JP6951834B2 - 乳酸菌生残性向上剤 - Google Patents

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Description

本発明は、乳酸菌生残性の向上剤又は向上剤組成物、並びに該向上剤又は向上剤組成物が添加されてなる乳酸菌含有飲食品等に関する。
近年、ヒトの腸内で働く有用微生物、すなわちプロバイオティクスに、病原菌の定着の阻害や免疫の活性化といった有用な生理作用が知られるようになり、発酵食品のもつ健康効果へ注目は年々高まっている。
中でもヨーグルトを始めとする発酵乳や乳酸菌飲料は、他の発酵食品に比べて果汁、フルーツソース、甘味料、酸味料、香料などの添加による風味のバリエーションの調整が容易であることが、幅広い年代をターゲットにした商品設計を可能にし、飲食シーンを選ばない手軽さも相まって、大きな市場を形成している。
より高い健康効果を期待するには、飲食品が含有する乳酸菌をより長期間生残させておくことが望ましいが、乳酸菌は、製品製造後の時間経過に伴い保管中に徐々に減少してしまうという問題がある。
また、発酵乳および乳酸菌飲料は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(いわゆる乳等省令)により、生残している乳酸菌数の規格が定められており、品質保証期間内はこの規格を満足する必要がある。
言い換えれば、より長く乳酸菌を生残させておくことができれば、より高い健康効果が期待できる他、商品の品質保証期間を長く設定でき、流通の効率化や食品廃棄物の低減などのメリットなども生じることになる。
このため、乳酸菌の生残性を向上させる方法としていくつか報告されている。例えば、乳由来のリン脂質を有効成分とするもの(特許文献1)、グァバ葉エキスを用いる方法(特許文献2)、乳酸菌の死菌体を有効成分として用いる方法(特許文献3)、プロピオン酸菌の発酵物を用いる方法(特許文献4)、数種類のアミノ酸を用いる方法(特許文献5)、トコフェロールとフェルラ酸を含有する乳化物とする方法(特許文献6)、ザクロ、キンモクセイ、オオバゲッキツ、アマノなどの抽出物を用いる方法(特許文献7)、などが提案されている。
また、ビフィドバクテリウム属細菌に対しては、ガジュツ、キジツ、キッピ、キンギンカ、ソヨウ、チンピ、トウヨウ、ミツモウカ、アイブライト、カキネガラシ、カモマイル、カルダモン、キャットニップ、サフラワー、スウィートバイオレット、チャイブ、ヒソップ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ホワイトホウルファンド、マグワート、マザーワート、マリーゴールド、ヤロー、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー、桑樹皮、棕櫚葉、大根種子、パセリ、ヨモギ並びにミカン科植物の果実及び/又は果皮から得られる抽出物の使用(特許文献8)、ウコン、どくだみ、杜仲、米糠、柿葉、紫蘇、クローブ、シナモン及び甜茶から選ばれた1種又は2種以上の抽出エキスの使用(特許文献9)などが提案されている。
しかしながら、乳酸菌の生残性に関わるメカニズムは解明されておらず、既知の成分や技術以外にも生残性の向上をもたらす素材があることが期待されていた。
一方、乳酸菌を含有する飲食品の風味改善方法としては、乳酸菌の機能を高めるための紫玄米、ギムネマ、甘草、ハス胚芽、緑茶、黄杞葉、ルイボス茶、ヨモギ、ラカンカ、月桃葉、イチョウ、刺梨、マリアアザミ、ドクダミ、大棗、カリン、霊芝、サンザシ、枸杞子、エレウテロコック、紅麹、シイタケ、ウコン、クランベリー、ラズベリー、ブルーベ
リー抽出物の使用(特許文献10)、風味改善のための甘蔗由来の抽出物の使用(特許文献11)などが提案されている。
食生活の改善や健康増進に関心が高まる中、乳酸菌を使った発酵乳や飲料の需要が伸び、一方、飲食品の安全に対する要求も高まっている。
こうした中、従来技術を超える新たな技術、すなわち、乳酸菌の生残性向上に優れ、飲食物の風味に影響せず、且つ製剤の調製が容易な乳酸菌生残性向上剤の提供が要望されている。
特開2007−97447号公報 特開2010−119305号公報 特開2008−5811号公報 国際公開第2009/069498号 国際公開第2012/023578号 特開2004−222652号公報 特開2012−224551号公報 特開2000−83654号公報 国際公開第2006/129508号 特開2005−13211号公報 特開2001−69909号公報
本発明の目的は、飲食物製品中の乳酸菌の生残性に優れ、飲食物製品の風味を損なうことがなく、且つ製剤の調製が容易な乳酸菌の生残性向上剤を提供とすることを目的とする。また、該生残性向上剤を含有する香味料組成物を提供することを目的とする。
さらに、該香味料組成物を含有することで乳酸菌の生残性が向上し、より健康効果が期待できる乳酸菌含有飲食品を提供することを目的とする。
また、該香味料組成物を含有することで乳酸菌の生残性が向上し、且つ品質保証期間の伸長によって廃棄ロスが低減し経済性に優れる乳酸菌含有飲食品を提供することを目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、これまで乳酸菌の生残性との関係が全く知られていなかった糖蜜が、意外にも乳酸菌の生残性向上効果を有することを見出した。さらに、糖蜜と、ザクロ、ハマナス、バニラ、ルイボスの各溶媒抽出物とを併用することにより、相乗的に効果が増大することを見出し、加えてさらに風味の改善効果をも併せ持つことも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕糖蜜を有効成分として含有することを特徴とする乳酸菌生残性向上剤。
