JP4456741B2 - スパイラル装荷モノポールアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送線路型アンテナに関するものであり、特に移動体通信システムに好適な低姿勢かつ広帯域のアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信システムに適した低姿勢とされたアンテナとして、伝送線路型アンテナが知られている。伝送線路型アンテナは、グランドプレーン上にストリップ導体を平行に配した伝送線路を利用したアンテナであり、F型アンテナ又は逆F型アンテナが伝送線路型アンテナの代表的なアンテナとされている。逆F型アンテナは、ストリップ導体を矩形の導体板で置き換えるようにしたアンテナである。置き換えの際に、この導体板の中心線上ではグランドプレーンに対する電圧がゼロとされることから、導体板の中心線上で折り曲げてその導体板の端縁をグランドプレーンに短絡している。これにより、半波長で動作するアンテナの長さを1/4波長と半分の長さに小型化することができる。
【0003】
さらに、折り曲げられた導体板の開放されている先端とグランドプレーンの間には強い電界が発生し、導体板にはキャパシタンスが等価的に挿入されたことになる。そこで、このキャパシタンスを補正するために、折り曲げて構成した短絡板を一側だけを残して切り取り細い導体線状とする。すると、導体線には大きな電流が流れて強い磁界が発生するようになる。このことから、導体板には大きいインダクタンスが等価的に挿入されたことになる。この結果、等価的に挿入されたキャパシタンスとインダクタンスとが互いに打ち消すようになるため、導体板の長さを短くしても整合をとることが可能となる。
このように、逆F型アンテナは小型・低姿勢のアンテナとされるため、飛翔体のアンテナや携帯電話機のアンテナとして用いられている。
【0004】
上記した逆F型アンテナでVHF帯のFM放送(76〜90MHz)または、VHFテレビ放送(92〜222MHz)の地上波を受信するアンテナを実現しようとすると、短辺が800mmないし1000mm程度の長方形のアンテナとなり、車両等の移動体に搭載することが困難になるという問題点があった。
こうした問題点を解決するための方法が、IEEE Transactions on Antennas and Propagation,Vol.AP-13,No.3,May 1965,pp.379-383,R.C.Fenwick“A new class of electrically small antennas" に記載されている。このアンテナは、スパイラル状素子をグランドプレーン上に平行に配置し、スパイラル状素子の長さを1/2波長とし、その巻き始め部を給電点とすると共に、その他端部を接地することにより小型化を図ったアンテナとされている。
【0005】
ただし、上記アンテナは小型化することはできるが、入力インピーダンスが約4Ωと非常に小さく、一般に給電ケーブルの特性インピーダンスが50Ωあるいは75Ωとされていることから効率の低いアンテナになってしまうことになる。また、共振が鋭くVSWRが2以下の場合を使用可能周波数帯域とすると、その周波数帯域が約0.2%と非常に狭く、移動体通信のように広い周波数帯域が割り当てられている通信システムに適用することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは特許第2997451号として、入力インピーダンスを高くすることができると共に、約7%の比帯域幅が得られる小型アンテナを提案している。
しかしながら、上記小型アンテナは入力インピーダンスを高くすることができるものの、近年の移動体通信においては比帯域幅が10パーセントを超えている通信システムもあり、このように広い周波数帯域の通信システムに上記小型アンテナを適用することが困難になるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、入力インピーダンスの広帯域化を図ることのできるスパイラル装荷モノポールアンテナを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナは、グランドプレーン上にほぼ垂直に配置されたモノポール素子と、該モノポール素子の先端に装荷されていると共に、前記グランドプレーンにほぼ水平に展開されたスパイラル素子と、該スパイラル素子の外周にほぼ対称に配置された一対のスパイラル無給電素子とを備え、前記スパイラル素子は、一対のスパイラルアームを回転対称に配置して構成されており、該一対のスパイラルアームにおける点対称の所定の位置に、グランドプレーンに短絡する短絡ピンが接続され、前記スパイラル無給電素子の巻き始め端がL字状に折曲されて、前記グランドプレーンに短絡されていると共に、前記モノポール素子の給電点と、前記短絡ピンとを結ぶ線上の近傍に、前記スパイラル無給電素子の巻き始め端が位置している。
【0010】
このような本発明によれば、モノポール素子の先端に装荷されたスパイラル素子の外周に一対のスパイラル無給電素子をほぼ対称に配置するようにしたので、インピーダンスの広帯域化を図ることができるようになった。
特に、モノポール素子の給電点と、スパイラル素子に設けられた短絡ピンの配置位置とを結ぶ線上の近傍に、スパイラル無給電素子の巻き始め端を位置させることにより、例えば約15%もの比帯域幅でインピーダンスの広帯域化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナの実施の形態の構成の一例を図1ないし図3に示す。ただし、図1は本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナの平面図、図2はその正面図、図3はその斜視図である。
