以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。また、以下の説明における寸法は、必ずしも図面には相当しない。
[第1実施形態]
図1及び図2に示されるように、電子管1は、ネオン又は水素等の放電ガスを封入した、受光素子(エネルギー検出素子)として機能する放電管である。電子管1は、光電子放出効果及び放電現象を利用して紫外線を検出する紫外線検出器(炎センサ)として用いられる。電子管1は、気密封止された内部空間Rを有する筐体2と、内部空間R内において受光を行うための電極としての陰極K及び陽極Aと、を備える。電子管1は、直方体状の外形を呈しており、例えば10mm×10mm×5mmの寸法を有する。
筐体2は、本体部5及び蓋部6を有する。筐体2は、本体部5及び蓋部6を封止部Sによって気密接合し、その内部空間Rに放電ガスを封入した構造を有する。本体部5は、絶縁性材料から成り、例えば石英、ガラス又はセラミック等により形成されている。本体部5は、第1板状部7と、第1板状部7上に設けられた側壁部8と、を含む。第1板状部7は、矩形平板状を呈する。第1板状部7の厚さは、例えば1mmである。側壁部8は、第1板状部7の縁部に立設され、矩形枠状を呈する。本体部5では、側壁部8に囲まれた領域により、内部空間Rを構成する凹部9が形成されている。内部空間Rでは、電子放出が行われる。
凹部9は、その底面9a(第1板状部7の内側面)から開口9b側に向かうに従って拡がっている。凹部9は、四角錐台状の空間である。凹部9の深さは、例えば2.5mmである。凹部9の開口9bは、例えば7mm×7mmの矩形状である。凹部9における4つの側面9cは、開口9b側に向かうに従って凹部9が拡がるように連続的に(滑らかな面となるように)傾斜している。底面9aに直交する方向を基準(0°)にした際の側面9cの傾斜角度θ1は、3°〜10°であり、好ましくは5°である。換言すれば、電子管1を側壁部8の立設方向に沿った断面で見た場合(図1を紙面垂直方向から見た場合)、底面9aと側面9cとがなす角度θ2は、93°〜100°であり、好ましくは95°である。
蓋部6は、凹部9の開口9bを閉じるように、封止部Sによって本体部5に気密接合されている。蓋部6の内面と封止部Sと凹部9の底面9a及び側面9cとにより、内部空間Rが画成される。蓋部6は、光透過性(紫外線透過性,エネルギー透過性)を有する絶縁性材料から成り、例えば石英又は紫外線透過ガラス等により形成されている。蓋部6は、第2板状部10を含む(ここでは、蓋部6は第2板状部10である)。第2板状部10は、矩形平板状を呈する。第2板状部10の厚さは、例えば1mmである。第2板状部10は、側壁部8上に固定され、第1板状部7と対向する。第2板状部10と側壁部8との間には、封止部Sを構成する第1下地膜15、シール材16及び第2下地膜17が、側壁部8から第2板状部10に向かってこの順で介在されている。なお、図2では、第1下地膜15及び第2下地膜17を省略して示している。
第1下地膜15は、シール材16と側壁部8との密着性を向上させる膜である。第2下地膜17は、シール材16と第2板状部10との密着性を向上させる膜である。第1下地膜15及び第2下地膜17としては、Cr(クロム)/Ni(ニッケル)、又は、Ti(チタン)/Pt(白金)/Au(金)等を用いることができる。シール材16は、側壁部8と第2板状部10との間を気密に封止する部材である。シール材16としては、In(インジウム)、AuSn(金スズ)等のろう材、又は、フリットガラス等を用いることができる。第1下地膜15、シール材16及び第2下地膜17は、凹部9の開口9b側から見て、凹部9の周縁部上に設けられた矩形枠状を呈する。
陰極(電極)Kは、後述する光電子放出部14から成る。光電子放出部14は、貫通部材3の先端部に保持されることで、内部空間R内の所望の位置に配置されると共に貫通部材3と電気的に接続される。光電子放出部14は、貫通部材3を介して所望の電位が与えられることで、光電子放出電極として機能する。
貫通部材3は、本体部5の第1板状部7を貫通する導電性部材である。貫通部材3は、例えばコバール金属で形成されている。貫通部材3は、その基端側に、略一定の径を有して略円柱状に延在する柱状部3aを備える。貫通部材3は、その先端側に、柱状部3aよりも大きな径を有する大径部3bを備える。大径部3bにおける基端側は、先端側に向かうに従って拡径する(拡がる)拡大部3b1を有する。拡大部3b1よりも先端側は、その先端面において光電子放出部14を保持する円柱状の保持部3b2とされている。また、柱状部3aの長さは、第1板状部7の厚さよりも大きくなっている。
貫通部材3は、柱状部3aの基端側(基端面)において外部空間(電子管1の外部の空間)に、第1板状部7の外側面と面一となるような状態で露出すると共に、大径部3b及び柱状部3aの先端側の一部が、凹部9の底面9aから蓋部6側に向かって内部空間R内に突出するようにして、第1板状部7に固定されている。つまり、貫通部材3は、凹部9の底面9aの中央部から内部空間R内に突き出る内部空間突出部11を有し、内部空間突出部11は、大径部3b及び柱状部3aの先端側の一部によって構成される。そして、内部空間突出部11は、当該先端側に向かうに従って拡径する(拡がる)拡大部3b1を有し、拡大部3b1は大径部3bの基端側の一部によって構成される。
