以下に、本発明に係る車室内照明システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る車室内照明システムの実施形態の1つを図1から図12に基づいて説明する。
図1及び図2の符号1は、本実施形態の車室内照明システムを示す。本実施形態の車室内照明システム1は、車両の車室内Ra(図2)での照明を制御するものである。この車室内照明システム1は、車室内Raに設けた光源と、この光源を制御する制御装置と、車室内の乗員の年齢を推定する年齢推定装置と、を少なくとも備える。この車室内照明システム1において、制御装置は、乗員の年齢に応じて光源の照度及び光色を制御する。以下に、この車室内照明システム1について、その光源の様々な例示と共に具体的に説明する。尚、ここでは、車両として、自動車を例に挙げている。
車室内照明システム1は、車室内Raにおいて、座席S(図2)に着座している乗員やその乗員の手元を少なくとも照らすことができる。ここで、例えば、自動運転車等においては、複数の乗員で共用可能な机T(図2)が車室内Raに設けられている場合がある。車室内照明システム1は、その場合、机Tの上を照らすように構成してもよい。本実施形態の車室内照明システム1は、それぞれの座席S毎の照明の制御と机Tの上の照明の制御とを行うことができる。
本実施形態の車室内照明システム1は、車室内Raにおいて、座席Sに着座している乗員やその乗員の手元を座席S毎に照らすことができると共に、机Tの上を照らすことができる。車室内照明システム1は、そのような照明を可能にするべく、車両の車室内Raに少なくとも1つの照明装置10を備える(図1)。その照明装置10は、車室内Raの天井等に設置する。
照明装置10は、座席S用の光源(以下、「座席用光源」という。)11と机T用の光源(以下、「机上用光源」という。)12とを共に備えるものであってもよく、座席S用と机T用とに分けて設けられたものであってもよい。車室内照明システム1は、前者の場合、照明装置10を1つ備え、後者の場合、座席S用と机T用とで照明装置10を少なくとも2つ備える。ここでは、照明装置10として、座席S用の照明装置(以下、「座席用照明装置」という。)10Aと、机T用の照明装置(以下、「机上用照明装置」という。)10Bと、が設けられている(図1及び図2)。
更に、座席用照明装置10Aについては、全ての座席Sの座席用光源11を備えるものであってもよい。この場合、車室内照明システム1は、座席用照明装置10Aを1つ備える。また、座席用照明装置10Aは、全ての座席Sの座席用光源11の内の複数を備えるものであってもよい。この場合、車室内照明システム1は、複数の座席Sの座席用光源11の組み合わせ毎に座席用照明装置10Aを備える。また、座席用照明装置10Aは、座席S毎に設けられたものであってもよい。この場合、車室内照明システム1は、座席S毎の座席用照明装置10Aを備える。ここでは、座席用照明装置10Aとして、車両前側の座席(前席)Sf1,Sf2,Sf3の第1座席用照明装置10Aaと、車両後側の座席(後席)Sr1,Sr2,Sr3の第2座席用照明装置10Abと、が設けられている(図2)。この例示の第1座席用照明装置10Aaは、3つの座席(前席)Sf1,Sf2,Sf3毎の座席用光源11a,11b,11cを備えている。また、この例示の第2座席用照明装置10Abは、3つの座席(後席)Sr1,Sr2,Sr3毎の座席用光源11d,11e,11fを備えている。
机上用光源12は、机Tの上を全体的に照らすものであってもよく、机Tの上の所定領域を照らすものであってもよい。車室内照明システム1は、例えば、前者の場合、机上用光源12を1つ備え、後者の場合、机Tの上を複数に区分けした所定領域毎に机上用光源12を備える。後者の場合には、例えば、乗員の着座位置に隣接している領域を所定領域に設定し、この所定領域を机上用光源12で照らす。ここでは、机Tの上を全体的に照らす机上用光源12が設けられている(図2)。
このように、本実施形態の車室内照明システム1は、乗員の座席Sf1−Sf3,Sr1−Sr3毎に設けた座席用光源11a−11fと、机Tの上を照らす1つの机上用光源12と、を備えている。その座席用光源11a−11fと机上用光源12には、照度と光色を変更することができるものを用いる。ここでは、基準照度と上限照度(例えば、基準照度の2倍の照度)の範囲内で照度を変更することができ、かつ、電球色(色温度3000K)と昼光色(色温度6500K)の範囲内で光色を変更することができる座席用光源11a−11fと机上用光源12を用いている。この例示では、座席用光源11a−11fと机上用光源12として、発光ダイオードを利用する。基準照度は、例えば、従来の車両の車室内に設けられている光源の変更不能な照度(40lx等)に設定する。
