以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
[システム構成]
図1は、実施形態に係る受精卵の画像表示システムの構成を示す。図示のように、画像表示システム100は、大別して、1または複数の撮影装置50と、記憶装置55と、画像表示装置60とを備える。
撮影装置50は、インキュベータ9を有し、インキュベータ9に設けられた図示しないチャンバ(室)に載置された培養容器10内の受精卵の画像を撮影し、記憶する。各培養容器10内には複数の受精卵が載置されており、撮影装置50は受精卵を識別するための識別情報、例えば、受精卵が収容されているウェルの識別情報などと対応付けて撮影画像を記憶装置55に送信する。具体的には、撮影画像50は、予め培養容器10内の各ウェル位置に対応したXY座標を記録しており、そのXY座標情報から、各ウェルを識別してもよいし、撮影開始時などに、各ウェル位置に対応付けるXY座標を微調整して、個別にウェル位置として座標登録をしてもよい。
撮影装置50は、照明装置51と、カメラ52と、制御部53と、通信部54とを備える。照明装置51は、撮影のために培養容器10内の受精卵を上方から照明する。照明装置51は、点光源であっても面光源であっても、複数の点光源、面光源であってもよい。照明装置51による照明は、制御部53により制御される。
カメラ52は、培養容器10の下方に移動可能に配置され、照明装置51により照明された状態の受精卵を撮影する。カメラ52は図示しないアクチュエータなどにより移動する。アクチュエータによるカメラ52の移動、及び、カメラ52による撮影は、制御部53により制御される。カメラ52は、同じ培養容器10内の複数の受精卵を、異なる時刻で撮影する。また、インキュベータ9内に複数の培養容器10が載置されている場合、カメラ52は、制御部53によるアクチュエータの制御に基づき、それぞれの培養容器10内の各受精卵を撮影可能な位置に移動して撮影を行う。なお、同じ培養容器10内の複数の受精卵を撮影する場合、カメラ52が移動する代わりに培養容器10が移動する構造でもよい。
制御部53は、照明装置51による照明、カメラ52の移動及びカメラ52による撮影を制御する。また、制御部53は、カメラ52から撮影画像を取得した場合、通信部54を制御することで、撮影画像を記憶装置55に送信する。
記憶装置55は、図示しない制御部、記憶部、通信部などを有し、各撮影装置50から送信される撮影画像を受信し、受信した撮影画像を記憶する。この場合、例えば、記憶装置55は、撮影装置50に設けられたインキュベータ9ごとにフォルダを設け、撮影画像を対応するフォルダに対応付けて記憶する。なお、記憶装置55は、上述のフォルダに対してチャンバごとのサブフォルダをさらに設け、撮影画像をチャンバごとに分類して記憶してもよい。また、記憶装置55は、画像表示装置60から撮影画像の取得要求を受信した場合に、当該取得要求により指定された撮影画像を画像表示装置60へ送信する。
画像表示装置60は、PC(Personal Computer)などにより構成され、胚培養士などのユーザが指定した受精卵の撮影画像を所定の表示画面(「画像閲覧画面」とも呼ぶ。)に表示する。画像表示装置60は、主に、通信部61と、入力部62と、記憶部63と、表示部64と、制御部65とを備える。
通信部61は、制御部65の制御に基づき、記憶装置55から撮影画像を受信する。入力部62は、キーボード、マウス、回転操作が可能なホイールデバイス、タッチパネル、音声入力装置などであり、表示すべき撮影画像を指定する入力信号などを生成して制御部65へ供給する。記憶部63は、制御部65が実行するプログラム及びプログラムの実行に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部63は、画像閲覧画面の表示処理に必要なプログラムを記憶する。また、記憶部63は、入力部62により入力された前核数に関する情報を記憶する。表示部64は、制御部65の制御に基づき、画像閲覧画面を表示する。制御部65は、画像表示装置60の全体の制御を行う。制御部65は、本発明の「取得部」、「表示制御部」の一例である。また、制御部65は、本発明のプログラムを実行する「コンピュータ」の一例である。
[撮影画像]
図2は、培養容器10及び受精卵の撮影画像の例を示す。培養容器10は円形の容器であり、中央部に収容部11が形成されている。収容部11内には、複数(図2の例では5×5=25個)のウェル12が形成されている。ウェル12は受精卵を収容するための窪みであり、1つのウェル12に1つの受精卵が収容される。図2(A)に示すように、収容部11は培養液13で満たされている。
図2(B)には、1つのウェル12の部分の撮影画像20が示されている。ウェル12内に受精卵が収容されている場合、撮影画像20は、ウェル12と、ウェル12内にある受精卵30とを含む。撮影装置50は、同一の受精卵(即ち、同一のウェル12)についての撮影画像を所定時間間隔で複数生成し、記憶する。なお、撮影装置50は、ウェル12毎に画像を撮影するものとする。