拡大部3b1の側面は、先端側に向かうに従って貫通部材3が拡がるように連続的に(滑らかな面となるように)傾斜している。拡大部3b1は、円錐台状を呈する。内部空間突出部11における拡大部3b1よりも先端側は、保持部3b2とされている。保持部3b2は、大径部3bの先端側の一部によって構成される。保持部3b2は、拡大部3b1以上の径を有し、拡大部3b1は、拡大部3b1よりも基端側の径(柱状部3aの径)よりも大きい径を有する。つまり、内部空間突出部11では、拡大部3b1よりも先端側である保持部3b2の径が、拡大部3b1よりも基端側の径(柱状部3aの径)に比べて大きくされている。例えば、貫通部材3における保持部3b2の径はφ2mmであり、拡大部3b1よりも基端側の径(柱状部3aの径)はφ1mmであり、貫通部材3の全長は3mmである。このような貫通部材3は、キノコ形状を呈し、主にその笠部分である拡大部3b1及び保持部3b2が内部空間R内に突き出ているとも言える。
保持部3b2の先端面上には、光電子放出電極として機能する円板状の光電子放出部14が貫通部材3と同軸で接合されている。光電子放出部14では、貫通部材3と異なり、本体部5との密着性等を考慮する必要がない。そのために、光電子放出部14の材料として、光電変換効率を主眼とした材料を選択することができる。例えば光電子放出部14は、Ni(ニッケル)により形成されている。光電子放出部14は、例えばφ4mmで厚さ0.3mmの寸法を有する。
内部空間突出部11において拡大部3b1と拡大部3b1よりも基端側の部分(柱状部3aの先端側の一部)とは、その周囲が絶縁部12により被覆されている。換言すると、内部空間突出部11における保持部3b2以外の側方は、絶縁部12により囲われている。絶縁部12は、絶縁性材料から成り、例えば石英、ガラス又はセラミック等により形成されている。本実施形態の絶縁部12は、本体部5の第1板状部7と一体で形成されている。絶縁部12の外周面は、円錐台の側面を構成し、凹部9の底面9aから開口9b側に向かうに従って縮径するように連続的に(滑らかな面となるように)傾斜している。
陽極(他の電極)Aは、対向電極(対向電極部材)4から成る。対向電極4は、貫通部材3及び光電子放出部14と対向するように蓋部6に設けられている。対向電極4は、蓋部6を透過した光が透過できるような開口部を備えた、例えばメッシュ状の電極である。対向電極4は、貫通部材3上の光電子放出部14に対して所定長離れて対面する。所定長は、例えば、0.2mmに第1下地膜15、シール材16及び第2下地膜17の各厚さを加えた長さである。対向電極4は、蓋部6の内面に蒸着により形成される。対向電極4は、Al(アルミニウム)又はCr等の金属膜である。対向電極4は、給電部13と電気的に接続されている。
給電部13は、対向電極4に給電するための部材である。給電部13は、導電性材料から成る。給電部13は、内部空間R内に露出することなく本体部5を貫通する。具体的には、給電部13は、凹部9の深さ方向を軸方向とし、略一定の径を有して延在する略円柱状を呈し、第1板状部7及び側壁部8の内部に埋設されて、内部空間R内に露出することなく貫通する。給電部13は、本体部5における凹部9の周囲に設けられている。給電部13は、例えばコバール金属で形成されている。給電部13における開口9b側の先端部(先端面)は、側壁部8の蓋部6側の端面において当該端面と面一になるように露出し、第1下地膜15、シール材16及び第2下地膜17を介して、対向電極4に電気的に接続されている。一方、給電部13における第1板状部7側の基端部(基端面)は、外部空間(電子管1の外部の空間)に、第1板状部7の外側面と面一となるような状態で露出する。
以上のように構成された電子管1の動作原理を説明する。ここでは、電子管1の使用状態において、貫通部材3に負の電圧を供給することで陰極K(光電子放出部14)に負の電圧を印加し、給電部13を接地電位に接続することで接地電位の陽極A(対向電極4)から信号を取り出す形態における説明を行う。このように、陰極K(光電子放出部14)と陽極A(対向電極4)との間に電圧が印可されている状態において、蓋部6及び対向電極4の開口部を介して陰極K(光電子放出部14)に紫外線が入射すると、陰極K(光電子放出部14)から光電子が放出される(光電子放出効果)。この光電子は、陰極K(光電子放出部14)と陽極A(対向電極4)との間に印加された電圧で形成される電界によって陽極A(対向電極4)に引き寄せられる際、内部空間R内の放電ガス分子と衝突して放電ガス分子を電離させる。電離によって発生した電子及び正イオンのうち、電子は、更に他の放電ガス分子と衝突及び電離を繰り返して二次電子を発生させ、陽極A(対向電極4)に至る。一方、正イオンは、陰極K(光電子放出部14)に向けて加速され、陰極K(光電子放出部14)に入射すると、陰極K(光電子放出部14)より電子が放出される。そして、当該電子が、陽極A(対向電極4)に引き寄せられる際、内部空間R内の放電ガス分子と衝突して放電ガス分子を電離させる。このような電子増倍が繰り返されることにより、空間放電が生じ、陰極K(光電子放出部14)と陽極A(対向電極4)との間に急激に大きな電流が流れる。当該電流を陽極A(対向電極4)で検出することにより、紫外線を検出することができる。このように、電子管1では、光電子放出効果及び放電現象を利用して紫外線を検出する。
