するための給電線57が配線され、制御装置51と水位センサ15の間に、水位検知信号線58が配線されている。
図3に示すように、制御装置51には、制御部として機能するマイクロコンピュータ52(以下、「制御部52」とも記す。)と、マイクロコンピュータ52で実行される制御プログラムが格納されるとともにワーキング領域として利用されるメモリ53と、マイクロコンピュータ52により制御されるポンプ駆動回路54が設けられている。
さらに、マイクロコンピュータ52から出力されるモニタ信号を入力してマンホールポンプ装置10の状態を外部の遠隔管理装置56や他のマンホールポンプ装置10にWi-Fiや携帯電話回線網を介してインターネット接続可能な通信部55等を備えている。
具体的には、制御部52で把握されるポンプの起動時刻や1日の起動回数、異常高水位の発生の有無、さらにはポンプに備えたセンサで検知される異常加熱のような異常状態に関する情報、さらには以下に示すポンプ起動水位やポンプ停止水位の設定情報及びその時刻情報等が通信部55を介して遠隔管理装置56に送信される。
制御部52は、水位センサ15により計測された水位に基づいてポンプ駆動回路54を制御して水中ポンプ20の電動機30を起動制御する。例えば、ポンプ駆動回路54がインバータ回路で構成される場合には、電動機30の回転数が制御され、ポンプ駆動回路53が給電用のリレー回路で構成される場合には、電動機30への給電状態が制御される。
制御部52は、水位センサ15により貯水量がポンプ起動水位HWLになったと検知されると電動機30を起動(以下、「水中ポンプを起動」とも記す。)して水中ポンプ20による汚水の下流側への圧送を開始し、ポンプ停止水位LWLが計測されると、所定時間経過後、つまり、停止水位LWLから吸込口24近傍までの水位に相当する水量を圧送するのに要する時間の経過後に電動機30を停止して水中ポンプ20による汚水の排出を停止する。
図2に示すように、制御部52は、停止水位LWLとして、マンホール設備の有効貯留水深下端水位に設定された第1停止水位LWL1と第1停止水位LWL1を基準にして起動水位HWL側、つまり高水位側に設定された第2停止水位LWL2が設定可能に構成され、マンホール11に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量を指標にして、第1停止水位LWL1と第2停止水位LWL2の何れか一方を停止水位LWLに設定するように構成されている。
さらに、制御部52は、起動水位HWLとして、第1起動水位HWL1と第1起動水位HWL1を基準にして停止水位LWLとは反対側、つまり高水位側に設定された第2起動水位HWL2が設定可能に構成され、前記指標に基づいて、第1起動水位HWL1と第2起動水位HWL2の何れか一方を起動水位HWLに設定するように構成されている。
例えば、マンホール11に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が多い場合には、第1停止水位LWL1を停止水位LWLに設定して水中ポンプ20を駆動することにより、頻繁なポンプ起動を回避することができ、マンホール11に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が少ない場合には、第1停止水位LWL1を基準にして起動水位HWL側に設定された第2停止水位LWL2を停止水位LWLに設定して水中ポンプ20を駆動する。後者の制御によって、単位送水量当たりの消費電力量の高い領域での運転を回避して消費電力量を抑制することができるようになる。
起動水位HWLとして、上述した第1起動水位HWL1と、第1起動水位HWL1を基準にして停止水位LWLとは反対側に設定された第2起動水位HWL2とを切替可能に構成することにより、さらに単位送水量当たりの消費電力量の低い領域での運転が可能になり、さらに効果的に電力消費量を低減することが可能になる。尚、少なくとも、停止水位が切替可能に構成されていればよい。
停止水位LWLや起動水位HWLを設定するための指標は、マンホール11に対する所定時間当たりの流入水量であり、所定時間当たりの流入水量が多い場合には、頻繁なポンプの起動停止を回避すべく第1停止水位LWL1に停止水位LWLが設定され、溢流を回避すべく第1起動水位HWL1に起動水位HWLが設定される。
逆に、所定時間当たりの流入水量が少ない場合には、揚程が大きく低水位の領域、即ち単位送水量当たりの消費電力量が高くなる領域での運転を回避すべく、単位送水量当たりの消費電力量の低い第2停止水位LWL2に停止水位LWLが設定され、第2起動水位HWL1に起動水位HWLが設定される。
所定時間当たりの流入水量の多少は、水中ポンプ20の停止時に水位計15で計測される直近の水位の上昇速度に基づいて判断することができ、精度を上げるために所定時間内の平均水位の上昇速度に基づいて判断することができ、水中ポンプ20の直近の運転時間を加味して、指標を算出するようにしてもよい。
