以下、本発明の一実施形態および各変形例を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<1.一実施形態>
<1−1.データ処理システムの概略構成>
図1は、一実施形態に係るデータ処理システム100として機能する情報処理システム1の一例を概略的に示すブロック図である。データ処理システム100は、例えば、複数の基板処理についての各種動作の状態に係る時系列のデータを取得して、該時系例のデータを評価することで動作の状況を認識し、評価結果および認識結果に基づく情報を出力することができる。基板処理の対象物は、半導体基板であってもよいし、ガラス基板等の半導体基板以外の基板であってもよい。
図1で示されるように、情報処理システム1は、例えば、コンピュータ等によって実現され、バスラインBu1を介して接続された、入力部2、出力部3、記憶部4、制御部5およびドライブ6を備えている。
入力部2は、例えば、情報処理システム1を使用するユーザーの動作等に応じた信号を入力することができる。入力部2には、例えば、操作部、マイク、各種センサおよび受信部等が含まれ得る。操作部は、ユーザーの操作に応じた信号を入力することができるマウスおよびキーボード等を含み得る。マイクは、ユーザーの音声に応じた信号を入力することができる。各種センサは、ユーザーの動きに応じた信号を入力することができる。受信部は、外部の機器からの信号を受信して入力することができる。該受信部は、例えば、通信回線を介して各種機器からデータを受信することができる。
出力部3は、各種情報を出力することができる。出力部3には、例えば、表示部、スピーカおよび送信部等が含まれ得る。表示部は、各種情報をユーザーが認識することができる態様で可視的に出力することができる。ここで、該表示部は、入力部2と一体化されたタッチパネルの形態を有していても良い。スピーカは、各種情報をユーザーが認識することができる態様で可聴的に出力することができる。送信部は、情報処理システム1の外部に配された各種機器に対して各種情報をデータの形式で出力することができる。該送信部は、例えば、通信回線を介して各種機器に対してデータを送信することができる。
記憶部4は、各種の情報を記憶することができる。該記憶部4は、例えば、ハードディスクおよびフラッシュメモリ等の記憶媒体によって構成され得る。記憶部4では、例えば、1つの記憶媒体を有する構成、2つ以上の記憶媒体を一体的に有する構成、および2つ以上の記憶媒体を2つ以上の部分に分けて有する構成の何れが採用されても良い。記憶部4には、例えば、プログラムP1およびその他の各種情報が記憶され得る。各種情報には、例えば、基板処理についての各種動作の状態(動作状態ともいう)に係る時系列のデータ、および情報処理システム1における各種演算等を行うための各種数値を示すデータ等が記憶され得る。記憶部4には、後述するメモリ5bが含まれても良い。
制御部5は、例えば、プロセッサーとして働く処理部5aおよび情報を一時的に記憶するメモリ5b等を含む。処理部5aとしては、例えば、中央演算部(CPU)等の電子回路が採用され、メモリ5bとしては、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)等が採用され得る。制御部5において、例えば、記憶部4に記憶されているプログラムP1が処理部5aに読み込まれて実行されることで、情報処理システム1がデータ処理システム100として機能し得る。制御部5における各種情報処理によって一時的に得られる各種情報は、適宜メモリ5b等に記憶され得る。
ドライブ6は、例えば、可搬性の記憶媒体RM1の脱着が可能な部分である。ドライブ6では、例えば、記憶媒体RM1が装着されている状態で、該記憶媒体RM1と制御部5との間におけるデータの授受が行われ得る。また、プログラムP1が記憶された記憶媒体RM1がドライブ6に装着されることで、記憶媒体RM1から記憶部4内にプログラムP1が読み込まれて記憶される態様が採用されても良い。
<1−2.データ処理システムの機能的な構成>
図2は、処理部5aで実現されるデータ処理システム100の機能的な構成の一例を概略的に示すブロック図である。図2には、処理部5aでプログラムP1の実行によって実現されるデータ処理に係る各種機能が例示されている。
図2で示されるように、処理部5aは、実現される機能的な構成として、絞り込み部51と、取得部52と、正規化部53、調整部54と、算出部55と、認識部56と、生成部57と、出力制御部58と、指定部59と、を有している。これらの各部51〜59での処理におけるワークスペースとして、例えば、メモリ5bが使用される。
一実施形態に係るデータ処理システム100では、例えば、受信部の機能を有する入力部2が、基板処理装置200における各種基板処理の動作状態に係るデータの信号を該基板処理装置200等から受信することで、該データを入力することができる。このとき、例えば、各種動作についての時間の経過に対する動作状態の変化を示すデータ(時系列データともいう)が記憶部4に記憶される。これにより、記憶部4内に、複数の時系列データが格納された動作データ群4aが構築される。例えば、予め設定された期間ごと、一連の基板処理の内容を規定するレシピごと、または予め設定された枚数の1つ以上の単位(ユニット)ごとに、複数の時系列データが格納されたデータベースが構築されてもよい。1ユニットは、例えば、1つのカセットに格納されている所定の枚数(例えば、25枚等)の基板によって構成される。動作データ群4aが構築される際には、例えば、各時系列データには処理に係る各種情報が関連付けられて記憶され得る。
ここで、各種基板処理の動作状態には、例えば、処理液の流量、基板の温度、ガスの流量、雰囲気の圧力、雰囲気の湿度、ノズル等の各可動部の位置、およびスピンチャック等の回転数等が含まれ得る。これらの動作状態は、例えば、流量計および温度計等の各種のセンサによって計測され得る。また、時間の経過は、例えば、絶対的な時刻によって示されてもよいし、ある時刻を基準とした相対的な時間の経過で表されてもよい。
例えば、枚葉式の基板処理装置では、異なる種類の処理液が異なるノズルから順次に基板に向けて供給される場合がある。この場合、例えば、処理液1の供給、処理液2の供給、処理液3の供給および処理液4の供給の4つの動作が順次に行われる一連の基板処理が実行される場合が考えられる。一連の基板処理は、例えば、基板処理の処理内容を予め規定しているレシピに応じて実行される。処理液1から処理液4には、例えば、薬液および純水等が含まれ得る。ここで、4つの動作の動作状態についての時間の経過に対する変化を示すデータは、例えば、各ノズルにおける処理液の流量が複数のタイミングにおいて流量計等で計測されることで取得され得る。処理液1から処理液4については、すべて異なる種類の処理液であってもよいし、任意の2つ以上の処理液が同一種類の処理液であってもよい。
図3(a)から図3(d)は、基板処理における一連の基板処理に含まれる各種動作についての時間の経過に対する動作状態の変化を示す時系列データの一例を示す図である。図3(a)から図3(d)では、時系列データが太い実線で描かれている。図4(a)から図4(d)は、基板処理における一連の基板処理に含まれる各種動作についての時間の経過に対する動作状態の変化を示す時系列データの他の一例を示す図である。図4(a)から図4(d)では、時系列データが太い破線で描かれている。ここでは、図3(a)から図3(d)および図4(a)から図4(d)の数値が処理液の流量である場合を例に挙げて説明する。具体的には、図3(a)および図4(a)のそれぞれは、例えば、処理液1の流量の時間的な変化を示す時系列データである。図3(b)および図4(b)のそれぞれは、例えば、処理液2の流量の時間的な変化を示す時系列データである。図3(c)および図4(c)のそれぞれは、例えば、処理液3の流量の時間的な変化を示す時系列データである。図3(d)および図4(d)のそれぞれは、例えば、処理液4の流量の時間的な変化を示す時系列データである。図3(a)から図3(d)および図4(a)から図4(d)の数値には、例えば、基板の温度等のその他の計測値が含まれていてもよい。
<1−2−1.絞り込み部>
絞り込み部51は、入力部2からの信号に応答して、記憶部4の動作データ群4aに格納されている複数の時系列データのうち、評価の対象となる時系例データを絞り込むことができる。ここでは、例えば、ユーザーは、入力部2を介して、評価の対象となる、期間、レシピ、ユニットおよび工程等を絞り込むための条件(絞り込み条件ともいう)を入力することができる。
図5は、評価の対象となる時系列データを絞り込むための第1絞り込み画面G1の一例を示す図である。ここでは、第1絞り込み画面G1のデータは、例えば、プログラムP1に従って生成部57で生成され、出力制御部58によって出力部3で可視的に出力される。これにより、第1絞り込み画面G1の表示が実現され得る。
図5で示されるように、第1絞り込み画面G1には、例えば、第1〜5プルダウンリストP11〜P15および第1〜5ボタンB11〜B15が設けられている。第1絞り込み画面G1では、マウスポインタPr1を用いて第1〜5プルダウンリストP11〜P15を操作することで、格納されているデータベースおよび取得されたタイミング等といった評価の対象となる時系列データを絞り込むための条件(第1の絞り込み条件ともいう)を設定することができる。マウスポインタPr1は、例えば、入力部2に含まれるマウス等がユーザーに操作されることで動作する。