本実施形態の車室内照明システム1は、その座席用光源11a−11fと机上用光源12とを制御する制御装置20を備える(図1及び図2)。
制御装置20は、所定信号の入力を契機にして作動し、座席用光源11a−11fと机上用光源12とを制御する。例えば、この例示の車室内Raには、座席用光源11a−11fの制御の始動及び停止を行う座席照明スイッチ31と、机上用光源12の制御の始動及び停止を行う机上照明スイッチ32と、が設けられている(図1及び図2)。座席照明スイッチ31と机上照明スイッチ32は、各々、乗員による操作が可能な所謂オンオフスイッチであり、乗員のオン操作に伴ってオン信号を制御装置20に送信し、乗員のオフ操作に伴って制御装置20へのオン信号の送信を停止する。
制御装置20は、座席照明スイッチ31のオン操作に伴うオン信号を受信したときに、座席用光源11a−11fの制御を開始し、そのオン信号を受信していなければ、座席用光源11a−11fの制御を停止する。車室内照明システム1は、全ての座席用光源11a−11fの制御の契機となるべく1つの座席照明スイッチ31で賄ってもよく、座席用光源11a−11f毎に座席照明スイッチ31を設けてもよい。ここでは、1つの座席照明スイッチ31に対するオン操作が全ての座席用光源11a−11fの制御の契機となる。よって、制御装置20は、座席照明スイッチ31からオン信号を受信したときに、全ての座席用光源11a−11fの制御を開始し、そのオン信号を受信していなければ、全ての座席用光源11a−11fの制御を停止する。
また、制御装置20は、机上照明スイッチ32のオン操作に伴うオン信号を受信したときに、机上用光源12の制御を開始し、そのオン信号を受信していなければ、机上用光源12の制御を停止する。尚、制御装置20は、複数の机上用光源12毎に机上照明スイッチ32が設けられている場合、机上照明スイッチ32からオン信号を受信したときに、その机上照明スイッチ32に対応する机上用光源12の制御を開始し、そのオン信号を受信していなければ、その机上照明スイッチ32に対応する机上用光源12の制御を停止する。
ここで、制御装置20は、イグニッションオン信号又はドアロック解除信号を受信したときに、座席用光源11a−11fの制御を開始するように構成してもよい。これと同様に、制御装置20は、イグニッションオン信号又はドアロック解除信号を受信したときに、机上用光源12の制御を開始するように構成してもよい。
本実施形態の制御装置20は、乗員の着座位置と年齢に応じて座席用光源11(11a−11f)を制御する。よって、本実施形態の車室内照明システム1は、車室内Raの乗員の着座位置を検出する乗員検出装置41と、車室内Raの乗員の年齢を推定する年齢推定装置42と、を備える(図1及び図2)。
乗員検出装置41には、この技術分野で周知のものを用いればよい。例えば、乗員検出装置41は、座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)の座面に掛かる荷重を検出する荷重センサ、又は、その座面に掛かる圧力を検出する圧力センサなどのセンサを備える。この種の乗員検出装置41は、そのセンサを座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)毎に設ける。制御装置20は、それぞれのセンサからの入力信号に基づいて、乗員の有無と着座位置を検出することができる。また、乗員検出装置41は、カメラ等の撮像装置を備えるものであってもよい。撮像装置は、座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)毎に設けてもよく、全ての座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)の撮像が可能なものを1つ設けてもよく、複数の座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)毎に区分けしたものを複数設けてもよい。制御装置20は、その撮像装置から入力された撮像画像情報を解析して、乗員の有無と着座位置を検出することができる。