後者の場合、起動水位HWLから停止水位LWLに到るまでの水中ポンプ20の運転時間が長いと、所定時間当たりの流入水量が多いと判断でき、起動水位HWLから停止水位LWLに到るまでの水中ポンプ20の運転時間が短いと、所定時間当たりの流入水量が少ないと判断できる。
直近の水位変動またはポンプの直近の運転時間をモニタすることにより、その時点のポンプによる必要送水量が分かるので、そのような情報に基づいて状況を学習して適切な停止水位に設定することで、その時に必要な所定の送水量を維持しながらも電力消費量を低減可能な運転が可能になる。
さらに、マンホール11に対する単位水量の流出に必要な電力量に基づいて、所定時間当たりの流入水量の具体的な数値を算出し、指標とすることが好ましい。このような指標を設定することで、さらに単位水量の流出に必要な電力量が低くなる領域でポンプが運転されるようになる。
さらに、予め設定された日時情報を加味して指標が算出されるように構成してもよい。例えば、住宅地であれば朝方や夕刻に水の使用量が増し、工場地帯であれば昼間に水の資料量が増す、というように一日の時間帯により、或いは1週間の曜日(平日か週末か)により特徴的なパターンが見られる。そのような特徴的なパターンを加味して指標が算出されると、より現実に即した電力消費量の低減が可能になる。
このような日時情報は地域毎に異なるため、個々の日時情報が遠隔管理装置56から無線で各マンホールポンプ装置10の通信部55に送信され、メモリ53に格納されるように構成されることが好ましい。
第2停止水位LWL2及び/または第2起動水位HWL2が、指標に基づいて可変設定可能に構成されていることが好ましく、流入水量の変動に柔軟に対応して電力消費量を一層低減することが可能になる。例えば、所定時間当たりの流入水量がきわめて少ない場合には、第2停止水位LWL2及び/または第2起動水位HWL2をより上方に設定することで、さらなる消費電力量の低減化を図ることができる。
さらに、第1停止水位LWL1がマンホール設備の有効貯留水深下端水位以下に設定され、第2停止水位LWL2が停止水位LWLに設定された状態で水中ポンプ20が所定回数運転され及び/または所定時間経過すると、少なくとも一度は第1停止水位LWL1を停止水位LWLに設定して水中ポンプ20を運転するように構成されていることが好ましい。
マンホールポンプ装置10では、貯水槽への流入水に混入する厨芥や油脂等の有機物が水面に浮遊して膜状に形成されるスカムが発生し、これにより内部に異臭が発生する。そのような場合でも、第1停止水位LWL1がマンホール設備の有効貯留水深下端水位以下に設定され、それより上方の第2停止水位LWL2が停止水位に設定された状態でポンプが所定回数運転され及び/または所定時間経過したときに、停止水位LWLを第1停止水位LWL1に設定してポンプを運転すると、マンホール11に蓄積されたスカムが水中ポンプ20により排水されて、マンホール11内の浄化が行なわれるようになる。
また、予め設定された水中ポンプ20の最小起動時間間隔を満たすように起動水位HWLと第2停止水位LWL2が設定されていることが好ましい。
ポンプの起動時間間隔が短い場合には、頻繁な起動による消費電力量の上昇と、ポンプの電動機の発熱をもたらし、電動機、つまりポンプの寿命を損なう虞がある。しかし、起動水位と第2停止水位を適切に設定することにより、予め設定されたポンプの最小起動時間間隔を満たすことができ、上述した不都合な事態の発生を回避できるようになる。
図5に示すように、ポンプは、使用する範囲において単位時間あたりの吐出量が増加するにつれて単位水量を吐出するのに必要な電力量が低下する特性を示すポンプである必要がある。
図4に示すフローチャートに基づいて、図5に類似する特性を持つポンプの制御部52で実行されるポンプ運転方法を説明する。
制御部52は、メモリ53から指標を読み出して(S1)、その値が予め設定された閾値より低い場合、つまり単位時間当たりの流入量が少ないと判断すると(S2)、起動水位をHWL2、停止水位をLWL2に設定し(S3)、単位時間当たりの流入量が多いと判断すると(S2)、起動水位をHWL1、停止水位をLWL1に設定する(S11)。
起動水位がHWL2、停止水位がLWL2に設定され(S3)、マンホール11の水位が起動水位HWL2以上になると(S4)、ポンプを起動するとともにポンプ起動カウンタをインクリメントする(S5)。ポンプ起動カウンタの値は初期に0に設定され、起動される度に1加算される。
ポンプ起動カウンタの値が予め設定された閾値N(本実施形態では、N=6)未満であると(S6)、停止水位LWL2を基準に水位が低下するまで駆動され(S8)、閾値Nになると停止水位LWL1を基準に水位が低下するまで駆動され、水位が停止水位LWL1以下になると(S7)、ポンプ起動カウンタの値が0にリセットされて(S9)、所定時間経過後に水中ポンプ20が停止される(S10)。