〔2〕上記1の乳酸菌生残性向上剤の有効量、並びに、ザクロ、ハマナス、バニラ及びルイボスからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物体の抽出物を含有することを特徴とする、乳酸菌生残性向上剤組成物。
〔3〕抽出物が、水又はエタノール水溶液による溶媒抽出物であることを特徴とする、上記2の乳酸菌生残性向上剤組成物。
〔4〕糖蜜の固形分100質量部に対して抽出物が0.3〜1000質量部の範囲で含まれる上記2又は3の乳酸菌生残性向上剤組成物。
〔5〕上記1の乳酸菌生残性向上剤又は上記2〜4の乳酸菌生残性向上剤組成物の有効量、及び、飲食品用香味料を含有することを特徴とする、乳酸菌を含有する飲食品用の香味料組成物。
〔6〕上記1の乳酸菌生残性向上剤又は上記2〜4の乳酸菌生残性向上剤組成物の有効量が添加されてなることを特徴とする、乳酸菌を含有する飲食品。
〔7〕上記5の香味料組成物を添加後の濃度で0.001〜0.5質量%含有することを特徴とする、乳酸菌含有飲食品。
〔8〕乳酸菌を含有する飲食品に対して、上記1の乳酸菌生残性向上剤又は上記2〜4の乳酸菌生残性向上剤組成物を0.001〜0.5質量%添加することを特徴とする、乳酸菌含有飲食品の乳酸菌生残性向上方法。
〔9〕乳酸菌を含有する飲食品に対して、上記5の香味料組成物を0.001〜0.5質量%添加することを特徴とする、乳酸菌含有飲食品の乳酸菌生残性向上方法。
〔10〕糖蜜の固形分100質量部に対して、ザクロ、ハマナス、バニラ及びルイボスからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物体の抽出物を0.3〜1000質量部の範囲で添加することを特徴とする、乳酸菌生残性向上剤組成物の製造方法。
〔11〕ザクロ抽出物、ハマナス抽出物、バニラ抽出物、ルイボス抽出物の添加量が、糖蜜の固形分100質量部に対してそれぞれ、0.3〜30質量部、0.3〜30質量部、10〜500質量部、10〜500質量部であることを特徴とする、上記乳酸菌生残性向上剤組成物の製造方法。
本発明の糖蜜を有効成分として含有することを特徴とする乳酸菌生残性向上剤は、糖蜜を単独で使用したときであっても優れた乳酸菌生残性の向上効果を示すが、ザクロ抽出物、ハマナス抽出物、バニラ抽出物及びルイボス抽出物から選ばれる他の素材と組み合わせた乳酸菌生残性向上剤組成物とすることにより、相乗的効果を示すことができる。
さらには、本発明の乳酸菌生残性向上剤若しくは向上剤組成物は、特有の異味異臭を有さないため、適用される乳酸菌含有飲食品の風味に影響を与えず、むしろコク味付与や酸臭のマスキングによる風味向上をもたらす優れた食品素材である。
〔1〕乳酸菌生残性向上剤、及び生残性向上剤組成物の有効成分
(1)糖蜜
本発明で用いられる糖蜜とは、砂糖を製造する際に副産される、ショ糖(スクロース)を含有する液体をいい、廃糖蜜、廃蜜、モラセス(Morasess)とも呼ばれるものである。
その製法についてサトウキビを原料とする場合で説明すると、サトウキビを圧搾し、糖汁と残渣(バガス)に分け、得られた糖汁は100℃から103℃まで加熱され、過飽和状態にまで濃縮される。これに結晶種(粉糖)を加えると砂糖が結晶化するので、遠心分離により粗糖と糖蜜に分ける。この段階での糖蜜には糖分が多く含まれているので、再度濃縮して、同様の操作で砂糖の結晶を得ることができる。この操作は通常3回程度繰り返され、最後に残った糖蜜が廃糖蜜と呼ばれる。性状は暗褐色の粘調な液体であり、特有のカラメル様の焦げ臭を有する。
一般に、糖蜜は、水分15〜30%、糖分60〜80%、ミネラル分1〜3%、その他にポリフェノール、たんぱく質、有機酸などから構成されている。糖分は主にスクロース、その他フラクトース、グルコースであり、ミネラル分は主にカリウム、その他ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄である。
通常市場に流通しているものには、サトウキビ(甘蔗)由来の甘蔗廃糖蜜、ビート(甜
菜)由来の甜菜廃糖蜜、あるいは原糖(粗糖)を精製する際に生じる精糖蜜(精製糖蜜)などがあり、本発明においてはいずれも使用可能である。以降は単に「糖蜜」と記載する。
糖蜜は、糖分に富むことから工業用アルコールの原料、製菓材料、あるいは家畜の飼料として用いられている。しかし、乳酸菌の生残性向上効果を示すことについては全く知られていなかった。
本発明における糖蜜は、一般に市場で入手可能な製品であり、例えば、株式会社林商会社製「液糖SBL」(商品名)を入手して使用することができる。
本発明において、糖蜜はそのまま用いることもできるが、粘度を下げて扱いやすくする目的で、水やエタノール、プロピレングリコールといった水性溶媒等で希釈し、製剤化して用いることが好ましい。
糖蜜を乳酸菌生残性向上剤として乳酸菌を含有する飲食品に添加する場合は、通常は、糖蜜の固形分として10〜10000ppm、好ましくは50〜1000ppm、さらに好ましくは100〜500ppm量の添加で用いることができる。
添加量が10ppm未満の場合は、乳酸菌生残性向上効果が十分発揮されないことがあり、一方、添加量が10000ppmを超えた場合は、乳酸菌含有飲料の風味への影響や、着色の問題が生じてしまう可能性がある。
(2)植物体の抽出物
本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物としては、他の素材と組み合わせることも有用である。具体的に組み合わせられる素材としては、ザクロ抽出物、ハマナス抽出物、バニラ抽出物、ルイボス抽出物の各々又はこれらの組合せが挙げられる。
これらの抽出物を糖蜜と併用する場合、組み合わせて一剤化して用いることもできるし、別々の製剤として添加することもできる。
