JP6951162B2 - 搬送システム、搬送装置及び搬送方法 - Google Patents

搬送システム、搬送装置及び搬送方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、搬送システム、搬送装置及び搬送方法に関する。
工場や倉庫では、物流に係わる効率化や人手不足の解消が課題となっている。搬送の自動化に向けて、AGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)の導入が進んでいる。AGVやAGFでは、1台で一つまたは複数の荷物等の搬送対象物を搬送する。このため、AGVやAGFによって、搬送対象物のサイズや重量が制限されてしまう。
サイズや重量の大きい搬送対象物を搬送するには、AGVやAGFを大型化しなければならない。AGVやAGFの大型化は、開発や導入にかかるコストが膨らむ上、搬送可能な経路も制限されてしまう。大きさの異なる複数種類のAGVやAGFを用意することも考えられるが、導入や運用のコストが増えてしまう。
米国特許9637310
本発明が解決しようとする課題は、開発や導入、運用のコストを新たにかけることなく、サイズや重量が異なる種々の搬送対象物を搬送可能な搬送システム、搬送装置及び搬送方法を提供するものである。
本実施形態によれば、複数の搬送装置を用いて搬送対象物を搬送する搬送システムであって、
前記複数の搬送装置の移動計画情報を管理する移動計画管理部を備え、
前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画管理部から前記移動計画情報を受信する第1通信部を有し、
前記複数の搬送装置のそれぞれは、
駆動部と、
位置、搬送方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得する搬送装置状態情報取得部と、
前記複数の搬送装置内の他の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受する第2通信部と、
前記機能割当情報に基づいて、割り当てられた機能の実行を制御する機能制御部と、を有し、
前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画情報と前記搬送装置状態情報とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成する機能割当部を有する、搬送システムが提供される。
本実施形態による搬送装置1及び搬送システムの概略構成を示すブロック図。 台車の一例を示す図。 図2Aの車輪を90度回転させた図。 4台の台車で一つの搬送対象物を搬送する例を示す斜視図。 本実施形態による搬送システムの全体的な制御を示すフローチャート。 機能割当部が駆動部を動作させる台車を決定する処理手順を示すフローチャート。 搬送方向後方側の車輪を駆動させる例を示す図。 搬送方向前方側の車輪を駆動させる例を示す図。 機能割当部がサーバとの通信を行う台車を決定する処理手順を示すフローチャート。 搬送余力を説明する図。 機能割当部が各台車にかかる荷重に基づいて機能の割当を行う処理手順の一例を示すフローチャート。 台車群の搬送方向が変化した場合の機能割当部の処理手順を示すフローチャート。 搬送距離が長い場合の機能割当部の処理手順を示すフローチャート。 機能割当部が搬送余力の偏りを考慮に入れて機能の割当を行う処理手順を示すフローチャート。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、本件明細書と添付図面においては、理解のしやすさと図示の便宜上、一部の構成部分を省略、変更または簡易化して説明および図示しているが、同様の機能を期待し得る程度の技術内容も、本実施の形態に含めて解釈することとする。また、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物から変更し誇張してある。
図1は本実施形態による搬送装置1及び搬送システム2の概略構成を示すブロック図である。図1の搬送システム2は、複数の搬送装置1と、サーバ3とを備えている。図1は、搬送装置1が無人搬送台車である例を示しているが、搬送装置1は搬送対象物を搬送可能なものであればよく、例えば、ドローン(無人飛行体)や無人フォークリフトなどでもよい。以下では、搬送装置1が無人搬送台車10である例を説明し、搬送装置1を単に台車10と呼ぶ。
複数の台車10のうち少なくとも一台がサーバ3と無線通信を行う。サーバ3は、複数の台車10の移動計画情報を管理する移動計画情報管理部4と、複数の台車10の移動計画情報を記憶する移動計画記憶部5とを備えている。移動計画情報管理部4は、少なくとも一台の台車10と無線通信を行う通信機能を備えており、必要に応じて、移動計画情報を任意の台車10に送信する。移動計画情報管理部4は必ずしもサーバ3の内部に設ける必要はないため、サーバ3は必須の構成ではない。移動計画情報とは、複数の台車10を一纏めにした台車群単位の情報、具体的には発着地点(始点と終点すなわち目的地点)、発着時刻、経由地点、通過時刻などのダイヤグラムと各地点の位置等の地理情報を指す。これに加えて、移動計画情報は、各台車10の機能割当や割当手法などの機能割当を実行するための情報を含んでいてもよい。また、移動計画情報は、複数の台車10が搬送対象物を次の地点(終点や次の経由地点)まで搬送する際に各台車10が実行する機能等に関する情報や、各台車10の各機能を動作させるタイミングに関する情報などを含んでいてもよい。搬送対象物の発着地点、及び搬送対象物の重量とサイズを移動計画情報管理部4に与えると、移動計画情報管理部4は、これらの情報を用いて移動計画情報を生成する。
移動計画情報管理部4は、各台車10から、移動経路情報、機能割当情報、移動ログ情報、台車状態情報、環境情報、及び走行状態情報の少なくとも一つを受信し、これらの情報を各台車10の実績情報として管理し、次の移動計画情報を生成する際に利用してもよい。例えば、移動経路情報は、再度同じ始点から同じ終点まで搬送対象物を搬送する際の通過点の選定に用いることができる。また、台車状態情報や走行状態情報は、再度同じ台車10で搬送対象物を搬送する際の移動計画情報の生成に用いることができる。
複数の台車10は、2台以上であればよく、台車10の台数には特に制限はない。本実施形態では、複数の台車10にて一つ以上の荷物(以下では、搬送対象物と呼ぶ)を搬送する例を説明する。複数の台車10は同じ機能を備えており、同一サイズであるものとする。なお、図1の構成を示す複数の台車10以外に、別の構成や機能等を備えた別種類の台車がともに協働して一つ以上の搬送対象物を搬送してもよいが、以下では、説明の簡略化のために、図1の構成を備えた複数の台車10で搬送対象物を搬送する例を説明し、これら台車10は、同じ機能を持ち、かつ台車10のサイズも同一である例を説明する。
