以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の上寄りとなる位置には、「0」〜「9」の数字からなる図柄や種々のメッセージ等を表示するための表示部6a、6aを備えた表示装置6が設置されている。さらに、表示装置6の下方で遊技領域16の中央部から下部にかけて、遊技球が進入する進入口51、51、各進入口51を開閉する羽根部材52、進入口51、51から進入した遊技球を合流させる合流路53、53、合流路53、53の下流端から分岐しつつ下方へ延びる遊技球流路54A、54B、遊技球を種々の分岐路へ振り分けるための複数の電動装置、種々の分岐路へ振り分けられつつも遊技球が最終的に到達するステージ90(図6に示す)、表面に複数の障害突起を有しており、上下方向を軸として回転する回転テーブル60、60(図6に示す)、及びステージ90の前側に設けられた遊技球が通過可能な特別領域56やアウト口57、57等を備えた第1大入賞装置26が設置されている。
また、表示装置6及び第1大入賞装置26の左方には、遊技球が流下可能で、遊技球が入賞可能な抽選入賞口19、及び複数の普通入賞口84、84・・等が設置された左打ち用スペースSLが形成されており、この左打ち用スペースSLを流下させることで、抽選入賞口19への遊技球の入賞が狙えるようになっている。一方、表示装置6及び第1大入賞装置26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。この右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、開閉動作する可動片を有する可動入賞装置17、遊技球の特別領域56の通過に起因して開成する第2大入賞装置18、及び普通入賞口84が設置されている。そして、この右打ち用スペースSRを流下させることで、ゲート部材20を通過させたり、開動作している可動入賞装置17へ入賞させたり、開成している第2大入賞装置18へ入賞させたりすることができるようになっている。なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘が植設されている。また、第1大入賞装置26への遊技球の入賞は、左打ち用スペースSL及び右打ち用スペースSRのどちらを流下させても、ほぼ同じ確率で狙うことができる。さらに、遊技領域16の最下端には、当該位置まで到達した遊技球を遊技領域16外へ排出するための排出口47が設けられている。加えて、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄と第2特別図柄とを夫々別個に表示可能とした特別図柄表示部83が設けられている。
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な遊技ボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する夫々一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置30(図4に示す)、表示装置6における表示動作等を制御する表示制御装置61(図4に示す)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置62(図4に示す)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置63(図4に示す)、及び表示制御装置61や音制御装置63等の動作を統合的に制御するサブ制御装置40(図4に示す)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
次に、パチンコ機1の制御機構について、図4をもとに説明する。図4は、パチンコ機1の制御機構を示したブロック図である。
メイン制御装置30には、後述するような各種抽選の実行とともに第1大入賞装置26を始めとした各種部材の動作を制御するメインCPU32、ROMやRAM等といった記憶手段33、タイマ34、及びインターフェイス35等が搭載されたメイン制御基板31が内蔵されている。そして、該メイン制御基板31は、インターフェイス35を介して、抽選入賞口19や第1大入賞装置26、可動入賞装置17、第2大入賞装置18、ゲート部材20、及び特別図柄表示部83等と接続されている。また、メイン制御基板31は、サブ制御装置40内に内蔵されたサブ統合基板41とも電気的に接続されている。さらに、メイン制御基板31は、第1大入賞装置26内に設けられた遊技球を検出するための各種検出スイッチ(進入検出スイッチ70、特別検出スイッチ73、及び排出検出スイッチ74)とも接続されている。なお、図4では省略しているが、メイン制御基板31は、払出制御装置28や電源装置29、普通入賞口84等ともインターフェイス35を介して接続されている。
記憶手段33には、可動入賞装置17を開動作させるか否かの抽選に使用するaカウンタ、第1大入賞装置26の開放抽選に使用するcカウンタ、特別図柄表示部83における第1特別図柄や第2特別図柄の確定表示態様を決定するdカウンタ、及び主に特別図柄の変動時間となる基本変動パターンを決定するeカウンタ(変動時間情報決定用乱数)等の複数のカウンタが内蔵されている。各カウンタは、電源投入時から所定の規則に従って所定の数値の間をごく短時間(たとえば1割込2.000ms)のうちに1ずつ加算しながらループカウントするループカウンタであって、当該カウンタを用いた数値の取得は、乱数からの数値の取得とみなすことができる。また、aカウンタは0〜100(101通り)の間を、cカウンタは0〜1(2通り)の間を、dカウンタは0〜9(10通り)の間を、eカウンタは0〜9(10通り)の間を夫々ループカウントするようになっている。そして、メインCPU32は、遊技球のゲート部材20における通過検出を契機としてaカウンタから1つの数値を取得するとともに、遊技球の抽選入賞口19や可動入賞装置17への入賞検出を契機として、cカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタから夫々1つの数値を取得する(開放抽選を実行する)。なお、本実施形態では、cカウンタの数値は全て小当たり数値として設定されている。