次に、電子管1を製造する製造方法について、図3〜図8を用いて説明する。図4〜図8では、図3のA−A線に沿う断面に対応する断面の一部のみ(1つの電子管1に相当する領域のみ)を示しており、実際には図3に示すように、例えば五行五列で25個の電子管1を一括に製造している。また、製造方法の説明においては、貫通部材(導電性部材)3及び給電部13における基端を一端とし、先端を他端とする。
まず、図3及び図4(a)に示されるように、治具20を用意する。治具20は、本体部5を成形する型である。治具20は、平板部21と、平板部21の表面21aにマトリクス状に並設された凸部22と、平板部21における各凸部22の周囲に形成された孔部23と、を備える。
凸部22は、凹部9に対応する形状を有する。凸部22は、先端の頂面22tに向かうに従って狭まる四角錐台状を呈する。凸部22の側面22sは、先端側に向かうに従って凸部22が狭まるように連続的に(滑らかな面となるように)傾斜している。頂面22tは凹部9の底面9aに対応し、側面22sは凹部9の側面9cに対応する。表面21aと直交する方向を基準(0°)にした際の凸部22の側面22sの傾斜角度θ1mは、3°〜10°であり、好ましくは5°である。換言すれば、治具20を凸部22の立設方向に沿った断面で見た場合(図4を紙面垂直方向から見た場合)、表面21aと側面22sとが為す角度θ2mは、93°〜100°であり、好ましくは95°である。凸部22は、その上面における略中央領域に貫通部材3を保持する保持凹部22aを有する。
保持凹部22aは、貫通部材3の柱状部3aの一端側を凸部22よりも突出させた状態で、柱状部3aの他端側及び貫通部材3の大径部3bを内挿して保持する。保持凹部22aの深さは、凸部22の突出高さよりも小さい。保持凹部22aの底面22a1側は、大径部3bの他端側である保持部3b2に対応した、底面22a1及び側面22a2によって構成される円柱状を呈する。保持凹部22aの開口側は、当該開口側に向かうに従って拡径する円錐台状を呈し、側面22a3によって構成される。つまり、保持凹部22aの開口側の側面22a3は、開口側に向かうに従って保持凹部22aが拡がるように連続的に(滑らかな面となるように)傾斜する。孔部23は、平板部21の表面21aにおいて各凸部22に近接する位置に形成されている。孔部23は、凸部22と一対で一組となるよう、凸部22と同数形成されている。孔部23は、給電部(給電部材)13の端部を保持する。孔部23は、給電部13に対応する円柱状を呈する。
治具20を、図示しない載置台の上に載置した状態で、図4(b)に示されるように、治具20の保持凹部22aに貫通部材3の他端側である保持部3b2を底側にして、貫通部材3を同軸に挿入する。つまり、貫通部材3の保持部3b2の他端面を保持凹部22aの底面22a1で支持することで、貫通部材3を他端側で保持凹部22a内に立設するように配置する。さらに、保持部3b2の側面も保持凹部22aの側面22a2で支持されているので、貫通部材3は保持凹部22a内でより安定に保持されている。これにより、保持凹部22aで貫通部材3を着脱自在に保持させる。併せて、治具20の孔部23に給電部13の他端側を同軸に挿入し、給電部13を他端側で孔部23内に立設するように配置する。これにより、孔部23で給電部13を着脱自在に保持させる。このとき、貫通部材3及び給電部13の一端面、つまり治具20から突出する側の端面は、それらの軸方向において略同じ位置に位置している。貫通部材3と保持凹部22aの側面と間には、隙間Gが形成されている。隙間Gは、保持凹部22a内において貫通部材3の周囲に存在する空間である。隙間Gは、拡大部3b1と保持凹部22aの内側面との間の隙間G1を含む。なお実際には、貫通部材3を保持凹部22aで着脱自在に保持するために、保持凹部22aと保持部3b2との間にも僅かな隙間が存在するが、この隙間は隙間Gには含まれないものとする。
このような治具20の用意と共に、図5(a)に示されるように、例えばガラス等の絶縁性材料から成る第1部材30を用意する。第1部材30は、平板状を呈しており、例えば80mm×80mm×4mmの寸法を有する。第1部材30の大きさには、後述の切断工程における切り代が含まれている。
第1部材30を図示しない保持部材で保持した状態で、貫通部材3及び給電部13を保持した治具20に対向する位置に第1部材30を配置し、第1部材30と複数の凸部22とを対向させる。そして、治具20及び第1部材30の少なくとも何れか、より好ましくは両方を、第1部材30が溶融変形可能な温度まで加熱する。例えば、治具20及び第1部材30を、載置台及び保持部材を含めて、第1部材30が溶融変形可能な温度雰囲気中に配置する。よって、治具20、載置台及び保持部材は、第1部材30が溶融変形可能な温度においても溶融及び変形することのない、高温での安定性に優れた材料から成る。第1部材30が溶融変形可能な温度は、例えば第1部材30がガラスから成る場合、ガラスの転移点以上の温度である。