図1には、複数の台車10のうち1台の内部構成が示されている。図1に示す台車10は、第1通信部11と、駆動部12と、台車状態情報取得部(搬送装置状態情報取得部)13と、第2通信部14と、台車機能制御部(機能制御部)15と、機能割当部16とを備えている。各台車10は、バッテリ17により駆動することを前提としている。バッテリ17は電気エネルギを蓄積する電池でもよいし、化学作用によりエネルギを発生させる燃料電池でもよい。あるいは、バッテリ17は、フライホイールのように機械エネルギを発生されるエネルギ蓄積装置でもよい。
第1通信部11は、移動計画情報管理部4から移動計画情報を受信する。より詳細には、第1通信部11は、移動計画情報管理部4からの電波を受信して、移動計画情報を取得する。また、第1通信部11は、上述したように、移動計画情報管理部4に対して、移動経路情報、機能割当情報、移動ログ情報、台車状態情報、環境情報、及び走行状態情報の少なくとも一つを送信してもよい。
駆動部12は、台車10の車輪の駆動力を発生する。駆動部12は、バッテリ17のエネルギを用いて、台車10を駆動する。駆動部12は、モータでもよいし、エンジンでもよい。駆動部12がエンジンの場合は、バッテリ17の代わりにガソリンや灯油等の化石燃料を用いてもよい。あるいは、駆動部12は、モータとエンジンとを併用するハイブリッド型駆動部であってもよい。
台車状態情報取得部13は、台車10の位置、搬送方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む台車状態情報を取得する。バッテリ残量とは、バッテリ17の残容量である。台車状態情報には、台車10に関する他の種々の情報が含まれていてもよい。
第2通信部14は、複数の台車10内の他の台車10との間で、台車状態情報と、移動計画情報と、機能割当情報とを少なくとも送受する。より詳細には、第2通信部14は、他の台車10と無線通信を行って、お互いの台車状態情報と、移動計画情報と、機能割当情報とを含む各種情報を送受する。
台車機能制御部15は、機能割当情報に基づいて、割り当てられた機能の実行を制御する。各台車10が複数の機能を有する場合であっても、機能割当情報にて割り当てられた機能のみを実行するため、各台車10ごとに別個の機能を実行することができる。
機能割当部16は、移動計画情報と台車状態情報に基づいて、複数の搬送装置1が実行するべき機能の割当を行って機能割当情報を生成する。複数の台車10が機能割当部16を備えている場合であっても、機能割当部16を動作させる台車10は1台だけである。他のすべての台車10は、この1台の台車10の機能割当部16が生成した機能割当情報を第2通信部14を介して受信して、割り当てられた機能を実行する。
機能割当部16が割り当てる機能とは、台車10が備えている各種の機能である。そのうちの一つは、駆動部12を駆動させる機能である。機能割当部16にて、駆動部12を駆動させる機能を実行するよう指示を受けると、駆動部12にて台車10を駆動することになる。各台車10は、機能割当部16にて割り当てられた機能を実行する。機能割当部16は、各台車10に機能を割り当てる際に、どのタイミングで機能を実行させるべきかを示すスケジューリング情報を機能割当情報に含めることができる。
機能割当部16は、複数の搬送装置の搬送方向と複数の搬送装置同士の位置関係とに基づいて、複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当ててもよい。また、機能割当部16は、複数の搬送装置の移動計画情報及び搬送装置状態情報に基づいて得られる各搬送装置の搬送余力と、各搬送装置が所持する機能を実行する際の単位時間当たりの消費エネルギ量とに基づいて、複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当ててもよい。また、機能割当部16は、第1通信部における受信感度に基づいて、複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当ててもよい。また、機能割当部16は、複数の搬送装置にかかる荷重に基づいて、複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当ててもよい。また、機能割当部16は、搬送方向前方の走行状態に基づいて、複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当ててもよい。また、機能割当部16は、加速時と減速時とで、複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を変更してもよい。また、機能割当部16は、搬送方向前方に障害物があるか否かで、複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を変更してもよい。
ここで、台車10の各機能の単位時間当たりの消費エネルギ量を含む各台車10の仕様や性能に係わる情報は、移動計画情報管理部4が所持してもよいし、各台車10の機能割当部16が所持してもよい。この情報は、第1通信部11や第2通信部14を介して、任意の処理で必要に応じて利用される。
台車機能制御部15は、機能割当部16にて割り当てられた機能を台車10内で実行させる制御を行う。例えば、他の台車10の機能割当部16により割り当てられた機能情報が第2通信部14を介して受信されると、台車機能制御部15は、受信された機能情報に基づいて、台車10内で実行するべき機能を把握して、台車10内の各部に実行制御信号を送信する。
図1では、複数の台車10が機能割当部16を備える例を示したが、機能割当部16を備える台車10は、一部の台車10だけでもよい。ただし、本実施形態では、機能割当部16を動作させる台車10を変更可能にした点に特徴があるため、少なくとも2台の台車10に機能割当部16を設けるのが望ましい。なお、機能割当部16はサーバ3内に設けてもよいため、少なくとも1台の台車10とサーバ3に機能割当部16を設けてもよい。
この他、台車10は、移動経路生成部18と、環境情報取得部19と、走行状態判定部20と、同調走行制御部21とのうち、少なくとも一つを備えていてもよい。
