JP6939648B2 - サージ防護素子 - Google Patents

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Description

本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージ防護素子に関する。
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージ防護素子が接続されている。
従来、サージ防護素子として、例えば特許文献1に示すように、ガラス管と、ガラス管の両端開口部を閉塞して内部に放電ガスを封止する一対の封止電極と、両端に一対の封止電極を配してガラス管内に収納された板状碍子とを備えたサージアブソーバが記載されている。このサージアブソーバでは、板状碍子の表面中央に導電性材料であるカーボンのトリガ部が形成されているカーボントリガ型のサージ防護素子である。
特開2010−192322号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来のカーボントリガ型のサージ防護素子では、ガラス管の内径が小さくなると、放電時の封止電極から発生した金属蒸気が板状碍子の表面に付着し易く、繰り返しの寿命特性が早期に劣化してしまう問題があった。すなわち、寿命特性の劣化は、放電開始電圧Vsの低下が主であり、その要因は放電時に生じた金属蒸気が板状碍子の絶縁表面を汚損することによる。特に、ガラス管内径を小さくしてサージ防護素子を小型化しようとすると、放電時の封止電極から発生した金属蒸気が板状碍子の表面に容易に付着し、寿命特性が早期に劣化してしまう不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、放電時に生じた金属蒸気による寿命特性の劣化を抑制することができるサージ防護素子を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のサージ防護素子は、絶縁性管と、前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、前記絶縁性管内に収納され両端部が一対の前記封止電極に接触した板状絶縁性部材と、前記板状絶縁性部材の中央に導電性材料で形成された放電補助部とを備え、前記板状絶縁性部材が、少なくとも一方の面の端部と前記放電補助部との間に前記絶縁性管の軸線を横切る方向に延在して形成された溝部を有していることを特徴とする。
このサージ防護素子では、板状絶縁性部材が、少なくとも一方の面の端部と放電補助部との間に絶縁性管の軸線を横切る方向に延在した溝部が形成されているので、溝部内の封止電極に近い側の壁面は飛び散る金属粒子の飛散方向の陰となるため金属で汚損され難く、溝部よりも内側(中心側)の汚損を防止することができる。また、溝部内には金属蒸気による金属の付着がし難く、溝部内も金属で汚損され難い部分となり、表面の絶縁性を確保することができる。したがって、板状絶縁性部材の溝部よりも内側の表面に金属で汚損されない部分が形成されることで、放電開始電圧の低下を抑えることができる。
第2の発明に係るサージ防護素子は、第1の発明において、前記溝部が、前記板状絶縁性部材の両面に形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、溝部が、板状絶縁性部材の両面に形成されているので、板状絶縁性部材の両面で溝部による汚損抑制効果を得ることができる。
第3の発明に係るサージ防護素子は、第1又は第2の発明において、前記溝部が、前記板状絶縁性部材の全幅にわたって形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、溝部が、板状絶縁性部材の全幅にわたって形成されているので、板状絶縁性部材の全幅にわたって溝部による汚損抑制効果を得ることができる。
第4の発明に係るサージ防護素子は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記溝部が、前記板状絶縁性部材の前記端部と前記放電補助部との間で前記板状絶縁性部材の長さ方向に並んで複数形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサージ防護素子では、溝部が、板状絶縁性部材の端部と放電補助部との間で板状絶縁性部材の長さ方向に並んで複数形成されているので、複数の溝部によって、より高い汚損抑制効果を得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、板状絶縁性部材が、少なくとも一方の面の端部と放電補助部との間に絶縁性管の軸線を横切る方向に延在した溝部が形成されているので、溝部よりも内側の表面に金属が付着し難くなる。
したがって、本発明に係るサージ防護素子では、板状絶縁性部材の溝部内の封止電極に近い側の壁面よりも内側の表面に金属で汚損されない部分が形成されることで、放電開始電圧の低下を抑えることができ、寿命特性の劣化を抑制することができる。特に、小型化した際に、絶縁性管内径が小さくなった場合や、板状絶縁性部材の端部と放電補助部との距離が短くなった場合に本発明は効果的である。
本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態において、絶縁性管及び封止電極を破断した際のサージ防護素子を示す正面図である。 第1実施形態において、板状絶縁性部材を示す平面図(a)及びA−A線断面図(b)である。 第1実施形態において、金属蒸気の飛散を示す説明図である。 本発明に係るサージ防護素子の第2から第4実施形態において、溝部を示す要部の拡大断面図である。 本発明に係るサージ防護素子の第5実施形態において、板状絶縁性部材を示す平面図(a)及びB−B線断面図(b)である。
以下、本発明に係るサージ防護素子の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサージ防護素子1は、図1及び図2に示すように、絶縁性管2と、絶縁性管2の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極3と、絶縁性管2内に収納され両端部4bが一対の封止電極3に接触した板状絶縁性部材4と、板状絶縁性部材4の中央に導電性材料で形成された放電補助部5とを備えている。
上記板状絶縁性部材4は、少なくとも一方の面の端部4bと放電補助部5との間に絶縁性管2の軸線を横切る方向に延在して形成された溝部4aを有している。
本実施形態では、溝部4aが板状絶縁性部材4の両面にそれぞれ形成されている。すなわち、溝部4aが、板状絶縁性部材4の片面に2本ずつ、両面で4本形成されている。
