JP6951844B2 - マスターバッチの製造方法 - Google Patents
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[1](a1)セルロース系原料に酸基を導入して変性セルロースを得る工程、
(a2)当該変性セルロースを解繊してセルロースナノファイバーを得る工程、
(a3)セルロースナノファイバーを酸性化して酸型セルロースナノファイバーを得る工程、
(b)当該酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合して混合物を得る工程、および
(c)前記混合物を、100〜300℃で5〜600分加熱する工程、を含む、
マスターバッチの製造方法。
[2]前記工程(b)を、前記ゴム成分の分散液または溶液、あるいは前記酸型セルロースナノファイバーの分散液を用いて実施し、
前記工程(c)の前に、当該分散媒または溶媒を除去する工程をさらに含む、[1]に記載の製造方法。
[3]工程(a1)がセルロース系原料を酸化またはカルボキシメチル化する工程である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]工程(a1)がセルロース系原料を酸化する工程であり、前記(a2)のセルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して0.5〜3.0mmol/gの量のカルボキシル基を有する、[3]に記載のマスターバッチの製造方法。
[5]工程(a1)がセルロース系原料をカルボキシメチル化する工程であり、前記(a2)のセルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、[3]に記載のマスターバッチの製造方法。
[6]前記ゴム成分が、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ポリマー、ブタジエンゴム(BR)ポリマー、クロロプレンゴム(CR)ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)ポリマー、天然ゴム(NR)ポリマー、またはこれらの組合せを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記[1]〜[6]に記載の方法でマスターバッチを調製する工程、および
当該マスターバッチに架橋剤を混合する工程を含む、未架橋ゴム組成物の製造方法。
[8]前記[7]に記載の未架橋ゴム組成物を架橋する工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
[9]前記[1]〜[6]に記載の方法で得られたマスターバッチ。
一般にマスターバッチの定義は多様であるが、本発明においては、マスターバッチとはゴム成分とセルロースナノファイバーとを含むが架橋剤を含まない組成物をいう。ゴム組成物とはマスターバッチと架橋剤とを含む未架橋ゴム組成物または当該未架橋ゴム組成物を架橋してなる架橋ゴム組成物をいう。
本工程では、セルロース系原料に酸基を導入して変性セルロースを得る。
1)セルロース系原料
セルロース系原料は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかまたは組合せであってもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
セルロース原料を酸化することによって酸化セルロースが得られる。酸化方法は特に限定されないが、一例として、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物およびこれらの混合物からなる群より選択される物質との存在下で、酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、およびカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース重量〔g〕
エーテル化としては、カルボキシメチル(エーテル)化、メチル(エーテル)化、エチル(エーテル)化、シアノエチル(エーテル)化、ヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピル(エーテル)化、エチルヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピルメチル(エーテル)化などが挙げられる。この中から一例としてカルボキシメチル化の方法を以下に説明する。
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター
セルロース系原料と後述する化合物Aを反応させることによって、酸基をセルロースに導入できる。具体的には、例えば、セルロース系原料に化合物Aの粉末または水溶液を混合する方法、セルロース系原料のスラリーに化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高まり、かつエステル化効率が高くなることから、セルロース系原料またはそのスラリーに化合物Aの水溶液を混合する方法が好ましい。
本工程では、変性セルロースを解繊する。解繊処理は1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
