以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るアンテナ装置の要部を示す側面図である。図2は、実施の形態1に係るアンテナ装置の要部を示す斜視図である。図1及び図2を参照して、実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
図中、1は接地用の面部(以下「接地面部」という。)である。接地面部1は、例えば、地面又は建物の屋上面である。接地面部1における導電率は、金属(例えば銅又はアルミニウム)における導電率よりも低いものである。図1及び図2に示す如く、接地面部1は、アンテナ装置100が設置される面部である。
アンテナ装置100は、略棒状の導体製の部材(以下「棒状導体」という。)2を有している。棒状導体2は、接地面部1に対して垂直に設けられている。または、棒状導体2は、接地面部1に対して略垂直に設けられている。以下、垂直に設けられること及び略垂直に設けられることを総称して「垂設」という。棒状導体2の根元部は、接地面部1と電気的に接続されている。
棒状導体2の全長は、例えば、数メートル〜数十メートル程度である。棒状導体2の全長は、アンテナ装置100の高さに対応している。棒状導体2は、1本の棒状導体3及び複数本の棒状導体4により構成されている。具体的には、例えば、棒状導体2は、1本の棒状導体3及び2本の棒状導体4_1,4_2により構成されている。すなわち、棒状導体2は、これらの棒状導体3,4を組み立ててなるものである。
棒状導体3,4_1間に給電部5が設けられている。すなわち、棒状導体3は、接地面部1と給電部5間に設けられている。棒状導体3は、給電部5における接地電位側の部位(以下「接地電位部」ということがある。)と電気的に接続されている。棒状導体4_1は、給電部5における正電位側の部位(以下「正電位部」ということがある。)と電気的に接続されている。これらの部位は、給電ケーブル(例えば同軸ケーブル)により電源と電気的に接続されている。棒状導体3,4_1間は、給電部5における絶縁材料(不図示)により電気的に絶縁されている。
棒状導体4_1,4_2間に選択透過部6が設けられている。すなわち、棒状導体4_1は、給電部5と選択透過部6間に設けられている。選択透過部6は、棒状導体4における電流のうちの所定の周波数成分を遮断するとともに、当該電流のうちの他の所定の周波数成分を通過させるものである。選択透過部6は、例えば、誘電体ブロック又はバンドリジェクションフィルタにより構成されている。バンドリジェクションフィルタは、例えば、キャパシタ及びインダクタを用いた並列共振回路により構成されている。
棒状導体2は、いわゆる「張力構造」により支持されている。すなわち、棒状導体2は、複数本の略線状の部材(以下「線状部材」という。)7の張力により支持されている。具体的には、例えば、棒状導体2は、3本の線状部材7_1,7_2,7_3の張力により接地面部1に支持されている。個々の線状部材7は、樹脂製である。張力構造により、棒状導体2の自立安定性を向上することができる。
複数本の線状部材7は、アンテナ装置100を上方から見たとき、回転対称に配置されている。具体的には、例えば、3本の線状部材7_1,7_2,7_3は、アンテナ装置100を上方から見たとき、120度間隔に配置されている。以下、個々の線状部材7を「第1線状部材」ということがある。
以下、棒状導体2の長手方向に沿う方向、すなわちアンテナ装置100の高さ方向に沿う方向を「Z方向」という。図中、Z軸は、Z方向に対応する仮想的な軸を示している。また、接地面部1に沿う方向のうち、アンテナ装置100を上方から見たときに線状部材7_3に沿う方向を「X方向」という。図中、X軸は、X方向に対応する仮想的な軸を示している。また、接地面部1に沿う方向のうち、X方向と直交する方向を「Y方向」という。図中、Y軸は、Y方向に対応する仮想的な軸を示している。
棒状導体2から分岐するようにして、略線状の導体製の部材(以下「線状導体」という。)8_1が設けられている。より具体的には、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、線状導体8_1が設けられている。線状導体8_1の先端部と連続するようにして、線状導体9_1が設けられている。線状導体9_1は、線状部材7_1に沿うように設けられている。線状導体9_1の先端部は、棒状導体2の先端部に向けられている。ここで、棒状導体4_2の先端部と線状導体9_1の先端部との間には、間隙が設けられている。これにより、棒状導体4_2の先端部と線状導体9_1の先端部との間は、電気的に絶縁されている。
これらの線状導体8_1,9_1により、折り曲げられた形状を有する導体製の部材(以下「折り曲げ導体」という。)10_1が構成されている。折り曲げ導体10_1は、例えば、金属線により構成されている。
棒状導体2から分岐するようにして、線状導体8_2が設けられている。より具体的には、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、線状導体8_2が設けられている。線状導体8_2の先端部と連続するようにして、線状導体9_2が設けられている。線状導体9_2は、線状部材7_2に沿うように設けられている。線状導体9_2の先端部は、棒状導体2の先端部に向けられている。ここで、棒状導体4_2の先端部と線状導体9_2の先端部との間には、間隙が設けられている。これにより、棒状導体4_2の先端部と線状導体9_2の先端部との間は、電気的に絶縁されている。
これらの線状導体8_2,9_2により、折り曲げ導体10_2が構成されている。折り曲げ導体10_2は、例えば、金属線により構成されている。
すなわち、棒状導体2から分岐するようにして、複数本(例えば2本)の線状導体8が設けられている。より具体的には、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、複数本の線状導体8が設けられている。個々の線状導体8の先端部と連続するようにして、線状導体9が設けられている。個々の線状導体9は、複数本(例えば3本)の線状部材7のうちの対応する線状部材7に沿うように設けられている。換言すれば、個々の線状導体9は、複数本の線状部材7のうちの選択された線状部材7に沿うように設けられている。個々の線状導体8及び対応する線状導体9により、折り曲げ導体10が構成されている。
以下、個々の線状導体8を「第1線状導体」ということがある。また、個々の線状導体9を「第2線状導体」ということがある。また、個々の折り曲げ導体10を「第1折り曲げ導体」ということがある。