図3は、受精卵の撮影方法を説明する図である。図3(A)は、1つの培養容器10内の収容部11を上方から見た図である。収容部11には、横方向(X方向)と縦方向(Y方向)に5個ずつ、合計25個のウェル12が形成されている。以下、X方向の位置を「1」〜「5」で示し、Y方向の位置を「A」〜「E」で示すことにすると、図3(A)の左上のウェル12は、位置「A1」のウェル(以下、「ウェルA1」とも記す。)となる。図3(A)の例では、ウェルA1〜C3までの13個のウェル12に受精卵30が収容されている。なお、培養容器10に形成されるウェル12の配置は、図3(A)に示す配置に限らず、異なる数のウェル12が培養容器10に所定の配置により形成されていてもよい。
受精卵の撮影時には、例えばチャンバごとに設けられた照明装置51が予め決められた固定位置に配置され、カメラ52が移動して各ウェル12内の受精卵を撮影する。例えば、カメラ52は、まずウェルA1を撮影し、次にX方向に移動してウェルA2を撮影し、さらにX方向に移動してウェルA3を撮影し、という具合に各ウェル12を撮影する。X方向に移動してウェルA1〜A5の撮影が終わると、カメラ52はY方向に移動して、ウェルB1〜B5の撮影を行う。こうして、カメラ52はX方向及びY方向に移動しつつ、受精卵が収容されている全てのウェル12の撮影を行う。そして、カメラ52は、上述した移動を繰り返すことで、各ウェル12内の受精卵を所定時間間隔により繰り返し撮影する。
撮影装置50はカメラ52を培養容器10の上下方向(Z方向)にも移動することができる。撮影装置50は、カメラ52をZ方向に移動することにより、受精卵に対するカメラ52の焦点位置を調整し、1つのウェル12内の受精卵を異なる焦点位置で撮影することができる。図3(B)は、受精卵に対するカメラ52の焦点位置の例を示す。図3(B)において、位置「M」は受精卵の略中心を通る面内のカメラ52の焦点位置を示し、撮影画像としてはZ方向の位置Mで受精卵をスライスした画像が得られる。位置「H」は受精卵の上部よりを通る面内のカメラ52の焦点位置を示し、撮影画像としてはZ方向の位置Hで受精卵をスライスした画像が得られる。位置「L」は受精卵の下部よりを通る面内のカメラ52の焦点位置を示し、撮影画像としてはZ方向の位置Lで受精卵をスライスした画像が得られる。この例では、撮影装置50は、各ウェル12内の受精卵を「H」、「M」、「L」の3つの焦点位置(スライス面)で撮影した画像を生成する。
撮影装置50の制御部53は、カメラ52による撮影画像に対して、上記のようにX方向、Y方向、Z方向の位置情報に基づくファイル名を付加して記憶部54に記憶する。例えば、ある容器IDを有する培養容器10について、ウェルA1の受精卵を、Z方向のMの焦点位置で時刻t1に撮影した場合、制御部53はその画像に、
「容器ID−ウェル位置−焦点位置−撮影時刻」、
というファイル名、例えば、「容器ID−A1−M−t1」などのファイル名を付与して記憶部54に記憶する。これにより、記憶部54に記憶された多数の撮影画像をファイル名に基づいて識別することができる。
同様に、制御部53は、上述のファイル名に、撮影対象となった培養容器10上でのウェル12の配置に関する識別情報をさらに付与して記憶部54に記憶してもよい。例えば、制御部53は、ウェル12が25個配置されている培養容器10の受精卵を撮影した撮影画像のファイル名に、当該培養容器10内のウェル12の配列の識別情報(例えば「25」の文字)を、容器ID等と同様に付加するとよい。ウェル12の配列の識別情報は、後述する画像閲覧画面の表示処理において好適に用いられる。同様に、制御部53は、撮影対象となった培養容器10が載置されたチャンバを特定する情報を、撮影画像のファイル名に付与して記憶部54に記憶してもよい。チャンバ位置は、カメラ52のXY座標位置で判別することができるため、制御部53は、例えば、カメラ52のXY座標位置から特定されるチャンバの番号を撮影画像のファイル名に付与してもよい。
画像表示装置60は、記憶装置55とデータ通信を行い、上述の規則に基づき決定されたファイル名等を参照することで、後述する画像閲覧画面の表示に必要な撮影画像を取得し、画像閲覧画面の表示を行う。そして、画像表示装置60のユーザである胚培養士は、画像閲覧画面に表示させた受精卵の撮影画像に基づき、形態観察及び品質評価などを行う。そして、胚培養士は、上述の品質評価の結果に基づき、受精卵の処置(移植、凍結、培養中止など)を決定し、当該受精卵に対して決定した処理を実行する。本実施形態では、胚培養士は、品質評価の一例として、時系列の撮影画像から前核数の経時変化を特定し、画像閲覧画面において、特定した前核数の経時変化に関する入力を行う。
[画像閲覧画面の表示]
図4は、画像表示装置60が表示する画像閲覧画面の表示例である。図4に示すように、画像表示装置60は、画像閲覧画面上に、培養容器指定欄70と、患者情報表示欄71と、容器情報表示欄72と、一覧画像表示欄73と、個別画像表示欄74と、前核数情報表示欄75とを設けている。
培養容器指定欄70は、撮影画像を表示させる対象となる培養容器10が収容されたインキュベータを指定するための複数のインキュベータ指定ボタン78と、撮影画像を表示させる対象となる培養容器10が収容されたチャンバを指定するための複数のチャンバ指定ボタン79とを含む。
