(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、水栓を容易に製造するとともに、水栓本体部を所定の位置に保持するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
従来の水栓において、湯水混合弁及び切替弁を水栓本体部に管軸方向に並んで嵌合させ、さらに、水栓本体部を金属管に収納している。水栓本体部には、湯供給源側に湯水混合弁が取り付けられ、水供給源側に切替弁が嵌合して取り付けられる。水栓本体部の外周部には、金属管との間に流路が形成される。水供給源から供給される水は、当該流路を通じて湯水混合弁へと送られる。これにより、湯と水が湯水混合弁で混合され、混合された湯水は切替弁へと送られる。
しかしながら、従来の水栓においては、水栓本体部の外周部に流路を形成する必要があるため、水栓をより容易に製造するためには、より一層の改善が求められる。
これに対して、本発明者らは、湯水混合弁に連通する流入口を水栓本体部に設け、水供給源からの水を、水栓本体部の外周部を介することなく、当該流入口を通じて直接湯水混合弁へと送ることを見出した。これにより、本発明者らは、水栓本体部の外周部に流路を形成する必要がないため、水栓を容易に製造できることを見出した。
一方、従来の水栓においては、湯供給源が湯水混合弁側に取り付けられ、水供給源が切替弁側に取り付けられているため、水栓本体部は、湯供給源及び水供給源により、左右どちらか一方に偏りすぎることなく保持されている。
しかしながら、新たに見出した構成、すなわち、水供給源からの水を、流入口を通じて直接湯水混合弁へと送る構成においては、水供給源の位置が湯供給源側に偏りやすくなる。
これに対して、本発明者らは、水栓本体部において、湯水混合弁が取り付けられる側と反対側、すなわち切替弁が取り付けられる側の外周部を、浴室の壁側に接続することで、水栓本体部を支持する構成を見出した。これにより、本発明者らは、水栓を容易に製造するとともに、切替弁が取り付けられる側の外周部に対して荷重がかかったときでも水栓本体部を所定の位置に保持することができることを見出した。
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施形態)
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る水栓10の斜視図である。本実施形態において、水栓10は浴室の壁面に取り付けられるサーモスタット式水栓である。図1に示すように、水栓10は、水栓ユニット20と、ハンドルユニット50とを備える。水栓ユニット20は、吐水を行うためのユニットである。ハンドルユニット50は、水栓ユニット20に取り付けられ、水栓ユニット20の吐水における吐水量、吐水方向、および湯水の混合度合いを変更可能にするユニットである。以下、図において、X、Y、Z方向は、それぞれ、水栓10の前後方向、左右方向、上下方向を示す。
<水栓ユニット>
図2は、図1の水栓ユニット20の一部を分解した斜視図である。図3は、図2の水栓ユニット20をさらに分解した斜視図である。図2及び図3に示すように、水栓ユニット20は、水栓本体部21と、保温材22と、支持部材23と、ステー24と、本体カバー25とを備える。
水栓本体部21は、内部に水が通る流路を有する部材であって、水栓ユニット20の本体部を構成する。水栓本体部21は、保温材22によって覆われている。保温材22は、水栓本体部21の内部の水が凍結することを防止するための部材である。支持部材23は、水栓本体部21とステー24とを接続することにより水栓本体部21を支持するための部材である。ステー24は、水栓本体部21を浴室の壁に固定するための部材である。本体カバー25は、水栓本体部21を覆う部材である。
<水栓本体部>
図4は、水栓本体部21が保温材22で覆われていないときの、水栓ユニット20の内部の概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、水栓本体部21は、継手26によって、湯供給源27及び水供給源28に接続される。湯供給源27及び水供給源28は、浴室の壁面の内側に設けられる湯及び水の供給管である。継手26には、止水弁(図示せず)が取り付けられる。止水弁は、湯供給源27及び水供給源28からの湯水の供給を止めるための部材である。
図3及び図4に示すように、水栓本体部21には、継手26とは別の接続部材29aが取り付けられる。接続部材29aには、シャワーエルボ29(図3)が取り付けられる。シャワーエルボ29は、シャワーホース(図示せず)を接続するための部材である。
水栓本体部21には、左側から湯水混合弁30が取り付けられ、右側から切替弁31が取り付けられる。湯水混合弁30は、湯と水とを混合して湯水を吐水するための部材である。湯水混合弁30は、一般的にサーモカートリッジとも呼ばれる。湯水混合弁30に対して、湯は湯供給源27(図4)から供給され、水は水供給源28(図4)から供給される。切替弁31は、湯水の吐水量及び吐水方向を変更するための部材である。水栓10は、湯水混合弁30及び切替弁31を備えることで、サーモスタット式水栓と呼ばれる。
図4に示すように、湯水混合弁30及び切替弁31の軸方向外側の端部には、ハンドルユニット50と係り合うギア部32が設けられる。なお、湯水混合弁30の軸方向外側の端部のギア部32は、図4では省略する。
次に、図5〜図7を用いて水栓本体部21についてより詳細に説明する。図5は、水栓本体部21の概略構成を示す斜視図である。図6は、図5の水栓本体部21を異なる角度から見たときの斜視図である。図7は、湯水混合弁30及び切替弁31が取り付けられた水栓本体部21の断面図である。
図5に示すように、水栓本体部21は、主管部210と、湯供給用枝管部211と、水供給用枝管部212と、カラン吐水用枝管部213と、シャワー吐水用枝管部214とを備える。さらに、図6に示すように、水栓本体部21は、圧逃し用枝管部215と水抜き用枝管部216とを備える。
これらの部材を備える水栓本体部21は、樹脂により一体に形成される。すなわち、主管部210、湯供給用枝管部211、水供給用枝管部212、カラン吐水用枝管部213、シャワー吐水用枝管部214、圧逃し用枝管部215、及び水抜き用枝管部216は、樹脂により一体に形成される。本実施形態では、水栓本体部21は、射出成形により形成される。水栓本体部21は、例えばPPS樹脂(PPS−GF30)により形成される。これにより、水栓本体部21は水圧に耐えることができる。
<主管部>
