JP6945626B2 - 空の粒子の等電点による排除に基づく腫瘍崩壊性ラットパルボウイルスh−1の製造および精製のための大規模に実現可能な方法 - Google Patents

空の粒子の等電点による排除に基づく腫瘍崩壊性ラットパルボウイルスh−1の製造および精製のための大規模に実現可能な方法 Download PDF

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Description

本発明は、(感染性)パルボウイルスH-1粒子の製造および精製のための、再現可能で、有効かつ大規模に実現可能な方法を提供する。該精製方法は、完全ゲノムを含む粒子からの空の粒子の分離を可能にし、臨床適用のための大規模H-1PV製造に適応性である。
H-1PVは、パルボウイルス科のパルボウイルス亜科サブファミリー中のパルボウイルス属に属する(Cotmore et al., 2014)。H-1PVは、直径25nmのエンベロープを有さない(non-enveloped)正二十面体カプシドで構成され、非構造タンパク質-特にNS1(83kDa)およびNS2(25kDa)-ならびにカプシドタンパク質VP1(81kDa)およびVP2(65kDa)をコードする約5kbの長さの一本鎖DNAゲノムを含む。別のカプシドタンパク質VP3(63kDa)は、VP2の翻訳後切断により生じる(Faisst et al., 1995; Halder et al., 2012; Hanson and Rhode, 1991; Toolan et al., 1960)。プロトパルボウイルスはS期依存的な様式で複製し、許容性細胞の感染後に溶解サイクルを受ける(Burnett et al., 2006)。H-1PVの天然の宿主はラットであるが、このウイルスは、いくつかのヒト腫瘍細胞などの形質転換された細胞中で優先的に複製するので、最近非常に興味深くなっている。したがって、該ウイルスは、種々の細胞培養および動物モデルにおいて説明されている腫瘍崩壊性および腫瘍抑制性の特徴を有する(Nuesch et al., 2012; Rommelaere et al., 2010)。異種移植片モデルにおいて、H-1PVは、子宮頸腫瘍(Faisst et al., 1998; Li et al., 2013)、膵臓腫瘍(Angelova et al., 2009b; Grekova et al., 2011)、乳癌(Dupressoir et al., 1989)、神経膠腫(Geletneky et al., 2010; Kiprianova et al., 2011)およびリンパ腫(Angelova et al., 2009a)などのいくつかのヒト腫瘍を抑制することが示されている。また、H-1PVは、癌幹細胞の排除において成功裡であることが示されている(EP 2 404 609 A1)。これらの概念の前臨床的な証拠に基づいて、H-1PVの最初の臨床試験(フェーズI/IIa)が再発性多形グリア芽腫を有する患者について2011年に着手された(Geletneky et al., 2012)。
H-1PVの治療能力を試験して最終的に活用するために、効率的で、簡便でかつ再現可能なウイルスの製造および精製方法を開発することが必要である。精製方法は、塩化セシウム(Halder et al., 2012; Paradiso, 1981)またはイオジキサノール(Wrzesinski et al., 2003; Zolotukhin et al., 1999)密度勾配遠心分離による小規模製造について公開されている。
腫瘍崩壊性プロトパルボウイルス研究は、再発性の切除可能な悪性神経膠腫を有する患者における最初のH-1PVのフェーズI/IIa研究により、臨床的実務に移る段階に達している(Geletneky et al., 2012)。
現在、手術不能な転移性膵臓癌を有する患者において、第2のフェーズI/II臨床試験が始められている(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02653313; manuscript in preparation)。
これらの試験についてH-1PV GMPバッチは密度勾配遠心分離により精製されたが(Leuchs et al., 2016; Ungerechts et al., 2016)、この方法は、規模が制限され、完全ゲノムを含む粒子からの空の粒子の分離は満足のいくものではない。さらに、精製されたH-1PVは最終的に、その中でウイルスが公知の安定性を有し、かつヒト体内での薬物可視化のためのX線造影剤でもあるVisipaque(リンゲル液中48%イオジキサノール)中に調製される必要がある。
したがって、本発明にある技術的課題は、完全ゲノムを含む粒子からの空の粒子の分離を可能にする大規模に実現可能な精製方法を提供することである。
かかる技術的課題の解決は、特許請求の範囲において特徴付けられる態様を提供することにより達成される。
これらの必要性を満足するために、本発明者らは、H-1PVのための簡便で、大規模に実現可能な高い等級の精製方法を開発した。空の粒子は、H-1PV製造の望ましくない副生成物であり、有効性のない免疫応答を引き起こしやすい(Gao et al., 2014)。空の粒子を排除するために超遠心分離による方法が成功裡に使用されているが(Halder et al., 2012; Leuchs et al., 2016)、これらの手法は実際には大規模に実現可能ではなく、半滅菌性にすぎず、分画は十分に制御可能ではない。これは、なぜ大規模化に適した新規の精製アプローチを開発することが緊急であったかを説明する。本発明を生じる実験の間に、向上されたウイルスバッチ清澄化および感染性粒子精製による望ましくない夾雑物の排除を伴う大規模ウイルス製造のための大きな革新が紹介された。本発明者らは、抗癌ウイルス療法について前臨床的および臨床試験中の両方のH-1PVを活用するための基礎として、標準化された精製手法を開発することに焦点を当てた。
したがって、本願は、十分活性なH-1パルボウイルス粒子を製造するための方法に関し、該方法は、
(a)産生細胞株NB-324Kを提供する工程;
(b)該細胞株を適切な条件下で増殖させて、2.0〜5.0x104細胞/cm2の細胞密度の該細胞に、0.5〜2x10-2 PFU/細胞のMOIでパルボウイルスを感染させる工程;
(c)感染の2〜6日後に該細胞を回収して、遠心分離により細胞ペレットを得る工程;
(d)再懸濁した細胞ペレットを、パルボウイルス含有細胞溶解物を得るための機械的、物理的または化学的な細胞溶解法に供する工程;
(e)細胞溶解物を超音波処理して、該細胞溶解物をDNAse処理に供する工程;
(f)DNAse処理パルボウイルス回収物をろ過により清澄化する工程;ならびに
(g)空の粒子およびほとんどの不純物を排除するための陰イオン交換クロマトグラフィー;
(h)脱塩カラムまたはタンジェンシャルフローフィルトレーションによるバッファ交換および濃縮;
(i)Visipaque/リンゲル溶液での最終調製
を含む。
本発明はさらに、以下に示す図面を伴って記載される。
