JP6943129B2 - 電極スラリー、並びに、電極スラリーの製造方法及び電気デバイス用電極の製造方法 - Google Patents

電極スラリー、並びに、電極スラリーの製造方法及び電気デバイス用電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極スラリー、並びに、電極スラリーの製造方法及び電気デバイス用電極の製造方法に関する。詳細には、本発明は、合剤層のクラックの発生を抑制し、成形ロスを低減することができる電極スラリー、並びに、電極スラリーの製造方法及びこれを用いた電気デバイス用電極の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池などの電気デバイスは、携帯電話やノートパソコンなどの電子機器、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車などの車両などに広く用いられてきている。
リチウムイオン二次電池などの電気デバイス用電極は、例えば、活物質と導電助剤とバインダと溶媒とが混合されてなる電極スラリーを、集電体に塗工した後に熱処理することによって、合剤層を集電体上に形成することができる。
ところが、活物質や導電助剤などの粒子は電極スラリー中で凝集しやすい性質を有する。そのため、これらの凝集体が残った状態で合剤層を形成すると電極表面に凝集体による凹凸が生じ、電池製造時にセパレータを突き破ってもう一方の電極に接触して短絡してしまうおそれがある。そこで、特許文献1では、スラリーの降伏値を1Pa〜250Paの範囲内とし、電極間の短絡の発生を抑えることを提案している。
特開2003−331829号公報
しかしながら、特許文献1のようにスラリーの降伏値を1Pa〜250Paの範囲内とした場合であっても、スラリーを塗工及び熱処理した後に、合剤層にクラックが生じる場合があることが分かった。合剤層にクラックが生じた場合、電池製造時にクラックがセパレータを突き破ってもう一方の電極に接触して短絡してしまうおそれがある。
また、クラックが発生しないような原料や予め定められた条件で電極を作製しても、原料のロットが異なるなどした場合、クラックが発生するおそれがある。このようなクラックは電極スラリーを一度熱処理して合剤層を形成しなければ確認できず、生産時にクラックの発生が判明した場合には、大量の成形ロスが生じてしまうおそれがある。また、事前にサンプリングした電極スラリーを熱処理して合剤層を形成した場合であっても、多くの時間を必要とするため、効率的ではない。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、合剤層のクラックの発生を抑制し、成形ロスを低減することができる電極スラリー、並びに、電極スラリーの製造方法及び電気デバイス用電極の製造方法を提供することにある。
本発明の態様は、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つである。
本発明によれば、合剤層のクラックの発生を抑制し、成形ロスを低減することができる。
参考例の材料をレオメータで測定した時のせん断応力−ひずみカーブである。 本実施形態に係る電気デバイス用電極及び電気デバイスの一例を示す断面図である。 実施例及び比較例の電極スラリーをレオメータで測定した時のせん断応力−ひずみカーブである。 実施例1の合剤層の外観写真である。 比較例2の合剤層の外観写真である。
以下、図面を用いて本実施形態に係る電極スラリー、並びに、電極スラリーの製造方法及び電気デバイス用電極の製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[電極スラリー]
従来技術によれば、電極スラリーの降伏値を1Pa〜250Paの範囲内とすることにより、凝集体による合剤層の表面の凹凸を低減し、セパレータが突き破られて電極間で短絡するのを抑制することができるとされている。
しかしながら、スラリーの降伏値を1Pa〜250Paの範囲内とした場合であっても、スラリーを塗工及び熱処理した後に、合剤層にクラックが生じる場合がある。合剤層にクラックが生じた場合、電池製造時にクラックがセパレータを突き破ってもう一方の電極に接触して短絡してしまうおそれがある。
例えば、活物質粒子及び導電助剤を有せず、ポリアミック酸をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させた溶液では、大きな凝集体を形成するような粒子は存在しない。そのため、このような溶液では、図1の参考例1に示すように、レオメータでの測定により得られたせん断応力−ひずみカーブ上のグラフは正の傾きを有する一次直線を描く。
また、図1の参考例2に示すように、導電助剤を有せず、ポリアミック酸及び活物質粒子をNMPに分散させた場合、せん断応力−ひずみカーブのグラフ中に、丸で囲んだ箇所のような電極スラリーの降伏が1点だけ見られる。この降伏は、流体を流動させるのに必要な最小の応力であるため、日本工業規格JIS K5701−1:2000(平版インキ−第1部:試験方法)で定義された降伏値を表しているものと考えられる。この電極スラリーにより形成された合剤層はクラックが生じない。
