JP6939106B2 - イムノクロマト試験片およびキットおよび測定方法 - Google Patents

イムノクロマト試験片およびキットおよび測定方法 Download PDF

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本発明は、イムノクロマト法による生体試料中に含まれる分析対象物質(ヘモグロビン、ヘモグロビンA1cなど)の測定方法、当該測定方法に用いるイムノクロマト試験片、イムノクロマト試験片を含むキットに関する。
世界糖尿病連合(International Diabetes Federation)によると、世界の糖尿病患者数はアメリカ、ヨーロッパなどの先進国に加え、中国、インド、ブラジルなどの新興国を含めて急増しており、2015年で約4.2億人存在し、2040年には約6.4億人に及ぶと予測され、糖尿病診断の重要性は増している。
糖尿病診断項目の一つであるヘモグロビンA1c(以下、HbA1cと称することがある)とは、血液中の酸素を運搬する役割を担うヘモグロビン(以下、Hbと称することがある)に糖(グルコース)が結合した糖化ヘモグロビンの内、ヘモグロビンβ鎖のN末端側に位置するバリン残基が糖化された物質を指し、総Hb量に対するHbA1c濃度が過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映することから、糖尿病の長期的な経過を観察するのに利用されている。
従来、HbA1cの測定には、HPLC法、キャピラリー電気泳動法、酵素法、免疫法などの測定技術が利用されていたが、これらの測定方法は専門知識を有することや分析装置が大型かつ高額であるなどの理由から、主に大規模病院や多数の検査を行う検査センターで利用されており、小規模病院ではHbA1cを簡単に測定できない点が問題となっていた。
近年、医療現場ではPOCTという言葉が注目を集めている。POCTとはPoint Of Care Testingの略であり、医療従事者が被験者の傍らで行う臨床検査のことをいう。POCTは大規模病院の中央検査室等で行う臨床検査とは異なり、その場で瞬時に検査結果が得られることから、糖尿病診断においてもPOCTが広まりつつある。
HbA1c濃度の測定を目的としたPOCTの中に、イムノクロマト法を利用した技術が提案されている。イムノクロマト法とは毛細管現象を利用した免疫測定法であり、妊娠検査やインフルエンザ検査などにおいて世界的に普及している。従来のイムノクロマト法は目視判定(定性評価)が一般的であったが、近年、クロマトリーダー等の分析装置を利用して生体試料中に含まれる分析対象物質の濃度を定量化する技術が開発されつつある。
イムノクロマト法を用いた分析対象物質の濃度を定量化する手法の一つとしては、抗原抗体反応を利用したサンドイッチ法が挙げられる。サンドイッチ法では分析対象物質に対してエピトープの異なる2種類の抗体を利用する。一方の抗体は、金コロイド、着色ラテックス、蛍光粒子等の検出粒子と感作した検出抗体として使用する。他方の抗体は、メンブレンの特定位置に線状に固定化した捕捉抗体としてテストラインを形成する。加えて、前記検出抗体を特異的に認識する抗体をメンブレンの他の位置に線状に固定化しコントロールラインを形成する。生体試料中に含まれる分析対象物質は、メンブレンの一端(上流側)から展開し、検出抗体と免疫複合体を形成しながら移動し、テストライン上で捕捉抗体と接触して捕捉され発色する。分析対象物質と免疫複合体を形成しなかった遊離の検出試薬はテストラインを通過し、コントロールラインの抗体に捕捉され発色する。これらの発色強度をクロマトリーダー等の装置を利用することで分析対象物質の濃度を定量することができる。
特許文献1および2には、イムノクロマト法を用いたHbA1c濃度を測定する技術が開示されている。当該方法は血液と環状多糖類を含む試薬を接触させることでHbβ鎖のN末端(エピトープ)を露出させ、その後、検出粒子(金コロイドあるいはラテックス粒子)で標識されたHb抗体と免疫反応を行い、抗体固定化メンブレン上に展開し、抗HbA1c抗体固定化部および抗HbA0固定化部に到達した免疫複合体をそれぞれ検出することで、血液中のHbA1c(%)を簡便に求めることができる。
しかしながら、本手法では検出粒子に感作した抗Hb抗体がHbA1cやHbA0だけでなく、他のHbとも免疫反応を行うので、生体試料の種類によっては感度が低下することが問題となる。また、同一メンブレン部で2種類の免疫複合体を検出する場合、上流の免疫反応が下流の免疫反応に影響することがあるので測定精度が低下する点が問題となっていた。
一方、特許文献3には、イムノクロマト法において、サンプルパッドに保持されたHbを光学的に検出して、生体試料中のヘマトクリット値を測定する技術が開示されている。かかる発明は、上流の免疫反応が下流の免疫反応に影響することがないため、測定精度の向上が期待される。しかし、前記文献に記載の発明において、コンジュゲーションパッドに着色粒子等の検出粒子が含まれる場合には、検出粒子の拡散によりサンプルパッドの色が変化するなどして測定値にばらつきを生ずる問題があった。
特開2012−251789号公報 特開2015−158515号公報 WO2013/147200公報
本発明は、上記の問題点に鑑みて、従来よりも測定精度の高い生体試料に含まれる分析対象物質の測定方法、当該測定方法に用いるイムノクロマト試験片、イムノクロマト試験片を含むキットを提供することを課題とするものである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、イムノクロマト試験片において、第1の分析対象物質をサンプルパッド部で測定し、第2の分析対象物質をメンブレン部で測定することにより、生体試料の種類や生体試料中の分析対象物質の濃度の影響を受けずに第1の分析対象物質と第2の分析対象物質をそれぞれ精度よく測定できること見出した。
