JP6948483B1 - クラウンギア減速機構及び動力ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータギアが円滑に回転することのできるクラウンギア減速機構及び動力ユニットを提案する。【解決手段】クラウンギア減速機構は、ステータギア1と、ロータギア2と、ロータギア2の回転が出力される出力軸3と、ロータギア2をステータギア1に対して傾いた姿勢で押し付けるプレスロータ4とを備える。クラウンギア減速機構は、外部の動力源によってプレスロータ4が回転駆動されることに伴って、ロータギア2が、ステータギア1との複数箇所での噛み合いを維持しながら歳差運動を行うように構成されている。ステータギア1に対するロータギア2の傾きは、ロータギア2がステータギア1を乗り越えて周方向に移動するときに、ギャップを伴って乗り越えるように設定されている。【選択図】図1

Description

本開示は、クラウンギア減速機構及び動力ユニットに関する。
ステータギア、ロータギア、プレスロータ及び出力軸を備えたクラウンギア減速機構が、従来公知である(特許文献1等参照)。この種のクラウンギア減速機構では、ステータギアとロータギアとが互いに噛み合った状態にあり、プレスロータによって、ロータギアがステータギアに対して傾いた姿勢で押し付けられている。
外部の動力源によってプレスロータが軸まわりに回転駆動されると、ロータギアは、ステータギアとの複数箇所での噛み合いを維持しながら、歳差運動を行う。ロータギアの回転は、出力軸によって出力される。
特開2017−150611号公報
本開示は、ロータギアが円滑に回転することのできるクラウンギア減速機構及び動力ユニットを提案することを、目的とする。
本開示の一態様に係るクラウンギア減速機構は、円環状のステータ歯列を有するステータギアと、円環状のロータ歯列を有するロータギアと、前記ロータギアの回転が出力される出力軸と、前記ロータギアを前記ステータギアに対して傾いた姿勢で押し付けるプレスロータとを備える。前記クラウンギア減速機構は、外部の動力源によって前記プレスロータが回転駆動されることに伴って、前記ロータギアが、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との複数箇所での噛み合いを維持しながら歳差運動を行うように構成されている。前記ステータギアに対する前記ロータギアの傾きは、前記ロータ歯列が前記ステータ歯列を乗り越えて周方向に移動するときに、ギャップを伴って乗り越えるように設定されている。
本開示の一態様に係る動力ユニットは、前記クラウンギア減速機構と、前記動力源を構成するモータとを備える。前記クラウンギア減速機構において、前記プレスロータは、前記プレスロータに加わる軸方向の反力が大きくなるほど前記ステータギアから離れる方向に撓む可撓部分を含む。前記プレスロータと前記ロータギアは、前記可撓部分の撓みが大きくなるにしたがって、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が増大するように構成されている。前記クラウンギア減速機構は、前記モータの定格出力時における前記噛み合い率が、前記噛み合い率の最大値よりも小さくなるように構成されている。
本開示は、ロータギアが円滑に回転することができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態のクラウンギア減速機構の概略的な断面図である。 図2Aは、同上のクラウンギア減速機構が備えるステータギアとロータギアとの第1の噛み合いモデルを示す図であり、図2Bは、同上の噛み合いモデルを示す別の図である。 図3Aは、同上のクラウンギア減速機構が備えるステータギアとロータギアとの第2の噛み合いモデルを示す図であり、図3Bは、同上の噛み合いモデルを示す別の図である。 図4Aは、変形例のクラウンギア減速機構が備えるステータギアとロータギアとの第3の噛み合いモデルを示す図であり、図4Bは、同上の噛み合いモデルを示す別の図である。 図5Aは、別の変形例のクラウンギア減速機構が備えるステータギアとロータギアとの第4の噛み合いモデルを示す図であり、図5Bは、同上の噛み合いモデルを示す別の図である。 図6は、第2実施形態のクラウンギア減速機構の概略的な断面図である。 図7は、同上のクラウンギア減速機構の、高負荷時の要部断面図である。 図8Aは、同上のクラウンギア減速機構の、低負荷時のステータギアとロータギアとの噛み合いモデルを示す図であり、図8Bは、同上のクラウンギア減速機構の、高負荷時のステータギアとロータギアとの噛み合いモデルを示す図である。 図9は、第3実施形態のクラウンギア減速機構の概略的な断面図である。 図10Aは、同上のクラウンギア減速装置が備えるプレスロータの側面図であり、図10Bは、同上のプレスロータの第1部分の側面図であり、図10Cは、同上のプレスロータの第2部分の側面図であり、図10Dは、同上の第2部分の正面図である。 図11は、同上のクラウンギア減速機構の、高負荷時のステータギアとロータギアとの噛み合いモデルを示す図である。 図12は、同上のクラウンギア減速機構の、プレスロータでの破損発生の過程を説明する図である。 図13Aは、同上のクラウンギア減速装置が備えるプレスロータの変形例の正面図であり、図13Bは、図13AのA−A線で破断させた側面図であり、図13Cは、同上のプレスロータの別の変形例の正面図であり、図13Dは、図13CのB−B線で破断させた側面図であり、図13Eは、同上のプレスロータの更に別の変形例の正面図であり、図13Fは、図13EのC−C線で破断させた側面図である。
(1)第1実施形態
図1には、第1実施形態のクラウンギア減速機構の概略的な断面を示している。図1に示すクラウンギア減速機構は、無負荷状態である。以下においては、特に断りがない限り、無負荷状態を基準としてクラウンギア減速機構の構成を説明する。
(1−1)クラウンギア減速機構の全体構造
第1実施形態のクラウンギア減速機構は、クラウンギア減速機構の外殻をなす筒型のハウジング8と、固定側のクラウンギアであるステータギア1と、ステータギア1に対して複数箇所で噛み合いながら歳差運動を行う可動側のクラウンギアであるロータギア2と、ロータギア2に対して動力伝達可能に連結された出力軸3と、ロータギア2に押し当るプレスロータ4とを備える。
ステータギア1とロータギア2は、その全体がハウジング8内に収容されている。ステータギア1は、ハウジング8と一体に構成されており、ロータギア2は、ハウジング8内においてステータギア1と対向するように配置されている。
ステータギア1には、ロータギア2に向けて(言い換えれば、入力側に向けて)突出するように円環状のステータ歯列11が形成されている。図2A、図3A、図4A及び図5Aに示すように、ステータ歯列11は、円環状に配列された多数のステータ歯115を有する。