図1:等電点電気泳動によるH-1PV wt空および完全カプシドの等電点の決定。空または完全カプシドの2つの独立して精製されたバッチを0.9%アガロースゲルに負荷してそれらのそれぞれのpI値に従った電場で電気泳動(focused)した。バンドを銀染色により可視化した。M:BioradマーカーpH4.45〜9.6、レーン1:バッチ1由来の完全粒子、レーン2:バッチ1由来の空の粒子、レーン3:バッチ2由来の完全粒子、レーン4:バッチ2由来の空の粒子。 図2a:Mono P 5/50カラムを用いたクロマトフォーカシング(chromatofocusing)により得られた空および完全H-1PVカプシドのpIプロフィール。空または完全カプシドの2つの独立して精製されたバッチをMono P 5/50カラムに負荷してそれらのそれぞれのpI値に従って溶出した。画分は、ゲノム含有粒子(GP)および天然の(physical)粒子(PP)について分析した。空のカプシド粒子の等電点は、天然粒子ピークにより示されPP-対-GP比(示さず)により証拠づけられるようにpH6.3であり;PPピークに対応するpHにおいて比は約900である。完全カプシド粒子の等電点はおよそpH6.1〜5.6であった。このpH範囲においてPP-対-GP比(示さず)はほぼ1であった。 図2b:Mono P 5/50カラムを用いたクロマトフォーカシングにより得られた空および完全H-1PVカプシドならびに不純物のpIプロフィール。精製されないバッチをMono P 5/50カラムに負荷し、pH勾配9.5〜3.5で溶出した。画分は、ゲノム含有粒子(GP)、天然の粒子(PP)およびタンパク質内容物(タンパク質不純物)について分析した。清澄化細胞溶解物中の不純物(宿主細胞タンパク質FBS)は、pH9.5〜7.0の間の等電点を示し、pH7.0前にMono Pカラムから溶出した。 図3a:DEAEクロマトグラフィーのための最適なバッファおよび塩条件。50mM Tris-HCl、pH8.7中の精製前の空および完全H-1PV粒子をDEAEカラムに適用して、連続0〜0.5M NaCl勾配で溶出した。溶出プロフィールは、0.15M NaClで画分8の空のカプシド粒子の溶出(第1のUV吸光度ピーク)を示す(導電率:22mS)。画分11で始まる第2のUV吸光度ピークは、0.2〜0.25M NaClで完全カプシド粒子の脱離を示す(導電率:29〜32mS)。天然の粒子(PP)およびゲノム含有粒子(GP)を定量した。 図3b:DEAEクロマトグラフィーのための最適なバッファおよび塩条件。清澄化した細胞溶解物を、0.15M NaClを含む50mM Tris-HCl、pH8.7に希釈してDEAEカラムに適用した。フロースルーおよび0.15M洗浄中で空の粒子を回収した(第1のUV吸光度ピーク)。0.15〜0.4M NaCl勾配での溶出の際に、完全粒子はほぼ0.25M NaClで溶出した(第2のUV吸光度ピーク)。天然の粒子(PP)およびゲノム含有粒子(GP)を定量した。 図4:2.3E8細胞回収物の大規模クロマトグラフィー(1つの10層Cellstack(登録商標)に相当、5回再現)。0.15M NaClを含む50mM Tris-HCl、pH 8.7に希釈した清澄化した細胞溶解物を8ml DEAEカラムに負荷し、空のカプシドはフロースルーおよび洗浄中に溶出した(第1のUVピーク)。完全カプシドは、連続0.15〜0.3M NaCl勾配を用いた溶出の際にNaCl濃度0.25Mで画分1〜5中に溶出した(第2のUVピーク、PP/GP比、約1)。 図5:タンパク質組成物ならびに下流のプロセスの前および後のウイルスバッチの電子顕微鏡画像。パネルa、b:ウイルス試料(1.0E10 PP)のタンパク質抽出物をSDS-PAGEにより分析して、(a)銀染色または(b)αVP抗体を用いたイムノブロッティングにより明らかにした。M:BenchMarkTMタンパク質ラダーを構成するマーカー、レーン1:ウイルス回収物、レーン2:IOD-PBS - VIS-リンゲル、レーン3:DEAE - VivaspinTM - 最終調製物、ライン4:DEAE - HiTrap - 最終調製物。パネルc、d、e:清澄化した細胞溶解物(c)、IOD-PBS - VIS-リンゲル(d)、DEAE - 最終調製物(e)を示す電子顕微鏡写真。スケールバーは100nmである。 図6:DEAE最終調製法(B)による公知のIOD-PBS-VIS-リンゲル勾配精製(A)を含むH-1PV下流の精製法のフロー図。従来の回収系(例えば10層CellSTACK(登録商標)(CS)チャンバー;好ましい収率:感染細胞当たり1x103感染単位)においてシミアンウイルス40(SV40)で形質転換したNB-324Kヒト新生児腎臓細胞(Tattersall and Bratton, 1983)を培養および感染させる工程を含む本発明の採用された製造方法は、簡便で、大規模に実現可能で再現可能である。1E10 PFU/mlの標的ウイルス力価を達成する本発明の最終的な下流のプロセスは、以下の工程:(1)宿主細胞DNAを排除するためのDNase処理;(2)清澄化(例えば0.2μm、その後0.1μmろ過工程);(3)空の粒子およびほとんどの不純物を排除するための陰イオン交換クロマトグラフィー;(4)バッファ交換および濃縮のために工程(3)の溶出物を脱塩カラムまたはタンジェンシャルフローフィルトレーションに通す工程;(5)Visipaque/リンゲル液中の最終調製を含む。
詳細に、本発明は完全活性H-1パルボウイルス粒子を製造するための方法に関し、該方法は、
(a)産生細胞株NB-324Kを提供する工程;
(b)該細胞株を適切な条件下で増殖させて、2.0〜5.0x104細胞/cm2の細胞密度の該細胞に、0.5〜2x10-2 PFU/細胞のMOIでパルボウイルスを感染させる工程;
(c)感染の2〜6日後に該細胞を回収して、遠心分離により細胞ペレットを得る工程;
(d)再懸濁した細胞ペレットを、パルボウイルス含有細胞溶解物を得るための機械的、物理的または化学的な細胞溶解法に供する工程;
(e)細胞溶解物を超音波処理して、該細胞溶解物をDNAse処理に供する工程;
(f)DNAse処理パルボウイルス回収物をろ過(例えば0.2μm、その後0.1μmろ過工程)により清澄化する工程;
(g)空の粒子およびほとんどの不純物を排除するための陰イオン交換クロマトグラフィー;
(h)脱塩カラムまたはタンジェンシャルフローフィルトレーションによるバッファ交換および濃縮;
(i)Visipaque/リンゲル溶液中の最終調製
を含む。
本発明の方法を、参照がなされる図6のフロー図に示す。
(A)再現可能な、標準化された大規模H-1PV製造
前臨床的および臨床的使用と適合性である1x1010 PFU/mlの濃度の2x1011 PFUのウイルス収率は、単一の10層CSチャンバーにより達成された。この収率は、感染細胞当たり約1x103の感染性粒子の生産性に相当する。10層系は、100x10cm細胞培養皿(Halder et al., 2012)とほぼ同じ接着表面を提供する。効率的な製造は、生存率95%超、継代数20未満、マイコプラズマ汚染なし(Multiplexion, Germany)およびFBSの一定の品質を有する産生細胞(NB-324K)の良好な条件のために可能であった。