しかし、同一生体試料を用いても測定値に違い(ばらつき)が生じる新たな課題に直面した。この原因を調査したところ、イムノクロマト試験片(サンプルパッド)に滴下した生体試料溶液が下流側に展開すると、コンジュゲーションパッドに含浸された着色粒子等の検出粒子が拡散してサンプルパッドまで広がることにより、サンプルパッドにおける第1の分析対象物質由来の色味が変化し測定値がばらつくことを突き止めた。そこで、発明者は、前記試験片に拡散防止手段を設けることで、サンプルパッドにおける第1の分析対象物質由来の色味の変化を抑制することに成功した。加えて、本発明者はこの知見を基に、従来よりも測定精度の高い生体試料中に含まれる分析対象物質の測定方法、当該測定に用いるイムノクロマト試験片、イムノクロマト試験片を含むキットの発明を完成させた。
すなわち、代表的な本願発明は以下の通りである。
(1) サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、メンブレン、吸収パッドが順に連接配置され、前記サンプルパッドの下面の一部と前記コンジュゲーションパッドの上面の少なくとも一部が接触可能なように配置されており、前記接触可能部に拡散防止手段が設けられたイムノクロマト試験片を用い、少なくとも下記工程(i)から(iii)をこの順に経て、生体試料中の第1の分析対象物質および第2の分析対象物質を定量する方法。
工程(i):生体試料と生体試料希釈液とを体積比1:100〜1:1000で混合して生体試料溶液を調製する工程
工程(ii):工程(i)で得られた生体試料溶液を、イムノクロマト試験片に滴下し、展開させる工程
工程(iii):サンプルパッドにおいて第1の分析対象物質を比色定量する工程、およびメンブレンにおいて第2の分析対象物質を比色定量する工程
(2) 前記接触可能部の長さは、4mm以上である(1)に記載の方法
(3) 前記拡散防止手段は、着色粒子の拡散を防止するものである(1)または(2)に記載の方法
(4) 前記拡散防止手段は、フィルムまたはシートである(1)〜(3)のいずれかに記載の方法
(5) 前記拡散防止手段は、前記コンジュゲーションパッドの上流側上面の一部が前記サンプルパッドと接触するように配置されている(1)〜(4)のいずれかに記載の方法
(6) 前記コンジュゲーションパッドは、着色粒子を含有する(1)〜(5)のいずれかに記載の方法
(7) 前記第1の分析対象物質がヘモグロビンである(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 前記第2の分析対象物質がヘモグロビンA1cである(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
本発明のイムノクロマト試験片は、特定の構成を有する拡散防止手段を設けているので、生体試料中の第1の分析対象物質をサンプルパッド部で、また第2の分析対象物質をメンブレン部でそれぞれ高精度かつ定量的に測定することができる。
従来のイムノクロマト試験片の一例を示す(上面)図である。 従来のイムノクロマト試験片の一例を示す(側面)図である。 イムノクロマト試験片において生体試料溶液の流れ(拡散)を示す図である。 本発明に係るイムノクロマト試験片の一例を示す(側面)図である。 本発明に係るイムノクロマト試験片の別の一例を示す(側面)図である。 本発明に係るイムノクロマト試験片をハウジングケースに収容したデバイスの一例を示す図である。 比較例2に係るイムノクロマト試験片を示す図である。 本発明で使用する反射光測定装置の一例を示す(内部)図である。 本発明で使用する反射光測定装置の一例を示す(外部)図である。 ヘモグロビン標準物質を用いて測定した結果に基づいて作成した検量線。 ヘモグロビンA1c標準物質を用いて測定した結果に基づいて作成した検量線。
本発明において、イムノクロマト試験片の基本形態は特に限定されない。例えば、イムノクロマト試験片の生体試料溶液の添加部(滴下部)を上流側として、前記添加部を有するサンプルパッド、コンジュゲーションパッド、メンブレン、吸収パッドの順に連接配置されたイムノクロマト試験片が挙げられる。具体的には、図1および図2に示されるような形態であり、1はメンブレン、2はサンプルパッド、3はコンジュゲーションパッド、4は吸収パッド、7は粘着シートを示す。
図1の例では、イムノクロマト試験片は、幅4mm程度、長さ60mm程度の細長い短冊状の形態をしている。なお、イムノクロマト試験片のコンジュゲーションパッド3には、第2の分析対象物質を特異的に識別する検出抗体と標識物質が坦持されている。また、メンブレン1の上流側の端部から約10mmの位置に第2の分析対象物質を特異的に識別する捕捉抗体を線状またはスポット状に固定化したテストライン5が形成されている。さらに、前記端部から約15mmの位置に標識物質を特異的に認識する抗体を線状またはスポット状に固定化したコントロールライン6が形成されている。
本発明において、イムノクロマト試験片は、サンプルパッドの下面の一部とコンジュゲーションパッドの上面の一部が接触可能なように配置されているのが好ましい。このような配置にすることで、イムノクロマト試験片に滴下した生体試料(溶液)が上流側から下流側に流れやすくなるだけでなく、サンプルパッドにて第1の分析対象物質を測定しやすくなる。すなわち、図3は、サンプルパッドに滴下した生体試料溶液が毛細管現象により展開し、コンジュゲーションパッドおよびメンブレンを通過して吸収パッドに到達するまでの流れを模式的に表した図である(実際の形態は図2と同様である)。図3において、符号8は第1の分析対象物質を測定するおおよその位置を示している。ここに特定の光を照射して生体試料溶液の呈色度合いを反射光として測定することにより定量することができる。
しかし、図3に示されるように、サンプルパッドからコンジュゲーションパッドへと展開された生体試料溶液は、コンジュゲーションパッドに含まれる着色粒子を溶解するため、着色粒子が拡散する。拡散した着色粒子がサンプルパッドに到達すると、サンプルパッドの色味が変化する原因となり、測定の精度や再現性が低下することになる。なお、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触部(接触面積)を短く(小さく)するだけでは、着色粒子の拡散による影響を回避できない。