(a)ザクロ抽出物
本発明に用いられるザクロ抽出物は、ザクロ科ザクロ属(Punica granatum L.)植物の抽出物をいい、好ましくはザクロの植物体のうち果皮を抽出処理して得られる物をいう。
本発明における抽出処理は溶媒による抽出が好ましく、それに使用する溶媒は、水又は極性有機溶媒であり、有機溶媒は含水物であっても良い。
極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が例示される。中でも人体への安全性と取扱性の観点から水またはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが望ましく、特に水又はエタノール水溶液が望ましい。エタノール水溶液を使用する場合は、通常は10〜95%水溶液を用い、好ましくは20〜80%水溶液を用い、最も好ましくは30〜70%水溶液が用いられる。
本発明においてザクロ抽出物を糖蜜と組み合わせて用いる場合、ザクロ抽出物の適正量(固形分)は、糖蜜の固形分100質量部に対して通常は0.3〜30質量部、好ましくは0.8〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部で用いられる。使用量が0.3質量部未満の場合は相乗効果が発揮されない場合があり、使用量が30質量部を超えた場合は、乳酸菌含有飲料の風味への影響が生じる場合がある。
(b)ハマナス抽出物
本発明に用いられるハマナス抽出物は、バラ科バラ属(Rosa rugosa Thunb.)植物ハマナス(ハマナシとも呼ばれる)の抽出物をいい、好ましくはハマナス植物体のうち花蕾を抽出処理して得られる物をいう。
本発明における抽出処理は溶媒による抽出が好ましく、それに使用する溶媒は、水又は極性有機溶媒であり、有機溶媒は含水物であっても良い。
極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が例示される。中でも人体への安全性と取扱性の観点から水またはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが望ましく、特に水又はエタノール水溶液が望ましい。エタノール水溶液を使用する場合は、通常は10〜95%水溶液を用い、好ましくは20〜80%水溶液を用い、最も好ましくは30〜70%水溶液が用いられる。
本発明においてハマナス抽出物を糖蜜と併用する場合、ハマナス抽出物の適正量(固形分)は、糖蜜の固形分100質量部に対して通常は0.3〜30質量部、好ましくは0.8〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部で用いられる。使用量が0.3質量部未満の場合は相乗効果が発揮されない場合があり、使用量が30質量部を超えた場合は、乳酸菌含有飲料の風味への影響が生じる場合がある。
(c)バニラ抽出物
本発明で用いられるバニラ抽出物は、ラン科バニラ属(Orchidaceae Vanilla)のつる性多年草植物の抽出物をいい、緑熟バニラ豆を乾燥・発酵・熟成させるキュアリングという工程を経たバニラビーンズを抽出処理して得られる物をいう。
本発明における抽出処理は溶媒による抽出が好ましく、それに使用する溶媒は、水又は極性有機溶媒であり、有機溶媒は含水物であっても良い。
極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が例示される。中でも人体への安全性と取扱性の観点から水またはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが望ましく、特に水又はエタノール水溶液が望ましい。エタノール水溶液を使用する場合は、通常は10〜95%水溶液を用い、好ましくは20〜80%水溶液を用い、最も好ましくは30〜70%水溶液が用いられる。
本発明においてバニラ抽出物を糖蜜と組み合わせて用いる場合、バニラ抽出物の適正量(抽出液として)は、糖蜜の固形分100質量部に対して通常は10〜500質量部、好ましくは20〜400質量部、さらに好ましくは50〜200質量部で用いられる。使用量が10質量部未満の場合は相乗効果が発揮されない場合があり、使用量が500質量部を超えた場合は、乳酸菌含有飲料の風味への影響が生じる場合がある。
(d)ルイボス抽出物
本発明で用いられるルイボス抽出物は、南アフリカの高地に自生するマメ亜科のアスパラトゥス属ルイボス種(Faboideae Aspalathus linearis)植物の抽出物をいい、好ましくはルイボス植物体のうち葉や茎を抽出処理して得られる物をいう。ルイボスの葉や茎を乾燥させて作る飲料は、ルイボス茶(Rooibos tea)と呼ばれる健康茶の一種であり、カフェインを含まない。本発明においては、市販のルイボス茶を適宜入手して使用することができる。
本発明における抽出処理は溶媒による抽出が好ましく、それに使用する溶媒は、水又は極性有機溶媒であり、有機溶媒は含水物であっても良い。
極性有機溶媒としては、アルコール、アセトン、酢酸エチル等が例示される。中でも人体への安全性と取扱性の観点から水又はエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコールが望ましく、特に水が望ましい。
本発明においてルイボス抽出物を糖蜜と組み合わせて用いる場合、ルイボス抽出物の適正量(固形分)は、糖蜜の固形分100質量部に対して通常は10〜500質量部、好ましくは20〜400質量部、さらに好ましくは50〜200質量部で用いられる。使用量が10質量部未満の場合は相乗効果が発揮されない場合があり、使用量が500質量部を超えた場合は、乳酸菌含有飲食品の風味への影響が生じる場合がある。
上記のザクロ抽出物、ハマナス抽出物、バニラ抽出物、ルイボス抽出物は各々単独で、