続いて、図5(b)に示されるように、第1部材30と複数の凸部22とを対向させた状態で、治具20と第1部材30とを接近させて接触させ、治具20及び第1部材30の何れか一方を他方に(又は互いに)押圧することで、複数の凸部22と貫通部材3及び給電部13とを第1部材30に埋め込む。その際、拡大部3b1の周囲の隙間G1を含む隙間Gにも、第1部材30が流入し、埋め込まれる。なお、保持部3b2の側面と側面22a2との間には、ほとんど第1部材30が流入することはないため、少なくとも保持部3b2の他端面と底面22a1との間には第1部材30が流入することはない。つまり、貫通部材3のうち、少なくとも保持部3b2の他端面は絶縁性材料に覆われることはない。そのため、後述する光電子放出部14との接合時において、光電子放出部14との電気的接続を確実に確保することができる。また、ここでは、貫通部材3及び給電部13の一端面までが埋設されるように(一端面が第1部材30から露出しないように)、第1部材30に埋め込んでいる。その後、図6(a)に示されるように、治具20を取り外す(離型する)。換言すると、治具20から、第1部材30と貫通部材3と給電部13とを取り出す。
続いて、図6(b)に示されるように、凹部9の開口9bの向きが180°変わるように、第1部材30と貫通部材3と給電部13との天地を逆にして配置する。なお、天地を逆に配置する当該工程は、説明の便宜上の工程であり、実際の製造工程においては無くてもよい。
続いて、図6(c)に示されるように、第1部材30における凹部9の開口9b側とは反対側の表面30aを、貫通部材3及び給電部13の一端が当該表面30aから露出するまで研磨する。同様に、給電部13の他端を、第1部材30における凹部9の開口9b側の表面30bと同一面になるように研磨する。これにより、中間体N1を形成する。
中間体N1は、開口9b側に向かうに従って拡がる複数の凹部9が複数の凸部22に対応して形成された第1部材30と、第1部材30を貫通して凹部9内に突き出る複数の貫通部材3と、第1部材30における凹部9の周辺を貫通する複数の給電部13と、を備える。なお、本実施形態での複数とは、上述したように例えば五行五列の25個に相当する。貫通部材3において保持凹部22aに挿入された部分、つまり、大径部3b(拡大部3b1及び保持部3b2)及び柱状部3aの他端側の一部により、内部空間突出部11が形成される。拡大部3b1の周囲の隙間G1を含む隙間G(図5(a)参照)に埋め込まれた第1部材30により、絶縁部12が形成される。
続いて、図7(a)に示されるように、凹部9内において貫通部材3の保持部3b2側の先端面に、陰極Kとしての光電子放出部14を貫通部材3と同軸で配置して接合する。光電子放出部14と貫通部材3との接合方法は特に限定されず、例えばレーザ溶接、抵抗溶接又はろう材等により接合できる。続いて、図7(b)に示されるように、第1部材30の表面30b上において各凹部9の周縁部に、第1下地膜15を成膜する。そして、図7(c)に示されるように、各第1下地膜15上にシール材16を積層する。
続いて、図8(a)に示されるように、第2部材40を用意する。第2部材40は、平板状を呈しており、例えば80mm×80mm×1mmの寸法を有する。第2部材40は、中間体N1における第1部材30に対応する大きさの表面40aを有する。第2部材40の表面40a上において、中間体N1の各貫通部材3(光電子放出部14)及び各給電部13に対応する複数位置に、対向電極(対向電極部材)4を蒸着する。つまり、後段にて中間体N1に第2部材40を気密接合した際に、各貫通部材3(光電子放出部14)及び各給電部13に対向するように対向電極4を第2部材40に設ける。そして、シール材16と対向する位置に、第2下地膜17を成膜する。
続いて、図8(b)に示されるように、ガス雰囲気中において、複数の凹部9が気密封止されて、周囲雰囲気のガスを封入した複数の内部空間Rが形成されるように、中間体N1に第2部材40を重ねて気密接合する。このとき、各対向電極4を各貫通部材3(光電子放出部14)と対向させると共に、各対向電極を各給電部13と電気的に接続する。これにより、接合体N2を形成する。
最後に、複数の内部空間R毎に接合体N2を切断する。例えば隣接する内部空間Rの間を通るように格子状に切断予定ラインを設定し、この切断予定ラインに沿って接合体N2切断する。当該切断工程における切断方法は特に限定されず、公知の種々の切断方法を採用できる。これにより、第1部材30により本体部5が構成され、第2部材40により蓋部6が構成された複数の電子管1として、接合体N2が分割される。以上により、電子管1の製造が完成する。
以上、電子管1の製造方法では、第1部材30を貫通した貫通部材(導電性部材)3が内部に突き出た複数の凹部9を治具20を用いて一括成形し、当該凹部9により構成された内部空間Rを有する内部構造を一括製造することができる。すなわち、電子管1の内部構造を容易に製造することが可能となる。