また、年齢推定装置42には、この技術分野で周知のものを用いればよい。例えば、年齢推定装置42は、カメラ等の撮像装置を備える。撮像装置は、座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)毎に設けてもよく、全ての座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)の撮像が可能なものを1つ設けてもよく、複数の座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)毎に区分けしたものを複数設けてもよい。制御装置20は、その撮像装置から入力された撮像画像情報を解析して、乗員の年齢を推定する。制御装置20は、撮像装置の撮像画像情報から認識した乗員の顔を解析して年齢を推定することができる。この場合には、少なくとも乗員の顔を撮像できるように撮像装置が設置される。また、制御装置20は、撮像装置の撮像画像情報から認識した乗員の動作速度に基づいて年齢を推定することができる。この場合には、乗員の全身を撮像できるように撮像装置が設置される。
ここでは、乗員検出装置41と年齢推定装置42とで共用可能な撮像装置45(図2)を利用して、乗員の着座位置の検出と乗員の年齢の推定とを行う。
具体的に、本実施形態の制御装置20は、乗員の着座位置と年齢に応じて、この乗員が着座している座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)に対応させた座席用光源11(11a−11f)の照度及び光色を制御する。この制御装置20は、乗員の年齢が高いほど又は乗員の年齢層が高いほど座席用光源11(11a−11f)の照度を上げる。そして、この制御装置20は、乗員の年齢が高いほど又は乗員の年齢層が高いほど座席用光源11(11a−11f)の色温度を下げる。
本実施形態の車室内照明システム1においては、乗員を年齢層で複数に区分けし、その年齢層毎に座席用光源11(11a−11f)の照度と光色を制御する。ここでは、所定年齢を境にして低年齢層と高年齢層とに大別する。この例示では、40歳を境にして低年齢層と高年齢層とに大別している(図3)。
制御装置20は、乗員が低年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度に設定し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を昼光色(色温度6500K)から昼白色(色温度5000K)の間で設定する。
一方、制御装置20は、乗員が高年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度と光色を低年齢層の場合とは別のものに変更する。ここでは、高年齢層の乗員を更に細分化する。この例示では、40歳代、50歳代、60歳代、70歳以上の4つの年齢層に高年齢層を区分けしている。
この例示の制御装置20は、乗員が40歳代の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の25%増しに設定し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を昼白色(色温度5000K)から白色(色温度4200K)の間で設定する。また、この例示の制御装置20は、乗員が50歳代の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の50%増しに設定し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を白色(色温度4200K)から温白色(色温度3500K)の間で設定する。
ここで、この例示の制御装置20は、乗員が60歳代の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の75%増しに設定し、乗員が70歳以上の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の100%増しに設定する。一方、この例示では、座席用光源11(11a−11f)の光色について、60歳代の年齢層と70歳以上の年齢層とを1つの年齢層として考える。よって、この例示の制御装置20は、乗員が60歳以上の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の光色を温白色(色温度3500K)から電球色(色温度3000K)の間で設定する。
更に、本実施形態の制御装置20は、乗員の年齢に応じて机上用光源12を制御する。具体的に、この制御装置20は、乗員の年齢に応じて机上用光源12の照度及び光色を制御する。この制御装置20は、乗員の年齢が高いほど又は乗員の年齢層が高いほど机上用光源12の照度を上げる。そして、この制御装置20は、乗員の年齢が高いほど又は乗員の年齢層が高いほど机上用光源12の色温度を下げる。また、本実施形態の制御装置20は、車室内Raに複数の乗員が乗り込んでいる場合、その複数の乗員の年齢に応じて机上用光源12を制御する。この場合の制御装置20は、机上用光源12を制御する際に、複数の乗員の内の最高齢者又は最高齢者層に合わせて机上用光源12の照度及び光色を制御する。