具体的には、第1絞り込み画面G1では、第1プルダウンリストP11において、例えば、評価の対象となる時系列データが格納されたデータベースを選択することができる。第2プルダウンリストP12において、例えば、評価の対象となる時系列データが計測されたタイミング(計測タイミングともいう)が含まれる期間の開始年月日を選択することができる。第3プルダウンリストP13において、例えば、計測タイミングが含まれる期間の開始時刻を選択することができる。第4プルダウンリストP14において、例えば、計測タイミングが含まれる期間の終了年月日を選択することができる。第5プルダウンリストP15において、例えば、計測タイミングが含まれる期間の終了時刻を選択することができる。
また、第1絞り込み画面G1では、第1ボタンB11がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、第1〜5プルダウンリストP11〜P15で選択された第1の絞り込み条件がキャンセルされる。このとき、例えば、第1〜5プルダウンリストP11〜P15の状態が初期状態に戻る。第2ボタンB12がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、絞り込み部51における評価の対象となる時系例データを絞り込むための処理が終了される。このとき、例えば、第1絞り込み画面G1が閉じられる。第3ボタンB13がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、出力制御部58によって出力部3で可視的に出力される画面が前の画面に戻される。第5ボタンB15がマウスポインタPr1で押下されると、評価の対象となる時系列データを絞り込むための動作が終了する。このとき、例えば、出力部3における少なくとも第1絞り込み画面G1の表示が終了する。第4ボタンB14がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、第1〜5プルダウンリストP11〜P15で選択された第1の絞り込み条件が確定されて、出力制御部58によって出力部3で表示される画面が次の画面(ここでは、第2絞り込み画面G2)に遷移される。このとき、絞り込み部51では、例えば、記憶部4の動作データ群4aに格納されている複数の時系列データから、第1絞り込み画面G1で確定された第1の絞り込み条件に合致する1つ以上の時系列データについての情報が取得される。ここでは、取得された1つ以上の時系列データについての情報に基づいて、第2絞り込み画面G2が表示される。
図6は、評価の対象となる時系列データを絞り込むための第2絞り込み画面G2の一例を示す図である。ここでは、第2絞り込み画面G2のデータは、例えば、プログラムP1に従って生成部57で生成され、出力制御部58によって出力部3で可視的に出力される。これにより、第2絞り込み画面G2の表示が実現され得る。図6で示されるように、第2絞り込み画面G2には、例えば、第1,2リストL21,L22、第1,2プルダウンリストP21,P22および第1〜7ボタンB21〜B27が設けられている。
第2絞り込み画面G2では、例えば、第1リストL21において、マウスポインタPr1を用いて評価の対象となる時系列データに係るユニットを選択することができる。第1リストL21には、第1の絞り込み条件に合致する1つ以上の時系列データについてのユニットに係る情報が列挙される。ここで、例えば、第1ボタンB21がマウスポインタPr1で押下されると、第1リストL21に列挙された全てのユニットが選択される。例えば、第2ボタンB22がマウスポインタPr1で押下されると、第1リストL21に列挙された全てのユニットが選択されない。
また、第2絞り込み画面G2では、例えば、第2リストL22において、マウスポインタPr1を用いて評価の対象となる時系列データに係るレシピを選択することができる。第2リストL22には、第1の絞り込み条件に合致する1つ以上の時系列データについてのレシピに係る情報が列挙される。ここで、例えば、マウスポインタPr1によって第1,2プルダウンリストP21,P22が操作されると、評価の対象となる時系列データに関する基板処理の工程の範囲が選択される。これにより、例えば、一連の基板処理がL個の工程で構成されている場合に、L個の工程のうちのL個以下の工程が選択される。ここでは、例えば、評価対象となる時系列データの工程の範囲のうち、最初の工程が第1プルダウンリストP21で選択され、最後の工程が第2プルダウンリストP22で選択される。
このようにして、第2絞り込み画面G2では、マウスポインタPr1を用いて第1,2リストL21,L22、第1,2プルダウンリストP21,P22および第1,2ボタンB21,B22を操作することで、時系列データが属するユニット、実行されたレシピおよび工程の範囲等といった評価の対象となる時系列データを絞り込むための条件(第2の絞り込み条件ともいう)を設定することができる。
また、第2絞り込み画面G2では、第3ボタンB23がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、第2絞り込み画面G2で選択された絞り込み条件がキャンセルされる。このとき、例えば、第2絞り込み画面G2の状態が初期状態に戻る。第4ボタンB24がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、絞り込み部51における評価の対象となる時系例データを絞り込むための処理が終了される。このとき、例えば、第2絞り込み画面G2が閉じられる。第5ボタンB25がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、出力制御部58によって出力部3で可視的に出力される画面が前の画面(ここでは、第1絞り込み画面G1)に戻される。第7ボタンB27がマウスポインタPr1で押下されると、評価の対象となる時系列データを絞り込むための動作が終了する。このとき、例えば、出力部3における少なくとも第2絞り込み画面G2の表示が終了する。第6ボタンB26がマウスポインタPr1で押下されると、例えば、第1,2リストL21,L22および第1,2プルダウンリストP21,P22で選択された第2の絞り込み条件が確定されて、出力制御部58によって出力部3で表示される画面が次の画面(ここでは、第3絞り込み画面G3)に遷移される。このとき、絞り込み部51では、例えば、記憶部4の動作データ群4aに格納されている複数の時系列データから、第1および第2の絞り込み条件の双方に合致する1つ以上の時系列データについての情報が取得される。ここでは、取得された1つ以上の時系列データについての情報に基づいて、第3絞り込み画面G3が表示される。
図7は、評価の対象となる時系列データを絞り込むための第3絞り込み画面G3の一例を示す図である。ここでは、第3絞り込み画面G3のデータは、例えば、プログラムP1に従って生成部57で生成され、出力制御部58によって出力部3で可視的に出力される。これにより、第3絞り込み画面G3の表示が実現され得る。
図7で示されるように、第3絞り込み画面G3には、リストL31および第1〜3ボタンB31〜33が設けられている。第3絞り込み画面G3では、第1および第2絞り込み条件に合致する、リストL31に列挙された1つ以上のグループから、マウスポインタPr1によって、評価の対象となる1つ以上のグループを選択することができる。図7の例では、同一時間帯において、同一の種類のレシピに従って処理が施された同一のユニットの基板についての処理が、1つのグループを形成している。リストL31では、選択された1つ以上のグループが、選択されていないグループとは区別可能な態様(反転表示される態様等)で表示される。
また、第3絞り込み画面G3では、例えば、第1ボタンB31がマウスポインタPr1で押下されると、絞り込み部51における評価の対象となる時系例データを絞り込むための処理が終了される。このとき、例えば、第3絞り込み画面G3が閉じられる。例えば、第2ボタンB32がマウスポインタPr1で押下されると、出力制御部58によって出力部3で可視的に出力される画面が前の画面(ここでは、第2絞り込み画面G2)に戻される。例えば、第3ボタンB33がマウスポインタPr1で押下されると、リストL31で選択された1つ以上のグループが確定される。これにより、絞り込み部51における絞り込み条件の指定が完了される。
<1−2−2.取得部>
取得部52は、記憶部4から時系列データを取得することができる。取得部52では、例えば、絞り込み部51で指定された絞り込み条件に対応する時系列データが記憶部4から取得される。このとき、取得部52は、例えば、記憶部4から2つ以上の動作をそれぞれ含む、同一種類の複数の一連の基板処理のそれぞれについて、該2つ以上の動作の動作状態に係る時系列データを取得することができる。同一種類の一連の基板処理には、例えば、同一のレシピに従って実行される一連の基板処理が含まれる。このため、取得部52では、同一のレシピに従って実行された一連の基板処理のそれぞれについて、該一連の基板処理を構成する複数の動作の動作状態に係る時系列データが取得される。一連の基板処理には、例えば、2つ以上の動作のうちの2つの動作が並行して行われる期間(重複期間ともいう)が存在している場合がある。具体的には、取得部52によって、例えば、記憶部4から、一連の基板処理を構成する4つの動作の動作状態に係る、図3(a)から図3(d)で示される4つの時系列データ、および図4(a)から図4(d)で示される4つの時系列データが取得され得る。