一方、図1の参考例3に示すように、ポリアミック酸及び活物質粒子をNMPに分散させた参考例2の電極スラリーに、カーボン粒子をさらに加えた場合、電極スラリーの分散状態によっては、グラフ中に丸で囲んだように、2つの降伏が確認できる場合がある。参考例3の2つの降伏は、それぞれ22Paと47Paであり、上記JIS K5701の定義に従えば、22Paが降伏値であると考えられる。
しかしながら、参考例3の電極スラリーの降伏値は、いずれの降伏も先行技術が示唆する1Pa〜250Paの範囲内であるが、このような電極スラリーで合剤層を形成した場合、合剤層にクラックが発生した。
参考例3のような複数の粒子を含有する電極スラリーでは、複合的な三次元網目構造が形成されている場合があり、上記JIS K5701でいう降伏値に加えて、せん断応力を加えていくとひずみが急激に増加する点が存在するのだと考えられる。このような電極スラリーでは、粒子の分散が十分でなく、粒子が複合的な凝集体を形成しているのだと考えられる。
電極スラリーに凝集体が形成されている場合、立体障害により、凝集体の内部に十分な量のバインダ前駆体が行き届きにくいため十分な強度が得られにくく、合剤層を形成した時にクラックが発生する起点となりやすい。特に、充放電の際に活物質粒子の膨張収縮に適合するよう大きい強度を有するバインダを用いた場合や、合剤層の膜厚を大きくした場合などは、電極スラリーを熱処理した時に合剤層の収縮応力が大きくなりやすいため、クラックが発生しやすい。
そこで、本実施形態の電極スラリーは、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を備え、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つである。このように、本実施形態の電極スラリーでは、降伏の数を2つ以上ではなく、1つだけにしている。そのため、本実施形態の電極スラリーを用いて電極の合剤層を形成した場合に、活物質粒子や導電助剤による凝集体が分散される。したがって、合剤層を形成した時に、バインダが収縮して合剤層でクラックが発生するのを抑制することができる。以下、本実施形態の構成について詳細に説明する。
本実施形態の電極スラリーは、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を備える。
活物質粒子は、電気デバイスにおいて、電流を生じる化学反応に関与する。活物質粒子は、正極活物質粒子であっても、負極活物質粒子であってもよい。
正極活物質粒子を形成する材料としては、例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Mn−Co)O、Li(Li−Ni−Mn−Co)O及びこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等を挙げることができる。リチウム−遷移金属リン酸化合物としては、LiFePO等を挙げることができる。リチウム−遷移金属硫酸化合物としては、LiFe(SO等を挙げることができる。
負極活物質粒子を形成する材料としては、例えば、高結晶性カーボンであるグラファイト(天然グラファイト、人造グラファイト等)、低結晶性カーボン(ソフトカーボン、ハードカーボン)、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等)、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンフィブリルなどの炭素材料を挙げることができる。なお、当該炭素材料は、10質量%以下のケイ素ナノ粒子を含有するものを含む。また、負極活物質粒子を形成する材料としては、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、水素(H)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、ガリウム(Ga)、タリウム(Tl)、炭素(C)、窒素(N)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、塩素(Cl)等のリチウムと合金化する元素の単体、及びこれらの元素を含む酸化物(一酸化ケイ素(SiO)、SiO(0<x<2)、二酸化スズ(SnO)、SnO(0<x<2)、SnSiOなど)及び炭化物(炭化ケイ素(SiC)など)等を挙げることができる。さらに、負極活物質粒子を形成する材料としては、リチウム金属等の金属材料やリチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物を挙げることができる。これらの負極活物質粒子は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