電子管1の製造方法は、接合体Nを形成する工程後、少なくとも1つの内部空間Rを備えるように接合体N2を複数の電子管1に切断する工程を含む。これにより、所定の内部構造を備えた複数の電子管1を安定して製造することが可能となる。
電子管1の製造方法では、治具20の凸部22の側面22sは、先端側の頂面22tに向かうに従って凸部22が狭まるように連続的に(滑らかな面となるように)傾斜している。この場合、第1部材30及び治具20の破損を抑制しつつ治具20を離型することができる。電子管1の内部構造を安定して製造することが可能となる。
電子管1の製造方法では、治具20の凸部22は、貫通部材3の一端側を当該凸部22よりも突出させた状態で貫通部材3の他端側を内挿して保持する保持凹部22aを有する。保持凹部22aに内挿された貫通部材3の他端側と保持凹部22aの側面との間には、隙間Gが形成されている。この場合、隙間Gに第1部材30が埋め込まれることにより貫通部材3を被覆できるため、貫通部材3を突出させる場合であっても、当該貫通部材3を安定して固定することが可能となる。なお、隙間Gは、貫通部材3と保持凹部22aの側面との間の少なくとも一部に形成されていればよい。
電子管1の製造方法では、保持凹部22aに内挿して保持された貫通部材3の拡大部3b1と保持凹部22aの側面と間には、隙間G1が形成されている。この場合、隙間G1に第1部材30が埋め込まれることにより拡大部3b1を被覆できるため、貫通部材3と第1部材30との接触面積を拡大することが可能となる。貫通部材3を突出させる場合であっても、当該貫通部材3を安定して固定することが可能となる。なお、隙間G1は、拡大部3b1と保持凹部22aの側面との間の少なくとも一部に形成されていればよい。また、拡大部3b1によって絶縁部12が保持部3b2の他端面に至ることを抑制できるので、光電子放出部14との電気的接続を確実に確保することができる。
電子管1の製造方法では、拡大部3b1の側面は、貫通部材3の他端側に向かうに従って貫通部材3が拡がるように連続的に傾斜していてもよい。この場合、拡大部3b1の側面を第1部材30で隙間無く被覆することが容易になる。貫通部材3を突出させる場合であっても、当該貫通部材3を一層安定して固定することが可能となる。
電子管1の製造方法では、治具20は、凸部22の周囲において給電部13を着脱自在に保持する。給電部13が第1部材30に埋め込まれるように治具20を第1部材30に接触させ、給電部13を含む中間体N1を形成する。そして、貫通部材3と対向するように対向電極4(対向電極部材)を第2部材40に設けると共に、当該対向電極4を給電部13と電気的に接続する。この場合、第2部材40側の対向電極4への給電経路を、別途工程を要することなく形成することが可能となる。
電子管1の製造方法では、第2部材40は、絶縁性材料から成る。この場合、製造した電子管1における内部空間R内での耐電圧能を向上することが可能となる。
電子管1の製造方法では、貫通部材3及び給電部13の一端が第1部材30から露出するまで第1部材30を研磨する。この場合、貫通部材3及び給電部13が第1部材30を貫通する構成を具体的に実現できる。
電子管1では、陰極Kとの電気的接続を内部空間突出部11を有する貫通部材3で行うことで、例えば筐体内壁面に沿って設けた導電膜等を用いた場合と比較して、内部空間R内における筐体2との接触面積を低減できるため、内部空間R内での耐電圧能を高めることができる。また、凹部9が開口9b側に向かうに従って拡がっていることから、治具20(型)を用いて本体部5を成形する場合に容易に離型することができる。したがって、電子管1によれば、耐電圧能を向上でき且つ容易に製造することが可能となる。
電子管1では、本体部5は、第1板状部7と、第1板状部7上に設けられた枠状の側壁部8と、を含む。蓋部6は、側壁部8上に固定され第1板状部7と対向する第2板状部10を含む。貫通部材3は、第1板状部7を貫通する。この構成によれば、第1板状部7と第2板状部10とが対向する筐体2を備えた電子管1において、貫通部材3を安定して固定することが可能となり、小型の電子管1を具体的且つ容易に実現できる。
電子管1では、凹部9の側面9cは、開口9b側に向かうに従って凹部9が拡がるように連続的に傾斜している。この構成によれば、一定形状の凹部9をもった本体部5を安定して形成することが可能となる。
電子管1では、貫通部材3の内部空間突出部11における側面の一部は、絶縁性材料から成る絶縁部12で被覆されている。この構成によれば、内部空間R内における貫通部材3の露出を低減して、内部空間R内での耐電圧能を向上することができる。
電子管1では、陰極K(光電子放出部14)は、貫通部材3の内部空間突出部11における先端側で保持され、内部空間突出部11は、当該先端側に向かうに従って拡がる拡大部3b1を有する。この構成によれば、内部空間突出部11において陰極K(光電子放出部14)を保持する先端側の断面積を拡大すること(保持部3b2を設けること)が可能となる。
電子管1では、拡大部3b1が絶縁部12で被覆されている。この構成によれば、内部空間R内における拡大部3b1の露出を低減して、内部空間R内での耐電圧能を向上することが可能となる。一方で、拡大部3b1によって絶縁部12が保持部3b2の他端面に至ることを抑制できるので、光電子放出部14との電気的接続を確実に確保することができる。