又は2種以上を組み合わせて使用することができる。組み合わせる場合の、適正量(固形分)は、糖蜜100質量部に対して抽出物合計で0.6〜1000質量部、好ましくは1.0〜700質量部、さらに好ましくは2.0〜500質量部で用いられる。合計使用量が0.6質量部未満の場合は相乗効果が発揮されない場合があり、合計使用量が1000質量部を超えた場合は、乳酸菌含有飲食品の風味への影響が生じる場合がある。
なお、抽出物間の適正な比率としては、前述のようにザクロ抽出物:ハマナス抽出物:バニラ抽出物:ルイボス抽出物=0.3〜30:0.3〜30:10〜500:10〜500ある。
なお、ザクロ、ハマナス、バニラ、ルイボスから2種以上を組み合わせて使用する場合は、各植物体の各抽出物を混合する方法が、一般的であるが、複数の植物体の混合物を一括して抽出操作に付して得られる抽出物を使用することもできる。
糖蜜は、砂糖製造時の副産物であり、糖液かショ糖結晶の分離を繰り返し行った後の不純物を含む粘稠な残液である。従って、多種多様の成分から構成される複雑な構成である。
また、ザクロ抽出物、ハマナス抽出物、バニラ抽出物及びルイボス抽出物は、いずれも有機複合体である植物体を原料とするので、得られる抽出物は、化学構造や特性において多種多様の成分が複雑な状態や配合比で含まれている組成物である。
従って、本発明の糖蜜を含む乳酸菌生残性向上剤、糖蜜と上記の植物体抽出物を含む乳酸菌生残性向上剤組成物を、構造や特性により直接特定するためには、構成成分の同定及び定量が必須となるが、全ての構成成分を同定及び定量することは、技術常識から見て到底不可能であるか、又はおよそ実際的ではない。
〔2〕乳酸菌を含有する飲食品
本発明において、乳酸菌を含有する飲食品とは、生きた乳酸菌を含む主に乳製品、特に発酵乳と乳酸菌飲料を指す。乳等省令によれば、発酵乳は、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したものである。一方、乳酸菌飲料は、乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は主要原料とした飲料である。無脂乳固形分3%以上のもので、乳酸菌又は酵母数が1mL当たり10,000,000以上の乳製品乳酸菌飲料と、無脂乳固形分3%未満のもので、乳酸菌又は酵母数が1mL当たり1,000,000以上の乳主原乳酸菌飲料がある。
また、発酵乳や乳酸菌飲料以外の乳製品として、非加熱処理のチーズ(ナチュラルチーズ)、発酵バター、発酵バターミルクなどを例示することができる。
こうした発酵乳や乳酸菌飲料は、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの家畜の乳を、微生物で発酵させたものであり、牧畜文化の形成と関連して、様々な形で世界各地において伝統的に発展してきた。今日では、特に牛乳を原料に用いた発酵乳が商業的に生産され、ヨーグルト、チーズ、バターなどの製品を入手することができる。
さらに、発酵食品である味噌、糠漬け等の漬物類、キムチ、ザワークラウト(ドイツ発祥のキャベツの漬物)、ピクルスなどにも植物性の乳酸菌が多く含まれている。
発酵乳や乳酸菌飲料の製造に用いられる微生物は様々であるが、発酵乳の基本的性質を作るのは乳酸菌である。乳酸菌とは糖を発酵して乳酸を産生する細菌の総称で、分類学的には菌の形態などから、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトコッカス属 (Lactococcus)などに分類される。
発酵乳、特にヨーグルトの製造で代表的に用いられるものはラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、やストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)であり、他にもラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス(Lactococcus lacti
s subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gaseri)などが用いられる。
発酵乳の代表であるヨーグルトは、脱脂乳、全乳、半脱脂乳を主原料に、砂糖、寒天、香料を添加したハードタイプがかつて主流であった。その後、果肉入りのソフトタイプ(発酵後撹拌し流動状にしたもの)、発酵後に甘味料、果汁を撹拌混合して均質化した液状(ドリンク)タイプ、乳原料だけで甘味料などを加えないプレーンタイプ、凍結状にしたフローズンタイプ、などの新しい製品形態が次々と開発されている。本発明の乳酸菌生残性向上剤又は生残性向上剤組成物は、製品形態に左右されず広く適用が可能である。
本発明の乳酸菌生残性向上剤又は生残性向上剤組成物を、乳酸菌含有飲食品に配合する場合の添加量は、好ましくは0.001〜0.5質量%、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。0.001質量%未満では十分な生残性向上効果が発揮されず、一方、0.5質量%を超えると乳酸菌含有飲食品の外観や風味に影響を与える可能性がある。本発明の乳酸菌生残性向上剤又は生残性向上剤組成物を乳酸菌含有飲食品に添加する時期は、甘味料や香料などの添加物を加える工程で添加することが好ましい。あらかじめスターターに加えても良いが、最終飲食品中で有効量を含有させるためにはスターターには過剰に加える必要が生じるので好ましくない。