<1−2−3.正規化部>
正規化部53は、取得部52で取得された複数の時系列データを対象として正規化を行うことができる。ここでは、例えば、同一種類の動作ごとに正規化が行われる。具体的には、例えば、図3(a)および図4(a)等で示される処理液1を供給する動作について正規化が行われる。また、例えば、図3(b)および図4(b)等で示される処理液2を供給する動作について正規化が行われる。また、例えば、図3(c)および図4(c)等で示される処理液3を供給する動作について正規化が行われる。また、例えば、図3(d)および図4(d)等で示される処理液4を供給する動作について正規化が行われる。
以下、正規化の一具体例について説明する。ここでは、例えば、正規化の対象となる1種類の動作について、以下に示すm個の時系列データDQ1〜DQmが存在している場合を想定する。
DQ1=(D11,D12,・・・,D1n)
DQ2=(D21,D22,・・・,D2n)
・・・
DQm=(Dm1,Dm2,・・・,Dmn)
ここで、nは各時系列データに含まれるデータの個数を示し、Dij(iは1以上で且つm以下の整数、jは1以上で且つn以下の整数)は、時系列データDQiに含まれるj番目のデータを示す。
この場合、正規化部53では、まず、例えば、m個の時系列データDQ1〜DQmのうちの対応する時刻における代表値Mmが算出される。代表値Mmとしては、例えば、中央値、平均値および最頻値等の統計値が採用される。ここでは、例えば、m個のデータD11,D21,・・・,Dm1の代表値M1、m個のデータD12,D22,・・・,Dm2の代表値M2、・・・、m個のデータD1n,D2n,・・・,Dmnの代表値Mnが算出される。これにより、代表値の時系列データMQ=(M1,M2,・・・,Mn)が生成される。次に、例えば、代表値の時系列データMQ=(M1,M2,・・・,Mn)における、代表値の最大値Mmaxと最小値Mminとが求められる。次に、例えば、正規化の対象となる1種類の動作に係るm個の時系列データDQ1〜DQmが、最小値Mminから最大値Mmaxの値域が、0から1の値域に変換されるように、正規化の処理が実行される。すなわち、線形変換が行われる。このとき、時系列データDQiに含まれるj番目のデータDijに対して、次の式(1)に沿った演算が行われることで、正規化後のj番目のデータEijが算出される。
Eij=(Dij−Mmin)/(Mmax−Mmin) ・・・(1)。
このとき、例えば、図3(a)および図4(a)の時系列データが正規化されて、図8(a)および図9(a)の時系列データが生成される。また、例えば、図3(b)および図4(b)の時系列データが正規化されて、図8(b)および図9(b)の時系列データが生成される。また、例えば、図3(c)および図4(c)の時系列データが正規化されて、図8(c)および図9(c)の時系列データが生成される。また、例えば、図3(d)および図4(d)の時系列データが正規化されて、図8(d)および図9(d)の時系列データが生成される。
ここでは、正規化部53で生成された正規化後の複数の時系列データは、例えば、記憶部4に格納されることで、正規化後の複数の時系列データが蓄積されたデータ群(正規化後データ群ともいう)4bが構築される。
<1−2−4.調整部>
調整部54は、正規化部53における正規化が行われた時系列データを、評価に適したデータの形式となるように調整する。ここでは、例えば、図8(a)から図8(d)で示される4つの時系列データが統合されて、図10の太い実線で描かれた曲線で示されるように、1つの時間軸上で表される1つの一連の基板処理に係る時系列データが生成される。また、例えば、図9(a)から図9(d)で示される4つの時系列データが統合されて、図11の太い破線で描かれた曲線で示されるように、1つの時間軸上で表される1つの一連の基板処理に係る時系列データが生成される。具体的には、例えば、一連の基板処理を構成する4つの時系列データについて、時刻の順に沿って同一時刻の数値が順に並べられたCSVファイルが生成されるような形態が考えられる。
ここでは、調整部54で調整された複数の時系列データは、例えば、記憶部4に格納されることで、評価用のデータが蓄積されたデータ群(評価用データ群ともいう)4cが構築される。
<1−2−5.算出部>
算出部55は、取得部52によって取得された複数の一連の基板処理のそれぞれに係る時系列データを対象として、評価の対象の項目(評価対象項目ともいう)についての評価値を算出することができる。ここでは、取得部52で取得された後に正規化部53における正規化および調整部54における調整が適宜行われた時系列データが用いられて、評価値が算出される。評価対象項目には、1種類の動作のみについての項目と、2種類以上の動作についての項目と、が含まれる。具体的には、評価対象項目には、例えば、同一種類の動作におけるデータのばらつきの度合い、各動作における目標値に対するオーバーシュートの度合い、および一連の基板処理に係る時系列データにおける2つの動作が並行して行われる期間(重複期間)の変化等が含まれる。
例えば、評価対象項目が、重複期間の変化である場合には、算出部55では、取得部52によって取得された少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データの間における重複期間のズレに係る評価値が算出される。本一実施形態では、時間的に隣り合う2つの動作についての2つの時系列データの間において生じている重複期間のズレについて評価値が算出される例を挙げて説明する。ただし、例えば、時間的に隣り合う3つ以上(例えば3つ)の動作が並行して行われる期間がある場合には、重複期間が、3つ以上(例えば3つ)の動作が並行して行われる期間とされてもよい。
ここで、同一種類の動作における時系列データのばらつきの度合いに係る評価値、各動作における目標値に対するオーバーシュートの度合いに係る評価値、および一連の基板処理の時系列データにおける重複期間の変化に係る評価値、の算出方法について具体例を挙げて説明する。
<1−2−5−1.ばらつき度合いに係る評価値の算出方法>
例えば、図12の領域Ar1で示されるように、同一種類の動作についての複数の時系列データの間でばらつきが生じる場合がある。このばらつき度合いを評価することで、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。
○ユークリッド距離による評価値の算出:
ここでは、例えば、複数の時系列データのうちの任意の第1の時系列データと第2の時系列データとの間におけるユークリッド距離を用いて、ばらつき度合いに係る評価値を算出することができる。ここで、例えば、第1の時系列データAと第2の時系列データBとの間におけるユークリッド距離D(A,B)が、次の式(2)によって算出される。
ここでは、第1の時系列データAおよび第2の時系列データBのそれぞれが、i番目(iは1〜nの自然数)のn個のデータで構成されている。式(2)では、xiは、第1の時系列データAのi番目のデータ(数値)を示しており、yiは、第2の時系列データBのi番目のデータ(数値)を示している。
そして、例えば、次の式(3)に従って、任意の2つの時系列データA,Bの組合せにおけるユークリッド距離D(A,B)のうちの最大値が、ばらつき度合いに係る評価値S1として算出される。ユークリッド距離D(A,B)のうちの最大値は、基板処理の動作における異常によって生じる特異値等の存在によって大きくなり得る。
式(3)では、Nは、同一種類の動作についての全ての時系列データを示す。
○動的時間伸縮法(DTW)による評価値の算出:
ばらつき度合いに係る評価値は、例えば、動的時間伸縮法(DTW)を用いて算出してもよい。この動的時間伸縮法では、複数の時系列データのうちの任意の第1の時系列データと第2の時系列データとの間において、同一時刻における数値の比較だけでなく、時刻のずれも含めて、全ての数値の組合せについての比較が行われる。例えば、第1の時系列データAと第2の時系列データBとの間における数値の全ての組合せについて、ユークリッド距離が算出される。
このとき、第1の時系列データAと第2の時系列データBとの間における数値の全ての組合せについて、第1の時系列データAと第2の時系列データBとの間のユークリッド距離d(xi,yj)がマトリックス状に並べられたテーブルが形成される。ここで、xiは、第1の時系列データAのi番目(iは1からnAの自然数)のデータ(数値)を示している。yjは、第2の時系列データBのj番目(jは1からnBの自然数)のデータ(数値)を示している。例えば、第1の時系列データAがnA個のデータで構成され、第2の時系列データBがnB個のデータで構成されていれば、nA個×nB個の行列状のセルにユークリッド距離d(xi,yj)がマトリックス状に並べられたテーブルが形成される。このテーブルでは、例えば、対角線上からずれる程、第1の時系列データAと第2の時系列データBとの間においてよりずれた時刻における数値の組合せについてのユークリッド距離d(xi,yj)が並ぶ。