この例では、画像表示装置60は、培養容器指定欄70上に、No.1からNo.4までの識別番号が付された4つのインキュベータ指定ボタン78を表示すると共に、1番から9番までの識別番号が付された9つのチャンバ指定ボタン79を表示している。そして、画像表示装置60は、ユーザ入力により選択されたNo.1のインキュベータ指定ボタン78に対し、赤枠f1を付して強調表示する共に、ユーザ入力により選択された1番のチャンバ指定ボタン78に対し、赤枠f2を付して強調表示している。この場合、画像表示装置60は、後述する一覧画像表示欄73及び個別画像表示欄74に、No.1に対応するインキュベータの1番のチャンバで保管された培養容器10内の受精卵の撮影画像を表示する。
また、画像表示装置60は、各インキュベータ指定ボタン78を、対応するインキュベータの状態によって色分け表示している。ここでは、画像表示装置60は、カメラ52により培養容器10の撮影中であるインキュベータに対応するNo.1のインキュベータ指定ボタン78を緑色に着色して表示し、撮影が終了して培養容器10が既に取り出された状態のインキュベータに対応するNo.2のインキュベータ指定ボタン78を青色に着色して表示している。なお、画像表示装置60は、これらの緑と青の色分けを、例えば、各インキュベータに対応するフォルダ内の最も新しい撮影画像の撮影日時と現在日時とを比較することで判定してもよく、撮影終了の有無を示すフラグの存否等に基づき判定してもよい。また、画像表示装置60は、存在を確認できないインキュベータに対応するNo.3及びNo.4のインキュベータ指定ボタン78を、背景色と同一であって選択できない非アクティブ状態にして表示する。例えば、画像表示装置60は、インキュベータ指定ボタン78に対応するインキュベータのフォルダが記憶装置55において確認できない場合、当該インキュベータの存在を確認できないと判定する。
また、画像表示装置60は、各チャンバ指定ボタン79に、対応するチャンバの情報を表示させている。ここでは、画像表示装置60は、チャンバ指定ボタン79に、対応するチャンバの番号に加えて、当該チャンバに収容された培養容器10に対応する患者情報(ここでは、氏名及び患者ID)を表示させている。なお、チャンバ指定ボタン79に表示する患者情報は、氏名、患者IDの他、治療開始日などの患者のステータスを含んでもよい。この場合、画像表示装置60は、例えば、赤枠f1が付されたインキュベータ指定ボタン78に対応するインキュベータの番号及び各チャンバ指定ボタン79に対応するチャンバの番号に基づき、記憶装置55又は記憶部63等に記憶された患者情報のデータベースを参照することで、各チャンバ指定ボタン79の表示に必要な患者情報を取得する。
患者情報表示欄71には、画像表示装置60は、培養容器指定欄70において指定されたチャンバに収容された培養容器10に対応する患者の氏名及び患者ID(PID)を表示する。容器情報表示欄72には、画像表示装置60は、培養容器指定欄70において指定されたチャンバに収容された培養容器10の容器IDを表示する。一般的に、同一の培養容器10には同一の患者の受精卵が収容される。なお、容器IDは、培養容器10に貼り付けたバーコードシールやICタグにより付与することができる。
一覧画像表示欄73には、画像表示装置60は、培養容器指定欄70において指定されたチャンバに収容された培養容器10の各ウェル12の撮影画像を各ウェル12の配置に従い並べて表示した画像(「一覧画像Image List(以下「IL」)とも呼ぶ。)を表示する。一覧画像ILは、同一の培養容器10の各ウェル12内の受精卵の撮影画像から構成され、これらの撮影画像の配置は、培養容器10内での対応するウェル12の配置と等しい。ここで、画像表示装置60は、例えば、表示対象となる培養容器10の各ウェル12に対応する時系列の撮影画像群のうち、記憶装置55に記憶されている最新の(即ち最も撮影時刻が遅い)撮影画像をウェル12ごとに記憶装置55から取得することで、一覧画像ILを生成する。この場合、画像表示装置60は、一定時間間隔により、一覧画像ILを更新するとよい。他の例では、画像表示装置60は、表示対象となる培養容器10の各ウェル12に対応する時系列の撮影画像群のうち、記憶装置55に記憶されている最も撮影時刻が早い初期の撮影画像をウェル12ごとに記憶装置55から取得することで、一覧画像ILを生成してもよい。
また、画像表示装置60は、各撮影画像に対応するウェル12のX方向の位置(1〜5)及びY方向の位置(A〜E)を、一覧画像ILにおいて明示している。これにより、観察者である胚培養士は、一覧画像IL内の各撮影画像に対応するウェル12の識別番号を容易に把握することができる。
さらに、一覧画像IL内の各撮影画像は、それぞれ選択可能であり、画像表示装置60は、ユーザ入力により選択された一覧画像ILの撮影画像を、個別画像表示欄74において個別に表示する。なお、上述のユーザ入力による選択は、マウスによるクリック操作、マウスオーバー、表示部64にタッチパネルが積層されている場合のタッチ操作などの任意の操作に基づく選択であってもよい。図4の例では、ウェルA1に対応する一覧画像IL内の撮影画像がユーザ入力により選択されていることから、画像表示装置60は、当該撮影画像に対して赤枠f3を付して強調表示する。この場合、画像表示装置60は、赤枠f3により強調表示されたウェルA1の撮影画像を個別画像表示欄74上に表示させる。本実施形態では、画像表示装置60は、個別画像表示欄74上に、対象となるウェル12の受精卵の撮影画像を撮影時刻に従い時系列に切り替えた動画を表示する。ここで、個別画像表示欄74に表示される撮影画像の表示サイズは、胚培養士が細胞の品質評価を実行できるように、一覧画像ILに含まれる撮影画像の表示サイズよりも十分に大きい。