つまり、ポンプ起動カウンタの値がN=6になるまでは水位が停止水位LWL2になるとポンプが停止され、ポンプ起動カウンタの値がN=6になると水位が停止水位LWL1になるとポンプが停止される。これにより、マンホール11に蓄積されたスカムが破砕されて下流側に汚水とともに圧送される。
ステップS11で起動水位がHWL1、停止水位がLWL1に設定されると、マンホール11の水位が起動水位HWL1以上になると(S12)、ポンプを起動して(S13)、水位が停止水位LWL1以下になると(S14)、所定時間経過後に水中ポンプ20が停止される(S15)。
即ち、本発明によるマンホールポンプシステム100は、水位計15で検出された貯水槽の水位が起動水位HWLになるとポンプを起動し、その後停止水位LWLになるとポンプ20を停止するポンプ制御装置51を備えた複数のマンホールポンプ装置10により汚水を下水処理施設に搬送するマンホールポンプシステムであって、各ポンプ制御装置52は、停止水位LWLとして、第1停止水位LWL1と、ポンプ20の単位送水量当たりの消費電力量に基づいて第1停止水位LWL1を基準にして起動水位HWL側に設定された第2停止水位LWL2が設定可能に構成され、貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量を指標にして、第1停止水位LWL1と第2停止水位LWL2の何れか一方を停止水位LWLに設定するように構成されている。
そして、各ポンプ制御装置52は、水位計15により計測された直近の水位変動に基づいて、またはポンプ20の直近の運転時間に基づいて、第2停止水位LWL2を設定するように構成されている。
マンホールポンプシステム100では、汚水を下水処理施設に搬送する経路に沿って配された各マンホールへの流入水量または流出水量の増減には相関があり、上流側のマンホールポンプ装置10で生じる汚水の増減傾向が下流側のマンホールポンプ装置10に伝達されるようになる。
そのため、各貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が少ない場合には、マンホールポンプシステム100を構成する複数のマンホールポンプ装置10がともに第1停止水位LWL1を基準にして起動水位側に設定された第2停止水位LWL2を停止水位LWLに設定して各ポンプ20を駆動することにより、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することができる。
同様に、各貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が少ない場合には、マンホールポンプシステム100を構成する複数のマンホールポンプ装置10がともに第2起動水位HWL2を停止水位HWLに設定して各ポンプ20を駆動することにより、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することができる。このようにしてシステム全体として消費電力を効果的に抑制することができるようになる。
また、各貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量が多い場合には、マンホールポンプシステム100を構成する複数のマンホールポンプ装置10がともに第1停止水位LWL1を停止水位LWLに設定するとともに、第1起動水位HWL1を起動水位HWLに設定して各ポンプ20を駆動することにより、頻繁なポンプ起動の発生によるポンプの過熱異常の発生を回避することができる。
隣接するマンホール装置10間で貯水槽の容量が等しい場合、つまり貯水槽の断面積が等しい場合には、下流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位LWL2が、上流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位LWL2以上となるように設定されていることが好ましく、下流側のマンホールポンプほど単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することができるようになる。
通常、汚水搬送経路に沿って配されたマンホールポンプ装置10の貯水槽の容量は最上流側と比較して最下流側が多くなるように設定されるが、隣接するマンホール装置間で貯水槽の容量が異なる場合でも同様であり、汚水の搬送経路に沿って隣接配置されたマンホールポンプ装置10間で、下流側のマンホールポンプ装置10の第2停止水位LWL2と起動水位HWLとの間の貯水容量が、上流側のマンホールポンプ装置10の第2停止水位LWL2と起動水位HWLとの間の貯水容量以下となるように、下流側のマンホールポンプ装置の第2停止水位LWL2が設定されていることが好ましい。
また、各ポンプ制御装置10の制御部52は、ポンプ20の起動頻度が予め設定された起動頻度よりも高くなると、第2停止水位LWL2を低位に、つまり第1停止水位LWL1側に変更設定するように構成されていることが好ましい。