主管部210は筒状に形成された管状の部材である。図7に示すように、主管部210には、湯水混合弁30と切替弁31とが軸方向(Y方向)に並んで内部に嵌合して取り付けられる。主管部210の内壁は、湯水混合弁30と切替弁31とを内包する空間を形成し、軸方向に沿って延びている。金型を用いた樹脂成形のために、主管部210の内壁を、軸方向の中心側から端部側に向かって外側に僅かに広がるように傾斜させてもよい(例えば傾斜角度が0.2〜0.5度)。主管部210の軸方向(Y方向)の両端部には、湯水混合弁30及び切替弁31を挿入するための開口がそれぞれ形成される。当該両端部には、ねじ溝217が形成される。ねじ溝217は、図3に示すキャップ部材33を取り付けるために設けられる。ねじ溝217は、キャップ部材33の裏側に形成されたねじ山と螺合する。ねじ溝217は、主管部210と、樹脂により一体に形成される。キャップ部材33は、湯水混合弁30及び切替弁31の脱落を防止するための部材である。
図3に示すように、主管部210において軸方向両端部には、ハンドルユニット50及びカラー34が、キャップ部材33を覆うように取り付けられる。カラー34は、ハンドルユニット50と主管部210との間に配置される。
図5〜図7に示すように、本実施形態では、主管部210の両端部における外周には、リブ218a,218aaが設けられる。リブ218aは主管部210の左端部に設けられ、リブ218aaは主管部210の右端部に設けられる。リブ218a,218aaは、ねじ溝217に隣接しており、ねじ溝217よりも主管部210の中央寄りで周方向に延在する。リブ218a,218aaは、主管部210と、樹脂により一体に形成される。
本実施形態では、湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212の壁側の端部には、リブ218bが設けられる。リブ218bは、湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212に対して周方向に延在する。リブ218bは、湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212と、樹脂により一体に形成される。
図7に示すように、主管部210の内周部には、リブ218cが設けられる。リブ218cは、湯水混合弁30と切替弁31との間に周方向に延在して形成される。リブ218cは、主管部210と、樹脂により一体に形成される。リブ218cは、主管部210の内部に保たれる水の量を減らすための部材である。これにより、主管部210の内部の水の凍結による主管部210の破損を防止することができる。
図5に示すように、主管部210の内周部には、湯流入口210a及び水流入口210bが形成される。湯流入口210a及び水流入口210bは、湯水混合弁30の周囲に形成された開口であって、湯水混合弁30に連通する。さらに、主管部210の内周部には、カラン吐水口210c及びシャワー吐水口210dが形成される。カラン吐水口210c及びシャワー吐水口210dは、切替弁31の周囲に形成された開口であって、切替弁31に連通する。図4に示すように、カラン吐水口210c及びシャワー吐水口210dは、主管部210の軸方向右端部における外周部よりも軸方向内側に設けられる。当該外周部は支持部材23を接続する。本実施形態では、当該外周部は、リブ218aaである。
図6に示すように、主管部210の下部には締結部219が設けられる。締結部219は、本体カバー25(図2)を取り付けるための部材である。具体的には、締結部219は、ねじを締結するための孔を形成した部材である。
<湯供給用枝管部>
図5に示すように、湯供給用枝管部211は、主管部210の湯流入口210aを含む位置から分岐して形成された管状の部材である。湯供給用枝管部211は、湯供給源27(図4)からの湯を湯流入口210aへ供給する流路を内部に形成する。すなわち、湯供給用枝管部211は、湯供給源27と主管部210の湯流入口210aとを接続し、内部に湯が流れる流路を形成する。
<水供給用枝管部>
水供給用枝管部212は、主管部の水流入口210bを含む位置から分岐して形成された管状の部材である。水供給用枝管部212は、水供給源28(図4)からの水を水流入口210bへ供給する流路を内部に形成する。すなわち、水供給用枝管部212は、水供給源28と主管部210の水流入口210bとを接続し、内部に水が流れる流路を形成する。
湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212は、主管部210に対して軸方向(Y方向)に並んで設けられる。
<カラン吐水用枝管部>
カラン吐水用枝管部213は、主管部210のカラン吐水口210cを含む位置から分岐して形成された管状の部材である。カラン吐水用枝管部213は、湯水を吐水する流路を内部に形成する。本実施形態では、カラン吐水用枝管部213は、カラン吐水を行う吐水管である。図6に示すように、カラン吐水用枝管部213は、主管部210の中央部に設けられている。また、カラン吐水用枝管部213には、整流部213aが形成される。整流部213aは、吐水する水を整流するための部材である。整流部213aは、カラン吐水用枝管部213と、樹脂により一体に形成される。
<シャワー吐水用枝管部>
図5に示すように、シャワー吐水用枝管部214は、主管部210のシャワー吐水口210dを含む位置から分岐して形成された管状の部材である。シャワー吐水用枝管部214は、浴室の壁に向かって延在し、湯水を吐水する流路を内部に形成する。本実施形態では、シャワー吐水用枝管部214は、シャワー吐水を行うための吐水管である。図4に示すように、シャワー吐水用枝管部214の壁側の端部には接続部材29aが取り付けられる。
<圧逃し用枝管部>
図6に示すように、圧逃し用枝管部215は、湯供給用枝管部211から分岐して形成された管状の部材である。圧逃し用枝管部215には、圧逃し弁(図示せず)が取り付けられる。圧逃し弁は、所定以上の圧力がかかったときに開放して、水栓本体部21内の圧力を外側に逃がすための弁である。
<水抜き用枝管部>
水抜き用枝管部216は、水供給用枝管部212から分岐して形成された管状の部材である。水抜き用枝管部216には、水抜き栓(図示せず)が取り付けられる。水抜き栓は、水抜き用枝管部216を開放することで水抜き用枝管部216の周辺の水を排水し、内部に空気を注入することで水栓本体部21の内部の水を抜くための部材である。これにより、水栓本体部21の内部の水が凍結することを防止することができる。
<保温材>
