JP6942350B2 - 抗ウイルス剤及び抗ウイルス用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、抗ウイルス剤及び抗ウイルス用組成物などに関し、特にノロウイルス(NV) またはインフルエンザウイルス(IFV)に対する薬剤に関する。
一般に、ウイルスは20ナノメートル〜300ナノメートル程度の大きさからなる微小な粒子であって、主としてタンパク質からなるカプシドと、その内部にある核酸(DNAまたはRNA)から構成されている。ウイルスの複製は、殆ど全ての作用を宿主細胞に依存している。ウイルスが宿主細胞の内部に侵入すると、カプシド内の核酸を放出した後、ウイルスを構成する要素が複製される。その過程において、ウイルス特異的な酵素を必要とする。宿主細胞内で作製された新たなウイルス粒子は、その宿主細胞から放出され、他の宿主細胞に感染する。
ウイルスには、ゲノムとしてDNAを有するDNAウイルスと、RNAを有するRNAウイルスとに大別される。このうち、RNAウイルスには、ノロウイルス(NV)、インフルエンザウイルス(IFV)などがある。
NVは、消化器疾患である感染性胃腸炎を引き起こすウイルスであって、カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になる。NVは、感染者の糞便や吐瀉物、それらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。NVの集団感染は、世界各地の学校や乳幼児施設、高齢者施設などで散発的に発生しており、脱水症状から重症となって死亡する例もある。NVは、核酸の変異を繰り返して、ヒトからヒトへ感染するよう変異することがあり、新型のNVが大流行することがある。このため、新規メカニズムのNV治療剤の開発が行われている(特許文献1)。
また、IFVは、呼吸器感染症であるインフルエンザを引き起こす。日本国では、毎年冬に数百万人のインフルエンザ患者が報告されており、高い罹患率と死亡率を伴う。特に、乳幼児や高齢者にとっては重要な疾患であって、高齢者では肺炎の合併率が高く、死亡者の多くが高齢者である。インフルエンザ治療剤については、有効性が認知されている一方で、副作用や耐性株の出現等の問題がある。また、アマンタジンでは、A型ウイルスのM2蛋白を阻害する効果があるがB型ウイルスの蛋白には結合できず効果がない等、同じ活性成分でもウイルスの型によって効果が異なることが知られている。このように、IFVに有効で安全性の高い薬剤は少ないうえに、耐性ウイルスの出現なども問題視されているため、新規メカニズムの抗IFV剤の開発が行われている(特許文献1)。
一方、アオサなどに含まれるラムナン硫酸に関する研究開発が行われている(特許文献2,3)。ラムナン硫酸は、ラムノースを構成単糖の主成分とする硫酸化多糖類であり、数十万〜数百万程度の分子量で天然に広く分布している。ラムナン硫酸には、血糖値上昇抑制効果や血管障害改善効果などが知られている。
特開2017−193520号公報 特開2008−184390号公報 特開2009−057283号公報
ヒトノロウイルスの代替としてマウスノロウイルスを用いた消毒薬による不活化効果、環境感染誌, p388-p394, Vol.24, No,6 (2009) Defensive effects of a fucoidan from brown alga Undaria pinnatifida against herpes simplex virus infection. Int Immunopharmacol. p109-16, Vol.8 (2008)
しかしながら、NVやIFVに対して効果的な薬剤は開発されていない状態であった。また、ラムナン硫酸については、生体に対する効果が十分に研究されていなかった。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規な抗ウイルス剤及び抗ウイルス用組成物など、特にノロウイルス(NV) またはインフルエンザウイルス(IFV)に対する薬剤を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、硫酸化多糖類には、抗ウイルス効果があることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、本発明に係る組成物は、硫酸化多糖類を含有し、抗ウイルス効果を示すことを特徴とする。