また、記憶手段33には、図5に示すようなdカウンタの数値と特別図柄表示部83に確定表示する第1特別図柄や第2特別図柄とを対応づけた確定表示態様決定テーブルや、dカウンタの数値と特別図柄表示部83に確定表示する第2特別図柄とを対応づけた確定表示態様決定テーブル(図示せず)、及びeカウンタの数値と基本変動パターンとを対応づけた基本変動パターン決定テーブル(図示せず)等が記憶されている。この基本変動パターンとは、主に特別図柄の変動時間(変動開始から確定表示までの時間)を規定するものである。
一方、サブ制御装置40には、サブ統合CPU42、記憶手段43、タイマ44、及びインターフェイス45等が搭載されたサブ統合基板41が内蔵されている。該サブ統合基板41は、インターフェイス45を介してメイン制御基板31と電気的に接続されているとともに、表示制御装置61、発光制御装置62、及び音制御装置63と電気的に接続されている。また、サブ統合基板41は、インターフェイス45を介して、第1大入賞装置26に設けられた遊技球を検出して遊技球が流下する流路を特定するための各種検出スイッチ(第1特殊検出スイッチ71、及び第2特殊検出スイッチ72)とも電気的に接続されている。そして、サブ統合CPU42は、メイン制御基板31から開放抽選に係る信号(後述するような各種コマンド等)を受信すると、その内容に応じて各制御装置を制御し、スピーカ14やランプ部材15の動作や表示装置6における表示動作等を制御する。
以下、上記パチンコ機1における基本的な遊技動作について簡略に説明する。
まずパチンコ機1では、遊技球が抽選入賞口19や可動入賞装置17へ入賞すると、当該入賞がメインCPU32により検出される(変動条件の充足)。すると、メインCPU32は、所定個数(たとえば3個)の遊技球を賞球として払い出すとともに、入賞検出のタイミングでcカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタから夫々1つの数値を取得し、記憶手段33に一時的に記憶する。ただ、乱数から数値を取得したタイミング(取得した数値の一時的な記憶のタイミングとも言える)が、特別図柄表示部83における特別図柄の変動表示中、第1大入賞装置26を開動作させる小当たり状態の生起中、若しくは第2大入賞装置18を断続的に開成させる大当たり状態の生起中の何れかであると、cカウンタ、dカウンタ、及びeカウンタからの取得数値を参照することなく記憶手段33から削除する。一方、乱数から数値を取得したタイミングが、特別図柄の変動表示中でなく、小当たり状態中でもなく、更に大当たり状態中でもないと、今回取得した数値のうちcカウンタからの取得数値が小当たり数値であることを確認する(開放抽選の結果が「小当たり」であることの確認)とともに、dカウンタからの取得数値及び抽選入賞口19と可動入賞装置17との何れへの入賞であるかにもとづき特別図柄の確定表示態様を決定する。さらに、eカウンタからの取得数値に対応する基本変動パターンを読み出す(すなわち、図柄の変動時間を含む基本変動パターンを決定する)。
その後、メインCPU32は、抽選入賞口19と可動入賞装置17との何れへの入賞に伴うものであるか、開放抽選の結果(「小当たり」であること)、特別図柄の確定表示態様、及び読み出した基本変動パターンの種類を示す情報を含んだ開始コマンドを作成するとともに、当該開始コマンドをサブ統合CPU42へ送信する。また、特別図柄表示部83において、抽選入賞口19への入賞に係る保留情報の消化であると第1特別図柄を、可動入賞装置17への入賞に係る保留情報の消化であると第2特別図柄を所定の態様で夫々変動させるとともに、タイマ34による計時を開始する。そして、読み出した基本変動パターンに応じた図柄の変動時間が経過すると、開放抽選の結果を踏まえた上でのdカウンタからの取得数値及び抽選入賞口19と可動入賞装置17との何れへの入賞であるかにもとづく確定表示態様で対応する特別図柄を確定表示させるとともに、停止信号を含んだ停止コマンドをサブ統合CPU42へと送信する。なお、記憶手段33に一時的に記憶した乱数からの取得数値に関しては、当該乱数からの数値の取得に係る特別図柄の確定表示をもって消去する。
また、特別図柄の確定表示に係り、メインCPU32は、抽選入賞口19への入賞にもとづく「小当たり」であり、且つ、dカウンタからの取得数値が“0”であると、第1特別図柄を図柄A(第1の特別確定表示態様)で確定表示させる。さらに、抽選入賞口19への入賞にもとづく「小当たり」であり、且つ、dカウンタからの取得数値が“1”〜”9”のいずれかであると、第1特別図柄を図柄B(第2の特別確定表示態様)で確定表示させる。加えて、可動入賞装置17への入賞にもとづく「小当たり」であると、dカウンタからの取得数値がどの数値であっても第2特別図柄を図柄C(第1の特別確定表示態様)で確定表示させる。そして、当該確定表示後、小当たり状態の開始を報知する開始デモ、及び第1大入賞装置26の開成(具体的には、所定時間にわたり羽根部材71、71を1回だけ開動作させる)からなる小当たり状態を生起させる。
さらに、メインCPU32は、小当たり状態の生起に伴い開動作した第1大入賞装置26へ進入した遊技球が特別領域56を通過すると、サブ統合CPU42へ大当たり確定コマンドを送信するとともに、表示装置6にて大当たり状態の開始の報知等を含んだ大当たり演出を実行する。また、後述するような所定の開始条件が満たされると、サブ統合CPU42へ大当たり開始コマンドを送信するとともに、第2大入賞装置18の所定回数にわたる断続的な開成、及び大当たり状態の終了を報知する終了デモからなる大当たり状態を生起させる。このとき、第1特別図柄を図柄Aで確定表示させたことに起因して生起させた小当たり状態か、第2特別図柄を図柄Cで確定表示させたことに起因して生起させた小当たり状態であると、特別領域56の通過に伴い、第2大入賞装置18を10回にわたり断続的に開成させる第1大当たり状態を生起させる。一方、第1特別図柄を図柄Bで確定表示させたことに起因して生起させた小当たり状態であると、特別領域56の通過に伴い、第2大入賞装置18を2回しか断続的に開成させない第2大当たり状態を生起させる。ただ、どちらの大当たり状態であっても、開成した第2大入賞装置18に遊技球が入賞すると、抽選入賞口19や可動入賞装置17へ入賞した場合と比較して多くの遊技球(たとえば10個)を賞球として払い出す。なお、小当たり状態の生起に伴い開動作した第1大入賞装置26へ進入したものの、特別領域56を通過しなかった遊技球は、アウト口57から排出される。そして、遊技球がアウト口57から排出された場合には、上述したような大当たり状態も生起することはない。