規模の増加を達成するための簡便で効率的な方法は、5個の10層チャンバーから1x1012 PFUまでの回収物を生じるCSチャンバーを使用することであった。さらなる規模の増大は、40層チャンバーにより可能であるが、それらの振盪およびガス処理の扱いはより煩わしい。接着細胞によるさらなる規模の増加は、ワクチン製造(Rajendran et al., 2014)について記載される担体の使用を含む。魅力的な代替法は、ミンク腸炎PVワクチン製造(Hundt et al., 2007)について記載される波動反応器における懸濁細胞培養を使用することである。
最適な結果について、産生細胞株NB-324Kは、(i)少なくとも95%の生存率、(ii)20未満の継代数、(iii)マイコプラズマ汚染の欠如および(iv)SV40産生の欠如により特徴付けられる。
当業者は、産生細胞株を増殖するためおよび該細胞にパルボウイルスを感染させるための一般的な条件を知っている。通常、細胞は37℃で、例えば5% CO2雰囲気中熱不活性化ウシ胎仔血清(例えばFBS 5%)を有する最小必須培地中で培養される。好ましくは、培地には、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL-グルタミンを補充するべきである。
本発明の好ましい態様において、工程(b)の細胞密度は、3.0〜4.0x104細胞/cm2である。
本発明の方法のさらに好ましい態様において、ウイルス製造は、単回使用細胞培養系、好ましくは10層細胞培養チャンバー、例えばCellSTACK(登録商標) (CS)チャンバー中で実施される。さらなる規模の増加は、40層CSチャンバーまたは担体系を用いて達成され得る。
好ましくは、回収のために、培養培地を吸引して、感染された細胞を適切なバッファおよび/または酵素、例えばPBS-EDTAまたはトリプシンで処理する。培地上清および解離した細胞は、細胞ペレットを得るために、好ましくは5,000xgで、好ましくは約5分間遠心分離する。当業者は、産生細胞からパルボウイルスを放出するための、適切な機械的、化学的または物理的方法を知っている。好ましくは、これは、凍結/融解サイクル、超音波処理および/またはTriton(登録商標)S100処理によりなされ得る。当業者はまた、細胞を超音波処理し、その後DNAse処理するための適切な方法を知っている。例えば、細胞を十分な時間30〜70Wで超音波処理し得、DNAse処理は、通常37℃で10〜50分間、20〜80U/ml DNAseにより行う。
(B)H-1PV調製物の効率的な精製および濃縮
未処理のウイルス回収物は、完全、空および中間密度の粒子を含み、ウイルスDNAおよび宿主細胞DNAならびにタンパク質の全てで汚染された。最初にそれらをDNAse処理して、次いでフィルター(例えば0.2μmフィルターによる濾過、その後0.1μmフィルターによる濾過)により清澄化した。これは、37%の宿主細胞DNAおよび封入されていないウイルスDNAならびに24%の総タンパク質の排除を生じた。宿主細胞DNAの残存断片は62bpよりも小さいことが明らかとなった。
(C)クロマトグラフィー精製
クロマトグラフィー精製の基準として、本発明者らは最初に、(a)空および(b)完全粒子のpI値:(a)6.3および(b)6.1〜5.8を決定した。等電点電気泳動およびクロマトフォーカシングにより同様の結果が生じた。完全粒子について、可能性のある欠損干渉ウイルス粒子のためにpI範囲のみが得られ得た(Faust and Ward, 1979)。空および完全H-1PVの等電点の知識は精製手法を開発するために必須であり、ウイルス相互作用、安定性、製造およびインビトロ研究に影響を与える。
本発明者らは、空の粒子および不純物を排除するための異なるクロマトグラフィー系の能力を試験した。H-1PVを使用した結合試験は、ウイルスは陽イオンおよび陰イオン交換体の両方に結合してその両方から溶出するが、最良の回収は、AEXクロマトグラフィーおよびpH8.7での溶出で達成されたことを示した。本発明者らはまた、強陰イオン交換カラム(QA)上でH-1PVを精製し、同様の完全粒子を回収し得た。両方の系は、回収およびタンパク質不純物排除に関して同等であった。特定の好ましい態様においてはDEAEクロマトグラフィーを使用する。同様に、溶離液中の塩化ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび酢酸アンモニウムは空および完全カプシドに相当するピークの同様の分解能を生じたので、H-1PVは塩化ナトリウム中で安定であり、最終調製物中にNaClが存在するために、H-1PV精製について塩化ナトリウムが好ましい。
完全および空の粒子の間のpIの差は少なくとも0.1pH単位であるという事実により、本発明者らが、DEAEカラムクロマトグラフィーによる好ましい一態様に基づく精製方法を開発することが可能になった。本発明において、約65%の空の粒子および約67%の主要な不純物は、0.1〜0.2M NaCl、好ましくは0.15M NaClによりフロースルー中ですでに排除され得ること、および約50%の完全感染性ウイルス粒子は、0.25〜0.4M塩、好ましくは0.3M塩で溶出され得ることが示されている。H-1PVの高い安定性のために、精製はほぼ室温(好ましくは操作温度:29±5℃)で実施し得る。
本発明の方法および条件によると、H-1PV溶出プロフィールは、非常に近縁のマウスのプロトパルボウイルスマイニュートウイルス(MVM)を用いて再現できず(データは示さず)、空のMVM粒子は完全粒子から分離できなかった。したがって本発明で開発される方法はH-1PV特異的である。
本発明の方法は、清澄化された細胞溶解物からほぼ50%のH-1PV収率を提供するが、上流プロセスの培地上清は依然として常套的に廃棄され、30%の消失に達することに注意すべきである(B. Leuchs et al., 2016)。概念の証拠を説明するためならびにH-1PVを精製および濃縮するための本発明の能力を試験するために、常套的な製造(10層CS製造の1/10に相当)由来の清澄化された培地上清を本明細書に記載されるように精製した。DEAE精製後、総PFU回収は、細胞溶解物を用いて観察されるように約50%であったが、培養培地上清から精製されたH-1PVの不純物含有量は依然として高かった。そのため、第2ラウンドのDEAE精製を行って、開始体積の50分の1において約20%の総PFU回収を生じた。第2のDEAE精製段階後にタンパク質不純物の99.7%超が排除されたので、タンパク質含有量は、精製された細胞溶解物と同様であった(データは示さず)。