これらの図に示す本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1は、設計周波数の波長に対して無限大の面積とみなすことのできるグランドプレーン18と、このグランドプレーン18上にほぼ垂直に立設されているモノポール素子15と、モノポール素子15の先端に回転対称に接続されている一対の第1スパイラルアーム11,第2スパイラルアーム12と、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12の外側にそれぞれ配置された一対の無給電素子13,14とを備えている。
【0012】
すなわち、モノポール素子15の先端が中心点Bに接続されており、この中心点Bには、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12の始端が接続されている。この第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12は、グランドプレーン18にほぼ平行に展開されており、スパイラル関数に基づくスパイラル曲線の形状とされている。また、第1スパイラルアーム11の所定位置である接合点Pにはグランドプレーン18にほぼ垂直に配置されている第1短絡ピン16の一端が接続され、第1短絡ピン16の他端はグランドプレーン18の点PGの位置に接続されている。さらに、第2スパイラルアーム12の所定位置である接合点Qにはグランドプレーン18にほぼ垂直に配置されている第2短絡ピン17の一端が接続され、第2短絡ピン17の他端はグランドプレーン18の点QOの位置に接続されている。なお、接合点Pと接合点Qは中心点Bに対してほぼ点対称の位置とされている。モノポール素子15の高さはhとされており、モノポール素子15の他端はグランドプレーン18のほぼ中央に形成された挿通孔に挿通されて、グランドプレーン18の下面に固着されている同軸ケーブルとされた給電線19の中心導体に接続されている。また、給電線19のシールド導体は、グランドプレーン18の下面にハンダ付け等により電気的かつ機械的に接続されている。この給電線19の中心導体に接続された点がモノポール素子15への給電点Sfdとされている。
【0013】
また、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き始め角はφstと表されていると共に、その巻き終わり角がφendと表されている。巻き始め角φstおよび巻き終わり角φendの基準はx軸とされているが、第2スパイラルアーム12の巻き始め角φstおよび巻き終わり角φendの基準は、πラジアンだけ回転されている。さらに、第1スパイラルアーム11、第2スパイラルアーム12とグランドプレーン18との間隔である高さはhとされる。なお、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12は、中央が中心点Bに接続されている所定長の直線導体の端部から巻き始められている。すなわち、この直線導体とx軸とのなす角が巻き始め角φstとされている。
ところで、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12に巻き始め角をφstとして、直線導体を設けているのは、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12のワイヤー径が、強度等を満足させるためにある程度の太さとされているためである。すなわち、巻き始め角を0°とすると巻き始め部分の曲率が大きくなり、太いワイヤー径のワイヤーではワイヤー同士が接触してスパイラル状に巻回できないからである。
【0014】
さらに、第1スパイラルアーム11における接合点Pの位置は、Sfd−B−P−PGからなる回路と、グランドプレーン18によって作られるSfd−B−P−PGのイメージ回路とからなる閉回路が目的とする周波数でほぼ共振する位置とされる。同様に、第2スパイラルアーム12における接合点Qの位置は、Sfd−B−Q−QOからなる回路と、グランドプレーン18によって作られるSfd−B−Q−QOのイメージ回路とからなる閉回路が目的とする周波数でほぼ共振する位置とされる。ここで、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12とは同様の構成とされているため、接合点Pと接合点Qとは中心点Bに対してほぼ点対称の位置となるのである。
【0015】
このように構成された本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1においては、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12が中心点Bに対して回転対称に配置されたスパイラル状の素子とされており、第1スパイラルアーム11とそのグランドプレーン18に対するイメージが作る放射界は、第1スパイラルアーム11の高さhが低い場合ほぼ逆位相になる。そのため、第1スパイラルアーム11が作る放射界と、そのイメージが作る放射界とが打ち消し合い放射パターンは形成されない。また、第2スパイラルアーム12も同様に作用するため、第2スパイラルアーム12による放射パターンも形成されない。結局のところ、モノポール素子15を流れる大きな電流および第1短絡ピン16、第2短絡ピン17を流れる電流によってスパイラル装荷モノポールアンテナ1の放射パターンが形成されるようになる。このため、本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナ1からはグランドプレーン18に対して垂直な直線偏波が放射されるようになる。また、本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナ1の水平面内(図1に示すx−y面)の放射パターンはほぼ無指向性とされ、全方位に放射されるようになる。