保温材22は、水栓本体部21の内部の水が凍結することを防止するために、水栓本体部21の外周を覆う部材である。保温材22は、例えば、水栓本体部21の外周を密着して覆う。図2及び図3に示すように、保温材22は、主管部210の外周において、主管部210の軸方向に沿って覆っており、リブ218aからリブ218aaの近傍までを覆う。主管部210の外周を覆う保温材22の厚みは、例えば5mmである。さらに、保温材22は、湯供給用枝管部211と、水供給用枝管部212と、湯供給用枝管部211と主管部210との接続部と、水供給用枝管部212と主管部210との接続部とを覆う。さらに、保温材22は、湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212との間に形成された空間に設けられる。
図8は、保温材22の斜視図である。図9は、保温材22を異なる角度から見た斜視図である。図8及び図9に示すように、保温材22は、複数の開口220,221,222,223,224,225,226を有する。保温材22の内部には水栓本体部21が配置される。開口220には、湯供給用枝管部211が配置される。開口221には、水供給用枝管部212が配置される。開口222には、カラン吐水用枝管部213が配置される。開口223には、シャワー吐水用枝管部214が配置される。開口224には、圧逃し用枝管部215が配置される。開口225には、水抜き用枝管部216が配置される。開口226には、締結部219が配置される。
保温材22の材質や厚み等は、使用環境に応じて選択される。保温材22は、例えば、熱伝導率が0.05W/m・K以下のものが好ましい。保温材22は、より好ましくは、熱伝導率が0.03W/m・K以下である。本実施形態では、保温材22は、発泡ウレタン又は発泡スチロールのいずれかを含む。
<支持部材>
図4に示すように、支持部材23は、水栓本体部21をステー24に固定することにより、水栓本体部21を支持する。具体的には、支持部材23は、主管部210において湯水混合弁30が取り付けられる側(左側)と軸方向反対側(右側)の外周部を浴室の壁側に接続することにより、水栓本体部21の主管部210を支持する。ここで、「浴室の壁側に接続する」とは、浴室の壁、浴室の壁に固定された部材(湯供給源27、水供給源28を含む)に対して、直接的又は間接的に接続することを意味する。支持部材23は、水栓本体部21を水平に保つように支持する。本実施形態では、支持部材23は、主管部210の外周部を浴室の壁側のステー24に接続する。より具体的には、支持部材23は、主管部210の外周部に取り付けられたカラー34を、浴室の壁側のステー24に接続する。これにより、支持部材23は、カラー34を介して間接的に、主管部210の外周部を浴室の壁側に接続する。
支持部材23の上部には、凹部23aが設けられる。凹部23aは、シャワーエルボ29(図3)を嵌めるために設けられる。シャワーホースを水栓本体部21の右側で接続する場合、支持部材23の凹部23aに対してシャワーエルボ29を嵌めて取り付ける。これにより、図2に示すように、水栓本体部21の右側においてシャワーホースをシャワーエルボ29に接続することができる。なお、水栓本体部21の左側でシャワーホースを接続する場合には、後述する支持部材35を用いる。支持部材23は、例えば、ABS樹脂により形成される。
<ステー>
ステー24は、浴室の壁に固定され、水栓本体部21を保持する部材である。図3に示すように、ステー24は、継手26を湯供給源27及び水供給源28と接続するための開口を有する。ステー24の右端部には、支持部材23が着脱可能に取り付けられる。ステー24の左端部には、支持部材35が取り付けられる。支持部材35は、水栓本体部21の左側でシャワーエルボ29Aを固定するための部材である。支持部材35の上部には、凹部35aが設けられる。
図10は、シャワーホースを水栓本体部21の左側で接続する場合の、水栓ユニット20の内部の概略構成を示す斜視図である。シャワーホースを水栓本体部21の左側で接続する場合、図10に示すように、ステー24に取り付けられた支持部材35に対して、シャワーエルボ29Aを嵌めて取り付ける。シャワーエルボ29Aは、接続部材29aを介してシャワー吐水用枝管部214に接続される。
<本体カバー>
図2及び図3に示すように、本体カバー25は、天板カバー250と基礎カバー251とを有する。本体カバー25は、ステー24に取り付けられる。また、本体カバー25は、水栓本体部21に取り付けられる。これにより、本体カバー25と水栓本体部21とを一体的に使用することができる。本体カバー25は樹脂により形成される。天板カバー250は、水栓本体部21の上部を覆うように取り付けられる。基礎カバー251は、左右の側面及び底面を有し、水栓本体部21の下部を覆うように取り付けられる。基礎カバー251は、天板カバー250と分離して形成され、天板カバー250と嵌合する。本実施形態では、天板カバー250はアクリル樹脂(PMMA樹脂)により形成され、基礎カバー251はABS樹脂により形成される。
<天板カバー>
図11は、本体カバー25の側面図である。図11に示すように、天板カバー250は、庇部252を有する。庇部252は、下方に傾斜した斜面、すなわち、XY平面に対して−Z方向に傾斜した斜面を形成する。庇部252は、後述する基礎カバー251の前端部(+X方向の端部)よりも斜め下方に突出して形成される。
図12Aは、天板カバー250を基礎カバー251に取り付ける前の本体カバー25を、左端部(−Y方向の端部)においてX方向に切断した概略構成を示す縦断面図である。図12Bは、天板カバー250を基礎カバー251に取り付けた後の本体カバー25を、左端部においてX方向に切断した概略構成を示す縦断面図である。なお、本体カバー25の右端部(+Y方向端部)は左端部と同様の構成であるため、説明を省略する。
図12A及び図12Bに示すように、天板カバー250は、嵌合部253a,253bとロック嵌合部254a,254bとを有する。
嵌合部253aは、嵌合部253bよりも前方(+X方向)に形成される。具体的には、嵌合部253aは、天板カバー250の庇部252の裏側に形成される。嵌合部253aには、凹部253aaが形成される。凹部253aaは、庇部252の裏側から後方(−X方向)に延在して形成される。嵌合部253bは、天板カバー250の左端部から右側(+Y方向)に延在して形成される。嵌合部253bの下端部(−Z方向の端部)は、後方に延在して形成される。すなわち、嵌合部253bは、右側から見てL字状に形成される。