イオジキサノール系超遠心分離(PCT/EP 2016/0001066)と比較すると、陰イオン交換クロマトグラフィー、好ましくはモノリス(monolith)系DEAE陰イオン交換クロマトグラフィーを含むこの新規の精製戦略の使用は、回収率および比活性を有意に向上させ、最適なPP-対-GP比および有意な空の粒子の排除をもたらす(p値≦0.05)。新規の方法の性能は、PP-対-GP比およびPFU/mgタンパク質に関して、超遠心分離系CsCl密度勾配法のものと同様である(Leuchs et al., 2016)。ウイルス粒子は1E11 PFU/mlで凝集し始め(力価の高い変動で証明されるように)、1E8 PFU/mlより低いウイルス力価を有する調製物は数年を超えると不安定であるので、1E10 PFU/mlのウイルス力価が最適である。しかしながら、本発明の精製戦略による40%の全体的な回収率は、以前に公知のもの(IOD-PBS-VIS-リンゲル勾配)よりも優れる。このことに関して、以下の表2に参照がなされる。
臨床適用のための規模の増加は、8Lまで市販されるより大きなCIM(登録商標)DEAEモノリスカラム(BIA Separations, USA)を使用して可能である。CIM(登録商標)モノリスは、フロースルー孔(1.3μm)を含むメタクリル酸ポリマー由来の単一の均一な断片の鋳型(piece cast)である。DEAE(ジエチルアミノエチル)は、優勢な負の電荷を有する分子に選択的に結合する荷電したジエチルアミノ基を有する弱陰イオン交換体である。これらに、合計5E14 PFU(1000分の1の10層CSに相当)を負荷し得る。モノリスカラムは規模増加に伴い分解能が低下しないので、新規の特徴付け研究は必要ない。CIM(登録商標) DEAEモノリスカラムは、高い流速および低い圧力に伴い高い結合能力を提供し、精製時間およびコストを大きく低減し得る。さらに、これらのカラムは使い捨て品としてまたは複数回使用のために、および単一カラムとしてまたは複数カラム設定として使用され得る。8mlカラムの制限負荷能力は20mg BSA/mlであり、本発明者らは該カラムに約15mgのみの総タンパク質(合計約5E11 PFUになる2.3E8細胞に相当する細胞溶解物由来)を負荷したので、該カラムには10回程度負荷し得る。
Figure 0006945626
(D)タンジェンシャルフローフィルトレーションまたはサイズ排除クロマトグラフィーによるバッファ交換を含む予備的DEAEカラム後の精製されたH-1PVの調製
DEAEカラムからのH-1PV溶出物は、約0.25M NaClを含んだ。塩を排除し、Visipaque (リンゲル中48%イオジキサノール)中に調製するために、リンゲル液(AlleMan Pharma GmbH, Reutlingen, Germany)へのバッファ交換、その後Visipaque (リンゲル中48%イオジキサノール)中の調製を行うことが必要であった。
リンゲル液へのバッファ交換のために、2つのアプローチを使用した:
一方で、AEKTAprime系と共に5ml HiTrapTM脱塩カラム(GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)を使用した。HiTrapTMは、サイズ排除クロマトグラフィーのために架橋デキストランを使用する。該カラムは最初に5カラム体積(CV)のリンゲル液で平衡化した。次いで、試料を、リンゲル液を満たした5ml試料ループに注射し、カラムに負荷し、2CVのリンゲル液で溶出した。1ミリリットルの画分を回収して、ゲノム含有粒子および天然の粒子について分析した。
他方で、6mlのVivaspin(登録商標)濃縮器(30KDaカットオフのポリエーテルスルホン膜;Sartorius AG, Goettingen, Germany)を使用した。最初に膜限外濾過系を70%エタノールで20分間滅菌し、3000xgで遠心分離し、6ml注射使用滅菌水ですすぎ、再度遠心分離し、層流下で乾燥させた。約1mlの開始体積を有する試料を濃縮器中にピペッティングして、リンゲル液で1:5に希釈し、体積が1mlに達するまで3000xgで遠心分離した。2ml以上の開始体積を有する試料は最初に1mlに濃縮して、次いでリンゲル液で希釈した。開始バッファをリンゲル液中で1:125に希釈するようにこれを3回行った。最終濃縮工程は、約300μlの試料体積まで行った。次いで試料の屈折率をデジタル屈折計AR200 (Reichert, Inc., Depew, NY, USA)で測定し、リンゲル液の屈折率(1.3342±0.0002)となる必要があった。
上記の方法の1つにより得られたリンゲル液中の試料を、48%イオジキサノール終濃度までVisipaqueTM 320(65.2%イオジキサノールを含む; GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)と混合した。次いで試料の屈折率を測定して、48% Visipaque液の屈折率(1.41±0.005)となる必要があった。
「イオジキサノール」は、「Visipaque」(ヒト注射使用)または「イオジキサノラム(Iodixanolum)」(研究等級)と同義である。IUPAC名は5-[アセチル-[3-[N-アセチル-3,5-ビス(2,3-ジヒドロキシプロピルカルバモイル)2,4,6,-トリヨードアニリノ]2-ヒドロキシプロピル]アミノ]-1-N,3,N-ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)-2,4,6-トリヨードベンゼン-1,3-ジカルボキサミドである。CAS番号は92339-11-2である。VisipaqueはまたCT画像化のための周知の造影剤である。
最終調製のために、両方のバッファ交換法は適切であったが、バッファを交換して、同時に試料を所望の体積に濃縮するためのVivaspin(登録商標)タンジェンシャルフローフィルトレーション系の使用は無視できる程度の消失を有して好ましい。さらにタンジェンシャルフローフィルトレーションは、約30kDaの孔径を有する証明されたポリエーテルスルホン膜を使用して容易に規模の増加が可能である。
HiTrapTM脱塩カラムによるバッファ交換は試料の希釈をもたらし、そのため最終調製物中より低い感染性ウイルス力価がもたらされる。2つのバッファ交換方法の間に、最終調製物中1対数感染性ウイルス力価(one-log infectious virus titer)の差がある(Vivaspin(登録商標)およびHiTrapTM脱塩のそれぞれについて3.5E10および3.0E9 PFU/ml)。
結果を表2に要約する:
Figure 0006945626
要約すると、本発明は、高純度および高回収率を提供する大規模に実施可能な方法に関する。完全粒子と空の粒子の等電点の差を利用することで、ほとんどの空の粒子が排除される。完全粒子は、空の粒子よりも有意に高い陽イオン性電荷を有し、等電点は5.8〜6.2 対 6.3である(等電点電気泳動およびクロマトフォーカシングにより決定した場合)。この差のために、感染性完全粒子は、陰イオン交換クロマトグラフィー、例えばCIM(登録商標)DEAE陰イオン交換クロマトグラフィーにより、空の粒子およびほとんどのタンパク質不純物から分離され得、未精製のH-1PVを約0.15M NaClのカラムに適用することにより、前者がカラムに残り、後者がフロースルーに入る。次いで約0.25〜0.30M NaClを用いた溶出により完全粒子が回収される。全体の大規模精製プロセスは、濾過、単一工程(DEAE)陰イオン交換クロマトグラフィー、クロスフロー濾過によるバッファ交換、およびVisipaque/リンゲル液中の最終調製を含む。これは、98%の汚染タンパク質の除去および96%の空の粒子の排除を生じる。最終感染性粒子濃度は3.5E10 PFU/mlに達し、6.8 E11 PFU/mgタンパク質の非活性を有する。全体の回収率は40%超である。これは、臨床適用のためのGMPガイドラインによる無菌的規模増加を容易にする。
