[第1実施例]
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置10の外観構成を示す斜視図である。図1を参照して、第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、この発明は複合機だけでなく、複写機(コピー機)、印刷装置(プリンタ)およびファクシミリのような他の画像形成装置に適用可能である。
なお、この明細書では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり後述する操作パネル26が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
画像形成装置10は、画像読取部30、画像形成部32、手差し給紙部34、給紙装置38および排紙トレイ40を含む装置本体36を備える。
画像読取部30は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体36に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー30aが開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー30aには、手差し給紙部34が設けられる。また、原稿押えカバー30aには、手差し給紙部34に載置された原稿を自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)が設けられる。
また、画像読取部30は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部30は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
画像形成部32は、装置本体36に内蔵され、画像読取部30の下方に設けられる。この画像形成部32は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える。画像形成部32は、手差し給紙部34または給紙装置38等から搬送される記録媒体(用紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ40に排出する。ただし、用紙上に画像を形成するための印刷画像データとしては、画像読取部30で読み取った読取画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。また、記録媒体としては、紙からなる用紙に限定されず、OHPフィルムなどの紙以外のシートも用いられる。
排紙トレイ40は、画像読取部30および画像形成部32の間に設けられる。排紙トレイ40の底面は、画像形成部32によって区画される。また、排紙トレイ40の天面は、画像読取部30によって区画される。さらに、排紙トレイ40の左側面(正面から見た左側面)は、連結筐体42の右側面で規定される。つまり、排紙トレイ40の前面側、背面側および左側面側は、開口する。排紙トレイ40の底面は、連結筐体42側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する。
また、画像読取部30の前面側には、操作パネル26が設けられる。操作パネル26は、タッチパネル20付きのディスプレイ22および複数の操作ボタン26aを含む。
タッチパネル20付きのディスプレイ22には、各種設定または印刷指示などをユーザから受け付けるためのソフトウェアキーおよびメッセージ等が表示される。一例として、ディスプレイ22には、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブ(機能)から所望のジョブを選択するための画面であるホーム画面および各ジョブの動作条件を設定するための設定画面などの操作画面が表示される。ただし、この第1実施例では、ジョブは、コピー(原稿のスキャンを含む)、印刷およびファックスの送信などを意味する。
操作ボタン26aは、ハードウェアキーであって、たとえば、ホームキー、省電力キーおよび主電源キーなどが含まれる。ホームキーは、ホーム画面をディスプレイ22に表示させるためのキーである。省電力キーは、消費電力が制限される省電力状態(省電力モード)と、消費電力が制限されない通常状態(通常モード)とを切り替えるためのキーである。
なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル20付きのディスプレイ22の表示面上にソフトウェア的に再現されたキー(アイコン)のことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。
図2は図1に示す画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置10はCPU12を含む。CPU12には、バス60を介してRAM14、HDD28、タッチパネル制御回路16、表示制御回路18、操作ボタン検出回路24、画像読取部30、画像形成部32および通信回路50が接続される。また、タッチパネル制御回路16にはタッチパネル20が接続され、表示制御回路18にはディスプレイ22が接続され、操作ボタン検出回路24には操作ボタン26aが接続される。
CPU12は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM14は、CPU12のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
HDD28は、画像形成装置10の主記憶装置(記憶部)であって、CPU12が画像形成装置10の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび各種の画面についての表示画像データ等を適宜記憶する。ただし、HDD28に代えて、またはHDD28とともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
タッチパネル制御回路16は、タッチパネル20に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル20のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU12に出力する。
タッチパネル20は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル20としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ22の表示面上にタッチパネル20が設けられる。ただし、タッチパネル20とディスプレイ22とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