ロック嵌合部254a,254bは、天板カバー250の左端部から右側に延在して形成される。ロック嵌合部254aは、後方部においてガイド254aaを有する。ガイド254aaは、XY平面に対して+Z方向に傾斜した斜面を形成する。ガイド254aaは、天板カバー250を基礎カバー251に対してスライドさせて嵌合させることを容易にするための部材である。ロック嵌合部254bは、第1嵌合部254baと第2嵌合部254bbとを有する。第1嵌合部254baは、第2嵌合部254bbよりも上方に形成される。第2嵌合部254bbは、第1嵌合部254baの左端部から下方に延在して形成される。第2嵌合部254bbは、下端部から後方に延在して形成される。すなわち、第2嵌合部254bbは、右側から見てL字状に形成される。
<基礎カバー>
図11に示すように、基礎カバー251の前端部には、上方に湾曲した曲面が形成される。図12A及び図12Bに示すように、基礎カバー251の左側面には、カラー34が嵌合する。カラー34は、ロック嵌合部256aを上部に形成する。ロック嵌合部256aは、カラー34の上端部から右側に延在して形成される。ロック嵌合部256aの下端部は後方に延在して形成される。すなわち、ロック嵌合部256aは右側から見てL字状に形成される。
基礎カバー251は、嵌合部255a,255bとロック嵌合部256bとを有する。嵌合部255aは、嵌合部255bよりも前方に形成される。具体的には、嵌合部255aは、基礎カバー251の下面から上方(+Z方向)に延在して形成される。嵌合部255aの上端部(+Z方向の端部)には、前方に向かって突起255aaが形成される。嵌合部255bは、基礎カバー251の左側面の上端部から右側に延在して形成される。嵌合部255bの上端部は、前方に延在して形成される。すなわち、嵌合部255aは、右側から見て−Z方向を上としてL字状に形成される。
ロック嵌合部256bは、基礎カバー251の左側面の上端部から右側に延在して形成される。ロック嵌合部256bの上端部には、第1嵌合部256baと第2嵌合部256bbとを有する。第1嵌合部256ba及び第2嵌合部256bbは、前方に延在して形成される。第1嵌合部256baは、第2嵌合部256bbよりも上方に形成される。第1嵌合部256baは、前方部において、ガイド256baaを有する。ガイド256baaは、XY平面に対して+Z方向に傾斜した斜面を形成する。ガイド256baaは、天板カバー250を基礎カバー251に対してスライドさせて嵌合させることを容易にするための部材である。
次に、基礎カバー251に対する天板カバー250の取り付け方について説明する。図12Aに示すように、基礎カバー251に対して上方から天板カバー250を取り付ける。その後、天板カバー250を基礎カバー251に対して後方にスライドさせて嵌合させる。このとき、ロック嵌合部254aのガイド254aaに対してロック嵌合部256aの上端部がスライドして移動するとともに、第1嵌合部256baのガイド256baaに対して第1嵌合部254baの下端部がスライドして移動する。
天板カバー250を基礎カバー251に対してさらに後方にスライドさせて嵌合させる。これにより、図12Bに示すように、天板カバー250と基礎カバー251とが嵌合した状態になる。これにより、天板カバー250と基礎カバー251とは一体的に使用することができる。
嵌合部255aの突起255aaは、嵌合部253aの凹部253aaに嵌合する。これにより、基礎カバー251に対する天板カバー250の左方、右方、後方、及び上方への移動が制限される。嵌合部255bの上端部は、嵌合部253bの下端部の上に配置される。これにより、基礎カバー251に対する天板カバー250の後方及び上方への移動が制限される。
ロック嵌合部254aは、ロック嵌合部256aよりも後方において、ロック嵌合部256aの下端部に配置される。これにより、基礎カバー251に対する天板カバー250の前方及び下方への移動が制限される。第1嵌合部254baは、第1嵌合部256baのガイド256baaよりも後方において、第1嵌合部256baの上に配置される。これにより、基礎カバー251に対する天板カバー250の前方及び下方への移動が制限される。第2嵌合部256bbは、第2嵌合部254bbの下端部の上に配置される。これにより、基礎カバー251に対する天板カバー250の後方及び上方への移動が制限される。
<ハンドルユニット>
図1に示すように、ハンドルユニット50は、第1ハンドルユニット50aと、第2ハンドルユニット50bとを備える。
本実施形態では、第1ハンドルユニット50aは、吐水の温度を調節するためのユニットである。具体的には、第1ハンドルユニット50aをR方向に回転させることで、吐水の温度を調節する。例えば、基準位置から下方向への回転により吐水の温度を下げ、基準位置から上方向への回転により吐水の温度を上げる。ここで、R方向とは、主管部210の軸を回転軸として回転する方向を示す。また、基準位置とは、ハンドルユニット50の上面が、天板カバー250の上面と同一面になっている位置を示す。
第1ハンドルユニット50aが基準位置にある状態では、吐水の温度は所定の温度に設定されている。所定の温度は、例えば40度である。第1ハンドルユニット50aが基準位置から上方向へ回転した場合、第1ハンドルユニット50aと共に湯水混合弁30(図3)が上方向に回転する。これにより、水の量に対する湯の量の割合が増加し、吐水の温度が所定の温度よりも上がる。一方、第1ハンドルユニット50aが基準位置から下方向へ回転した場合、第1ハンドルユニット50aと共に湯水混合弁30が下方向に回転する。これにより、湯の量に対する水の量の割合が増加し、吐水の温度が所定の温度よりも下がる。
第2ハンドルユニット50bは、吐水方向(カラン吐水またはシャワー吐水)および吐水量を回転により変更するためのユニットである。具体的には、第2ハンドルユニット50bにおける基準位置からの回転方向Rを変更することで、吐水方向を変更する。例えば、基準位置から下方向への回転によりカラン吐水用枝管部213からカラン吐水が行われ、基準位置から上方向への回転によりシャワー吐水用枝管部214からシャワー吐水が行われる。さらに、基準位置からの回転の度合いを変更することで、吐水量を変更する。例えば、第2ハンドルユニット50bの基準位置からの回転量を増やした場合、吐水量が増加する。
第2ハンドルユニット50bが基準位置にある状態では、カラン吐水口210c(図4)及びシャワー吐水口210d(図4)は共に、切替弁31(図3)と連通していないため、吐水が行われない。第2ハンドルユニット50bが基準位置から上方向へ回転した場合、第2ハンドルユニット50bと共に切替弁31が上方向に回転する。これにより、切替弁31とシャワー吐水口210dとが連通して、シャワー吐水が行われる。第2ハンドルユニット50bがさらに上方向へ回転した場合、切替弁31とシャワー吐水口210dとがより広い面積で連通するため、シャワー吐水の量が増加する。