本発明はこの標準化の努力を例示する。本発明は前臨床研究を支持するための方法を記載する。3工程のH-1PVストック調製:(1)再現可能で、標準化され、大規模なウイルス製造、(2)代替法によるウイルス精製および濃縮、ならびに(3)品質制御基準の実行で向上が達成された。
以下の実施例は、本発明の限定ではなく例示を意図する。かかる実施例は使用され得るものの典型であるが、当業者に公知の他の方法が代替的に使用されてもよい。
実施例1
H-1PV pIの決定
等電点電気泳動
Leuchs et al., 2016およびPCT/EP 2016/001066に記載される方法により得られる完全および空のウイルスカプシド調製物(CsCl密度勾配で精製された)を、それらの異なる等電点(pI値)に基づいて電場において分離した。
等電点電気泳動に使用した全ての材料はServa Electrophoresis GmbH, Heidelberg, Germanyから購入した。0.9%アガロースゲルをGelBondフィルム上で型にとり、2.5% Servalyt担体両性電解質pH5〜8を添加して、電場中にpH勾配を形成した。層流下で電気泳動電源EPS 3500 XL (Amersham Pharmacia Biotech Europe GmbH, Freiburg im Breisgau, Germany)を用いてゲル電気泳動を行った。系を10℃に冷却して、冷却試薬Bayol Fを、ゲルとプレートの間のセラミック冷却プレートに適用した。電極溶液に浸した濾紙の細片をゲルと電極の間に張り付け、安定な勾配を維持した。正極で酸性溶液を使用して、負極で塩基性溶液を使用した。試料孔を開けた(strip with)シリコンアプリケーターにより10μlの試料をゲル表面に配置し、ゲル表面に置いた。分離条件は以下の通りであった:250V、10mA、10Wで10分間;500V、10mA、10Wで20分間;1000V、10mA、10Wで40分間の試料の等電点電気泳動。Willoughby and Lambert, 1983 (Willoughby and Lambert, 1983)に従って固定および銀染色を行った。
クロマトフォーカシング
クロマトフォーカシングは、タンパク質がそれらのpIに従ってカラムから溶出する、タンパク質分離技術である。空および完全カプシドウイルス調製物(CsCl密度勾配で精製)のクロマトフォーカシングを、Mono P 5/50カラム(GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)および500μL注射ループを備えたAEKTAprimeを用いて、層流下、室温で行った。Mono Pは第4級および第3級アミンの混合により荷電した弱陰イオン交換体である。移動相の流速は0.7ml/分であった。280nmで吸光度をモニタリングした。全てのバッファおよび試料は、0.2μmのフィルターにより濾過した。適用バッファは、濃縮イミノ二酢酸(Santa Cruz Biotechnology, Dallas, USA)によりpH8.3(完全および空の調製物について)または9.5(未精製細胞溶解物について)に調整された0.025Mトリエタノールアミン(Sigma-Aldrich Chemie GmbH, Steinheim, Germany)であった。溶出バッファは、マニュアル指示書に従って、注射用水中で希釈されたPolybuffer 96およびPolybuffer 74 (GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)で構成され、pHは濃縮イミノ二酢酸で5.0(完全および空の調製物について)または3.5(未精製細胞溶解物について)に調整された。Mono P 5/50の製造業者の指示書に従って、下降直線pH勾配(完全および空の粒子調製物についてpH8〜5および未精製細胞溶解物についてpH9.4〜3.5)を得た。これについて、カラムを、必要とされる最高pHよりもわずかに高いpHで適用バッファにより平衡化した。溶出バッファ(必要とされる最低pHに調整)をカラムに通して、第1のプレ勾配を生じた。これに、適用バッファ中に希釈した試料の適用を続けた。カラムへの溶出バッファのさらなる適用により、下降pH勾配の移動が生じた。この溶出手順により、pH8.0から5.0または9.4から3.5のpH勾配の形成が生じ、画分の間のΔpHは0.1〜0.3であった。0.5または1mlの画分を回収して、GPおよびPPについて分析した。回収された画分のpHを、Mettler Toledo InLab Viscous Pro pH電極を用いて手動で測定した。
H-1PVおよびプロセス不純物の等電点
完全H-1PV wtウイルス粒子から空の粒子を分離するために、それらの物理的特性における活用可能な差を見出すことが必要であった。精製した空および完全な粒子調製物に対して等電点電気泳動を行って、これらの粒子のそれぞれの等電点を決定した。結果(図1)により、空の粒子につて6.3のpIおよび完全粒子について5.8〜6.2のpI(空のカプシドによる無視できる程度の汚染を有する)が明らかになった。このpIの差が感染性ウイルスの精製に活用し得るかどうかを調べるために(すなわち空の粒子および汚染タンパク質を排除するために)、クロマトフォーカシングを使用した。最初に、CsCl精製した空または完全粒子調製物をMono P 5/50カラムに負荷して上述の通りに溶出した。この手順により(図2a)、クロマトフォーカシングで、空の粒子について6.3のpI(PP-対-GP比:約869;データは示さず)および完全粒子について6.1〜5.8のpI(PP-対-GP比:約1;データは示さず)が同定されたので、等電点電気泳動により得られた結果を確認した。さらに、クロマトフォーカシングを使用して、清澄化された細胞溶解物中に存在する不純物(宿主細胞タンパク質、FBS)のpI範囲を推定した。有意な量の不純物が塩基性pH(pI範囲9.4〜7)でMono Pカラムから溶出した。PP-対-GP比はpH6.4で43 対 約pH5.7で13であり、空および完全粒子について決定されたpIは維持された。
実施例2
最適なバッファおよび塩条件を決定するための小規模陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィー
タンパク質の等電点は、それらがクロマトグラフィーカラムに結合/それから溶出する電荷と相関する。塩濃度が増加するにつれて、最も弱いイオン相互作用を有するタンパク質が最初にカラムから溶出する。空および完全なH-1PV粒子ならびに製造の際に生じる不純物のpI値の知識によると、これらの実体をAEXクロマトグラフィーにより分離することが可能となり、ほとんどのタンパク質不純物は最初に溶出するはずであり、続いて空の粒子および最後に完全粒子が溶出する。