加えて、メインCPU32は、第1大当たり状態の終了後には、特別図柄の確定表示回数が所定回数(たとえば20回)に達するまで、可動入賞装置17が開状態となりやすい、若しくは、可動入賞装置17が長時間にわたって開状態となるとの少なくとも何れか一方としたことで、可動入賞装置17へ遊技球が入賞しやすくなるサポート状態を生起させる。そして、第1大当たり状態の終了後、再び第1大当たり状態、第2大当たり状態の何れも生起することなく特別図柄の確定表示回数が所定回数に達したことをもって、可動入賞装置17が開状態となりにくい遊技開始当初の通常遊技状態へ復帰させる。なお、第2大当たり状態の終了後には、サポート状態を生起させることなく、通常遊技状態に復帰させる。また、上述したように第1大当たり状態は、第2大当たり状態よりも第2大入賞装置18の開成回数が多い上、その終了後にサポート状態を生起させることから、遊技者にとって一層有利な遊技状態であると言える。
また、メインCPU32は、可動入賞装置17の開閉動作についても制御しており、遊技球がゲート部材20を通過すると、当該通過がメインCPU32により検出される。すると、メインCPU32は、通過検出のタイミングでaカウンタから1つの数値を取得するとともに、aカウンタからの取得数値が所定の「当たり数値(たとえばサポート状態が生起していると“0”〜“99”の100通り、サポート状態が生起していないと“0”の1通りのみとなっている)」であるか否かを判定する。そして、aカウンタからの取得数値が「当たり数値」であると、閉状態にある可動入賞装置17を開動作させて開状態とする。このとき、サポート状態が生起していると、たとえばサポート状態が生起していない場合と比べて長い時間(2秒間)に亘り開状態とすることを断続的に3回繰り返す態様等の特別開放動作態様で作動させる。したがって、可動入賞装置17へ遊技球が入賞しやすくなる。一方、サポート状態が生起していないと、たとえばサポート状態が生起している場合と比べて短い時間(0.2秒)に亘り、しかも1回しか開状態としない態様等でしか可動入賞装置17を作動させない。したがって、サポート状態が生起していない場合には、たとえ可動入賞装置17が開動作したとしても、遊技球は可動入賞装置17へ極めて入賞しにくくなっている。
さらに、aカウンタからの取得数値が「当たり数値」であった際、サポート状態が生起している場合には、遊技球のゲート部材20の通過から比較的早いタイミング(たとえば1秒後)で可動入賞装置17が開動作する一方、サポート状態が生起していない場合には、遊技球のゲート部材20の通過から遅いタイミング(たとえば60秒後)にしか可動入賞装置17が開動作しない。なお、aカウンタからの取得数値が「当たり数値」でないと、可動入賞装置17を閉状態のまま作動させない。
一方、サブ統合CPU42は、開始コマンドを受信すると、その開始コマンドに含まれている特別図柄の確定表示態様や基本変動パターン等に応じて表示装置6における演出態様を決定し、タイマ44により計時しながら表示装置6で表示演出を実行して、最終的に小当たり表示を行う。また、サブ統合CPU42は、大当たり確定コマンドを受信すると、たとえば開始デモ中に、表示装置6を利用して生起する大当たり状態の種別や大当たり状態の開始を報知するとともに右打ちの実行を指示する等の大当たり演出を実行する。また、大当たり開始コマンドの受信すると、大当たり状態専用の演出態様に沿って表示装置6における表示動作を制御し、終了デモになると、表示装置6を利用して大当たり状態が終了する旨等を遊技者に報知する。加えて、サポート状態の生起中には、表示装置6を利用してサポート状態が生起している旨等を遊技者に報知する。
以上のようなパチンコ機1では、遊技者は通常遊技状態から遊技を開始することになり、ハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させ(所謂左打ちを行い)、抽選入賞口19への遊技球の入賞を狙う。また、遊技球が抽選入賞口19へ入賞すると、表示装置6に小当たり表示がなされた後に、小当たり状態が生起して第1大入賞装置26が開成する。そこで、左打ちを継続し、第1大入賞装置26の左側から遊技球の第1大入賞装置26への進入(第1大入賞装置26への入賞)、ひいては特別領域56の通過を狙う。そして、遊技球が特別領域56を通過すると、表示装置6にて所定の大当たり演出が実行された後、大当たり状態が生起して第2大入賞装置18が所定回数にわたり断続的に開成する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させる所謂右打ちを行い、断続的に開成する第2大入賞装置18への遊技球の入賞を狙う。なお、第1大入賞装置26へ進入したものの、特別領域56を通過できない遊技球は、何れかのアウト口57を介して遊技盤2の後面側へ排出される。
また、大当たり状態が第1大当たり状態であると、その終了後にサポート状態が生起するため、遊技者は右打ちを継続し、ゲート部材20への遊技球の通過、及び頻繁に開状態となる可動入賞装置17への遊技球の入賞を狙う。そして、遊技球が可動入賞装置17へ入賞すると、表示装置6に小当たり表示がなされた後に再度小当たり状態が生起するため、右打ちを継続し、第1大入賞装置26の右側から遊技球の第1大入賞装置26への進入、ひいては特別領域56の通過を狙う。