負極活物質粒子はシリコン系粒子であることが好ましい。シリコン系粒子は、炭素材料などを用いた粒子と比較し、原子当たりのリチウムイオン吸蔵量が多く、放電容量が大きいためである。シリコン系粒子は例えばシリコンを20質量%以上含む合金とすることができる。
活物質粒子の含有量は、溶媒を除いた電極スラリーの固形分全体に対して、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましく、55質量%〜75質量%がさらに好ましい。
活物質粒子の平均粒子径は特に制限されないが、0.01μm〜20μmであることが好ましく、0.4μm〜10μmであることがより好ましい。活物質粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることにより、電気デバイスのサイクル耐久性を向上させることができる。活物質粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準における粒度分布の累積値が50%の時の粒子径とすることができる。
導電助剤は、合剤層の内部における電子ネットワークを効果的に形成することができる。導電助剤はカーボン粒子であることが好ましい。カーボン粒子は電気伝導性が良好なためである。カーボン粒子を形成する材料としては、例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。これらのカーボン粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電助剤の形状は特に限定されず、例えば球状、フレーク状、繊維状、短鎖状、長鎖状、針状などの形状の導電助剤を用いることができる。
導電助剤の粒子径は特に限定されないが、例えば繊維状導電助剤の場合、繊維径が5nm以上50nm以下であり、繊維長が50nm以上50μm以下であることが好ましい。また、例えば球状導電助剤の場合、平均一次粒子径は45nm以下であることが好ましい。なお、導電助剤の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて実測した数〜数十個の繊維長の平均値とすることができる。
導電助剤の含有量は、溶媒を除いた電極スラリーの固形分全体に対して、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜8質量%がより好ましい。導電助剤の含有量をこのような範囲とすることにより、合剤層の導電性を維持しつつ、導電助剤の凝集を抑制することができる。
溶媒は有機溶媒であることが好ましい。有機溶媒はバインダ前駆体の溶解性が高く、揮発性も優れているためである。有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エステル等のエステル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、溶解性が高く、扱いが容易であることから、有機溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであることがより好ましい。
電極スラリー中の溶媒の含有量は特に限定されないが、10質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜50質量%がより好ましく、25質量%〜45質量%がさらに好ましい。溶媒の含有量をこのような範囲とすることにより、塗工性を良好にすることができ、液だれが生じにくいため電極スラリーを厚塗りすることもできる。
バインダ前駆体は、熱処理などにより合剤層のバインダを形成する材料である。バインダは、活物質粒子同士又は活物質粒子と導電助剤を結合させることができる。
バインダ前駆体は高分子前駆体であることが好ましい。高分子前駆体としては、例えば熱可塑性樹脂前駆体、熱硬化性樹脂前駆体、エラストマー前駆体などが挙げられる。このような高分子前駆体をバインダ前駆体として用いることにより、電極の合剤層として必要なバインダ機能を効果的に発揮することができる。
熱可塑性樹脂前駆体としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)などの前駆体が挙げられる。また、熱硬化性樹脂前駆体としては、例えばエポキシ樹脂の前駆体などが挙げられる。また、エラストマー前駆体としては、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)などの前駆体が挙げられる。これらのバインダ前駆体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、バインダ前駆体はポリイミド前駆体であることがより好ましい。すなわち、バインダ前駆体はポリアミック酸であることがより好ましい。ポリアミック酸はポリイミドの前駆体である。ポリイミドは物理的強度が大きく、耐熱性が高いことから、電極のサイクル耐久性の向上に寄与するため好ましい。なお、ポリアミック酸は、電極スラリーの熱処理後の収縮力が他のバインダと比較して大きいため、熱処理後の合剤層にクラックが発生しやすい傾向にある。しかし、本実施形態の電気デバイス用電極の製造方法によれば、降伏の数を1つとすることにより、粒子の凝集体が低減されるため、熱処理しても合剤層にクラックが生じにくい。