前核数情報表示欄75には、画像表示装置60は、個別画像表示欄74において表示対象となっている受精卵の撮影期間中における前核数の経時変化を示した情報(「前核数情報」とも呼ぶ。)を表示させる。ここでは、画像表示装置60は、前核数情報として、前核数を縦軸とし、撮影時刻を横軸としたグラフを前核数情報表示欄75に表示させている。なお、グラフに付加された三角のインジケータは、個別画像表示欄74に表示された撮影画像の撮影時刻に対応する位置を示している。画像表示装置60は、前核数情報表示欄75のグラフが示す前核数情報を、後述する前核数指定ボタン87への入力に基づき生成する。画像表示装置60は、前核数情報表示欄75に前核数情報を示すグラフを表示させることで、前核数指定ボタン87への入力に基づく入力結果を好適にユーザに確認させることができる。
また、画像表示装置60は、上述した各欄70〜75以外の画像閲覧画面の領域に、個別画像表示欄74上で表示させる受精卵の撮影画像の撮影時刻を示す時間制御バー80と、受精卵をスライスする位置(Z方向の位置)を指定するスライス制御バー81と、表示倍率制御バー82と、エクスポートボタン83と、輝度制御バー84と、コントラスト制御バー85と、再生制御ボタン86と、前核数指定ボタン87とを設けている。時間制御バー80、スライス制御バー81、表示倍率制御バー82、輝度制御バー84及びコントラスト制御バー85の各カーソル位置は、マウス操作などのユーザ入力により調整自在となっている。
画像表示装置60は、時間制御バー80のカーソル位置を、個別画像表示欄74での動画の再生時において、表示対象となる撮影時刻の遷移に従い右へ移動させる。また、画像表示装置60は、時間制御バー80のカーソル位置を変更するユーザ入力を受け付けた場合、変更後のカーソル位置に対応する撮影時刻の撮影画像を個別画像表示欄74に表示する。時間制御バー80は、本発明における「第2のインターフェース」の一例である。スライス制御バー81は、カーソルの移動により、個別画像表示欄74上で表示させる受精卵の撮影画像のZ位置を段階的に指定可能となっている。例えば図3(B)の例に基づき位置「H」、「M」、「L」の各Z位置で撮影が行われた受精卵の撮影画像を対象とする場合、スライス制御バー81において、位置「H」、「M」、「L」のいずれかを指定することが可能となっている。画像表示装置60は、スライス制御バー81により指定されたZ位置で撮影された受精卵の撮影画像を、一覧画像表示欄73及び個別画像表示欄74において表示する。
表示倍率制御バー82、輝度制御バー84、コントラスト制御バー85は、それぞれ、個別画像表示欄74上に表示させる撮影画像の倍率、輝度、コントラストをカーソル移動により指定可能となっている。画像表示装置60は、表示倍率制御バー82、輝度制御バー84、コントラスト制御バー85のカーソル位置に対応する表示倍率、輝度、コントラストになるように、一覧画像表示欄73及び個別画像表示欄74に表示される撮影画像を調整する。また、エクスポートボタン83は、個別画像表示欄74において表示対象となっている撮影画像をエクスポートする際の出力形式(動画形式又は静止画像形式)を指定するボタンである。画像表示装置60は、ユーザ入力によりいずれかのエクスポートボタン83が選択された場合、例えば、選択されたエクスポートボタン83に対応する出力形式により撮影画像を記憶部63の所定のフォルダ内に出力する。再生制御ボタン86は、個別画像表示欄74上で表示させる受精卵の撮影画像を撮影開始時刻の撮影画像へ切り替えるボタン、動画の再生を開始するボタン、個別画像表示欄74上で表示させる受精卵の撮影画像を撮影終了時刻の撮影画像へ切り替えるボタンから構成されている。画像表示装置60は、ユーザ入力によりいずれかの再生制御ボタン86が選択された場合、選択された再生制御ボタン86に対応する機能を実行するように、個別画像表示欄74に表示する撮影画像の表示制御を行う。
前核数指定ボタン87は、個別画像表示欄74に表示された撮影画像に表示された受精卵の前核数を指定するボタンである。本実施形態では、対象の受精卵に対する各撮影画像に対してそれぞれ前核数指定ボタン87による入力を行う煩雑さを回避するため、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87により、期間ごとに前核数を指定する入力を受け付ける。そして、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87への入力に基づき、撮影期間中での前核数の経時変化の情報である前核数情報を生成し、前核数情報表示欄75の表示処理等において参照できるように記憶部63に記憶する。前核数指定ボタン87の入力による期間ごとの前核数の指定方法については、[前核数情報の生成]のセクションにおいて後述する。前核数指定ボタン87は、本発明における「インターフェース」の一例である。
また、図4の例では、個別画像表示欄74に表示された画像の四隅にウェル及び受精卵と重ならないスペースが形成されている。そして、画像表示装置60は、上述のスペースに、表示された撮影画像及び当該撮影画像に表示された受精卵に関連する各種情報を表示させている。具体的には、画像表示装置60は、個別画像表示欄74に表示された撮影画像の左上のスペースに、表示対象の受精卵に対応する患者の名前、PID、及び当該受精卵が収容されたウェル12の識別番号を表示している。また、画像表示装置60は、培養容器指定欄70に表示された撮影画像の左下のスペースに、当該撮影画像の表示倍率を表示している。