一方、大当たり状態が第2大当たり状態であると、サポート状態が生起することなく通常遊技状態へ復帰するため、遊技者は、右打ちを止めて左打ちを行い、再び抽選入賞口19への入賞を狙う遊技を行うことになる。また、サポート状態中に遊技球が特別領域56を通過することなく、特別図柄(主に第2特別図柄となる)の確定表示回数が所定回数に達しても、遊技状態は通常遊技状態へ復帰するため、遊技者は、再び抽選入賞口19への入賞を狙う遊技を行うことになる。
(第1大入賞装置内へ遊技球が進入した後に実行される特殊表示演出についての説明)
ここで、本発明の要部となるパチンコ機1での特殊表示演出について、図6〜図12をもとに説明する。
図6は、第1大入賞装置26を前面側から示した説明図である。図7は、第1大入賞装置26の下流部を斜め上方から示した説明図である。図8は、fカウンタの数値と表示装置6で実行する表示演出の種類との対応を示した説明図である。図9(a)は、gカウンタの数値と表示装置6で実行する表示演出の種類との対応を示した説明図、図9(b)は、hカウンタの数値と装飾部材68での点灯演出の実行の有無との対応を示した説明図である。図10は、iカウンタの数値と表示装置6で実行する表示演出の種類との対応を示した説明図である。図11は、表示装置6での特殊表示演出の実行制御に係るフローチャート図である。図12は、表示装置6での特殊表示演出を示した説明図である。
まず、第1大入賞装置26の全体的な構造について説明する。
第1大入賞装置26は、その頂部に2つの進入口51、51(左側に開口する進入口51及び右側に開口する進入口51)を備えてなり、当該進入口51、51を介して第1大入賞装置26内へ遊技球が進入可能となっている。また、各進入口51には、進入口51を閉塞して遊技球の進入を阻止する起立姿勢と、進入口51を開放して遊技球の進入を許容する傾倒姿勢との間を回動可能な羽根部材52が設けられている。さらに、各進入口51からは、左右の進入口51、51から進入した遊技球を一旦合流させるための合流路53が延びており、各合流路53には進入口51を介して合流路53内(すなわち第1大入賞装置26内)へ進入した遊技球を検出するための進入検出スイッチ70が設けられている。そして、両合流路53、53の合流ポイントの下流側に、遊技球を第1の遊技球流路54Aと第2の遊技球流路54Bとの何れかへ振り分けるための振分部材75が設けられている。
第1の遊技球流路54Aは、主に第1大入賞装置26の左側に設けられており、最終的に遊技球が到達するステージ90までの間において、最も遊技球が特別領域56を通過しにくい第1ルート76と、第1ルート76よりは特別領域56の通過を期待できる第2ルート77とに分岐している。一方、第2の遊技球流路54Bは、主に第1大入賞装置26の主に右側に設けられており、ステージ90までの間において、第2ルート77に合流する第3ルート78と、最も遊技球の特別領域56の通過を期待することができる(第2ルート77及び第3ルート78よりも期待することができる)第4ルート79とに分岐している。したがって、第2の遊技球流路54Bは、第1の遊技球流路54Aよりも遊技者にとって有利な遊技球流路であると言える。また、第2の遊技球流路54Bにおける分岐部よりも上流側となる位置には、遊技球が第2の遊技球流路54Bを流下していること、すなわち振分部材75にて遊技球が第2の遊技球流路54Bへ振り分けられたことを検出するための第1特殊検出スイッチ71が設けられている。さらに、第2の遊技球流路54Bにおける第4ルート79には、遊技球が第4ルート79を流下していることを検出するための第2特殊検出スイッチ72が設けられている。なお、66は、第1の遊技球流路54Aの分岐部に設けられ、遊技球を第1ルート76と第2ルート77との何れかへ振り分ける電動役物である。また、67は、第2の遊技球流路54Bの分岐部に設けられ、遊技球を第3ルート78と第4ルート79との何れかへ振り分ける電動役物である。さらに、電動役物67の近傍には、所定のタイミングで点灯するLEDが内蔵された装飾部材68が設置されている。
また、第1大入賞装置26の下部には、上面を遊技球が転動可能なステージ90が設けられており、上記2つの遊技球流路54A、54Bはどちらも、ステージ90に達している。このステージ90は、その上面が前方へむかって下降傾斜する傾斜面とされてなり、当該ステージ90の前縁に隣接した位置で、左右の回転テーブル60、60の左右方向で中央となる位置に特別領域56が設けられている。また、ステージ90の前縁よりも前側には、特別領域56以外の位置に到達してステージ90上から落下する遊技球を、特別領域56の左右に設けられたアウト口57、57の何れかへ回収するためのカバー部材91が設けられている。なお、遊技球の特別領域56の通過は特別検出スイッチ73により検出され、アウト口57からの排出は排出検出スイッチ74により検出される。
さらに、ステージ90の後端には、上方へ垂直に起立する後壁部92が立設されており、当該後壁部92の左部で回転テーブル60の後側となる位置には、第1ルート76の下流端となる送出口93が開設されている。また、第1ルート76における送出口93の上流側には、遊技球の流下方向を前後方向とするための湾曲部93aが設けられており、送出口93からステージ90上へ送り出された遊技球は、略100%の確率で回転テーブル60に接触するようになっている。すなわち、第1ルート76を流下してきた遊技球が特別領域56を通過する確率は極めて低いと言える。
さらにまた、後壁部92における左右の回転テーブル60、60の左右方向で中央となる位置、すなわち特別領域56の後側となる位置には、第4ルート79の下流端となる送出口94が開設されている。また、第4ルート79における送出口94の上流側には、遊技球の流下方向を前後方向とするための湾曲部94aが設けられており、送出口94からステージ90上へ送り出された遊技球は、極めて高い確率で特別領域56を通過するようになっている。