本実施形態の車室内照明システム1においては、座席用光源11(11a−11f)の制御のときと同じように、乗員を年齢層で複数に区分けし、その年齢層毎に机上用光源12の照度と光色を制御する。ここでは、その年齢層についても座席用光源11(11a−11f)の制御のときと同じ区分にしており、低年齢層(39歳以下)と高年齢層(40歳代、50歳代、60歳代、70歳以上)とに区分けされている(図3)。また、机上用光源12の照度及び光色は、それぞれの年齢層毎に座席用光源11(11a−11f)の照度及び光色と同じ設定になっている(図3)。
以下に、この車室内照明システム1の座席用光源11(11a−11f)の制御動作を図4のフローチャートに基づいて説明する。
制御装置20は、座席照明スイッチ31のオン操作によって座席用光源11(11a−11f)の制御を開始する。この制御装置20は、乗員検出装置41からの入力信号に基づいて、車室内Raの乗員の着座位置を検出する(ステップST1)。そして、この制御装置20は、年齢推定装置42からの入力信号に基づいて、着座している乗員の年齢を推定する(ステップST2)。
制御装置20は、ステップST2の推定結果に基づいて、座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)に着座している乗員の年齢層が低年齢層(39歳以下)か否かを判定する(ステップST3)。
制御装置20は、乗員の年齢層が低年齢層の場合、その乗員の着座している座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)の座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度に制御し、かつ、この座席用光源11(11a−11f)の光色を昼光色(色温度6500K)から昼白色(色温度5000K)の範囲内で制御する(ステップST4)。座席用光源11(11a−11f)の光色については、その範囲内で、例えば、乗員の年齢、昼夜等の時間帯等に応じて設定する。この光色の設定は、他の年齢層の場合でも同様にして行う。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、光色を昼光色よりも昼白色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ40歳代の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の25%増しに制御し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を昼白色(色温度5000K)から白色(色温度4200K)の範囲内で制御する(ステップST5)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、座席用光源11(11a−11f)の光色を昼白色よりも白色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ50歳代の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の50%増しに制御し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を白色(色温度4200K)から温白色(色温度3500K)の範囲内で制御する(ステップST6)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、座席用光源11(11a−11f)の光色を白色よりも温白色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ60歳代の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の75%増しに制御し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を温白色(色温度3500K)から電球色(色温度3000K)の範囲内で制御する(ステップST7)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、座席用光源11(11a−11f)の光色を温白色よりも電球色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ70歳以上の年齢層の場合、座席用光源11(11a−11f)の照度を基準照度の100%増しに制御し、かつ、座席用光源11(11a−11f)の光色を温白色(色温度3500K)から電球色(色温度3000K)の範囲内で制御する(ステップST8)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、座席用光源11(11a−11f)の光色を温白色よりも電球色に近づける。
