JP2011088881A - 抗インフルエンザウイルス剤並びに当該物質を含有する飲食品若しくは医薬品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、天然物若しくはその抽出物を利用した新しい抗インフルエンザウイル剤を提供することを課題とする。
【解決手段】ネギを水を含む溶媒で抽出して得られる抽出物に、インフルエンザウイルス感染増殖抑制作用があることを見出した。
【選択図】なし
【解決手段】ネギを水を含む溶媒で抽出して得られる抽出物に、インフルエンザウイルス感染増殖抑制作用があることを見出した。
【選択図】なし
Description
本発明はネギ由来の抗インフルエンザウイルス剤並びに当該物質を含有する飲食品若しくは医薬品に関する。
インフルエンザはインフルエンザウイルス(A型,B型,C型)の感染によって生ずる急性炎症であり、上気道よりさらに気管支などの下気道の炎症に及ぶことが多く、また気道の症状と共に高熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などの全身症状が著明なことである。A型インフルエンザは他の2型に比べ世界的大流行を惹起することで知られている。近年は両型インフルエンザが混在して流行することも少なくないと言われ、A型、B型インフルエンザは肺炎、気管支炎と合併することも少なくなく、また5才以下の年少者では脳炎・脳症を併発する例も報告されている。一方、わが国に於いては老齢者の増加に伴い、A型、B型インフルエンザの流行の影響は大きく、心・肺疾患保有者も同様に重症化する危険性が高い。インフルエンザワクチンの効果についても、インフルエンザウイルスの抗原性が変わり易いため、効果に揺れを生じ必ずしも所期効果が期待出来ない場合もあると言われている。
ところで、わが国では古くより伝承的にインフルエンザ等感冒の予防或いは罹患後の症状を軽減するために植物を利用してきており、ショウガ湯、カリン湯はその一例である。実際に、植物成分の抗ウイルス性に関する研究は成されており、例えばヤマモモの葉抽出物(例えば、特許文献1参照)、月見草種子抽出物(例えば、特許文献2参照)、蕎麦殻(果皮)や蕎麦植物体(葉)(例えば、特許文献3参照)などに関する研究が上げられる。また、特許文献4には、ネギの葉から含水エタノール(エタノール濃度50%〜100%(v/v))で抽出製造するノイラミニダーゼ阻害物に関する発明が開示されている。また、ネギやニンニクなどのユリ科植物に多く含まれるアリイン(分子量177.22)やその変換生成物であるアリシン(分子量162.28)については、一般的に抗菌・抗ウイルス作用があると言われている。
しかしながら、特許文献1、2及び3に記載のヤマモモの葉、月見草種子、及び蕎麦殻(果皮)や蕎麦植物体(葉)は、一般食材とは違い、食経験や伝承性に乏しい、若しくは入手困難な天然物という課題が残っている。また、特許文献4記載のノイラミニダーゼ阻害物については酵素を用いた実験に留まっており、生体やウイルスに直接作用させた場合の効果は一切検証されていない。また、アリインやアリシンの抗ウイルス作用についても科学的な解明は充分に成されていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、安全かつ入手が容易な天然物若しくはその抽出物から抗インフルエンザウイルス剤を得ることを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するために、各種天然物の抽出物について検討を試み、一般的に利用されている食材のネギに注目した。
本発明者等は、鋭意研究の結果、ネギの抽出物に抗インフルエンザウイルス活性があることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は
(1)ネギを水を含む溶媒で抽出して得られる抽出物のうち、平均分子量10,000以上の高分子成分を含む、抗インフルエンザウイルス剤、
(2)ネギをアルコールで抽出処理した後に得られる固形物残渣を、更に水ないし熱水で抽出して得られる抽出物のうち、平均分子量10,000以上の高分子成分を含む、抗インフルエンザウイルス剤、
(3)(1)ないし(2)のいずれか1項記載の抗インフルエンザウイルス剤を配合してなる飲食品、
(4)(1)ないし(2)のいずれか1項記載の抗インフルエンザウイルス剤を配合してなる医薬品
に関する。
(1)ネギを水を含む溶媒で抽出して得られる抽出物のうち、平均分子量10,000以上の高分子成分を含む、抗インフルエンザウイルス剤、
(2)ネギをアルコールで抽出処理した後に得られる固形物残渣を、更に水ないし熱水で抽出して得られる抽出物のうち、平均分子量10,000以上の高分子成分を含む、抗インフルエンザウイルス剤、