個々の線状導体8の根元部に選択透過部11が設けられている。具体的には、例えば、線状導体8_1,8_2の根元部に選択透過部11_1,11_2がそれぞれ設けられている。すなわち、個々の選択透過部11は、対応する線状導体8における給電部5側の端部に設けられている。個々の選択透過部11は、対応する折り曲げ導体10における電流のうちの所定の周波数成分を遮断するとともに、当該電流のうちの他の所定の周波数成分を通過させるものである。
個々の選択透過部11は、例えば、インダクタ及びキャパシタを用いたローパスフィルタにより構成されている。当該インダクタは、電気的に直列に設けられるものである。これに対して、当該キャパシタは、電気的に並列に設けられるものである。そこで、接地用の電線12により、当該キャパシタの一端部が接地面部1と電気的に接続されている(図1及び図2参照)。または、接地用の電線12により、当該キャパシタの一端部が棒状導体3と電気的に接続されている(不図示)。
具体的には、例えば、選択透過部11_1におけるキャパシタの一端部が電線12_1により接地面部1と電気的に接続されており、かつ、選択透過部11_2におけるキャパシタの一端部が電線12_2により接地面部1と電気的に接続されている(図1及び図2参照)。または、例えば、選択透過部11_1におけるキャパシタの一端部が電線12_1により棒状導体3と電気的に接続されており、かつ、選択透過部11_2におけるキャパシタの一端部が電線12_2により棒状導体3と電気的に接続されている(不図示)。
個々の折り曲げ導体10は、所定の動作周波数(以下「第1動作周波数」という。)f1に対応するアンテナ素子(以下「第1アンテナ素子」という。)の機能を果たすものである。以下、第1アンテナ素子の機能を果たす部位を「第1アンテナ素子部」という。また、第1アンテナ素子部に「E1」の符号を用いる。
また、棒状導体4_1は、第1動作周波数f1よりも高い所定の動作周波数(以下「第2動作周波数」という。)f2に対応するアンテナ素子(以下「第2アンテナ素子」という。)の機能を果たすものである。以下、第2アンテナ素子の機能を果たす部位を「第2アンテナ素子部」という。また、第2アンテナ素子部に「E2」の符号を用いる。
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以下、実施の形態1〜3,5,6において、第1アンテナ素子部E1及び第2アンテナ素子部E2を総称して単に「アンテナ素子部」ということがある。また、かかるアンテナ素子部に「E」の符号を用いることがある。
第1アンテナ素子部E1の電気長(以下「第1電気長」という。)L1は、第1動作周波数f1に応じた値に設定されている。また、第2アンテナ素子部E2の電気長(以下「第2電気長」という。)L2は、第2動作周波数f2に応じた値に設定されている。
具体的には、例えば、第1電気長L1は、第1動作周波数f1に対応する波長λ1に対する0.375倍の値に設定されている。すなわち、第1電気長L1は、波長λ1に対する0.25倍の値よりも大きい値に設定されている。そして、第1アンテナ素子部E1は、いわゆる「モノポールアンテナ」の機能を果たすものである。これに対して、第2電気長L2は、第2動作周波数f2に対応する波長λ2に対する0.25倍の値に設定されている。これにより、第2アンテナ素子部E2も、モノポールアンテナの機能を果たすものである。
第1動作周波数f1は、例えば、所定の周波数f0と同等の値に設定されている。第2動作周波数f2は、例えば、周波数f0に対する略2倍の値に設定されている。すなわち、第2動作周波数f2は、第1動作周波数f1に対する略2倍の値に設定されている。この場合、波長λ1に対する0.375倍の値は、波長λ2に対する0.75倍の値と同等である。また、波長λ1に対する0.25倍の値は、波長λ2に対する0.5倍の値と同等である。すなわち、この場合、第1電気長L1は、波長λ2に対する0.5倍の値よりも大きい値に設定されている。より具体的には、第1電気長L1は、波長λ2に対する0.75倍の値に設定されている。
個々の選択透過部11における通過帯域は、周波数f1を含む帯域に設定されており、かつ、周波数f2を除く帯域に設定されている。換言すれば、個々の選択透過部11における遮断帯域は、周波数f1を除く帯域設定されており、かつ、周波数f2を含む帯域に設定されている。これに対して、選択透過部6における通過帯域は、周波数f1及び周波数f2を除く帯域に設定されている。換言すれば、選択透過部6における減衰帯域は、周波数f1及び周波数f2を含む帯域に設定されている。以下、個々の選択透過部11を「第1選択透過部」ということがある。また、選択透過部6を「第2選択透過部」ということがある。
個々の線状部材7は、棒状導体2に対して傾斜するように設けられている。したがって、個々の線状導体9も、棒状導体2に対して傾斜するように設けられている。棒状導体2に対する個々の線状部材7の傾斜角度θ、すなわち棒状導体2に対する個々の線状導体9の傾斜角度θは、アンテナ装置100の機械的仕様及び電気的仕様に応じた値に設定されている。具体的には、例えば、傾斜角度θは、45度に設定されている。
個々の線状導体8は、接地面部1に対して傾斜するように設けられている。接地面部1に対する個々の線状導体8の傾斜角度φは、アンテナ装置100の電気的仕様に応じた値に設定されている。具体的には、例えば、傾斜角度φは、45度に設定されている。
このようにして、アンテナ装置100の要部が構成されている。
次に、アンテナ装置100において、第1電気長L1が波長λ2に対する0.5倍の値よりも大きい値に設定されていることによる効果について説明する。より具体的には、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、不整合損失が低減される作用及び効果について説明する。
仮に、第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値(すなわち波長λ2に対する0.5倍の値)に設定されている場合、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、個々の折り曲げ導体10の両端部が電気的に開放された状態となる。これは、個々の線状導体8の根元部に選択透過部11が設けられており、かつ、棒状導体4_2の先端部と個々の線状導体9の先端部との間に間隙が設けられているためである。
これにより、個々の折り曲げ導体10にて半波長の共振が発生する。このとき、棒状導体4_1と個々の折り曲げ導体10との間の電磁的な結合量(以下単に「結合量」という。)は、周波数f2にて最大となる。このため、棒状導体4_1に励起される電流は、個々の折り曲げ導体10に励起される電流に対しておおむね同振幅かつ逆位相となる。
この結果、周波数f2におけるアンテナ素子部Eの放射抵抗が低下する。これにより、周波数f2にて、給電部5に対するインピーダンス整合をとることが困難となる。具体的には、例えば、50オーム(以下「Ω」と記載する。)系の測定器に対するインピーダンス整合をとることが困難となる。