【0016】
本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において特徴的な構成は、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の外側に、それぞれ第1無給電素子13および第2無給電素子14を設けるようにした構成である。第1無給電素子13および第2無給電素子14は、L字状に折曲されて構成されており、グランドプレーン18に対して垂直になるように折曲された端部はグランドプレーン18に短絡されている。また、グランドプレーン18にほぼ平行とされている部分は、スパイラル関数に基づく曲線の形状とされている。このような第1無給電素子13および第2無給電素子14を設けることにより、後述するように本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1におけるインピーダンスの周波数帯域幅は、約15パーセントもの広帯域な比帯域幅とすることができる。なお、第1無給電素子13および第2無給電素子14の巻き始め角はφLstと表されると共に、その巻き終わり角がφLendと表される。巻き始め角φstおよび巻き終わり角φendの基準はx軸とされているが、第2無給電素子14の巻き始め角φLstおよび巻き終わり角φLendの基準は、πラジアンだけ回転されている。さらに、第1無給電素子13および第2無給電素子14とグランドプレーン18との間隔である高さはhとされている。
【0017】
次に、図1ないしび図3に示す構成とされている本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、各部の寸法の一例を示すが、第1スパイラルアーム11あるいは第2スパイラルアーム12における動径関数r、および、第1無給電素子13あるいは第2無給電素子14における動径関数rは、Archimedian スパイラル関数により次式のように表される。
r=as・φw ・・・(1)
ただし、(1)式においてasはスパイラル定数であり、φwは巻き始め角φstから巻き終わり角φendまでの巻き角度、あるいは巻き始め角φLstから巻き終わり角φLendまでの巻き角度を示している。
【0018】
設計周波数foの自由空間波長をλoとした時の各部の寸法の一例は次のようになる。第1スパイラルアーム11、第2スパイラルアーム12とグランドプレーン18との間隔である高さhは約0.0613λoと、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12、および、第1無給電素子13と第2無給電素子14のスパイラル定数asは約0.0064λo〔/rad〕と設定される。また、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き始め角φstは約1.3413π〔rad〕と、その巻き終わり角φendは可変可能であるが、例えば約7.153π〔rad〕と設定される。さらに、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstは約7.5292π〔rad〕と、その巻き終わり角φLendは約7.981π〔rad〕と設定される。さらにまた、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12、および、第1無給電素子13と第2無給電素子14のワイヤー半径ρは、約0.003354λoと、スパイラルアームの中央に位置する直線導体の全長は約0.05395λoと設定される。
【0019】
本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1の入力インピーダンスは、上記のような寸法に設定した際に設計周波数foにおいて約50Ωとなり、高い入力インピーダンスを得ることができる。さらに、周波数に対する電圧定在波比(VSWR)特性の一例は図4に示すようになる。このVSWR特性を参照すると、第1無給電素子13および第2無給電素子14を設けることにより、図4の「本発明(φend=7.153π)」として示すようにVSWRが2.0以下となる比帯域幅が、約15%もの広帯域となることがわかる。比較のために、無給電素子を備えていない従来のスパイラル装荷モノポールアンテナの周波数に対するVSWR特性を合わせて図4に示している。従来の例では、スパイラルアームの巻き終わり角φendを3種類替えて例示しているが、いずれの比帯域幅も約7%程度であり、これらのVSWR特性と比べて無給電素子13,14を備えている本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナ1の比帯域幅が約2倍とされていることがわかる。
【0020】
また、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、上記のような寸法に設定すると共に、下限周波数fL(f/fo=0.887)におけるスパイラル装荷モノポールアンテナ1の放射パターンを図5(a)(b)に示す。図5(a)はθ角度に対するφ=0°面(x−z面)内の放射パターンであり、グランドプレーン18に対して垂直面内の放射パターンとされている。本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナ1では、前述したようにモノポール素子15および第1短絡ピン16および第2短絡ピン17に流れる電流が同位相とされて、モノポール素子15,第1短絡ピン16,第2短絡ピン17からは放射されるが、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12からの放射は小さくされている。
【0021】
