JP6946873B2 - マグネトプランバイト型フェライトの製造方法 - Google Patents

マグネトプランバイト型フェライトの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6946873B2
JP6946873B2 JP2017172328A JP2017172328A JP6946873B2 JP 6946873 B2 JP6946873 B2 JP 6946873B2 JP 2017172328 A JP2017172328 A JP 2017172328A JP 2017172328 A JP2017172328 A JP 2017172328A JP 6946873 B2 JP6946873 B2 JP 6946873B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrothermal synthesis
mixed solution
synthesis step
magnetoplumbite
type ferrite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017172328A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019048727A (ja
Inventor
昌男 甲
昌男 甲
佐藤 守
守 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2017172328A priority Critical patent/JP6946873B2/ja
Publication of JP2019048727A publication Critical patent/JP2019048727A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6946873B2 publication Critical patent/JP6946873B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、マグネトプランバイト型フェライトの製造方法に関する。
マグネトプランバイト型フェライト(magnetoplumbite type ferrite)は、磁気異方性があるハードフェライトであり、スピネルフェライトに比べて大きな保磁力を有する。
マグネトプランバイト型フェライトの従来の製造方法としては、固相法が一般的である。例えば、固相法では、ストロンチウム化合物又はバリウム化合物と酸化鉄とを含む原料を高温で焼成することによって、マグネトプランバイト型フェライトの粉末が得られる。しかし固相法では、原料を1000℃以上の高温で長時間加熱し続けるが必要ある。また、固相法によって得られるマグネトプランバイト型フェライトは、塊又は凝集粉であるため、フェライト磁石(焼結磁石等)の製造に原料として用いる際にマグネトプランバイト型フェライトを粉砕する必要があった。
上記の課題を有する固相法に代わる製造方法として、下記特許文献1には、バリウムフェライトの微粒子を水熱合成によって製造する方法が開示されている。
特開平8‐40723号公報
しかしながら、従来の水熱合成法ではマグネトプランバイト型フェライトを高い収率(生成率)で製造することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マグネトプランバイト型フェライトを高い収率で製造することができるマグネトプランバイト型フェライトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るマグネトプランバイト型フェライトの製造方法は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を含み、pHが6超14以下である混合液を得る調合工程と、混合液を加圧下で加熱し、混合液の温度を175℃超450℃未満に調整して、マグネトプランバイト型フェライトを合成する水熱合成工程と、を備える。
本発明の一側面においては、水熱合成工程において、混合液に及ぼす圧力を0.9MPa超50MPa以下に調整してよい。
本発明の一側面においては、水熱合成工程において、混合液の昇温速度を5℃/分以上に調整してよい。
本発明の一側面においては、調合工程において、pHが11以上14以下である混合液を得てよい。
本発明によれば、マグネトプランバイト型フェライトを高い収率で製造することができるマグネトプランバイト型フェライトの製造方法が提供される。
図1は、実施例3の水熱合成工程で生成された固形物のX線回折(XRD)パターンである。 図2は、SrFe1219の単体(標準試料)のXRDパターンのプロット、及びα‐Feの単体(標準試料)のXRDパターンのピークのプロットである。 図3は、実施例3の水熱合成工程で生成された固形物の画像である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
マグネトプランバイト型フェライトは、P63/mmc空間群に属する六方晶系結晶構造を有している。マグネトプランバイト型フェライトは、例えば、化学式MO・6Fe、又は化学式MFe1219で表されてよい。化学式中の元素Mは、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及び鉛(Pb)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であってよい。マグネトプランバイト型フェライトは、CaαSrβBaγPbδFe1219(ただし、α+β+γ+δ=1、α≧0、β≧0、γ≧0、δ≧0)と表されてもよい。マグネトプランバイト型フェライトは、元素M、鉄及び酸素に加えて、ランタノイド又は希土類元素等の他の元素Xを含んでよい。例えば、マグネトプランバイト型フェライトは、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ビスマス(Bi)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、及びジスプロシウム(Dy)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素Xを含んでよい。