次に、ユークリッド距離d(xi,yj)がマトリックス状に並んだテーブルにおいて、開始時刻のユークリッド距離d(x0,y0)から終了時刻のユークリッド距離d(xnA,ynB)に至る経路(パス)のうち、その経路上のユークリッド距離d(xi,yj)の積算値γ(nA,nB)が最も小さくなる経路(最小経路ともいう)が探索される。このとき、例えば、テーブルにおける座標(i,j)のセルまでのユークリッド距離d(xi,yj)の積算値γ(i,j)は、次の式(4)に従って算出される。
ここでは、積算値γ(i,j)は、座標(i,j)のセルの時間的に1つ前の3つの座標(i−1,j−1),(i−1,j),(i,j−1)のセルまでのユークリッド距離dの積算値γ(i−1,j−1),γ(i−1,j),γ(i,j−1)のうちの最小値に、座標(i,j)のセルにおけるユークリッド距離d(xi,yj)が加算されることで算出される。この演算が行われる際には、例えば、次の式(5)で示されるように、開始時刻に係るセルの座標(0,0)についての積算値γ(0,0)が0とされ、テーブルのうちの開始時刻および終了時刻に係るセルを除く各辺に沿ったセルに係る積算値γ(i,0),(0,j)が無限大とされる。
このようにして、最小経路に係る積算値γ(nA,nB)が算出される。
ここで、例えば、第1の時系列データAと第2の時系列データBとの間における距離Ddtw(A,B)が、次の式(6)によって算出される。
ここでは、動的時間伸縮法に係る距離Ddtw(A,B)は、最小経路に係る積算値γ(nA,nB)が、第1の時系列データAのデータ数nAおよび第2の時系列データBのデータ数nBのうちの小さな方の数値で除されることで算出される。
そして、例えば、次の式(7)に従って、任意の2つの時系列データA,Bの組合せにおける距離Ddtw(A,B)のうちの最大値が、ばらつき度合いに係る評価値S2として算出される。距離Ddtw(A,B)のうちの最大値は、基板処理の動作における異常によって生じる特異値等の存在によって大きくなり得る。
式(7)では、Nは、同一種類の動作についての全ての時系列データを示す。
<1−2−5−2.オーバーシュートの度合いに係る評価値の算出方法>
図13で示されるように、1つの動作に係る時系列データでは、数値が、目標値Vtに向けて上昇する際に、目標値Vtを超過する現象(オーバーシュートともいう)を示した後に、概ね目標値Vtに落ち着く場合がある。図14は、図13の領域Ar2の拡大図である。目標値Vtは、基板処理の動作の実行時に、動作の動作状態を示す数値が目標とする数値である。この目標値Vtは、基板処理が開始される前に予め設定される。ここで、オーバーシュートの度合いを評価することで、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。
ここでは、まず、1種類の動作についての複数の時系列データのうちの任意の各時系列データAについて、オーバーシュートの期間を検出する。ここでは、オーバーシュートの期間は、例えば、時系列データAの数値が最初に目標値Vtを超えた後に再び目標値Vtまで戻るまでの期間として検出される。次に、このオーバーシュートの期間における時系列データAの数値のうちの最大値Vmaxと目標値Vtとの差分V1がオーバーシュートの量として算出される。
そして、例えば、次の式(8)に従って、任意の時系列データAにおけるオーバーシュートの量V1のうちの最大値が、オーバーシュートの度合いに係る評価値S3として算出される。オーバーシュートの量V1の最大値は、基板処理の動作における異常によって生じる特異値等の存在によって大きくなり得る。
式(8)では、Nは、同一種類の動作についての全ての時系列データを示す。
<1−2−5−3.重複期間の変化に係る評価値の算出方法>
図15の領域Ar3で示されるように、一連の基板処理に係る時系列データでは、2つの動作が並行して行われる重複期間が発生する場合がある。この場合、例えば、重複期間の変化の度合いを評価することで、動作に異常が生じたか否か認識することができる。
重複期間の変化は、例えば、基板処理装置のメンテナンス時におけるヒューマンエラーおよび時系列データに関連する部品の経年劣化等の様々な要因によって、時系列データの数値で示される動作の立ち上がりおよび立ち下がりに要する時間が変化することで生じる。そして、重複期間が顕著に変化すると、基板処理の結果物に悪影響が生じ得る。
ここで、例えば、第1の動作と第2の動作とが少なくとも一部の期間において並行して実行される場合を想定する。この場合、重複期間の変化は、例えば、第2の動作の立ち上がりおよび第1の動作の立ち下がりのうち、何れか一方あるいはその両方の変化を原因として生じ得る。このため、ここでは、第2の動作の立ち上がりの期間の長さ(立ち上がり時間ともいう)の変化、第1の動作の立ち下がりの期間の長さ(立ち下がり時間ともいう)の変化、および第1の動作と第2動作との重複期間の長さ(重複時間ともいう)の変化、の3種類の期間の長さの変化を評価する。
○立ち上がり時間の評価:
立ち上がり時間Tr(図16参照)は、例えば、以下の方法で検出される。
例えば、一連の基板処理に係る時系列データのうちの第2の動作に係る時系列データにおいて、数値が上昇し始めるタイミングが、第2の動作が立ち上がり始めるタイミング(立ち上がり開始タイミングともいう)として検出される。ここでは、例えば、第2の動作に係る数値の上昇が指令されたタイミングの履歴を示すデータが記憶されていれば、この履歴を示すデータが参照されることで、立ち上がり開始タイミングが検出されてもよい。
また、例えば、一連の基板処理に係る時系列データのうちの第2の動作に係る時系列データにおいて、数値が概ね目標値Vtに落ち着いたタイミングが、第2の動作の立ち上がりが終了したタイミング(立ち上がり終了タイミングともいう)として検出される。目標値Vtは、基板処理の動作の実行時に、動作の動作状態を示す数値が目標とする数値である。この目標値Vtは、基板処理が開始される前に予め設定される。ここで、数値が概ね目標値Vtに落ち着いたタイミングとしては、図17で示されるように、例えば、立ち上がり開始タイミングから予め設定された第2の動作の立ち上がりに要する時間Tstが経過した後に、第2の動作に係る時系列データの数値が、目標値Vtを基準とした予め設定された基準範囲内に落ち着いたタイミングが採用される。基準範囲は、例えば、目標値Vtを中心とした±αの値域(誤差範囲ともいう)に設定される。例えば、立ち上がり開始タイミングから時間Tstが経過した後に、第2の動作に係る時系列データの数値が、P回連続(Pは例えば3以上の自然数)で基準範囲に入っていれば、そのP回の数値に係るタイミングが、立ち上がり終了タイミングとして検出される。P回は、予め設定されればよい。P回連続の数値は、例えば、第2動作に係る時系列データの数値のうち、連続するP個の数値であってもよいし、予め設定されたX個(Xは1以上の自然数)おきの数値等といった評価対象のP個の数値であってもよい。P回の数値に係るタイミングとしては、例えば、P回の数値のうちの最初の数値の時刻が採用され得る。
そして、例えば、立ち上がり開始タイミングから立ち上がり終了タイミングまでの期間の長さが、第2の動作の立ち上がり時間Trとして算出される。この立ち上がり時間Trは、例えば、時間で示されてもよいし、時系列データにおけるデータの点数で示されてもよい。
次に、次の式(9)に従って、第2の動作に係る任意の2つの時系列データである、第1の時系列データAと第2の時系列データBとについて、第1の時系列データAに係る立ち上がり時間Tr(A)と第2の時系列データBに係る立ち上がり時間Tr(B)との差の最大値が、立ち上がり時間Trの変化の度合いを示す評価値S4として算出される。ここでは、第1の時系列データAに係る立ち上がり時間Tr(A)と第2の時系列データBに係る立ち上がり時間Tr(B)との差の最大値は、基板処理の動作における異常によって生じる特異値等の存在で大きくなり得る。
式(9)では、Nは、同一種類の動作についての全ての時系列データを示す。
○第1の動作の立ち下がり期間の評価:
立ち下がり時間Td(図18参照)は、例えば、以下の方法で検出される。
例えば、一連の基板処理に係る時系列データのうちの第1の動作に係る時系列データにおいて、数値が下降し始めるタイミングが、第2の動作が立ち下がり始めるタイミング(立ち下がり開始タイミングともいう)として検出される。ここでは、例えば、第1の動作に係る数値の下降が指令されたタイミングの履歴を示すデータが記録されていれば、この履歴を示すデータが参照されることで、立ち下がり開始タイミングが検出されてもよい。
また、例えば、一連の基板処理に係る時系列データのうちの第1の動作に係る時系列データにおいて、数値が概ね基準値としてのゼロに落ち着いたタイミングが、第1の動作の立ち下がりが終了したタイミング(立ち下がり終了タイミングともいう)として検出される。ここで、数値が概ねゼロに落ち着いたタイミングとしては、例えば、立ち下がり開始タイミングから予め設定された第1の動作の立ち下がりに要する時間(基準時間ともいう)が経過した後に、第1の動作に係る時系列データの数値が、ゼロを基準とした予め設定された基準範囲内に落ち着いたタイミングが採用される。基準範囲は、例えば、ゼロを基準とした+βの値域(誤差範囲ともいう)に設定される。例えば、立ち下がり開始タイミングから基準時間が経過した後に、第1の動作に係る時系列データの数値が、Q回連続(Qは例えば3以上の自然数)で基準範囲に入っていれば、そのQ回の数値に係るタイミングが、立ち下がり終了タイミングとして検出される。Q回は、予め設定されればよい。Q回連続の数値は、例えば、第1動作に係る時系列データの数値のうち、連続するQ個の数値であってもよいし、予め設定されたY個(Yは1以上の自然数)おきの数値等といった評価対象のQ個の数値であってもよい。Q回の数値に係るタイミングとしては、例えば、Q回の数値のうちの最初の数値の時刻が採用され得る。