このように、本実施形態の車室内照明システム1は、乗員の着座位置と年齢に応じて座席用光源11(11a−11f)の照度と光色を制御するので、その乗員に好適な照明を提供することができる。例えば、人は、加齢と共に視力の衰えや眼球の水晶体の黄変等が進行する。よって、従来の車室内Raの照明は、これを最適なものとして捉える者もいれば、見難さを覚える者もいる。しかしながら、本実施形態の車室内照明システム1は、乗員の年齢に応じて座席用光源11(11a−11f)の照度と光色を変更するので、如何様な年齢層の乗員にも適した照明で照らすことができる。
図5は、4つの座席Sf1,Sf3,Sr1,Sr3に乗員が着座しており、それぞれの乗員に向けて座席用光源11a,11c,11d,11fの光が照射されているイメージ図である。図6は、2つの座席Sf1,Sr3に乗員が着座しており、それぞれの乗員に向けて座席用光源11a,11fの光が照射されているイメージ図である。
ところで、本実施形態の制御装置20は、撮像装置45の撮像画像情報に基づいて、車室内Raでの乗員の動作を推定することができる。そこで、制御装置20は、座席用光源11(11a−11f)の照度及び光色の制御と共に、乗員の動作に応じて座席用光源11(11a−11f)の光の照射範囲を制御してもよい。
図7は、それぞれの座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)における座席用光源11(11a−11f)の最小照射光(所謂スポット光)と最大照射光(所謂ワイド光)とを示すイメージ図である。最小照射光については、実線で表している。最大照射光については、破線で表している。制御装置20は、その照射光の範囲の中で座席用光源11(11a−11f)の光の照射範囲を変えることができる。
図8は、それぞれの座席S(Sf1−Sf3,Sr1−Sr3)における座席用光源11(11a−11f)の光(ここでは、上記の最小照射光を例示している。)と、その光の可動範囲と、を示すイメージ図である。本図では、光の可動範囲を一点鎖線で表している。制御装置20は、その可動範囲の中で最小照射光の位置を変化させることで、座席用光源11(11a−11f)の光の照射範囲を変えることができる。
例えば、制御装置20は、乗員が読書したり、書類を見たり、タブレット等の可搬型の電子機器を動作させていたりしている場合、乗員よりも書籍、書類や電子機器に焦点を合わせて座席用光源11(11a−11f)の光を照射させてもよい。また、制御装置20は、乗員が書き物をしている場合、この乗員の手元に焦点を合わせて座席用光源11(11a−11f)の光を照射させてもよい。また、制御装置20は、乗員がくつろいでいる場合、この乗員の顔を除いた場所に焦点を合わせて座席用光源11(11a−11f)の光を照射させてもよい。図6は、2つの座席Sf1,Sr3に乗員が着座しており、座席Sf1の乗員に向けて座席用光源11aの最小照射光が照射され、かつ、座席Sr3に乗員に向けて座席用光源11fの最大照射光が照射されているイメージ図である。
次に、この車室内照明システム1の座席用光源11(11a−11f)の制御動作の変形形態を図9のフローチャートに基づいて説明する。
制御装置20は、イグニッションオン信号又はドアロック解除信号を受信したときに座席用光源11(11a−11f)の制御を開始する。この制御装置20は、乗員検出装置41からの入力信号に基づいて、車室内Raの乗員の有無を判定する(ステップST11)。制御装置20は、乗員が存在していなければ、例えばイグニッションオフになるまで、このステップST11を繰り返す。
制御装置20は、乗員が存在していれば、乗員検出装置41からの入力信号に基づいて、乗員の着座位置を検出する(ステップST12)。そして、この制御装置20は、年齢推定装置42からの入力信号に基づいて、着座している乗員の年齢を推定する(ステップST13)。
制御装置20は、ステップST13の推定結果に基づいて、乗員の年齢層に応じた座席用光源11(11a−11f)の照度と光色の制御を行う(ステップST14−ST19)。そのステップST14−ST19は、先に示したステップST3−ST8と同じなので、ここでの説明を省略する。
このように、本実施形態の車室内照明システム1は、イグニッションオン信号又はドアロック解除信号をシステム起動の契機とするものであっても、乗員の着座位置と年齢に応じて座席用光源11(11a−11f)の照度と光色を制御するので、その乗員に好適な照明を提供することができる。