移動経路生成部18は、台車状態情報と、環境情報と、移動計画情報とに基づいて、複数の台車10の移動経路を生成する。移動経路とは、具体的には、移動計画情報上のある地点から次の地点までの軌道(道筋)である。機能割当部16を動作させる台車10が移動経路生成部18を動作させて、移動経路の生成を行ってもよい。すなわち、複数の台車10が機能割当部16と移動経路生成部18とを備えている場合には、いずれか一つの台車10のみが機能割当部16と移動経路生成部18を動作させてもよい。これにより、各台車10の移動経路を設定した上で、各台車10に機能を割り当てることができる。例えば、発着地点間の距離が長い場合には、搬送途中で、各台車10の機能を切り替えることも可能になる。移動経路生成部18が生成した移動経路情報を記憶する移動経路記憶部18aを設けてもよい。移動経路生成部18が生成した移動経路は、第2通信部14を介して、他の台車10に送信される。なお、移動経路生成部18の処理は、台車10で行うのではなく、台車10とは別の装置(例えばサーバ3)で行い、この別の装置から第1通信部11を介して台車10に移動経路情報を送信してもよい。
環境情報取得部19は、周囲の環境情報を取得する。例えば、環境情報取得部19は、少なくとも一つのセンサを有し、センサにて周囲の環境情報を取得する。センサの具体的な種類は問わないが、代表的な一例は撮像センサである。撮像センサは、台車10の前方や側方等を連続的または断続的に撮像し、台車10の搬送方向前方や側方等の障害物や傾斜等の有無を把握する。また、温度センサや湿度センサなどを設けて、周囲の温度や湿度を取得してもよい。また、環境情報取得部19は、バッテリ残量を検知するセンサを備えていてもよい。また、環境情報取得部19は、台車10にかかる荷重計を備えていてもよい。複数の台車10で一つの搬送対象物を搬送する場合、複数の台車10にかかる荷重は必ずしも均一ではない。最も大きな荷重のかかる台車10に最大の搬送負荷がかかるため、この台車10の駆動部12の駆動力を大きくしなければならず、バッテリ17の消費量がより大きくなる。よって、環境情報取得部19にて、台車10にかかる荷重を計測することは重要である。上述した機能割当部16と移動経路生成部18の少なくとも一方は、環境情報取得部19が取得した環境情報を考慮に入れて、各台車10の機能割当を行ったり、各台車10の移動経路を生成してもよい。
走行状態判定部20は、搬送方向前方の走行状態を判定する。走行状態とは、例えば、搬送方向前方の障害物や傾斜などの有無である。走行状態判定部20は、例えば環境情報取得部19が取得した環境情報に基づいて、搬送方向前方の走行状態を判定する。搬送方向前方に障害物や傾斜などの搬送の妨げになるものが存在することが走行状態判定部20にて判定されると、移動経路生成部18は、移動経路を再設定することが考えられる。また、移動経路の再設定に伴って、機能割当部16は、各台車10の機能の割当を変更しなければならないこともありうる。なお、走行状態判定部20の処理は、台車10で行うのではなく、台車10とは別の装置(例えばサーバ3)で行い、この別の装置から第1通信部11を介して台車10に走行状態の判定情報を送信してもよい。
同調走行制御部21は、複数の台車10の搬送方向を揃えて同調して搬送させる制御を行う。複数の台車10で一つの搬送対象物を搬送する場合、複数の台車10が同方向に同速度で移動しなければならない。そこで、同調走行制御部21は、台車状態情報取得部13で取得した搬送速度と搬送方向の情報を、第2通信部14を介して、他の台車10と送受し合って、各台車10の搬送速度と搬送方向とが同一になるように制御する。また、複数の台車10のうちいずれか一台の台車10の同調走行制御部21が主導的に搬送速度と搬送方向を決定し、その決定情報を第2通信部14を介して他の台車10の同調走行制御部21に送信してもよい。同調走行制御部21は、対応する各台車10の移動軌跡(移動ログ)を記憶する移動ログ記憶部21aを参照して、各台車10の同調搬送制御を行ってもよい。
図2A及び図2Bは台車10の一例を示す図である。図2A及び図2Bの台車10は4つの車輪10aを備えており、これら車輪10aの向きは、メカナムホイール等で実現できるように一体的に360度方向に回転可能とされている。図2Aと図2Bは、車輪10aの向きを互いに90度回転させた例を示している。これにより、台車10は、任意の二次元方向に進むことができる。前進だけでなく、後進もできるようにしてもよい。
台車10の車輪10aの上には載置部10bが設けられている。載置部10bの上面は平坦部になっており、この平坦部に搬送対象物を面接触させることで、搬送対象物を安定に支持することができる。
台車10の前方側には、例えば撮像センサ10cが設けられている。撮像センサ10cは、台車10の搬送方向前方を撮像する。図2A及び図2Bでは、2つの撮像センサ10cを設ける例を示しているが、撮像センサ10cの数や配置場所は任意である。また、台車10の側方や後方にも撮像センサ10cを設けてもよい。特に、台車10が後進できるようにする場合には、台車10の後方側にも撮像センサ10cを設けるのが望ましい。また、他の台車10との衝突を避けたり、台車10が自ら代替経路を探索できるようにするには、台車10の側方側にも撮像センサ10cを設けるのが望ましい。
台車10の上述した第1通信部11、駆動部12、台車状態情報取得部13、第2通信部14、及び機能割当部16等の各部は、例えば載置部10bの内部に設けられる。また、台車10には、サーバ3との無線通信を行う第1通信部11用のアンテナ10dが設けられている。この他、台車10には、他の台車10同士で無線通信を行う第2通信部14用のアンテナ(不図示)も設けられている。
図3は4台の台車10で一つの搬送対象物30を搬送する例を示す斜視図である。図3の例では、矩形状の搬送対象物30の四隅に4台の台車10を配置しているが、搬送対象物30のサイズや形状、重量等によって、搬送に携わる台車10の台数と位置を設定するのが望ましい。また、搬送対象物30を搬送する複数の台車10からなる台車群のうち、少なくとも一台の台車10のバッテリ残量が少ない場合には、この台車10を台車群から容易に切り離せるように、台車群の中央側ではなく、端側に配置してもよい。搬送対象物30の搬送を行う複数の台車10の台数や位置は、配置レイアウト、タスク割当、スケジューリング等を扱う数理最適化技術等によって設定できるが、本実施形態では、その説明を省略する。
図3に示すように、4台の台車10は、同じ搬送方向に、同じ搬送速度で移動する。上述したように、4台の台車10にかかる荷重は必ずしも一定ではなく、また各台車10のバッテリ残量も異なるため、各台車10が同じ搬送方向に同じ搬送速度で移動する場合であっても、各台車10の駆動部12の制御は異なったものになる。また、各台車10の位置が異なるため、各台車10が所持するセンサ等の動作状態も個別に制御する必要がある。
例えば、4台の台車10のうち一部の台車10のみが駆動部12を動作させ、残りの台車10はギアをニュートラルに設定してもよい。これにより、一部の台車10が駆動部12を動作させたときの駆動力にて、残りの台車10を従属的に動かすことができる。以下では、ギアをニュートラルに設定することを従属動作と呼ぶ。