MFe1219中のMの一部が、Sc、Y、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ga、In、Li、Cu、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、W、Mo、B、Al、Cr、Na、K及びRbからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素で置換されていてよい。MFe1219中のFeの一部が、Co、Zn、Ni及びMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素で置換されていてよい。またマグネトプランバイト型フェライトは、β‐オキシ水酸化鉄の原料の製造に由来し、完全には除去困難である不純物(Cl又は遷移金属など)を含んでいてよい。例えば、マグネトプランバイト型フェライトは、Ga、In、Li、Cu、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、W、Mo、B、Al、Cr、Na、K及びRb等の不純物を含んでいてよい。
本実施形態に係るマグネトプランバイト型フェライトの製造方法は、少なくとも調合工程と、水熱合成工程と、を備える。以下では、各工程を詳しく説明する。
調合工程では、上記の元素Mの単体及び元素Mの化合物のうち少なくともいずれかと、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を含む混合液を得る。β‐オキシ水酸化鉄は、β‐FeOOH、β‐FeO(OH,Cl)又はβ‐Fe3+O(OH,Cl)と表されてよい。β‐オキシ水酸化鉄は粉末であってよい。元素Mの化合物は、例えば、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物等)、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩(シュウ酸塩等)及び錯塩(錯体)からなる群より選ばれる一種又は複数種であってよい。元素Mの単体又は元素Mの化合物は粉末であってよい。元素Mの化合物(金属塩)の水溶液を用いてもよい。混合液は、一種の元素Mを含んでもよく、複数種の元素Mを含んでもよい。必要に応じて、元素Mに加えて、他の元素Xの単体又は元素Xの化合物を混合液に添加してもよい。混合液に含まれるβ‐オキシ水酸化鉄のモル数が[Fe]であり、混合液に含まれる元素Mのモル数が[M]であるとき、調合工程では、[Fe]/[M]を2以上12以下に調整すればよい。[Fe]は、混合液に含まれる鉄のモル数と言い換えられてよい。β‐オキシ水酸化鉄の秤量と、元素Mの単体又は元素Mの化合物の秤量とによって、[Fe]/[M]は自在に調整される。
β‐オキシ水酸化鉄は、低温(約150℃前後)の水中で容易に分解するので、水熱合成工程において元素Mと容易に反応する。その結果、マグネトプランバイト型フェライトが高い収率で合成される。仮にβ‐オキシ水酸化鉄の代わりに他の鉄の化合物を用いた場合、以下の理由により、マグネトプランバイト型フェライトの収率が低下する。
仮にβ‐オキシ水酸化鉄の代わりに、α‐オキシ水酸化鉄(α‐FeOOH)を原料に用いた場合、水熱合成工程ではマグネトプランバイト型フェライトは合成され難く、酸化第二鉄(α‐Fe)及び元素Mの塩(例えば、炭酸塩)が生成され易い。
仮にβ‐オキシ水酸化鉄の代わりに、酸化第二鉄を原料に用いた場合、水熱合成工程ではマグネトプランバイト型フェライトは合成され難く、酸化第二鉄が残存し易く、元素Mの塩(例えば、炭酸塩)が生成され易い。
仮にβ‐オキシ水酸化鉄の代わりに、水酸化鉄(II)、つまりFe(OH)を原料に用いた場合、調合工程において水酸化鉄(II)が大気中の酸素等により酸化され易く、マグネタイト(Fe)やα‐オキシ水酸化鉄(α‐FeOOH)が生成し易い。つまり水酸化鉄(II)を原料に用いる水熱合成工程は、実質的にマグネタイトやα‐オキシ水酸化鉄(α‐FeOOH)を原料に用いる水熱合成工程に等しい。そのため、水酸化鉄(II)を原料に用いた場合、水熱合成工程では、マグネトプランバイト型フェライトは合成され難く、マグネタイトや酸化第二鉄(α‐Fe)が生成され易い。一方、β‐オキシ水酸化鉄は、水酸化鉄(II)に比べて酸化され難い。したがって、β‐オキシ水酸化鉄を用いる調合工程では、所望の組成を有する上記混合液を大気中において容易に調合することができる。
混合液のpHは6よりも大きく14以下である。つまり、混合液は略中性、又はアルカリ性である。混合液のpHは、6超14以下、7以上14以下、8以上14以下、又は11以上14以下であってもよい。混合液のpHが大きいほど、水熱合成工程においてマグネトプランバイト型フェライトが合成され易い。混合液のpHが6以下である場合、マグネトプランバイト型フェライトは合成され難く、酸化第二鉄及び元素Mの塩(例えば、炭酸塩)が生成され易い。
調合工程において、元素Mの水酸化物を用いた場合、混合液のpHは6よりも大きく14以下である範囲に収まり易い。元素Mの水酸化物は、例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))、及び水酸化鉛(Pb(OH))からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。調合工程において、元素Mの水酸化物とは異なるアルカリ性化合物(塩基性化合物)を混合液に添加することにより、混合液のpHを調製してもよい。アルカリ性化合物は、例えば、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、アンモニア(NH)、及び水酸化テトラメチルアンモニウム([(CHN][OH])からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。調合工程において、元素Mの水酸化物と、他のアルカリ性化合物を併用してもよい。