表示制御回路18は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU12の指示の下、GPUは、RAM14に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ22に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ22に出力する。ディスプレイ22としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
操作ボタン検出回路24は、上述した操作ボタン26aの操作に応じた操作信号ないし操作データをCPU12に出力する。
通信回路50は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路50は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU12からの指示に従って、ネットワークを介して、サーバ等の外部コンピュータと通信する。
なお、図2に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、各種の記録媒体(SDカードまたはUSBメモリなど)を装着可能な接続部(メモリスロットなど)などを備えても良い。
このような構成の画像形成装置10では、カラー画像がグレースケールのモノクロ画像に変換(色変換)されることがある。たとえば、外部コンピュータから送信されたカラー画像データがモノクロ画像に色変換されて、画像形成部32において用紙上にモノクロ画像が形成(モノクロ印刷)されたり、画像読取部30において原稿表面のカラー画像が読み取られ、モノクロ画像に色変換された読取画像データが生成されたりする。
ここで、従来の画像形成装置では、モノクロ画像の画像データを構成する各画素の画素値に基づいて、カラー画像において蛍光色であった蛍光色領域が抽出され、抽出された蛍光色領域に対して、視認性を高める画像処理が実施されることがある。
しかしながら、従来の画像形成装置では、蛍光色以外の色については、視認性を高める画像処理がされない。このため、従来の画像形成装置では、カラー画像をグレースケールのモノクロ画像に色変換する際に、蛍光色以外の色について細かい調整をすることができず、改善の余地がある。
そこで、この第1実施例では、カラー画像に含まれる色のうちユーザに指定された指定色について、グレースケールに色変換された後の濃度(色変換後の濃度)を細かく調整することができるようにした。
以下、図3ないし図6を参照して画像形成装置10の動作例を説明する。図3はコピー設定画面100の一例を示す図解図である。図4は機能選択部120を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。図5は調整部140を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。図6は確認部160を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。
画像形成装置10において、ホーム画面で所定のジョブが選択されると、画像形成装置10のディスプレイ22には、選択されたジョブについての動作条件を設定するための設定画面が表示される。たとえば、ホーム画面でコピージョブが選択されると、画像形成装置10のディスプレイ22には、図3に示すようなコピー設定画面100が表示される。このコピー設定画面100は、コピージョブの動作条件を設定するための画面である。なお、図3では、各種キー等が選択されていない基本状態のコピー設定画面100を示している。
コピー設定画面100には、スタートキー、リセットキー、テンキー、プレビューキー106および機能選択キー102などのソフトウェアキーが設けられる(表示される)。
スタートキーは、横方向に長い長方形状であり、コピー設定画面100の右下のコーナ領域に表示されている。このスタートキーは、画像形成装置10の所定の動作を開始させるためのキーである。また、スタートキーは、ほぼ中央で左右に分割されており、左側には白黒用のスタートキー(白黒スタートキー)108が、右側にはカラー用のスタートキー(カラースタートキー)110が設けられる。カラースタートキー110がタッチ(選択)されると、カラー設定に応じてカラーコピーが開始される。一方、白黒スタートキー108がタッチされると、白黒コピーが開始される。
リセットキーおよびプレビューキー106は、それぞれ矩形形状であり、白黒スタートキー108およびカラースタートキー110の上側に表示される。リセットキーは、コピー設定画面100の右端に表示され、プレビューキー106は、リセットキーの左側(左隣)に表示される。リセットキーは、画像形成装置10の所定の動作に関する設定を中止(初期化)させるためのキーである。たとえば、リセットキーがタッチされると、コピー設定画面100で設定されたコピージョブの動作条件の設定が初期化される。プレビューキー106は、スキャンされた画像を表示(プレビュー)するためのキーである。プレビューキー106がタッチされると、画像読取部30でスキャンされた画像(プレビュー画像)がディスプレイ22に表示される。
テンキーは、コピー設定画面100の中央に表示され、さらにテンキー入力表示欄がテンキーの上側に表示される。テンキーは、画像形成の処理部数を入力するためのキーである。テンキーがタッチされると、入力された内容がテンキー入力表示欄に表示される。
機能選択キー102は、矩形形状であり、コピー設定画面100の左端に表示される。機能選択キー102は、複数設けられ、上下方向に並んで配置される。複数の機能選択キー102の各々は、コピージョブに含まれる複数の主要な機能(動作条件)の各々に対応する。具体的には、コピー設定画面100には、カラー設定、原稿の向き、用紙選択、両面コピー、倍率、コピー濃度およびページ集約の各々についての詳細設定を行うための機能選択キー102が表示される。また、コピー設定画面100には、上述した主要な機能以外の機能(他の機能)の各々についての詳細設定を行うためのその他の機能選択キー104が表示される。
その他の機能選択キー104がタッチされると、画像形成装置10のディスプレイ22には、図4に示すような機能選択部(機能選択ウインドウ)120が表示される。機能選択部120は、他の機能の各々についての詳細設定を行うための画面(ウインドウ)であり、この機能選択部120には、機能選択キー122およびOKキー124などのソフトウェアキーが設けられる。また、機能選択部120は、コピー設定画面100の前面に重ねて表示され、ディスプレイ22の表示領域の中央部および左側に亘って表示される。
機能選択キー122は、複数設けられ、機能選択部120の表示範囲内において上下左右方向に並んで配置される。複数の機能選択キー102の各々は、コピージョブに含まれる主要な機能以外の機能の各々に対応する。たとえば、機能選択キー122は、ユーザによって指定された任意の色(指定色)がグレースケールに色変換された後の濃度(以下、「指定色の色変換後の濃度」ということがある。)の設定を行うためのグレー変換キー122aを含む。