そこで、アンテナ装置100においては、上記のとおり、第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値よりも大きい値(すなわち波長λ2に対する0.5倍の値よりも大きい値)に設定されている。より具体的には、第1電気長L1が波長λ1に対する0.375倍の値(すなわち波長λ2に対する0.75倍の値)に設定されている。これにより、棒状導体4_1と個々の折り曲げ導体10との間の結合量は、f2よりも低い周波数にて最大となる。
この結果、周波数f2におけるアンテナ素子部Eの放射抵抗が増加する。これにより、周波数f2にて、給電部5に対するインピーダンス整合を容易にとることができる。換言すれば、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、不整合損失を低減することができる。
次に、アンテナ装置100において、第1電気長L1が波長λ2に対する0.5倍の値よりも大きい値に設定されていることによる他の効果について説明する。より具体的には、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、アンテナ利得が向上する作用及び効果について説明する。
アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、棒状導体4_1と個々の折り曲げ導体10との間の電磁結合により、個々の折り曲げ導体10に高周波電流が励起される。このとき、個々の折り曲げ導体10が非励振素子の機能を果たすとともに、棒状導体4_1が励振素子の機能を果たす。非励振素子(すなわち個々の折り曲げ導体10)に励起される電流の位相と、励振素子(すなわち棒状導体4_1)に励起される電流の位相との位相関係に応じて、非励振素子が反射器の機能を果たす。これにより、X軸マイナス方向に対して利得が低下するとともに、X軸プラス方向に対して利得が増加する。
このとき、第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値よりも大きい値(すなわち波長λ2に対する0.5倍の値よりも大きい値)に設定されていることにより、反射器の機能を強めることができる。そこで、アンテナ装置100においては、上記のとおり、第1電気長L1が波長λ1に対する0.375倍の値(すなわち波長λ2に対する0.75倍の値)に設定されている。これにより、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、アンテナ利得を向上することができる。
次に、アンテナ装置100において、第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値よりも大きい値に設定されていることによる効果について説明する。より具体的には、アンテナ素子部Eが周波数f1にて励振されたとき、不整合損失が低減される作用及び効果について説明する。
個々の折り曲げ導体10の形状は、線状導体8,9間の折り曲げ部を有する形状である。このため、仮に、第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値に設定されている場合、個々の折り曲げ導体10におけるインピーダンスが容量性となる。かかる容量性のインピーダンスにより、給電部5に対するインピーダンス整合をとることが困難となる。
これに対して、第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値よりも大きい値に設定されていることより、個々の折り曲げ導体10におけるインピーダンスの容量成分を小さくすることができる。これにより、周波数f1にて、給電部5に対するインピーダンス整合を容易にとることができる。換言すれば、アンテナ素子部Eが周波数f1にて励振されたとき、不整合損失を低減することができる。
次に、アンテナ装置100において、個々の線状導体8が接地面部1に対して傾斜するように設けられていることによる効果について説明する。より具体的には、アンテナ放射効率が向上する作用及び効果について説明する。
通常、棒状導体3の長さは、小さい値に設定されている。例えば、棒状導体3の長さは、波長λ2に対する0.001倍の値に設定されている。また、図1及び図2に示す如く、棒状導体4_1と個々の線状導体8との分岐部(以下単に「分岐部」という。)は、棒状導体4_1の下端部に配置されている。すなわち、分岐部は、棒状導体4_1における給電部5側の端部に設けられている。
このため、仮に、個々の線状導体8が接地面部1に対して平行に設けられている場合、接地面部1と個々の線状導体8との間隔が小さくなる。この結果、接地面部1と個々の線状導体8との間の狭い領域に電磁界が集中する。したがって、接地面部1における導電率が低いことにより、接地面部1が損失性の電気定数を有するものである場合、当該狭い領域にて損失が発生する。これにより、アンテナ放射効率が低下する。
これに対して、個々の線状導体8が接地面部1に対して傾斜するように設けられていることにより、接地面部1と個々の線状導体8との間隔を大きくすることができる。この結果、上記狭い領域に電磁界が集中するのを抑制することができる。この結果、アンテナ放射効率を向上することができる。
なお、個々の線状導体8が接地面部1に対して傾斜するように設けられていることにより、以下のような効果も得られる。すなわち、アンテナ装置100の高さが制限されている場合であっても、第1電気長L1を確保することができる。
次に、アンテナ装置100において、個々の線状導体9が対応する線状部材7に沿うように設けられていることによる効果について説明する。
アンテナ装置100が大型である場合、棒状導体2の自立安定性を向上する観点から、複数本の線状部材7を設けることが求められる。これらの線状部材7に沿うように線状導体9を設けることより、個々の折り曲げ導体10を保持するための専用の部材を不要とすることができる。これにより、アンテナ装置100の構成部材が増加するのを回避することができる。この結果、アンテナ装置100の構造を簡単にすることができるとともに、アンテナ装置100の製造コストの増加を抑制することができる。
次に、図3を参照して、アンテナ装置100の変形例について説明する。
アンテナ装置100は、複数個の折り曲げ導体10に代えて、1個の折り曲げ導体10を有するものであっても良い。例えば、図3に示す如く、アンテナ装置100は、2個の折り曲げ導体10_1,10_2に代えて、1個の折り曲げ導体10_3を有するものであっても良い。