そして、例えば、立ち下がり開始タイミングから立ち下がり終了タイミングまでの期間の長さが、第1の動作の立ち下がり時間Tdとして算出される。この立ち下がり時間Tdは、例えば、時間で示されてもよいし、時系列データにおけるデータの点数で示されてもよい。
次に、次の式(10)に従って、第1の動作に係る任意の2つの時系列データである、第1の時系列データAと第2の時系列データBとについて、第1の時系列データAに係る立ち下がり時間Td(A)と第2の時系列データBに係る立ち下がり時間Td(B)との差の最大値が、立ち下がり時間Tdの変化の度合いを示す評価値S5として算出される。ここでは、第1の時系列データAに係る立ち下がり時間Td(A)と第2の時系列データBに係る立ち下がり時間Td(B)との差の最大値は、基板処理の動作における異常によって生じる特異値等の存在で大きくなり得る。
式(10)では、Nは、同一種類の動作についての全ての時系列データを示す。
○第1の動作と第2の動作とに係る重複期間の評価:
第1の動作と第2動作との重複時間Ts(図19参照)は、例えば、以下の方法で検出される。
まず、例えば、一連の基板処理に係る各時系列データについて、上述した第2の動作の立ち上がり開始タイミングから、上述した第1の動作の立ち下がり終了タイミングに至るまでの期間の長さが、第1の動作と第2動作との重複時間Tsとして算出される。
次に、次の式(11)に従って、一連の基板処理に係る任意の2つの時系列データである、第1の時系列データAと第2の時系列データBとについて、第1の時系列データAに係る重複時間Ts(A)と第2の時系列データBに係る重複時間Ts(B)との差の最大値が、重複時間Tsの変化の度合いを示す評価値S6として算出される。ここでは、第1の時系列データAに係る重複時間Ts(A)と第2の時系列データBに係る重複時間Ts(B)との差の最大値は、基板処理の動作における異常によって生じる特異値等の存在で大きくなり得る。
式(11)では、Nは、同一種類の動作についての全ての時系列データを示す。
<1−2−6.認識部>
認識部56は、算出部55によって算出された評価値と予め設定された特定条件とが合致している状態(合致状態ともいう)を認識することができる。ここで、特定条件としては、例えば、評価値が、閾値Stを超えている条件が採用される。閾値Stは、プログラムP1によって予め規定されていてもよいし、ユーザーによって入力部2を介して予め入力されてもよいし、情報処理システム1のホストコンピュータとしての外部装置から入力部2を介した信号によって予め入力されてもよい。このとき、特定条件は、例えば、記憶部4に条件データ41として記憶されてもよい。
ここでは、例えば、ばらつき度合いに係る評価値S1は、予め設定された閾値St1と比較される。このとき、特定条件として、例えば、評価値S1が、閾値St1を超えている条件が採用される。これにより、例えば、同一種類の動作についての複数の時系列データの間におけるばらつき度合いを評価して、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。また、例えば、ばらつき度合いに係る評価値S2は、予め設定された閾値St2と比較される。このとき、特定条件として、例えば、評価値S2が、閾値St2を超えている条件が採用される。これにより、例えば、同一種類の動作についての複数の時系列データの間におけるばらつき度合いを評価して、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。
また、例えば、オーバーシュートの度合いに係る評価値S3は、予め設定された閾値St3と比較される。このとき、特定条件として、例えば、評価値S3が、閾値St3を超えている条件が採用される。これにより、例えば、同一種類の動作についての複数の時系列データにおけるオーバーシュートの度合いの変化を評価して、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。
また、例えば、立ち上がり時間Trの変化の度合いを示す評価値S4は、予め設定された閾値St4と比較される。このとき、特定条件として、例えば、評価値S4が、閾値St4を超えている条件が採用される。これにより、例えば、一連の基板処理についての複数の時系列データの間における立ち上がり時間Trの変化を評価して、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。
また、例えば、立ち下がり時間Tdの変化の度合いを示す評価値S5は、予め設定された閾値St5と比較される。このとき、特定条件として、例えば、評価値S5が、閾値St5を超えている条件が採用される。これにより、例えば、一連の基板処理についての複数の時系列データの間における立ち下がり時間Tdの変化を評価して、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。
また、例えば、重複時間Tsの変化の度合いを示す評価値S6は、予め設定された閾値St6と比較される。このとき、特定条件として、例えば、評価値S6が、閾値St6を超えている条件が採用される。これにより、例えば、一連の基板処理についての複数の時系列データの間における重複時間Tsの変化を評価して、動作に異常が生じたか否か認識することが可能となる。このようにして、例えば、2つの一連の基板処理についての時系列データの間における2つの動作の重複期間のズレに係る評価値と予め設定された特定条件とが合致している合致状態が認識され得る。これにより、例えば、ユーザーは、合致状態に係る認識結果に応じた情報を得ることで、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができる。
ここでは、認識部56における認識結果を示すデータは、例えば、記憶部4に認識結果4dとして格納される。
<1−2−7.生成部>
生成部57は、認識部56による認識結果に応じた出力を行うためのデータを生成することができる。例えば、生成部57によれば、認識部56によって認識された合致状態に応じた出力を行うためのデータ(出力用データともいう)が生成される。このとき、生成部57では、例えば、記憶部4に記憶された認識結果4dに基づいて、出力用データが生成され得る。
ここで、出力用データとしては、例えば、ユーザーが認識可能な態様で合致状態に応じた出力を出力部3に行わせるためのデータ、および他の装置に対して送信するための合致状態に応じた内容を示すデータ、の何れが採用されてもよい。ユーザーが認識可能な態様には、例えば、可視的な態様および可聴的な態様等が含まれる。このため、合致状態に応じた出力を出力部3に行わせるためのデータには、例えば、可視的な出力を可能とするデータおよび可聴的な出力を可能とする音声データ等が含まれ得る。可視的な出力を可能とするデータには、例えば、出力部3が有する表示部の機能によって表示を行わせるためのデータ(表示用データともいう)、および出力部3に含まれる表示部あるいは警告ランプ等によって特定の色の光を点灯させるためのデータ(点灯用データともいう)等が含まれ得る。以下では、出力用データとして表示用データが用いられる具体例を示して説明する。
生成部57では、記憶部4に予め記憶された表示要素のデータ(表示要素データともいう)42が用いられることで、出力用データが生成される。ここでは、例えば、図20で示されるように、評価の対象とされた同一のレシピに従って実行された一連の基板処理に係る複数の時系列データが、同一の時間軸上でグラフの形式で表示可能となるような出力用データが生成される。このとき、この出力用データには、例えば、認識部56によって認識された合致状態に応じた出力を行うためのデータが含まれていても良い。ここでは、生成部57において生成された出力用データは、例えば、記憶部4に記憶されることで、出力用データ群4eが生成される。ここで、出力用データは、例えば、レシピ毎に記憶部4に記憶され得る。
<1−2−8.出力制御部>
出力制御部58は、生成部57で生成された出力用データを出力部3において出力させることができる。例えば、出力制御部58は、出力部3に、認識部56によって認識された合致状態に応じた出力を行われることができる。つまり、例えば、認識部56における合致状態の認識結果に応じた出力が行われる。これにより、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができる。