また、画像表示装置60は、個別画像表示欄74に表示された撮影画像の右上のスペースに、前核数指定ボタン87への入力に基づき生成した前核数情報に基づき、当該撮影画像に対する前核数(ここでは0個)を表示している。さらに、画像表示装置60は、個別画像表示欄74に表示された撮影画像の右下のスペースに、撮影日時の情報と、Z位置インジケータ90とを表示させている。ここでは、画像表示装置60は、撮影日時の情報として、撮影年月日(2017年9月8日)を表示している。また、画像表示装置60は、Z位置インジケータ90として、各Z位置(ここでは7段階の各Z位置)にそれぞれ対応するバーを並べ、かつ、スライス制御バー81において指定されたZ位置に対応するバーを強調表示している。
このように、画像表示装置60は、個別画像表示欄74に表示する撮影画像の左下及び右下スペースに当該撮影画像に関する情報を重ねて表示すると共に、左上及び右上スペースに表示対象の受精卵に関する情報を重ねて表示している。これにより、例えば、エクスポートボタン83などで撮影画像又はその動画像を記憶部63等に出力した後、ユーザがその画像を閲覧した場合に当該画像に対してなされた画像処理の内容や当該画像により表示する受精卵を好適に識別することができ、画像の管理が簡易となる。
図5は、時間制御バー80の操作に基づき個別画像表示欄74に表示させる受精卵の撮影画像の撮影時刻を変更した場合の画像閲覧画面の表示例である。この例では、画像表示装置60は、時間制御バー80のカーソル位置が示す撮影時刻に対応する撮影画像を個別画像表示欄74に表示する。また、画像表示装置60は、予め前核数指定ボタン87の入力により生成した前核数情報に基づき、個別画像表示欄74に表示させる撮影画像に対する前核数が2であることを認識し、当該撮影画像の右上のスペースに「PN=2」と表示している。このように、画像表示装置60は、個別画像表示欄74に表示させる撮影画像上に当該撮影画像に対応する前核数を明示することで、前核数指定ボタン87への入力結果である前核数を好適にユーザに確認させることができる。また、画像表示装置60は、個別画像表示欄74に時系列の撮影画像を動画として表示させる場合においても、表示中の撮影画像に対応する前核数を認識し、当該前核数を個別画像表示欄74に表示させる撮影画像に重ねて表示する。さらに、画像表示装置60は、前核数情報表示欄75に表示するグラフに付加された三角のインジケータについても同様に、個別画像表示欄74に表示中の撮影画像に対応する前核数を明示するように、前核数情報表示欄75に表示中の撮影画像の撮影時刻に応じた位置に移動させる。これにより、画像表示装置60は、個別画像表示欄74での動画の再生時に、個別画像表示欄74に表示中の撮影画像に対応する前核数を好適にユーザに把握させることができる。なお、個別画像表示欄74の撮影画像の右上のスペースに表示される情報は、前核数情報表示欄75に表示されるグラフと同様、本発明における「前核数情報」の一例である。
[前核数情報の生成]
次に、前核数指定ボタン87への入力に基づく前核数情報の生成処理について説明する。画像表示装置60は、前核数指定ボタン87により指定された前核数と、当該前核数の入力があったときに個別画像表示欄74に表示されている撮影画像の撮影時刻とに基づき、期間ごとの前核数の指定を認識する。この処理の具体例(第1の例〜第4の例)について、図6を参照して以下に説明する。
図6(A)は、前核数情報の生成処理の第1の例の概要を表す図である。図6(A)は、図4及び図5の前核数情報表示欄75に示される前核数情報を表すグラフに対し、第1の例に基づく前核数指定ボタン87への入力内容及び入力タイミングに関する情報を示している。ここで、時刻「t1」は、「1PN」の前核数指定ボタン87が選択されたときに個別画像表示欄74に表示されていた撮影画像に対応する撮影時刻を示し、時刻「t2」は、「2PN」の前核数指定ボタン87が選択されたときに個別画像表示欄74に表示されていた撮影画像に対応する撮影時刻を示し、時刻「t3」は、「0PN」の前核数指定ボタン87が選択されたときに個別画像表示欄74に表示されていた撮影画像に対応する撮影時刻を示す。
第1の例では、ユーザは、前核数が同一となる期間における最初の撮影時刻のタイミングで当該期間における前核数の入力を行う。従って、第1の例では、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87による入力があったときに個別画像表示欄74に表示されていた撮影画像に対応する撮影時刻を、当該入力により指定された前核数へ変化した撮影時刻とみなす。これにより、画像表示装置60は、撮影期間中において前核数が変化する撮影時刻を認識し、撮影期間中における前核数の経時変化を認識する。
具体的には、図6(A)の例では、画像表示装置60は、撮影時刻t1に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「1PN」が入力されたことを検知し、時刻t1を前核数が0から1に変化した時点であると認識する。なお、一般に、撮影期間の初期の前核数は0であるため、図6(A)の例では、画像表示装置60は、撮影開始時に対応する前核数指定ボタン87による前核数の入力がない場合であっても、撮影開始時の前核数は0であるとみなし、撮影開始時から時刻t1までの期間の前核数は0であると認識する。