すなわち、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、線状導体8_3が設けられている。線状導体8_3の先端部と連続するようにして、線状導体9_3が設けられている。線状導体9_3は、線状部材7_3に沿うように設けられている。線状導体9_3の先端部は、棒状導体4_2の先端部に向けられている。これらの線状導体8_3,9_3により、折り曲げ導体10_3が構成されている。
線状導体8_3の根元部に選択透過部11_3が設けられている。選択透過部11_3は、例えば、インダクタ及びキャパシタを用いたローパスフィルタにより構成されている。当該キャパシタの一端部は、電線12_3により接地面部1又は棒状導体3と電気的に接続されている。
なお、図1及び図2に示す例においては、上記のとおり、X軸マイナス方向に対して利得が低下するとともに、X軸プラス方向に対して利得が増加するものであった。他方、図3に示す例においては、X軸マイナス方向に対して利得が増加するとともに、X軸プラス方向に対して利得が低下するものである。
次に、アンテナ装置100の他の変形例について説明する。
接地面部1は、地面又は建物の屋上面に限定されるものではない。例えば、接地面部1は、水面であっても良い。この場合、張力構造による棒状導体2の支持を実現する観点から、接地面部1に沿うようにして、略板状の導体製の部材(以下「板状導体」という。)が設けられているものであっても良い。すなわち、複数本の線状部材7の張力により、棒状導体2が板状導体に支持されているものであっても良い。板状導体は、例えば、金属板により構成されている。
また、棒状導体4は、3本以上の棒状導体を組み立ててなるものであっても良い。この場合、当該3本以上の棒状導体のうちのいずれか2本の棒状導体間に選択透過部6が設けられているものであっても良い。
また、個々の選択透過部11は、ローパスフィルタに限定されるものではない。例えば、個々の選択透過部11は、バンドパスフィルタ又はバンドリジェクションフィルタにより構成されているものであっても良い。これらのフィルタは、インダクタ及びキャパシタを用いた直列共振回路、又はインダクタ及びキャパシタを用いた並列共振回路により構成されているものであっても良い。なお、これらのフィルタの回路構成によっては、電線12が不要である。
また、アンテナ装置100は、複数個の第1アンテナ素子部E1と一対一に対応する複数個の選択透過部11に代えて、複数個の第1アンテナ素子部E1により共用される1個の選択透過部11を有するものであっても良い。例えば、複数本の線状導体8の根元部が給電部5の正電位部と電気的に接続されているとき、かかる接続部に1個の選択透過部11が設けられているものであっても良い。これにより、選択透過部11の個数を低減することができるとともに、電線12の本数を低減することができる。
また、線状部材7の本数は、3本に限定されるものではない。棒状導体2の全長及び重量などに応じて、4本以上の線状部材7が設けられているものであっても良い。また、複数本の線状部材7の張力により棒状導体2が支持されているのに加えて、他の複数本の線状部材(不図示)の張力により棒状導体2が支持されているものであっても良い。
以上のように、アンテナ装置100は、接地面部1に垂設される棒状導体2と、張力構造により棒状導体2を支持する複数本の第1線状部材7と、棒状導体2から分岐するように設けられており、かつ、接地面部1に対して傾斜するように設けられる第1線状導体8と、第1線状導体8の先端部と連続するように設けられており、かつ、複数本の第1線状部材7のうちの選択された第1線状部材7に沿うように設けられている第2線状導体9と、を有する第1折り曲げ導体10と、第1線状導体8における棒状導体2側の端部に設けられている第1選択透過部11と、棒状導体2に設けられている第2選択透過部6と、を備え、を備え、棒状導体2及び第1折り曲げ導体10により、第1動作周波数f1に応じた第1電気長L1を有する第1アンテナ素子部E1、及び第2動作周波数f2に応じた第2電気長L2を有する第2アンテナ素子部E2が構成されている。これにより、アンテナ放射効率を向上することができる。また、アンテナ装置100の構造を簡単にすることができる。
また、第1電気長L1は、第2動作周波数f2に対応する波長λ2に対する0.5倍の値よりも大きい値に設定されている。これにより、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、不整合損失を低減することができる。また、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたとき、アンテナ利得を向上することができる。
また、第1アンテナ素子部E1は、折り曲げ導体10により構成されており、第2アンテナ素子部E2は、棒状導体2のうちの給電部5と第2選択透過部6との間の部位(棒状導体4_1)により構成されている。これにより、第1アンテナ素子部E1及び第2アンテナ素子部E2を実現することができる。
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係るアンテナ装置の要部を示す斜視図である。図4を参照して、実施の形態2に係るアンテナ装置について説明する。なお、図4において、図1及び図2に示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
線状導体8_1の先端部と連続するようにして、線状導体9a_1が設けられている。線状導体9a_1は、線状部材7_1に沿うように設けられている。線状導体9a_1の先端部は、棒状導体2の先端部に向けられている。より具体的には、線状導体9a_1の先端部は、棒状導体4_2の先端部に向けられている。ここで、線状導体9a_1の先端部は、棒状導体4_2の先端部と連続するように設けられている。これにより、棒状導体4_2の先端部と線状導体9a_1の先端部との間は、電気的に接続されている。これらの線状導体8_1,9a_1により、折り曲げ導体10a_1が構成されている。
線状導体8_2の先端部と連続するようにして、線状導体9a_2が設けられている。線状導体9a_2は、線状部材7_2に沿うように設けられている。線状導体9a_2の先端部は、棒状導体2の先端部に向けられている。より具体的には、線状導体9a_2の先端部は、棒状導体4_2の先端部に向けられている。ここで、線状導体9a_2の先端部は、棒状導体4_2の先端部と連続するように設けられている。これにより、棒状導体4_2の先端部と線状導体9a_2の先端部との間は、電気的に接続されている。これらの線状導体8_2,9a_2により、折り曲げ導体10a_2が構成されている。
すなわち、棒状導体2から分岐するようにして、複数本(例えば2本)の線状導体8が設けられている。より具体的には、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、複数本の線状導体8が設けられている。個々の線状導体8の先端部と連続するようにして、線状導体9aが設けられている。個々の線状導体9aは、複数本(例えば3本)の線状部材7のうちの対応する線状部材7に沿うように設けられている。個々の線状導体9aの先端部は、棒状導体4_2の先端部と連続するように設けられている。個々の線状導体8及び対応する線状導体9aにより、折り曲げ導体10aが構成されている。