次に、この車室内照明システム1の机上用光源12の制御動作を図10のフローチャートに基づいて説明する。
制御装置20は、例えば、机上照明スイッチ32のオン操作によって机上用光源12の制御を開始する。この制御装置20は、乗員検出装置41からの入力信号に基づいて、車室内Raの乗員の着座位置を検出する(ステップST21)。そして、この制御装置20は、年齢推定装置42からの入力信号に基づいて、着座している乗員の年齢を推定する(ステップST22)。
続いて、制御装置20は、車室内Raの乗員が1人か否かを判定する(ステップST23)。
制御装置20は、車室内Raの乗員が1人の場合、ステップST22の推定結果に基づいて、その乗員の年齢層が低年齢層(39歳以下)か否かを判定する(ステップST24)。
制御装置20は、乗員の年齢層が低年齢層の場合、机上用光源12の照度を基準照度に制御し、かつ、この机上用光源12の光色を昼光色(色温度6500K)から昼白色(色温度5000K)の範囲内で制御する(ステップST25)。机上用光源12の光色については、その範囲内で、例えば、乗員の年齢、昼夜等の時間帯等に応じて設定する。この光色の設定は、他の年齢層の場合でも同様にして行う。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、光色を昼光色よりも昼白色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ40歳代の年齢層の場合、机上用光源12の照度を基準照度の25%増しに制御し、かつ、机上用光源12の光色を昼白色(色温度5000K)から白色(色温度4200K)の範囲内で制御する(ステップST26)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、机上用光源12の光色を昼白色よりも白色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ50歳代の年齢層の場合、机上用光源12の照度を基準照度の50%増しに制御し、かつ、机上用光源12の光色を白色(色温度4200K)から温白色(色温度3500K)の範囲内で制御する(ステップST27)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、机上用光源12の光色を白色よりも温白色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ60歳代の年齢層の場合、机上用光源12の照度を基準照度の75%増しに制御し、かつ、机上用光源12の光色を温白色(色温度3500K)から電球色(色温度3000K)の範囲内で制御する(ステップST28)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、机上用光源12の光色を温白色よりも電球色に近づける。
制御装置20は、乗員の年齢層が高年齢層で且つ70歳以上の年齢層の場合、机上用光源12の照度を基準照度の100%増しに制御し、かつ、机上用光源12の光色を温白色(色温度3500K)から電球色(色温度3000K)の範囲内で制御する(ステップST29)。例えば、制御装置20は、乗員の年齢が高いほど、机上用光源12の光色を温白色よりも電球色に近づける。
一方、制御装置20は、ステップST23で車室内Raの乗員が1人ではないと判定した場合、ステップST22の推定結果に基づいて、その複数の乗員の中から最高齢者を特定する(ステップST30)。
制御装置20は、ステップST24に進み、その最高齢の乗員の年齢層が低年齢層(39歳以下)か否かを判定する。これ以降、制御装置20は、その判定結果に基づいてステップST25−ST29の演算処理を行う。
このように、本実施形態の車室内照明システム1は、乗員の年齢に応じて机上用光源12の照度と光色を制御するので、その乗員に好適な照明を机Tの上で提供することができる。例えば、この車室内照明システム1は、その机Tを複数の乗員で囲んで会話等を行っているときに、相対的な比較として目の弱い最高齢者に合わせた照明で机Tの上を照らすことができる。
図5は、4つの座席Sf1,Sf3,Sr1,Sr3の座席用光源11a,11c,11d,11fの光と共に、机上用光源12の光が照射されているイメージ図である。
ところで、本実施形態の制御装置20は、机上用光源12の照度及び光色の制御と共に、乗員の着座位置に応じて机上用光源12の光の照射範囲を制御してもよい。