同様に、画像表示装置60は、時刻t2に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「2PN」が入力されたことを検知し、撮影時刻t2を前核数が1から2に変化した時点であると認識する。また、画像表示装置60は、撮影時刻t3に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「0PN」が入力されたことを検知し、撮影時刻t3を前核数が2から0に変化した時点であると認識する。これにより、画像表示装置60は、時刻t1から時刻t2までの期間の前核数は1であり、時刻t2から時刻t3までの期間の前核数は2であり、時刻t3から撮影終了時までの前核数は0であることを認識する。
このように、第1の例によれば、画像表示装置60は、撮影期間中における前核数の指定を、最小限の前核数指定ボタン87による入力操作に基づき認識することができる。なお、ユーザである胚培養士は、個別画像表示欄74に表示された撮影画像に基づき受精卵の状態の変化を観察し、適宜時間制御バー80のカーソル位置を操作することで、前核数に変化が生じた撮影時刻に対応する撮影画像を個別画像表示欄74に表示させる。これにより、ユーザは、前核数指定ボタン87による入力タイミングを適切に調整することが可能となる。
図6(B)は、前核数情報の生成処理の第2の例の概要を表す図である。図6(B)は、図4及び図5の前核数情報表示欄75に示される前核数情報を表すグラフに対し、第2の例に基づく前核数指定ボタン87への入力内容及び入力タイミングに関する情報を示している。
第2の例では、ユーザは、前核数が同一となる期間における最後の撮影時刻のタイミングで当該期間における前核数の入力を行う。従って、第2の例では、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87による入力があったときに個別画像表示欄74に表示されていた撮影画像に対応する撮影時刻を、当該入力により指定された前核数から異なる前核数へ変化した撮影時刻とみなす。
具体的には、図6(B)の例では、画像表示装置60は、時刻t1に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「0PN」が入力されたことを検知し、時刻t1を前核数が0から他の前核数に変化した時点であると認識する。よって、この場合、画像表示装置60は、撮影開始時刻から時刻t1までの期間では、前核数が0であると認識する。
同様に、画像表示装置60は、撮影時刻t2に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「1PN」が入力されたことを検知し、時刻t2を前核数が1から他の前核数に変化した時点であると認識する。よって、この場合、画像表示装置60は、直前の前核数指定ボタン87による入力タイミングである時刻t1から時刻t2までの期間では、前核数が1であると認識する。さらに、画像表示装置60は、時刻t3に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「2PN」が入力されたことを検知し、時刻t3を前核数が2から他の前核数に変化した時点であると認識する。よって、この場合、画像表示装置60は、時刻t2から時刻t3までの期間では、前核数が2であると認識する。さらに、画像表示装置60は、撮影期間の終了時刻に相当する時刻「t4」に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「0PN」が入力されたことを検知し、時刻t3から時刻t4までの期間では、前核数が0であると認識する。
なお、一般的に、前核数は時間経過と共に見えなくなるのが通常であるため、画像表示装置60は、時刻t4での前核数指定ボタン87の入力がない場合であっても、最後に前核数指定ボタン87による前核数の指定があった時刻t3から撮影終了時刻までの期間では、前核数が0であるとみなしてもよい。
このように、第2の例によっても、画像表示装置60は、撮影期間中における前核数の指定を、最小限の前核数指定ボタン87による入力操作に基づき認識することができる。
図6(C)は、前核数情報の生成処理の第3の例の概要を表す図である。第3の例は、前核数が識別できない期間が存在する場合に、前核数が識別可能な期間のみの前核数の指定を許容する例である。ここで、図6(C)は、前核数が識別できない期間を破線により表した前核数情報のグラフを、第3の例に基づく前核数指定ボタン87への入力内容及び入力タイミングに関する情報と共に示している。
第3の例では、ユーザは、前核数が同一となる期間における最初と最後の撮影時刻のそれぞれのタイミングで当該期間における前核数の入力を行う。従って、第3の例では、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87による入力があったときに個別画像表示欄74に表示されていた撮影画像に対応する撮影時刻を、当該入力により指定された前核数へ変化した撮影時刻又は指定された前核数から異なる前核数へ変化した撮影時刻のいずれかであると認識する。