上記発明において、硫酸化多糖類は、ラムナン硫酸であることが好ましい。また、ウイルスとしては、ノロウイルス(NV)またはインフルエンザウイルス(IFV)であることが好ましく、NVであることがより好ましい。また、抗ウイルス効果としては、抗体産生刺激作用及び/又は殺ウイルス活性であることが好ましい。
本発明の組成物は、医薬品(医薬組成物)として提供できる。
また、本発明の組成物は、ウイルス感染症の予防又は治療に用いられる抗ウイルス用食品組成物として提供できる。
医薬組成物は、ウイルスの増殖阻害作用・殺ウイルス活性を示すために有効な量のラムナン硫酸に加えて、薬学的に許容される担体・添加剤を配合することにより提供される。この医薬組成物は、医薬品または医薬部外品として提供される。医薬組成物は、内用的または外用的に用いられる。この医薬組成物は、内服剤、静脈注射、皮下注射、皮内注射、筋肉注射及び/又は腹腔内注射等の注射剤、経粘膜適用剤、経皮適用剤等の製剤形態で使用できる。特に、ラムナン硫酸は、経口投与または経皮投与によっても効果があるので、内服剤、経粘膜適用剤、経皮適用剤として好ましく用いられる。
また、医薬組成物の剤型としては、適当に設定できるが、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末剤、散剤などの固形製剤、液剤、懸濁剤などの液状製剤、軟膏剤、またはゲル剤等の半固形剤が例示される。
食品分野では、ウイルスの増殖阻害・殺ウイルス作用を生体内で発揮できる有効量のラムナン硫酸を食品素材として、各種食品に配合することにより、食品組成物を提供できる。このとき、食品分野において、抗ウイルス効果・ウイルス増殖阻害用などと表示された食品組成物を提供できる。食品組成物としては、一般の食品に加え、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病院患者用食品、サプリメント等が例示される。加えて、食品添加物として用いられる。
食品組成物としては、例えば畜肉加工品、農産加工品、飲料(清涼飲料、アルコール飲料、炭酸飲料、乳飲料、果汁飲料、茶、コーヒー、栄養ドリンク、濃縮飲料など)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープなど)、菓子(キャンディ(のど飴)、クッキー、ビスケット、ガム、グミ、チョコレート等)、パン、シリアル、調味料などが例示される。
特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などの場合には、カプセル、トローチ、シロップ、顆粒、粉末などの形状としても提供できる。特定保健用食品とは、生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品であって、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示可能なものである。本発明では、特定の保健用途としてウイルス感染症の予防・治療、ウイルス増殖の阻害、殺ウイルス効果などと表示して販売される食品となる。栄養機能食品とは、栄養成分(ビタミン、ミネラル)の補給のために利用される食品であって、栄養成分の機能を表示するものである。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が定められた上限値、下限値の範囲内にある必要があり、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等もする必要がある。
機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものである。
本発明は、ラムナン硫酸を有効成分として含み、ウイルス感染症患者、ウイルス感染症を罹患したヒト以外の動物を対象とした抗ウイルス剤用特定保健用食品、抗ウイルス剤栄養機能食品、抗ウイルス剤機能性表示食品として用いられる。
本発明は、ラムナン硫酸を有効成分として含み、生体、例えばウイルス感染症を罹患する前のヒト、ウイルス感染症予備軍のヒト、ヒト以外の動物を対象とした抗ウイルス剤用特定保健用食品、抗ウイルス剤用栄養機能食品、抗ウイルス剤用機能性表示食品として用いられる。