すなわち、実線で図示される放射パターンはモノポール素子15,第1短絡ピン16,第2短絡ピン17から放射されるEθ成分であり、Eθ成分はグランドプレーン18の水平方向(θ=90°)の放射が最も大きくされており、垂直方向(θ=0°)にはほとんど放射されていないことがわかる。また、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12から放射されるEφ成分は破線で示されるように、θ=45°方向に約−20dB以下のわずかなレベルで放射が行われているだけである。ここで、Eθ成分はグランドプレーン18に対して垂直な成分であるから、グランドプレーン18が地表に対して水平に位置される場合は垂直偏波となる。また、Eφ成分はグランドプレーン18に対して水平な成分であるから、グランドプレーン18が地表に対して水平に位置される場合は水平偏波となる。このように、グランドプレーン18が地表に対して水平に配置される場合は、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1は垂直偏波用のアンテナとなり、グランドプレーン18が地表に対して垂直に位置される場合は、本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナ1は水平偏波用のアンテナとして動作するようになる。
【0022】
さらに、図5(b)はφ角度に対するθ=90°面(x−y面)内の放射パターンであり、グランドプレーン18に対して水平面の放射パターンとされる。この場合に、実線で図示される放射パターンは前述したようにモノポール素子15,第1短絡ピン16,第2短絡ピン17から放射されるEθ成分であり、Eθ成分はx−y面の全方位にほぼ均等の強さで放射される。Eθ成分のx−y面内の偏差は、約4dBとされている。しかし、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12から放射されるEφ成分は、わずかなレベルでしか放射されないため図示されていない。
【0023】
次に、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、上記のような寸法に設定されていると共に、上限周波数fH(f/fo=1.0261)におけるスパイラル装荷モノポールアンテナ1の放射パターンを図6(a)(b)に示す。図6(a)はθ角度に対するφ=0°面(x−z面)内の放射パターンであり、グランドプレーン18に対して垂直面の放射パターンとされている。この場合に、実線で図示される放射パターンはモノポール素子15,第1短絡ピン16,第2短絡ピン17から放射されるEθ成分であり、Eθ成分はグランドプレーン18の水平方向(θ=90°)の放射が最も大きくされており、垂直方向(θ=0°)にはほとんど放射されていないことがわかる。また、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12から放射されるEφ成分は、わずかなレベルでしか放射されないため図示されていない。
【0024】
さらに、図6(b)はφ角度に対するθ=90°面(x−y面)内の放射パターンであり、グランドプレーン18に対して水平面の放射パターンとされる。この場合に、実線で図示される放射パターンは前述したようにモノポール素子15,第1短絡ピン16,第2短絡ピン17から放射されるEθ成分であり、Eθ成分はx−y面の全方位にほぼ均等の強さで放射される。Eθ成分のx−y面内の偏差は、約1.6dBとわずかな偏差とされている。しかし、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12から放射されるEφ成分は、わずかなレベルでしか放射されないため図示されていない。
なお、VSWR=2以下でかつ水平面(x−y面)内の放射パターンにおける偏差が3dB以下となる比帯域幅は、約12.6%となる。
【0025】
次に、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを変化させた際のVSWR特性を図7に示す。
第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを約5.529π〔rad〕とした際のスパイラル装荷モノポールアンテナ1の概略構成が図7(a)に示されており、その巻き始め角φLstを約6.529π〔rad〕とした際のスパイラル装荷モノポールアンテナ1の概略構成が図7(b)に示されており、その巻き始め角φLstを約7.529π〔rad〕とした際のスパイラル装荷モノポールアンテナ1の概略構成が図7(c)に示されている。このように、巻き始め角φLstに応じて第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め端がx軸に対して左巻き方向に回転していくと共に、中心点Bから次第に離隔していくようになる。図7(d)に示すVSWR特性を参照すると、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを約5.529π〔rad〕、約6.529π〔rad〕および約7.529π〔rad〕とπだけ回転する毎にVSWRが良好な値となることがわかる。このような巻き始め角φLstは、接合点P,Qと中心点Bとを結ぶ線の延長線の近傍に存在していることがわかる。すなわち、接合点P,Qと中心点Bとを結ぶ線の延長線の近傍にくるように第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを設定することにより、良好なVSWRのスパイラル装荷モノポールアンテナ1とすることができる。
【0026】