合剤層中に含まれるバインダの含有量は、特に限定されないが、電極スラリーの固形分全体に対して、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜15質量%がより好ましい。
本実施形態の電極スラリーでは、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つである。本実施形態では、このように降伏の数を1つとすることにより、活物質粒子や導電助剤による凝集体が分散される。そのため、合剤層を形成した時に、合剤層が収縮してクラックが発生するのを抑制することができる。
せん断応力−ひずみカーブは、レオメータにより測定することができる。レオメータとしては、例えばコーンプレート型粘度計のような装置を用いることができる。せん断応力−ひずみカーブは、レオメータの上側プレートと下側プレートとの間に電極スラリーを配置し、上側プレート及び下側プレートの少なくともいずれか一方をせん断応力で制御しながら回転させることで測定することができる。そして、せん断応力に対する電極スラリーのひずみ量を測定することでせん断応力−ひずみカーブを作成することができる。
レオメータの測定条件は、例えば室温(25℃)で測定することができる。また、上側プレートと下側プレートとの間に配置する電極スラリーは、プレート間の容量に依存するが、例えば0.08mLとすることができる。また、上側プレートとしては例えば直径25mmのコーンスピンドル、下側プレートとしては例えば直径25mmの平板を用いることができる。また、プレート間の最短距離(例えばコーンスピンドルの先端と平板プレートの間の距離)は、例えば50μmとすることができる。せん断応力を制御する方法は、例えば10Paから250Paまで1Pa/秒の走査速度で連続的にせん断応力を上げることで制御することができる。
降伏はせん断応力を連続的に増加させていった場合に急激にひずみが変化する位置であることから、目視でせん断応力−ひずみカーブを確認することにより15Pa〜200Paにおける降伏の数を特定することができる。降伏の位置をより厳密に特定する場合、例えば、せん断応力−ひずみカーブにおいて、降伏の位置を挟むように配置されたベースラインの接線の交点とすることができる。なお、これらの2つの接線により形成される角度が145度以下の場合を降伏とすることができる。また、降伏の位置は、せん断応力−ひずみカーブの接線の傾きを微分したグラフにおいて極大値となる位置とすることもできる。すなわち、降伏の位置は、せん断応力−ひずみカーブを2階微分したグラフにおいて極大値となる部分としてもよい。なお、降伏は、せん断応力−ひずみカーブにおいて、ベースラインに対して明らかに凸部を形成する部分をいい、ノイズと判断されるような微小なピークは含まれない。
以上の通り、本実施形態の電極スラリーは、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を備え、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つである。このように、本実施形態の電極スラリーでは、降伏の数を2つ以上ではなく、1つとしている。そのため、本実施形態の電極スラリーでは、活物質粒子や導電助剤による凝集体が分散されている。したがって、合剤層を形成した時に、バインダが収縮して合剤層でクラックが発生するのを抑制することができる。
[電気デバイス用電極]
本実施形態の電気デバイス用電極について説明する。なお、上述した実施形態と重複する部分については説明を省略する。本実施形態の電気デバイス用電極は、基材と、合剤層と、を備える。図2に示すように、電気デバイス用電極は、正極10であっても、負極20であってもよいが、一般的に、負極合剤層の形成時にクラックを生じやすいことから、負極20場合にクラックの抑制効果が大きい。
基材は、例えば集電体とすることができる。集電体は、合剤層と、電気デバイスの外部にある外部機器などと間の電子の受け渡しを行う。集電体は、正極集電体11であっても、負極集電体21であってもよい。基材を形成する材料は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、ニッケル合金などの金属が挙げられる。これらの中でも、正極集電体11を形成する材料としてはアルミニウム(Al)を用いることが好ましく、負極集電体21を形成する材料としては銅(Cu)を用いることが好ましい。