ポンプの所定時間当たりの起動頻度によっては、固定された値の第2停止水位で運転を続けることが困難となる場合が生じるが、その時に設定される第2停止水位が第1停止水位を基準にして指標に基づいて第1停止水位側に可変設定されると、より柔軟に電力消費量を低減することが可能になる。
以下に、マンホールポンプシステム100の別実施形態を説明する。
汚水の搬送経路に沿って下流側に設置されたマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)は、貯水槽の水位が起動水位HWLになると上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)に起動指令を出力し、上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ20が起動されたことを確認した後にポンプを起動するように構成されていてもよい。
例えば、上流側と下流側の各マンホールポンプ装置10の通信部55間で相互に交信するように構成すればよい。あるいは、上流側と下流側の各マンホールポンプ装置10が遠隔管理装置56を介して交信してもよい。この場合、例えば遠隔管理装置56が、下流側のマンホールポンプ装置10の起動水位HWLの信号を受け取ると上流側のマンホールポンプ装置10に起動指令を出力し、その後上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ20の起動信号を受け取ると下流側のマンホールポンプ装置10に起動確認信号を送信するように構成すればよい。
なお、以上の説明では、通信部55がWi-Fiや携帯電話回線網を介してインターネット接続可能な通信部55である例を説明したが、小電力無線機器などの他の無線通信機器で通信部55が構成されていてもよい。上流側と下流側の各マンホールポンプ装置10とは汚水搬送経路に沿って隣接する二つのマンホールポンプ装置10をいう。
このように構成すれば、下流側のマンホールポンプ装置10の貯水槽の水位が起動水位HWLになると、ポンプ20を起動する前に上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)に起動指令を出力し、上流側のマンホールポンプ装置10から汚水が流入するのを待ってポンプを起動することにより、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域での運転時間を稼ぐことができるようになる。
また、汚水の搬送経路に沿って下流側に設置されたマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)は、上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)に起動指令を出力した後、所定時間が経過すると上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)からの起動した旨の応答を確認することなく、自らのポンプ20を起動するように構成してもよい。
上流側のマンホールポンプ装置10からの汚水の流入を待つ間に、下流側のマンホールポンプ装置10の貯水槽の水位が上昇すると汚水が溢流する虞がある。上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)に起動指令を出力した後、所定時間が経過するとポンプを起動することで、貯水槽の水位が異常高水位HHWLに到るまでに下流側に送水することができる。この様な構成でも、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域での運転時間を稼ぐことができるようになる。
また、汚水の搬送経路に沿って下流側に設置されたマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)は、貯水槽の水位が起動水位HWLになると、上流側のマンホールポンプ装置10のポンプ制御装置51(52)に起動指令を出力することなく、所定時間が経過した後にポンプを起動するように構成されていてもよい。
貯水槽の水位が起動水位HWLになっても汚水が貯水槽から直ちに溢流する異常高水位HHWLになるようなことはなく、通常はある程度の余裕がある。そこで、貯水槽の水位が起動水位になっても所定時間待機した後にポンプを起動することにより、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域での運転時間を稼ぐことができるようになる。
ところで、停止水位を第1停止水位LWL1よりも起動水位HWL側の第2停止水位LWL2に設定された状態で運転が継続されると、貯水槽に継続的に汚水が滞留してスカムが発生し成長し、悪臭の発生や送水管の詰りなど貯水槽の環境を悪化させる虞がある。そのような場合に備えて、指標(所定時間当たりの流入水量または流出水量)に基づいて停止水位を第2停止水位に設定されていても強制的に第1停止水位に設定することにより汚水とともにスカムが下流側に搬送され、環境の悪化を防止することができる。