一方、第2ハンドルユニット50bが基準位置から下方向へ回転した場合、第2ハンドルユニット50bと共に切替弁31が下方向に回転する。これにより、切替弁31とカラン吐水口210cとが連通して、カラン吐水が行われる。第2ハンドルユニット50bがさらに下方向へ回転した場合、切替弁31とカラン吐水口210cとがより広い面積で連通するため、カラン吐水の量が増加する。
図3に示すように、ハンドルユニット50は水栓本体部21に取り付けられる。具体的には、ハンドルユニット50は、水栓本体部21の主管部210における軸方向(Y方向)の両端部に取り付けられる。
次に、第1ハンドルユニット50aについて詳細に説明する。なお、第2ハンドルユニット50bは、第1ハンドルユニット50aの主要部と同様の構成であるため説明を省略する。図13は、第1ハンドルユニット50aの概略構成を示す、上方から見た斜視図である。図14は、第1ハンドルユニット50aの概略構成を示す、下方から見た斜視図である。
図13及び図14に示すように、第1ハンドルユニット50aは、ハンドル51と伝達部材52とを備える。ハンドル51は、ハンドルユニット50を操作するための部材である。伝達部材52は、水栓ユニット20に接続され、ハンドル51の力を水栓ユニット20に伝達する。ハンドル51(後述する基礎部56)及び伝達部材52は、軸方向外側から水栓ユニット20に、例えばねじ53により固定される。さらに、外蓋54が、ねじ53を覆うように軸方向外側からハンドル51に取り付けられる。
<ハンドル>
図3に示すように、ハンドル51は、主管部210の両端部に設けられ、湯水混合弁30及び切替弁31を操作する。本実施形態では、第1ハンドルユニット50aのハンドル51は湯水混合弁30を操作し、第2ハンドルユニット50bのハンドル51は切替弁31を操作する。
図13及び図14に示すように、ハンドル51は、上面を構成する天板部55と、天板部55と分離して形成される基礎部56とを有する。ハンドル51は樹脂により形成される。本実施形態では、天板部55はアクリル樹脂(PMMA樹脂)により形成され、基礎部56はABS樹脂により形成される。
<天板部>
図1に示すように、ハンドル51の天板部55は、ハンドルユニット50を水栓ユニット20に取り付けた状態において、天板カバー250と同一面となるように形成される。図13に示すように、天板部55は、伝達部材52の上方を覆うように形成される。
図15は、第1ハンドルユニット50aを軸方向外側から見た側面図である。図15に示すように、天板部55はハンドル庇部57を有する。ハンドル庇部57は、XY平面に対して−Z方向に傾斜した斜面を形成する。ハンドル庇部57は、基礎部56の前端部よりも斜め下方に突出して形成される。
図14に示すように、天板部55の裏側には、複数の突起片55a,55b,55cが形成される。突起片55aは、天板部55の後方部の裏側において、軸方向(Y方向)に延在して形成される。突起片55aの下端部はスライド部55aaを有する。スライド部55aaは、後方に延在して形成される。突起片55bは、天板部55のハンドル庇部57の裏側において、軸方向に延在して形成される。突起片55bの下端部はスライド部55baを有する。スライド部55baは、ハンドル庇部57の斜面と平行に、斜め下方に延在して形成される。突起片55cは、天板部55の裏側において、後方部からハンドル庇部57まで延在して形成される。
<基礎部>
図13に示すように、基礎部56は、伝達部材52の左側方及び下方を覆うように形成される。基礎部56の上端部には、板状部56a,56b,56cが設けられる。板状部56a,56b,56cは、内側に向かって延在して形成される。板状部56aは、後端部(−X方向の端部)から前方に向かって延在して形成される。板状部56aは、スライド部55aa上で嵌合する。板状部56bは、ハンドル庇部57の斜面と平行に、前端部から後方に向かって延在して形成される。板状部56bは、スライド部55ba上で嵌合する。板状部56cは、左端部から右側に向かって延在して形成される。板状部56cには、開口58が設けられる。開口58は突起片55cと嵌合する。
次に、基礎部56に対する天板部55の取り付け方について説明する。図16は、第1ハンドルユニット50aのハンドル51の概略構成を示す断面図である。図13に示す状態から天板部55を基礎部56に対してY方向にスライドさせて嵌合させる。このとき、板状部56aがスライド部55aaの上をスライドして移動するとともに、板状部56bがスライド部55baの上をスライドして移動する。天板部55を基礎部56に対してさらにスライドさせ、突起片55cを板状部56cの開口58に嵌合させる。これにより、図16に示すように、天板部55と基礎部56とが嵌合した状態になる。
板状部56aがスライド部55aa上で嵌合し、板状部56bがスライド部55ba上で嵌合することで、基礎部56に対する天板部55の回転方向の移動が制限される。また、突起片55cが開口58と嵌合することで、基礎部56に対する天板部55の軸方向の移動が制限される。これにより、天板部55と基礎部56とは一体的に使用することができる。
<伝達部材>
図14に示すように、伝達部材52には、安全ロック60が設けられている。安全ロック60は、基礎部56の開口59に嵌合する。安全ロック60は、第1ハンドルユニット50aが高温側に回転することを防止するための部材である。伝達部材52の内側には、ギア部61が設けられている。伝達部材52のギア部61と湯水混合弁30のギア部32とが回転方向に係り合うことで、ハンドル51に加えられた回転方向の力は、ギア部61を通じて湯水混合弁30へと伝達される。
次に保温材22で覆われた水栓10の製造方法について、図17〜図19を用いて説明する。図17は、第1の成形型71の概略構成を示す斜視図である。図18は、第1の成形型71に第2の成形型72を型締めした概略構成を示す斜視図である。図19は、水栓10の製造方法の例示的なフローチャートである。図18に示すように、金型70は第1の成形型71と第2の成形型72とを備える。図17に示すように、第1の成形型71には、凹部73が設けられる。凹部73には、水栓本体部21が取り付けられる。凹部73に水栓本体部21が取り付けられた状態で、凹部73と水栓本体部21との間に空洞が形成される。当該空洞は、高分子材料が注入されるための空間である。また、第1の成形型71には、高分子材料を注入するための連通孔74が形成されている。第2の成形型72においても、同様に、水栓本体部21が取り付けられる凹部73、及び高分子材料を注入するための連通孔74が形成されている。