本発明において、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは、4mm以上とすることが好ましい。接触可能部の長さが短すぎると、サンプルパッドからコンジュゲーションパッドへの生体試料溶液の流路を確保できないとか、生体試料中の第1の分析対象物質を測定する領域を確保できないことがある。接触可能部の長さが長すぎると、コンパクト性が損なわれるとか、測定時間が長くなるとか、製造コスト増になるなど問題があるので、20mm以下が好ましい。なお、接触可能部は、図1および図2におけるaで示される領域(サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの重なり部)である。
本発明において、コンジュゲーションパッドの上流側上面の一部がサンプルパッドの下面の一部と接触するように配置されるとともに、前記接触部より下流側のサンプルパッドがコンジュゲーションパッドと接触しないように拡散防止手段が設けられているのが好ましい。このような配置をとることにより、コンジュゲーションパッドに含浸された着色粒子がサンプルパッドに移動(拡散)して生体試料中の第1の分析対象物質の測定値に影響を与えることを効果的に防止することができる。なお、前記接触部の長さは、サンプルパッドからコンジュゲーションパッドへの生体試料溶液の流路が確保されていればよく特に限定されないが、0.5mm以上あれば十分である。
本発明において、イムノクロマト試験片は、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部(重なり部)に拡散防止手段が設けられていることを特徴とする。前記拡散防止手段を設けることにより、溶解し拡散した着色粒子がサンプルパッドに到達しサンプルパッドの色味が変化することを抑制することができる。
本発明において、前記拡散防止手段は、コンジュゲーションパッドに含まれる着色粒子等がサンプルパッドに移動することを抑制できるものであれば特に限定されず、図6に示されるようにイムノクロマト試験片を収容するハウジングケースにサンプルパッドの下流側領域とコンジュゲーションパッドとの接触を防止する部材(図6の符号9)を取り付けてもよいし、サンプルパッドの下流側領域とコンジュゲーションパッドとの接触を防ぐためのフィルムまたはシートを挟んでもよい(図4、図5の符号9)。また、何らか別の手段を用いてもよい。これらの中でフィルムまたはシートを用いるのが簡便、安価であり好ましい。
本発明において、フィルムまたはシート(板状物を含む)は、着色粒子が通過しないものであればよく、非孔質であっても多孔質であってもよい。多孔質の場合は、検出試薬の大きさにもよるが、孔径が500nm以下のものが好ましく、300nm以下のものがより好ましく、100nm以下のものがさらに好ましい。また、その材料は、水に容易に溶解しないものであればよく、例えば、セルロースやセルロース誘導体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン、ABS樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。また、柔軟性のあるものでも剛直なものでもよい。しかし、厚みが厚すぎると、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に挟み難いとか、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドの接触部(サンプルパッドからコンジュゲーションパッドへの生体試料溶液の流れ)を確保するのが難しくなるなどの生産性の問題やコストの問題が生じるので、3mm以下程度の厚みを有するものが好ましい。さらに、本発明の目的を達成するためには、フィルムまたはシートの幅は、サンプルパッドおよびコンジュゲーションパッドの幅と同幅以上であればよい。
本発明において、フィルムまたはシートの大きさは、生体試料溶液がサンプルパッドからコンジュゲーションパッドへと移動するための流路が確保され、かつコンジュゲーションパッドからサンプルパッドへの着色粒子の拡散(移動)を防止できる大きさのものであればよい。
本発明において、サンプルパッドは、生体試料を速やかに吸収、展開できるものであれば良く、特に制限されないが、セルロース製のろ紙や高分子製の多孔質体(不織布、ろ紙、スポンジなど)が挙げられる。
本発明において、コンジュゲーションパッドは、着色粒子等の検出試薬を乾燥状態で保持することができ、かつ生体試料溶液の展開と共に前記検出試薬を速やかに溶解および放出することができるものであれば良く、特に制限されないが、グラスファイバ製やセルロース製のろ紙、ポリエステル製の不織布などが挙げられる。
本発明において、吸収パッドは、生体試料溶液を速やかに吸収、保持できるものであればよく、特に限定されないが、セルロース製のろ紙や不織布などが挙げられる。
本発明において、メンブレンは、特に限定されないが、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンなどが挙げられる。これらの材質で構成された膜、布帛、繊維状又は不織布状マトリックス等が好適である。
本発明において、生体試料は特に限定されない。例えば、血液、リンパ液、髄液、汗、尿、涙液、唾液、皮膚、粘膜、毛髪等などの生体試料を例示することができる。血液においては、全血のほか、血液を遠心分離して得られた血清、血球または血漿を試料とすることができる。また、生体試料はヒト由来に限らず、イヌ、ネコ、ウシ等の哺乳動物由来の生体試料も対象である。
本発明のイムノクロマト試験片の製造方法は、従来公知の方法を用いればよい。以下、イムノクロマト試験片の製造方法について詳述するが、本発明を何ら限定するものではない。
コンジュゲーションパッドは、一定量の検出抗体および標識物質を均一に塗布、噴霧または含浸した後、恒温槽内で適当な温度で一定時間乾燥することにより作製することが出来る。検出抗体および標識物質の塗布量は、好ましくはライン長1cmあたり5〜50μLである。乾燥温度は、好ましくは20℃〜80℃である。乾燥時間は乾燥温度によって異なるが、通常は5〜120分間である。
メンブレンは、テストラインを形成する捕捉抗体(例えば、抗Hb抗体)とコントロールラインを形成する捕捉抗体(例えば、抗ビオチン抗体)を、それぞれ線状に一定量を異なる位置に塗布した後、恒温槽内で適当な温度で一定時間乾燥することで作製することが出来る。