具体的に、ポンプ制御装置51(52)は、貯水槽の水位が起動水位HWLになり、上述した指標に基づいて停止水位を第2停止水位LWL2に設定されていても所定の条件を満たすと、指標にかかわらず停止水位を第1停止水位LWL1に設定するスカム排出制御を実行するように構成されていればよい。
所定の条件を時刻情報とし、汚水の搬送経路に沿って下流側のマンホールポンプ装置ほど遅い時刻に設定するように構成すればよい。指標に基づいて停止水位を第2停止水位に設定されていても所定時刻になると強制的に第1停止水位に設定することで、汚水とともにスカムが下流側に搬送される。所定時刻が下流側のマンホールポンプ装置ほど遅い時刻に設定されることにより、汚水搬送経路に沿って上流側から下流側にスカムが滞ることなく搬送されるようになる。
また、所定の条件を上流側のマンホールポンプ設備のポンプ制御装置から送信されるスカム排出指令の確認としてもよい。上流側のマンホールポンプ設備のポンプ制御装置からスカム排出指令を受信した下流側のマンホールポンプ設備のポンプ制御装置が停止水位を第1停止水位に設定するスカム排出制御を実行する上流側から下流側の順にスカム排出制御が実行され、汚水搬送経路に沿って上流側から下流側にスカムが滞ることなく搬送されるようになる。
スカム排出指令は、上流側と下流側の各マンホールポンプ装置10の通信部55間で相互に交信するように構成してもよいし、上流側と下流側の各マンホールポンプ装置10が遠隔管理装置56を介して交信するように構成してもよい。
第1停止水位がマンホール設備の有効貯留水深下端水位以下に設定されているとスカム排出運転時に効果的にスカムが排出されるようになる。
図5に基づいて、ポンプの消費電力のシミュレーション結果を説明する。
図5にはマンホールポンプの全揚程、効率、軸動力の各特性線が示されている。全揚程9mから4mの範囲を1m間隔で区間AからEの5区間に区分し、各区間の揚程の中央値を平均揚程とし、その平均揚程に対する吐出し量及び軸動力を表に抽出した。そして、そのときの1m吐出電力量(単位送水量当たりの消費電力量)を算出した。
ここで、1m吐出電力量とは、同じ断面の水槽を想定し、高さ1m分を吐き出すのに消費する電力量のことである。同じ断面積の水槽なので高さ1m分吐き出す水量は常に同じ量となる。
例えば、揚程10m分を吐出すとき、区間B,A(揚程2m)で運転するように設定されている場合、B,A区間を5回運転すると、(2.58+3.36)×5=29.7kWmin=0.495kWh(100%)の電力量を要することになる。
区間B(揚程1m)のみ10回運転すると、2.58×10=25.8kWmin=0.43kWh(86.9%)となり、消費電力量の低減化が達成できることが分かる。
区間B(揚程1m)のみ8回運転し、その後区間A,B(揚程2m)を1回運転すると、2.58×9+3.36=26.58kWmin=0.443kWh(89.5%)と、低消費電力化を達成しつつ区間B,Aの運転によってスカムの除去が可能になる。
区間E,Dに対しても同様のシミュレーションで低消費電力化が達成できることが分かる。
例えば、揚程15m分を吐出すとき、区間C,B,Aで運転するように設定されている場合、C,B,A区間(揚程3m)を5回運転すると、(2.09+2.58+3.36)×5=40.15kWmin=0.669kWh(100%)に対して、毎回区間C(揚程1m)を運転すると、2.09×15=31.35kWmin=0.523kWh(78.2%)となり、消費電力量の低減化が達成できることが分かる。
スカム除去のため、区間C(揚程1m)を12回運転し、区間C,B,A(揚程3m)を1回運転すると、2.09×13+2.58+3.36=33.11kWmin=0.552kWh(82.5%)となり、スカムの除去を可能にしつつも消費電力量の低減化が達成できることが分かる。
他の区間、例えば区間E,D,Cで運転するような場合にも同様の演算を行なうことにより同様の結果が得らえることが明らかになった。
以下、別実施形態を説明する。
上述した実施形態では、貯水槽に対する所定時間当たりの流入水量または流出水量を指標にして、第1停止水位と第2停止水位の何れか一方を停止水位に設定する態様を説明したが、停止水位を設定する指標として、ポンプの所定時間当たりの起動頻度を用いるものであってもよい。
例えば、マンホールポンプ施設技術マニュアルを参照すると、7.5kWのポンプの最小起動間隔は6分に定められている。マンホールポンプ装置にこの様な2台のポンプが設けられ、2台のポンプを交互運転する場合を想定すると、2台のポンプに対して見掛け上は3分の最小起動間隔となる。