AEXクロマトグラフィーの平衡バッファとして、50mM Tris-HCl、pH8.7を、ウイルス回収物とのその相溶性のために選択した。最適な結合について、理論的に、バッファのpHは、タンパク質のpIよりも少なくとも1〜2pH単位高い必要がある(Fekete et al., 2015)。pH8.7で、不純物は弱く負に帯電、中性またはさらに正に帯電するので、不純物は結合しないはずである(pH9.5〜7.0の間のpI)。pIは、H-1PVの空の粒子について6.3および完全粒子について5.8〜6.1であるので、該ウイルスはpH8.7で負に帯電している。結合および溶出の条件を決定するための異なるイオン交換カラムを用いて行った以前の研究(データは示さず)により、弱い陰イオン交換体(DEAE)カラムが、H-1PV精製のための最良の選択であることが示された。1.3μmの孔径を有するCIM(登録商標)DEAEモノリスカラムは、良好な機械的安定性を維持しながら大分子を特異的に収容するその能力のせいで、クロマトグラフィー研究のために選択された。
溶出のための最良の塩を決定するために、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび酢酸アンモニウムを試験した。精製前の空および完全な粒子の混合物を、0.34ml CIM(登録商標)DEAEモノリスディスクに適用して、50mM Tris-HCl、pH8.7中の連続0〜0.5M勾配の試験した塩により溶出させた。それらのPPおよびGP含有量についてピーク画分を分析した。全ての溶出プロフィールは、2つのUV吸光度ピーク:1つは空の粒子に対応し、続く1つは完全粒子に対応する、を示した。試験した全ての塩が完全粒子からの空の粒子の分離に適することが証明されたので、H-1PV はNaCl溶液中で安定であり(データは示さず)、NaClは所望の最終Visipaque/リンゲル調製物に存在する(0.053M NaCl)ために、NaClを用いて作業を継続することを決定した。連続勾配のNaClを適用した場合(50mM Tris-HCl、pH8.7中0〜0.5M NaCl)、空の粒子は0.13〜0.15M NaClで溶出し(PP-対-GP比:約300)、完全粒子は0.2〜0.25M NaClで溶出した(PP-対-GP比:約1)(図3a)。これらの塩濃度は直接測定できなかったので、さらなる開発実験における再現可能な精製方法を確実にするために、対応する導電率の値も測定した(空の粒子について18〜22mSおよび完全粒子について25mS超)。
その後の実験において、少量の清澄化されたH-1PV回収物を、0.15M NaClを用いて50mM Tris-HCl、pH8.7中で調製し、0.34ml CIM(登録商標)DEAEモノリスディスクに負荷し、空の粒子および不純物が流出できるようにし、完全粒子をカラムに結合させた。次いで、ディスクを0.15〜0.4M NaCl勾配により溶出させた。図3bのクロマトグラムに示されるように、約70%の空の粒子および60%のタンパク質不純物がフロースルーおよび洗浄中に排除された(第1のUVピーク)が、約60%の完全粒子はおよそ0.25M NaClで溶出された(第2のUVピーク)。
再現された大規模な単一工程AEXクロマトグラフィー
最適なバッファおよび塩の条件の決定の後、2.3E8細胞(1つの10層CSの製造に相当)由来の清澄化された細胞溶解物を用いて大規模精製を行った。0.15M NaClを含む50mM Tris-HCl、pH8.7中に希釈した清澄化された細胞溶解物を、8ml CIM(登録商標)DEAEモノリスカラムに負荷して、連続塩勾配(50mM Tris-HCl、pH8.7中0.15〜0.3M NaCl)で溶出させた。図4に見られるように、空の粒子はフロースルーおよび洗浄中に溶出した(第1のUVピーク)(PP-対-GP比、約50.0;2.3E14総PP)。完全粒子は0.2〜0.25M NaClで溶出した(導電率:26〜31.8mS、第2のUVピーク)。ウイルス濃度は約1E13 GP/mlおよび1E10 PFU/ml(データは示さず)であり、PP-対-GP比は約1であった。
清澄化されたH-1PV細胞溶解物のクロマトグラフィー精製は、5個の個別のバッチについて再現された。これらの実験により、67±21%のタンパク質不純物および65±28%の空の粒子の排除、72±13%のGPおよび49±13%のPFUの回収が明らかになった(表1)。完全感染性粒子に必要とされる塩濃度は0.2〜0.25M NaClであり、導電率は25〜31.8mSであった。まとめると、これらの結果は、最終調製について、将来、この導電率範囲に対応する1つの画分のみを回収することが可能であることを示す。
AEXクロマトグラフィー後のバッファ交換および最終調製
Visipaque/リンゲル液中での最終調製のために、DEAEカラムからの完全粒子溶出物は最初に、リンゲル液中にバッファ交換して、48%イオジキサノールに相当する1.41±0.05の屈折率を得るために、最終的にVisipaqueと混合する必要があった。2つのバッファ交換方法:HiTrapTM脱塩カラムの使用およびVivaspin(登録商標)濃縮器の使用を試験した。それぞれの方法は2回適用した。結果を、同じウイルス回収バッチに適用される標準的な精製方法(IOD-PBS、その後VIS-リンゲル中の密度勾配遠心分離)により得られた結果と比較した。表2に結果を要約する。新規に開発されたクロマトグラフィー精製法を用いて、完全粒子のみを含む調製物を得た(PP-対-GP比、約1)。PFU回収は、標準的な方法によるものの少なくとも2倍の高さ(約40%)であり、比活性は同様(またはVivaspin(登録商標)クロスフロー濾過後にはより高い)であった。標準的な方法またはVivaspin(登録商標)濾過を用いたDEAEクロマトグラフィーのいずれかにより得られた感染性ウイルス力価は約3E10PFU/mlであり、DEAEクロマトグラフィーおよびHiTrapTM脱塩後は3E9PFU/mlであった。3つの方法で、同等の有効性(>96%)を伴いタンパク質不純物が低減されたが、クロマトグラフィー精製、その後のいずれかのバッファ交換手順は、空の粒子を標準的な方法(85%)よりも効果的に(>95%)排除した。銀染色を用いたSDS-PAGEにより測定した場合、ウイルス純度は3つ全ての手順後に同じであった(図5)。新規の戦略により得られた調製物の電子顕微鏡写真は、標準的な調製とは対照的に、完全粒子が支配的であることを示した。図6のフロー図は、3つ全ての方法の下流のプロセス工程を要約する。品質制御試験は、全ての最終調製バッチは滅菌性であることを示した。
実施例3
精製されたH-1PV調製物
(A)産生細胞株、H-1PVウイルスストック