調合工程では、上記の元素Mの単体及び元素Mの化合物のうち少なくともいずれかと、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を水熱合成工程用の反応容器へ容れて、反応容器内で混合液を調合してよい。
水熱合成工程では、内部を加熱、加圧する機能を有する反応容器(例えば、オートクレーブ(autoclave))を用いればよい。水熱合成工程では、密閉された反応器内の混合液を加熱して、反応器内の気圧を高める。その結果、加熱且つ加圧された混合液中で水熱合成反応が進行して、マグネトプランバイト型フェライトが合成される。水熱合成工程では、混合液の温度が175℃超450℃未満である範囲に調整される。混合液の温度が175℃以下である場合、反応容器内の気圧が高まり難く、水熱合成反応が進行し難く、マグネトプランバイト型フェライトが合成され難い。一方、混合液の温度が450℃以上である場合、混合液中で一度合成されたマグネトプランバイト型フェライトが分解し易く、マグネタイトが生成し易い。水熱合成工程では、混合液の温度が200℃以上430℃以下、250℃以上430℃以下、300℃以上430℃以下、又は350℃以下430℃以下に調整されてよい。水熱合成工程における混合液の温度は、マグネトプランバイト型フェライトの水熱合成の反応温度と言い換えられてよい。
水熱合成工程では、混合液に及ぼす圧力が0.9MPa超50MPa以下、又は1MPa以上50MPa以下に調整されてよい。混合液に及ぼす圧力が0.9MPaよりも高い場合、水熱合成反応が進行し易く、マグネトプランバイト型フェライトが合成され易い。混合液に及ぼす圧力が高過ぎる場合、反応器内の気圧が反応器の耐圧限界値に達し、水熱合成工程の安全性が損なわれる。密閉された反応器内の混合液の温度が高いほど、反応器内の気圧は高く、混合液に及ぶ圧力も高い。したがって混合液に及ぼす圧力は、混合液の温度の調整によって自在に制御されてよい。水熱合成工程では、混合液に及ぼす圧力が1MPa以上30MPa以下、又は4MPa以上30MPa以下に調整されてもよい。
水熱合成工程では、混合液の昇温速度が5℃/分以上10000℃/分以下、5℃/分以上5000℃/分以下、5℃/分以上70℃/分以下、5℃/分以上60℃/分以下、10℃/分以上10000℃/分以下、10℃/分以上5000℃/分以下、10℃/分以上70℃/分以下、又は10℃/分以上60℃/分以下に調整されてよい。混合液の昇温速度が高いほど、水熱合成反応が急速に短時間で進行し易く、混合液中での酸化第二鉄の生成が抑制され、マグネトプランバイト型フェライトの収率が高まり易い。したがって、混合液の昇温速度の上限値は、加熱装置の性能により変化するが、可能な限り高い方がよい。混合液の温度が所望の反応温度に到達するまでに、混合液の昇温速度は一定でなくてもよい。更に、加熱途中で混合液の温度を所定の温度を保持してもよい。例えば、混合液の加熱の開始時点から混合液の温度が所定の温度T1に達する時点までは混合液を昇温速度1で加熱し、続いて、混合液を昇温速度1よりも低い昇温速度2で加熱して、混合液の温度を温度T1から温度T2(所望の反応温度)まで高めてよい。混合液中での酸化第二鉄の生成を抑制するためには、水熱合成工程の開始時点(混合液の加熱の開始時点)の直前に混合液を調合したほうがよい。また混合液中での酸化第二鉄の生成を抑制するためには、調合液を低温で放置する時間(混合液の温度が175℃以下である時間)は短いほうがよい。換言すれば、混合液の温度が175℃を超えるまでに要する時間(混合液の温度が200℃以上になるまでに要する時間)が短いほど、混合液中での酸化第二鉄の生成が抑制され、マグネトプランバイト型フェライトの収率が高まり易い。混合液の加熱の開始から混合液の温度が所定の反応温度に達するまでの時間(昇温時間)は、例えば、0.04分以上80分以下、0.04分以上40分以下、1分以上80分以下、1分以上40分以下、7分以上80分以下、又は7分以上40分以下であってよい。
本実施形態によれば、従来の固相法に比べて低い反応温度で且つ短時間で、マグネトプランバイト型フェライトを水熱合成することが可能である。また本実施形態によれば、マグネトプランバイト型フェライトの粒子を直接水熱合成することができる。例えば、平均粒子径が0.02〜2μmであるマグネトプランバイト型フェライトの微粒子を直接水熱合成することが可能である。したがって、マグネトプランバイト型フェライトの塊又は凝集粉を粉砕する工程を要する固相法とは対照的に、水熱合成されたマグネトプランバイト型フェライトの微粒子はそのままフェライト磁石(例えば焼結磁石)の原料として利用可能である。
以下では実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[調合工程]
調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末と、水酸化ストロンチウムの水溶液と、を混ぜて、混合液を得た。調合工程では、[Fe]/[Sr]を2に調整した。[Fe]は、混合液に含まれる鉄のモル数(換言すれば、β‐FeOOHのモル数)である。[Sr]は、混合液に含まれるストロンチウムのモル数(換言すれば、Sr(OH)のモル数)である。混合液はアルカリ性の水酸化ストロンチウムを含むため、pHメーターで測定された混合液のpHは11であった。
[水熱合成工程]
水熱合成工程では、混合液をオートクレーブに容れて、オートクレーブを密閉した。下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。混合液の加熱の開始から混合液の温度が反応温度に達するまでの時間(昇温時間)は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。以下では、混合液の温度が反応温度に保持される時間を、保持時間と表記する。混合液が反応温度に保持されている間のオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される値であった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の水熱合成工程により混合液中に生成した固形物を固液分離により回収した。固形物を純水で洗浄した後、固形物を乾燥させた。実施例1で得られた固形物は粉末状であった。