このようなマンホールポンプ装置において、停止水位を第1停止水位と第2停止水位の何れかに切り替える方法の一つとして、起動水位に達した時に、前回停止水位で停止した時からの経過時間(ポンプの所定時間当たりの起動頻度の一例)を確認して、当該経過時間に基づいて停止水位を決定するように構成してもよい。
ポンプ設計では槽内への最大流入量を考慮して最小起動間隔を確保しているので、流入水量が通常であれば起動間隔は最小起動間隔より長くなる。そこで、施工初期の段階では停止水位の初期値として第2停止水位を採用し、ポンプを停止した時から起動水位に達した時間が3分以内であれば、停止水位を第1停止水位に切り替え、3分以上であれば停止水位を第2停止水位に維持するように構成すればよい。
第2停止水位での排出容量(起動水位から第2停止水位までの貯留容量)が、第1停止水位での排出容量(起動水位から第1停止水位の貯留容量)の1/2程度の場合、前回の停止水位が第1停止水位で、ポンプを停止した時から起動水位に達した時間が6分以上であれば停止水位を第2停止水位としても起動間隔は3分以上となることが予測されるので、停止水位を第2停止水位に切り替え、6分以内であれば停止水位を第1停止水位に維持するように構成すればよい。
なお、1台のポンプが故障した状態で、正常なポンプのみの運転となる場合には、ポンプを停止した時から起動水位に達した時間の基準値を6分から倍の12分にすればよい。また、2台のポンプの能力が異なる場合や故障等で運転時間にアンバランスが生じている場合は、当該号機の前回の運転からの時間として上記の基準値を倍にすればよい。
このように、ポンプの所定時間当たりの起動頻度が少ない場合は、単位送水量当たりの消費電力量の低い領域で運転することにより消費電力を抑制することができるようになる。
ポンプの所定時間当たりの起動頻度に基づいて停止水位を第1停止水位と第2停止水位の間で切り替える別の方法として、単位時間当たりの起動回数に応じて停止水位を決定する方法を採用してもよい。
上述の例によるポンプ装置では最小起動間隔が3分なので、過去30分の起動頻度が10回に達すると停止水位を第1停止水位に設定し、10回に満たない場合は停止水位を第2停止水位に設定するように構成すればよい。この場合、起動間隔が最小起動間隔を下回っている可能性も考慮して、停止水位を切り替える起動頻度回数は上記回数の半数程とすることが望ましい。
上述した例では、第2停止水位と第1停止水位が固定水位に設定され、ポンプの所定時間当たりの起動頻度が閾値以上になると第1停止水位に設定し、起動頻度が閾値を下回ると第2停止水位に切り替える構成を説明したが、起動頻度に応じて第2停止水位を可変設定するように構成してもよい。
起動頻度が閾値を下回った場合に、その程度が大きければ第2停止水位を起動水位側に設定し、その程度が小さければ第2停止水位を第1停止水位側に設定するのである。つまり、指標に基づいて第2停止水位が第1停止を基準にして起動水位側に可変設定可能に構成されていてもよい。
上述の停止水位で停止した時からの経過時間を起動頻度にした例において、前回の停止水位が第1停止水位で、ポンプを停止した時から起動水位に達した時間が6分以上であれば、第2停止水位をより起動水位側に設定してもよい。例えば、排出容量が1/3や1/4となるところに第2停止水位を設定する場合は、第2停止水位に切り替える間隔を3倍の9分、4倍の12分とすればよい。
ポンプの所定時間当たりの起動頻度によっては、固定された値の第2停止水位で運転を続けることが困難となるが、その時に設定される第2停止水位が第1停止水位を基準にして指標に基づいて起動水位側に可変に設定される、つまり第1停止水位側に設定してもよい。例えば、起動水位に達した時間が6分以下である場合、例えば4分30秒であれば、第1停止水位と第2停止水位の1/2となる位置を新たな第2停止水位と設定すればよい。なお、水位によって単位時間当たりの流量が変化するが、ここでは一律として記述している。
このように、ポンプの所定時間当たりの起動頻度によって、その時に設定される第2停止水位起動水位側に可変に設定されると、より柔軟に電力消費量を低減することが可能になり、さらなる消費電力量の低減化を図ることができる。
上述した実施形態では、ポンプとして、使用する範囲において単位時間あたりの吐出量が増加するにつれ単位水量を吐出するのに必要な電力量が低下する特性を示すポンプを例に本発明を説明したが、締切運転に近づくほど軸動力が上昇する軸流ポンプのようなポンプであっても、ポンプの単位送水量当たりの消費電力量が低い領域の停止水位と起動水位を選択して、有効貯留容量を排出または流入させるための停止水位と起動水位でポンプを運転する場合の運転回数よりも多くの運転回数を設定することで、消費電力量を抑制することができるようになる。
以上説明した実施形態は本発明の一例に過ぎず、該記載により本発明の技術的範囲が限定されることを意図するものではなく、マンホールポンプ装置や制御装置の具体的な構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。