ロータギア2のステータギア1側を向く面23(言い換えれば、出力側を向く面23)には、円環状のロータ歯列21と、同じく円環状の第2ロータ歯列22とが形成されている。ロータ歯列21と第2ロータ歯列22とは、ロータギア2の面23において、同心円状に設けられている。ロータ歯列21は、円環状に配列された多数のロータ歯215を有する。第2ロータ歯列22は、ロータ歯列21の内側に位置する。
出力軸3は、円柱状の軸部31と、軸部31の第1端部に設けられたギア部分32とを有する。ギア部分32はハウジング8内に位置する。ギア部分32は、円環状の出力歯列321が形成されたクラウンギアからなる。軸部31の第2端部はハウジング8の外に突出しているが、第2端部がハウジング8から突出しない構造を採用することも可能である。
ロータギア2のうち、ステータギア1側を向く面23とは反対側の面24(言い換えれば、入力側を向く面24)には、プレスロータ4が押し付けられる。プレスロータ4は、ハウジング8内に、軸受部5を介して回転可能に収容されている。
第1実施形態のクラウンギア減速機構において、プレスロータ4を介してステータギア1に押し付けられたロータギア2は、一方向に傾いた姿勢でステータギア1と噛み合い、かつ出力軸3のギア部分32と噛み合う。この姿勢で、図示略の外部の動力源(モータ等)によってプレスロータ4を中心軸Cまわりに回転させると、ロータギア2は、ロータ歯列21とステータ歯列11との噛み合いによる歳差運動を行う。
ロータギア2が歳差運動を行うと、ロータギア2が有する第2ロータ歯列22と出力歯列321との噛み合いによって、ロータギア2の回転成分が出力軸3に伝達され、出力軸3が中心軸Cまわりに回転する。第1実施形態のクラウンギア減速機構において、プレスロータ4、ステータギア1及び出力軸3は、共通の中心軸Cを有する。
第1実施形態のクラウンギア減速機構において、ステータギア1とロータギア2との歯数差(つまりステータ歯115の数とロータ歯215の数との差)は、例えば1である。
なお、プレスロータ4を回転させる外部の動力源はモータに限定されないが、動力源がモータである場合には、当該モータとこれの動力を伝達するクラウンギア減速機構とで、動力ユニットが構成される。
(1−2)プレスロータ
プレスロータ4は、上記したように、ロータギア2をステータギア1に対して傾いた姿勢で押し付けながら、中心軸Cまわりに回転するように構成されている。
第1実施形態のクラウンギア減速機構において、プレスロータ4は、スラスト玉軸受けのような構成を有する。つまり、プレスロータ4は、軸受部5によって中心軸Cまわりに回転可能に支持された入力側軌道部41と、ロータギア2の入力側を向く面24に押し付けられた出力側軌道部42と、複数の回転体43と、複数の回転体43を入力側軌道部41と出力側軌道部42との間に回転可能に保持する図示略の保持器とを備える。
入力側軌道部41は、複数の回転体43が当たる円環状の軌道415を有する。複数の回転体43は、それぞれ軌道415上を周方向に回転移動することが可能である。
入力側軌道部41は、軌道415が設けられた軌道部本体416と、軌道部本体416から入力側に延出された円柱状の軸部417とを含む。軸部417は、軸受部5によって回転可能に支持されている。軸部417の入力側の端部は、ハウジング8から入力側に突出しているが、ハウジング8から突出しない構造を採用することも可能である。軌道部本体416は、軸部417よりも大径である。軌道部本体416は、周方向の全域にわたって軸部417よりも径方向の外側に張り出した形状を有している。
入力側軌道部41の軌道415は、入力側軌道部41の出力側の端面414に設けられている。この端面414は、軌道部本体416の出力側の端面で構成されている。入力側軌道部41の端面414の法線は、中心軸Cと平行でなく、中心軸Cに対して角度θだけ傾くように設定されている。端面414は、円形状の平坦面であり、端面414の外周縁部に、円環溝状の軌道415が設けられている。
出力側軌道部42は、複数の回転体43が当たる円環状の軌道425を有する。複数の回転体43は、それぞれ軌道425上を周方向に回転移動することが可能である。
出力側軌道部42は、入力側軌道部41の軌道部本体416と同等の径を有する円板状の部材で構成されている。出力側軌道部42は、入力側軌道部41の軸部417よりも大径である。
出力側軌道部42の軌道425は、出力側軌道部42の入力側の端面421に設けられている。出力側軌道部42の端面421は、円形状の平坦面であり、端面421の外周縁部に、円環溝状の軌道425が設けられている。出力側軌道部42の端面421の法線は、中心軸Cと平行でなく、中心軸Cに対して角度θだけ傾くように設定されている。出力側軌道部42の端面421と、入力側軌道部41の端面414とは、距離をあけて対向して位置し、かつ互いに平行である。
出力側軌道部42の出力側の端面422は、端面421とは反対側を向く円形状の平坦面である。端面422の向きは、中心軸Cと平行でなく、中心軸Cを基準として角度θだけ傾いた向きである。端面422は、ロータギア2の入力側を向く平坦な面24に対して押し付けられている。
複数の回転体43は、入力側軌道部41の軌道415と、出力側軌道部42の軌道425との間に配置される多数の回転体43である。多数の回転体43は、周方向に距離をあけて円環状に配置されている。各回転体43は、回転可能な球又はローラで構成されており、入力側軌道部41の軌道415と出力側軌道部42の軌道425の両方に、接触可能である。
第1実施形態のクラウンギア減速機構において、ステータギア1に対するロータギア2の傾きは、角度θで設定されている。角度θは、ステータギア1の中心軸Cと、ロータギア2の中心軸C1との間の角度である。以下においては、角度θを、揺動角度θという。
(1−3)揺動角度
揺動角度θは、ステータギア1に対するロータギア2の傾きの角度であり、ステータギア1に対するプレスロータ4の傾きの角度と一致する。ここでのプレスロータ4の傾きの角度は、ステータギア1に対する、プレスロータ4の端面422の傾きの角度である。ステータギア1に対する出力側軌道部42の両端面421,422の傾きの角度と、ステータギア1に対する入力側軌道部41の端面414の傾きの角度とは、同一である。
図2Aから図5Bには、ステータギア1とロータギア2の各種の噛み合いモデルを、簡易に示している。これら各種の噛み合いモデルにおいて、減速比は1/50、歯たけは2.25m(モジュール)である。