なお、後壁部92の上部には、遊技球が通過可能な孔(図示せず)が穿設されたテーブル95が設けられており、第2ルート77及び第3ルート78の下流端は、当該テーブル95内へつながっている。したがって、第2ルート77及び第3ルート78を流下してきた遊技球は、テーブル95内へ導かれた後、孔を通過してステージ90上へ落下することになる。ただ、テーブル95は左右方向へスライドしており、遊技球が孔を通過する際のテーブル95のスライド位置に応じて、遊技球のステージ90上への落下位置が変化するようになっている。したがって、第2ルート77及び第3ルート78を流下してきた遊技球は、第1ルート76を流下してきた遊技球よりも特別領域56の通過を期待できるものの、第4ルート79を流下してきた遊技球よりは特別領域56の通過を期待できないことになる。すなわち、第4ルート79は、第3ルート78よりも遊技者にとって有利なルートであると言える。
次に、本発明の要部に係る制御機構について説明する。
進入検出スイッチ70、特別検出スイッチ73、及び排出検出スイッチ74は、メイン制御装置30に接続されており、メイン制御装置30にて、遊技球の第1大入賞装置26への入賞、遊技球の特別領域56の通過、及び遊技球のアウト口57からの排出が検出される。また、メイン制御装置30の記憶手段33には、進入検出スイッチ70での遊技球の検出に応じて表示装置6で実行する表示演出の種別を決定するためのfカウンタ、及び図8に示すようなfカウンタの数値と実行する表示演出の種別とを対応づけた第1の演出決定テーブルが記憶されている。
一方、第1特殊検出スイッチ71及び第2特殊検出スイッチ72は、サブ制御装置40に接続されており、サブ制御装置40にて、遊技球の第2の遊技球流路54Bへの流入、及び遊技球の第4ルート79への流入が検出される。また、サブ制御装置40の記憶手段43には、第1特殊検出スイッチ71での遊技球の検出に応じて表示装置6で実行する表示演出の種別を決定するためのgカウンタ、第1特殊検出スイッチ71での遊技球の検出に応じて装飾部材68のLEDを点灯させるか否かを決定するためのhカウンタ、第2特殊検出スイッチ72での遊技球の検出に応じて表示装置6で実行する表示演出の種別を決定するためのiカウンタ、及び図9、図10に示すようなg、h、iカウンタの数値と実行する表示演出の種別やLED点灯の実行の有無等とを対応づけた各種演出決定テーブルが記憶されている。
なお、f〜iカウンタは、cカウンタ等と同様、電源投入時から所定の規則に従って所定の数値の間をごく短時間のうちに1ずつ加算しながらループカウントするループカウンタであって、fカウンタは0〜2(3通り)の間を、g〜iカウンタは0〜9(10通り)の間を夫々ループカウントするようになっており、当該カウンタを用いた数値の取得は、乱数からの数値の取得とみなすことができる。
そして、メイン制御装置30とサブ制御装置40とでは、小当たり状態の生起に伴い第1大入賞装置26への遊技球が進入した際、図11に示すフローチャートに沿って表示装置6で特殊表示演出を実行する。
小当たり状態の生起に伴い、まず遊技球が左右何れかの進入口51を介して第1大入賞装置26内へ進入すると、当該進入が、対応する合流路53に設置された進入検出スイッチ70によりメイン制御装置30にて検出される(S1)。そして、メイン制御装置30は、進入検出スイッチ70による遊技球の検出に応じて、fカウンタから数値を取得するとともに、fカウンタからの取得数値及び特別図柄の確定表示態様に応じて、表示装置6で実行する特殊表示演出の種別を決定し(S2)、サブ制御装置40に第1表示演出コマンドを送信する。また、サブ制御装置40は、第1表示演出コマンドを受信すると、その内容に応じて表示装置6の動作を制御し、メイン制御装置30で決定された表示演出を実行する(S2)。
すなわち、第1特別図柄が図柄Aで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、fカウンタからの取得数値が“0”“1”の何れかであると、表示装置6での表示態様を図12(b)に示す第1特殊表示態様とする第1特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Aで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、fカウンタからの取得数値が“2”であると、表示装置6での表示態様を図12(c)に示す第2特殊表示態様とする第2特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であると、fカウンタからの取得数値が“0”〜“2”の何れであっても第2特殊表示演出を実行する。また、第2特別図柄が図柄Cで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であると、fカウンタからの取得数値が“0”〜“2”の何れであっても第1特殊表示演出を実行する。
この後、当該遊技球が、振分部材75により第1の遊技球流路54A側に振り分けられると、第1ルート76と第2ルート77との何れのルートをたどることになったとしても、第1特殊検出スイッチ71で検出されることなく(S3でNO)ステージ90に達し、特別領域56を通過するか若しくはアウト口57から排出されるかする。そこで、メイン制御装置30は、特別検出スイッチ73と排出検出スイッチ74との何れで遊技球が検出されるかの判断(S7)において、特別領域56の通過を検出すると、上述したようにサブ制御装置40へ大当たり確定コマンドを送信する。そして、サブ制御装置40は、大当たり確定コマンドを受信すると、表示装置6において後述するような大当たり演出を実行する(S8)。一方、メイン制御装置30が、遊技球のアウト口57からの排出を検出すると、サブ制御装置40へはずれ確定コマンドが送信され、表示装置6における表示態様が図12(a)に示すような通常表示態様へリセットされる。なお、小当たり状態が生起したにも拘わらず、遊技球を第1大入賞装置26へ進入させることができないと、小当たり状態の終了に応じて表示装置6における表示態様は通常表示態様へリセットされる。