本工程ではセルロースナノファイバーを酸性化する。セルロースナノファイバーはカルボキシル基等の酸基を有するが、その一部はカルボキシレート基等の塩形態になっている。酸性化とはカルボキシレート基等の塩形態の基をカルボキシル基等の酸基に変換することをいう。以下、説明を簡略にするために、カルボキシレート基をカルボキシル基に変換することを例に説明する。
1)試料1g(純分換算)を純水200mlとN/10のNaOH100mlが入っているフラスコ中に入れて溶解する。
2)過剰のN/10のNaOHをN/10のH2SO4でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、その滴下量B(ml)を得る。
3)別の試料1g(純分換算)を磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10のH2SO4 100mlを添加して中和する。
4)過剰のH2SO4をN/10のNaOHでフェノールフタレインを指示薬として滴定し、その滴下量C(ml)を得る。
5)次式によってセルロースナノファイバーの塩型置換度および酸型置換度をそれぞれ求め、それらの比から酸型置換度の比率を求める。なお、このとき、f1=N/10のH2SO4の力価、f2=N/10のNaOHの力価である。
本工程では、ゴム成分と前記酸型セルロースナノファイバーを混合する。混合はホモミキサー、ホモジナイザー、プロペラ撹拌機等の公知の装置を用いて実施できる。混合する温度は限定されないが、室温(20〜30℃)が好ましい。混合時間も適宜調整してよい。以下、混合に供される酸型セルロースナノファイバーを単にセルロースナノファイバーともいう。
ゴム成分とはゴムの原料であって架橋してゴムとなるものをいう。天然ゴム用のゴム成分および合成ゴム用のゴム成分が存在するが、本発明においてはいずれを用いてもよく、また両者を組合せてもよい。便宜上、天然ゴム用等のゴム成分を「天然ゴムポリマー」等という。
天然ゴム(NR)ポリマーとしては、化学修飾を施さない狭義の天然ゴムポリマー;塩素化天然ゴムポリマー、クロロスルホン化天然ゴムポリマー、エポキシ化天然ゴムポリマー等の化学修飾した天然ゴムポリマー;水素化天然ゴムポリマー;脱タンパク天然ゴムポリマーが挙げられる。合成ゴムポリマーとしては例えば、ブタジエンゴム(BR)ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)ポリマー、イソプレンゴム(IR)ポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ポリマー、クロロプレンゴム(CR)ポリマー、スチレン−イソプレン共重合体ゴムポリマー、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムポリマー、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムポリマー等のジエン系ゴムポリマー;ブチルゴム(IIR)ポリマー、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)ポリマー、アクリルゴム(ACM)ポリマー、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)ポリマー、フッ素ゴム(FKM)ポリマー、シリコーンゴム(Q)ポリマー、ウレタンゴム(U)ポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)ポリマー等の非ジエン系ゴムポリマーが挙げられる。これらのゴムポリマーは一種のみ使用してもよいし、複数種を併用してもよい。これらの中でもNBRポリマー、NRポリマー、SBRポリマー、CRポリマー、BRポリマーが特に好ましい。
ゴム成分と混合されるセルロースナノファイバーの形態は特に限定されない。例えば、酸型セルロースナノファイバーの分散液、当該分散液の乾燥固形物、当該分散液の湿潤固形物を混合に供してよい。分散液におけるセルロースナノファイバーの濃度は、分散媒が水である場合は0.1〜5%(w/v)とすることができる。分散媒が水の他にアルコール等の有機溶媒を含む場合は、前記濃度を0.1〜20%(w/v)とすることができる。湿潤固形物とは、前記分散液と乾燥固形物との中間の態様の固形物である。前記分散液を通常の方法で脱水して得た湿潤固形物中の分散媒の量はセルロースナノファイバーに対して5〜15重量%であることが好ましいが、液状媒体の追加またはさらなる乾燥により分散媒の量は適宜調整できる。
本工程(b)においては、ゴム成分とセルロースナノファイバーに加えて、他の配合剤を混合してもよい。他の配合剤としては、スルフェンアミド(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等)、酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫促進剤、加硫促進助剤、カーボンブラック、シリカ等の補強剤、シランカップリング剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤、しゃく解剤、着色剤、pH調整剤などゴムの分野で使用可能なものが挙げられる。
セルロースナノファイバー中には解繊が不十分なことによる未解繊繊維等の異物が存在することがある。異物を含んだままゴム組成物とすると異物等を起点としてゴム組成物が破断しやすくなり、強度の低下等が生じることがある。このため、セルロースナノファイバー分散液をろ過して得た分散液またはこれから単離したセルロースナノファイバーを用いてもよい。ろ過に関しては、特願2016−136722に記載の内容を本発明において援用する。