棒状導体4_2及び個々の折り曲げ導体10aにより、第1アンテナ素子部E1が構成されている。また、棒状導体4_1により、第2アンテナ素子部E2が構成されている。
このようにして、アンテナ装置100aの要部が構成されている。
棒状導体2の一部(すなわち棒状導体4_2)を第1アンテナ素子部E1に用いることにより、アンテナ装置100に比して、第1電気長L1を大きくすることができる。すなわち、アンテナ装置100に比して、第1動作周波数f1を低くすることができる。換言すれば、より低い周波数におけるインピーダンス整合を実現することができる。また、アンテナ装置100aの高さが制限されている場合であっても、第1電気長L1を確保することができる。
なお、アンテナ装置100aは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、アンテナ装置100aにおいて、第2線状導体9aは、棒状導体2の先端部と連続するように設けられており、第1アンテナ素子部E1は、棒状導体2のうちの第2選択透過部6と棒状導体2の先端部との間の部位(棒状導体4_2)及び折り曲げ導体10aにより構成されており、第2アンテナ素子部E2は、棒状導体2のうちの給電部5と第2選択透過部6との間の部位(棒状導体4_1)により構成されている。これにより、第1電気長L1を大きくすることができる。この結果、より低い周波数におけるインピーダンス整合を実現することができる。
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係るアンテナ装置の要部を示す斜視図である。図5を参照して、実施の形態3に係るアンテナ装置について説明する。なお、図5において、図4に示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
棒状導体2aは、1本の棒状導体3及び複数本の棒状導体4aにより構成されている。具体的には、例えば、棒状導体2aは、1本の棒状導体3及び3本の棒状導体4a_1,4a_2,4a_3により構成されている。すなわち、棒状導体2aは、これらの棒状導体3,4aを組み立ててなるものである。
棒状導体3,4a_1間に給電部5が設けられている。また、棒状導体4a_1,4a_2間に選択透過部6が設けられている。すなわち、棒状導体4a_1は、給電部5と選択透過部6間に設けられている。これに加えて、棒状導体4a_2,4a_3間に選択透過部21が設けられている。すなわち、棒状導体4a_2は、選択透過部6,21間に設けられている。
選択透過部21における通過帯域は、選択透過部6における透過帯域と同様の帯域に設定されている。すなわち、選択透過部6における通過帯域は、周波数f1及び周波数f2を除く帯域に設定されている。換言すれば、選択透過部21における減衰帯域は、選択透過部6における減衰帯域と同様の帯域に設定されている。すなわち、選択透過部6における減衰帯域は、周波数f1及び周波数f2を含む帯域に設定されている。
選択透過部21は、例えば、誘電体ブロック又はバンドリジェクションフィルタにより構成されている。バンドリジェクションフィルタは、例えば、キャパシタ及びインダクタを用いた並列共振回路により構成されている。以下、選択透過部21を「第3選択透過部」ということがある。
個々の線状導体9aの先端部は、棒状導体2aの先端部に向けられている。より具体的には、個々の線状導体9aの先端部は、棒状導体4a_3の先端部に向けられている。ここで、個々の線状導体9aの先端部は、棒状導体4a_3の先端部と連続するように設けられている。これにより、棒状導体4a_3の先端部と個々の線状導体9aの先端部との間は、電気的に接続されている。
棒状導体4a_3及び個々の折り曲げ導体10aにより、第1アンテナ素子部E1が構成されている。したがって、第1電気長L1は、棒状導体4a_3の長さに応じて異なる値となる。換言すれば、第1電気長L1は、棒状導体2の長手方向(すなわちZ方向)に対する選択透過部21の配置位置に応じて異なる値となる。
また、棒状導体4a_1により、第2アンテナ素子部E2が構成されている。したがって、第2電気長L2は、棒状導体4a_1の長さに応じて異なる値となる。換言すれば、第2電気長L2は、棒状導体2の長手方向(すなわちZ方向)に対する選択透過部6の配置位置に応じて異なる値となる。
すなわち、棒状導体4aに複数個の選択透過部6,21が設けられている。これらの選択透過部6,21の配置位置に応じて、第1電気長L1及び第2電気長L2が個別に設定されるものである。これにより、第1動作周波数f1及び第2動作周波数f2を個別に設定することができる。換言すれば、インピーダンス整合を実現可能な周波数f1,f2を互いに独立して設定することができる。
このようにして、アンテナ装置100bの要部が構成されている。
次に、図6及び図7を参照して、アンテナ装置100bの解析結果について説明する。
図6及び図7に係る説明において、以下の条件を満たすアンテナ装置100bに対応するモデルを「第1モデル」という。すなわち、棒状導体3の長さは、波長λ2に対する0.001倍の値に設定されている。棒状導体2aの全長は、波長λ1に対する0.225倍の値(すなわち波長λ2に対する0.45倍の値)に設定されている。接地面部1に対する選択透過部6の設置高さは、波長λ2に対する0.25倍の値に設定されている。棒状導体2aに対する個々の線状部材7の傾斜角度θ(すなわち個々の線状導体9aの傾斜角度θ)は、45度に設定されている。接地面部1に対する個々の線状導体8の傾斜角度φは、45度に設定されている。第1電気長L1は、波長λ1に対する0.375倍の値(すなわち波長λ2に対する0.75倍の値)に設定されている。給電部5と個々の選択透過部11との間隔は、波長λ2に対する0.001倍の値以下の値に設定されている。個々の選択透過部11は、物理的な導通によりf1の周波数成分を通過させるとともに、物理的な非導通によりf2の周波数成分を遮断する。無限大の大きさを有する金属板が接地面部1に沿うように設けられており、この金属板が棒状導体2の根元部と電気的に接続されている。
また、図1及び図2に示すアンテナ装置100において、仮に第1電気長L1が波長λ1に対する0.25倍の値(すなわち波長λ2に対する0.5倍の値)に設定されている場合に対応するモデルを「第2モデル」という。すなわち、第2モデルは、第1モデルに対する比較用のモデルである。
また、第1モデルに係るアンテナ装置100bに対して、給電部5と分岐部との間に整合回路を追加してなるアンテナ装置(不図示)に対応するモデルを「第3モデル」という。この整合回路は、例えば、実施の形態6にて後述する整合回路と同様のものである。