本発明に係る組成物の用法としては、例えばNVの場合、ヒトの腸内で感染し易いため、(胃内では溶解せず)腸内で抗ウイルス剤が溶解するように処方できる。例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒又はシロップ等による経口投与として提供できる。また、例えばIFVの場合には、ヒト上気道(鼻腔や咽頭)で感染し易いため、スプレーによって鼻腔内又は口腔内への直接噴霧、吸入器による鼻腔内又は口腔内への導入により投与できる。この他に、うがい薬によって口腔内へ導入できるほか、点鼻等による経鼻投与、のど飴・トローチ・ガムなどによる経口投与、マスクなど用いることもできる。その他のウイルスの場合には、各ウイルスの感染経路などに鑑みて、適当な投与方法が提供される。
本発明によれば、抗ウイルス剤及び抗ウイルス用組成物など、特にNVまたはIFVに対して効果的な薬剤を提供できる。
ラムナン硫酸が、MNVに対する殺ウイルス活性を持つことを示す棒グラフである。 ラムナン硫酸が、IFVに対する殺ウイルス活性を持つことを示す棒グラフである。 ラムナン硫酸が、MNVの感染抑制効果を持つことを示すグラフである。 5-FU非処理マウスにおけるMNV感染後の排泄物中のウイルス量の変化を示すグラフである。 5-FU非処理マウスにおけるMNV感染10〜21日後の排泄物中のウイルス量の変化を示すグラフである。 5-FU処理マウスにおけるMNV感染後の排泄物中のウイルス量の変化を示すグラフである。 5-FU処理マウスにおけるMNV感染10〜21日後の排泄物中のウイルス量の変化を示すグラフである。 MNV感染21日後の血清中の中和抗体価を示す棒グラフである。グラフ中、「*」はp<0.01、「#」はp<0.01で、Controlに対する有意差が認められたことを示す。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。
<ラムナン硫酸の調製>
ラムナン硫酸としては、天然由来のどのような物でも用いることができる。本実施形態では、ヒトエグサから熱水抽出して得たものを用いた。簡単に説明すると次の通りである。乾燥した海藻を水で洗浄し、熱水(95℃〜100℃)で6時間抽出した。得られた熱水抽出液を純水に対して透析し、凍結乾燥した。この凍結乾燥物を水に溶解した後、陰イオン交換クロマトグラフィーにアプライし、連続的に溶出させ、ラムナン硫酸を精製した。これを発明の試料として用いた。
なお、本発明に使用可能な硫酸化多糖類(例えば、ラムナン硫酸)は、上記方法以外にも各種方法によって調製できる。また、原料としては、ヒトエグサに限られず、アナアオサ、リボンアオサなどを用いることができる。
<試験1:殺ウイルス活性試験>
一般に、ウイルスは宿主となる細胞内に侵入し、細胞内で増殖した後に、細胞外に放出される。抗ウイルス効果として、細胞内でのウイルス増殖を抑制するものと、細胞外のウイルス粒子の感染力を失わせるものがある。後者の作用は、殺ウイルス活性(virucidal effect)、不活化効果(inactivation)などと呼ばれている。ラムナン硫酸について、殺ウイルス活性の有無を調べた。
1.試験方法
(1)ウイルス株−宿主細胞系
ウイルス株−宿主細胞系として、次の2種類を用いた。MNV(マウスノロウイルス)−RAW264.7細胞(マウスマクロファージ様細胞)及びIFV(インフルエンザウイルス)−MDCK細胞(イヌ腎由来細胞)を用いた。
(2)殺ウイルス活性試験法
各ウイルスについて、ストック溶液をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で希釈し、それぞれ2×105 PFU/mL(PFU=プラーク形成単位)に調製したものをウイルス溶液とした。このウイルス溶液0.5mLと被験溶液0.5mLとを混合し、検体溶液とした。被験溶液として、10, 100及び1000μg/mLに調製したラムナン硫酸溶液を用いた。陰性対照として、PBSを用いた。
検体溶液を調製後、室温に置き、0,1,10及び30分後に10μLずつ採取し、990μLのPBSと混合して、1000μLの100倍希釈溶液とした。100倍希釈溶液から100μLを採取し、予め単層状に培養した宿主細胞に振り掛け、室温で1時間感染させた。ここにプラークアッセイ用培地を重層し、37℃にて2〜3日間培養した。プラークの出現を確認後、クリスタルバイオレット液(IFVの場合)またはニュートラルレッド液(MNVの場合)で細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した。0時間のプラーク数を100%として、各処理時間経過後の残存ウイルス量を求めた。
2.試験結果