また、各溝部4aは、板状絶縁性部材4の全幅にわたって形成されている。
さらに、各溝部4aは、図2の(b)に示すように、断面形状が半円状となっている。なお、溝部4aの溝幅は、例えば0.1mmに設定される。
上記絶縁性管2は、例えばガラス管であって、封止用ガラスあるいは鉛ガラスやソーダ石灰ガラスのような軟質ガラスで構成されており、円筒状となっている。また、絶縁性管2の両端近傍において封止電極3の外周面が絶縁性管2の内周面と溶着されている。
上記封止電極3は、例えばFe(鉄)−Ni(ニッケル)合金の表面を酸化銅で被覆した金属で形成された放電電極であり、円柱状となっている。また、封止電極3の外面にはリード線3aが溶接されている。このリード線3aは、銅覆鋼線等で形成されている。
上記板状絶縁性部材4は、アルミナ,ムライト焼結体などのセラミックス材料で板状に形成されている碍子である。
板状絶縁性部材4の両端部4bは、中央部よりも幅が広く設定されている。
上記放電制御ガスは、放電開始電圧などの電気特性が所望の値となるように組成などを調整された封止ガスであって、He、Ar、Ne、Xe、SF、CO、C、C、CF、H及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
上記放電補助部5は、導電性材料であって、例えば炭素材で形成されたカーボントリガである。
放電補助部5は、板状絶縁性部材4の中央に矩形状又は軸線に沿った短い直線状に形成されている。
この本実施形態のサージ防護素子1では、過電圧又は過電流が侵入すると、まず放電補助部5と封止電極3との間で初期放電が行われる。この初期放電をきっかけに、さらに放電が伸展して、放電電極である一対の封止電極3間でアーク放電が行われる。このアーク放電は、板状絶縁性部材4の端部4bと封止電極3との接触する部分又はその近傍から図3に示すように進展する。
このように本実施形態のサージ防護素子1のように、板状絶縁性部材4が、少なくとも一方の面の端部4bと放電補助部5との間に絶縁性管2の軸線を横切る方向に延在した溝部4aが形成されているので、溝部4a内の封止電極3に近い側の壁面は飛び散る金属粒子の飛散方向の陰となるため金属で汚損され難く、溝部4aよりも内側(中心側)の汚損を防止することができる。
また、溝部4a内には金属蒸気Mによる金属の付着がし難く、溝部4a内も金属で汚損され難い部分となり、表面の絶縁性を確保することができる。
したがって、板状絶縁性部材4の溝部4aよりも内側の表面に金属で汚損されない部分が形成されることで、放電開始電圧の低下を抑えることができる。
また、溝部4aが、板状絶縁性部材4の両面に形成されているので、板状絶縁性部材4の両面で溝部4aによる汚損抑制効果を得ることができる。
さらに、溝部4aが、板状絶縁性部材4の全幅にわたって形成されているので、板状絶縁性部材4の全幅にわたって溝部4aによる汚損抑制効果を得ることができる。
次に、本発明に係るサージ防護素子の第2から第5実施形態について、図4及び図5を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、溝部4aの断面形状が半円状であるのに対し、第2実施形態のサージ防護素子では、図4の(a)に示すように、板状絶縁性部材24の溝部24aが、V字状の断面形状を有している点である。
また、第3実施形態のサージ防護素子では、図4の(b)に示すように、板状絶縁性部材34の溝部34aが、矩形状の断面形状を有している。
また、第4実施形態のサージ防護素子では、図4の(c)に示すように、板状絶縁性部材44の溝部44aが、表面に対して垂直な壁部と断面円弧状の底面とからなる断面形状を有している。
これら第2から第4実施形態のサージ防護素子では、第1実施形態と同様に、端部4bから放電補助部5までの途中に介在している溝部24a,34a,44aにより金属蒸気Mの汚損抑制効果を得ることができる。
なお、これら溝部24a,34a,44aは、深いほど金属蒸気Mの汚損抑制効果を得ることができる。
次に、第5実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、溝部4aが板状絶縁性部材4の各端部4bと放電補助部5との間で1本ずつ形成されているのに対し、第5実施形態のサージ防護素子では、図5に示すように、溝部4aが板状絶縁性部材54の端部4bと放電補助部5との間で板状絶縁性部材54の長さ方向に並んで複数形成されている点である。
すなわち、第5実施形態では、溝部4aが板状絶縁性部材54の各端部4bと放電補助部5との間で2本ずつ形成されている。したがって、溝部4aが、板状絶縁性部材54の一方の面に4本形成され、他方の面に4本形成されている。
このように第5実施形態のサージ防護素子では、溝部4aが、板状絶縁性部材54の端部4bと放電補助部5との間で板状絶縁性部材54の長さ方向に並んで複数形成されているので、複数の溝部4aによって、より高い汚損抑制効果を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サージ防護素子、2…絶縁性管、3…封止電極、4,54…板状絶縁性部材、4a…溝部、4b…板状絶縁性部材の端部、5…放電補助部

Claims (4)

  1. 絶縁性管と、
    前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、
    前記絶縁性管内に収納され両端部が一対の前記封止電極に接触した板状絶縁性部材と、
    前記板状絶縁性部材の中央に導電性材料で形成された放電補助部とを備え、
    前記板状絶縁性部材が、少なくとも一方の面の端部と前記放電補助部との間に前記絶縁性管の軸線を横切る方向に延在して形成された溝部を有していることを特徴とするサージ防護素子。
  2. 請求項1に記載のサージ防護素子において、
    前記溝部が、前記板状絶縁性部材の両面に形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
  3. 請求項1又は2に記載のサージ防護素子において、
    前記溝部が、前記板状絶縁性部材の全幅にわたって形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のサージ防護素子において、
    前記溝部が、前記板状絶縁性部材の前記端部と前記放電補助部との間で前記板状絶縁性部材の長さ方向に並んで複数形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
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