シミアンウイルス40(SV40)で形質転換したNB-324Kヒト新生児腎臓細胞(Tattersall and Bratton, 1983)を、5%熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS, Biowest, France)を有する最小必須培地(MEM, Sigma, Germany)中、5% CO2雰囲気下で、37℃で培養した。培地には、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび2mM L-グルタミン(Life Technologies, Germany)を補充した。産生のために、175cm2 Yフラスコ(Nunc, Denmark)中で増殖させたNB-324K細胞を、6,360cm2増殖面積を有する10層CellSTACK(登録商標)培養チャンバー(Corning, Germany)中に播種した。細胞密度および生存率は、生細胞を0.4%トリパンブルー(InvitrogenTM, Germany)で染色して測定した。細胞をCountess(登録商標)Cell計測器(Life Technologies, Germany)で計測した。細胞に感染させるために内部で精製したH-1PVウイルスストックを使用した。
(B)H-1PV産生
都合のよい単回使用産生系として10層CellSTACK(登録商標)(CS)を選択した。同時の細胞播種および感染のために、NB-324K細胞は、3.6x104細胞/cm2で10層CSに播種し、1細胞当たり0.01プラーク形成単位(PFU)の感染多重度(MOI)で、すぐにH-1PVを感染させた。感染の際のpHは7.0±0.1であった。顕微鏡下で観察される死細胞および剥離細胞のパーセンテージとして測定される細胞変性効果(CPE)が少なくとも30%に達するまで、感染した細胞を37℃、5% CO2下で4日間インキュベートした。同時でない播種および感染のために、NB-324K細胞は、7.9x103細胞/cm2で10層CSに播種し、3日間増殖させ、その時点で細胞は、対照フラスコ培養で測定される場合に約3.6x104細胞/cm2の密度に達した。次いでこれらの固定された(anchored)細胞を0.01PFU/細胞のMOIで感染させ、上述のように4日間インキュベートした。回収のために、培地を吸引して、感染した細胞をPBS/1mM EDTAで処理した。培地上清および剥離した細胞を5,000xgで5分間遠心分離した。ペレットをPBSで洗浄して、Tris/EDTAバッファ(Trizma(登録商標)塩酸塩;Sigma-Aldrich Co. St. Louis, USA)に再懸濁し、3回の凍結/融解サイクルに供した。5,000xgで5分間の遠心分離後、細胞デブリを廃棄した。次いで細胞溶解物をSonorex Super 10 P超音波ホモジナイザー(Bandelin, Germany)中、48Wで1分間超音波処理し、DNAse (50U/ml, Sigma, Germany)で37℃、30分間処理した。
より詳細には、Leuchs et al., 2016およびPCT/EP 2016/001066を参照する。
(C)H-1PV精製
DNase処理ウイルス回収物を、0.2μm Sartolab(登録商標) P20 Plusフィルターおよび0.1μm Sartolab(登録商標) P20 Plusフィルター(Sartorius, Germany)を用いた濾過により清澄化した。
(D)小規模および大規模DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)
全てのクロマトグラフィー研究は、0.34ml CIM(登録商標)DEAEモノリスディスクまたは8ml CIM(登録商標)DEAEモノリスカラム(1.3μm孔径;Bia Separations, Ajdovscina, Slovenia)およびAEKTAprime (GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)により、室温(RT)、層流下で行った。CIM(登録商標)モノリスは、フロースルー孔を含むメタクリル酸ポリマー製の単一の均一な断片鋳造物である。DEAE(ジエチルアミノエチル)は、優先的に負の電荷を有する分子に選択的に結合する帯電ジエチルアミノ基を有する弱い陰イオン交換体である。移動相の流速は、カラムサイズに応じて0.7ml/分または2ml/分であった。吸光度は280nmでモニタリングして、ミリ吸光度単位(mAu)で表す。導電率はミリジーメンス(mS)で表す。全てのバッファは0.2μmのフィルターでろ過した。それぞれの試行の開始前に、一定の導電率およびUV吸光度の値が観察されるまで、カラムを適用バッファで平衡化した。溶出工程の後に、1M NaCl (Sigma-Aldrich Chemie GmbH, Steinheim, Germany)により高塩洗浄を続けた。適用バッファは、pH8.7に調整した50mM Tris-HClまたは50mM Tris-HCl中の0.15M NaCl であった。上述の(C)で得られた試料を適用バッファで希釈して、カラムに適用した。その後、ベースラインUV吸光度に達するまで適用バッファでの洗浄を続けた。溶出は、50mM Tris-HCl、pH8.7中0〜0.5M NaClまたは50mM Tris-HCl、pH 8.7中0.15M〜0.4M(大規模については0.3M) NaClの連続塩勾配で行った。試行の間の1ミリリットルの画分を回収して、ゲノム含有粒子(GP)、天然の粒子(PP)およびプラーク形成単位について分析した。プラーク形成単位の評価は面倒な細胞系方法であるので、これは、抗癌ウイルス療法における感染性ウイルス力価の重要性が得られる場合の大規模クロマトグラフィー実験および最終調製物の分析のみで行った。
(E)調製用DEAEカラム後の精製されたH-1PVの調製
DEAEカラム由来のH-1PV溶出物は0.25M NaClを含んだ。塩を排除し、Visipaque(リンゲル中48%イオジキサノール)中に調製するために、リンゲル液(AlleMan Pharma GmbH, Reutlingen, Germany)へのバッファ交換、その後のVisipaque(リンゲル中48%イオジキサノール)中での調製を行うことが必要であった。
リンゲル液へのバッファ交換のために、2つのアプローチを使用した:
一方で、AEKTAprime系により5ml HiTrapTM脱塩カラム(GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)を使用した。HiTrapTMは、サイズ排除クロマトグラフィーのために架橋デキストランを使用する。最初にカラムを5カラム体積(CV)のリンゲル液で平衡化した。次いで、試料を、リンゲル液で満たした5ml試料ループに注入して、カラムに負荷し、2CVのリンゲル液で溶出した。1ミリリットルの画分を回収して、ゲノム含有粒子および天然の粒子について分析した。他方で、6mlのVivaspin(登録商標)濃縮器(カットオフ30kDa;Sartorius AG, Goettingen, Germany)を使用した。最初に膜限外濾過系を70%エタノールで20分間滅菌して、3000xgで遠心分離し、6ml滅菌注射用水ですすぎ、再度遠心分離して、層流下で乾燥させた。約1mlの開始体積を有する試料を濃縮器中にピペッティングして、リンゲル液で1:5に希釈し、体積が1mlに達するまで3000xgで遠心分離した。2ml以上の開始体積を有する試料は最初に1mlに濃縮して、次いでリンゲル液で希釈した。開始バッファをリンゲル液中で1:125に希釈するようにこれを3回行った。最終濃縮工程を行って、試料体積を約300μlにした。次いで試料の屈折率をデジタル屈折計AR200 (Reichert, Inc., Depew, NY, USA)で測定して、リンゲル液の屈折率(1.3342±0.0002)にする必要があった。