(実施例2)
実施例2の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2の調合工程及び水熱合成工程を実施した。実施例2の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(実施例3)
実施例3の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例3の調合工程及び水熱合成工程を実施した。実施例3の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(実施例4)
実施例4の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。なお、実施例4では昇温速度を遅くするため、比熱の大きな炉を使用した。この時の昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を20分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例4の調合工程及び水熱合成工程を実施した。実施例4の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(実施例5)
実施例5の水熱合成工程では、炉内に設置したオートクレーブ内の混合液を4.2℃/分の昇温速度で加熱して、混合液の温度を表1に示される反応温度である375℃まで上げた。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を30分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間は、下記表1に示される通りであった。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例5の調合工程及び水熱合成工程を実施した。実施例5の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(実施例6)
実施例6の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例6の調合工程及び水熱合成工程を実施した。実施例6の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(実施例7)
実施例7の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例7の調合工程及び水熱合成工程を実施した。実施例7の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(比較例1)
比較例1の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、比較例1の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例1の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
(比較例2)
比較例2の調合工程では、水酸化ストロンチウムの粉末の代わりに、塩化ストロンチウムの粉末を用いた。比較例2の調合工程では、塩化ストロンチウムの粉末に対して0.1規定のNaOH水溶液を少しずつ滴下することにより、pHが6である混合液を調製した。
以上の事項を除いて実施例4と同様の方法で、比較例2の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例2の水熱合成工程においても、固形物が得られた。
(比較例3)
比較例3の調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末の代わりに、α‐オキシ水酸化鉄の粉末を用いた。α‐オキシ水酸化鉄の平均粒径は3μmであった。
以上の事項を除いて実施例3と同様の方法で、比較例3の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例3の水熱合成工程においても、固形物が得られた。
(比較例4)
比較例4の調合工程で用いられたα‐オキシ水酸化鉄の平均粒径は100nmであった。
以上の事項を除いて比較例3と同様の方法で、比較例4の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例4の水熱合成工程においても、固形物が得られた。
(比較例5)
比較例5の調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末の代わりに、酸化第二鉄(α‐Fe)の粉末を用いた。
以上の事項を除いて実施例3と同様の方法で、比較例5の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例5の水熱合成工程においても、固形物が得られた。
(比較例6)
比較例6の調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末を用いなかった。比較例6の調合工程では、塩化鉄(FeCl)溶液に1N水酸化ナトリウム溶液を当量加えて、これらを混合撹拌することにより、水酸化鉄(II)(Fe(OH))を含むスラリー(混合液)を作製した。
以上の事項を除いて実施例3と同様の方法で、比較例6の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例6の水熱合成工程においても、固形物が得られた。
(比較例7)
比較例7の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、比較例7の調合工程及び水熱合成工程を実施した。比較例7の水熱合成工程においても、粉末状の固形物が得られた。
<組成の分析>