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例は例示の目的にのみ用いられ、本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、実験に使用した乳酸菌は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター(略称NBRC)が収集・保管しているNBRC菌株である。
糖蜜は、株式会社林商会製の「液糖SBL」を使用した。
〔製造例1:ザクロ抽出物〕
乾燥したザクロ果皮50質量部を粉砕し、50%エタノール水溶液1000質量部を加え、1時間加熱還流して抽出した。不溶物を濾過により除去した後、濾液に活性炭50質量部を添加し、室温で1時間撹拌した。
活性炭を濾過により除去後減圧濃縮し、続いて濃縮物を凍結乾燥し淡褐色粉末のザクロ抽出物15質量部を得た。
〔製造例2:ハマナス抽出物〕
乾燥したハマナス花蕾20質量部を粉砕し、50%エタノール水溶液300質量部を加え30分、加熱還流して抽出した。
不溶物を濾過除去した後、濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥して粉末状のハマナス抽出物品6質量部を得た。
〔製造例3:バニラ抽出物〕
キュアリング処理されたバニラビーンズ(マダガスタル産)を約1cmに裁断したバニラビーンズ裁断物100質量部を、45%エタノール水溶液300質量部に加え、40℃で8時間以上かけて抽出を行った。
抽出後に濾紙を用いて固形物を濾別した後、減圧濃縮し、続いて濃縮物を凍結乾燥することにより、暗褐色粉末状のバニラ抽出物を10質量部得た。
〔製造例4:ルイボス抽出物〕
ルイボス葉(南アフリカ産)50質量部に95℃のイオン交換水を加え、5分間撹拌抽出
を行った。
抽出後に濾紙を用いて固形物を濾別した後、濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥して粉末状のルイボス抽出物5質量部を得た。
〔実施例1〕
糖蜜をイオン交換水で2倍に希釈して本発明の乳酸菌生残性向上剤を調製した。
〔実施例2〕
無脂乳固形分15%の発酵乳に対し、実施例1の乳酸菌生残性向上剤を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製)150gにイオン交換水を加え1000gとし、85℃で2.5分間殺菌後、35℃まで冷却し、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)をそれぞれcfu(コロニー形成単位)が1.0×106/mLとなるよう加え、35℃で20時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に、実施例1の乳酸菌生残性向上剤を、糖蜜としての固形分が140ppmとなるように添加し、本発明(実施例2)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例1〕
実施例2の乳酸菌含有飲食品を、暗所5℃の条件下3週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。
対照(比較例1)としては、酸菌生残性向上剤を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。
両者の測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表1に示す。風味の評価は小川香料社内の訓練されたパネリスト10名にて行った。
表1の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤は、乳酸菌の生残性の向上効果を示すとともに、風味の点においてもコク味付与や異臭のマスキングによる優れた効果を示した。
Figure 0006951834
〔実施例3〕
無脂乳固形分10%の発酵乳に対し、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製)100gにイオン交換水を加え1000gとし、85℃で2.5分間殺菌後、35℃まで冷却し、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC13957)、をそれぞれcfuが1.0×106/mLとなるよう加え、35℃で48時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に、実施例1の乳酸菌生残性向上剤を、糖蜜としての固形分が200ppmとなるように添加し、本発明(実施例3)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例2〕
実施例3の乳酸菌含有飲食品を、暗所10℃の条件下2週間保存し、その生残菌数(c
fu/mL)を測定した。
対照(比較例2)としては乳酸菌生残性向上剤を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。
測定結果を表2に示す。風味の評価は試験例1と同様に小川香料社内の訓練されたパネリスト10名にて行った。
表2の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤は、乳酸菌の生残性向上効果を示すとともに、風味の点においてもコク味付与や酸臭のマスキングによる優れた効果を示した。
Figure 0006951834
〔実施例4〕