図2Aと図2Bに示す第1の噛み合いモデルにおいて、揺動角度θは、約2.63°である。図2Aに示すように、ステータギア1に対してロータギア2が最も接近した部分P1においては、ロータ歯列21が、ステータ歯列11に対して最も深く噛み合う。部分P2においては、ロータ歯列21が、ステータ歯列11から最も離れて位置する。部分P1と部分P2とは、ロータギア2の周方向において180°ずれている。
第1の噛み合いモデルにおいては、ステータギア1に対するロータギア2の揺動運動に伴って、ロータ歯列21がステータ歯列11を乗り越えて周方向に移動するときに、ロータ歯215が、ステータ歯115に接触しながらこれを乗り越えるように設定されている。
図2Bには、ステータ歯列11においてロータ歯列21と噛み合う部分を、丸印で示している。このように、揺動角度θが約2.63°で設定された場合、ロータ歯列21とステータ歯列11との噛み合い率(以下、単に噛み合い率という。)は100%である。噛み合い率の値は、ステータ歯列11に含まれる全てのステータ歯115のうち、ロータ歯列21に接触するステータ歯115の数を、全てのステータ歯115の数で割った値である。第1の噛み合いモデルにおいては、ステータ歯列11に含まれる全てのステータ歯115が、ロータギア2の揺動運動中においてロータ歯列21と接触する。
図3Aと図3Bに示す第2の噛み合いモデルにおいて、揺動角度θは、約3.24°である。ステータギア1に対してロータギア2が最も離間した部分P2において、ステータ歯列11とロータ歯列21との間にはギャップ9が存在する。第2の噛み合いモデルは、ステータギア1に対するロータギア2の揺動運動に伴って、ロータ歯列21がステータ歯列11を乗り越えて周方向に移動するときに、ロータ歯215が、ギャップ9を伴ってステータ歯115を乗り越えるように設定されている。この場合の噛み合い率は71%である。
図4Aと図4Bに示す第3の噛み合いモデルにおいて、揺動角度θは、約5.8°である。ステータギア1に対してロータギア2が最も離間した部分P2において、ステータ歯列11とロータ歯列21との間には、ギャップ9が存在する。ギャップ9は、第2の噛み合いモデルよりも大きく形成されている。この場合の噛み合い率は47%である。
図5Aと図5Bに示す第4の噛み合いモデルにおいて、揺動角度θは、約15.66°である。ステータギア1に対してロータギア2が最も離間した部分P2において、互いに対向するステータ歯列11とロータ歯列21との間には、ギャップ9が存在する。ギャップ9は、第2及び第3の噛み合いモデルよりも大きく形成されている。この場合の噛み合い率は27%である。
第1実施形態のクラウンギア減速機構においては、噛み合い率が高いほど、高負荷に耐えられるという利点がある。その一方で、噛み合い率が高いほど、ステータギア1とロータギア2との摺動部分が増大するので、ロータギア2が円滑に回転しにくくなるという課題がある。これは、摺動部分の僅かな凹凸が、ロータギア2の回転の円滑性低下に寄与するからである。
そこで、本発明者等は種々の検討、実験及び更なる考察を重ねた結果、揺動角度θは、噛み合い率が100%となるように設定された場合の、ステータギア1に対するロータギア2の傾きの角度を基準角度としたときに、この基準角度との角度差が0.05°から25°の範囲内に収まるように設定されることが好ましいことを、見いだした。つまり、揺動角度θは、噛み合い率が100%となるように設定されたときのロータギア2の角度を基準角度としたときに、該基準角度よりも所定角度だけ大きな角度であって、該所定角度は0.05°から25°の範囲内にあることが好ましい。
加えて、本発明者等は種々の検討、実験及び更なる考察を重ねた結果、噛み合い率は、15%から75%の範囲内で設定されることが好ましいことを見いだした。
つまり、本発明者等は、揺動角度θの基準角度からの増分である所定角度が25°を超える場合や、噛み合い率が15%に満たない場合には、ロータギア2の安定駆動が困難になることを見いだし、また、揺動角度θの基準角度からの増分である所定角度が0.05°に満たない場合や、噛み合い率が75%を超える場合には、ロータギア2の回転の円滑性が全歯接触の場合と大差なく、ロータギア2の回転の円滑性向上には殆ど寄与しないことを見いだした。
揺動角度θは、上記の所定角度が25°を超えず、かつ、噛み合い率が75%を超えないように設定されてもよい。また、揺動角度θは、上記の所定角度が0.05°以上となり、かつ、噛み合い率が15%以上となるように設定されてもよい。
なお、ロータギア2の安定駆動の観点から、上記の噛み合い率は、25%から50%の範囲内にあることが一層好ましい。上記の噛み合い率は、45%から50%の範囲内にあることが、より一層好ましい。また、上記の所定角度は、1.4°から7°の範囲内にあることが、ロータギア2の安定駆動の観点からは一層好ましい。
ところで、上記の基準角度は、クラウンギア減速機構の減速比と、歯たけとに依存して決定される。図2A、図2Bに示す第1の噛み合いモデルのように、減速比が1/50、歯たけが2.25mである場合には、噛み合い率が100%となるためのロータギア2の傾きの角度(即ち基準角度)は、約2.63°である。そのため、本実施形態のクラウンギア減速機構において、減速比が1/50、歯たけが2.25mである場合には、揺動角度θは、約2.63°を基準角度してこれからの増分が0.05°から25°の範囲内に収まるように設定されることが、好ましい。
他の例として、減速比が1/50、歯たけが1mである場合には基準角度が約1.17mであり、減速比が1/50、歯たけが6mである場合には基準角度が約6.98mである。歯たけは、1mから6mの範囲内で設定されることが好ましく、例えば、1m、2m、2.25m、3m、4m、5m、又は6mで設定され得る。
その他の例として、減速比が1/30の場合に、歯たけが2.25mであれば基準角度は約10.64°であり、歯たけが1mであれば基準角度は約1.97°であり、歯たけが6mであれば基準角度は約11.69°である。減速比が1/100の場合に、歯たけが2.25mであれば基準角度は約1.30°であり、歯たけが1mであれば基準角度は約0.58°であり、歯たけが6mであれば基準角度は約3.47°である。減速比が1/200、歯たけが1mの場合には、基準角度は約0.29°である。減速比は、1/30から1/200の範囲内で設定されることが好ましい。
上記の所定角度については、クラウンギア減速機構の減速比と、歯たけと、噛み合い率とに基づいて決定することができる。例えば、噛み合い率が46.9%となるときの所定角度は、減速比が1/30で歯たけが2mである場合には約2.82°、減速比が1/30で歯たけが2.25mである場合には約5.30°、減速比が1/30で歯たけが3mである場合には約6.99°であり、減速比が1/50で歯たけが2mである場合には約4.73°、減速比が1/50で歯たけが2.25mである場合には約3.17°、減速比が1/50で歯たけが3mである場合には約4.21°であり、減速比が1/100で歯たけが2mである場合には約1.40°、減速比が1/100で歯たけが2.25mである場合には約1.58°、減速比が1/100で歯たけが3mである場合には約2.10°である。これらの結果からも、所定角度の一層好ましい範囲が、1.4°から7°の範囲であることが分かる。