前記調製したメンブレン1を粘着シート7の中程の位置に貼着し、コンジュゲーションパッド3をメンブレン1の末端の上に一部重ね合わせて連接するとともに、吸収パッド4をメンブレン1の逆側の末端上に一部重ね合わせて連接し、さらにコンジュゲーションパッド3の上流側末端にサンプルパッド2の一部が重なるようにして連接することでイムノクロマト試験片を作製することができる。なお、テストライン5およびコントロールライン6は試験片を作製した後に調製してもよいし、試験片を作製する前に調製してもよい。
本発明において、イムノクロマト分析キットは、生体試料を前処理および/または希釈するための生体試料希釈液、イムノクロマト試験片および、イムノクロマトリーダーおよび/または反射光測定装置を含む。
前記生体試料希釈液は、生体試料を展開させるための展開液として使用することができる。生体試料希釈液は、生体試料の展開性を向上させ、かつ免疫反応に影響しないノニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。また、前記生体試料希釈液にはさらに、無機塩類やpH調整に用いる緩衝剤を添加しても良い。
本発明において、イムノクロマト試験片は、生体試料溶液を滴下するための第一の開口部、サンプルパッド部に第1の分析対象物質を測定するための第二の開口部、メンブレン部(少なくともテストラインとコントロールラインを測定できる範囲)に第2の分析対象物質と標識物質を測定するための第三の開口部を有する適当なプラスチック製のハウジングケースに収容されていても良い(例えば、図6)。なお、第一の開口部と第二の開口部は一体になっていてもよい。
本発明において、サンプルパッド部で測定する第1の分析対象物質はヘモグロビン(Hbと略すことがある)であり、メンブレン部で測定する第2の分析対象物質は、特に限定されないが、ヘモグロビンA1c(HbA1cと略すことがある)、尿中アルブミン、シスタチンC、C反応性タンパク、プロカルシトニン、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド、心筋トポロニンI、ミオグロビン、心臓由来脂肪酸結合タンパク、フィブリン分解物、α−フェトプロテイン、前立腺特異抗原、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、便潜血、甲状腺ホルモン、ガン抗原125、ガン胎児性抗原、フェリチン、IgE抗原、インスリンなどが挙げられる。これらの中でも、HbA1cが好ましい。以下、サンプルパット部で測定する項目がHbで、かつメンブレン部で測定する項目がHbA1cの場合について詳述するが、本発明を何ら限定するものではない。
テストラインを形成する捕捉抗体としては、第2の分析対象物質がHbA1cの場合は、Hbを特異的に認識する抗体(以下、抗Hb抗体と略すことがある)、またはHbA1cを特異的に認識する抗体(以下、抗HbA1c抗体と略すことがある)が好ましく、より好ましくは抗Hb抗体である。
検出抗体としては、第2の分析対象物質がHbA1cの場合は、抗Hb抗体と検出粒子の複合体、または抗HbA1c抗体と検出粒子の複合体が好ましく、より好ましくは抗HbA1c抗体と検出粒子の複合体である。なお、捕捉抗体が抗Hb抗体のとき検出抗体は抗HbA1c抗体と検出粒子の複合体であり、捕捉抗体が抗HbA1c抗体のとき検出抗体は抗Hb抗体と検出粒子の複合体である必要がある。
コントロールラインを形成する捕捉抗体としては、標識物質を特異的に認識する抗体が好ましく、より好ましくはビオチンを特異的に認識する抗体(以下、抗ビオチン抗体と略すことがある)である。
標識物質としては、ビオチン標識タンパク質と検出粒子の複合体またはジゴキシゲニン標識タンパク質と検出粒子の複合体が好ましく、ビオチン標識タンパク質がより好ましい。
前記ビオチン標識タンパク質で用いるタンパク質の種類としては特に制限されないが、微生物由来タンパク質や動物由来タンパク質などが好ましく、微生物由来タンパク質としてはBlocking Peptide Fragment、動物由来タンパク質としてはウシ血清アルブミンまたはカゼインがより好ましい。
本発明において、検出粒子は、着色粒子を用いるのが好ましい。着色粒子としては、金属粒子、ラテックス粒子、セルロース粒子などを例示することができる。金属粒子としては金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、パラジウムコロイド、金ナノロッド、金ナノプレート、銀ナノプレートなどを例示することができる。金属粒子の粒径は特に制限されないが、粒径1〜100nmのものが好ましい。ラテックス粒子としてはポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリル酸重合体などの材質からなるものを例示することができ、粒径は特に制限されないが、粒径25〜500nmのものが好ましい。セルロース粒子は、粒径100〜500nmのものが好ましい。これらの中でも、汎用性が高く、視認性に優れたラテックス粒子やセルロース粒子を用いることが好ましい。
本発明において、イムノクロマト試験片を用いて、サンプルパッドで第1の分析対象物質の測定を行い、メンブレンで第2の分析対象物質の測定を行う方法は、例えば、第1の分析対象物質がHb、第2の分析対象物質がHbA1cの場合は、以下の方法が例示される。まず、生体試料を必要に応じて生体試料希釈液と混合して展開可能な生体試料溶液を得た後、前記生体試料溶液をサンプルパッド2に滴下する。この際、生体試料と生体試料希釈液との混合割合(体積比)は、1:100〜1:1000とするのが好ましい。希釈しすぎると、当然ながら測定感度が低下することがある。一方、希釈の割合が低すぎると生体試料に含まれるビリルビン等の測定阻害物質の影響を受けやすくなるため定量性が低下することがある。
イムノクロマト試験片に滴下された生体試料溶液は、サンプルパッド2を通過してコンジュゲーションパッド3に展開される。前記生体試料溶液は、コンジュゲーションパッド3に坦持された検出抗体および標識物質を溶解しながら、HbA1cと検出抗体(抗HbA1c抗体と検出粒子の複合体)が免疫複合体を形成しメンブレンに展開される。その後、さらに毛細管現象によって吸収パッド4側に流れる。前記生体試料溶液がメンブレンのテストライン5に到達すると、前記免疫複合体は捕捉抗体(抗Hb抗体)で捕捉され集積し、テストライン5が発色する。その後、標識物質を含む混合液はテストライン5を通過してコントロールライン6に到達する。ここで標識物質は捕捉抗体(抗ビオチン抗体)で捕捉され集積し、コントロールライン6が発色する。他の混合液は最終的に吸収パッドで吸収される。テストライン5とコントロールライン6の発色強度を、イムノクロマトリーダー等を使用して測定することで分析対象物質の濃度を測定することができる。