図1にはMNVに対する殺ウイルス活性試験の結果を、図2にはIFVに対する殺ウイルス活性試験の結果を、それぞれ示した。
図1に示すように、ラムナン硫酸は、10μg/mL〜1000μg/mLの濃度域において、MNVに対して、時間依存的・濃度依存的に殺ウイルス活性を示した。
図2に示すように、ラムナン硫酸は、10μg/mLにおいて、1分間の処理時間でIFVの感染力をほぼ半減させた。但し、濃度依存的な活性は顕著には認められなかった。
このように、ラムナン硫酸は、MNV及びIFVに対する殺ウイルス活性を示すことが明らかとなった。
<試験2:MNVの感染に対する効果確認試験1>
1.試験方法
(1)MNV感染系
(i)ウイルス接種と糞便の収集
MNVとしてS7-PP3株を、宿主細胞としてRAW264.7細胞を用いた。
BALB/cマウス(6週齢、各群2匹)を下記2群に分け、それぞれにMNV(1×106 PFU/0.2 ml/mouse)を経口接種した。ラムナン硫酸は、ウイルス接種3日前から7日後まで経口投与した(各日について、9時と18時の2回)。ウイルス接種から1、2、3、4、5、6、8、10、12及び14日後に、1匹ずつの糞便を5mlチューブに収集し、ウイルス測定時まで−80℃にて保存した。糞便の収集時には、マウスを空の飼育用ケージに15分間〜30分間入れた。
(ii)糞便中のウイルス量の測定
糞便 1mg当たりPBS 10μlを加え、超音波処理にて均一に分散させた後、4℃にて、3,000rpm, 15分間の遠心分離を行った。糞便上清をPBSで100、101、102、103倍に希釈した。前日に24ウエルプレートに培養しておいたRAW264.7細胞について、各ウエルから培地を除去後、糞便上清の各希釈液(ウイルス液)を100μl/well加え、室温で1時間感染させた。各ウエルからウイルス液を除去後、1.5% Sea plaque agarose、1%牛胎児血清加DMEM培地を重層した。2日後にニュートラルレッド液を500μl/well重層し、37℃で1時間処理した。ニュートラルレッド液を除去後、顕微鏡下で速やかにプラーク数を測定した。
(2)群分け
下記2群を用いた。
#1 陰性対照群:蒸留水(Control)を0.4ml/dayとして、ウイルス接種3日前から7日後まで経口投与した。
#2 ラムナン硫酸投与群:ラムナン硫酸を5mg/0.4ml/dayとして、ウイルス接種3日前から7日後まで経口投与した。
2.試験結果
図3には、マウスにMNVを感染させたときの経時的な糞便中のウイルス量(平均値)を示した。数値は、糞便10 mg当たりのウイルス量(×102 PFU/10 mg)として示した。ウイルス量は、感染24時間〜48時間後に最大となり、8日後までは徐々に減少し、10日後に急激に減少した。陰性対照群(#1)では、感染14日後にも、少量ではあるがウイルスが排出された。
ラムナン硫酸投与群(#2)は、対照群(#1)に比べると、ウイルス排出量を大幅に低下させた。特に、感染24時間〜48時間後の最大のウイルス排出量についても、1/3〜1/5以下に低下させた。また、感染14日後には、ウイルスを排出しなかった。
ヒトノロウイルス(HNV)については、培養系が確立されていないため、感染実験に用いることができない。このため、系統的にHNVに近く、感染実験可能なMNVを代替ウイルスとした試験が行われており、MNVに対して効果的であれば、HNVへの効果が認められることが知られている(非特許文献1)。
<試験3:MNVの感染に対する効果確認試験2>
1.試験方法
(1)MNV感染系
(i)ウイルス接種と糞便の収集
BALB/cマウス(6週齢、各群3匹)を下記A、Bの2群に分けた。このうち、A群(免疫機能正常群)はNK活性を下げ免疫機能を低下させる5-フルオロウラシル(5-FU)(非特許文献2)を非投与とし、B群(免疫機能低下群)には5-FU(0.25mg/day/mouse)を1日おきに、ウイルス接種7日前から21日後まで皮下注射した。
MNV(1x106 PFU/0.2 ml/mouse)を全マウスに経口接種した。
コントロール(滅菌水)またはラムナン硫酸は、ウイルス接種7日前から21日後まで経口投与した(各日について、9時と18時の2回)。ウイルス接種から8時間後、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18及び21日後に、1匹ずつ糞便を5 mlチューブに収集し、測定時まで−80℃にて保存した。糞便の収集時には、マウスを空の飼育用ケージに15〜30分間入れた。