(1−4)軸受部
プレスロータ4を支持する軸受部5は、アンギュラ玉軸受けで構成されている。ロータギア2がステータギア1との噛み合いによって受ける軸方向の反力は、プレスロータ4、軸受部5及びハウジング8によって支持される。プレスロータ4、軸受部5及びハウジング8において撓みが生じると、プレスロータ4に入力された回転に対して出力軸3の回転に遅れが生じる原因となる。そのため、特に軸受部5において軸方向の剛性が高いと、出力軸3の上記遅れが抑制されるという利点がある。
所定条件において、軸方向に1000Nの負荷がかかったときのアンギュラ玉軸受けの撓み量は、一例として約0.05mmである。これに対して、最も一般的な軸受けであるラジアル玉軸受けの同条件での撓み量は、一例として約0.1mmである。したがって、第1実施形態のクラウンギア減速機構においては、軸受部5がアンギュラ玉軸受けで構成されていることで、出力軸3の上記遅れが抑制されている。
軸受部5は、スラスト軸受けで構成されていることも好ましい。スラスト軸受けは、例えばスラスト玉軸受けや、スラストローラ軸受けである。軸方向に1000Nの負荷がかかったときのスラスト玉軸受けの同条件での撓み量は一例として約0.0043mmであり、スラストローラ軸受けの同条件での撓み量は、一例として約1.04×10−6mmである。そのため、軸受部5が、スラスト玉軸受けやスラストローラ軸受けのスラスト軸受けで構成された場合には、出力軸3の上記遅れが一層抑制されるという効果を奏する。言い換えれば、軸受部5としてスラスト軸受けを用いることで、プレスロータ4に入力された回転に対して出力軸3の回転に遅れが生じるという課題を、解決している。ここでのスラストローラ軸受けには、スラストニードル軸受けと称されるものと、スラストテーパーローラー軸受けと称されるものとが、含まれ得る。
(2)第2実施形態
図6には、第2実施形態のクラウンギア減速機構の概略的な断面を示している。以下においては、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1実施形態とは相違する構成について詳細に説明する。
第2実施形態のクラウンギア減速機構では、プレスロータ4の一部に可撓部分45が設けられている点で、第1実施形態とは相違している。可撓部分45は、プレスロータ4の他の部分よりも可撓性を有する部分である。
可撓部分45は、入力側軌道部41のうち、他の部分41bよりもステータギア1に近い部分41aに、設けられている。部分41aは、軌道部本体416の半部416aで構成されている。半部416aは、軌道部本体416の残りの半部416bよりも、プレスロータ4の軸方向においてステータギア1の近くに位置する。
第1実施形態との比較において、入力側軌道部41はその一部が除去された形状(より詳細には、軌道部本体416の半部416aの入力側を向く面が一部凹んだ形状)となっている(図6の想像線参照)。該除去によってプレスロータ4の他の部分よりも薄肉となった部分(つまり軌道部本体416の他の部分よりも薄肉となった部分)が、可撓部分45を構成している。
第2実施形態のクラウンギア減速機構によれば、低負荷時では無負荷時と同様に、例えば図8Aに示すように、ステータギア1の周方向の部分P1において、ロータ歯列21とステータ歯列11とが最も深く噛み合い、ステータギア1の周方向において部分P1から180°ずれた部分P2において、ロータ歯列21とステータ歯列11とが最も離れて位置する。低負荷時において、噛み合い率は例えば15%から75%の範囲内にあることが好ましい。
高負荷時において、ロータギア2には、ステータギア1との噛み合いによって軸方向に大きな反力が働き、この大きな反力がプレスロータ4に伝達される。プレスロータ4においては、入力側軌道部41に含まれる可撓部分45が、大きな反力によって撓みを生じる(図7の矢印参照)。
そのため、低負荷時には最も深く噛み合っていた部分P1において、ロータギア2は可撓部分45の撓みに伴って入力側に逃げ、ロータギア2とステータギア1との噛み合いが浅くなる。これに伴い、可撓性を有するロータギア2は全体が弓なりに撓み、ステータギア1のうち部分P1と部分P2との間の部分P3において、ロータギア2が最も深く噛み合うようになる。低負荷時においてステータギア1とロータギア2とが最も離間していた部分P2では、ロータギア2がステータギア1に近づき、ギャップ9が小さくなる。その結果、高負荷時においては、低負荷時に比較して噛み合い率が上昇する。
つまり、第2実施形態のクラウンギア減速機構では、プレスロータ4の可撓部分45が、プレスロータ4に伝わる軸方向の反力が大きくなるほどステータギア1から離れる方向に撓むので、出力軸3にかかる負荷トルクが大きくなるほどロータギア2が弓なりに撓んで噛み合い率が増大し、高負荷に耐え得る噛み合い形態へと自動的に移行する。
出力軸3にかかる負荷トルクが大きくなり、所定の閾値に至ると、ロータギア2とステータギア1との間のギャップ9はゼロとなり、噛み合い率は最大値(例えば100%)に至る。出力軸3にかかる負荷トルクが所定の閾値を超えた後は、ギャップ9はゼロを維持し、噛み合い率は最大値を維持する。
前記所定の閾値は、外部の駆動源であるモータの定格出力時にかかる負荷トルク(以下「定格トルク」という。)よりも大きく設定されることが好ましい。これにより、定格トルクを大きく超える瞬間的な負荷トルクが出力軸3にかかったときには、プレスロータ4の可撓部分45が瞬時に撓み、噛み合い率を上昇させることで、一層の高負荷に耐え得る形態に移行する。瞬間的な負荷トルクが無くなれば、可撓部分45の撓みは即時に小さくなり、噛み合い率を抑えて滑らかに回転する形態に移行する。
したがって、第2実施形態のクラウンギア減速機構によれば、出力軸3にかかる負荷トルクの瞬時最大許容値を、定格トルクよりも大幅に大きな値で設定することができる。負荷トルクの前記所定の閾値は、定格トルクの値よりも大きく、かつ、負荷トルクの瞬時最大許容値よりも小さな値である。
(3)第3実施形態
図9には、第3実施形態のクラウンギア減速機構の概略的な断面を示している。以下においては、第1及び第2実施形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