(3)(1)ないし(2)のいずれか1項記載の抗インフルエンザウイルス剤を配合してなる飲食品、
(4)(1)ないし(2)のいずれか1項記載の抗インフルエンザウイルス剤を配合してなる医薬品
に関する。
本発明により、安全かつ容易に入手可能なネギ抽出物を用いて、インフルエンザ等感冒の予防或いは罹患後の症状を軽減することが出来、食品若しくは薬品として用いることが可能となる。
以下本発明について詳述する。
本発明に於いて、「ネギ」は一般的な白ネギおよび葉ネギ(Allium fistulosum)、ワケギ(Allium wakegi)、アサツキ(Allium schoenoprasum)等いずれも用いることが出来るが、白ネギ及び葉ネギ(Allium fistulosum)が原料確保の面からは好ましい。
ネギは収穫後、出来るだけ新鮮なものを使用することが好ましいが、食に供する状態であれば乾燥ネギ、冷凍ネギなども用いることが出来る。使用部位は特に特定されることなく全て使用し得る。更に、ネギは状態に応じて洗浄・トリミングし、切断しても良い。尚、切断サイズが小さいほど目的成分の抽出効率は上がるが、後工程の濾過で目詰まりを起こし易くなるため、5〜50mm程度が好ましい。
抽出の方法は水を含む溶媒で行う。「水を含む溶媒」とは、水及び含水アルコールを示す。この場合の水とは、水から熱水に至るまでを意味し、温水も当然包含される。また、含水アルコールとは水を含むアルコールのことであり、詳しくは高分子成分が溶解できる濃度のアルコールを含んだ溶媒を示す。この場合、アルコール濃度が高いと目的成分が溶媒中へ溶離・溶解せず、目的成分を得ることが出来ない。従ってアルコール濃度は低いほうが優れており、50%以下が望ましい。抽出は、常温、加温ないし加熱下、常圧ないし加圧下、常法に準じて適宜行いうる。
例えば水を用い、常温〜120℃で5分〜数時間行う。短時間で効率よく行うためには、圧力下、100℃以上、例えば圧力釜を用いて加圧下120℃前後で30分〜1時間前後抽出を行うことが出来る。
また別の抽出法として、ネギを始めにアルコール抽出・洗浄し、濾過して得られる抽出残渣から水ないし熱水抽出液を得ることも可能である。この場合、アルコール抽出時のネギ原料と抽出溶媒を合計したもののアルコール濃度は高いほうが優れており、通常80%以上が望ましい。しかし、抽出コストや効率性を考慮すると、60〜90%程度が好適である。抽出時のアルコール濃度が低い場合、目的成分がアルコール溶液中へ流出してしまい、後工程の水ないし熱水抽出時に目的成分が充分に得られない。
尚アルコールとしては低級アルコールが使用しうるが、特にエタノールが好ましい。
尚アルコールとしては低級アルコールが使用しうるが、特にエタノールが好ましい。
水としては蒸留水、イオン交換水、逆浸透膜(RO)水、水道水、天然水いずれも使用しうる。乾燥ネギ1重量に対して水を4〜80倍重量程度使用する。生ネギを使用する場合は1重量に対して2〜10倍重量程度の水を使用する。
以上の様に得られた水ないし熱水抽出物は、透析などの膜処理、クロマトグラフィーなどの分子量分画操作により精製することが可能である。この場合、重量平均分子量10,000以上であるのが好ましい。
以上のように水ないし熱水抽出液はそのまま、或いは精製し、更に濃縮して濃縮エキス若しくは濃縮エキスを乾燥して乾燥抽出エキス末として使用することが出来る。尚乾燥は噴霧乾燥、濃縮乾燥若しくは凍結乾燥等いずれの手段も用いうる。
以上のように得られた乾燥物は水に可溶で、分子量10,000以上の高分子成分を含有する。
以上の水ないし熱水抽出物、またその濃縮・乾燥物は、抗インフルエンザウイルス剤としてインフルエンザ等感冒の予防或いは罹患後の症状軽減のための飲食品若しくは医薬品としての応用が可能となる。
例えば飲食品として応用する場合は、健康食品、サプリメント、機能性食品として用いることが出来るが、一般的な食品、例えば菓子・パン類、麺類、調味料、香辛類、食用粉類、乳製品、肉製品、加工水産物、加工果実・野菜、各種飲料・ジュース類、お茶、インスタント食品等に配合することが出来る。
健康食品、サプリメント、機能性食品又は医薬品として用いる場合は適宜、賦形剤、増量剤を加え錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、丸剤、液剤、懸濁液剤等各種製剤に加工することが出来る。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