また、第1大入賞装置26内へ進入した遊技球が、振分部材75により第2の遊技球流路54B側に振り分けられると、第1特殊検出スイッチ71に検出される(S3でYES)ことになる。そして、サブ制御装置40は、第1特殊検出スイッチ71による遊技球の検出に応じて、gカウンタ及びhカウンタから数値を取得するとともに、gカウンタからの取得数値及び特別図柄の確定表示態様に応じて表示装置6で実行する特殊表示演出の種別を決定する(S4)とともに、hカウンタからの取得数値及び特別図柄の確定表示態様に応じて装飾部材68のLEDを点灯させる点灯演出の実行の有無を決定し、決定した内容で特殊表示演出を実行する(S4)。
すなわち、第1特別図柄が図柄Aで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、gカウンタからの取得数値が“0”〜“4”の何れかである(所定の遊技条件の成立)と、表示装置6での表示態様を図12(d)に示す第3特殊表示態様とする第3特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Aで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、gカウンタからの取得数値が“5”〜”9”の何れかであると、表示装置6での表示態様を図12(e)に示す第4特殊表示態様とする第4特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、gカウンタからの取得数値が“0”〜“8”の何れかであると、第4特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、gカウンタからの取得数値が“9”であると、第3特殊表示演出を実行する。さらに、第2特別図柄が図柄Cで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態である(所定の遊技条件の成立)と、gカウンタからの取得数値が“0”〜“9”の何れであっても第3特殊表示演出を実行する。
一方、第1特別図柄が図柄A若しくは図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、hカウンタからの取得数値が“0”〜“4”の何れかであると、装飾部材68のLEDを点灯させる点灯演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄A若しくは図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であっても、hカウンタからの取得数値が“5”〜“9”の何れかであると点灯演出を実行しない。さらに、第2特別図柄が図柄Cで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であると、hカウンタからの取得数値が“0”〜“9”の何れであっても点灯演出を実行する。
また、第2の遊技球流路54Bへ進んだ遊技球が、電動役物67によって第4ルート79へ振り分けられると、第2特殊検出スイッチ72に検出される(S5でYES)ことになる。そして、サブ制御装置40は、第2特殊検出スイッチ72による遊技球の検出に応じて、iカウンタから数値を取得するとともに、iカウンタからの取得数値及び特別図柄の確定表示態様に応じて表示装置6で実行する特殊表示演出の種別を決定し、決定した内容で特殊表示演出を実行する(S6)。
すなわち、第1特別図柄が図柄Aで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、iカウンタからの取得数値が“0”〜“4”の何れかである(所定の遊技条件の成立)と、表示装置6での表示態様を図12(f)に示す第5特殊表示態様とする第5特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Aで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、iカウンタからの取得数値が“5”〜”9”の何れかであると、表示装置6での表示態様を図12(g)に示す第6特殊表示態様とする第6特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、iカウンタからの取得数値が“0”〜“8”の何れかであると、第6特殊表示演出を実行する。また、第1特別図柄が図柄Bで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態であり、且つ、iカウンタからの取得数値が“9”であると、第5特殊表示演出を実行する。さらに、第2特別図柄が図柄Cで確定表示されたことに起因して生起した小当たり状態である(所定の遊技条件の成立)と、iカウンタからの取得数値が“0”〜“9”の何れであっても第5特殊表示演出を実行する。
そして、第4ルート79を流下した遊技球も、第1の遊技球流路54A側を流下した遊技球同様、ステージ90に到達するため、ステージ90到達以降は上記同様の制御(S7、S8)となる。また、電動役物67により第3ルート78へ振り分けられた遊技球は、第2特殊検出スイッチ72に検出されることなく(S5でNO)ステージ90に達することになり、こちらもステージ90到達以降は上記同様の制御(S7、S8)となる。
一方、大当たり演出は、この後に生起する大当たり状態の種別等を報知して大当たり状態の開始を報知するとともに右打ちの実行を指示する(大当たり状態における遊技方法を指示する)ための表示演出であって、サブ制御装置40は、大当たり確定コマンドの受信に伴い、表示装置6において図13(a)に示す第1特別報知表示と図13(b)に示す第2特別報知表示とを交互に切り替える切り替え演出を所定時間にわたり実行する。そして、この後に生起する大当たり状態が第1大当たり状態であると、最終的に表示装置6における表示を第1特別報知表示とする。一方、この後に生起する大当たり状態が第2大当たり状態であると、最終的に第2特別報知表示とする。また、そのような大当たり状態の種別の報知後、表示装置6に図13(c)に示す指示表示を表示して、遊技者に右打ちの実行を指示する。なお、図13は、表示装置6での大当たり演出を示した説明図である。また、指示表示の表示については、図13(d)に示すような異なる態様の指示表示を設定しておき、複数種類の指示表示を所定時間毎に切り替えて表示するように構成してもよい。