また、4台の台車10のうち一部の台車10のみが第1通信部11を介してサーバ3と無線通信を行ってもよい。4台の台車10の位置は異なっているため、例えば受信感度が最もよい台車10のみがサーバ3と無線通信を行い、受信した情報(例えば移動計画情報)を、第2通信部14を介して他の台車10に送信してもよい。サーバ3との無線通信はバッテリ17の消費量が大きいのに対して、台車10間では、省電力の近距離無線通信を行うため、バッテリ17の消費量は少ない。よって、一台の台車10が代表してサーバ3と無線通信を行って、残りの台車10には第2通信部14による近距離無線通信を行うことで、搬送システム2の全体では省電力通信が可能となる。
さらに、4台の台車10のうち一部の台車10のみが環境情報を取得してもよい。例えば、4台のうち搬送方向前方に位置する台車10のみが撮像センサ10cを動作させて、搬送方向前方を撮像してもよい。上述したように、環境情報には温度等の種々のものが含まれるため、各台車10ごとに、取得する環境情報を相違させてもよい。また、搬送途中に、機能割当部16からの指示により各台車10の機能を切り替えてもよいため、例えば、バッテリ残量の少ない台車10の撮像センサ10cの動作を停止させている一方で、バッテリ残量の多い台車10の撮像センサ10cを動作させてもよい。このとき、撮像センサ10cを動作させる台車10が搬送方向前方に位置していない場合には、複数の台車10の車輪10aを同調して回転させて台車群の向きを変更し、撮像センサ10cを動作させる台車10が搬送方向前方に位置するようにするのが望ましい。また、撮像センサ10cに限らず、機能割当部16が各台車10の機能の割当を搬送途中で変更した場合には、割当変更後に各機能を実行する各台車10の位置に合わせて、複数の台車10の車輪10aを同調して回転させて台車群の向きを変更してもよい。この車輪10aの回転制御は、例えば同調走行制御部21にて行われる。
図4は本実施形態による搬送システム2の全体的な制御を示すフローチャートである。まず、搬送対象物30を搬送する複数の台車10の台車状態情報を取得する(ステップS1)。ここでは、各台車10ごとに台車状態情報を取得し、取得した台車状態情報を第2通信部14を介して送受し合う。これにより、各台車10が、他の台車10の台車状態情報を把握できる。
次に、各台車10の搬送余力を推定する(ステップS2)。ここでは、各台車10の環境情報取得部19にて取得したバッテリ残量及び荷重と、各台車10の燃費(バッテリ17の場合は電費)とに基づいて、各台車10の搬送可能距離を推定する。推定した搬送可能距離を搬送余力とする。なお、搬送余力を推定するにあたって、各台車10が消費する単位時間当たりのエネルギ量も考慮に入れるのが望ましい。各台車10が消費する単位時間当たりのエネルギ量は、各台車10が実行している機能の種類と数に依存する。
次に、台車群を構成する各台車10が実行するべき機能を割り当てる機能割当部16を動作させる台車10を決定する(ステップS3)。このステップS3では、バッテリ残量や搬送余力が最大の台車10の機能割当部16を動作させてもよい。あるいは、台車10にとっては駆動部12を動かすことが最も消費エネルギが大きいため、駆動部12が停止している台車10の機能割当部16を動作させてもよい。あるいは、ローテーションで順繰りに機能割当部16を動作させる台車10を切り替えてもよい。あるいは、マルチエージェントシステムの契約ネットプロトコル(オークション)を用いて、最も応答が速かった台車10の機能割当部16を動作させてもよい。
次に、ステップS3で決定された台車10の機能割当部16は、台車群の移動方向(搬送方向)を設定するとともに、各台車10の台車群における位置、搬送方向、搬送余力、及び受信感度等に基づいて、各台車10が実行するべき機能を割り当てる(ステップS4)。例えば、搬送方向前方側の台車10と後方側の台車10とで、駆動部12を動作させるか否かを相違させてもよい。また、搬送余力が所定の閾値以下の台車10については駆動部12を停止させたり、環境情報を取得させないようにしてもよい。さらに、受信感度が最大の台車10に第1通信部11の機能を実行させてもよい。
次に、ステップS3で決定された台車10の機能割当部16は、他の各台車10に対して、第2通信部14を介して、割り当てた機能情報を送信する(ステップS5)。各台車10が機能情報を受信すると、搬送対象物30の搬送を開始するとともに、各台車10は割り当てられた機能を実行する(ステップS6)。
図4の処理は、周期的あるいは不定期的に繰り返し行うのが望ましい。時間に応じて、バッテリ残量や各台車10の周囲の状況等の台車状態情報は変化するためである。不定期的にステップS1の処理を行うイベントとしては、例えば以下の4台のイベント(以下、第1〜第4イベント)が考えられる。
第1イベントは、複数の台車10からなる台車群の移動方向(搬送方向)が所定の閾値以上に変わった場合である。台車群の移動方向が大きく変わった場合には、例えば各台車10の第1通信部11の受信感度が変動する場合がありうるため、台車状態情報を取得し直すのが望ましい。
第2イベントは、環境情報取得部19にて取得した環境情報によって、搬送方向前方に障害物等があることがわかり、移動経路を変更する場合である。この場合、移動経路生成部18にて移動経路の再生成を行った上で、図4の処理を再度行うのが望ましい。
第3イベントは、図1の搬送システム2の始動時である。始動時には、第2通信部14を介してマルチエージェントシステムの契約ネットプロトコル(オークション)等を用いて、各台車10の搬送余力等を比較して、機能割当部16を動作させる台車10を選定してもよい。
第4イベントは、台車群を構成する複数の台車10の搬送余力に所定の閾値以上の差違が生じた場合である。搬送余力が極端に小さくなると、搬送対象物30の搬送を行えなくなるため、図4の処理を再び行って、各台車10の機能の割当を再設定するのが望ましい。
台車群にて搬送対象物30を搬送する際、台車群が加速中か、等速中か、減速中かによって、駆動部12を動作させる台車10を変更してもよい。図5は機能割当部16が駆動部12を動作させる台車10を決定する処理手順を示すフローチャートである。機能割当部16は、図5の処理手順を、台車群の搬送開始前だけでなく、搬送中にも定期的または不定期的に行う。
まず、4台の台車10からなる台車群が加速中、等速中、減速中のいずれであるかを判定する(ステップS11)。加速中と判定された場合には、図6Aに示すように搬送方向後方側の2台の台車10の駆動部12を動作させる一方で、前方側の2台の台車10は駆動部12を停止させて従属動作状態にする(ステップS12)。このようにする理由は、加速中の場合は、荷重が後方側にかかることから、後方側の台車10の駆動力を大きくした方が搬送対象物30を効率的かつ安定的に搬送できるためである。また、加速中だけでなく、上り傾斜を登っている最中も、ステップS12と同様に搬送方向後方側の2台の台車10の駆動部12を動作させるのが望ましい。なお、加速力を大きくしたい場合や、急坂を登る場合には、搬送方向後方側だけでなく、前方側の2台の台車10の駆動部12も動作させてもよい。