生ネギ600gを5〜20mmにカットしたものと蒸留水2.4Lを抽出釜に入れ、常圧下95±5℃で約2時間処理し、その後濾紙(ADVANTEC No.5)で濾過して褐色液約2.4Lを得た。該褐色液を、フリーズドライ装置を用いて凍結乾燥し、褐色乾燥粉末(ネギ抽出物[1])約20gを得た。
ネギ抽出物[1]について、マウスを用いて抗インフルエンザウイルス活性及び獲得免疫機能を評価した。
(1)材料
抗インフルエンザウイルス活性及び獲得免疫機能検討の実験に用いた材料は以下の通りである。
被験動物:BALB/cマウス(雌、6週齢)、各群10匹。
インフルエンザウイルス感染細胞:イヌ腎由来MDCK細胞。
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型、NWS株)。感染量は2×104PFU(プラーク形成単位)/50μL/匹とした。
被験物質:ネギ抽出物[1]。
投与量:ネギ抽出物[1]50mg/匹・日。
投与方法:滅菌水で1回当たり0.2ml/匹(1日0.4ml/匹)となるように予め抽出物溶液を調製し、経口投与した。対照群には、滅菌蒸留水のみを使用した。
抗インフルエンザウイルス活性及び獲得免疫機能検討の実験に用いた材料は以下の通りである。
被験動物:BALB/cマウス(雌、6週齢)、各群10匹。
インフルエンザウイルス感染細胞:イヌ腎由来MDCK細胞。
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型、NWS株)。感染量は2×104PFU(プラーク形成単位)/50μL/匹とした。
被験物質:ネギ抽出物[1]。
投与量:ネギ抽出物[1]50mg/匹・日。
投与方法:滅菌水で1回当たり0.2ml/匹(1日0.4ml/匹)となるように予め抽出物溶液を調製し、経口投与した。対照群には、滅菌蒸留水のみを使用した。
(2)マウス飼育試験
被験物質をマウスに1日2回(午前9時、午後6時)、14日間連続で経口投与し、投与7日目にインフルエンザウイルスを麻酔したマウスに経鼻接種した。10日目(ウイルス接種から3日後)に各群5匹から気管・気管支洗浄液(以下、BALFと称す)及び肺を採取し、マイナス80℃に保存した。尚BALFは氷冷した生理食塩水0.8mlで洗浄し、その液を回収した。これらのBALF及び肺を用い、ウイルス量を測定した。また28日目(ウイルス接種から21日後)に各群の残り5匹から血清及びBALFを採取し、マイナス80℃に保存した。尚血清は血液を遠心分離(3000rpm、5分間、4℃)し、上清を回収した。これらの血清及びBALFを用い、中和抗体価及び分泌型IgA量を測定した。
被験物質をマウスに1日2回(午前9時、午後6時)、14日間連続で経口投与し、投与7日目にインフルエンザウイルスを麻酔したマウスに経鼻接種した。10日目(ウイルス接種から3日後)に各群5匹から気管・気管支洗浄液(以下、BALFと称す)及び肺を採取し、マイナス80℃に保存した。尚BALFは氷冷した生理食塩水0.8mlで洗浄し、その液を回収した。これらのBALF及び肺を用い、ウイルス量を測定した。また28日目(ウイルス接種から21日後)に各群の残り5匹から血清及びBALFを採取し、マイナス80℃に保存した。尚血清は血液を遠心分離(3000rpm、5分間、4℃)し、上清を回収した。これらの血清及びBALFを用い、中和抗体価及び分泌型IgA量を測定した。
(3)ウイルス量の測定
BALFは100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。肺は1mg当たり1μLのPBSを加え、超音波処理(10秒間)後、遠心(5000rpm、10分間)し、得られた上清を100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。感染3日後のウイルス量(平均±SD)を表1に示す。
BALFは100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。肺は1mg当たり1μLのPBSを加え、超音波処理(10秒間)後、遠心(5000rpm、10分間)し、得られた上清を100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。感染3日後のウイルス量(平均±SD)を表1に示す。
(4)中和抗体価の測定
血清は非働化(56℃、30分間)し、PBSで適宜希釈後、ウイルス液(2000PFU/mL)100μLと混合し、200PFU/200μL/ウェルとなるように調製した。この混合液を37℃、1時間処理後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。