図19に示すように、ステップST10において、水栓本体部21を金型70(第1の成形型71)に取り付ける(取り付け工程)。さらに、第1の成形型71に第2の成形型72を型締めする。
ステップST20において、水栓本体部21と金型70との間に形成された空間に高分子材料を注入し発泡させる(注入・発泡工程)。具体的には、第1の成形型71及び第2の成形型72に形成された連通孔74から、水栓本体部21と第1の成形型71との間に形成された空洞、及び水栓本体部21と第2の成形型72との間に形成された空洞に高分子材料を注入し発泡させる。
本実施形態では、高分子材料はウレタン樹脂である。具体的には、ウレタン樹脂に発泡剤を加えることにより、ウレタン樹脂を発泡させる。発泡後、金型70から水栓本体部21を取り外す。以上のようにして、水栓本体部21は、発泡したウレタン樹脂(発泡ウレタン)によって覆われる。
[効果]
本実施形態に係る水栓10によれば、主管部210と、湯供給用枝管部211と、水供給用枝管部212とを備える。主管部210は、湯及び水を混合する湯水混合弁30と、湯水混合弁30で混合した湯水の吐水量及び吐水方向を変更する切替弁31と、が軸方向に並んで内部に取り付けられる。主管部210は、筒状に形成され、湯水混合弁30に連通する湯流入口210a及び水流入口210bを形成する。主管部210、湯供給用枝管部211、及び水供給用枝管部212は、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、湯及び水を、湯供給源27及び水供給源28から直接、湯水混合弁30へ流入させることができる。これにより、水栓本体部21を外筒で覆い、水栓本体部21と外筒との間に流路を形成する場合とは異なり、水栓本体部21の外周部に流路を形成する必要がないため、水栓10を容易に製造することができる。このため、水栓10のコストを抑制して製造することができる。また、主管部210、湯供給用枝管部211、及び水供給用枝管部212を一体に形成することで、水栓10を容易に製造することができる。このため、水栓10のコストを抑制して製造することができる。また、主管部210、湯供給用枝管部211、及び水供給用枝管部212を樹脂により形成することで、金属で形成するよりも水栓本体部21のコストを抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、主管部210には、切替弁31に連通するカラン吐水口210c及びシャワー吐水口210dが形成される。さらに、水栓10は、カラン吐水用枝管部213とシャワー吐水用枝管部214とを備える。カラン吐水用枝管部213は、主管部210のカラン吐水口210cを含む位置から分岐し、湯水を吐水する流路を内部に形成する。シャワー吐水用枝管部214は、主管部210のシャワー吐水口210dを含む位置から分岐し、湯水を吐水する流路を内部に形成する。主管部210、湯供給用枝管部211、水供給用枝管部212、カラン吐水用枝管部213、及びシャワー吐水用枝管部214は、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、主管部210、湯供給用枝管部211、水供給用枝管部212、カラン吐水用枝管部213、及びシャワー吐水用枝管部214を樹脂により一体に形成することで、水栓10をより容易に製造することができる。このため、水栓10のコストをより抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、カラン吐水用枝管部213はカラン吐水を行う吐水管であって、整流部213aがカラン吐水用枝管部213と、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、整流部213aをカラン吐水用枝管部213と、樹脂により一体に形成することで、別部材として整流部213aを形成する必要がないため、水栓10をより容易に製造することができる。このため、水栓10のコストをより抑制して製造することができる。また、整流部213aを装着する手間を省くことができる。
また、本実施形態では、主管部210の軸方向の両端部には、湯水混合弁30及び切替弁31を挿入するための開口がそれぞれ形成される。当該両端部には、湯水混合弁30及び切替弁31の脱落を防止するキャップ部材33が取り付けられる。キャップ部材33のねじ山と螺合するねじ溝217が主管部210と、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、キャップ部材33を主管部210に容易に取り付けることができる。また、ねじ溝217を主管部210と、樹脂により一体に形成することで、水栓10をより容易に製造することができる。このため、水栓10のコストをより抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、主管部210の外周には、ねじ溝217に対して主管部210の中央寄りに隣接して周方向に延在するリブ218a,218aaが設けられ、リブ218a,218aaは主管部210と、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、キャップ部材33を主管部210に取り付ける際、キャップ部材33がリブ218a,218aaで回り止めされるため、キャップ部材33を主管部210に対してより確実に締結することができる。このため、湯水混合弁30及び切替弁31の脱落をより一層防止することができる。また、主管部210を保温材22で覆う際、保温材22がねじ溝217を覆うことを抑制することができる。このため、主管部210を保温材22で容易に覆うことができる。
また、本実施形態では、主管部210の内周部には、湯水混合弁30と切替弁31との間に周方向に延在するリブ218cが設けられ、リブ218cは主管部210と、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、湯水混合弁30と切替弁31との間にリブ218cを設けることで、湯水混合弁30と切替弁31との間において水が溜まる空間を減らすことができる。これにより、水が凍結したとき、膨張して主管部210が割れることを抑制することができる。また、リブ218cを主管部210と、樹脂により一体に形成することで、水栓10をより容易に製造することができる。このため、水栓10のコストをより抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、水栓10は、圧逃し弁が取り付けられる圧逃し用枝管部215と、水抜き栓が取り付けられる水抜き用枝管部216とを備える。主管部210、湯供給用枝管部211、水供給用枝管部212、圧逃し用枝管部215、及び水抜き用枝管部216は、樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、主管部210、湯供給用枝管部211、水供給用枝管部212、圧逃し用枝管部215、水抜き用枝管部216を樹脂により一体に形成することで、水栓10をより容易に製造することができる。このため、水栓10のコストをより抑制して製造することができる。