次に、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、VSWR特性が良好となるように第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを設定した際の周波数に対するVSWR特性を図8に示す。図8(a)は、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを5.529π〔rad〕とした場合であり、VSWR=2以下の比帯域幅はあまり拡大されていない。また、図8(b)は、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを6.529π〔rad〕とした場合であり、VSWR=2以下の比帯域幅は2つに分割されており少し拡大されている。さらに、図8(c)は、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを7.529π〔rad〕とした場合であり、VSWR=2以下の比帯域幅は2つに分割されており若干拡大されていることがわかる。このように、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを大きくするにつれて、VSWR=2以下の比帯域幅は拡大される傾向となることがわかる。
【0027】
次に、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き終わり角φendを約5.453π〔rad〕とすると共に、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを約7.529π〔rad〕、その巻き終わり角φLendを約7.981π〔rad〕と設定した際の周波数に対するVSWR特性を図9に示す。比較のために、無給電素子を備えていない従来のスパイラル装荷モノポールアンテナの周波数に対するVSWR特性を合わせて図9に示している。従来の例では、スパイラルアームの巻き終わり角φendを5.453π〔rad〕としているが、このVSWR特性と比べて無給電素子13,14を備えている本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナ1の比帯域幅が拡大されていることがわかる。
【0028】
次に、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き終わり角φendを約7.153π〔rad〕とすると共に、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを約7.529π〔rad〕、巻き終わり角φLendを約7.981π〔rad〕と設定した際の周波数に対するVSWR特性を本発明Aとして示すと共に、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き終わり角φendを約5.453π〔rad〕とすると共に、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き始め角φLstを約7.529π〔rad〕、巻き終わり角φLendを約7.981π〔rad〕と設定した際の周波数に対するVSWR特性を本発明Bとして図10に示す。比較のために、無給電素子を備えていない従来のスパイラル装荷モノポールアンテナの周波数に対するVSWR特性を合わせて図10に示している。従来の例では、スパイラルアームの巻き終わり角φendを5.453π〔rad〕としている。図10に示すVSWR特性から、スパイラルアーム11,12の巻き終わり角φendを大きくすると、VSWR=2以下の比帯域幅が拡大する傾向にあることがわかる。そして、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き終わり角φendを約7.153π〔rad〕とすると、VSWR=2以下の比帯域幅として最大の約15%の比帯域幅が得られる。
【0029】
次に、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、第1無給電素子13と第2無給電素子14の巻き終わり角φLendを約6.529π〔rad〕に固定して、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き終わり角φendを約5.703π〔rad〕、約5.933π〔rad〕、約6.203π〔rad〕の3種類とした際の周波数に対するVSWR特性を図11、図12、図13に示す。図11、図12、図13に示すVSWR特性を参照すると、第1スパイラルアーム11および第2スパイラルアーム12の巻き終わり角φendを大きくするほどVSWRの比帯域幅は拡大するのではなく、ある値の時に最も比帯域幅が拡大することがわかる。
【0030】
以上の解析結果から見ると、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1において、放射パターンはモノポール素子15および第1短絡ピン16および第2短絡ピン17に流れる電流によって形成されており、第1スパイラルアーム11と第2スパイラルアーム12を流れる電流は放射パターンの形成にはほとんど寄与していないことがわかる。また、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1の水平面(x−y面)内の放射パターンはほぼ全方位に均等とされており、50Ω系のVSWRが2.0以下の比帯域幅は、最大15%に達するようになる。
【0031】
なお、本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナにおけるスパイラルアームは2条に限るものではなく、2条以上の複数のスパイラルアーム数とすることができる。この場合にも中心点Bに対して対称になるよう複数条のスパイラルアームを配置するようにすればよい。すなわち、スパイラルアーム数をn(n=2,3,4・・・)とした時に、各スパイラルアームを2π/nづつ角度をずらせてほぼ同心として配置すればよい。