図6は、周波数に対するVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)を示す特性図である。図6Aにおける特性線Iは、第1モデルにおけるVSWRを示している。図6Aにおける特性線IIは、第2モデルにおけるVSWRを示している。図6Bにおける特性線III,IVは、第3モデルにおけるVSWRを示している。
図6Aに示す如く、第2モデルを用いた場合、周波数f2におけるVSWRが大きい。これは、棒状導体4_1に励起される電流が個々の折り曲げ導体10に励起される電流に対しておおむね同振幅かつ逆位相となるためである。したがって、給電部5に対するインピーダンス整合をとることが困難である。これに対して、第1モデルを用いた場合、周波数f2におけるVSWRが小さい。これは、棒状導体4a_1と個々の折り曲げ導体10aとの間の結合量が低減されるためである。このため、図6Bに示す如く、整合回路を設けることにより、良好なマルチバンド特性を得ることができる。
図7は、水平面角度に対する指向性利得を示す特性図である。ここで、水平面角度は、X軸プラス方向を基準とする開き角度であり、かつ、接地面部1に沿う開き角度である。水平面角度0度は、X軸プラス方向に対応している。水平面角度プラス180度及び水平面角度マイナス180度は、X軸マイナス方向に対応している。図7における特性線Vは、第1モデルにおける指向性利得を示している。図7における特性線VIは、第2モデルにおける指向性利得を示している。
通常、無限大の大きさを有する接地用の金属板に単素子のモノポールアンテナが設けられているとき、このモノポールアンテナの指向性利得は、約5dBiである。図7に示す如く、第2モデルを用いた場合、水平面角度0度に対応する方向にて、5dBiよりも大きい指向性利得が得られる。しかしながら、この場合、水平面角度プラス50度に対応する方向及び水平面角度マイナス50度に対応する方向にて、指向性利得の低下が生じている。このため、いわゆる「ブロード」な指向特性を得ることが困難である。
他方、第1モデルを用いた場合、水平面角度0度に対応する方向にて、5dBiよりも大きい指向性利得が得られる。また、水平面角度0度を含む角度範囲について、第2モデルにおける角度範囲よりも広い角度範囲に亘り、5dBiよりも大きい指向性利得が得られる。これにより、ブロードな指向特性を得ることができる。
ここで、指向性利得の増加量は、第1電気長L1、第2電気長L2、傾斜角度θ及び傾斜角度φなどに応じた値となる。したがって、これらの値を設定することにより、所望の増加量を実現することができる。
なお、アンテナ装置100bは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、アンテナ装置100bは、棒状導体2aに設けられている第3選択透過部21を備え、第2線状導体9aは、棒状導体2aの先端部と連続するように設けられており、第1アンテナ素子部E1は、棒状導体2aのうちの第3選択透過部21と棒状導体2aの先端部との間の部位(棒状導体4a_3)及び折り曲げ導体10aにより構成されており、第2アンテナ素子部E2は、棒状導体2aのうちの給電部5と第2選択透過部6との間の部位(棒状導体4a_1)により構成されている。これにより、棒状導体2aの長手方向に対する第2選択透過部6及び第3選択透過部21の配置位置に応じて、第1電気長L1及び第2電気長L2を個別に設定することができる。この結果、インピーダンス整合を実現可能な周波数f1,f2を互いに独立して設定することができる。
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係るアンテナ装置の要部を示す斜視図である。図8を参照して、実施の形態4に係るアンテナ装置について説明する。なお、図8において、図1及び図2に示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
棒状導体2から分岐するようにして、線状導体31が設けられている。より具体的には、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、線状導体31が設けられている。
線状導体31の先端部と連続するようにして、線状導体32が設けられている。線状導体32は、線状部材7_3に沿うように設けられている。すなわち、線状導体32は、3本の線状部材7_1,7_2,7_3のうちの線状導体9_1,9_2が設けられている線状部材7_1,7_2と異なる線状部材7_3に沿うように設けられている。線状導体32の先端部は、棒状導体2の先端部に向けられている。より具体的には、線状導体32の先端部は、棒状導体4_2の先端部に向けられている。ここで、棒状導体4_2の先端部と線状導体32の先端部との間には、間隙が設けられている。これにより、棒状導体4_2の先端部と線状導体32の先端部との間は、電気的に絶縁されている。
これらの線状導体31,32により、折り曲げ導体33が構成されている。折り曲げ導体33は、例えば、金属線により構成されている。
以下、線状導体31を「第3線状導体」ということがある。また、線状導体32を「第4線状導体」ということがある。また、折り曲げ導体33を「第2折り曲げ導体」ということがある。
折り曲げ導体33は、第1動作周波数f1よりも高い所定の動作周波数(以下「第3動作周波数」という。)f3に対応するアンテナ素子(以下「第3アンテナ素子」という。)の機能を果たすものである。以下、第3アンテナ素子の機能を果たす部位を「第3アンテナ素子部」という。また、第3アンテナ素子部に「E3」の符号を用いる。
第3アンテナ素子部E3の電気長(以下「第3電気長」という。)L3は、第3動作周波数f3に応じた値に設定されている。第3動作周波数f3は、例えば、第2動作周波数f2よりも低い値に設定されている(f1<f3<f2)。または、例えば、第3動作周波数f3は、第2動作周波数f2よりも高い値に設定されている(f1<f2<f3)。
すなわち、第3動作周波数f3が第2動作周波数f2よりも低いときは、第3電気長L3が第2電気長L2よりも大きい。他方、第3動作周波数f3が第2動作周波数f2よりも高いときは、第3電気長L3が第2電気長L2よりも小さい。これにより、トリプルバンドを実現することができる。
以下、図8に示すアンテナ装置100cにおいて、第1アンテナ素子部E1、第2アンテナ素子部E2及び第3アンテナ素子部E3を総称して単に「アンテナ素子部」ということがある。また、かかるアンテナ素子部に「E」の符号を用いることがある。
線状導体31は、接地面部1に対して傾斜するように設けられている。接地面部1に対する線状導体31の傾斜角度αは、アンテナ装置100cの電気的仕様に応じた値に設定されている。例えば、傾斜角度αは、接地面部1に対する個々の線状導体8の傾斜角度φと同等の値に設定されている。