本実施形態に係る水栓10によれば、主管部210、及び、湯供給用枝管部211、及び、水供給用枝管部212を含む水栓本体部21と、支持部材23とを備える。主管部210は、湯及び水を混合する湯水混合弁30と、湯水混合弁30で混合した湯水の吐水量及び吐水方向を変更する切替弁31とが軸方向に並んで内部に取り付けられる。主管部210は、筒状に形成され、湯水混合弁30に連通する湯流入口210a及び水流入口210bを形成する。湯供給用枝管部211は、主管部210の湯流入口210aを含む位置から分岐し、湯供給源27からの湯を湯流入口210aへ供給する流路を内部に形成する。水供給用枝管部212は、主管部210の水流入口210bを含む位置から分岐し、水供給源28からの水を水流入口210bへ供給する流路を内部に形成する。支持部材23は、主管部210において湯水混合弁30が取り付けられる側と軸方向反対側の外周部を浴室の壁側に接続して主管部210を支持する。
この構成によれば、湯及び水を、湯供給源27及び水供給源28から直接、湯水混合弁30へ流入させることができる。これにより、水栓本体部21を外筒で覆い、水栓本体部21と外筒との間に流路を形成する場合とは異なり、水栓本体部21の外周部に流路を形成する必要がないため、水栓10を容易に製造することができる。このため、水栓10のコストを抑制して製造することができる。
また、湯供給源27及び水供給源28は、湯水混合弁30に連通する湯流入口210a及び水流入口210bと接続するため、湯水混合弁30が取り付けられる側に偏って配置されている。これに対して、主管部210において湯水混合弁30が取り付けられる側と軸方向反対側、すなわち、切替弁31が取り付けられる側を、支持部材23が支持するため、荷重がかかった場合でも、浴室の壁側で荷重を支持することができる。このため、水栓本体部21の位置を所定の位置に保持することができる。
また、本実施形態に係る水栓10では、浴室の壁に固定され、水栓本体部21を保持するステー24を備え、支持部材23は、主管部210の外周部をステー24に接続する。
この構成によれば、支持部材23をステー24に取り付けることで、主管部210と浴室の壁とをより容易に連結することができる。
また、本実施形態では、水栓本体部21は樹脂により一体に形成される。
この構成によれば、水栓本体部21を一体に形成することで、水栓10をより容易に製造することができる。また、水栓本体部21を樹脂により形成することで、金属で形成するよりも水栓本体部21のコストをより抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、主管部210の外周部よりも軸方向内側には、切替弁31に連通する吐水口(シャワー吐水口210d)が設けられる。水栓本体部21には、主管部210の吐水口(シャワー吐水口210d)を含む位置から分岐し、浴室の壁に向かって延在し、湯水を吐水する流路を内部に形成した吐水用枝管部(シャワー吐水用枝管部214)が設けられる。吐水用枝管部(シャワー吐水用枝管部214)の壁側の端部には、シャワーホースと接続するシャワーエルボ29,29Aが取り付けられる。支持部材23の上部には、シャワーエルボ29が嵌まる凹部23aが設けられる。
この構成によれば、シャワーエルボ29,29Aを支持部材23の凹部23aに取り付けることができるため、シャワーエルボ29,29Aをより容易に保持することができる。
また、本実施形態では、主管部210において、湯水混合弁30が取り付けられる側と軸方向反対側の端部には、ハンドルユニット50、及び、ハンドルユニット50と主管部210との間に配置されるカラー34が取り付けられる。支持部材23は、カラー34を浴室の壁側に接続する。
この構成によれば、主管部210と浴室の壁側とを接続して主管部210を支持するために、カラー34以外に新たに部材を設ける必要がないため、部品点数を減らすことができる。
本実施形態に係る水栓10によれば、内部に水が通る水栓本体部21を備え、水栓本体部21は、樹脂により形成され、保温材で覆われる。
この構成によれば、水栓本体部21の内部の水が凍ることを抑制することができる。このため、水が凍結して膨張することによる、水栓本体部21の破損を防ぐことができる。
また、本実施形態では、水栓本体部21は、主管部210と、湯供給用枝管部211と、水供給用枝管部212とを備える。主管部210は、筒状に形成され、湯及び水を混合する湯水混合弁30と、湯水混合弁30で混合した湯水の吐水量及び吐水方向を変更する切替弁31と、が内部に取り付けられる。湯供給用枝管部211は、湯供給源27と主管部210とを接続し、内部に湯が流れる流路を形成する。水供給用枝管部212は、水供給源28と主管部210とを接続し、内部に水が流れる流路を形成する。
この構成によれば、主管部210と、湯供給用枝管部211と、水供給用枝管部212とを備える水栓本体部21の内部の水が凍ることを抑制することができる。このため、水栓本体部21が破損することを防ぐことができる。
また、本実施形態では、湯水混合弁30及び切替弁31は、主管部210の軸方向に並んで取り付けられる。主管部210は、湯水混合弁30に連通する湯流入口210a及び水流入口210bを有する。湯供給用枝管部211は、湯供給源27と主管部210の湯流入口210aとを接続する。水供給用枝管部212は、水供給源28と主管部210の水流入口210bとを接続する。
この構成によれば、湯及び水を、湯供給源27及び水供給源28から直接、湯水混合弁30へ流入させることができる。これにより、水栓本体部21を外筒で覆い、水栓本体部21と外筒との間に流路を形成する場合とは異なり、水栓本体部21の外周部に流路を形成する必要がないため、水栓10を容易に製造することができる。このため、水栓10のコストをより抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212は、主管部210に対して軸方向に並んで設けられ、湯供給用枝管部211と水供給用枝管部212との間に形成された空間には、保温材22が設けられる。