電子管1では、拡大部3b1の側面は、先端側に向かうに従って貫通部材3が拡がるように連続的に傾斜している。この構成によれば、拡大部3b1の側面を絶縁部12で隙間無く被覆することが容易になり、内部空間R内での耐電圧能を向上することを容易に実現できる。
電子管1は、貫通部材3と対向するように蓋部6に設けられた対向電極4をさらに備え、対向電極4は、内部空間Rに露出することなく本体部5を貫通する給電部13と電気的に接続されている。この構成によれば、対向電極4に電気的に接続される給電部13の内部空間Rでの露出を低減し、内部空間R内での耐電圧能を向上することが可能となる。
電子管1では、蓋部6は、光透過性を有する絶縁性材料から成る。この構成によれば、内部空間R内における受光に係る窓部として蓋部6を構成しつつ、内部空間R内での耐電圧能を一層向上することができる。
本実施形態において、図4(a)〜図5(a)に示される工程が、第1工程を構成する。図5(b)〜図7(c)に示される工程が、第2工程を構成する。図8(a)〜図8(b)に示される工程が、第3工程を構成する。複数の内部空間R毎に接合体N2を切断する工程が、第4工程を構成する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を説明し、同様な説明は省略する。
図9に示されるように、第2実施形態は、電子管の製造方法において、第1部材30(図5(a)参照)に代えて第1部材30Xを用いる点で、第1実施形態と異なる。第1部材30Xは、貫通部材3及び給電部13に対向する位置に貫通孔32及び貫通孔33を有する以外、第1部材30と同様である。貫通孔32の内径は、貫通部材3の柱状部3aの外径に対応し、貫通孔33の内径は、給電部13の外径に対応するが、貫通孔32,33の内径の方が当該外径よりも若干大きい方が好ましい。
第1部材30Xを用いた製造方法では、第1部材30Xと治具20とを対向する位置に配置したとき、貫通孔32を貫通部材3と対向させると共に、貫通孔33を給電部13と対向させる。そして、治具20と第1部材30Xとを接近させて接触させ、治具20及び第1部材30Xの何れか一方を他方に(または互いに)押圧することで、複数の凸部22と貫通部材3及び給電部13とを第1部材30Xに埋め込む。その際、貫通孔32に貫通部材3を挿入させると共に、貫通孔33に給電部13を挿入させる。
以上、第2実施形態に係る電子管の製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。また、貫通孔32及び貫通孔33を有する第1部材30Xを用いることで、第1部材30Xから露出する貫通部材3及び給電部13の一端面、すなわち、貫通部材3及び給電部13に給電する際の電気的接続部の表面に第1部材30Xが付着するのを抑制することができる。また、貫通部材3及び給電部13の一端側がスムーズに第1部材30X内に導入されるので、第1部材30Xに埋め込む際に貫通部材3及び給電部13の配置が変化してしまうことを抑制することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を説明し、同様な説明は省略する。
図10(a)に示されるように、第3実施形態は、電子管の製造方法において、貫通部材3及び給電部13を第1部材30に埋め込む際、貫通部材3及び給電部13が第1部材30を貫通するように貫通部材3及び給電部13の一端を第1部材30から露出させる点で、第1実施形態とは異なる。これにより、図10(b)に示されるように、第3実施形態の中間体N1では、貫通部材3及び給電部13の一端が第1部材30の表面30aから突出する。その結果、第3実施形態に係る電子管では、貫通部材3及び給電部13の一端は、本体部5から外側(大気側)に突出する。
以上、第3実施形態に係る電子管の製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。また、貫通部材3及び給電部13が第1部材30を貫通するように、貫通部材3及び給電部13の一端を第1部材30から露出させるため、第1部材30への埋め込み後に第1部材30の表面30aを研磨することを不要にでき、製造工程を簡略化することができる。また、貫通部材3及び給電部13の一端が突出しているため、貫通部材3及び給電部13への電気的接続ひいては給電を容易化できる。また、第1部材30として、第2実施形態で用いた第1部材30Xを用いると、貫通部材3及び給電部13に給電する際の電気的接続部の表面に第1部材30Xが付着するのを抑制することができるので、より好ましい。
なお、本実施形態は、上記第1実施形態の特徴に代えてもしくは加えて、他の実施形態ないし変形例の特徴の少なくとも一部を備えていてもよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を説明し、同様な説明は省略する。