第3実施形態のクラウンギア減速機構では、入力側軌道部41が、第1部分411と第2部分412とに分割されている点で、第2実施形態とは相違している。
第1部分411は、複数の回転体43に接触するように構成された円環状の部材である。第1部分411の出力側の端面は、複数の回転体43が当たる軌道415が設けられた円環状の端面である。第1部分411は、第2部分412に組み合わさった状態で、軌道部本体416の一部分を構成する。
第2部分412は、入力側軌道部41のうち第1部分411を除いた部分である。第2部分412は、軌道部本体416のうち第1部分411を除いた部分4167と、この部分4167から入力側に延出された軸部417とで構成されている。部分4167は、出力側に位置する小径部418と、入力側に位置する大径部419とを含む。小径部418と大径部419は、プレスロータ4の軸方向において連続して位置し、大径部419は小径部418よりも大きな径を有する。大径部419は、周方向の全域にわたって小径部418よりも径方向の外側に張り出した形状を有している。
第1部分411と第2部分412とが組み合わさった状態で、小径部418は、第1部分411が有する貫通孔4115内に、嵌め込まれる。貫通孔4115は、プレスロータ4の軸方向に貫通した孔である。
また、第1部分411と第2部分412とが組み合わさった状態で、大径部419は、第1部分411の入力側を向く面4117に、全周にわたって接触する。第1部分411の面4117は、円環状の平坦な面であり、これに接触する大径部419の出力側を向く面4197も、円環状の平坦な面である。第2部分412が外部の動力源によって回転駆動されると、第1部分411と第2部分412とが、両者の間に発生する摩擦力で一体に回転する。
第3実施形態のクラウンギア減速機構において、可撓部分45は、入力側軌道部41の第2部分412に含まれており、より具体的には、第2部分412のうち、第2部分412の他の部分よりも軸方向においてステータギア1に近い部分412aに、設けられている。
第2部分412は凹部4121を有し、凹部4121の存在によって薄肉となった部分が、可撓部分45を構成している。凹部4121は、第2部分412のうちステータギア1に近い部分412aの、入力側を向く面に形成されている。
第3実施形態のクラウンギア減速機構では、第2実施形態と同様に、高負荷状態になると、ロータギア2には軸方向に大きな反力が働き、この大きな反力がプレスロータ4に伝達され、入力側軌道部41に含まれる可撓部分45が、大きな反力によって撓みを生じる。
そのため、低負荷時には最も深く噛み合っていた部分P1において、ロータギア2は可撓部分45の撓みに伴って入力側に逃げ、ロータギア2とステータギア1との噛み合いが浅くなる(図11参照)。これに伴い、可撓性を有するロータギア2は全体が撓み、ステータギア1の部分P3においてロータギア2が最も深く噛み合い、部分P2では、ロータギア2はステータギア1に近づくように変位する。その結果、高負荷時においては、低負荷時に比較して噛み合い率が上昇する。
ここで、第3実施形態のクラウンギア減速機構では、プレスロータ4の入力側軌道部41が第1部分411と第2部分412とに分割されており、第1部分411は薄肉であって、ロータギア2や出力側軌道部42と同程度の可撓性を有する。そのため、ロータギア2が自身の各部分の傾きを変えるように撓んでも、出力側軌道部42と保持器44とに加えて入力側軌道部41の第1部分411が、ロータギア2の変形に追従する。そのため、図11に示すような高負荷時においても、複数の回転体43は、出力側軌道部42と第1部分411とに接触した状態を維持することができる。第1部分411と第2部分412との間には、隙間49が形成される。
これに対して、プレスロータ4の入力側軌道部41が、第3実施形態のように適切に分割されていない場合には、入力側軌道部41がロータギア2の変形に追従しないことを原因として、図12に模式的に示すような過程で不具合を生じるおそれがある。
つまり、図12の1段目の図に示すように、通常時には、周方向に並んだ複数の回転体43がそれぞれ入力側軌道部41と出力側軌道部42とに接触しながら回転するのに対して、図12の2段目の図に示すように、一部の回転体43(以下、符号43aを付す。)に対して入力側軌道部41が非接触となると、一部の回転体43aには、保持器44に対する遅れが生じる。そのため、一部の回転体43aは、保持器44の一部分44aに当たる。一部分44aは、保持器44のうち、回転体43aに対して保持器44の移動方向とは反対方向に位置する部分である。
これにより保持器44が押されると、図12の3段目の図に示すように、他の大部分の回転体43(以下、符号43bを付す。)は、保持器44の別の一部分44bに当たる。一部分44bは、保持器44のうち、回転体43bに対して保持器44の移動方向に位置する部分である。
次いで、図12の4段目の図に示すように、一部の回転体43aが、入力側軌道部41と出力側軌道部42とに接触する領域に移動すると、一部の回転体43aとこれに当たる保持器44の一部分44aとの間には、特に大きな摩擦力が働き、一部分44aが特に激しく摩耗する。
これに対して、第3実施形態のクラウンギア減速機構では、上記の不具合が発生することが、効果的に抑えられる。
(4)変形例
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は前記各例の実施形態に限定されない。例えば、図13Aから図13Fには、それぞれ可撓部分45の変形例を示している。
図13A、図13Bに示す変形例では、入力側軌道部41の第2部分412が一つの凹部4123を有し、凹部4123の存在によって薄肉となった部分が、可撓部分45を構成している。凹部4123は、第2部分412の出力側を向く面に形成されている。凹部4123は、小径部418の出力側を向く面の一部から凹んだ形状を有する。
図13C、図13Dに示す変形例では、入力側軌道部41の第2部分412が複数の凹部4124を有し、複数の凹部4124の存在によって薄肉となった部分が、可撓部分45を構成している。複数の凹部4124は、2つの凹部4124であり、隣接する2つの凹部4124の間には、径方向に伸びるリブ4125が形成されている。
図13E、図13Fに示す変形例では、入力側軌道部41の第2部分412が複数の凹部4126を有し、複数の凹部4126の存在によって薄肉となった部分が、可撓部分45を構成している。複数の凹部4126は、3つの凹部4126であり、これらの中で隣接する2つの凹部4126の間には、それぞれ径方向に伸びるリブ4127が形成されている。
上記の変形例は一例に過ぎず、本開示の意図する範囲内であれば、各実施形態において適宜の設計変更を行うことや、各実施形態の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。