無脂乳固形分8%および乳脂肪分0.5%の発酵乳に対し本発明の乳酸菌生残性向上剤を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製)80gに、イオン交換水を加え1000gとし、85℃で2.5分間保持し殺菌後、35℃まで冷却し、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)をそれぞれcfuが1.0×106/mLとなるよう加え、35℃で20時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に実施例1の乳酸菌生残性向上剤を、糖蜜としての含有量が200ppmとなるように添加し、本発明(実施例4)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔実施例5〕
糖蜜及び製造例1のザクロ抽出物をイオン交換水で希釈し、糖蜜を500,000ppm、ザクロ抽出物を2,500ppm含有する本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物を調製した。
〔実施例6〕
実施例4において、実施例1の乳酸菌生残性向上剤に替えて、実施例5の乳酸菌生残性向上剤組成物を、糖蜜としての含有量が500ppm、ザクロ抽出物の含有量が2.5ppmとなるように添加し、本発明(実施例6)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔実施例7〕
糖蜜、製造例1のザクロ抽出物及び製造例2のハマナス抽出物をイオン交換水で希釈し、糖蜜を200,000ppm、ザクロ抽出物を2,500ppm、及びハマナス抽出物を5,000ppm含有する本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物を調製した。
〔実施例8〕
実施例4において、実施例1の乳酸菌生残性向上剤に替えて、実施例7の乳酸菌生残性向上剤組成物を、糖蜜としての含有量が200ppm、ザクロ抽出物の含有量が2.5ppm及びハマナス抽出物の含有量が5ppmとなるように添加し、本発明(実施例8)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例3〕
実施例4、実施例6、及び実施例8の乳酸菌含有飲食品を、蛍光灯1200Lux照射下、10℃の条件下、3週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。
対照(比較例3)としては乳酸菌生残性向上剤を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表3に示す。風味の評価は小川香料社内の訓練されたパネリスト10名で行った。
表3の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤(実施例4)又は乳酸菌生残性向上剤組成物(実施例6、実施例8)は、乳酸菌の生残性向上効果を示すとともに、風味の点においてもコク味付与や酸臭のマスキングによる優れた効果を示した。
Figure 0006951834
〔実施例9〕
生乳タイプの発酵乳に対し本発明の乳酸菌生残性向上剤を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、牛乳500gに、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)、をそれぞれ1.0×106/mLとなるよう加え、35℃で16時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に、実施例1の乳酸菌生残性向上剤を、糖蜜としての含有量が200ppmになるように添加し、本発明(実施例9)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔実施例10〕
実施例9の発酵乳において、実施例1の乳酸菌生残性向上剤に代えて、糖蜜を200ppm、及び製造例2のハマナス抽出物を5ppmになるように添加し、本発明(実施例10)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例4〕
実施例9及び実施例10の乳酸菌含有飲食品を、蛍光灯1200Lux照射下、10℃の条件下、3週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。
対照(比較例4)としては乳酸菌生残性向上剤を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表4に示す。
表4の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤又は向上剤組成物は優れた効果を示した。また、糖蜜にハマナス抽出物を併用することでさらに効果が増強された。
Figure 0006951834
〔実施例11〕
生乳タイプの発酵乳に対し本発明の乳酸菌生残性向上剤を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、牛乳500gに、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)、をそれぞれ1.0×106/mLとなるよう加え、35℃で24時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に、本発明の実施例1の乳酸菌生残性向上剤を、糖蜜としての含有量が200ppmになるように添加し、本発明(実施例11)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔実施例12〕
実施例11の発酵乳において、さらに製造例1のバニラ抽出物を100ppmになるように添加し、本発明(実施例12)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔実施例13〕