本発明において、イムノクロマト試験片のサンプルパッド部でHbの測定を行う方法は特に限定されない。例えば、図7および図8に示す反射光測定装置20を用いる方法が例示される。反射光測定装置20は、イムノクロマト試験片22を装着部21に固定でき、かつ、固定したイムノクロマト試験片22のサンプルパッドに光を照射することができる反射光測定装置であって、さらに、発光素子23より照射した光がサンプルパッドで反射した光を受光できるように受光素子24を配置してあり、得られた測光値を経時的に測定することができるようになっている。イムノクロマト試験片を反射光測定装置の挿入口に設置し、電源をONにして発光素子と受光素子とを連動させ、発光素子から特定波長の光を照射させる。サンプルパッド部に展開した生体試料溶液の呈色度合いを反射光として測定することでHb濃度を測定することができる。発光素子としては例えばLED(Light Emitting Diode)を使用することができる。前記LEDの波長は、Hbを高感度で検出するために370〜460nmが好ましく、400〜430nmがより好ましい。受光素子としては、例えばフォトダイオードを使用することができる。その他、CCD、C−MOSなどを用いた画像解析システムも好適に使用することができる。
本発明において、Hb測定用の反射光測定装置とHbA1c測定用のイムノクロマトリーダーは上記のように独立した装置を用いても良いし、これらが一体となった装置を用いても良い。測定の順番はHbが先であっても良いし、HbA1cが先であっても良い。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(検出抗体(抗HbA1c抗体と検出粒子の複合体)の調製)
5μLの10%ラテックス粒子(K015、青色、Merk millipore社製)に45μLの50mM PBS(リン酸緩衝液)(pH7.5)を添加し、1%ラテックス溶液を調製した。また、市販の抗HbA1cモノクローナル抗体(製品名:Human HbA1c monoclonal antibody、clone 1D3、品番:MAB0030−MO6A、Abnova社製)を50mM PBS(pH7.5)で1.0mg/mLに調製した。得られた抗HbA1cモノクローナル抗体溶液の5μLを1%ラテックス溶液に加え、ボルテックスで撹拌した後、室温で1時間静置した。ここに、0.3wt%Blocking Peptide Fragment(東洋紡社製)および1.0wt%ポリエチレングリコール(PEG)(Santa Cruz Biotechnology社製)を含む水溶液(以下、BPF/PEG水溶液と称する)10μLを加え、ボルテックスで撹拌した後、1時間室温で静置した。その後、9,300rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。ここに、200μLの前記BPF/PEG水溶液を加え、ボルテックスで撹拌した後、室温で1時間静置した。9,300rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。さらに、50μLの前記BPF/PEG水溶液を加え、ボルテックスで撹拌し検出抗体溶液を調製した。
(標識物質の調製)
3.15mgのD−ビオチン(ナカライテスク社製)を72μLの蒸留水に溶解した。また、10mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ナカライテスク社製)と10mgのN−ヒドロキシスクシンイミド(ナカライテスク社製)を100μLの蒸留水に溶解した。これにD−ビオチン溶液を加え、室温で1時間緩やかに攪拌した。前記溶液に80μLの3wt%BPF溶液を加え30分間室温で静置し、ビオチン標識BPF溶液を調製した。次に、5μLの10%ラテックス粒子に45μLの50mM PBS(pH7.5)を添加し、1%ラテックス溶液を調製した。15μLのビオチン標識BPF溶液を1%ラテックス溶液に加え、ボルテックスで撹拌した後、室温で1時間静置した。200μLの前記BPF/PEG水溶液を加え、ボルテックスで撹拌した後、1時間室温で静置した。その後、9,300rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。200μLの前記BPF/PEG水溶液を加え、ボルテックスで撹拌した後、1時間室温で静置した。9,300rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。50μLの前記BPF/PEG水溶液を加え、ボルテックスで撹拌し、標識物質を調製した。
(HbA1c測定用メンブレンの作製)
25mm×150mmのニトロセルロースメンブレン(商品名:Hi−Flow PlusタイプHF120(Merk millipore社製))の上流端から約10mmの位置にライン幅約1mmのテストラインとして、1.0mg/mLの捕捉抗体:抗Hbモノクローナル抗体(製品名:Hemoglobin antibody、品番:70R−7580、Fitgerald社製)溶液を、イムノクロマトディスペンサー(BIODOT社製)を用いて1.0μL/cmの塗布量で塗布した。次に、ニトロセルロースメンブレンの上流側から約15mmの位置にライン幅約1mmのコントロールラインとして、1.0mg/mLの抗ビオチンモノクローナル抗体(製品名:Anti−Biotin antibody、品番:GTX44344、GENETEX社製)溶液をイムノクロマトディスペンサー(BIODOT社製)を用いて1.0μL/cmの塗布量で塗布した。その後、40℃で30分乾燥し、HbA1c測定用メンブレンを作製した。
(HbA1c測定用コンジュゲーションパッドの作製)