また、本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナ1における上記で示した各部の長さ等の寸法は一例であり、本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナはこの数値に限るものではない。すなわち、Sfd−B−P−PG回路とグランドプレーン18によって作られるイメージ回路からなる閉回路、および、Sfd−B−Q−QG回路とグランドプレーン18によって作られるイメージ回路からなる閉回路が、目的とする周波数でほぼ共振する長さとされればよい。さらに、第1スパイラルアームおよび第2スパイラルアームのグランドプレーンに対する高さhは高い方がアンテナ特性は向上するが、低姿勢とするために約0.06λo程度の高さとするのが好適である。また、第1スパイラルアームおよび第2スパイラルアームとグランドプレーンとを所定の厚さの誘電体のそれぞれの面に形成するようにすると、より低姿勢とすることが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、モノポール素子の先端に装荷されたスパイラル素子の外周に一対のスパイラル無給電素子をほぼ対称に配置するようにしたので、インピーダンスの広帯域化を図ることができるようになった。
特に、モノポール素子の給電点と、スパイラル素子に設けられた短絡ピンの配置位置とを結ぶ線上の近傍に、スパイラル無給電素子の巻き始め端を位置させることにより、例えば約15%もの比帯域幅でインピーダンスの広帯域化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナの実施の形態における一構成例を示す平面図である。
【図2】本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナの実施の形態における一構成例を示す正面図である。
【図3】本発明のスパイラル装荷モノポールアンテナの実施の形態における一構成例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるスパイラル装荷モノポールアンテナの周波数に対するVSWR特性を、従来の例と対比して示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナの下限周波数における垂直面(x−z面)内、水平面(x−y面)内の放射パターンを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナの上限周波数における垂直面(x−z面)内、水平面(x−y面)内の放射パターンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナにおいて、無給電素子の巻き始め角φLstを変化させた際のVSWR特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかるスパイラル装荷モノポールアンテナにおいて、VSWR特性が良好となるように無給電素子の巻き始め角φLstを設定した際の周波数に対するVSWR特性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるスパイラル装荷モノポールアンテナの一構成例の周波数に対するVSWR特性を、従来の例と対比して示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるスパイラル装荷モノポールアンテナの2つの構成例の周波数に対するVSWR特性を、従来の例と対比して示す図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるスパイラル装荷モノポールアンテナのスパイラルアームの巻き終わり角φendを約5.703π〔rad〕とした際の周波数に対するVSWR特性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるスパイラル装荷モノポールアンテナのスパイラルアームの巻き終わり角φendを約5.933π〔rad〕とした際の周波数に対するVSWR特性を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるスパイラル装荷モノポールアンテナのスパイラルアームの巻き終わり角φendを約6.203π〔rad〕とした際の周波数に対するVSWR特性を示す図である。
【符号の説明】
1 スパイラル装荷モノポールアンテナ、11 第1スパイラルアーム、12 第2スパイラルアーム、13 第1無給電素子、14 第2無給電素子、15 モノポール素子、16 第1短絡ピン、17 第2短絡ピン、18 グランドプレーン、19 給電線、B 中心点、P 接合点、Q 接合点、Sfd 給電点
Claims (1)
- グランドプレーン上にほぼ垂直に配置されたモノポール素子と、
該モノポール素子の先端に装荷されていると共に、前記グランドプレーンにほぼ水平に展開されたスパイラル素子と、
該スパイラル素子の外周にほぼ対称に配置された一対のスパイラル無給電素子とを備え、
前記スパイラル素子は、一対のスパイラルアームを回転対称に配置して構成されており、該一対のスパイラルアームにおける点対称の所定の位置に、グランドプレーンに短絡する短絡ピンが接続され、
前記スパイラル無給電素子の巻き始め端がL字状に折曲されて、前記グランドプレーンに短絡されていると共に、前記モノポール素子の給電点と、前記短絡ピンとを結ぶ線上の近傍に、前記スパイラル無給電素子の巻き始め端が位置していることを特徴するスパイラル装荷モノポールアンテナ。
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