基材の厚みは、1μm以上100μm以下であることが好ましい。基材の厚みをこのような範囲とすることにより、電気抵抗を小さくし、機械的特性を維持することができる。なお、基材の厚みは、5μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上25μm以下であることがさらに好ましい。
合剤層は上述した電極スラリーを基材に塗布して熱処理することによって形成される。具体的には、熱処理により、電極スラリー中の溶媒が揮発し、バインダ前駆体が反応してバインダとなることで合剤層が形成される。すなわち、合剤層は、活物質粒子と、導電助剤と、バインダと、を備える。合剤層は、正極合剤層12であっても、負極合剤層22であってもよい。
熱処理後の合剤層の膜厚は40μm〜150μmであることが好ましく、60μm〜100μmであることがより好ましい。合剤層の膜厚をこのような範囲とすることにより、単位面積当たりの活物質の質量を大きくすることができ、電気デバイスの単位質量当たりのエネルギー密度を向上させることができる。なお、塗工する電極スラリーの厚みが大きい場合、熱処理時の電極スラリーの収縮力が大きくなるため、合剤層にクラックが発生しやすい傾向にある。しかし、本実施形態では、降伏の数が1つになるまで電極スラリーを撹拌することにより、熱処理後の合剤層のクラックの発生を抑制することができる。
[電気デバイス]
本実施形態の電気デバイスについて説明する。なお、上述した実施形態と重複する部分については説明を省略する。本実施形態の電気デバイスは、上記電気デバイス用電極を備える。上述した電気デバイス用電極によれば、合剤層に生じるクラックを抑制することができる。そのため、上記電気デバイス用電極を備える電気デバイスによれば、合剤層のクラックがセパレータを突き破ってもう一方の電極に接触して短絡する危険性を低下することができる。そのため、本実施形態の電気デバイスによれば、信頼性の高い電気デバイスを提供することができる。
電気デバイスとしては、例えばリチウムイオン二次電池や、電気二重層キャパシタなどが挙げられる。以下、図2に示されたリチウムイオン二次電池100を例として各構成を説明する。
図2に示すように、リチウムイオン二次電池100は、正極10と、負極20と、正極10と負極20との間に配置されたセパレータ30と、を備えることができる。正極10及び負極20が上述した実施形態に係る電気デバイス用電極に相当する。なお、図2に示すように、正極10、負極20及びセパレータ30を備える単電池層40を、複数積層して電気的に並列に配置させたものを発電要素50とすることもできる。また、リチウムイオン二次電池100は、正極タブ60、負極タブ65及び外装体70などをさらに備えていてもよい。
また、本実施形態のリチウムイオン二次電池100は、図2のような形態に限定されず、例えば、集電体の一方の面に正極合剤層を配置し、集電体のもう一方の面に負極合剤層を配置したような双極型電極を含む双極型電池としてもよい。また、図2の実施形態のような積層型のリチウムイオン二次電池に限定されず、巻回型のリチウムイオン二次電池としてもよい。
(セパレータ30)
セパレータ30は、正極10と負極20との間に配置することができる。セパレータ30は、正極10と負極20とを隔離し、リチウムイオンの移動を仲介する。セパレータ30の膜厚は、内部抵抗を低減させる観点から、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmであることがより好ましい。セパレータ30には、非水電解質を含めることができる。非水電解質としては、イオン伝導性ポリマーにリチウム塩が溶解したゲル状又は固体状のポリマー電解質、並びに有機溶媒にリチウム塩が溶解した液体電解質を多孔質基体層に保持させて用いることができる。
ポリマー電解質に用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、へキサフルオロプロピレン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びこれらの共重合体等が挙げられる。
液体電解質に用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)等のカーボネート類が挙げられる。
リチウム塩としては、Li(CFSON、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiAsF、LiTaF、LiClO、LiCFSO等の化合物が挙げられる。
多孔質基体層を形成する材料は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。多孔質基体層の空孔率は、特に限定されないが、40%〜85%であることが好ましい。空孔率を40%以上とする場合、十分なイオン伝導性を得ることができる。一方、空孔率を85%以下とする場合、多孔質基体層の強度を良好に維持することができる。
(正極タブ60及び負極タブ65)