実施例11の発酵乳において、さらに製造例4のルイボス抽出物を100ppmになるように添加し、本発明(実施例13)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例5〕
実施例11〜13の乳酸菌含有飲食品を、暗所5℃の条件下3週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。
対照(比較例5)としては乳酸菌生残性向上剤を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表5に示す。
表5の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤又は向上剤組成物は優れた効果を示した。また、糖蜜にバニラ抽出物あるいはルイボス抽出物を併用することでさらに効果が増強された。
Figure 0006951834
〔実施例14〕
無脂乳固形分10%の発酵乳に対し、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製)100gにイオン交換水を加え1000gとし、85℃で2.5分間保持し殺菌後、35℃まで冷却し、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)、ラクトバチルス・カゼイ(NBRC15883)をそれぞれ1.0×106/mLとなるよう加え、30℃で48時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に、糖蜜を200ppm及び製造例1のザクロ抽出物を5ppmになるように添加し、本発明(実施例14)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔実施例15〕
実施例14の発酵乳において、さらに製造例2のハマナス抽出物を5ppmになるように添加し、本発明(実施例15)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例6〕
実施例14及び15の乳酸菌含有飲食品を、暗所10℃の条件下、2週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。
対照(比較例6)としては乳酸菌生残性向上剤組成物を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。
これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表6に示す。
表6の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物は優れた効果を示した。糖蜜にザクロ抽出物およびハマナス抽出物を併用することでさらに効果が増強された。
Figure 0006951834
〔実施例16〕
無脂乳固形分10%の発酵乳に対し、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製)100gにイオン交換水を加え1000gとし、85℃で2.5分間保持し殺菌後、35℃まで冷却し、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)、ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス(NBRC100933)をそれぞれ1.0×106/mLとなるよう加え、30℃で48時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に糖蜜を500ppm、製造例1のザクロ抽出物を5ppm及び製造例2のハマナス抽出物を5ppmになるように添加し、本発明(実施例16)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例7〕
実施例16の乳酸菌含有飲食品を、暗所10℃の条件下、2週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。対照(比較例6)としては乳酸菌生残性向上剤組成物を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。
これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表7に示す。
表7の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物は優れた効果を示した。
Figure 0006951834
〔実施例17〕
無脂乳固形分10%の発酵乳に対し、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物を添加し、本発明の乳酸菌含有飲食品を調製した。
具体的には、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製)100gにイオン交換水を加え1000gとし、85℃で2.5分間保持し殺菌後、35℃まで冷却し、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(NBRC13953)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(NBRC111149)、ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ クレモリス(NBRC100676)をそれぞれ1.0×106/mLとなるよう加え、30℃で24時間培養して、発酵乳を調製した。
この発酵乳に、糖蜜を200ppm及び製造例2のハマナス抽出物を5ppm添加し本発明(実施例17)の乳酸菌含有飲食品を調製した。
〔試験例8〕