ステップS11で減速中と判定された場合には、図6Bに示すように搬送方向前方側の2台の台車10の駆動部12を動作させる一方で、後方側の2台の台車10の駆動部12を停止させて従属動作状態にする(ステップS13)。このようにする理由は、減速中の場合は、荷重が前方側にかかることから、前方側の2台の台車10の駆動部12を動作させて、これら駆動部12にてエンジンブレーキも利かせて制動力を向上させるためである。また、減速中だけでなく、下り傾斜を下っている最中も、ステップS13と同様に搬送方向前方側の2台の台車10の駆動部12を動作させるのが望ましい。なお、搬送方向前方側の駆動部12で制動をかけると、台車10が前のめりになるおそれがある。よって、急な制動をかける場合は搬送方向前方側だけでなく、後方側の2台の台車10も動作させてもよい。
ステップS11で等速中と判定された場合には、台車群の搬送速度に応じた台数の台車10の駆動部12を動作させる(ステップS14)。例えば、搬送速度が低速の場合には、駆動部12を動作させる台車10の台数を少なくし、搬送速度が高速の場合には、駆動部12を動作させる台車10の台数を多くする。
ステップS12〜S14の処理が終了すると、駆動部12を動作させる台車10の搬送余力が所定の閾値以上か否かを判定する(ステップS15)。閾値以上の搬送余力がある場合には図5の処理を終了し、閾値未満の搬送余力しかない台車10が存在する場合は、その台車10の駆動部12を停止させるとともに、駆動部12を停止させる予定だった他の台車10の駆動部12を動作させる(ステップS16)。
図7は機能割当部16がサーバ3との通信を行う台車10を決定する処理手順を示すフローチャートである。機能割当部16は、図7の処理手順を、台車群の搬送開始前だけでなく、搬送中にも定期的または不定期的に行う。
まず、台車群を構成する各台車10の第1通信部11の受信感度を取得する(ステップS21)。各台車10の第1通信部11の受信感度は、例えば第1通信部11により検出される。各台車10の第1通信部11は、受信感度情報を第2通信部14を介して、機能割当部16を動作させている台車10に送信する。
次に、各台車10の受信感度を比較し、最大の受信感度を持つ台車10を特定する(ステップS22)。次に、ステップS22で特定した台車10の搬送余力と、この台車10に割り当てる機能の単位時間当たりの消費エネルギ量とに基づいて、この台車10がサーバ3との通信に適しているか否かを判定する(ステップS23)。搬送余力があり、かつ単位時間当たりの消費エネルギ量もそれほど多くなければ、サーバ3との通信に適していると判断して、ステップS22で特定した台車10の第1通信部11を動作させる(ステップS24)。一方、搬送余力がなかったり、単位時間当たりの消費エネルギ量が多すぎる場合には、サーバ3との通信に適していないと判断して、次に受信感度が高い台車10を特定する(ステップS25)。そして、ステップS23に移行する。
図8は搬送余力を説明する図である。図8の棒グラフは、搬送余力の大きさを示しており、矢印範囲r1は、台車10が元々所持していた搬送余力である。矢印範囲r2は、機能割当部16ですでに割り当てられた機能を実行したときの搬送余力の目減り分である。矢印範囲r3は、第1通信部11を動作させたときの搬送余力の目減り分である。矢印範囲r2とr3は、単位時間当たりの目減り分でもよいし、次の目標地点または終点に到達するまでの目減り分でもよいし、任意の時間当たりの目減り分でもよく、搬送余力を計算する単位時間は任意である。単位時間の長さを搬送の目的や用途等によって設定してもよい。上述したステップS23では、矢印範囲r1から、矢印範囲r2とr3を引いた残りr4が所定の閾値を超えるか否かを判定することになる。図8の例では、矢印範囲r4が閾値を超えているため、搬送余力に関しては、第1通信部11を動作させることが可能と判断する。搬送余力を判断する閾値は、必ずしも固定値である必要はなく、終点までの距離の長短に応じて閾値を変えてもよい。
図7のステップS23とS25の処理を繰り返した結果、バッテリ残量が閾値以上の台車10が存在しない場合には、例えばアラーム音の鳴動などの警告処理を行って、台車10のバッテリ17の充電や交換を促すのが望ましい。
図9は機能割当部16が各台車10にかかる荷重に基づいて機能の割当を行う処理手順の一例を示すフローチャートである。路面の状態や傾斜角度、あるいは台車群の加速動作や減速動作などによって、各台車10にかかる荷重に変動が生じるため、機能割当部16は、図7の処理手順を、台車群の搬送開始前だけでなく、搬送中にも定期的または不定期的に行う。
まず、台車群を構成する各台車10にかかる荷重を第2通信部14を介して取得する(ステップS31)。各台車10にかかる荷重は、例えば、各台車10の環境情報取得部19により取得される。環境情報取得部19は、例えば荷重計によって荷重を検出する。
次に、機能割当部16は、各台車10にかかる荷重を比較し、荷重が大きな台車10を選択する(ステップS32)。より詳細には、ステップS32では、荷重が最大の台車10、または荷重が大きい順に複数の台車10を選択する。荷重が大きい台車10の駆動部12は動作させるのが望ましいため、ステップS32で選択された台車10は、駆動部12を動作させる対象となる。
次に、ステップS32で選択した台車10の搬送余力に基づいて、この台車10の駆動部12を動作させてよいか否かを判定する(ステップS33)。
搬送余力が足りない(閾値未満の)場合には、アラーム音の鳴動などの警告処理を行って、図9の処理を終了する(ステップS34)。この場合、搬送余力のある他の台車10に切り替えてもよいが、大きな荷重がかかっている台車10は、その台車10自身を駆動させるのが望ましいため、警告処理を行って、搬送対象物30の載置場所をずらすなどして、搬送余力のない台車10に大きな荷重がかからないようにする。あるいは、搬送余力のない台車10の交換やバッテリ17の充電などを行ってもよい。
一方、ステップS33で、搬送余力がある(閾値以上の)場合には、ステップS32で選択した台車10の駆動部12を動作させる旨の指示を、第2通信部14を介して、対応の台車10に通知する(ステップS35)。
次に、ステップS32で選択した台車10以外の台車10を対象として、図7の処理を実行する(ステップS36)。これにより、できる限り第1通信部11の受信感度のよい台車10が選択される。ステップS36の処理を実行するにあたってステップS32で選択した台車10を除外する理由は、荷重が大きい台車10の駆動部12は、かなりのエネルギを消費すると考えられることから、バッテリ残量を確保するために、通信機能は動作させないようにする趣旨である。