(5)態様
以上、各種の実施形態と変形例に基づいて説明したように、本開示の第1の態様に係るクラウンギア減速機構は、円環状のステータ歯列(11)を有するステータギア(1)と、円環状のロータ歯列(21)を有するロータギア(2)と、ロータギア(2)の回転が出力される出力軸(3)と、ロータギア(2)をステータギア(1)に対して傾いた姿勢で押し付けるプレスロータ(4)とを備える。第1の態様に係るクラウンギア減速機構は、外部の動力源によってプレスロータ(4)が回転駆動されることに伴って、ロータギア(2)が、ロータ歯列(21)とステータ歯列(11)との複数箇所での噛み合いを維持しながら歳差運動を行うように構成されている。ステータギア(1)に対するロータギア(2)の傾きは、ロータ歯列(21)がステータ歯列(11)を乗り越えて周方向に移動するときに、ギャップ(9)を伴って乗り越えるように設定されている。
第1の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、ステータギア(1)の傾きを大きく設定し、ステータギア(1)とロータギア(2)とで噛み合う歯数を抑えることで、ロータギア(2)の円滑な回転が実現される。
本開示の第2の態様に係るクラウンギア減速機構は、第1の態様において、以下の構成を更に備える。第2の態様に係るクラウンギア減速機構において、傾きの角度(θ)は、ロータ歯列(21)とステータ歯列(11)との噛み合い率が100%となるように設定されたときの角度を基準角度としたときに、基準角度よりも所定角度だけ大きく設けられた角度である。所定角度は、0.05°から25°の範囲内の角度である。
第2の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、傾きの角度(θ)を上記の適切な範囲内に設定することにより、ロータギア(2)の円滑かつ安定的な回転が実現される。
本開示の第3の態様に係るクラウンギア減速機構は、第1の態様又は第2の態様において、以下の構成を更に備える。第3の態様に係るクラウンギア減速機構において、ロータ歯列(21)とステータ歯列(11)との噛み合い率は、15%から75%の範囲内で設定されている。
第3の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、噛み合い率を上記の適切な範囲内に設定することにより、ロータギア(2)の円滑かつ安定的な回転が実現される。
本開示の第4の態様に係るクラウンギア減速機構は、第1の態様において、以下の構成を更に備える。第4の態様に係るクラウンギア減速機構において、傾きの角度(θ)は、ロータ歯列(21)とステータ歯列(11)との噛み合い率が100%となるように設定されたときの角度を基準角度としたときに、基準角度よりも所定角度だけ大きく設けられた角度であり、所定角度が25°を超えず、かつ、ロータ歯列(21)とステータ歯列(11)との噛み合い率が75%を超えないように設定されている。
第4の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、傾きの角度(θ)を上記の適切な範囲内に設定することにより、ロータギア(2)の円滑かつ安定的な回転が実現される。
本開示の第5の態様に係るクラウンギア減速機構は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、以下の構成を更に備える。第5の態様に係るクラウンギア減速機構において、プレスロータ(4)は、プレスロータ(4)に加わる軸方向の反力が大きくなるほどステータギア(1)から離れる方向に撓む可撓部分(45)を含む。プレスロータ(4)とロータギア(2)は、可撓部分(45)の撓みが大きくなるにしたがって、ロータ歯列(21)とステータ歯列(11)との噛み合い率が増大するように構成されている。
第5の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、低負荷時にはロータギア(2)の円滑な回転を実現するとともに、高負荷時には噛み合い率を増大させて、高負荷に耐え得る形態に移行することができる。
本開示の第6の態様に係るクラウンギア減速機構は、第5の態様において、以下の構成を更に備える。第6の態様に係るクラウンギア減速機構において、プレスロータ(4)とロータギア(2)は、出力軸(3)の負荷トルクが大きくなるほど噛み合い率が増大し、負荷トルクが所定の閾値を超えた後は、噛み合い率が最大値を保つように構成されている。
第6の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、低負荷時にはロータギアの円滑な回転を実現し、高負荷時には噛み合い率を増大させるとともに最大値で維持し、高負荷に耐え得る形態に移行することができる。
本開示の第7の態様に係るクラウンギア減速機構は、第5の態様又は第6の態様において、以下の構成を更に備える。第7の態様に係るクラウンギア減速機構において、プレスロータ(4)は、外部の動力源によって回転駆動される入力側軌道部(41)と、ロータギア(2)に押し付けられる出力側軌道部(42)と、入力側軌道部と出力側軌道部の両方に接触可能な複数の回転体(43)と、複数の回転体(43)を、入力側軌道部(41)と出力側軌道部(42)との間に回転可能に保持する保持器(44)とを備える。可撓部分(45)は、入力側軌道部(41)に含まれている。
第7の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、スラスト軸受けのような構造を有するプレスロータ(4)によって、ロータギア(2)の揺動運動に伴って生じる軸方向の反力を安定的に受けるとともに、低負荷時にはロータギア(2)の円滑な回転を実現し、高負荷時には噛み合い率を増大させて、高負荷に耐え得る形態に移行することができる。
本開示の第8の態様に係るクラウンギア減速機構は、第7の態様において、以下の構成を更に備える。第8の態様に係るクラウンギア減速機構において、入力側軌道部(41)は、入力側軌道部(41)の他の部分(41b)と比較してステータギアとの距離が近い部分(41a)を含み、この部分(41a)に可撓部分(45)が含まれている。
第8の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、高負荷時には噛み合い率を効果的に増大させることができる。