図11(a)に示されるように、第4実施形態は、電子管の製造方法において、治具20(図4(b)参照)に代えて治具20Aを用いる点で、第1実施形態と異なる。治具20Aは、凸部22の先端面に凸部25及び凹部26が形成されている以外、治具20と同様である。
図11(b)に示されるように、治具20Aを用いた製造方法による中間体N1では、凹部9の底面9aには、凹部26に対応する凸部34が形成されると共に、凸部25に対応する凹部35が形成される。その結果、第4実施形態に係る電子管では、内部空間Rを構成する凹部9の底面9aに凸部34及び凹部35が形成される。
以上、第4実施形態に係る電子管の製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。また、凹部9の底面9aに凸部34及び凹部35を形成することにより、内部空間R内における沿面距離、具体的には、陰極K(光電子放出部14)及び貫通部材3と、陽極A(対向電極4)との沿面距離を長くすることができ、内部空間R内での耐電圧能を一層向上することができる。特に凹部35によれば、ガス封入容積を増やすことができ、電子管1の寿命を向上させることができる。
なお、治具20Aでは、凸部22の先端面に凸部25及び凹部26が形成されているが、凸部22を構成する面の少なくとも一部に、凹部、凸部及び粗面部の少なくとも何れかが形成されていればよい。同様に、第4実施形態に係る電子管では、凹部9の底面9aに凸部34及び凹部35が形成されているが、内部空間Rを構成する面の少なくとも一部に、凹部、凸部及び粗面部の少なくとも何れかが形成されていればよい。粗面部は、一定粗さよりも粗い面であり、例えば梨地のような微細凹凸が形成されている面である。本実施形態は、上記第1実施形態の特徴に代えてもしくは加えて、他の実施形態ないし変形例の特徴の少なくとも一部を備えていてもよい。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態の説明では、上記第4実施形態と異なる点を説明し、同様な説明は省略する。
図12(a)に示されるように、第5実施形態は、電子管の製造方法において、治具20と第1部材30とを接近させて接触させ、治具20及び第1部材30の何れか一方を他方に(または互いに)押圧する際に、第1部材30を押圧する押圧部材60に、複数の凸部61及び凸部62を設けた点で、第4実施形態と異なる。
複数の凸部61及び凸部62は、押圧部材60における第1部材30との接触領域に形成されている。凸部61は、第1部材30を介して治具20Aの凸部25と対向する位置に設けられている。凸部62は、第1部材30を介して治具20Aの凹部26と対向する位置に設けられている。
図12(b)に示されるように、押圧部材60を用いた製造方法による中間体N1では、第1部材30における凹部9の開口9b側とは反対側の表面30aに、凹部36及び凹部37が形成される。凹部36は、凸部62により形成される。凹部37は、凸部61により形成される。その結果、第5実施形態に係る電子管では、本体部5における凹部9の開口9b側とは反対側(大気側)の外表面に、凹部36及び凹部37が形成される。
以上、第5実施形態に係る電子管の製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。また、本体部5の表面に凹部36及び凹部37を形成することにより、電子管1の外表面における貫通部材3の露出部(基端面)と給電部13の露出部(基端面)との沿面距離を長くすることができ、その耐電圧能を向上できる。
なお、押圧部材60では、第1部材30との接触領域に凸部61及び凸部62が形成されているが、凹部、凸部及び粗面部の少なくとも何れかが形成されていればよい。同様に、第5実施形態に係る電子管では、本体部5の表面に凹部36及び凹部37が形成されているが、本体部5の外面の少なくとも一部に、凹部、凸部及び粗面部の少なくとも何れかが形成されていればよい。また、治具20Aに代えて治具20(図4(b)参照)を用いてもよく、凹部9の底面9aにおける凸部34及び凹部35は無くてもよい。
本実施形態は、上記第4実施形態の特徴に代えてもしくは加えて、他の実施形態ないし変形例の特徴の少なくとも一部を備えていてもよい。例えば図13(a)に示されるように、本実施形態に係る製造方法では、第1部材30(図12(a)参照)に代えて、第2実施形態の第1部材30Xを用いてもよい。
また例えば、凸部61及び凸部62が形成された押圧部材60(図12(a)参照)に代えて、凸部62及び凹部63が形成された押圧部材60Aを用いてもよい。この場合、図13(b)に示されるように、本実施形態に係る電子管では、本体部5における凹部9の開口9b側とは反対側(大気側)の表面に、凸部62により凹部36が形成され、凹部63により凸部38が形成される。
また例えば、本実施形態に係る製造方法では、第3実施形態と同様に、貫通部材3及び給電部13を第1部材30に埋め込む際、貫通部材3及び給電部13が第1部材30を貫通するように、貫通部材3及び給電部13の一端を第1部材30から露出させつつ貫通部材3及び給電部13を埋め込んでもよい。本実施形態に係る電子管では、貫通部材3及び給電部13の一端が第1部材30の表面30aから突出していてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。