図10は台車群の搬送方向が変化した場合の機能割当部16の処理手順を示すフローチャートである。図10の処理手順は、台車群が搬送対象物30を搬送中に定期的にまたは不定期的に行われるものである。
台車群の搬送方向が所定の角度以上変化したか否かを判定する(ステップS41)。所定の角度は任意であるが、例えば45度である。台車群の搬送方向は、各台車10の環境情報取得部19によって取得される。環境情報取得部19は、加速度センサや方位センサなどを用いて、搬送方向を検出する。
台車群の搬送方向が所定の角度未満しか変化していない場合は、図10の処理は終了する。一方、台車群の搬送方向が所定角度以上変化したと判定されると、図7の処理を行って、各台車10がサーバ3と通信を行う際の第1通信部11の受信感度を取得して、できるだけ受信感度のよい台車10の第1通信部11を動作させる(ステップS42)。
なお、台車群の搬送方向が大きく変化することが事前に予測できる場合は、各台車10の車輪10aを変更後の搬送方向に合わせて回転させて、駆動部12を動作させる台車10を切り替えてもよい。また、それに合わせて、撮像カメラを動作させる台車10を切り替えてもよい。
図11は搬送距離が長い場合の機能割当部16の処理手順を示すフローチャートである。図11の処理手順は、台車群が搬送対象物30を搬送中に定期的または不定期的に行われる。
搬送距離が所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップS51)。搬送距離が閾値を超えるまでは、各台車10の現状の機能割当のまま、ステップS51に留まる。搬送距離が閾値を超えると、いったん搬送距離をゼロとしてその後の搬送距離を計測し、ステップS51の処理を繰り返し行うようにする。
ステップS51にて搬送距離が閾値を超えたと判定されると、各台車10の搬送余力を第2通信部14を介して取得する(ステップS52)。次に、現在駆動部12を動作させている台車10の搬送余力と、この台車10に割り当てられている機能の単位時間当たりの消費エネルギ量とに基づいて、この台車10の駆動部12を継続して動作させてよいか否かを判定する(ステップS53)。この判定は、搬送余力が閾値以上か否かで判断する。閾値以上であれば、継続して動作させてよいと判断する。ステップS53で継続して動作させてよいと判断される場合は、図11の処理を終了する。
一方、ステップS53で台車10の搬送余力がない(閾値未満)と判定されると、駆動部12を動作させる台車10を再設定する(ステップS54)。次に、再設定した台車10の位置に合わせて各台車10の車輪10aを回転させる(ステップS55)。例えば、加速させる場合には、駆動部12を動作させる台車10が搬送方向後方側に位置するように、各台車10とも、同調して、各車輪10aを同じ回転方向に同じ回転角度だけ回転させて台車群の向きを変更する。
次に、撮像センサ10cを動作させる台車10と第1通信部11を動作させる台車10を選択する(ステップS56)。例えば、搬送方向前方に位置する台車10の撮像センサ10cを動作させる際には、図7の処理を行って、駆動部12を動作させる台車10とは異なる台車10の中で、第1通信部11の受信感度ができるだけよい台車10の第1通信部11を動作させてもよい。
図12は機能割当部16が搬送余力の偏りを考慮に入れて機能の割当を行う処理手順を示すフローチャートである。図12の処理手順は、台車群が搬送対象物30を搬送中に定期的または不定期に行われる。
各台車10の搬送余力を第2通信部14を介して取得する(ステップS61)。各台車10の搬送余力は、上述したように、各台車10のバッテリ残量及び荷重と、各台車10の単位時間当たりの走行距離とに基づいて求められる。次に、各台車10の搬送余力の差分が所定の閾値以上か否かを判定する(ステップS62)。差分が所定の閾値未満と判定されると、現状の機能割当を維持することとして、図12の処理を終了する。
一方、ステップS62で差分が所定の閾値以上と判定されると、駆動部12を動作させる台車10を再設定する(ステップS63)。ここでは、例えば搬送余力の大きい台車10を優先的に選択する。次に、駆動部12を動作させる台車10の位置に合わせて各台車10の車輪10aを回転させる(ステップS64)。ここでは、各台車10とも、同調して、各車輪10aを同じ回転方向に同じ回転角度だけ回転させて台車群の向きを変更する。
次に、搬送方向前方を撮像する撮像センサ10cを備えた台車10と、サーバ3と通信を行うべく第1通信部11を動作させる台車10とを選択する(ステップS65)。このステップS65は、図11のステップS56と同様である。第1通信部11を動作させる台車10を選択する際には、図7と同様の処理を行う。
機能割当部16は、図5〜図12に示した各処理を、定期的にまたは不定期的に、並行して、あるいは連続的に行う。また、機能割当部16は、図5〜図12に示した以外の機能割当処理を行ってもよい。
上述した実施形態では、複数の台車10の少なくとも一つが第1通信部11を動作させてサーバ3と無線通信を行う例を示したが、場合によっては、全ての台車10が搬送対象物の陰になって、サーバ3との無線通信を正常に行えない場合も想定しうる。このため、複数の台車10とは別個に、サーバ3との無線通信を主に担当する別の台車(以下、移動体と呼ぶ)を設けてもよい。例えば、移動体は、複数の台車10に同調して移動するものの、搬送対象物の搬送は行わなくてもよい。また、複数の台車10同士の位置関係は固定であるのに対して、移動体は、受信感度のよい場所を求めて、複数の台車10の周囲を自由に動けるようにしてもよい。移動体は、サーバ3からの移動計画情報を受信して、第2通信部14を介して任意の台車10に移動計画情報を送信する。このような移動体が存在する場合は、機能割当部16はサーバ3との通信機能を優先的に移動体に割り当てることになるが、場合によっては、移動体がサーバ3との無線通信機能以外の機能を実行してもよく、例えば機能割当部16の処理を実行してもよい。この移動体は、搬送余力の少ない台車10に接して、例えば台車10を押すなどして、搬送を補助してもよい。
このように、本実施形態は、複数の台車10で一つの搬送対象物30を搬送するものであり、各台車10の中から機能割当部16を動作させる台車10を選択し、選択された機能割当部16が各台車10の機能を割り当てる。このため、各台車10が種々の機能を分担しながら、搬送対象物30を目標地点まで搬送することができる。また、機能割当部16を動作させる台車10を固定にするのではなく、機能割当部16を動作させる台車10を臨機応変に切り替えるため、一部の台車10がバッテリ切れ等の何らかの不測の事態に陥っても、残りの台車10同士で、搬送対象物30の搬送を行うことができる。