本開示の第9の態様に係るクラウンギア減速機構は、第5の態様又は第6の態様において、以下の構成を更に備える。第9の態様に係るクラウンギア減速機構において、プレスロータ(4)は、外部の動力源によって回転駆動される入力側軌道部(41)と、ロータギア(2)に押し付けられる出力側軌道部(42)と、入力側軌道部(41)と出力側軌道部(42)の両方に接触可能な複数の回転体(43)と、複数の回転体(43)を、入力側軌道部(41)と出力側軌道部(42)との間に回転可能に保持する保持器(44)とを備える。入力側軌道部(41)は、複数の回転体(43)に接触可能な第1部分(411)と、第1部分(411)に接触し、外部の動力源によって回転駆動される第2部分(412)とに分割されている。
第9の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、スラスト軸受けのような構造を有するプレスロータ(4)によって、ロータギア(2)の揺動運動に伴って生じる軸方向の反力を安定的に受けることができる。更に、入力側軌道部(41)は、複数の回転体(43)に接触可能な第1部分(411)を、回転駆動される第2部分(412)とは別体で備えているので、複数の回転体(43)のうち少なくとも1つの回転体(43)から第2部分(412)が離れるように動作しても、第1部分(411)は、少なくとも1つの回転体(43)との接触を保つことができる。そのため、複数の回転体(43)の運動を正常に保ち、保持器(44)に損傷が生じることを抑えることができる。
本開示の第10の態様に係るクラウンギア減速機構は、第9の態様において、以下の構成を更に備える。第10の態様に係るクラウンギア減速機構において、第1部分(411)と第2部分(412)は、両者の間に発生する摩擦力で、一体に回転するように構成されている。
第10の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、第1部分(411)と第2部分(412)が、シンプルな形状を有することができる。
本開示の第11の態様に係るクラウンギア減速機構は、第9の態様又は第10の態様において、以下の構成を更に備える。第11の態様に係るクラウンギア減速機構において、可撓部分(45)は、入力側軌道部(41)の第2部分(412)に含まれている。
第11の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、高負荷時には噛み合い率を効果的に増大させることができる。
本開示の第12の態様に係るクラウンギア減速機構は、第11の態様において、以下の構成を更に備える。第12の態様に係るクラウンギア減速機構において、第2部分(412)は、第2部分(412)の他の部分(412b)と比較してステータギアとの距離が近い部分(412a)を含み、この部分(41a)に可撓部分(45)が含まれている。
第12の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、高負荷時には噛み合い率をより効果的に増大させることができる。
本開示の第13の態様に係るクラウンギア減速機構は、第1の態様から第12の態様のいずれか1つにおいて、以下の構成を更に備える。第13の態様に係るクラウンギア減速機構は、プレスロータ(4)を支持する軸受部(5)を、更に備える。軸受部(5)は、スラスト軸受けで構成されている。
第13の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、高負荷に耐え得る機構とすることができ、また、プレスロータ(4)に入力された回転に対して出力軸(3)の回転に遅れが生じることを、抑えることができる。
本開示の第14の態様に係るクラウンギア減速機構は、第13の態様において、以下の構成を更に備える。第14の態様に係るクラウンギア減速機構において、スラスト軸受けは、スラスト玉軸受けである。
第14の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、スラスト玉軸受を用いることにより、高負荷に耐え得る機構とすることができ、また、プレスロータ(4)に入力された回転に対して出力軸(3)の回転に遅れが生じることを、抑えることができる。
本開示の第15の態様に係るクラウンギア減速機構は、第13の態様において、以下の構成を更に備える。第15の態様に係るクラウンギア減速機構において、スラスト軸受けは、スラストローラ軸受けである。
第15の態様に係るクラウンギア減速機構によれば、スラストロータ軸受を用いることにより、高負荷に耐え得る機構とすることができ、また、プレスロータ(4)に入力された回転に対して出力軸(3)の回転に遅れが生じることを、抑えることができる。
本開示の第16の態様に係る動力ユニットは、第5の態様から第15の態様のいずれか1つのクラウンギア減速機構と、前記動力源を構成するモータとを備える。クラウンギア減速機構は、モータの定格出力時における噛み合い率が、噛み合い率の最大値よりも小さくなるように構成されている。
第16の態様に係る動力ユニットによれば、低負荷時にはロータギア(2)の円滑な回転を実現することができ、高負荷時には噛み合い率を増大させて、高負荷に耐え得る形態に移行することができ、更に大きな負荷が瞬間的に掛かったときには、噛み合い率が最大値に至ることで、この大きな負荷にも耐えることができる。噛み合い率の最大値は、例えば100%である。
1 ステータギア
11 ステータ歯列
2 ロータギア
21 ロータ歯列
3 出力軸
4 プレスロータ
41 入力側軌道部
41a 部分
41b 他の部分
411 第1部分
412 第2部分
412a 部分
412b 他の部分
417 軸部
42 出力側軌道部
43 回転体
44 保持器
45 可撓部分
5 軸受部
9 ギャップ
θ 角度

Claims (14)

  1. 円環状のステータ歯列を有するステータギアと、
    円環状のロータ歯列を有するロータギアと、
    前記ロータギアの回転が出力される出力軸と、
    前記ロータギアを前記ステータギアに対して傾いた姿勢で押し付けるプレスロータと、を備え、
    外部の動力源によって前記プレスロータが回転駆動されることに伴って、前記ロータギアが、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との複数箇所での噛み合いを維持しながら歳差運動を行うように構成されたクラウンギア減速機構であって、
    前記ステータギアに対する前記ロータギアの傾きは、前記ロータ歯列が前記ステータ歯列を乗り越えて周方向に移動するときに、ギャップを伴って乗り越えるように設定されており、
    前記プレスロータは、前記プレスロータに加わる軸方向の反力が大きくなるほど前記ステータギアから離れる方向に撓む可撓部分を含み、
    前記プレスロータと前記ロータギアは、前記可撓部分の撓みが大きくなるにしたがって、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が増大するように構成されており、且つ、