製造される電子管は、次の構成を備えていてもよい。例えば図14(a)に示される電子管1Bのように、貫通部材3(図1参照)に代えて貫通部材3Bを備えていてもよい。貫通部材3Bは、拡大部3b1及び保持部3b2(図1参照)を有さず、その延在方向の全体にわたって、先端側に向かうに従って貫通部材3Bが縮径するように連続的に傾斜しており、筐体2の本体部5を貫通すると共に凹部9の底面9aから内部空間R内に突き出る。また、別途に光電子放出部14を設けることなく、貫通部材3Bの先端面を陰極Kとして機能させている。つまり、陰極K(電極)が貫通部材3Bと一体に形成されているため、製造工程が減少し、より容易に電子管1を製造することができる。また、接合部分を有さないために、耐震性に優れた電極を得ることができる。
製造される電子管は、上記実施形態のように紫外線検出器として適用できる他に、発光素子(エネルギー発生素子)として、光源等として適用することができる。例えば図14(b)に示される電子管1Cは、放電ランプとしての構造を備える。電子管1Cでは、1つの内部空間R内に一対の貫通部材3が配置され、これらの貫通部材3それぞれの先端側に陰極K及び陽極Aとなる金属部53が取り付けられ、両電極間で放電させることによりランプとして動作可能である。電子管1Cは、放電のために、本体部5を貫通して内部空間R内に突き出るプローブピン51及びスパーカピン52を備える。金属部53、プローブピン51及びスパーカピン52は、発光を行うための電極として機能する。
また例えば図15(a)に示される電子管1Eは、放電ランプとしての構造を備える。電子管1Eでは、1つの内部空間R内に一対の貫通部材3が配置され、これらの貫通部材3それぞれの先端側に陰極K及び陽極Aとなる金属部53が取り付けられ、両電極間で放電させることによりランプとして動作可能である。電子管1Eは、放電のために、本体部5を貫通して内部空間R内に突き出るプローブピン51と、給電部13と電気的に接続され蓋部6の内面に設けられたスパーカ電極(不図示)と、を備える。金属部53、プローブピン51及びスパーカ電極は、発光を行うための電極として機能する。
また例えば図15(b)に示される電子管1Fは、放電ランプとしての構造を備える。電子管1Fでは、1つの内部空間R内に一対の貫通部材3及び陰極K及び陽極Aとなる金属部54が配置され、両電極間で放電させることによりランプとして動作可能である。本実施形態においては、金属部54のみが、発光を行うための電極として機能する。
また例えば図15(c)に示される電子管1Gは、電子源構造を備える。電子管1Gでは、貫通部材3の先端側に固定したエミッタ14eに対してターゲット材56を対向配置した状態で、両者の間に所定の電圧を印加することで、エミッタ14eから放出された電子をターゲット材56に導くような電界を形成する。例えば、ターゲット材56を蛍光体とした場合には、電子を衝突させることにより蛍光発光を発生させることができる。また、ターゲット材56を各種材料に変更することで、X線を発生させたり、電子線を透過させたりすることが可能である。動作時において、内部空間R内は真空とされる。エミッタ14eは、エネルギー発生を行うための電極として機能する。
上記実施形態では、第1部材30の第1下地膜15上にシール材16を設けたが(図7(c)参照)、これに代えて、第2部材40の第2下地膜17上にシール材16を設けてもよい。また、シール材16にフリットガラスを利用する場合には、第1下地膜15及び第2下地膜17を省略してもよい。
上記実施形態では、給電部13を本体部5における凹部9の周囲に設けたが、給電部13の位置は限定されない。給電部13は、第1部材30の表面30aから表面30bを貫通する(第1板状部7及び側壁部8の内部を貫通する)ように本体部5に設けられていればよい。例えば、凹部9の四隅のうちの一つの隅部に、凹部9の側面が内側に膨らむように隆起部を設け、この隆起部を貫通するように給電部13を設けてもよい。上記実施形態では、絶縁部12を本体部5と一体で形成しているが、絶縁部12を本体部5と別体で形成してもよい。
上記実施形態では、内部空間突出部11における側面の一部を絶縁部12で被覆しているが、内部空間突出部11における側面の少なくとも一部を絶縁部12で被覆すればよい。上記実施形態では、拡大部3b1の全てを絶縁部12で被覆しているが、拡大部3b1の少なくとも一部を絶縁部12で被覆すればよい。また、貫通部材3はその先端に円柱状の保持部3b2を備えていたが、円柱状の部分を備えることなく、拡大部3b1から先端まで連続した傾斜面を備えていてもよい。また、電子管1は1つの凹部9のみを有する構成としたが、複数の凹部9を備えたものを1つの電子管としてもよい。この場合、分割しない状態のものを1つの電子管とすることもできる。その際、複数の凹部9における内部空間Rは、互いに独立していてもよいし、互いに連通していてもよい。この場合、所望の面積を持つ電子管を容易に得ることができる。上記実施形態において、各構成の材料、形状及び寸法は、上述した材料、形状及び寸法に限らず、様々な材料、形状及び寸法を採用することができる。