10mm×150mmのコンジュゲーションパッド(GLASSFIBER DIAGNOSTIC PAD GFDX(Merk millipore社製))に前記検出抗体と標識物質の混合液(混合比6:1)225μLをイムノクロマトディスペンサー(BIODOT社製)を用いて15μL/cmになるように均一に噴霧した。その後、40℃で30分乾燥し、HbA1c測定用コンジュゲーションパッドを作製した。
(Hb試料の調製)
市販のHb標準物質である総ヘモグロビン常用参照標準物質JCCRM912−2(一般社団法人検査医学標準物質機構社製)3水準を生体試料希釈液(50mM PBS、pH7.4+1.0wt%TritonX−100)で500倍に希釈し、HbA1c(%)が5.2%で、Hb濃度がそれぞれ0.156g/L、0.274g/L、0.359g/Lの各Hb試料(3水準)を調製した。
(Hbの検量線作成)
コンジュゲーションパッドに検出粒子を含まないイムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次に、前記Hb試料(3水準)100μLをマイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下した。滴下してから1分後、サンプルパッド部においてHb濃度を反射光測定装置を用いて測定した。なお、前記反射光測定装置は、発光素子として砲弾型LED(型番:OSSV5111A、波長:400nm、指向角:15°、OptoSupply社製)を、受光素子としてフォトダイオード(型番;S8746−01、浜松ホトニクス社製)をそれぞれ用いた。この結果、Hb濃度に応じた反射吸光度を確認することができた。Hb測定の結果(n=10の平均値)を表1に示す。また、Hb濃度(X軸)と反射吸光度(Y軸)の相関性からHbの検量線を作成した。結果を図10に示す。
Figure 0006939106
(HbA1c試料の調製)
市販のHbA1c標準物質であるHbA1c測定性能評価用試料QRM HbA1c 2007−1(一般社団法人検査医学標準物質機構社製)4水準を生体試料希釈液(50mM PBS、pH7.4+1.0wt%TritonX−100)で500倍に希釈しHb濃度が0.320g/Lで、HbA1c(%)が5.29%、6.96%、9.08%、10.79%の各HbA1c試料(4水準)を調製した。
(HbA1c(%)の検量線作成)
実施例2で得られたイムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次に、HbA1c試料(4水準)100μLをマイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下した。滴下してから10分後、メンブレン上のテストラインとコントロールラインをイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製:C10060−10)を用いて測定した。結果、テストライン(T)はHbA1c濃度に応じた反射吸光度を確認することができた。また、コントロールライン(C)はHbA1c濃度に依存せず一定の反射吸光度を確認することができた。テストラインの反射吸光度をコントロールラインの反射吸光度で割算し、補正値(T/C)とした。HbA1c測定値(テストライン測定値)、コントロールライン測定値、補正値の結果(n=10の平均値)を表2に示す。また、HbA1c濃度(X軸)と補正値(Y軸)の相関性からHbA1cの検量線を作成した。結果を図11に示す。
Figure 0006939106
(実施例1)
(イムノクロマト試験片の作製)
イムノクロマト試験片は、イムノクロマトグラフで一般的に使用されるスライド構成で作製した。具体的には、検出粒子に青色のラテックス粒子を、サンプルパッドとして、セルロース製のろ紙(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS CFSP(Merk millipore社製))、前記HbA1c測定用コンジュゲーションパッド、前記HbA1c測定用メンブレン、吸収パッド(CELLULOSE FIBER SAMPLE PADS CFSP(Merk millipore社製))を、各々端部が一部重なるように連接配置し、図4に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは4mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が1mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に長さ3mm、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(コスモシャイン(登録商標)東洋紡社製)を設置した。
(Hb濃度(g/L)の測定)
得られたイムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次に、前記Hb試料(3水準)100μLをマイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下した。滴下してから1分後、サンプルパッド部のHbを反射光測定装置を用いて測定した。
測定の感度は、Hb試料の高濃度品(0.359g/L)の反射吸光度と、低濃度品(0.156g/L)の反射吸光度の差(ΔHb)で評価し、ΔHb>50mAbsを○(excellent)、10mAbs≦ΔHb≦50mAbsを△(good)、ΔHb<10mAbsを×(bad)とした。
また、測定の再現性は、反射吸光度のn=10のCV(%)で評価し、CV(%)<5%を○(excellent)、5%≦CV(%)≦10%を△(good)、CV(%)>10%を×(bad)とした。
さらに、測定の正確性は、Hb試料の高濃度品(0.359g/L)の反射吸光度を測定し、得られた吸光度と前記検量線とからHb濃度を算出した。得られたHb濃度を用い、下記式より評価した。正確性<10%を○(excellent)、10%≦正確性≦20%を△(good)、正確性>20%を×(bad)とした。
正確性%=(Hb濃度−0.359)/0.359*100
これらの結果、実施例1のイムノクロマト試験片は、感度(ΔHb)は100mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は3%で○(excellent)、正確性は8%で○(excellent)と、いずれも良好であった。結果を表3にまとめた。