血清は非働化(56℃、30分間)し、PBSで適宜希釈後、ウイルス液(2000PFU/mL)100μLと混合し、200PFU/200μL/ウェルとなるように調製した。この混合液を37℃、1時間処理後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。
対照群は、血清希釈液の代わりにPBSを用いた。対照群のプラーク数を100%とした時の各希釈液のプラーク数%を計算し、片対数グラフ上でプラーク形成を50%阻害する血清希釈倍数を求めて中和抗体価とした。感染21日後の中和抗体価(平均±SD)を表2に示す。
表2より、血清の中和抗体価は実験群に於いて対照群に比べて有意に上昇した。即ちネギ抽出物[1]は強い獲得免疫機能向上作用を示した。
(5)分泌型IgA量の測定
BALFをPBSで5倍に希釈後、ELISA法にて分泌型IgA量を測定した。感染21日後の分泌型IgA量(平均±SD)を表3に示す。
BALFをPBSで5倍に希釈後、ELISA法にて分泌型IgA量を測定した。感染21日後の分泌型IgA量(平均±SD)を表3に示す。
表3より、BALFの分泌型IgA量は実験群に於いて対照群に比べて有意に上昇した。即ちネギ抽出物[1]は強い獲得免疫機能向上作用を示した。
生ネギ600gを5〜20mmにカットしたものと100%エタノール2.4Lを抽出釜に入れ、常圧下室温で24時間抽出し、その後濾紙(ADVANTEC No.5)で濾過して固形物残渣(脱脂ネギ)を回収し、40±5℃で3時間熱風乾燥し、乾燥脱脂ネギ30gを得た。この乾燥脱脂ネギ30gと蒸留水2.4Lを抽出釜に入れ、常圧下95±5℃で約2時間処理し、その後濾紙(ADVANTEC No.5)で濾過して黄褐色液約2.4Lを得た。該黄褐色液を、フリーズドライ装置を用いて凍結乾燥し、黄褐色乾燥粉末(ネギ抽出物[2])約10gを得た。
ネギ抽出物[2]について、実施例1と同様に抗インフルエンザウイルス活性を評価した。
(1)材料
抗インフルエンザウイルス活性検討の実験に用いた材料は以下の通りである。
被験動物:BALB/cマウス(雌、6週齢)、各群5匹。
インフルエンザウイルス感染細胞:イヌ腎由来MDCK細胞。
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型、NWS株)。感染量は2×104PFU(プラーク形成単位)/50μL/匹とした。
被験物質:ネギ抽出物[2]。
投与量:ネギ抽出物[2]50mg/匹・日。
投与方法:滅菌水で1回当たり0.2ml/匹(1日0.4ml/匹)となるように予め抽出物溶液を調製し、経口投与した。対照群には、滅菌蒸留水のみを使用した。
抗インフルエンザウイルス活性検討の実験に用いた材料は以下の通りである。
被験動物:BALB/cマウス(雌、6週齢)、各群5匹。
インフルエンザウイルス感染細胞:イヌ腎由来MDCK細胞。
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型、NWS株)。感染量は2×104PFU(プラーク形成単位)/50μL/匹とした。
被験物質:ネギ抽出物[2]。
投与量:ネギ抽出物[2]50mg/匹・日。
投与方法:滅菌水で1回当たり0.2ml/匹(1日0.4ml/匹)となるように予め抽出物溶液を調製し、経口投与した。対照群には、滅菌蒸留水のみを使用した。
(2)マウス飼育試験
被験物質をマウスに1日2回(午前9時、午後6時)、10日間連続で経口投与し、投与7日目にインフルエンザウイルスを麻酔したマウスに経鼻接種した。10日目(ウイルス接種から3日後)に気管・気管支洗浄液(以下、BALFと称す)及び肺を採取し、マイナス80℃に保存した。尚BALFは氷冷した生理食塩水0.8mlで洗浄し、その液を回収した。
被験物質をマウスに1日2回(午前9時、午後6時)、10日間連続で経口投与し、投与7日目にインフルエンザウイルスを麻酔したマウスに経鼻接種した。10日目(ウイルス接種から3日後)に気管・気管支洗浄液(以下、BALFと称す)及び肺を採取し、マイナス80℃に保存した。尚BALFは氷冷した生理食塩水0.8mlで洗浄し、その液を回収した。
(3)ウイルス量の測定
BALFは100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。肺は1mg当たり1μLのPBSを加え、超音波処理(10秒間)後、遠心(5000rpm、10分間)し、得られた上清を100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。感染3日後のウイルス量(平均±SD)を表4に示す。