実施例3の水熱合成工程で得られた粉末状の固形物のXRDパターンを測定した。入射X線としては、CuKa1線を用いた。実施例3の固形物のXRDパターンは、図1に示される。一方、入射X線としてCuKa1線を用いて測定されたSrFe1219の単体(標準試料)の回折ピークのプロットは、図2に示される。入射X線としてCuKa1線を用いて測定されたα‐Feの単体(標準試料)の回折ピークのプロットも、図2に示される。
実施例3の固形物のXRDパターンは、回折角2θが34.195°であるピークを有することが確認された。このピークは、マグネトプランバイト型フェライトの一種であるSrFe1219に固有のピークである。つまり、実施例3の水熱合成で得られた粉末状の固形物は、SrFe1219を含むことが確認された。
実施例3の固形物のXRDパターンにおいて回折角2θが34.195°である回折X線の強度がIと表され、実施例3の固形物のXRDパターンにおいて回折角2θが33.152°である回折X線の強度がIと表されるとき、SrFe1219の収率Y(単位:%)を、以下の式Aによって定義した。Iは、上記の通り、SrFe1219に由来する回折X線の強度である。Iは、α‐Feに由来する回折X線の強度である。水熱合成工程で得られた固形物におけるα‐Feの含有量が小さいほどIは小さく、Iが小さいほどSrFe1219の収率Yは高い。水熱合成工程でα‐Feが生成している場合、Yは100%未満である。
Y={I/(I+I)}×100 (A)
実施例3の固形物のXRDパターンから算出された実施例3の収率Yは、下記表1に示される通りであった。
実施例3と同様の方法で、他の実施例及び比較例其々の水熱合成工程後に混合液から回収された固形物をXRD法で個別に分析した。他の実施例及び比較例其々の収率Yは、下記表1に示される通りであった。
分析の結果、実施例1〜7の水熱合成工程いずれにおいても、マグネトプランバイト型フェライトの一種であるSrFe1219が合成されたことが確認された。そして、実施例1〜7其々におけるSrFe1219の収率Yはいずれも、比較例1〜7其々におけるSrFe1219の収率Yよりも高いことが確認された。
反応温度が共通する実施例3〜5のうち、実施例5の昇温時間が最も長く、実施例5の収率Yが低かった。つまり、水熱合成工程における昇温時間が長いほど、α‐Feが生成し易いことが確認された。
全実施例のうち反応温度が最も高い実施例7の収率Yは、全実施例の中で最も低かった。また実施例7の水熱合成工程では、SrFe1219と共にFeも生成したことが確認された。実施例7の結果は、反応温度が高過ぎる場合、一度生成したSrFe1219の一部が分解してしまうことを示唆している。
比較例1〜3、5及び6のいずれにおいても、SrFe1219は検出されなかった。
pHが6である混合液を用いた比較例2の水熱合成工程では、α‐Fe及びSrCOが生成していることが確認された。
α‐オキシ水酸化鉄を原料に用いた比較例3及び4其々の水熱合成工程では、α‐Fe及びSrCOが生成していることが確認された。比較例3よりも平均粒径が小さいα‐オキシ水酸化鉄を用いた比較例4の水熱合成工程では、わずかにSrFe1219も生成したことが確認された。
α‐Feを原料に用いた比較例5の水熱合成工程では、α‐Fe及びSrCOが生成していることが確認された。
Fe(OH)を原料に用いた比較例6の水熱合成工程では、α‐Fe、Fe及びSrCOが生成していることが確認された。
実施例7よりも反応温度が高い比較例7の収率Yは、実施例7よりも低かった。比較例7の水熱合成工程でも、SrFe1219と共にFeも生成したことが確認された。比較例7では、実施例7の場合よりも、SrFe1219の分解が促進されてしまったことが推察される。
<生成物の形状>
実施例3の水熱合成工程で生成した粉末状の固形物(SrFe1219を含む粉末)の画像を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した。実施例3の固形物の画像は、図3に示される。図3に示されるように、実施例3の粉末は、扁平な粒子から構成されていることが確認された。各粒子の粒径(長軸の長さ)は、およそ1μm程度であることも確認された。
<磁気特性の測定>
実施例1〜7其々の水熱合成工程で生成した固形物の飽和磁化Ms及び保磁力Hcを振動試料型磁力計(VSM)によって個別に測定した。測定結果は、下記表1に示される通りであった。
Figure 0006946873
本発明に係る製造方法に得られるマグネトプランバイト型フェライトは、例えば、フェライト磁石(焼結磁石)の原料として用いられる。

Claims (3)

  1. カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を含み、pHが11以上14以下である混合液を得る調合工程と、
    前記混合液を加圧下で加熱し、前記混合液の温度を200℃以上450℃未満に調整して、マグネトプランバイト型フェライトを合成する水熱合成工程と、
    を備え
    前記水熱合成工程において、前記混合液に及ぼす圧力を0.9MPa超50MPa以下に調整する、
    マグネトプランバイト型フェライトの製造方法。
  2. 前記水熱合成工程において、前記混合液の昇温速度を5℃/分以上に調整する、
    請求項1に記載のマグネトプランバイト型フェライトの製造方法。
  3. カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を含み、pHが11以上14以下である混合液を得る調合工程と、
    前記混合液を加圧下で加熱し、前記混合液の温度を200℃以上450℃未満に調整して、マグネトプランバイト型フェライトを合成する水熱合成工程と、
    を備え
    前記水熱合成工程において、前記混合液の昇温速度を5℃/分以上に調整する、
    マグネトプランバイト型フェライトの製造方法。