この構成によれば、湯供給用枝管部211及び水供給用枝管部212の内部の水は特に凍りやすいため、当該部分の水が凍ることをより一層抑制することができる。このため、水栓本体部21が破損することをより一層防ぐことができる。
また、本実施形態では、主管部210、湯供給用枝管部211、及び水供給用枝管部212の少なくともいずれかには、周方向に延在するリブが形成される。
この構成によれば、保温材22がリブよりも外側に形成されることを抑制することができるため、水栓10に対して保温材22をより容易に覆うことができる。
また、本実施形態では、保温材22は、熱伝導率が0.05W/m・K以下であることが好ましい。
この構成によれば、水栓本体部21の保温性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、保温材22は、発泡ウレタン又は発泡スチロールのいずれかを含む。
この構成によれば、水栓本体部21の保温性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、樹脂により形成され、保温材22で覆われた水栓10の製造方法において、工程ST10と工程ST20とを含む。工程ST10において、内部に水が通る水栓本体部21を金型70に取り付ける。工程ST20において、水栓本体部21と金型70との間に形成された空間に、高分子材料を注入し発泡させる。
この構成によれば、水栓本体部21に対して保温材22をより容易に覆うことができる。また、金型70を変更することで、場所によって保温材22の厚みを容易に変更することができる。このため、特に保温したい部分に対して保温性をより向上させることができる。
本実施形態に係る水栓10によれば、水栓本体部21と、水栓本体部21を覆う本体カバー25と、水栓本体部21に取り付けられるハンドル51とを備える。本体カバー25は、水栓本体部21の上部を覆う天板カバー250と、天板カバー250と分離して形成され、天板カバー250と嵌合する基礎カバー251とを有する。ハンドル51は、上面を構成する天板部55と、天板部55と分離して形成され、天板部55と嵌合する基礎部56とを有する。
この構成によれば、天板カバー250及びハンドル51の天板部55を容易に交換することができる。このため、水栓10の色や形状等の意匠性を変更する際、本体カバー25及びハンドル51の全てを交換する必要がなく、天板カバー250及び天板部55を交換するだけで、水栓10の意匠性を容易に変更することができる。また、基礎カバー251及び基礎部56は共通化することができるため、意匠性を変更した水栓10の製造コストを抑制することができる。
また、本実施形態では、天板カバー250は、基礎カバー251よりも突出して形成され、天板部55は、基礎部56よりも突出して形成される。
この構成によれば、上方から見た際、基礎カバー251及び基礎部56を見えにくくすることができる。このため、基礎カバー251及び基礎部56を変更せずに天板カバー250及び天板部55を変更することで、水栓10の意匠性をより容易に変更することができる。
また、本実施形態では、天板カバー250は、基礎カバー251に対してスライドして嵌合し、天板部55は、基礎部56に対してスライドして嵌合する。
この構成によれば、天板カバー250を基礎カバー251に対してより容易に取り付けることができ、天板部55を基礎部56に対してより容易に取り付けることができる。また、ハンドル51のガタツキを抑制することができるため、ハンドル51の操作性を向上させることができる。
また、本実施形態では、本体カバー25及びハンドル51は樹脂により形成される。
この構成によれば、金属で形成するよりも、本体カバー25及びハンドル51のコストをより抑制して製造することができる。
また、本実施形態では、天板カバー250及び天板部55は、アクリル樹脂により形成される。
この構成によれば、天板カバー250及び天板部55の清掃性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、水栓本体部21は、湯及び水を混合する湯水混合弁30と、湯水混合弁30で混合した湯水の吐水量及び吐水方向を変更する切替弁31とが軸方向に並んで内部に取り付けられる筒状の主管部210を備える。ハンドル51は、主管部210の両端部に設けられ、湯水混合弁30及び切替弁31を操作する。
この構成によれば、湯水混合弁30及び切替弁31を有する水栓10において、天板カバー250及び天板部55を容易に交換することができる。このため、湯水混合弁30及び切替弁31を有する水栓10の意匠性を容易に変更することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記実施形態では、支持部材23は、主管部210の外周部に取り付けられたカラー34を、浴室の壁側のステー24に接続するとしたが、他の構成であってもよい。すなわち、主管部210において湯水混合弁30が取り付けられる側と軸方向反対側の外周部を浴室の壁側に接続して主管部210を支持するものであれば、支持部材23は、他の構成であってもよい。例えば、支持部材23は、ステー24及びカラー34を介さず、直接、浴室の壁側と主管部210の当該外周部とを接続して支持してもよい。この構成によっても、水栓本体部21を所定の位置に保持することができる。
また、水栓本体部21は樹脂により一体に形成されるとしたが、例えば、水栓本体部21は鋳物により形成してもよい。この構成によっても、容易に製造するとともに、水栓本体部21を所定の位置に保持することができる。
また、支持部材23の上部には、シャワーエルボ29が嵌まる凹部23aが設けられるとしたが、凹部23aは設けずに、シャワーエルボ29は他の部材によって固定されてもよい。
また、保温材22で覆われた水栓10の製造方法において、内部に水が通る水栓本体部21を金型70に取り付ける工程ST10と、水栓本体部21と金型70との間に形成された空間に高分子材料を注入し発泡させる工程ST20とを含むとしたが、これに限定されない。保温材22が水栓本体部21の内部の水が凍結することを防止する部材であれば、保温材22で覆われた水栓10を他の製造方法で製造してもよい。例えば、発泡PP(発泡ポリプロピレン)、発泡PS(発泡ポリスチレン)等の発泡プラスチックで予め形成した保温材22を、水栓本体部21の外周を覆って取り付けてもよい。この構成によっても、水栓本体部21の破損を防ぐことができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。