正極タブ60は、正極集電体11と、リチウムイオン二次電池100の外部の機器とを電気的に接続することができる。また、負極タブ65は、負極集電体21と、リチウムイオン二次電池100の外部の機器とを電気的に接続することができる。正極タブ60及び負極タブ65を形成する材料は特に限定されず、例えばアルミニウム、銅、チタン、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1つの金属を用いることができる。なお、正極タブ60及び負極タブ65を形成する材料は、同一であっても異なっていてもよい。
(外装体70)
外装体70は、単電池層40又は発電要素50を収容することができる。外装体70は、例えば、缶や、フィルムにより形成されたものが挙げられる。また、外装体70の形状は、特に限定されず、円筒型、角型、シート型とすることができる。特に限定されないが、小型化及び軽量化などの観点より、外装体70はフィルムにより形成されていることが好ましい。なかでも、高出力化や冷却性能の観点からは、フィルムはラミネートフィルムであることが好ましく、ラミネートフィルムはアルミニウムを含むことが好ましい。また、リチウムイオン二次電池100は扁平積層型リチウムイオン二次電池であることが好ましい。このようなリチウムイオン二次電池は、放電容量及び放熱性能を高くすることができるため、車両に搭載する場合に最適である。アルミニウムを含むラミネートフィルムの一例としては、PP/アルミニウム/ナイロンの3層ラミネートフィルムが挙げられる。
以上の通り、本実施形態の電気デバイスは、上記電気デバイス用電極を備える。そのため、本実施形態の電気デバイスによれば、信頼性の高い電気デバイスを提供することができる。
[電極スラリーの製造方法]
本実施形態の電極スラリーの製造方法について説明する。なお、上述した実施形態と重複する部分については説明を省略する。電極スラリーは、クラックが発生しないような原料や予め定められた条件で電極を作製しても、原料のロットが異なるなどした場合、合剤層にクラックが発生するおそれがある。このようなクラックは電極スラリーを一度熱処理して合剤層を形成しなければ確認することができず、生産時にクラックの発生が判明した場合には、大量の成形ロスが生じてしまうおそれがある。また、事前にサンプリングした電極スラリーを熱処理して合剤層を形成した場合であっても、多くの時間を必要とするため、効率的ではない。
そこで、本実施形態の電極スラリーの製造方法は、混合工程と、撹拌工程と、を備える。そして、撹拌工程では、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つになるまで撹拌する。本実施形態では、このような撹拌工程を備えることにより、簡易な方法で合剤層のクラックの発生を抑制し、電極の成形ロスを低減することができる電極スラリーを提供することができる。以下、本実施形態の構成について詳細に説明する。
(混合工程)
混合工程では、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を混合して混合溶液を得る。活物質粒子、導電助剤、溶媒及びバインダ前駆体は、電極スラリーの実施形態において説明したものを用いることができる。
混合方法は特に限定されず、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を公知の方法で混合することができる。混合方法としては、例えば、一軸混練機、二軸混練機、遊星式ミキサー及びニーダーなどを用いて、活物質粒子と、導電助剤と、バインダ前駆体と、を溶媒に分散することができる。なお、バインダ前駆体は事前に溶媒に分散させておく方が好ましい。
(撹拌工程)
撹拌工程では、混合溶液を、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つになるまで撹拌する。本実施形態では、このような撹拌工程を有するため、合剤層を形成する前にクラックの発生を抑制することができる。したがって、電極の成形ロスを低減することができる。
電極スラリーを撹拌する方法は特に制限されず、例えば一軸混練機、二軸混練機、遊星式ミキサー及びニーダーなどを用いて電極スラリーを撹拌することができる。
また、電極スラリーの降伏の数を1つとする方法は特に限定されないが、例えば混練機の回転速度を上げたり回転時間を長くしたりすることにより降伏の数を1つとする方法が挙げられる。
以上の通り、本実施形態の電極スラリーの製造方法は、混合工程と、撹拌工程と、を備える。混合工程では、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を混合して混合溶液を得る。撹拌工程では、混合溶液を、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つになるまで撹拌する。本実施形態では、このような工程を備えることにより、合剤層で発生するクラックの発生を簡易な方法で予測しながら電極スラリーを調整することができる。そのため、このようにして製造された電極スラリーによれば、電極の成形ロスを低減することができる。