図7は、座席用光源11(11a−11f)の光と共に、机上用光源12の最小照射光(所謂スポット光)と最大照射光(所謂ワイド光)とを示すイメージ図である。最小照射光については、実線で表している。最大照射光については、破線で表している。制御装置20は、その照射光の範囲の中で机上用光源12の光の照射範囲を変えることができる。
図8は、座席用光源11(11a−11f)の光と共に、机上用光源12の光(ここでは、上記の最小照射光を例示している。)と、その光の可動範囲と、を示すイメージ図である。本図では、光の可動範囲を一点鎖線で表している。制御装置20は、その可動範囲の中で最小照射光の位置を変化させることで、机上用光源12の光の照射範囲を変えることができる。
例えば、制御装置20は、机Tの上における乗員の着座位置に近い領域のみを机上用光源12の最小照射光で照らすことができる。
ここで、その机上用光源12は、車室内Raを全体的に照らす室内灯の光源を利用してもよい。この場合、制御装置20は、乗員の年齢に応じて室内灯の光源(机上用光源12)を制御することができる。
この車室内照明システム1における室内灯の光源(机上用光源12)の制御動作を図11のフローチャートに基づいて説明する。
制御装置20は、イグニッションオン信号又はドアロック解除信号を受信したときに室内灯の光源(机上用光源12)の制御を開始する。この制御装置20は、乗員検出装置41からの入力信号に基づいて、車室内Raの乗員の有無を判定する(ステップST31)。
制御装置20は、乗員が存在していなければ、室内灯の光源(机上用光源12)を所定の照度と光色に制御する。ここでは、乗員の年齢層が低年齢層の場合と同じように、その光源(机上用光源12)の照度を基準照度に制御し、かつ、この光源(机上用光源12)の光色を昼光色(色温度6500K)から昼白色(色温度5000K)の範囲内で制御する(ステップST32)。制御装置20は、このステップST32の制御動作の後、ステップST31に戻る。
制御装置20は、ステップST31で乗員が存在していると判定した場合、乗員検出装置41からの入力信号に基づいて、乗員の着座位置を検出する(ステップST33)。そして、この制御装置20は、年齢推定装置42からの入力信号に基づいて、着座している乗員の年齢を推定する(ステップST34)。
続いて、制御装置20は、車室内Raの乗員が1人か否かを判定する(ステップST35)。
制御装置20は、車室内Raの乗員が1人の場合、ステップST34の推定結果に基づいて、乗員の年齢層に応じた室内灯の光源(机上用光源12)の照度と光色の制御を行う(ステップST36−ST41)。そのステップST36−ST41は、先に示した机上用光源12の制御におけるステップST24−ST29と同じなので、ここでの説明を省略する。
一方、制御装置20は、ステップST35で車室内Raの乗員が1人ではないと判定した場合、ステップST34の推定結果に基づいて、その複数の乗員の中から最高齢者を特定する(ステップST42)。
制御装置20は、ステップST36に進み、その最高齢の乗員の年齢層が低年齢層(39歳以下)か否かを判定する。これ以降、制御装置20は、その判定結果に基づいてステップST37−ST41の演算処理を行う。
このように、本実施形態の車室内照明システム1は、乗員の年齢に応じて室内灯の光源(机上用光源12)の照度と光色を制御するので、その乗員に好適な照明を車室内Raで提供することができる。
更に、本実施形態の車室内照明システム1は、座席用光源11(11a−11f)と机上用光源12と室内灯の光源(机上用光源12)の内の少なくとも1つの照度と光色を乗員が手動で変更できるように構成してもよい。この場合の車室内照明システム1は、その手動変更のために、照度を有段又は無段で変更可能な照度変更スイッチ51と、光色を有段又は無段で変更可能な光色変更スイッチ52と、を備える(図12)。
ここでは、座席用光源11(11a−11f)の照度を変更するための第1照度変更スイッチ51Aと、室内灯の光源(机上用光源12)の照度を変更するための第2照度変更スイッチ51Bと、を備えている。第2照度変更スイッチ51Bは、机Tの上を照らす光の照度の変更が可能であると共に、室内灯としての光の照度の変更が可能である。また、ここでは、座席用光源11(11a−11f)の光色を変更するための第1光色変更スイッチ52Aと、室内灯の光源(机上用光源12)の光色を変更するための第2光色変更スイッチ52Bと、を備えている。第2光色変更スイッチ51Bは、机Tの上を照らす光の光色の変更が可能であると共に、室内灯としての光の光色の変更が可能である。
以上示したように、本実施形態の車室内照明システム1は、乗員の年齢に応じて車室内Raの光源の照度と光色を制御するので、その乗員に好適な照明を車室内Raで提供することができる。