本実施形態によれば、搬送対象物30のサイズや重量、形状等によって、その搬送対象物30を搬送する台車10の台数や位置を調整でき、また、各台車10の機能もバッテリ残量や荷重等によって柔軟に切り替えることができるため、同じ機能を持つ複数の台車10を有効活用できる。従来は、台車10やフォークリフトの積載容量によって、搬送可能なサイズや重量が制限されていたが、本実施形態によれば、同一種類の複数の台車10を必要に応じて任意に組み合わせて搬送対象物30を搬送できるため、搬送対象物30のサイズや重量、形状についての制限が緩和され、搬送作業を行いやすくなる。
上述した実施形態で説明した台車10の少なくとも一部の機能は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、台車10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、台車10に搭載または台車10と無線通信するコンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。あるいは、このプログラムをマイクロコードの形態で半導体チップに格納し、半導体チップのコントローラがマイクロコードを実行してもよい。また、台車10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 搬送装置、2 搬送システム、3 サーバ、4 移動計画情報管理部、5 移動計画記憶部、6 機能割当部、10 台車、11 第1通信部、12 駆動部、13 台車状態情報取得部、14 第2通信部、15 台車機能制御部、16 機能割当部、17 バッテリ、18 移動経路生成部、19 環境情報取得部、20 走行状態判定部、21 同調走行制御部

Claims (20)

  1. 複数の搬送装置を用いて搬送対象物を搬送する搬送システムであって、
    前記複数の搬送装置の移動計画情報を管理する移動計画管理部を備え、
    前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画管理部から前記移動計画情報を受信する第1通信部を有し、
    前記複数の搬送装置のそれぞれは、
    駆動部と、
    位置、搬送方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得する搬送装置状態情報取得部と、
    前記複数の搬送装置内の他の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受する第2通信部と、
    前記機能割当情報に基づいて、割り当てられた機能の実行を制御する機能制御部と、を有し、
    前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画情報と、前記搬送装置状態情報と、前記第1通信部における受信感度とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成する機能割当部を有する、搬送システム。
  2. 複数の搬送装置を用いて搬送対象物を搬送する搬送システムであって、
    前記複数の搬送装置の移動計画情報を管理する移動計画管理部を備え、
    前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画管理部から前記移動計画情報を受信する第1通信部を有し、
    前記複数の搬送装置のそれぞれは、
    駆動部と、
    位置、搬送方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得する搬送装置状態情報取得部と、
    前記複数の搬送装置内の他の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受する第2通信部と、
    前記機能割当情報に基づいて、割り当てられた機能の実行を制御する機能制御部と、を有し、
    前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画情報と前記搬送装置状態情報とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成し、加速時と減速時とで、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を変更する機能割当部を有する、搬送システム。
  3. 前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記搬送装置状態情報と前記移動計画情報とに基づいて、前記複数の搬送装置の移動経路を生成する移動経路生成部を有する、請求項1又は2に記載の搬送システム。
  4. 前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記機能割当部及び前記移動経路生成部を有し、
    前記複数の搬送装置のうち一台は、前記機能割当部及び前記移動経路生成部をともに動作させ、
    前記機能割当部及び前記移動経路生成部をともに動作させる搬送装置は、前記複数の搬送装置内の他の搬送装置が実行するべき機能と移動経路とを、前記第2通信部を介して前記他の搬送装置に送信する、請求項3に記載の搬送システム。
  5. 前記機能割当部は、前記複数の搬送装置の搬送方向と前記複数の搬送装置同士の位置関係とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当てる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の搬送システム。
  6. 前記機能割当部は、前記複数の搬送装置の前記移動計画情報及び前記搬送装置状態情報に基づいて得られる各搬送装置の搬送余力と、各搬送装置が所持する機能を実行する際の単位時間当たりの消費エネルギ量とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当てる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の搬送システム。
  7. 前記機能割当部は、前記複数の搬送装置にかかる荷重に基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当てる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の搬送システム。
  8. 前記複数の搬送装置の少なくとも一台は、搬送方向前方の走行状態を検出する走行状態検出部を有し、
    前記機能割当部は、前記走行状態検出部で検出された走行状態に基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当てる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の搬送システム。