[電気デバイス用電極の製造方法]
本実施形態の電気デバイス用電極の製造方法について説明する。なお、上述した実施形態と重複する部分については説明を省略する。本実施形態の電気デバイス用電極の製造方法は、上述した電極スラリーの製造方法により製造された電極スラリーを、基材に塗工及び熱処理して合剤層を形成する合剤層形成工程を備える。具体的には、本実施形態の電気デバイス用電極の製造方法は、混合工程と、撹拌工程と、合剤層形成工程と、を備える。混合工程と撹拌工程については、電極スラリーの製造方法と同様の工程とすることができる。すなわち、混合工程では、活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を混合して混合溶液を得る。また、撹拌工程では、混合溶液を、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つになるまで撹拌して電極スラリーを得る。
(合剤層形成工程)
合剤層形成工程は、撹拌工程で降伏が1つになった電極スラリーを、基材に塗工及び熱処理して合剤層を形成する。すなわち、合剤層形成工程では、電極スラリーを、基材に塗工及び熱処理して合剤層を形成する。このような塗工及び熱処理により、基材に塗工した電極スラリーは合剤層を形成することができる。
電極スラリーを基材に塗工する方法は特に限定されず、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。
電極スラリーは、基材の少なくとも一方の面に塗工することができる。電極スラリーを塗工する厚みや面積は特に限定されず、電極スラリーの性質や電極の用途に応じて適宜調整すればよい。
基材に塗工した電極スラリーを熱処理する方法は特に限定されず、ホットプレート法、温風乾燥法、真空乾燥法、遠赤外線乾燥法などの公知の方法を使用することができる。
本実施形態において、熱処理は、溶媒を揮発する乾燥工程と、バインダ前駆体を反応させてバインダとする反応工程を含めることができる。これらの工程は、1回でまとめて実施してもよく、それぞれ複数回に分けて実施してもよい。
乾燥工程では、塗工した電極スラリー中の溶媒を揮発させることができる。電極スラリー中の溶媒の揮発は、複数回に分けて実施してもよく、例えば、集電体の一方の面に配置した場合は1回、両面に配置した場合は2回実施してもよい。
乾燥工程の温度は特に限定されないが、60℃〜130℃が好ましく、70℃〜110℃がより好ましい。乾燥温度をこのような範囲とすることにより、信頼性が高くかつ高い生産性で合剤層の溶媒を揮発させることができる。また、乾燥工程は、溶媒の揮発を促進させるため、減圧下で実施してもよい。
反応工程の温度は特に限定されないが、120℃〜350℃が好ましく、200℃〜320℃がより好ましい。反応温度をこのような範囲とすることにより、信頼性が高くかつ高い生産性で合剤層を形成することができる。なお、反応工程は、残留溶媒の揮発を促進させるため、減圧下で実施してもよい。
熱処理により形成された合剤層は、電極の密度を向上させるため、必要に応じてプレスしてもよい。プレス工程は特に限定されず、例えばカレンダーロール、平板プレスなどを用いることができる。
以上の通り、本実施形態の電気デバイス用電極の製造方法は、上述した電極スラリーの製造方法により製造された電極スラリーを、基材に塗工及び熱処理して合剤層を形成する合剤層形成工程を備える。本実施形態の電気デバイス用電極の製造方法によれば、合剤層でのクラックの発生を抑制することができる。
[電気デバイスの製造方法]
本実施形態の電気デバイスの製造方法は、上記電気デバイス用電極の製造方法を備える。上述した電気デバイス用電極の製造方法によれば、合剤層でのクラックの発生を抑制することができる。そのため、上記電気デバイス用電極の製造方法により製造された電極を用いて電気デバイスを製造することにより、クラックがセパレータを突き破ってもう一方の電極に接触して短絡する危険性を低下することができる。そのため、本実施形態の電気デバイスの製造方法によれば、信頼性の高い電気デバイスを提供することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
活物質64質量部と、導電助剤を合計4質量部と、固形分濃度20質量%のバインダ前駆体分散液38.7質量部と、溶媒26.2質量部と、を混合して混合溶液を得た。なお、活物質はシリコン合金、導電助剤はアセチレンブラックとカーボンファイバを同量用い、バインダ前駆体はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を分散媒としたポリアミック酸、溶媒はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。