実施例17の乳酸菌含有飲食品を、暗所10℃の条件下、2週間保存し、その生残菌数(cfu/mL)を測定した。対照(比較例8)としては乳酸菌生残性向上剤組成物を添加しない発酵乳を同じ条件で保存し、生残菌数(cfu/mL)を測定した。
これらの測定値を比較することにより、乳酸菌生残性向上効果を評価した。測定結果を表8に示す。
表8の結果から、本発明の乳酸菌生残性向上剤組成物は優れた効果を示した。
Figure 0006951834
本発明の乳酸菌生残性向上剤又は向上剤組成物は、乳酸菌飲料の生菌数を維持又は減少の抑制をすることによる飲食品の賞味期間延長効果のみならず、発酵乳や乳酸菌飲料のコク味付与や酸臭のマスキング効果など、優れて美味しい発酵乳や乳酸菌飲料を提供することができる。

Claims (12)

  1. 廃糖蜜、廃蜜又はモラセス(Morasess)を有効成分として含有することを特徴とする、ラクトバチルス(Lactobacillus)属及びストレプトコッカス(Streptococcus)属の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤。
  2. 廃糖蜜、廃蜜又はモラセス(Morasess)を有効成分として含有することを特徴とする、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属及びラクトコッカス属 (Lactococcus)の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤。
  3. 請求項1又は2に記載の乳酸菌生残性向上剤、並びに、ザクロ、ハマナス、バニラ及びルイボスからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物体の抽出物からなることを特徴とする、請求項1又は2に規定される乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物。
  4. 抽出物が、水又はエタノール水溶液による溶媒抽出物であることを特徴とする、請求項3に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物。
  5. 廃糖蜜、廃蜜又はモラセス(Morasess)の固形分100質量部に対して抽出物が0.3〜1000質量部の範囲で含まれる請求項3又は4に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物。
  6. 請求項1又は2に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤又は請求項3〜5のいずれか1項に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物の有効量、及び、飲食品用香味料を含有することを特徴とする香味料組成物であって、当該香味料組成物が、請求項1又は2に規定される共培養物を含有する飲食品に適用するための、上記の香味料組成物。
  7. 請求項1又は2に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤又は請求項3〜5のいずれか1項に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物が0.001〜0.5質量%添加されてなることを特徴とする、請求項1又は2に規定される共培養物
    を含有する飲食品。
  8. 請求項6に記載の香味料組成物を添加後の濃度で0.001〜0.5質量%含有することを特徴とする、請求項1又は2に規定される共培養物を含有する飲食品。
  9. 請求項1又は2に規定される共培養物を含有する飲食品に対して、請求項1又は2に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤又は請求項3〜5のいずれか1項に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物を0.001〜0.5質量%添加することを特徴とする、乳酸菌含有飲食品の乳酸菌生残性向上方法。
  10. 請求項1又は2に規定される共培養物を含有する飲食品に対して、請求項6に記載の香味料組成物を0.001〜0.5質量%添加することを特徴とする、乳酸菌含有飲食品の乳酸菌生残性向上方法。
  11. 廃糖蜜、廃蜜又はモラセス(Morasess)の固形分100質量部に対して、ザクロ、ハマナス、バニラ及びルイボスからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物体の抽出物を0.3〜1000質量部の範囲で添加することを特徴とする、乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物の製造方法であって、乳酸菌がラクトバチルス(Lactobacillus)属及びストレプトコッカス(Streptococcus)属の2種、あるいはラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属及びラクトコッカス属 (Lactococcus)の3種であることを特徴とする上記の製造方法。
  12. ザクロ抽出物、ハマナス抽出物、バニラ抽出物、ルイボス抽出物の添加量が、廃糖蜜、廃蜜又はモラセス(Morasess)の固形分100質量部に対してそれぞれ、0.3〜30質量部、0.3〜30質量部、10〜500質量部、10〜500質量部であることを特徴とする、請求項11に記載の乳酸菌共培養物における乳酸菌生残性向上剤組成物の製造方法。
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