JP6946873B2 - マグネトプランバイト型フェライトの製造方法 - Google Patents
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[調合工程]
調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末と、水酸化ストロンチウムの水溶液と、を混ぜて、混合液を得た。調合工程では、[Fe]/[Sr]を2に調整した。[Fe]は、混合液に含まれる鉄のモル数(換言すれば、β‐FeOOHのモル数)である。[Sr]は、混合液に含まれるストロンチウムのモル数(換言すれば、Sr(OH)2のモル数)である。混合液はアルカリ性の水酸化ストロンチウムを含むため、pHメーターで測定された混合液のpHは11であった。
水熱合成工程では、混合液をオートクレーブに容れて、オートクレーブを密閉した。下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。混合液の加熱の開始から混合液の温度が反応温度に達するまでの時間(昇温時間)は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。以下では、混合液の温度が反応温度に保持される時間を、保持時間と表記する。混合液が反応温度に保持されている間のオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される値であった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例2の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例3の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例4の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。なお、実施例4では昇温速度を遅くするため、比熱の大きな炉を使用した。この時の昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を20分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例5の水熱合成工程では、炉内に設置したオートクレーブ内の混合液を4.2℃/分の昇温速度で加熱して、混合液の温度を表1に示される反応温度である375℃まで上げた。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を30分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間は、下記表1に示される通りであった。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例6の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例7の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
比較例1の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
比較例2の調合工程では、水酸化ストロンチウムの粉末の代わりに、塩化ストロンチウムの粉末を用いた。比較例2の調合工程では、塩化ストロンチウムの粉末に対して0.1規定のNaOH水溶液を少しずつ滴下することにより、pHが6である混合液を調製した。
比較例3の調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末の代わりに、α‐オキシ水酸化鉄の粉末を用いた。α‐オキシ水酸化鉄の平均粒径は3μmであった。
比較例4の調合工程で用いられたα‐オキシ水酸化鉄の平均粒径は100nmであった。
比較例5の調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末の代わりに、酸化第二鉄(α‐Fe2O3)の粉末を用いた。
比較例6の調合工程では、β‐オキシ水酸化鉄の粉末を用いなかった。比較例6の調合工程では、塩化鉄(FeCl2)溶液に1N水酸化ナトリウム溶液を当量加えて、これらを混合撹拌することにより、水酸化鉄(II)(Fe(OH)2)を含むスラリー(混合液)を作製した。
比較例7の水熱合成工程では、下記表1に示される反応温度に設定した炉内にオートクレーブを素早く設置した。昇温時間は、下記表1に示される通りであった。続いて、混合液の温度を3分間にわたって下記表1に示される反応温度に保持した。保持時間におけるオートクレーブ内の圧力は、下記表1に示される通りであった。その後、オートクレーブを炉から取り出し、水中に投入して急冷することで反応を停止させた。
実施例3の水熱合成工程で得られた粉末状の固形物のXRDパターンを測定した。入射X線としては、CuKa1線を用いた。実施例3の固形物のXRDパターンは、図1に示される。一方、入射X線としてCuKa1線を用いて測定されたSrFe12O19の単体(標準試料)の回折ピークのプロットは、図2に示される。入射X線としてCuKa1線を用いて測定されたα‐Fe2O3の単体(標準試料)の回折ピークのプロットも、図2に示される。
Y={I1/(I1+I2)}×100 (A)
実施例3の水熱合成工程で生成した粉末状の固形物(SrFe12O19を含む粉末)の画像を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した。実施例3の固形物の画像は、図3に示される。図3に示されるように、実施例3の粉末は、扁平な粒子から構成されていることが確認された。各粒子の粒径(長軸の長さ)は、およそ1μm程度であることも確認された。
実施例1〜7其々の水熱合成工程で生成した固形物の飽和磁化Ms及び保磁力Hcを振動試料型磁力計(VSM)によって個別に測定した。測定結果は、下記表1に示される通りであった。
Claims (3)
- カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を含み、pHが11以上14以下である混合液を得る調合工程と、
前記混合液を加圧下で加熱し、前記混合液の温度を200℃以上450℃未満に調整して、マグネトプランバイト型フェライトを合成する水熱合成工程と、
を備え、
前記水熱合成工程において、前記混合液に及ぼす圧力を0.9MPa超50MPa以下に調整する、
マグネトプランバイト型フェライトの製造方法。 - 前記水熱合成工程において、前記混合液の昇温速度を5℃/分以上に調整する、
請求項1に記載のマグネトプランバイト型フェライトの製造方法。 - カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、β‐オキシ水酸化鉄と、水と、を含み、pHが11以上14以下である混合液を得る調合工程と、
前記混合液を加圧下で加熱し、前記混合液の温度を200℃以上450℃未満に調整して、マグネトプランバイト型フェライトを合成する水熱合成工程と、
を備え、
前記水熱合成工程において、前記混合液の昇温速度を5℃/分以上に調整する、
マグネトプランバイト型フェライトの製造方法。
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