JP2017172328A 2017-09-07 2017-09-07 マグネトプランバイト型フェライトの製造方法 Active JP6946873B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017172328A JP6946873B2 (ja) 2017-09-07 2017-09-07 マグネトプランバイト型フェライトの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017172328A JP6946873B2 (ja) 2017-09-07 2017-09-07 マグネトプランバイト型フェライトの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019048727A JP2019048727A (ja) 2019-03-28
JP6946873B2 true JP6946873B2 (ja) 2021-10-13

Family

ID=65905336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017172328A Active JP6946873B2 (ja) 2017-09-07 2017-09-07 マグネトプランバイト型フェライトの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6946873B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019048727A (ja) 2019-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Buzinaro et al. Hopkinson effect, structural and magnetic properties of M-type Sm3+-doped SrFe12O19 nanoparticles produced by a proteic sol–gel process
KR101649242B1 (ko) 페라이트 소결 자석의 제조 방법 및 페라이트 소결 자석
Li et al. Synthesis and characterization of nanosized MnZn ferrites via a modified hydrothermal method
US10037839B2 (en) Magnetic hydrotalcite composite and production method thereof
EP2709117B1 (en) Ferrite magnet with salt and manufacturing method of the same
JP5521287B2 (ja) 磁気記録媒体用フェライト粒子
JP6856196B2 (ja) 磁性粒子およびその製造方法
WO2005027153A1 (ja) フェライト焼結磁石
JP6119752B2 (ja) フェライト仮焼体、フェライト焼結磁石の製造方法及びフェライト焼結磁石
EP2620955A1 (en) Ferromagnetic particle powder, method for producing same, anisotropic magnet, and bonded magnet
US20160167978A1 (en) A permanent magnetic material
CN102260072A (zh) 一种以熔盐为熔剂和反应介质合成高性能钡铁氧体的方法
JP6480715B2 (ja) 鉄系酸化物磁性粒子粉の前駆体およびそれを用いた鉄系酸化物磁性粒子粉の製造方法
Kim et al. Effects of calcination conditions on magnetic properties in strontium ferrite synthesized by the molten salt method
Zhou et al. Improvement of the coercivity of cobalt ferrites induced by substitution of Sr 2+ ions for Co 2+ ions
Huang et al. Effect of Zn 2+ substitution on the structure and magnetic properties of Co 0.5 Cu 0.5 Fe 2 O 4 synthesized by solvothermal method
JP2008091873A (ja) 希土類−鉄−窒素系磁性粉末及びその製造方法
Tugova et al. Nanocrystalline perovskite-like oxides formation in Ln 2O 3-Fe 2O 3-h 2O (Ln= La, Gd) systems
JP3713758B2 (ja) 鉄含有複合酸化物粉末の製造方法
JP2017201672A (ja) 磁性粉末の製造方法
JP6070454B2 (ja) フェライト化合物
Nguyen et al. Synthesis and the study of magnetic characteristics of nano La 1-xSr XFeO 3 by co-precipitation method
Dhak et al. Hydrothermal synthesis, structural analysis and room-temperature ferromagnetism of Y2O3: Co2+ nanorods
JP6946873B2 (ja) マグネトプランバイト型フェライトの製造方法
WO2014084059A1 (ja) フェライト化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200622

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210330

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210830

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6946873

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150