図6(C)の例では、画像表示装置60は、時刻「t11」に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているタイミングで前核数指定ボタン87により「0PN」が入力されたことを検知し、時刻t11を前核数が0から他の前核数に変化した時点であると認識する。なお、撮影期間の初期の前核数は一般的に0であるため、図6(C)の例では、画像表示装置60は、撮影開始時の前核数は0であるとみなし、撮影開始時から時刻t11までの期間では、前核数が0であると認識する。また、画像表示装置60は、時刻「t12」及び時刻「t13」に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているそれぞれのタイミングで、前核数指定ボタン87により「1PN」が入力されたことを検知したことから、時刻t12から時刻t13までの期間では、前核数が1であると認識する。
このように、前核数指定ボタン87の入力タイミング(撮影開始時刻に0PNの入力があったとみなした場合も含む)となる撮影時刻における入力内容とその次の撮影時刻における前核数指定ボタン87の入力内容とが同一の場合、画像表示装置60は、これらの撮影時刻間の期間を、同一であった入力内容が示す前核数が指定された期間であるとみなす。また、画像表示装置60は、時刻t11から時刻t12までの期間については、前核数が指定されていないことから、前核数が識別できない期間とみなす。そして、図6(C)の例では、画像表示装置60は、前核数が識別できない期間に対応するグラフの線種を破線とし、前後の期間に対応する実線のグラフと繋いで表示している。
同様に、画像表示装置60は、時刻「t14」及び時刻「t15」に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているそれぞれのタイミングで、前核数指定ボタン87により「2PN」が入力されたことを検知したことから、時刻t14から時刻t15までの期間では、前核数が2であると認識する。また、画像表示装置60は、時刻t13から時刻t14までの期間については、前核数が指定されていないことから、前核数が識別できない期間とみなす。さらに、画像表示装置60は、時刻「t16」及び撮影終了時刻である時刻「t17」に対応する撮影画像が個別画像表示欄74に表示されているそれぞれのタイミングで、前核数指定ボタン87により「0PN」が入力されたことを検知したことから、時刻t16から時刻t17までの期間では、前核数が0であると認識する。また、画像表示装置60は、時刻t15から時刻t16までの期間については、前核数が指定されていないことから、前核数が識別できない期間とみなす。なお、前核数は時間経過と共に見えなくなるのが通常であるため、画像表示装置60は、第2の例と同様、撮影終了時刻である時刻t17での前核数指定ボタン87の入力がない場合であっても、最後に前核数指定ボタン87による前核数の指定があった時刻t16から撮影終了時刻までの期間では、前核数が0であるとみなしてもよい。
図6(D)は、前核数情報の生成処理の第4の例の概要を表す図である。第4の例は、第1の例と第3の例とを組み合わせた例に相当する。ここで、図6(D)は、前核数が識別できない期間を破線により表した前核数情報を表すグラフを、第4の例に基づく前核数指定ボタン87への入力内容及び入力タイミングに関する情報と共に示している。
第4の例では、画像表示装置60は、第1の例に基づき全ての撮影期間における前核数を認識後、さらに前核数指定ボタン87による入力に基づき、前核数が識別できない期間を設定する。図6(D)の例では、画像表示装置60は、図6(A)の例と同様に時刻t1〜t3に対応する前核数指定ボタン87の入力を受け付けた後、時刻t2から時刻t3の間の時刻「t2α」の撮影画像を個別画像表示欄74に表示中のタイミングで前核数指定ボタン87により「2PN」の入力を受け付けている。この場合、画像表示装置60は、時刻t2αでの前核数指定ボタン87の入力内容(2PN)がその直前の時刻t2に対応する前核数指定ボタン87の入力内容(2PN)と同一であることから、時刻t2から時刻t2αまでの期間の前核数を2に定める。一方、画像表示装置60は、時刻t2αから時刻t3までの期間の前核数については、前核数を識別できない期間とみなし、破線により表示させる。このように、第1の例と第3の例とを組み合わせた第4の例によっても、前核数を識別できない期間を前核数指定ボタン87の入力に基づき好適に定めることができる。
なお、第4の例において、時刻t1〜t3に対応する前核数指定ボタン87の入力を受け付けた後、時刻t2αに対応する前核数指定ボタン87の入力を受け付けた場合について説明したが、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87の入力の順序によらずに前核数情報を生成してもよい。この場合、例えば、画像表示装置60は、前核数指定ボタン87の入力があった撮影時刻のうち、同一の入力内容が連続する撮影時刻(図6(D)では時刻t2と時刻t2α)が存在する場合に、これらの撮影時刻により区切られた期間からその直後の撮影時刻(図6(D)では時刻t3)までの期間を、前核数を識別できない期間として認識し、他の期間については第1の例に基づき同一の前核数となる期間を認識する。