OKキー124は、各種機能の詳細設定が変更された場合に、当該詳細設定が変更された状態を適用(確定)させる機能が割り当てられたキーである。また、OKキー124がタッチされると、機能選択部120が閉じられて(非表示にされて)図3に示すような基本状態のコピー設定画面100がディスプレイ22に表示される。
なお、機能選択部120がディスプレイ22に表示されている間は、機能選択キー122またはOKキー124をタッチする以外の操作ができないようになっており、たとえばプレビューキー106等の機能選択部120以外のキーの操作はできないようになっている。
ここで、指定色の色変換後の濃度についての設定を行うためのグレー変換キー122aがタッチされると、画像形成装置10のディスプレイ22には、機能選択部120が閉じられて、図5に示すような調整部(調整ウインドウ)140が表示される。調整部140は、指定色の色変換後の濃度についての設定を行うための画面であり、コピー設定画面100の前面に重ねて表示される。また、調整部140は、機能選択部120と同じ位置および範囲に表示される。この調整部140には、色選択部142、濃度領域選択部144、濃度調整部146、初期化キー148およびOKキー150などが設けられる。
色選択部142は、指定色をユーザに選択させるために設けられる。第1実施例の色選択部142では、指定色の候補となる複数の色がユーザに提示される。具体的には、色選択部142は、複数の領域を含むカラーチャートを含む。カラーチャートに含まれる複数の領域の各々には、互いに異なる色が割り当てられている。また、複数の領域の各々は、割り当てられた色を示す文字を含むとともに、割り当てられた色に着色されている。
たとえば、色選択部142のカラーチャートは、3つの円のそれぞれの一部が互いに重なるように配置された図形を含み、この図形によって区切られる7つの領域を含む。また、7つの領域のそれぞれには、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)、Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)およびWhite(白)が割り当てられている。
また、色選択部142のカラーチャートに含まれる複数の領域の各々は、ソフトウェアキーとしても機能する。このため、ユーザは、所望の色が付された領域をタッチして、その領域に設定された色を指定色として選択(指定)することができる。
ただし、指定色が選択されると、色選択部142のカラーチャートにおける指定色に対応する領域は、他の領域よりも強調して表示される。
一方、指定色が選択されると、色選択部142のカラーチャートにおける指定色以外の色に対応する領域は、グレーアウト(または半透明)で表示され、無効にされる。このため、指定色以外の色に対応する領域は、仮にタッチされたとしても、選択されない状態となる。
たとえば、指定色としてCyan(シアン)が選択された場合には、Cyan(シアン)に対応する領域では、当該領域に表示された文字が大きく表示されたり、当該領域の輪郭線が太くされたりする。一方、Cyan(シアン)以外の色に対応する領域は、グレーアウトで表示され、無効にされる。
濃度領域選択部144は、指定色の色変換後の濃度を調整する濃度領域をユーザに選択させるために設けられる。指定色は、濃度に応じて区切られる複数の濃度領域を含む。具体的には、指定色は、低濃度領域、中濃度領域および高濃度領域を含む。たとえば、色の濃度が0〜255の256段階の数値で表される場合には、0〜85の数値で表される領域を低濃度領域とし、86〜170の数値で表される領域を中濃度領域とし、171〜255の数値で表される領域を高濃度領域とする。
濃度領域選択部144には、低濃度領域、中濃度領域および高濃度領域のそれぞれに対応する第1調整部が表示される。各第1調整部は、上下方向に延びるバーと、バーに沿って上下方向に移動されるスライダを含む。ただし、スライダは、初期状態においては、バーの上下方向の中央に位置する。第1調整部の表示領域がタッチされると、その第1調整部が調整用の第1調整部として選択された状態となる。調整用の第1調整部として選択されると、その第1調整部のスライダが移動可能となる。このスライダは、ユーザの操作(たとえばスライド操作)または後述する濃度調整部146へのタッチ操作によって移動される。
ただし、調整用の第1調整部が選択されると、調整用の第1調整部は、その他の第1調整部よりも強調して表示される。
一方、調整用の第1調整部が選択されると、その他の第1調整部は、グレーアウト等で表示され、無効にされる。このため、その他の第1調整部は、仮にタッチされたとしても、選択されない状態となる。
たとえば、低濃度領域に対応する第1調整部が、調整用の第1調整部として選択された場合、低濃度領域に対応する第1調整部では、スライダおよびバーにその他の第1調整部とは異なる適当な色彩が付されたり、スライダが大きく表示されたり、バーを構成する線が太くされたりする。一方、中濃度領域に対応する第1調整部および高濃度領域に対応する第1調整部のそれぞれは、グレーアウトで表示され、無効にされる。
なお、第2実施例では、確認画面において、ジョブの設定条件に含まれる設定項目毎に変更アイコンを表示させるようにしたが、初期設定(デフォルトの設定)から変更された設定項目に対応する変更アイコンを強調して表示するようにしても良い。たとえば、初期設定から変更された設定項目に対応する変更アイコンに模様が付されたり、適当な色彩が付されたり、アイコンの輪郭線が太くされたりする。また、確認画面において、初期設定から変更された設定項目に対応する変更アイコンのみを表示されるようにしても良い。
各第1調整部では、スライダの位置が移動(変更)されることによって対応する濃度領域における指定色の色変換後の濃度が調整される。第1調整部のスライダの位置が下側に移動されると、色変換後の濃度が低くなる。また、第1調整部のスライダの位置が上側に移動されると、色変換後の濃度が高くなる。
濃度調整部146は、第1調整部のスライダを移動させるために設けられる。つまり、濃度調整部146は、指定色の色変換後の濃度を調整するために設けられる。具体的には、濃度調整部146は、第1キー146aおよび第2キー146bを含む。第1キー146aおよび第2キー146bのそれぞれは、ソフトウェアキーである。ただし、第1キー146aおよび第2キー146bは、調整用の第1調整部が選択された場合に表示され、調整用の第1調整部が選択されていない場合には、非表示にされる。