ここで、例えば、図20で示されるような、評価の対象とされた同一のレシピに従って実行された一連の基板処理に係る少なくとも2つの時系列データについて数値の時間変化を示すグラフを出力部3で可視的に出力させるための出力用データが、生成部57で生成される場合を想定する。この場合、例えば、出力部3では、出力制御部58によって、例えば、生成部57で生成された出力用データに基づいて、評価値の算出に用いられた少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データについて数値の時間変化を示すグラフGh4(図21参照)が可視的に出力されるとともに、ユーザーが認識可能な態様で、認識部56によって認識された合致状態に応じた出力が行われ得る。このとき、認識部56で認識された合致状態に応じて、例えば、音声による警告、警報、ランプの点灯、および表示の何れの態様で出力が行われてもよい。このようにして、例えば、少なくとも評価値の算出に用いられた2つの一連の基板処理についての時系列データについて数値の時間変化を示すグラフGh4が表示されるとともに、合致状態の認識結果に応じた出力が行われ得る。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に見つけ出すことができる。
ここで、例えば、生成部57において、認識部56で認識された合致状態に応じた可視的な出力を行うための出力用データが生成されている場合を想定する。この場合には、例えば、図21で示されるように、認識部56による合致状態の認識結果を表示する画面(認識結果表示画面ともいう)G4が出力部3に表示され得る。認識結果表示画面G4では、例えば、出力制御部58の制御により、出力部3において、少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データについて数値の時間変化を示すグラフGh4が可視的に出力されるとともに、認識部56によって認識された合致状態に応じた可視的な出力が行われる。
図21の例では、合致状態の認識結果として、認識部56によって合致状態が認識された評価対象項目を特定する情報が、ボックスBx1内に列挙されている。具体的には、ボックスBx1内に、重複期間について合致状態が認識された異常(「Overlap Error」)および動作の立ち上がり時間について合致状態が認識された異常(「Rise time Error」)が列記されている。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができる。
ここで、出力部3では、グラフGh4とともに、認識部56によって特定条件との合致状態が認識された評価値が、可視的に出力されてもよい。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができるとともに、異常な時系列データの異常の度合いも把握することができる。
図21の例では、ボックスBx1内に、認識部56によって合致状態が認識された評価対象項目を特定する情報とともに、認識部56によって特定条件との合致状態が認識された、各評価対象項目について算出部55で算出された評価値が併記されている。具体的には、例えば、評価対象項目としての重複期間に係る「Overlap Error」の表示の右横に、評価値「Score:22.869」が併記されている。また、例えば、評価対象項目としての動作の立ち上がり時間に係る「Rise time Error」の表示の右横に、評価値「Score:15.295」が併記されている。
また、ここで、例えば、生成部57において、評価値の算出に用いられた同一のレシピに従って実行された一連の基板処理に係る少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データについて数値の時間変化を示すグラフとともに、特定の表示要素を可視的に出力させるための出力用データが生成されている場合を想定する。特定の表示要素は、例えば、認識部56で認識された合致状態に応じて表示されるものであり、グラフのうちの認識部56によって合致状態が認識された評価対象項目に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で表示されるものである。特定の表示要素には、例えば、重複期間のズレに係る評価値S6と予め設定された特定条件との合致状態に応じて表示される表示要素が含まれる。評価対象項目には、例えば、同一種類の動作におけるデータのばらつきの度合い、各動作における目標値に対するオーバーシュートの度合い、および一連の基板処理における2つの動作が並行して行われる重複期間の変化等が含まれる。
この場合には、例えば、図21で示されるように、出力部3では、出力制御部58の制御によって、グラフGh4が可視的に出力されるとともに、該グラフGh4のうちの認識部56で合致状態が認識された評価対象項目に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、認識部56で認識された合致状態に応じた特定の表示要素が可視的に出力される。
図21の例では、グラフGh4における動作の立ち上がりに係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、認識部56で認識された動作の立ち上がり時間Trに係る合致状態に応じた特定の表示要素としてのアイコンE41が表示されている。また、図21の例では、グラフGh4における重複期間に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、認識部56で認識された重複時間Tsに係る合致状態に応じた特定の表示要素としてのアイコンE42が表示されている。また、図21の例では、グラフGh4におけるデータのばらつきに係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、認識部56で認識された動作のばらつき度合いに係る合致状態に応じた特定の表示要素としてのアイコンE43が表示されている。これらのアイコンE41〜E43の存在により、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を容易に見つけ出することができる。
ここで、グラフGh4のうちの合致状態が認識された評価対象項目に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様としては、例えば、グラフGh4の評価対象項目に係る部分に重畳する領域、およびグラフGh4の評価対象項目に係る部分に近接している領域、の少なくとも一方の領域に特定の表示要素を可視的に出力する態様が考えられる。
図21の例では、グラフGh4の動作の立ち上がりに係る部分に近接している領域に、特定の表示要素としてのアイコンE41が表示されている。また、図21の例では、グラフGh4の重複期間に係る部分に近接している領域に、特定の表示要素としてのアイコンE42が表示されている。また、図21の例では、グラフGh4の動作のばらつき度合いに係る部分に近接している領域に、特定の表示要素としてのアイコンE43が表示されている。このようなアイコンE41〜E43の表示態様により、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を容易に見つけ出すことができる。特に、図21の例では、各アイコンE41〜E43は、略三角形の注意を喚起するマークであり、該マークの鋭角を成す角部がグラフGh4の関連している部分を指し示すように配置されている。このため、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を簡単に見つけ出すことができる。
<1−2−9.指定部>
指定部59は、入力部2においてユーザーの動作に応じて入力される信号に応じて、特定の表示要素を指定することができる。図21の例では、特定の表示要素としてのアイコンE41〜E43の何れか1つを、マウスポインタPr1によって、押下する等して指定することができる。
このとき、例えば、指定部59による特定の表示要素の指定に応答して、生成部57において出力用データが生成され、出力部3では、出力制御部58の制御によって、グラフGh4のうちの、指定された特定の表示要素に関連している部分(指定関連部分ともいう)が、該指定関連部分とは離れた期間に係る部分(非指定関連部分ともいう)とは異なる態様で可視的に出力される。
図21の例では、指定部59による特定の表示要素としてのアイコンE41の指定に応答して、出力部3で、出力制御部58の制御によって、グラフGh4のうちの、指定されたアイコンE41に関連している指定関連部分が、非指定関連部分とは異なる態様で、可視的に出力される。また、図21の例では、指定部59による特定の表示要素としてのアイコンE42の指定に応答して、出力部3で、出力制御部58の制御によって、グラフGh4のうちの、指定されたアイコンE42に関連している指定関連部分が、非指定関連部分とは異なる態様で可視的に出力される。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を容易に見つけ出すことができる。また、図21の例では、指定部59による特定の表示要素としてのアイコンE43の指定に応答して、出力部3で、出力制御部58の制御によって、グラフGh4のうちの、指定されたアイコンE43に関連している指定関連部分が、非指定関連部分とは異なる態様で、可視的に出力される。