このようにして、アンテナ装置100cの要部が構成されている。
アンテナ素子部Eが周波数f3にて励振されたとき、棒状導体4_1及び個々の折り曲げ導体10が反射器の機能を果たすことより、X軸プラス方向に対して利得が増加する。これにより、アンテナ利得を向上することができる。すなわち、アンテナ素子部Eが周波数f2にて励振されたときのアンテナ利得が向上する原理と同様の原理により、アンテナ利得を向上することができる。
また、線状導体32が線状部材7_3に沿うように設けられていることにより、線状導体32を保持するための専用の部材を不要とすることができる。これにより、アンテナ装置100cの構成部材が増加するのを回避することができる。この結果、アンテナ装置100cの構造を簡単にすることができるとともに、アンテナ装置100cの製造コストの増加を抑制することができる。
次に、図9を参照して、アンテナ装置100cの変形例について説明する。図9において、図8に示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
図9に示す如く、複数本の線状部材7の張力により棒状導体2が支持されているのに加えて、他の複数本の線状部材34の張力により棒状導体2が支持されている。より具体的には、3本の線状部材7_1,7_2,7_3の張力により棒状導体2が接地面部1に支持されているのに加えて、3本の線状部材34_1,34_2,34_3の張力により棒状導体2が接地面部1に支持されている。図9において、線状部材7_2,34_2は図示を省略している。
棒状導体2から分岐するようにして、線状導体35が設けられている。より具体的には、棒状導体4_1の根元部から分岐するようにして、線状導体35が設けられている。線状導体35の先端部と連続するようにして、線状導体36が設けられている。線状導体36は、線状部材34_3に沿うように設けられている。線状導体36の先端部は、棒状導体4_1の中央部に向けられている。ここで、棒状導体4_1の中央部と線状導体36の先端部との間には、間隙が設けられている。これにより、棒状導体4_1の中央部と線状導体36の先端部との間は、電気的に絶縁されている。
これらの線状導体35,36により、折り曲げ導体37が構成されている。折り曲げ導体37は、例えば、金属線により構成されている。
以下、線状導体35を「第5線状導体」ということがある。また、線状導体36を「第6線状導体」ということがある。また、折り曲げ導体37を「第3折り曲げ導体」ということがある。
折り曲げ導体37は、第1動作周波数f1よりも高い所定の動作周波数(以下「第4動作周波数」という。)f4に対応するアンテナ素子(以下「第4アンテナ素子」という。)の機能を果たすものである。以下、第4アンテナ素子の機能を果たす部位を「第4アンテナ素子部」という。また、第4アンテナ素子部に「E4」の符号を用いる。
第4アンテナ素子部E4の電気長(以下「第4電気長」という。)L4は、第4動作周波数f4に応じた値に設定されている。第4動作周波数f4は、例えば、第2動作周波数f2と異なる値に設定されており、かつ、第3動作周波数f3と異なる値に設定されている。これにより、クアッドバンドを実現することができる。
以下、図9に示すアンテナ装置100cにおいて、第1アンテナ素子部E1、第2アンテナ素子部E2、第3アンテナ素子部E3及び第4アンテナ素子部E4を総称して単に「アンテナ素子部」ということがある。また、かかるアンテナ素子部に「E」の符号を用いることがある。
個々の線状部材34は、棒状導体2に対して傾斜するように設けられている。したがって、線状導体36も、棒状導体2に対して傾斜するように設けられている。棒状導体2に対する個々の線状部材34の傾斜角度β、すなわち棒状導体2に対する線状導体36の傾斜角度βは、アンテナ装置100cの機械的仕様及び電気的仕様に応じた値に設定されている。例えば、傾斜角度βは、棒状導体2に対する個々の線状部材7の傾斜角度θ、すなわち棒状導体2に対する個々の線状導体9の傾斜角度θと同等の値に設定されている。
線状導体35は、接地面部1に対して傾斜するように設けられている。接地面部1に対する線状導体35の傾斜角度γは、アンテナ装置100cの電気的仕様に応じた値に設定されている。例えば、傾斜角度γは、接地面部1に対する個々の線状導体8の傾斜角度φと同等の値に設定されている。
このように、アンテナ素子部Eの個数を増やすことにより、インピーダンス整合を実現可能な周波数を増やすことができる。また、Z軸に対して放射状に配置されているアンテナ素子部Eの個数を増やすことにより、いわゆる「ボウタイアンテナ」と同様のアンテナ装置100cを実現することができる。これにより、インピーダンス整合を実現可能な周波数帯域を広くすることもできる。
なお、図9に示すアンテナ装置100cは、折り曲げ導体33に加えて折り曲げ導体37を有するものである。すなわち、図9に示すアンテナ装置100cは、第3アンテナ素子部E3に加えて第4アンテナ素子部E4を有するものである。これに対して、アンテナ装置100cは、折り曲げ導体33に代えて折り曲げ導体37を有するものであっても良い。すなわち、アンテナ装置100cは、第3アンテナ素子部E3に代えて第4アンテナ素子部E4を有するものであっても良い。これにより、トリプルバンドを実現することができる。
そのほか、アンテナ装置100cは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、アンテナ装置100cは、棒状導体2から分岐するように設けられており、かつ、接地面部1に対して傾斜するように設けられる第3線状導体31と、第3線状導体31の先端部と連続するように設けられており、かつ、複数本の第1線状部材7のうちの他の第1線状部材7に沿うように設けられている第4線状導体32と、を有する第2折り曲げ導体33を備え、第2折り曲げ導体33により、第3動作周波数f3に応じた第3電気長L3を有する第3アンテナ素子部E3が構成されている。これにより、例えば、トリプルバンドを実現することができる。
また、アンテナ装置100cは、張力構造により棒状導体2を支持する複数本の第2線状部材34と、棒状導体2から分岐するように設けられており、かつ、接地面部1に対して傾斜するように設けられる第5線状導体35と、第5線状導体35の先端部と連続するように設けられており、かつ、複数本の第2線状部材34のうちの選択された第2線状部材34に沿うように設けられている第6線状導体36と、を有する第3折り曲げ導体37と、を備え、第3折り曲げ導体37により、第4動作周波数f4に応じた第4電気長L4を有する第4アンテナ素子部E4が構成されている。これにより、例えば、クアッドバンドを実現することができる。
実施の形態5.