第1キー146aは、第1調整部のスライダを上側に移動させる機能が割り当てられたキーである。つまり、第1キー146aは、指定色の色変換後の濃度を高くする機能が割り当てられたキーであり、第1キー146aがタッチされると、調整用の第1調整部のスライダが上側に移動する。また、第2キー146bは、第1調整部のスライダを下側に移動させる機能が割り当てられたキーである。つまり、第2キー146bは、指定色の色変換後の濃度を低くする機能が割り当てられたキーであり、第2キー146bがタッチされると、調整用の第1調整部のスライダが下側に移動する。なお、第1キー146aおよび第2キー146bのそれぞれには、割り当てられた機能を示す適宜の文字または図形等が記される。
以上のように、調整部140では、指定色の色変換後の濃度は、ユーザの操作(調整操作)によって複数の濃度領域毎に調整可能である。ただし、調整部140には、各第1調整部のスライダを一括で移動させることが割り当てられたチェックボックス152が設けられている。チェックボックス152は、ユーザのタッチ入力に応じてチェックが入れられる。このチェックボックス152にチェックが入った状態では、いずれかの第1調整部のスライダが移動された場合、他の第1調整部のスライダも移動されたスライダと上下方向において同じ位置に移動される。つまり、各第1調整部のスライダが一括して移動される。このことは、スライダがスライド操作で移動される場合および濃度調整部146へのタッチ操作で移動される場合のいずれの場合であっても同じである。
OKキー150は、指定色の色変換後の濃度が調整された状態を適用(確定)させる機能が割り当てられたキーである。このOKキー150がタッチされると、指定色の色変換後の濃度の設定が確定され、調整部140が閉じられて(非表示にされて)図6に示すような確認部160がディスプレイ22に表示される。
なお、機能選択部120がディスプレイ22に表示されている場合と同様に、調整部140がディスプレイ22に表示されている間は、調整部140に含まれるキー等をタッチする以外の操作ができないようになっている。
また、指定色は複数選択することができる。複数の指定色が選択された場合には、指定色毎に、色変換後の濃度が調整される。
確認部160は、指定色の色変換後の濃度についての設定を確認するための画面であり、コピー設定画面100の前面に重ねて表示される。図6に示すように、確認部160は、調整部140が表示されていた位置に表示される。この確認部160には、第1指標画像162、第2指標画像164およびOKキー166などが設けられる。
第1指標画像162は、上述した調整部140の色選択部142のカラーチャートに対応するカラー画像である。
第2指標画像164は、第1指標画像162を色変換した場合のモノクロ画像に対応する画像である。ただし、第2指標画像164には、上述した指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されている。このため、ユーザは、調整部140で自身が調整した指定色の色変換後の濃度を確認することができる。
そして、OKキー166がタッチされると、確認部160が閉じられて(非表示にされて)図3に示すような基本状態のコピー設定画面100がディスプレイ22に表示される。
次に、カラー画像をグレースケールのモノクロ画像に色変換する方法について説明する。カラー画像は、後述する色変換テーブルに従ってグレースケールのモノクロ画像に色変換される。図7は色変換テーブルの一例を示す図解図である。図8は色変換テーブルの一例を三次元座標で表した図解図である。
この第1実施例では、色変換テーブルは、いわゆるルックアップテーブルである。この色変換テーブルは、予め作成され、対応するデータが画像形成装置10のHDD28に記憶され、画像処理が実行されるときに読み出され、RAM14に記憶される。
図7に示すように、色変換テーブルには、入力値および出力値の欄が設けられる。色変換テーブルにおける入力値とは、カラー画像における色を表す値のことである。たとえば、RGB表色系の場合には、入力値はR(赤),G(緑)およびB(青)の3つの色素レベル(色値)を含む。3つの色素レベルの各々は8ビット(0〜255)で表現される。このためRGB表色系の場合には、入力値の欄には、3つの色素レベルによって表現される16,777,216色の各々を表す値が所定の順番で記述される。また、RGB表色系の場合には、図8に示すように、3つの色素レベルを三次元座標で表すと、1辺の長さが255で表される立方体の範囲内で全ての色が表される。
色変換テーブルにおける出力値とは、入力値(カラー画像における色)の各々に対応するグレースケールのモノクロ画像における濃度(階調)を表す値のことであり、入力値毎に予め設定されている。この出力値は、8ビット(0〜255)で表現される。ただし、黒色(最も暗い色)を“0”とし、白色(最も明るい色)を“255”とする256段階の数値で表される。つまり、第1実施例の色変換テーブルでは、出力値が小さいほど、濃度が高くなる。なお、この色変換テーブルでは、異なる色(入力値)であっても、出力値が同じ数値になることがある。
たとえば、第1実施例の色変換テーブルでは、赤(R,G,B=255,0,0)に対応する出力値は77であり、緑(R,G,B=0,255,0)に対応する出力値は150であり、青(R,G,B=0,0,255)に対応する出力値は28である。また、イエロー(R,G,B=255,255,0)に対応する出力値は227であり、シアン(R,G,B=0,255,255)に対応する出力値は179であり、マゼンタ(R,G,B=255,0,255)に対応する出力値は105である。さらに、上述した以外の色では、たとえば、薄い黄緑(R,G,B=200,255,128)に対応する出力値は225である。
指定色の色変換後の濃度が調整された場合には、当該指定色の出力値および指定色付近の色の出力値が調整される。ただし、指定色付近の色とは、指定色に近い色のことであり、図7に示す色変換テーブルにおいて指定色の付近(上下隣り)に記述されている色のことではなく、図8に示す三次元座標において指定色の付近(たとえば指定色の隣ないし近傍)に位置する色のことを意味する。また、指定色の付近に位置する色とは、たとえば三次元座標における指定色の座標からの距離が10以内の座標に対応する色を意味する。
たとえば、上述した薄い黄緑(R,G,B=200,255,128)が指定色として選択され、色変換後の濃度が高くなるように調整された場合には、当該指定色の出力値の数値が小さくなるように調整される。つまり、当該指定色の出力値に所定の調整値だけ減算される。たとえば、当該指定色の出力値が225から200に25だけ減算される。また、指定色付近の色については、指定色からの近さに応じて、出力値が小さくなるように調整される。ただし、指定色付近の色の調整値は、指定色の調整値よりもその絶対値が小さくなるように(調整幅が小さくなるように)設定される。たとえば、指定色の出力値が25だけ減算された場合には、指定色に隣接する色に対応する出力値は、15だけ減算される。また、指定色に隣接する色に隣接する色に対応する出力値は、5だけ減算される。このように、指定色を中心に、指定色付近の色の色変換後の濃度が段階的に(なだらかに)調整される。