    前記プレスロータと前記ロータギアは、前記出力軸の負荷トルクが大きくなるほど前記噛み合い率が増大し、前記負荷トルクが所定の閾値を超えた後は、前記噛み合い率が最大値を保つように構成されている、
    クラウンギア減速機構。
  2. 円環状のステータ歯列を有するステータギアと、
    円環状のロータ歯列を有するロータギアと、
    前記ロータギアの回転が出力される出力軸と、
    前記ロータギアを前記ステータギアに対して傾いた姿勢で押し付けるプレスロータと、を備え、
    外部の動力源によって前記プレスロータが回転駆動されることに伴って、前記ロータギアが、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との複数箇所での噛み合いを維持しながら歳差運動を行うように構成されたクラウンギア減速機構であって、
    前記ステータギアに対する前記ロータギアの傾きは、前記ロータ歯列が前記ステータ歯列を乗り越えて周方向に移動するときに、ギャップを伴って乗り越えるように設定されており、
    前記プレスロータは、前記プレスロータに加わる軸方向の反力が大きくなるほど前記ステータギアから離れる方向に撓む可撓部分を含み、
    前記プレスロータと前記ロータギアは、前記可撓部分の撓みが大きくなるにしたがって、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が増大するように構成されており、
    前記プレスロータは、前記外部の動力源によって回転駆動される入力側軌道部と、前記ロータギアに押し付けられる出力側軌道部と、前記入力側軌道部と前記出力側軌道部の両方に接触可能な複数の回転体と、前記複数の回転体を、前記入力側軌道部と前記出力側軌道部との間に回転可能に保持する保持器と、を備え、
    前記可撓部分は、前記入力側軌道部に含まれている、
    クラウンギア減速機構。
  3. 前記傾きの角度は、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が100%となるように設定されたときの角度を基準角度としたときに、前記基準角度よりも所定角度だけ大きく設けられた角度であり、
    前記所定角度は、0.05°から25°の範囲内の角度である、
    請求項1又は2のクラウンギア減速機構。
  4. 前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率は、15%から75%の範囲内である、
    請求項1から3のいずれか一項のクラウンギア減速機構。
  5. 前記傾きの角度は、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が100%となるように設定されたときの角度を基準角度としたときに、前記基準角度よりも所定角度だけ大きく設けられた角度であり、
    前記所定角度が25°を超えず、かつ、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が75%を超えないように設定されている、
    請求項1又は2のクラウンギア減速機構。
  6. 前記入力側軌道部は、前記入力側軌道部の他の部分と比較して前記ステータギアとの距離が近い部分を含み、この部分に前記可撓部分が含まれている、
    請求項2のクラウンギア減速機構。
  7. 前記プレスロータは、
    前記外部の動力源によって回転駆動される入力側軌道部と、
    前記ロータギアに押し付けられる出力側軌道部と、
    前記入力側軌道部と前記出力側軌道部の両方に接触可能な複数の回転体と、
    前記複数の回転体を、前記入力側軌道部と前記出力側軌道部との間に回転可能に保持する保持器と、を備え、
    前記入力側軌道部は、
    前記複数の回転体に接触可能な第1部分と、
    前記第1部分に接触し、前記外部の動力源によって回転駆動される第2部分と、に分割されている、
    請求項1のクラウンギア減速機構。
  8. 前記第1部分と前記第2部分は、両者の間に発生する摩擦力で、一体に回転するように構成されている、
    請求項7のクラウンギア減速機構。
  9. 前記可撓部分は、前記入力側軌道部の前記第2部分に含まれている、
    請求項7又は8のクラウンギア減速機構。
  10. 前記第2部分は、前記第2部分の他の部分と比較して前記ステータギアとの距離が近い部分を含み、この部分に前記可撓部分が含まれている、
    請求項9のクラウンギア減速機構。
  11. 前記プレスロータを支持する軸受部を、更に備え、
    前記軸受部は、スラスト軸受けで構成されている、
    請求項1から10のいずれか一項のクラウンギア減速機構。
  12. 前記スラスト軸受けは、スラスト玉軸受けである、
    請求項11のクラウンギア減速機構。
  13. 前記スラスト軸受けは、スラストローラ軸受けである、
    請求項11のクラウンギア減速機構。
  14. クラウンギア減速機構と、
    動力源を構成するモータと、を備えた動力ユニットであって、
    前記クラウンギア減速機構は、
    円環状のステータ歯列を有するステータギアと、
    円環状のロータ歯列を有するロータギアと、
    前記ロータギアの回転が出力される出力軸と、
    前記ロータギアを前記ステータギアに対して傾いた姿勢で押し付けるプレスロータと、を備え、
    前記モータによって前記プレスロータが回転駆動されることに伴って、前記ロータギアが、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との複数箇所での噛み合いを維持しながら歳差運動を行うように構成されており、
    前記ステータギアに対する前記ロータギアの傾きは、前記ロータ歯列が前記ステータ歯列を乗り越えて周方向に移動するときに、ギャップを伴って乗り越えるように設定されており、
    前記プレスロータは、前記プレスロータに加わる軸方向の反力が大きくなるほど前記ステータギアから離れる方向に撓む可撓部分を含み、
    前記プレスロータと前記ロータギアは、前記可撓部分の撓みが大きくなるにしたがって、前記ロータ歯列と前記ステータ歯列との噛み合い率が増大するように構成されており、且つ、
    前記クラウンギア減速機構は、前記モータの定格出力時における前記噛み合い率が、前記噛み合い率の最大値よりも小さくなるように構成されている、
    動力ユニット。
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