  9. 前記機能割当部は、搬送方向前方に障害物があるか否かで、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を変更する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の搬送システム。
  10. 前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、周囲の環境情報を取得する環境情報取得部を備え、
    前記機能割当部は、前記環境情報取得部で取得された環境情報に基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能を割り当てる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の搬送システム。
  11. 前記環境情報取得部は、撮像センサを有し、
    前記機能割当部は、搬送余力が所定の閾値未満に低下した前記搬送装置の前記撮像センサの動作を停止させるとともに、搬送余力が前記閾値以上の前記搬送装置の前記撮像センサを動作させることを含む前記機能割当情報を生成する、請求項10に記載の搬送システム。
  12. 前記複数の搬送装置のそれぞれは、搬送方向を揃えて同調して搬送させる同調走行制御部を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の搬送システム。
  13. 前記同調走行制御部は、前記機能割当部が前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当変更を行った場合には、割当変更後に機能を実行する搬送装置の位置に合わせて、前記複数の搬送装置を一体的に回転させる、請求項12に記載の搬送システム。
  14. 前記複数の搬送装置のそれぞれは、同一の機能を有し、同一サイズである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の搬送システム。
  15. 前記複数の搬送装置に同調して移動し、前記移動計画管理部から前記移動計画情報を受信するための無線通信機能を有する移動体を備え、
    前記複数の搬送装置の前記第2通信部は、前記移動体を介して前記移動計画情報を受信する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の搬送システム。
  16. 前記第1通信部は、対応する搬送装置の移動経路情報、機能割当情報、移動ログ情報、搬送装置状態情報、環境情報、及び走行状態情報の少なくとも一つを無線送信する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の搬送システム。
  17. 他の1以上の搬送装置を含めた複数の搬送装置で搬送対象物を搬送可能な搬送装置であって、
    駆動部と、
    位置、搬送方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得する搬送装置状態情報取得部と、
    前記複数の搬送装置の移動計画情報を受信する第1通信部と、
    前記他の1以上の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受する第2通信部と、
    前記移動計画情報と、前記搬送装置状態情報と、前記第1通信部における受信感度とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成する機能割当部と、を備える、搬送装置。
  18. 他の1以上の搬送装置を含めた複数の搬送装置で搬送対象物を搬送可能な搬送装置であって、
    駆動部と、
    位置、搬送方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得する搬送装置状態情報取得部と、
    前記複数の搬送装置の移動計画情報を受信する第1通信部と、
    前記他の1以上の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受する第2通信部と、
    前記移動計画情報と前記搬送装置状態情報とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成し、加速時と減速時とで、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を変更する機能割当部と、を備える、搬送装置。
  19. 複数の搬送装置を用いて搬送対象物を搬送する搬送方法であって、
    前記複数の搬送装置の移動計画情報を管理するステップと、
    前記複数の搬送装置との間で、前記移動計画情報を送受するステップと、を備え、
    前記複数の搬送装置のそれぞれは、
    位置、方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得すステップと、
    前記複数の搬送装置内の他の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受するステップと、を有し、
    前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画情報と、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報の受信感度とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成する、搬送方法。
  20. 複数の搬送装置を用いて搬送対象物を搬送する搬送方法であって、
    前記複数の搬送装置の移動計画情報を管理するステップと、
    前記複数の搬送装置との間で、前記移動計画情報を送受するステップと、を備え、
    前記複数の搬送装置のそれぞれは、
    位置、方向、搬送速度、出力、及びバッテリ残量の少なくとも一つを含む搬送装置状態情報を取得すステップと、
    前記複数の搬送装置内の他の搬送装置との間で、前記搬送装置状態情報と、前記移動計画情報と、機能割当情報とを送受するステップと、を有し、
    前記複数の搬送装置のうち少なくとも一台は、前記移動計画情報と前記搬送装置状態情報とに基づいて、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を行って前記機能割当情報を生成し、加速時と減速時とで、前記複数の搬送装置が実行するべき機能の割当を変更する、搬送方法。
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