上述の方法の1つにより得られたリンゲル液中の試料を、VisipaqueTM 320(65.2%イオジキサノールを含む;GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)と混合して、48%イオジキサノール終濃度にした。次いで試料の屈折率を測定して、48% Visipaque溶液の屈折率(1.41±0.005)にする必要があった。
(F)H-1PVバッチの定量および定性
プラーク形成アッセイ(感染性粒子について)、qPCR(GPについて)、H-1PVカプシドELISA(PPについて)、タンパク質定量およびSDS-PAGE(銀染色)、ウエスタンブロッティング、ならびに滅菌性評価(方法の説明についてB. Leuchs et al., 2016参照)によりウイルス定量および特徴付けを行った。
電子顕微鏡検査
精製されたウイルスバッチの電子顕微鏡分析は、少しの改変を加えてLeuchs et al., 2016に従って行った。0.05% BSA溶液を用いた1分間の前インキュベーション工程を加えた後に、試料インキュベーション、および試料インキュベーション後に0.1%グルタルアルデヒドを用いた5分間のウイルス不活性化を行った。Zeiss EM 900透過電子顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy GmbH, Jena, Germany)を用いて85,000x拡大で、写真を撮った。
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]完全活性H-1パルボウイルス粒子を製造するための方法であって、
(a)産生細胞株NB-324Kを提供する工程;
(b)該細胞株を適切な条件下で増殖させて、2.0〜5.0x10 4 細胞/cm 2 の細胞密度の該細胞に、0.5〜2x10 -2 PFU/細胞のMOIでパルボウイルスを感染させる工程;
(c)感染の2〜6日後に該細胞を回収して、遠心分離により細胞ペレットを得る工程;
(d)再懸濁した細胞ペレットを、パルボウイルス含有細胞溶解物を得るための機械的、物理的または化学的な細胞溶解法に供する工程;
(e)細胞溶解物を超音波処理して、該細胞溶解物をDNAse処理に供する工程;
(f)DNAse処理パルボウイルス回収物をろ過により清澄化する工程;ならびに
(g)空の粒子およびほとんどの不純物を排除するための陰イオン交換クロマトグラフィー;
(h)脱塩カラムまたはタンジェンシャルフローフィルトレーションによるバッファ交換および濃縮;
(i)Visipaque/リンゲル溶液中の最終調製
を含む、方法。
[2]工程(b)の細胞密度が3.0〜4.0x10 4 細胞/cm 2 である、[1]記載の方法。
[3]工程(f)のために、0.2μmのフィルター、その後に0.1μmのフィルターを使用する、[1]または[2]記載の方法。
[4]陰イオン交換クロマトグラフィーがDEAEカラムクロマトグラフィーである、[1]〜[3]いずれか記載の方法。
[5]陰イオン交換クロマトグラフィーが、工程(f)の抽出物を、フロースルー中に空の粒子および不純物ならびにカラム上に完全粒子を残す約0.15M NaCl中のカラムに適用することを含み、次いで完全粒子が約0.25〜0.30M NaClによる溶出により回収される、[4]記載の方法。
[6]工程(h)において、脱塩カラムが、サイズ排除クロマトグラフィー(HiTrap TM )のための架橋デキストランである、[1]〜[5]いずれか記載の方法。
[7]工程(h)において、タンジェンシャルフローフィルトレーションが、30KDaカットオフを有するポリエーテルスルホン膜(Vivaspin(登録商標)濃縮器)により作製される、[1]〜[5]いずれか記載の方法。
[8]工程(h)において得られるウイルス粒子がリンゲル液中にあり、次いで65.2%イオジキサノール〜48%イオジキサノール終濃度と混合される、[1]〜[7]いずれか記載の方法。
参照文献の一覧
Figure 0006945626
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Claims (7)

  1. 完全活性H-1パルボウイルス粒子を製造するための方法であって、
    (a)産生細胞株NB-324Kを提供する工程;
    (b)該細胞株を適切な条件下で増殖させて、2.0〜5.0x104細胞/cm2の細胞密度の該細胞に、0.5〜2x10-2 PFU/細胞のMOIでH-1パルボウイルスを感染させる工程;
    (c)感染の2〜6日後に該細胞を回収して、遠心分離により細胞ペレットを得る工程;
    (d)再懸濁した細胞ペレットを、H-1パルボウイルス含有細胞溶解物を得るための機械的、物理的または化学的な細胞溶解法に供する工程;
    (e)細胞溶解物を超音波処理して、該細胞溶解物をDNAse処理に供する工程;
    (f)DNAse処理H-1パルボウイルス回収物をろ過により清澄化する工程;ならびに
    (g)工程(f)のろ液を、フロースルー中に空のH-1パルボウイルス粒子および不純物を残しかつカラム上に完全H-1パルボウイルス粒子を残す約0.15M NaCl中の陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに適用し、次いで完全H-1パルボウイルス粒子を0.25〜0.30M NaClの塩濃度を有するバッファを用いて溶出する工程;
    (h)脱塩カラムまたはタンジェンシャルフローフィルトレーションにより工程(g)の溶出液を濃縮およびバッファ交換する工程;ならびに
    (i)Visipaque/リンゲル溶液中に製剤化する工程
    を含む、方法。
  2. 工程(b)の細胞密度が3.0〜4.0x104細胞/cm2である、請求項1記載の方法。
  3. 工程(f)のために、0.2μmのフィルター、その後に0.1μmのフィルターを使用する、請求項1または2記載の方法。
  4. 陰イオン交換クロマトグラフィーがDEAEカラムクロマトグラフィーである、請求項1〜3いずれか記載の方法。
  5. 工程(h)において、脱塩カラムが、サイズ排除クロマトグラフィーのための架橋デキストランである、請求項1〜いずれか記載の方法。
  6. 工程(h)において、タンジェンシャルフローフィルトレーションが、30KDaカットオフを有するポリエーテルスルホン膜を通してなされる、請求項1〜4いずれか記載の方法。
  7. 工程(h)において得られるウイルス粒子がリンゲル液中にあり、次いで65.2%イオジキサノール〜48%イオジキサノール終濃度と混合される、請求項1〜いずれか記載の方法。
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