(HbA1c(%)の測定)
得られたイムノクロマト試験片を水平な台に設置した。次に、HbA1c試料(4水準)100μLをマイクロピペットで分取し、サンプルパッドに緩やかに滴下した。滴下してから10分後、メンブレン上のテストラインとコントロールラインをイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製:C10060−10)を用いて測定した。
測定の感度は、HbA1c試料の高濃度品(10.79%)のテストラインの反射吸光度と、低濃度品(5.29%)のテストラインの反射吸光度の差:ΔHbA1cで評価し、ΔHbA1c>100mAbsを○(excellent)、50mAbs≦ΔHbA1c≦100mAbsを△(good)、ΔHbA1c<50mAbsを×(bad)とした。
これらの結果、実施例1のイムノクロマト試験片は、感度(ΔHbA1c)は130mAbsで○(excellent)であった。結果を表3にまとめた。
(実施例2)
実施例1と同様の部材を用いて図5に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が1mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に長さ9mm、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(コスモシャイン(登録商標)東洋紡社製)を設置した。
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は90mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は5%で○(excellent)、正確性は3%で○(excellent)と、いずれも良好であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は125mAbsで○(excellent)であった。結果を表3にまとめた。
(実施例3)
実施例1と同様の部材を用いて図6に示されるようなハウジングケースに内蔵されたイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が2mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間にハウジングケースに取り付けられた拡散防止部材を挟み込んだ。
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は90mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は6%で△(good)、正確性は6%で○(excellent)と、いずれも良好であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は130mAbsで○(excellent)であった。結果を表3にまとめた。
(実施例4)
実施例1と同様の部材を用いて図5に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が1mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に長さ9mm、厚み60μmのポリプロピレン製フィルム(トレファン(登録商標)東レ社製)
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は85mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は3%で○(excellent)、正確性は9%で○(excellent)と、いずれも良好であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は130mAbsで○(excellent)であった。結果を表3にまとめた。
(実施例5)
実施例1と同様の部材を用いて図5に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が1mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に長さ9mm、厚み100μmのパーフルオロアルコキシ樹脂製フィルム(ネオフロン(登録商標)ダイキン社製)を設置した。
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は85mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は2%で○(excellent)、正確性は7%で○(excellent)と、いずれも良好であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は125mAbsで○(excellent)であった。結果を表3にまとめた。
(実施例6)
実施例1と同様の部材を用いて図5に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が1mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に長さ9mm、厚み100μmのポリエステル系合成紙(クリスパー(登録商標)東洋紡社製)を設置した。
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は100mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は4%で○(excellent)、正確性は9%で○(excellent)と、いずれも良好であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は130mAbsで○(excellent)であった。
(実施例7)