本工程では、前記混合物を100〜300℃の条件下で5〜600分加熱する。この加熱処理によってセルロースナノファイバーとゴム成分の親和性が向上する。親和性が向上するメカニズムは限定されないが、酸型セルロースナノファイバーの表面には、カルボキシレート基に比べて疎水性であるカルボキシル基、カルボキシメチル基、またはリン酸基等が存在し、かつ当該セルロースナノファイバーが加熱による変性を受けてさらに疎水性を帯びることによると推察される。温度が100℃未満であるとこの効果が十分に発現せず、300℃を超えるとゴム成分等が劣化する。この観点から、加熱温度の下限は105℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。加熱温度の下限は200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。同様に加熱時間が5分未満であるとこの効果が十分に発現せず、600分を超えるとゴム成分等が劣化する。この観点から、加熱時間は5〜300分が好ましく、10〜120分がより好ましく、15〜70分がさらに好ましい。
前述のとおり、ゴム成分を分散媒に分散させた分散液または溶媒に溶解した溶液、あるいはセルロースナノファイバーを分散媒に分散させた分散液等を用いて工程(b)を実施できる。この場合、混合物中に液状媒体が存在するので、工程(c)の前にこれを除去することが好ましい。具体的には混合物を乾燥して液状媒体を除去することが好ましい。乾燥温度は50〜80℃が好ましい。乾燥時間は適宜調整してよい。乾燥後の混合物は絶乾状態でもよいが、ゴム成分とセルロースナノファイバーの合計量に対して10重量%以下の液状媒体を含んでいてもよい。また、上記以外の液状媒体を除去する方法としては、特に制限されず従来公知の方法で行うことができる。例えば、酸や塩を添加することにより混合物を凝固させ、脱水、洗浄して乾燥する方法が挙げられる。
前記の方法で製造したマスターバッチは、酸型セルロースナノファイバーとゴム成分との親和性に優れる。これはセルロースナノファイバーが比較的疎水性を帯びていることに起因するが、この疎水性の度合いおよび親和性の度合いを定量的に文言で表現することは非現実的である。
架橋剤を添加して混練りすることで未架橋ゴム組成物(架橋性ゴム組成物)を製造できる。混練りとはマスターバッチ中に、架橋剤や他の配合剤を均一に分散させる工程である。混練りは公知のとおりに行ってよく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどを用いて実施できる。架橋剤としては硫黄や過酸化物が挙げられる。他の配合剤としては、スルフェンアミド(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等)、酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫促進剤、加硫促進助剤、カーボンブラック、シリカ等の補強剤、シランカップリング剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤、しゃく解剤、着色剤、pH調整剤などゴムの分野で使用可能なものが挙げられる。他の配合剤をマスターバッチに添加することもできる。
本発明のマスターバッチは、セルロースナノファイバーとゴム成分との密着性に優れるので、機械的特性に優れるゴム組成物を与える。ゴム組成物におけるセルロースナノファイバーの含有量は、ゴム成分100重量部に対して0.1〜100重量部であることが好ましい。引張強度の向上の観点からは、前記含有量はゴム成分100重量部に対して1重量部以上がより好ましく、2重量部以上がさらに好ましく、3重量部以上がよりさらに好ましい。当該量の上限は、50重量部以下がより好ましく、40重量部以下がさらに好ましく、30重量部以下がよりさらに好ましい。当該量により製造工程における加工性を保持することができる。
[酸化セルロースナノファイバーの製造]
1)酸化および解繊処理
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社製)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムが消費され系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。反応混合物に水を加えて濃度を1.0重量%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー水分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250であった。
当該酸化セルロースナノファイバー水分散液500gに対し、pHが2.4になるまでHClを添加し、ゲル状の凝集物を得た。これを脱水し、十分に水洗した後に、再度水を加えてミキサーで処理し、固形分濃度1重量%のスラリーを得た。このスラリーを、超高圧ホモジナイザー(処理圧140MPa)で5回処理することにより、洗浄後の酸型セルロースナノファイバー水分散液(1重量%)を得た。
1)混合および乾燥工程
前述のとおり得た酸型セルロースナノファイバー水分散液636gと、ゴム成分としてアクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーラテックス(商品名:Nipol511A、日本ゼオン株式会社製、固形分濃度46%)76gを混合してゴム成分とセルロースナノファイバーとの重量比が100:20となるようにし、TKホモミキサー(8000rpm)で60分間撹拌した。この水性懸濁液を、70℃の加熱オーブン中で一晩乾燥して乾燥物を得た。