ここで、指定関連部分が非指定関連部分とは異なる態様で可視的に出力される形態としては、例えば、非指定関連部分が表示されずに指定関連部分が拡大表示される形態、あるいは指定関連部分と非指定関連部分とが、色、輝度、濃さ、太さおよび背景等の要素のうちの少なくとも1つの要素が異なる態様で表示される形態等が採用され得る。
図22は、時系列データのグラフGh4の一部としての指定関連部分を拡大表示する画面(拡大表示画面ともいう)G5の一例を示す図である。図22で示されるように、拡大表示画面G5には、例えば、グラフGh5、認識結果表示部分Ev5、テーブルTb5およびボタンBt5が設けられている。グラフGh5は、グラフGh4の一部が拡大されたものである。認識結果表示部分Ev5は、図21のボックスBx1内にも記載されていた認識結果および評価結果に係る情報を示す部分である。テーブルTb5は、グラフGh5に含まれる時系列データのうち、認識部56によって特定条件との合致状態が認識された時系列データの組合せを示すテーブルである。ボタンBt5は、マウスポインタPr1で押下されることで、前の画面としての認識結果表示画面G4に遷移させるためのボタンである。
ところで、図21および図22の例では、一連の基板処理に係る2つの時系列データが示されていたが、これに限られない。例えば、認識結果表示画面G4および拡大表示画面G5には、評価の対象とされた全ての時系列データが表示されてもよい。このとき、複数の時系列データは、例えば、曲線の線種、太さおよび色等を違えた状態で表示され得る。また、ここでは、例えば、評価の対象とされた全ての時系列データのうち、認識部56で合致状態が認識された時系列データの組合せについて、認識結果表示画面G4および拡大表示画面G5に表示されてもよい。
<1−3.データ処理のフロー>
図23および図24は、データ処理システム100の動作フローの一例を示す流れ図である。本動作フローは、例えば、ユーザーによる入力部2を介した信号の入力に応じて開始される。例えば、図23のステップSp1〜Sp9において、評価の対象となる時系列データを絞り込むための条件が指定される。その後、例えば、図24のステップSp11〜Sp23において、時系列データの取得、評価、合致状態の認識および認識結果等の表示が行われる。ここで、図23および図24の動作フローの一例は、説明の複雑化を回避するために、画面の遷移に係る処理が簡略化された一例である。
まず、図23のステップSp1では、出力制御部58によって出力部3に第1絞り込み画面G1(図5)が表示される。
ステップSp2では、入力部2および出力制御部58によって、第1絞り込み画面G1におけるユーザーによる絞り込み条件の選択が行われる。
ステップSp3では、絞り込み部51によって、第1絞り込み画面G1において第1の絞り込み条件が確定されたか否か判定される。ここでは、例えば、第1絞り込み画面G1において第4ボタンB14が押下されるまで、ステップSp2およびステップSp3の処理が繰り返される。また、ここでは、例えば、第1絞り込み画面G1で第4ボタンB14が押下されれば、第1の絞り込み条件が確定されて、ステップSp4に進む。
ステップSp4では、出力制御部58によって出力部3に第2絞り込み画面G2(図6)が表示される。
ステップSp5では、入力部2および出力制御部58によって、第2絞り込み画面G2におけるユーザーによる絞り込み条件の選択が行われる。
ステップSp6では、絞り込み部51によって、第2絞り込み画面G2において第2の絞り込み条件が確定されたか否か判定される。ここでは、例えば、第2絞り込み画面G2において第6ボタンB26が押下されるまで、ステップSp5およびステップSp6の処理が繰り返される。また、ここでは、例えば、第2絞り込み画面G2において第6ボタンB26が押下されれば、第2の絞り込み条件が確定されて、ステップSp7に進む。
ステップSp7では、出力制御部58によって出力部3に第3絞り込み画面G3(図7)が表示される。
ステップSp8では、入力部2および出力制御部58によって、第3絞り込み画面G3におけるユーザーによる絞り込み条件の選択が行われる。
ステップSp9では、絞り込み部51によって、第3絞り込み画面G3において絞り込み条件の指定が完了されたか否か判定される。ここでは、例えば、第3絞り込み画面G3において第3ボタンB33が押下されるまで、ステップSp8およびステップSp9の処理が繰り返される。また、ここでは、例えば、第3絞り込み画面G3において第3ボタンB33が押下されれば、絞り込み条件の指定が完了されて、図24のステップSp11に進む。
図24のステップSp11では、取得部52によって、記憶部4から時系列データが取得される。ここでは、例えば、ステップSp1〜Sp9において指定された絞り込み条件に応じて、記憶部4から時系列データが取得される。このとき、取得部52では、例えば、記憶部4から2つ以上の動作をそれぞれ含む同一種類の複数の一連の基板処理のそれぞれについて、該2つ以上の動作の動作状態に係る時系列データが取得される。ここで、同一種類の一連の基板処理には、例えば、同一のレシピに沿った一連の基板処理が含まれる。一連の基板処理には、例えば、2つ以上の動作のうちの2つの動作が並行して行われる重複期間が存在しているものがある。
ステップSp12では、正規化部53によって、ステップSp11で取得された複数の時系列データを対象として正規化が行われる。ここでは、正規化部53で生成された正規化後の複数の時系列データは、例えば、記憶部4に格納される。このとき、記憶部4に、正規化後の複数の時系列データが蓄積された正規化後データ群4bが構築される。
ステップSp13では、調整部54によって、ステップSp12で正規化された時系列データが、評価に適したデータの形式に調整される。例えば、一連の基板処理を構成する複数の動作についての複数の時系列データが統合されて、1つの時間軸上で表される1つの一連の基板処理に係る時系列データが生成される。ここで生成される複数の時系列データは、例えば、記憶部4に格納されることで評価用のデータが蓄積された評価用データ群4cが構築される。
ステップSp14では、算出部55によって、ステップSp11で取得された複数の一連の基板処理のそれぞれに係る時系列データを対象として、評価対象項目についての評価値が算出される。ここでは、例えば、ステップSp11で取得された複数の時系列データに対して、適宜ステップSp12における正規化およびステップSp13におけるデータの調整が施されることで生成された複数の時系列データが用いられる。評価対象項目には、例えば、同一種類の動作におけるデータのばらつきの度合い、各動作における目標値に対するオーバーシュートの度合い、および一連の基板処理における2つの動作が並行して行われる重複期間の変化等が含まれる。このため、例えば、評価対象項目としての重複期間の変化について、算出部55によって、ステップSp11で取得された少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データの間における重複期間のズレに係る評価値が算出される。本ステップSp14では、例えば、上記評価値S1〜S6が算出され得る。
ステップSp15では、認識部56によって、ステップSp14で算出された評価値と予め設定された特定条件とが合致している合致状態が認識される。ここでは、例えば、上述した各評価値S1〜S6について、特定条件に合致している合致状態を認識することができる。これにより、例えば、ユーザーは、合致状態に係る認識結果に応じた情報を得ることで、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができる。ここで得られる認識結果を示すデータは、例えば、記憶部4に認識結果4dとして格納される。
ステップSp16では、生成部57によって、ステップSp15で認識された合致状態に応じた出力を行うための出力用データが生成される。ここでは、例えば、記憶部4に記憶された認識結果4dに基づいて、出力用データが生成され得る。出力用データとしては、例えば、ユーザーが認識可能な態様で合致状態に応じた出力を出力部3に行わせるためのデータ、および他の装置に対して送信するための合致状態に応じた内容を示すデータ、が採用され得る。ユーザーが認識可能な態様には、例えば、可視的な態様および可聴的な態様等が含まれる。つまり、出力用データには、例えば、可視的な出力を可能とするデータおよび可聴的な出力を可能とする音声データ等が含まれ得る。可視的な出力を可能とするデータには、例えば、表示用データおよび点灯用データ等が含まれ得る。以下では、出力用データとして表示用データが生成される具体例を示す。
ステップSp17では、出力制御部58によって、ステップSp16で生成された出力用データが出力部3で出力される。ここでは、例えば、出力制御部58によって、ステップSp15で認識された合致状態に応じた出力が出力部3で行われる。これにより、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができる。
ここでは、例えば、出力部3では、出力制御部58によって、ステップSp16で生成された出力用データに基づいて、評価値の算出に用いられた少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データについて数値の時間変化を示すグラフGh4(図21参照)が可視的に出力されるとともに、ユーザーが認識可能な態様で、ステップSp15で認識された合致状態に応じた出力が行われてよい。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に見つけ出すことができる。