次に、薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス株式会社製のフィルミックス(登録商標)56−30型)の回転子(ホイール)を6m/秒で300秒間回転させ、上述のようにして得られた混合溶液を撹拌し、電極スラリーを得た。
上述のようにして得られた電極スラリーの一部をサンプリングし、レオメータにてせん断応力−ひずみカーブを作成したところ、降伏は約25Paの位置に1つだけ確認できた。この結果を図3に示す。
次に、集電体の一方の面に、乾燥後の合剤層の厚さが50μmとなるように、アプリケータにて100mm/分の塗工速度で上記電極スラリーを均一に塗工した。なお、集電体は、厚さが12μmの銅合金箔を用いた。
次に、集電体に塗工した電極スラリーを真空中で24時間乾燥させ、さらに真空中300℃で1時間乾燥焼成を行うことにより合剤層を形成し、電極を得た。
[比較例1]
回転子(ホイール)を6m/秒で180秒間回転させた以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。なお、電極スラリーの一部をサンプリングし、レオメータにてせん断応力−ひずみカーブを作成したところ、降伏は約18Paと約44Paの位置に2つ確認できた。この結果を図3に示す。
[比較例2]
回転子(ホイール)を6m/秒で60秒間回転させた以外は、実施例1と同様にして電極を作製した。なお、電極スラリーの一部をサンプリングし、レオメータにてせん断応力−ひずみカーブを作成したところ、降伏は約22Paと約47Paの位置に2つ確認できた。この結果を図3に示す。
[評価]
降伏の数及びクラックの有無は以下のようにして評価した。
[降伏の数]
降伏の数は、レオメータにより以下の条件で電極スラリーにせん断応力を連続的に増加させながら加え、そのときのひずみを測定することによりせん断応力−ひずみカーブを作成し、このグラフから降伏の数を評価した。この結果を図3に示す。
測定装置:コーンプレート型粘度計(BROOKFIELD製 R/Sレオメータ)
測定温度:室温(25℃)
試料量:0.08mL
上側プレート:直径25mmの円錐板(型式:RC3−25−1)
下側プレート:直径25mmの平板
プレート間の距離:50μm
応力測定範囲:10Pa〜250Pa
走査速度:+1Pa/秒
[クラックの有無]
実施例及び比較例の電極について、合剤層表面の外観を目視にて確認した。実施例1及び比較例2の結果をそれぞれ図4及び図5に示す。
Figure 0006943129
実施例1の電極スラリーは十分に撹拌されており、せん断応力−ひずみカーブにおいて1つしか降伏が確認できなかった。そのため、図4に示すように、熱処理後の合剤層にクラックは確認できなかった。一方、比較例1及び比較例2の電極スラリーは撹拌時間が十分でないため、せん断応力−ひずみカーブに2の降伏が確認された。そのため、図5に示される比較例2のように乾燥後の合剤層にクラックが発生した。
以上、本発明を実施例及び比較例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
10 正極(電気デバイス用電極)
11 正極集電体(基材)
12 正極合剤層(合剤層)
20 負極(電気デバイス用電極)
21 負極集電体(基材)
22 負極合剤層(合剤層)
100 リチウムイオン二次電池(電気デバイス)

Claims (7)

  1. 活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を備え、
    レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つである電極スラリー。
  2. 前記活物質粒子はシリコン系粒子であり、前記導電助剤はカーボン粒子であり、前記溶媒は有機溶媒である請求項1に記載の電極スラリー。
  3. 前記溶媒はN−メチル−2−ピロリドンである請求項1又は2に記載の電極スラリー。
  4. 前記バインダ前駆体は高分子前駆体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極スラリー。
  5. 前記バインダ前駆体はポリアミック酸である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極スラリー。
  6. 活物質粒子と、導電助剤と、溶媒と、バインダ前駆体と、を混合して混合溶液を得る混合工程と、
    前記混合溶液を、レオメータにより測定したせん断応力−ひずみカーブの15Pa〜200Paにおける降伏の数が1つになるまで撹拌する撹拌工程と、
    を備える電極スラリーの製造方法。
  7. 請求項6に記載の電極スラリーの製造方法により製造された電極スラリーを、基材に塗工及び熱処理して合剤層を形成する合剤層形成工程を備える電気デバイス用電極の製造方法。
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