[変形例]
次に、上記の画像表示システムの変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実施することができる。
(変形例1)
前核数情報表示欄75に表示させる前核数情報の表示態様は、図4及び図5に示すグラフ表示に限定されず、前核数の時系列での変化を示す種々の態様であってもよい。
図7(A)は、前核数情報表示欄75に表示させる前核数情報の他の表示例を示す。図7(A)の例では、画像表示装置60は、受精卵の撮影期間における前核数を文字及び色により識別可能に表示している。ここでは、画像表示装置60は、高さが一定の矩形領域により同一の前核数となる撮影期間を区切り、各矩形領域に対し、前核数の情報を付加すると共に、前核数に応じた着色を行っている。また、図7(B)は、前核数を識別できない期間を含む場合の表示例を示す。図7(B)では、一例として、画像表示装置60は、前核数を識別できない期間をスペースにより表している。このように、画像表示装置60は、図4及び図5に示すグラフ表示以外の表示態様によっても、前核数情報を好適に表示することができる。
(変形例2)
上記の画像表示システムでは、培養容器10に複数のウェル12が形成され、受精卵は各ウェル12に収容されているが、培養容器10にウェルが形成されていることは必須ではない。即ち、ウェルが形成されていない容器を使用する場合でも、同一の容器内に少なくとも1つの受精卵が収容され、当該受精卵の撮影画像が撮影される場合には本発明を適用することが可能である。また、受精卵は、培養容器10などの容器に収容された状態で撮影される場合に限らず、例えばプレートなどの種々の物の上に置かれた状態で撮影されてもよい。
(変形例3)
上記の実施例では、1つのウェルに1つの受精卵が収容されているが、その代わりに、1つのウェルに複数(例えば2つ)の受精卵を収容してもよい。また、ウェルが形成されていない培養容器10を使用する場合でも、複数の受精卵を1つのグループとして容器に収容してもよい。なお、1つのウェルに1つの受精卵を収容する方が、個別管理の観点ではより好ましい。
(変形例4)
図1に示される画像表示システム100の構成は一例であり、本発明を適用可能な構成は、図1に示す構成に限られない。
例えば、画像表示装置60は、記憶装置55又は図示しないサーバ装置が生成した表示情報に基づき画像閲覧画面を表示してもよい。この場合、記憶装置55又はサーバ装置は、実施形態で画像表示装置60が行った画像閲覧画面の表示処理を実行することで、画像閲覧画面の表示情報を生成し、生成した表示情報を画像表示装置60に送信する。そして、画像表示装置60は、受信した表示情報に基づき、前核数情報表示欄75及び前核数指定ボタン87等を含む画像閲覧画面を表示する。また、画像表示装置60は、画像閲覧画面上でのユーザ入力に対応する入力情報を、上述の記憶装置55又はサーバ装置へ送信することで、当該入力情報が示す入力内容を反映した画像閲覧画面の表示情報を受信する。ここで、上述の記憶装置55又はサーバ装置は、前核数指定ボタン87に関する入力情報を受信した場合には、[前核数情報の生成]のセクションで説明した前核数情報の生成処理を行い、生成した前核数情報に基づき前核数情報表示欄75等に対する表示情報を生成する。
この態様によっても、画像表示装置60は、前核数情報表示欄75の表示を含む画像閲覧画面を好適に表示することができる。なお、この態様では、上述の記憶装置55又はサーバ装置は、本発明における「画像表示装置」として機能し、画像表示装置60は、本発明における「表示装置」として機能する。また、記憶装置55又はサーバ装置のCPUなどは、本発明におけるプログラムを実行する「コンピュータ」として機能する。
他の例では、記憶装置55に記憶される撮影画像は、撮影装置50又は画像表示装置60のいずれかの記憶部に記憶されていてもよい。この場合であっても、画像表示装置60は、撮影装置50又は記憶部63から撮影画像を取得することで、好適に画像閲覧画面を表示することができる。
(変形例5)
上記の実施形態では、撮影装置50は、撮影画像に対して患者ID、ウェル位置、カメラの焦点位置、撮影時刻などを示す属性情報をファイル名などに付加して記憶装置55に送信しているが、その際に、CRCコード、チェックサムデータなどを付加してもよい。これにより、撮影後に撮影画像のデータが改変されたり、誤ってファイル名が変更されたりして撮影画像の取り違えなどが生じることを防止することが可能となる。
(変形例6)
同一の培養容器10から生成される同一患者の受精卵画像グループを識別する方法として、画像の撮影時刻から判定してもよい。
一般に、ウェル12間のカメラ52の移動は短時間であるが、培養容器10間のカメラ52の移動は長時間を要する。言い換えると、培養容器I内のウェル12を観察する際の移動距離は小さいため、撮影間隔が短いが、培養容器Iから培養容器IIに移動するときには移動距離が長くなり、撮影間隔が長くなる。よって、画像表示装置60は、撮影時刻の間隔が所定時間未満となる撮影画像のグループを、同一の培養容器10から生成される同一患者の受精卵画像グループとみなすとよい。この態様によっても、画像表示装置60は、同一の培養容器10から生成される同一患者の受精卵画像グループを好適に識別することができる。