図10は、実施の形態5に係るアンテナ装置の要部を示す斜視図である。図10を参照して、実施の形態5に係るアンテナ装置について説明する。なお、図10において、図1及び図2に示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
図10に示す如く、接地面部1に沿うようにして、複数本の線状導体41が設けられている。個々の線状導体41の根元部は、棒状導体2の根元部と電気的に接続されている。すなわち、個々の線状導体41の根元部は、棒状導体3の根元部と電気的に接続されている。複数本の線状導体41は、Z軸に対して放射状に配置されている。
具体的には、例えば、4本の線状導体41_1,41_2,41_3,41_4が設けられている。4本の線状導体41_1,41_2,41_3,41_4は、アンテナ装置100dを上方から見たとき、90度間隔に配置されている。
以下、個々の線状導体41を「第7線状導体」ということがある。
個々の線状導体41は、接地面部1における導電率よりも高い導電率を有する材料(例えば金属)により構成されている。具体的には、例えば、個々の線状導体41は、銅又はアルミニウムにより構成されている。
このようにして、アンテナ装置100dの要部が構成されている。
個々のアンテナ素子部Eは、モノポールアンテナの機能を果たすものである。すなわち、アンテナ装置100dは、接地面部1に大きな電流が流れる構造を有するものである。仮に、線状導体41が設けられていない場合、接地面部1における導電率が低いため、接地面部1よる損失が大きくなる。これに対して、接地面部1における導電率よりも高い導電率を有する線状導体41が設けられていることにより、かかる損失を低減することができる。この結果、アンテナ放射効率を更に向上することができる。
次に、アンテナ装置100dの変形例について説明する。
線状導体41の本数は、4本に限定されるものではない。線状導体41の本数を増やすことにより、上記損失を低減する効果を強めることができる。また、個々の線状導体41を長くすることにより、上記損失を低減する効果を強めることができる。
また、複数本の線状導体41の配置は、放射状の配置に限定されるものではない。例えば、複数本の線状導体41は、メッシュ状に配置されているものであっても良い。ただし、棒状導体2の根元部を含む領域における線状導体41の配置密度を高くすることにより、上記損失を低減する効果を強めることができる。これは、当該領域における電流が他の領域における電流よりも大きいためである。このため、複数本の線状導体41は、棒状導体2の根元部を含む領域における配置密度が高くなるように配置するのが好適である。
また、接地面部1と個々の線状導体41との間に間隙が設けられているものであっても良い。
そのほか、アンテナ装置100dは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、アンテナ装置100dは、棒状導体2と電気的に接続されており、かつ、接地面部1に沿うように設けられる複数本の第7線状導体41を備える。これにより、アンテナ放射効率を更に向上することができる。
実施の形態6.
図11は、実施の形態6に係るアンテナ装置の要部を示す側面図である。図11を参照して、実施の形態6に係るアンテナ装置について説明する。なお、図11において、図1及び図2に示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
図11に示す如く、給電部5と分岐部との間に整合回路51が設けられている。整合回路51は、例えば、インダクタ、キャパシタ、トランス又はインピーダンス変換器により構成されている。
このようにして、アンテナ装置100eの要部が構成されている。
整合回路51を用いることにより、アンテナ装置100に比して、給電部5に対するインピーダンス整合を更にとり易くすることができる。この結果、不整合損失を更に低減することができる。
なお、複数個のアンテナ素子部Eにより共用される1個の整合回路51に代えて、複数個のアンテナ素子部Eと一対一に対応する複数個の整合回路51が設けられているものであっても良い。
例えば、複数本の線状導体8の各々が給電部5の正電位部と電気的に接続されているとき、正電位側部と複数本の線状導体8の各々との間に第1アンテナ素子部E1用の整合回路(以下「第1整合回路」ということがある。)51が設けられているものであっても良い。すなわち、個々の第1アンテナ素子部E1における給電部5側の端部に第1整合回路51が設けられているものであっても良い。これに加えて、棒状導体4_1が給電部5の正電位部と電気的に接続されているとき、正電位部と棒状導体4_1との間に第2アンテナ素子部E2用の整合回路(以下「第2整合回路」ということがある。)51が設けられているものであっても良い。すなわち、第2アンテナ素子部E2における給電部5側の端部に第2整合回路51が設けられているものであっても良い。
また、接地用の電線(不図示)により、整合回路51が接地面部1又は棒状導体3と電気的に接続されているものであっても良い。かかる電線の要否は、整合回路51の回路構成に応じて異なるものである。
そのほか、アンテナ装置100eは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、アンテナ装置100eは、第1アンテナ素子部E1及び第2アンテナ素子部E2に対する給電部5と、給電部5と第1アンテナ素子部E1及び第2アンテナ素子部E2の分岐部との間に設けられている整合回路51と、を備える。整合回路51が設けられていることにより、不整合損失を更に低減することができる。
または、アンテナ装置100eは、第1アンテナ素子部E1及び第2アンテナ素子部E2に対する給電部5と、第1アンテナ素子部E1における給電部5側の端部に設けられている第1整合回路51と、第2アンテナ素子部E2における給電部5側の端部に設けられている第2整合回路51と、を含む複数個の整合回路51と、を備える。複数個の整合回路51が設けられていることにより、不整合損失を更に低減することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。