また、詳細な説明は省略するが、色変換後の濃度が低くなるように調整された場合には、指定色および指定色付近の色に対応する出力値の数値が大きくなるように調整される。
そして、カラー画像がグレースケールのモノクロ画像に色変換される際には、カラー画像に含まれる色のうち、指定色および指定色付近の色以外の色については、色変換テーブルの出力値が適用され、指定色および指定色付近の色については、調整された数値(調整後出力値)が適用される。このため、指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されたモノクロ画像が生成される。
なお、指定色の色変換後の濃度についての設定は、画像形成装置10の主電源がオフにされたとき、所定のジョブが終了したとき、または画像形成装置10が省電力モードに切り替わったときなどに削除される。つまり、指定色の色変換後の濃度についての設定が初期化される。
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12がRAM14に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
図9は図2に示す画像形成装置10のRAM14のメモリマップ70の一例を示す図解図である。図9に示すように、RAM14は、プログラム記憶領域72およびデータ記憶領域74を含む。RAM14のプログラム記憶領域72には、上述したように、制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、表示プログラム72a、操作検出プログラム72b、通信プログラム72c、色変換プログラム72d、指定色設定プログラム72e、調整プログラム72f、画像読取プログラム72gおよび画像形成プログラム72hを含む。
表示プログラム72aは、GPUを制御して、後述する画像生成データ74bを用いて、ホーム画面またはコピー設定画面100などの各種の画面に対応する表示画像データを生成し、ディスプレイ22に出力するためのプログラムである。
操作検出プログラム72bは、画像形成装置10の各部への操作を検出するためのプログラムである。たとえば、操作検出プログラム72bは、タッチパネル20から出力されたタッチ座標データを取得して、ディスプレイ22に表示される各種の画面に含まれるソフトウェアキーが操作されたことを検出するためのプログラムである。また、操作検出プログラム72bは、操作ボタン26aからの操作入力を検出するためのプログラムでもある。
通信プログラム72cは、外部のコンピュータなどと、ネットワークを介して通信するためのプログラムである。
色変換プログラム72dは、色変換テーブルを参照して、カラー画像をグレースケールのモノクロ画像に色変換するためのプログラムである。具体的には、色変換テーブルを参照して、カラー画像に含まれる色に対応する入力値に応じて、グレースケールのモノクロ画像における濃度を表す出力値を出力するためのプログラムである。ただし、色変換プログラム72dは、後述する調整後出力値データ74eが存在する場合には、色変換テーブルに記述された出力値に代えて、調整後出力値データ74eが示す数値(調整後出力値)を出力するためのプログラムである。
指定色設定プログラム72eは、調整部140に表示された色選択部142のカラーチャートなどの画像において、操作検出プログラム72bに従って検出されたタッチ座標データが示すタッチ位置に対応する表示位置の色を所定のルールに従って取得し、ユーザの操作に従って、取得した色を、指定色として設定するためのプログラムである。
調整プログラム72fは、調整部140に表示された濃度領域選択部144の各第1調整部におけるスライダの位置に応じて、指定色および指定色付近の色の色変換後の濃度(指定色および指定色付近の色に対応する出力値)を調整するための調整後出力値データ74eを生成するプログラムである。
画像読取プログラム72gは、画像読取部30を制御して、原稿載置台に載置された原稿の画像を読み取り(スキャンし)、読み取った画像に対応する画像信号(スキャン画像データ)を出力するためのプログラムである。
画像形成プログラム72hは、画像形成部32を制御して、出力画像データ74gなどの画像データに応じて多色または単色の画像を記録媒体(用紙)に形成するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域72には、画像形成装置10が備える各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
RAM14のデータ記憶領域74には、操作入力データ74a、画像生成データ74b、テーブルデータ74c、指定色データ74d、調整後出力値データ74e、入力画像データ74fおよび出力画像データ74gなどのデータが記憶される。
操作入力データ74aは、たとえば操作検出プログラム72bに従って検出(取得)されたタッチ座標データまたは/および操作データである。検出されたタッチ座標データまたは/および操作データは、時系列に従って記憶される。
画像生成データ74bは、ディスプレイ22に表示される、ホーム画面およびコピー設定画面100などの各種の画面に対応する表示画像データを生成するためのポリゴンデータまたはテクスチャデータ等のデータである。また、画像生成データ74bには、ソフトウェアキーの画像データ等も含まれる。
テーブルデータ74cは、上述した色変換テーブルのデータを含む。ただし、このテーブルデータ74cは、たとえば、画像形成装置10のHDD28に記憶されている。テーブルデータ74cは、画像形成装置10のHDD28から読み出され、RAM14に記憶される。
指定色データ74dは、色変換テーブルに記述された入力値で表される色のうち、指定色を特定(識別)するためのデータである。具体的には、RGB表色系の場合には、3つの色素レベルのそれぞれの数値を含むデータである。また、指定色データ74dは、指定色付近の色を特定するためのデータを含む。
調整後出力値データ74eは、調整プログラム72fに従って生成される指定色および指定色付近の色に対応する出力値を調整した数値データである。なお、調整後出力値データ74eは、画像形成装置10の主電源がオフにされたとき、所定のジョブが終了したとき、または画像形成装置10が省電力モードに切り替わったときなどに削除される。
入力画像データ74fは、グレースケールのモノクロ画像に色変換される基になるカラー画像に対応する画像データである。たとえば、入力画像データ74fは、画像読取部30で読み取った読取画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等の画像データ等である。