上述したような切り替え演出及び指示表示を含む大当たり演出の実行時間としては、予め所定の報知時間が設定されており、『特別検出スイッチ73で遊技球を検出してから当該報知時間が経過したこと』が、第2大入賞装置18の開成開始に係る第1の開始条件としてメイン制御装置30に設定されている。また、メイン制御装置30では、進入検出スイッチ70、特別検出スイッチ73、及び排出検出スイッチ74での遊技球の検出状況から、第1大入賞装置26内の遊技球の有無を把握可能となっており、『第1大入賞装置26へ進入した全ての遊技球が排出されたこと』が、第2大入賞装置18の開成開始に係る第2の開始条件としてメイン制御装置30に設定されている。そして、メイン制御装置30は、上記2つの開始条件がどちらも充足されて初めて、サブ制御装置40へ大当たり開始コマンドを送信するとともに、第2大入賞装置18の開成を開始することになる。
上述したような2つの開始条件を設定した理由は以下の通りである。
すなわち、通常は、第1大入賞装置26へ複数個の遊技球が進入し、そのうちの1つが特別領域56を通過したとしても、特別領域56の通過検出から報知時間が経過するまでの間に残りの遊技球は全て特別領域56を通過するかアウト口57から排出されるかして、第1大入賞装置26から排出されることが多い。ただ、非常に稀なケースではあるものの、遊技球の特別領域56の通過から報知時間が経過したにも拘わらず、残りの遊技球のうちの少なくとも1つが依然として特別領域56を通過しておらず、且つ、アウト口57からも排出されていないという状況も起こり得る。したがって、このような状況に対応するべく、メイン制御装置30は、上記2つの開始条件の充足をもって初めてサブ制御装置40へ大当たり開始コマンドを送信し、第2大入賞装置18を開成させるとしている。なお、残りの遊技球のうち、特別領域56を通過する遊技球が再び発生したとしても、当該遊技球の特別領域56の通過検出は、第1大入賞装置26からの排出の検出としてのみ扱われることになる。
しかしながら、上述したような状況が発生し、サブ制御装置40において、報知時間を超えても大当たり開始コマンドを受信しないような場合、報知時間の経過をもって表示装置6をブラックアウトさせると、遊技者に異常事態が起こったかのような印象を与えかねない。そこで、サブ制御装置40では、大当たり確定コマンドの受信から報知時間が経過したにも拘わらず、大当たり開始コマンドを受信しない場合、大当たり開始コマンドを受信するまで表示装置6における指示表示の表示を継続するようになっている。
ここで、第1大入賞装置26へ遊技球が進入した際の特殊表示演出の実行態様について、実際の遊技の流れに沿って説明する。
小当たり状態の生起に伴い、第1大入賞装置26へ遊技球が進入すると、表示装置6において第1特殊表示演出と第2特殊表示演出との何れかが実行されて、遊技球の進入が必ず報知される。またその際、第1特殊表示演出が実行されると、当該遊技球が特別領域56を通過した際、遊技者にしてみると、第2大当たり状態よりも有利な第1大当たり状態が生起することが報知される。したがって、遊技者は、表示装置6において第1特殊表示演出が実行されることを期待しながら、第1大入賞装置26への遊技球の進入を狙うことになる。ただ、第2特殊表示演出が実行されたとしても、特別領域56の通過に起因して第1大当たり状態が生起することもある。
また、振分部材75による振り分けの結果、遊技球が遊技者にとって有利な第2の遊技球流路54Bへ流入すると、表示装置6において第3特殊表示演出と第4特殊表示演出との何れかが実行されて、遊技球の第2の遊技球流路54Bへの流入が必ず報知される。また、その際、第3特殊表示演出が実行されると、第4特殊表示演出が実行された場合よりも、当該遊技球が特別領域56を通過した際に遊技者にとって有利な第1大当たり状態が生起する可能性(すでに抽選入賞口19への入賞時に決定されているため、見かけ上の可能性となる)が高いことが報知される。したがって、遊技者は、第3特殊表示演出と第4特殊表示演出との何れかが実行されること、特に第3特殊表示演出が実行されることに期待しながら、遊技球の流下を楽しむことになる。
さらに、電動役物67による振り分けの結果、遊技球が遊技者にとって極めて有利な第4ルート79へ振り分けられると、表示装置6において第5特殊表示演出と第6特殊表示演出との何れかが実行されて、遊技球の第4ルート79への振り分けが必ず報知される。
また、その際、第5特殊表示演出が実行されると、第6特殊表示演出が実行された場合よりも、当該遊技球が特別領域56を通過した際に遊技者にとって有利な第1大当たり状態が生起する可能性が高いことが報知される。したがって、遊技者は、第5特殊表示演出と第6特殊表示演出との何れかが実行されること、特に第6特殊表示演出が実行されることに期待しながら、遊技球の流下を楽しむことになる。
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有するパチンコ機1によれば、小当たり状態の生起に伴い遊技球が進入可能となった第1大入賞装置26に複数個の遊技球が進入し、そのうちの1つが特別領域56を通過したことに応じて大当たり演出の実行を開始してから所定の報知時間が経過した時点で、残りの遊技球のうちの少なくとも1つが特別領域56とアウト口57、57との何れからも排出されていないと、全ての遊技球が第1大入賞装置26外へ排出されるまで、大当たり演出の一部である指示表示を継続して実行するようになっている。すなわち、従来では表示装置6がブラックアウトしていたところ、本実施形態のパチンコ機1ではブラックアウトすることなく、指示表示が継続されることになる。したがって、遊技者が違和感を覚えるようなことがなく、ひいては遊技意欲を減退することもないパチンコ機1とすることができる。