具体的には、ここでは、例えば、出力制御部58によって、認識結果表示画面G4(図21)が出力部3に表示されてよい。認識結果表示画面G4では、例えば、少なくとも2つの一連の基板処理についての時系列データについて数値の時間変化を示すグラフGh4が可視的に出力されるとともに、ステップSp15で認識された合致状態に応じた可視的な出力が行われ得る。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に見つけ出すことができる。
また、認識結果表示画面G4では、例えば、グラフGh4とともに、ステップSp15で特定条件との合致状態が認識された評価値が、可視的に出力され得る。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができるとともに、異常な時系列データの異常の度合いも認識することができる。
また、認識結果表示画面G4では、例えば、グラフGh4が可視的に出力されるとともに、該グラフGh4のうちのステップSp15で合致状態が認識された評価対象項目に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、ステップSp15で認識された合致状態に応じた特定の表示要素が可視的に出力され得る。具体的には、認識結果表示画面G4では、例えば、グラフGh4における重複期間に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、ステップSp15で認識された重複時間Tsに係る合致状態に応じた特定の表示要素としてのアイコンE42が表示され得る。また、図21の例では、グラフGh4の動作の立ち上がりに係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、ステップSp15で認識された動作の立ち上がり時間Trに係る合致状態に応じた特定の表示要素としてのアイコンE41が表示されている。また、グラフGh4のデータのばらつきに係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様で、ステップSp15で認識された動作のばらつき度合いに係る合致状態に応じた表示要素としてのアイコンE43が表示されている。これらのアイコンE41〜E43の存在により、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を容易に見つけ出すことができる。
また、認識結果表示画面G4では、例えば、グラフGh4のうちの合致状態が認識された評価対象項目に係る部分との関連性をユーザーが認識可能な態様として、例えば、グラフGh4の評価対象項目に係る部分に近接している領域に特定の表示要素が可視的に出力され得る。図21の例では、グラフGh4の重複期間に係る部分に近接している領域に、特定の表示要素としてのアイコンE42が表示されている。また、図21の例では、グラフGh4の動作の立ち上がりに係る部分に近接している領域に、特定の表示要素としてのアイコンE41が表示されている。また、グラフGh4の動作のばらつき度合いに係る部分に近接している領域に、特定の表示要素としてのアイコンE43が表示されている。このようなアイコンE41〜E43の表示態様により、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を容易に見つけ出すことができる。
ステップSp18では、入力部2によって、ユーザーの動作に応じた信号が入力される。
ステップSp19では、指定部59によって、ステップSp18で入力された信号に応じて、特定の表示要素が指定されたか否かが判定される。ここでは、例えば、特定の表示要素が指定されるまで、ステップSp18およびステップSp19の処理が繰り返される。一方、ここでは、例えば、特定の表示要素が指定されれば、ステップSp20に進む。図21の例では、特定の表示要素としてのアイコンE41〜E43の何れか1つが、マウスポインタPr1によって指定され得る。
ステップSp20では、指定部59によって、ステップSp18で入力された信号に応じて、特定の表示要素が指定される。
ステップSp21では、例えば、ステップSp20における特定の表示要素の指定に応答して、生成部57で出力用データが生成される。そして、出力制御部58によって、グラフGh4のうちの、ステップSp20で指定された特定の表示要素に関連している指定関連部分が、該指定関連部分とは離れた期間に係る非指定関連部分とは異なる態様で出力部3において可視的に出力される。図21および図22の例では、ステップSp20における特定の表示要素としてのアイコンE42の指定に応答して、出力制御部58によって、グラフGh4のうちの、ステップSp20で指定されたアイコンE42に関連している指定関連部分が、非指定関連部分とは異なる態様で出力部3において可視的に出力される。このとき、例えば、図22で示されるような拡大表示画面G5が表示される。これにより、例えば、ユーザーは、複数の時系列データから異常な時系列データの異常な部分を容易に見つけ出すことができる。
ステップSp22では、入力部2によって、ユーザーの動作に応じた信号が入力される。
ステップSp23では、指定部59によって、ステップSp22で入力された信号に応じて、出力部3で出力される画面を元の画面に戻す指定があったか否かが判定される。ここでは、例えば、元も画面に戻す指定があるまで、ステップSp22およびステップSp23の処理が繰り返される。また、ここでは、例えば、元の画面に戻す指定があれば、ステップSp17に戻る。図22の例では、マウスポインタPr1によってボタンBt5が押下されることで、元の画面に戻す指定が入力され得る。
また、ここでは、例えば、ユーザーの動作に応じて入力部2で入力される信号に応じて、認識結果の出力を終了するための指示が入力され、図23のステップSp1に戻るようにしてもよい。また、例えば、ユーザーの動作に応じて入力部2で入力される信号に応じて、本動作フローを終了するための指示が入力され、本動作フローが終了されるようにしてもよい。
<1−4.一実施形態のまとめ>
以上のように、一実施形態に係るデータ処理システム100では、例えば、2つの一連の基板処理についての時系列データの間における2つの動作の重複期間のズレに係る評価値と予め設定された特定条件とが合致している合致状態が認識される。これにより、例えば、ユーザーは、合致状態に係る認識結果に応じた情報を得ることで、複数の時系列データから異常な時系列データを容易に認識することができる。
<2.変形例>
なお、本発明は上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上記一実施形態では、第1の動作と第2の動作との重複期間の変化の度合いに係る評価値S6が、第1の動作と第2動作との重複時間Tsのズレ量に基づいて算出されたが、これに限られない。例えば、第1の動作に係る時系列データの数値を示す曲線と第2の動作に係る時系列データの数値を示す曲線との交点の位置、あるいは第1の動作に係る時系列データの数値を示す曲線と第2の動作に係る時系列データの数値を示す曲線と横軸とが成す三角状の領域の面積等といったその他の指標についてのズレ量に基づいて、評価値S6が算出されてもよい。
また、上記一実施形態では、算出部55において、例えば、時系列データのうちのZ個(Zは自然数)おきの数値、あるいは時系列データのうちの数個の数値の代表値を用いて評価対象項目についての評価値を算出してもよい。代表値としては、例えば、中央値、平均値および最頻値等の各種の統計値が採用され得る。
また、上記一実施形態では、異常な時系列データは、例えば、基板処理において不良な基板を生むものだけに限られない。例えば、異常な時系列データは、定常的な基板処理とは異なっており、各種のメンテナンスおよび補正等が必要であるタイミングが近づいていることを示すものであってもよい。
また、上記一実施形態に係るデータ処理システム100は、例えば、基板処理装置200内に内蔵されていてもよいし、基板処理装置200内に内蔵されていなくてもよい。
また、上記一実施形態に係るデータ処理システム100は、例えば、複数の基板処理装置について、2つの時系列データの間におけるズレに係る評価値と予め設定された特定条件とが合致している合致状態が認識されるものであってもよい。例えば、図25で示されるように、複数の基板処理装置201A〜203Aに通信回線NW1を介して接続されたコンピュータ(ホストコンピュータともいう)CP1によって、各基板処理装置201A〜203Aから得られる2つの時系列データの間におけるズレに係る評価値と予め設定された特定条件とが合致している合致状態が認識されてもよい。この場合、上記一実施形態に係るデータ処理システム100は、例えば、各基板処理装置201A〜203Aについて、上記一実施形態と同様に、例えば、評価の対象となる時系列データを絞り込むための絞り込み条件の指定、時系列データの取得および評価、合致状態の認識ならびに認識結果の表示、が行われるデータ処理システム100Aとされてもよい。
なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。