出力画像データ74gは、色変換プログラム72dに従って、入力画像データ74fに対応するカラー画像が色変換されたモノクロ画像に対応する画像データである。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域74には、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたりする。
図10は図2に示すCPU12の画像処理の一例を示すフロー図である。この画像処理は、ホーム画面で所定のジョブが選択されたときに開始される。
図10に示すように、CPU12は、画像処理を開始すると、ステップS1で、グレー変換についての設定(指定色の色変換後の濃度についての設定)を行うかどうかを判断する。ここでは、グレー変換キー122aが選択されたかどうかが判断される。ステップS1で“NO”であれば、つまり、指定色の色変換後の濃度についての設定を行わないと判断した場合は、ステップS3で、その他の処理を実行して、画像処理を終了する。ステップS3で実行されるその他の処理としては、ユーザの指示に従って各ジョブが選択される処理、各ジョブにおける各種の設定が行われる処理、および各ジョブが開始または停止される処理が該当する。
また、ステップS1で“YES”であれば、つまり、指定色の色変換後の濃度についての設定を行うと判断した場合は、ステップS5で、調整部140をディスプレイ22に表示して、ステップS7で、指定色が選択されたかどうかを判断する。ここでは、カラーチャートに含まれる複数の領域のいずれかが選択されたかどうかを判断する。
ステップS7で“NO”であれば、つまり、指定色が選択されないと判断した場合は、ステップS7に戻る。一方、ステップS7で“YES”であれば、つまり、指定色が選択されたと判断した場合は、ステップS9で、指定色を設定して、ステップS11で、調整操作を受け付けて、ステップS13に進む。ステップS11では、ユーザの調整操作に応じて、調整部140の表示内容(たとえば第1調整部のスライダの位置など)を変化させる。続いて、ステップS13で、調整が完了したかどうかを判断する。ここでは、調整部140においてOKキー150が選択されたかどうかを判断する。
ステップS13で“NO”であれば、つまり、調整が完了していないと判断した場合は、ステップS11に戻る。一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり、調整が完了したと判断した場合は、ステップS15で、調整後出力値データ74eを生成して、ステップS17で、確認部160をディスプレイ22に表示して、ステップS19で、画像処理を終了するかどうかを判断する。ここでは、確認部160においてOKキー166が選択されたかどうかを判断する。
ステップS19で“NO”であれば、つまり、画像処理を終了しないと判断した場合は、ステップS19に戻る。一方、ステップS19で“YES”であれば、つまり、画像処理を終了すると判断した場合は、画像処理を終了する。
この第1実施例によれば、ユーザによって指定された指定色について、グレースケールに色変換された後の濃度を細かく調整することができるようにしたので、調整の自由度が増し、使い勝手が良い。たとえば、蛍光色などの薄い色の色変換後の濃度を高くして、視認性を高めるだけでなく、任意の色の色変換後の濃度を低くして、グレースケールに色変換されたときに見えないようにすることもできる。
また、第1実施例によれば、指定色の色変換後の濃度は、指定色の濃度領域毎に調整可能であるので、指定色の色変換後の濃度の設定をより細かく調整することができる。
さらに、第1実施例では、調整部140において、指定色の候補となる複数の色をユーザに提示するようにしたので、指定色として指定したい色を視覚的に認識することができる。また、調整部140では、指定色の候補が蛍光色に限定されないので、自由に指定色を指定することができる。
さらにまた、第1実施例では、ユーザは、色選択部142のカラーチャートにおいて所望の色が付された領域をタッチして、その領域に設定された色を指定色として指定することができる。このため、指定色として指定したい色を視覚的に認識することができるし、指定色を指定し易い。
なお、上述した第1実施例では、第1調整部のスライダの位置に応じて指定色の色変換後の濃度が調整されるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、上述したようなスライドバーに代えて、第1調整部にテキストボックスを設け、テンキーがタッチされることなどによってテキストボックスに入力される数値に応じて指定色の色変換後の濃度が調整されるようにしても良い。たとえば、テキストボックスに入力される数値の幅を“0”から“255”とし、この数値が小さいほど指定色の色変換後の濃度が高くなり、数値が大きいほど指定色の色変換後の濃度が低くなるようにしても良い。このようにすれば、指定色の色変換後の濃度についての設定をより細かく調整することができる。
また、上述した第1実施例では、色選択部142のカラーチャートからユーザに指定色を選択させるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、調整部140に蛍光色を指定色として選択することが割り当てられた蛍光色用のチェックボックスを設け、この蛍光色用のチェックボックスにチェックが入れられることによって、蛍光色が指定色として選択されるようにしても良い。この場合、色変換前のカラー画像に蛍光色が含まれているか否かを自動的に判別し、色変換前のカラー画像に含まれている蛍光色を指定色として選択されるようにしても良い。なお、色変換前のカラー画像に蛍光色が含まれているか否かを判別する方法としては、本出願人による特開2004−357010号公報に記載されている方法等を用いることができる。
さらに、上述した第1実施例では、第1キー146aおよび第2キー146bが、調整用の第1調整部が選択された場合に表示されるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、調整部140が表示される場合に、第1キー146aおよび第2キー146bが、最初から表示されるようにしても良い。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10では、スキャンされた画像をプレビューする際に、指定色の色変換後の濃度についての設定を調整することができるようにした以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図11は第2実施例における調整前のプレビュー画像180を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。図12は第2実施例における調整後のプレビュー画像180を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。
第2実施例では、コピー設定画面100においてプレビューキー106が選択されると、画像読取部30で原稿がスキャンされる。