また、小当たり状態の生起に伴い遊技球が進入可能となる第1大入賞装置26に、進入口51、51から特別領域56へ向かう遊技球流路として、第1の遊技球流路54Aと、第1の遊技球流路54Aよりも特別領域56を通過する確率が高い第2の遊技球流路54Bとの2つの遊技球流路が設けられているとともに、第2の遊技球流路54Bに、遊技球を検出可能な第1特殊検出スイッチ71が設けられており、サブ制御装置40は、第1特殊検出スイッチ71で遊技球を検出すると、表示装置6において第3特殊表示演出と第4特殊表示演出との何れかを実行し、遊技球の第2の遊技球流路54Bへの流入を報知する。したがって、遊技者は、遊技球の第1大入賞装置26への進入後、表示装置6で第3特殊表示演出や第4特殊表示演出が実行されることを期待しながら遊技球の流下を楽しむことになり、そのような従来にない遊技性を備えたパチンコ機1とすることができる。
さらに、第2の遊技球流路54Bは、第3ルート78と、更に遊技者にとって有利な第4ルート79とに分岐しており、第4ルート79に第2特殊検出スイッチ72が設けられている。そして、サブ制御装置40は、第2特殊検出スイッチ72で遊技球を検出すると、表示装置6において第5特殊表示演出と第6特殊表示演出との何れかを実行し、遊技球の第4ルート79への振り分けを報知する。したがって、遊技球の第1大入賞装置26への進入後、より遊技者にとって有利な状況となるにつれ、表示装置6で段階的に表示演出が実行されるという従来にない高い遊技性を備えたパチンコ機1とすることができる。
さらにまた、表示装置6において、第3特殊表示演出や第5特殊表示演出が実行されると、当該遊技球の特別領域56の通過に応じて、遊技者にとって有利な第1大当たり状態が生起することになる。したがって、遊技者は、そのような第3特殊表示演出や第5特殊表示演出が実行されることを期待しながら遊技球の流下を楽しむことになり、極めて高い遊技性を備えたパチンコ機1とすることができる。
またさらに、各進入口51の近傍に、進入口51を介して進入した遊技球を検出する進入検出スイッチ70が設けられている。そして、メイン制御装置30は、小当たり状態の生起に伴う遊技球の第1大入賞装置26への進入を検出すると、表示装置6において、第1特殊表示演出や第2特殊表示演出を実行し、遊技球の第1大入賞装置26への進入を報知する。したがって、一層高い遊技性を備えたパチンコ機1とすることができる。
加えて、サブ制御装置40は、第1特殊検出スイッチ71で遊技球を検出すると、所定の確率(本実施形態では、第1特別図柄が確定表示されたことに起因する小当たり状態であると50%の確率となり、第2特別図柄が確定表示されたことに起因する小当たり状態であると100%の確率となる)で装飾部材68のLEDを点灯させる点灯演出を実行するため、極めて高い遊技性を備えたパチンコ機1とすることができる。
また、第1特殊検出スイッチ71での検出結果を、表示装置6及び装飾部材68という2つの異なる部材での演出制御に利用するため、構成の合理化を図ることができる。
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、表示装置で実行される表示演出の内容や、表示演出の実行に係る制御等に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
たとえば、上記実施形態では、報知表示演出のうち一部分である指示表示を継続するとしているが、報知表示演出のどの部分を継続するかは適宜変更可能であるし、一部分ではなく全てを継続するように構成しても何ら問題はない。
また、上記実施形態では、始動入賞手段への遊技球の入賞に伴い、必ず遊技手段が開動作するように構成しているが、始動入賞手段へ入賞したにも拘わらず、遊技手段が開動作しないような場合も含む(所謂「はずれ」を含む)ように構成することも当然可能である。
さらに、遊技手段が開動作するにあたり、そのパターンとして複数種類の開動作パターン(たとえば、開動作する回数や開動作する時間、開動作するタイミング等が異なる)を設定し、始動入賞手段への遊技球の入賞に伴い、どのようなパターンで遊技手段を開動作させるか決定するように構成してもよい。
さらにまた、上記実施形態では、進入検出手段での遊技球の検出に応じて、どのような表示演出を実行するか、メイン制御装置で決定するとしているが、メイン制御装置からの検出コマンドにもとづいてサブ制御装置で表示演出を決定するように構成することも可能である。
またさらに、3種類以上の大当たり状態を設定しても当然良く、どのような大当たり状態に対し、どのような表示演出をどのような確率で実行するかは上記態様に何ら限定されることはない。
加えて、どのような遊技球流路を設けるかについても適宜設計変更可能であるし、遊技手段に進入口を1つしか設けないとしても何ら問題はないし、遊技手段内に特別領域を複数箇所設けるとしてもよい。
また、上記実施形態では、メイン制御装置からサブ制御装置へ開始コマンドと停止コマンドとを送信するようにしているが、サブ制御手段のタイマを用いる等することで、停止コマンドについては送信しない構成としても何ら問題はないし、上記実施形態の如くメイン制御装置とサブ制御装置とから制御手段を構成するのではなく、メイン制御装置単体で制御手段を構成することも可能である。
さらに、上記実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄との2種類の特別図柄を設定しているが、1種類の特別図柄のみで対応することも可能であるし、表示装置を特別図柄表示部とすることも可能である。
さらにまた、上記実施形態の遊技機は、所謂保留記憶をしないものであるが、本発明は、保留記憶をする遊技機に対しても好適に採用することができる。
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、進入口、可動部材、遊技球流路、特別領域、アウト口、表示手段、始動入賞手段、可動入賞手段、制御手段、遊技球検出手段、進入検出手段等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「制御手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。さらには、前記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。