検出粒子に赤色のラテックス粒子(K015、赤色、Merkmillipore社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。実施例1と同様の部材を用いて図5に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドの下面とコンジュゲーションパッドの上流側上面の接触長が1mmになるようにサンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に長さ9mm、厚み100μmのポリエステル系合成紙(クリスパー(登録商標)東洋紡社製)を設置した。
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は80mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は4%で○(excellent)、正確性は9%で○(excellent)と、いずれも良好であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は80mAbsで○(excellent)であった。
(比較例1)
実施例1と同様の部材を用いて図3に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは10mmとした。また、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に拡散防止手段を設けなかった。
Hb測定の結果、感度(ΔHb)は90mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は13%で×(bad)、正確性は30%で×(bad)であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は130mAbsで○(excellent)であった。
(比較例2)
実施例1と同様の部材を用いて図7に示されるような幅4mm、長さ60mmのイムノクロマト試験片を作製した。なお、サンプルパッドの長さは20mm、コンジュゲーションパッドの長さは10mm、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドとの接触可能部の長さは2mmとした。また、サンプルパッドとコンジュゲーションパッドの間に拡散防止手段を設けなかった。
サンプルパッドへの青色の検出粒子の逆流が目視にて確認できた。Hb測定の結果、感度(ΔHb)は100mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は8%で△(good)、正確性は22%で×(bad)であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は125mAbsで○(excellent)であった。
(比較例3)
検出粒子に赤色のラテックス粒子(K015、赤色、Merk millipore社製)を用いた以外は、比較例1と同様にして実験を行った。
サンプルパッドへの赤色の検出粒子の逆流が目視にて確認できた。Hb測定の結果、感度(ΔHb)は80mAbsで○(excellent)、再現性(CV(%))は9%で△(good)、正確性は40%で×(bad)であった。
また、HbA1c測定の結果、感度(ΔHbA1c)は80mAbsで○(excellent)であった。
実施例1〜比較例3の全水準において、Hb測定の感度(ΔHb)には差がみられなかった。しかし、拡散防止手段を設けた実施例の試験片は拡散防止手段を設けていない比較例の試験片に比較して、測定の再現性(CV(%))および正確性(%)の向上がみられた。
Figure 0006939106
本発明により、簡便で測定精度の高いイムノクロマト試験片を提供することができる。
1:メンブレン
2:サンプルパッド
3:コンジュゲーションパッド
4:吸収パッド
5:テストライン
6:コントロールライン
7:粘着シート
8:第1の分析対象物質の測定部位
9:拡散防止手段
10:第一の開口部
11:第二の開口部
12:第三の開口部
20:反射光測定装置
21:装着部
22:イムノクロマト試験片
23:発光素子
24:受光素子

Claims (8)

  1. サンプルパッド、コンジュゲーションパッド、メンブレン、吸収パッドが順に連接配置され、前記サンプルパッドの下面の一部と前記コンジュゲーションパッドの上面の少なくとも一部が接触可能なように配置されており、前記接触可能部に拡散防止手段が設けられたイムノクロマト試験片を用い、少なくとも下記工程(i)から(iii)をこの順に経て、生体試料中の第1の分析対象物質および第2の分析対象物質を定量する方法。
    工程(i):生体試料と生体試料希釈液とを体積比1:100〜1:1000で混合して生体試料溶液を調製する工程
    工程(ii):工程(i)で得られた生体試料溶液を、イムノクロマト試験片に滴下し、展開させる工程
    工程(iii):サンプルパッドにおいて第1の分析対象物質を比色定量する工程、およびメンブレンにおいて第2の分析対象物質を比色定量する工程
  2. 前記接触可能部の長さは、4mm以上である請求項1に記載の方法
  3. 前記拡散防止手段は、着色粒子の拡散を防止するものである請求項1または2に記載の方法
  4. 前記拡散防止手段は、フィルムまたはシートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法
  5. 前記拡散防止手段は、前記コンジュゲーションパッドの上流側上面の一部が前記サンプルパッドと接触するように配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
  6. 前記コンジュゲーションパッドは、着色粒子を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法
  7. 前記第1の分析対象物質がヘモグロビンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記第2の分析対象物質がヘモグロビンA1cである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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