BALFは100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。肺は1mg当たり1μLのPBSを加え、超音波処理(10秒間)後、遠心(5000rpm、10分間)し、得られた上清を100〜105倍に希釈後、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。感染3日後のウイルス量(平均±SD)を表4に示す。
表4より、BALFのウイルス量は実験群に於いて対照群に比べて有意に抑制された。一方肺のウイルス量も、実験群で対照群に比べて有意に抑制された。即ちネギ抽出物[2]は強いウイルス増殖抑作用を示した。
実施例2で得られたネギ抽出物[2]4gを透析用セロハンチューブ(孔径24Å、MW12,000〜14,000)で蒸留水中24時間透析処理し、セロハンチューブ内液をフリーズドライ装置で凍結乾燥し、薄褐色粉末(ネギ抽出物[3])約1gを得た。
比較例1として、実施例3の透析処理工程で発生したセロハンチューブ外液をフリーズドライ装置で凍結乾燥し、薄褐色粉末(比較例1)約3gを得た。
比較例2として、〔特開2007−238590号公報〕に記載された方法にて抽出物を調製した。即ち、生ネギ100gを5〜20mmにカットしたものを市販のミキサーに入れ、100%エタノール0.4Lを加え、ネギを破砕した。次にこの破砕液を濾紙(ADVANTEC No.5)で濾過し、濾液を回収した。以上の操作を6回繰り返し、得られた濾液の含水エタノールを留去するため、ロータリーエバポレーターで乾固するまで、40℃で減圧濃縮し、固形物(比較例2)約24gを得た。
実施例2で得られたネギ抽出物[2]、実施例3で得られたネギ抽出物[3]、比較例1及び比較例2について、細胞実験により抗インフルエンザウイルス活性を評価した。
(1)材料
抗インフルエンザウイルス活性検討の実験に用いた材料は以下の通りである。
インフルエンザウイルス感染細胞:イヌ腎由来MDCK細胞。
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型、NWS株)。
被験物質:ネギ抽出物[2]、ネギ抽出物[3]、比較例1、比較例2。
抗インフルエンザウイルス活性検討の実験に用いた材料は以下の通りである。
インフルエンザウイルス感染細胞:イヌ腎由来MDCK細胞。
インフルエンザウイルス:A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型、NWS株)。
被験物質:ネギ抽出物[2]、ネギ抽出物[3]、比較例1、比較例2。
(2)細胞毒性試験
宿主細胞であるMDCK細胞をトリプシンで剥離後、血球計算板で細胞数を計算し、培地で2×105細胞個/mLに調製した。96−ウェルプレートに細胞懸濁液を100μL/ウェルで入れ、CO2インキュベーターで37℃、一晩培養した。翌日、96−ウェルプレートの培地を除去し、被験物質を培地で適宜希釈した溶液を100μL/ウェル加えた。ウェルプレートを37℃、72時間培養後に、生細胞数を計算した。
宿主細胞であるMDCK細胞をトリプシンで剥離後、血球計算板で細胞数を計算し、培地で2×105細胞個/mLに調製した。96−ウェルプレートに細胞懸濁液を100μL/ウェルで入れ、CO2インキュベーターで37℃、一晩培養した。翌日、96−ウェルプレートの培地を除去し、被験物質を培地で適宜希釈した溶液を100μL/ウェル加えた。ウェルプレートを37℃、72時間培養後に、生細胞数を計算した。
被験物質を添加していない培地を対照として用い、対照の細胞数を100%とした場合の被験物質添加区の生細胞数%を計算した。片対数グラフ上で、50%増殖阻害濃度(CC50)を求めた。
(3)抗インフルエンザウイルス活性試験
宿主細胞であるMDCK細胞をトリプシンで剥離後、1×106細胞個/mLに調製し、48−ウェルプレートに200μL/ウェルで加えた。1日後に、細胞がconfluentになっていることを確認した上で、0.2PFU/細胞(最終力価の2倍)になるようにウイルス液を適宜、培地で希釈した。被験物質は培地で適宜希釈した。
宿主細胞であるMDCK細胞をトリプシンで剥離後、1×106細胞個/mLに調製し、48−ウェルプレートに200μL/ウェルで加えた。1日後に、細胞がconfluentになっていることを確認した上で、0.2PFU/細胞(最終力価の2倍)になるようにウイルス液を適宜、培地で希釈した。被験物質は培地で適宜希釈した。
ウェルの培地を除去後、ウイルス液25μLと被験物質溶液25μLを同時に加え、室温で1時間感染させた。ウイルス液を除去後、PBSで3回洗浄し、被験物質100μLと培地100μLとを各ウェルに加えた。37℃で24時間処理後に、CPEを観察した後、マイナス80℃で凍結保存した。