ただし、第2実施例では、原稿のスキャン後に、コピージョブの設定条件の1つであるカラー設定を選択するための操作画面がディスプレイ22に表示される。たとえば、白黒コピーを実行する“白黒モード”に対応する白黒用アイコンと、カラーコピーを実行する“カラーモード”に対応するカラー用アイコンとを含むカラー設定画面がディスプレイ22に表示されるようにしても良い。また、カラー設定画面に代えて、コピー設定画面100に白黒用アイコンおよびカラー用アイコンが設けられるようにしても良い。
そして、白黒用アイコンおよびカラー用アイコンのいずれかがタッチされると、タッチされたアイコンに対応するカラー設定が選択される。
カラー設定が選択されると、図11に示すように、スキャンされた画像(プレビュー画像)180がディスプレイ22に表示される。
プレビュー画像180は、コピー設定画面100の前面に重ねて表示され、ディスプレイ22の表示領域の中央部に表示される。ただし、図11に示す例では、カラー設定が“白黒モード”に設定されている。この場合、原稿表面の画像がカラー画像であった場合には、そのカラー画像に基づいて色変換されたグレースケールのモノクロ画像がプレビュー画像180として表示される。ここで、プレビューキー106が選択されてから最初に表示されるプレビュー画像180は、指定色の色変換後の濃度についての設定が行われていないので、調整されることなく色変換テーブルに従って色変換されたモノクロ画像である。
また、プレビュー画像180がディスプレイ22に表示されると、コピー設定画面100には、指定色の色変換後の濃度についての設定を行うためのグレー変換キー182が表示される。グレー変換キー182には、第1実施例で説明したグレー変換キー122aと同じ機能が割り当てられている。
ここで、グレー変換キー182が選択されると、第1実施例で説明した調整部140がディスプレイ22に表示され、指定色の色変換後の濃度についての設定を行うことができる。なお、指定色の色変換後の濃度についての設定方法は、第1実施例と同じであるので説明を省略する。そして、指定色の色変換後の濃度についての設定が完了し、確認部160においてOKキー166がタッチされると、確認部160が閉じられて、図12に示すように、プレビュー画像180がディスプレイ22に表示される。プレビュー画像180には、指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されたモノクロ画像が表示される。
ここで、コピー設定画面100で白黒スタートキー108が選択されると、コピージョブが実行される。ただし、コピージョブでは、指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されたモノクロ画像の画像データが印刷画像データとして用いられる。また、指定色の色変換後の濃度についての設定が調整された後も、グレー変換キー182は表示されている。このため、グレー変換キー182を選択して、再度指定色の色変換後の濃度についての設定を行うこともできる。
ただし、この第2実施例では、カラー設定に応じて、白黒スタートキー108の表示態様またはカラースタートキー110の表示態様が変化される。たとえば、図11に示す例では、カラー設定が“白黒モード”に設定されているので、カラースタートキー110は、グレーアウトで表示される。なお、カラー設定が“白黒モード”に設定されている場合、カラースタートキー110を通常の表示またはグレーアウトで表示し、白黒スタートキー108が強調して表示されるようにしても良い。また、カラー設定が“カラーモード”に設定されている場合には、白黒スタートキー108がグレーアウトで表示されたり、カラースタートキー110が強調して表示されたりしても良い。さらに、白黒スタートキー108およびカラースタートキー110は、グレーアウトで表示される場合、仮にタッチされたとしても、選択されない状態となるようにしても良い。
以下、フロー図を用いて、第2実施例における画像処理について説明するが、第1実施例で説明した画像処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図13は第2実施例における画像処理の一例の一部を示すフロー図である。図14は第2実施例における画像処理の一例の一部であって、図13に後続するフロー図である。図13に示すように、CPU12は、画像処理を開始すると、ステップS31でプレビューを実行するかどうかを判断する。ここでは、コピー設定画面100においてプレビューキー106が選択されたかどうかを判断する。
ステップS31で“NO”であれば、つまり、プレビューを実行しないと判断した場合は、プレビューを実行せずに、ステップS1に進む。一方、ステップS31で“YES”であれば、つまり、プレビューを実行すると判断した場合は、ステップS33で、原稿のスキャンを実行して、ステップS35で、プレビュー画像180をディスプレイ22に表示して、ステップS1に進む。
また、図14に示すように、CPU12は、ステップS19で“YES”であれば、ステップS37で、プレビューを実行するかどうかを判断する。ここでは、ステップS35で、プレビュー画像180をディスプレイ22に表示していたかどうかを判断する。ステップS37で“NO”であれば、つまり、プレビューを実行しないと判断した場合は、プレビューを実行せずに、画像処理を終了する。一方、ステップS37で“YES”であれば、つまり、プレビューを実行すると判断した場合は、ステップS39で、指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されたプレビュー画像180をディスプレイ22に表示して、画像処理を終了する。
なお、ステップS1からステップS19までの処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
この第2実施例によれば、スキャンされた画像をプレビューする際に、指定色の色変換後の濃度についての設定を細かく調整することができるようにしたので、使い勝手が良い。
また、第2実施例によれば、指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されたプレビュー画像が表示されるので、ユーザは、プレビュー画像を確認しながら指定色の色変換後の濃度についての設定を調整することができる。