(ii)糞便中のウイルス量の測定
上記<試験2:MNVの感染に対する効果確認試験1>の「1.(1)(ii)糞便中有のウイルス量の測定」に記載の方法に従って、ウイルス量を測定した。
(iii)血液中の中和抗体価の測定
感染21日後に、マウスから全採血を行い、遠心(3,000rpm、5分間、4℃)して血清を分離後、下記方法で中和抗体価を測定した。
血清をPBSで10, 50, 200, 1000, 5000倍希釈した。各希釈液100μlとウイルス(2000 PFU/ml)100μlとを混合した(各ウエル200μlについて200 PFUのウイルスを含むことになる)。このとき、コントロール(control)として、血清の代わりにPBSを加えたものを用いた。
37℃で1時間処理した後、24ウエルプレートに単層状に培養したRAW 264.7細胞に対し、上記混合液を1ウエル当たり100μl(約100 PFU)添加し、室温で1時間感染させた。1.5% SeaPlaque agarose添加DMEM(FBS不含)を各ウエルあたり、500μl重層した。2日〜3日後に、ニュートラルレッド液を各ウエルあたり500μl加えて、37℃で1時間処理した後、ニュートラルレッド液を除去し、顕微鏡下でプラーク数を計測した。controlのプラーク数を100 %とした時の各希釈液のプラーク数のパーセンテージを計算した。
プラーク形成を50%阻害する血清希釈倍数をグラフ上で求め、これを中和抗体価とした。
(2)群分け
下記2群を用いた。
#1 陰性対照群:蒸留水(Control)を0.4ml/dayとして、ウイルス接種7日前から21日後まで経口投与した。
#2 ラムナン硫酸投与群:ラムナン硫酸を5mg/0.4ml/dayとして、ウイルス接種7日前から21日後まで経口投与した。
また、上記の通り、#1のA群及び#2のA群には、5-FUを非投与とし、#1のB群及び#2のB群には、5-FUを投与して、免疫機能を低下させた。
2.試験結果
(1)糞便中のウイルス量の変化
表1、図4〜図7には、マウスにMNVを感染させたときの経時的な糞便中のウイルス量(平均値)を示した。数値は、糞便10 mg当たりのウイルス量(PFU/10 mg)として示した。なお、表1において、「*」はp<0.05、「**」はp<0.01で、Controlに対する有意差が認められたことを示す。
Figure 0006942350
ウイルス量は、感染1日後に最大となった。5-FU処理群(免疫機能低下群)では、5-FU非処理群(免疫機能正常群)と比較して、ウイルス排泄量が多く、かつ長期間に渡って排出された。特にControl群では、感染3週間後においてもウイルスが検出された。これに対し、ラムナン硫酸群では、Control群に比べて、ウイルス産生が抑制され、早期にウイルス排泄が停止された。
(2)中和抗体価
図8には、MNV感染21日後の血清中の中和抗体価を示した。5-FU非処理群では、ラムナン硫酸の投与によって、抗体価が有意に(p<0.05)上昇した。これに対し、5-FU処理群では、Control及びラムナン硫酸群ともに、対応する5-FU非処理群に比較すると低値であったが、ラムナン硫酸投与によって有意の(p<0.05)の抗体価上昇がみられ、かつ5-FU非処理Control群に比べても高値となった。
上記のように、免疫機能が低下した場合には、ノロウイルスの腸管からの排泄が長期に及ぶことが分かった。また、ラムナン硫酸は、免疫機能の正常時及び低下時のいずれにおいても、腸管内でのノロウイルス量を減少させ、ウイルス排泄期間を短縮する効果が認められた。上記両現象は、中和抗体価によって説明できると考えられた。
上記の通り、ラムナン硫酸は、MNVの感染を低減させる効果を持つことが明らかとなった。
このように、本実施形態によれば、抗ウイルス剤及び抗ウイルス用組成物など、特にNVまたはIFVに対して効果的な薬剤を提供できた。

Claims (3)

  1. ラムナン硫酸を含有し、ノロウイルスに対する抗ノロウイルス効果を示し、当該抗ノロウイルス効果を示す活性が、抗体産生刺激作用及び/又は殺ウイルス活性であることを特徴とする抗ノロウイルス用組成物。
  2. 経口投与用または経皮投与用の医薬品である請求項1に記載の抗ノロウイルス用組成物。
  3. 請求項1に記載の抗ノロウイルス用組成物を含有し、ノロウイルス感染症の予防又は治療に用いられる抗ノロウイルス用食品組成物。
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