この乾燥物を、オーブン中で、120℃にて30分加熱して、マスターバッチを製造した。
前記マスターバッチに、硫黄1.2g(ゴム成分に対し3.5重量%)、加硫促進剤(N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)0.25g(ゴム成分に対し0.7重量%)、酸化亜鉛2.1g(ゴム成分に対し6重量%)、ステアリン酸0.18g(ゴム成分に対し0.5重量%)を加え、オープンロール(関西ロール株式会社製)を用い、30℃で10分間混練して、未架橋ゴム組成物のシートを得た。
前記加熱工程における加熱温度を150℃とした以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
前記酸性化処理を以下のように変更した以外は実施例1および2と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
酸性化処理:酸化セルロースナノファイバー水分散液500gに、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、「アンバージェット1024」)を添加し、20℃で0.3時間撹拌して接触させた。その後、金属メッシュ(目開き100メッシュ)で陽イオン交換樹脂と水分散液を分離して、カルボキシル化セルロースナノファイバー分散液(1重量%)を得た。
前記加熱工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
前記酸性化処理をしなかった以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー水分散液を製造した。当該セルロースナノファイバーは多くのカルボキシレート基を有するので、便宜上「塩型セルロースナノファイバー」ともいう。当該塩型セルロースナノファイバー水分散液を用いた以外は、比較例1と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
比較例2と同様にして塩型セルロースナノファイバー水分散液を製造した。当該水分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
比較例2と同様にして塩型セルロースナノファイバー水分散液を製造した。当該水分散液を用いた以外は、実施例2と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
酸性化処理条件を実施例3に示す条件に変更した以外は、比較例1と同様にしてゴム組成物を製造し、評価した。
これらの結果を表1に示す。
Claims (9)
- (a1)セルロース系原料に酸基またはその塩形態の基を導入して変性セルロースを得る工程、
(a2)当該変性セルロースを解繊してセルロースナノファイバーを得る工程、
(a3)セルロースナノファイバーを酸性化して酸型セルロースナノファイバーを得る工程、
(b)当該酸型セルロースナノファイバーとゴム成分を混合して混合物を得る工程、および
(c)前記混合物を、100〜300℃で5〜600分加熱する工程、を含む、
マスターバッチの製造方法。 - 前記工程(b)を、前記ゴム成分の分散液または溶液、あるいは前記酸型セルロースナノファイバーの分散液を用いて実施し、
前記工程(c)の前に、当該分散媒または溶媒を除去する工程をさらに含む、
請求項1に記載の製造方法。 - 工程(a1)がセルロース系原料を酸化またはカルボキシメチル化する工程である、請求項1または2に記載の方法。
- 工程(a1)がセルロース系原料を酸化する工程であり、前記(a2)のセルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して0.5〜3.0mmol/gの量のカルボキシル基を有する、請求項3に記載のマスターバッチの製造方法。
- 工程(a1)がセルロース系原料をカルボキシメチル化する工程であり、前記(a2)のセルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、請求項3に記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記ゴム成分が、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ポリマー、ブタジエンゴム(BR)ポリマー、クロロプレンゴム(CR)ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)ポリマー、天然ゴム(NR)ポリマー、またはこれらの組合せを含む、
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 - 請求項1〜6に記載の方法でマスターバッチを調製する工程、および
当該マスターバッチに架橋剤を混合する工程を含む、未架橋ゴム組成物の製造方法。 - 請求項7に記載の未架橋ゴム組成物を架橋する工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
- 請求項1〜6に記載の方法で得られたマスターバッチ。
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