凍結保存しておいた培養物の上清を、CPEの程度に応じて、PBSで100−105倍に希釈し、35mmシャーレに培養したMDCK細胞に100μLずつ感染させた。37℃、1時間、室温で感染させた後、インフルエンザウイルスアッセイ用寒天培地を2mL/シャーレずつ重層した。寒天固化後、37℃のCO2インキュベーターに入れて培養した。3日後に細胞を固定・染色し、顕微鏡下でプラーク数を測定した(plaque法)。
対照群は、被験物質の代わりにPBSを用いた。対照群のプラーク数を100%とした時の被験物質添加群のプラーク数%を計算し、片対数グラフ上で50%ウイルス増殖阻害濃度(IC50)を求めた。
以上のように求めたCC50値とIC50から、選択指数(SI値=CC50/IC50)を求めた。選択指数は被験物質の抗インフルエンザウイルス活性と細胞毒性の比率を示す値であり、通常10以上で抗インフルエンザウイルス活性を有すると判断される。結果を表5に示す。
表5より、被験物質であるネギ抽出物[2]、ネギ抽出物[3]について、選択指数が10以上を示した。即ち両抽出物について抗インフルエンザウイルス活性が認められた。一方、アリイン(分子量177.22)やアリシン(分子量162.28)を含むと思われる比較例1、特開2007−238590号公報による比較例2については、抗インフルエンザウイルス活性が認められなかった。
以上より、本願発明のネギ抽出物が、抗インフルエンザウイルス活性を有することが認められた。
Claims (4)
- ネギを水を含む溶媒で抽出して得られる抽出物のうち、平均分子量10,000以上の高分子成分を含む、抗インフルエンザウイルス剤。
- ネギをアルコールで抽出処理した後に得られる固形物残渣を、更に水ないし熱水で抽出して得られる抽出物のうち、平均分子量10,000以上の高分子成分を含む、抗インフルエンザウイルス剤。
- 請求項1ないし2のいずれか1項記載の抗インフルエンザウイルス剤を配合してなる飲食品。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載の抗インフルエンザウイルス剤を配合してなる医薬品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009262328A JP2011088881A (ja) | 2009-10-26 | 2009-10-26 | 抗インフルエンザウイルス剤並びに当該物質を含有する飲食品若しくは医薬品 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009262328A JP2011088881A (ja) | 2009-10-26 | 2009-10-26 | 抗インフルエンザウイルス剤並びに当該物質を含有する飲食品若しくは医薬品 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP2009262328A Pending JP2011088881A (ja) | 2009-10-26 | 2009-10-26 | 抗インフルエンザウイルス剤並びに当該物質を含有する飲食品若しくは医薬品 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011088881A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101505941B1 (ko) * | 2013-05-31 | 2015-03-30 | 한국식품연구원 | 대파 추출물을 유효 성분으로 포함하는 인플루엔자 바이러스 감염 및 염증성 질환 예방, 개선용 조성물 |
JP2015071584A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-04-16 | 花王株式会社 | 筋萎縮抑制剤 |
-
2009
- 2009-10-26 JP JP2009262328A patent/JP2011088881A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101505941B1 (ko) * | 2013-05-31 | 2015-03-30 | 한국식품연구원 | 대파 추출물을 유효 성분으로 포함하는 인플루엔자 바이러스 감염 및 염증성 질환 예방, 개선용 조성물 |
JP2015071584A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-04-16 | 花王株式会社 | 筋萎縮抑制剤 |
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