なお、上述した第2実施例では、第1実施例と同様に色選択部142のカラーチャートから指定色を選択するようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、プレビュー画像180に表示されるカラー画像において、ユーザが選択した任意の位置の色を指定色として指定するようにしても良い。このようにすれば、実際にカラー画像に含まれる色を指定色として指定することができるので、より適切に色変換後の濃度についての設定を調整することができる。また、色選択部142のカラーチャートに含まれない色についても色変換後の濃度についての設定を行うことができるので、調整の自由度が増す。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10では、カラー画像に調整範囲を設定し、当該調整範囲の範囲内において、指定色の色変換後の濃度についての設定を反映させるようにした以外は第2実施例と同じであるため、第2実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図15は第3実施例における色変換前のプレビュー画像200を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。図16は第3実施例における色変換後のプレビュー画像220を含むコピー設定画面100の一例を示す図解図である。
第3実施例では、コピー設定画面100においてプレビューキー106が選択されると、画像読取部30で原稿がスキャンされ、図15に示すように、スキャンされた画像(プレビュー画像)200がディスプレイ22に表示される。ただし、プレビュー画像200は、モノクロ画像に色変換される前の画像であり、画像読取部30でスキャンされたカラー画像がプレビュー画像200として表示される。
また、プレビュー画像200がディスプレイ22に表示されると、コピー設定画面100には、グレー変換キー202および範囲設定キー204が設けられる。グレー変換キー202には、第1実施例で説明したグレー変換キー122aと同じ機能が割り当てられている。この範囲設定キー204は、指定色の色変換後の濃度についての設定を反映させる調整範囲206をプレビュー画像200に設定する機能が割り当てられている。この範囲設定キー204が選択されると、調整範囲206を設定することができる状態となる。
たとえば、調整範囲206を設定する方法としては、ユーザがプレビュー画像200の表示範囲内の2点をタッチして範囲を指定できるようにしても良いし、プレビュー画像200に調整範囲206を示す枠を表示させ、ユーザが枠の大きさを変えたり移動させたりして範囲を指定できるようにしても良い。このように、ユーザのタッチ入力によって調整範囲206が設定される。
また、画像形成装置10においてカラー画像に含まれるオブジェクト(たとえば印鑑、バーコード、二次元コードおよび各種マーク等)を認識することができる場合には、当該オブジェクトの表示範囲を含む範囲が、調整範囲206として自動的に設定されるようにしても良い。
そして、調整範囲206が設定された後に、グレー変換キー202が選択され、指定色の色変換後の濃度についての設定が調整された場合、指定色の色変換後の濃度についての設定が反映されたプレビュー画像220がディスプレイ22に表示される。ただし、プレビュー画像220は、画像読取部30でスキャンされたカラー画像(プレビュー画像200)に基づいて色変換されたグレースケールのモノクロ画像である。ここで、プレビュー画像220では、指定色の色変換後の濃度についての設定は、調整範囲206の範囲内に限り適用される。つまり、指定色の色変換後の濃度についての設定は、調整範囲206の範囲外には適用されない。
たとえば、図15に示すように、プレビュー画像の上部に記載された“abcdef”の文字を含むように調整範囲206が設定され、色変換後の濃度が低くなるように指定色の色変換後の濃度についての設定が調整された場合には、図16に示すように、調整範囲206に含まれる“abcdef”の色変換後の濃度が低くなる。ただし、調整範囲206以外の範囲については、調整されることなく色変換テーブルに従って色変換される。
以下、フロー図を用いて、第3実施例における画像処理について説明するが、第2実施例で説明した画像処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図17は第2実施例における画像処理の一例の一部を示すフロー図である。図17に示すように、CPU12は、画像処理を開始すると、ステップS33で、原稿のスキャンを実行して、ステップS51で、色変換される前のプレビュー画像200をディスプレイ22に表示して、ステップS53で、調整範囲206を設定するかどうかを判断する。ここでは、範囲設定キー204が選択されたかどうかを判断する。
ステップS53で“NO”であれば、つまり、調整範囲206を設定しないと判断した場合は、調整範囲206を設定せずに、ステップS1に進む。一方、ステップS53で“YES”であれば、つまり、調整範囲206を設定すると判断した場合は、ステップS55で、調整範囲206が設定されたかどうかを判断する。
ステップS55で“NO”であれば、つまり、調整範囲206が設定されない場合には、同じステップS55に戻る。一方、ステップS55で“YES”であれば、つまり、調整範囲206が設定された場合には、ステップS57で、調整範囲206を設定して、ステップS1に進む。
なお、ステップS31およびステップS1以降の処理の内容については、第1実施例および第2実施例と同じであるので説明を省略する。ただし、ステップS57で調整範囲206が設定された場合には、ステップS15では、調整範囲206の範囲内において調整後出力値データ74eが生成される。つまり、調整範囲206の範囲外においては、調整後出力値データ74eが生成されない。
この第3実施例によれば、カラー画像に調整範囲206を設定し、当該調整範囲206の範囲内において、指定色の色変換後の濃度を調整するようにしたので、指定色の色変換後の濃度についての設定を行う際の調整の自由度が増し、使い勝手が良い。
なお、上述した第3実施例では、調整範囲206が設定された後、第1実施例および第2実施例と同様に指定色の色変換後の濃度についての設定が調整される例について説明したが、これに限定される必要は無い。たとえば、カラー画像において調整範囲206の範囲内に含まれる全ての色を指定色として自動的に指定するようにしても良い。このようにすれば、調整範囲206の範囲内の全体について、濃度を高くしたり、濃度を低くしたりすることができる。調整の自由度が増し、使い勝手が良い。
また、第3実施例では、指定色の変換後の濃度が調整される調整範囲206が設定されるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、指定色の変換後の濃度が調整されない非調整範囲が設定されるようにしても良い。この場合、非調整範囲内においては、指定色の色変換後の濃度についての設定が適用されない。このため、指定色の色変換後の濃度についての設定を適用させたくない範囲が存在する場合には、当該範囲をユーザ自身によって自由に非調整範囲設定することができる。
なお、上述の実施例では、コピージョブを例にあげて説明したが、本発明はスキャンジョブにも適用することができる。スキャンジョブが実行される場合には、指定色の色変換後の濃度についての設定が調整された読取画像データが生成される。
また、上述の実施例では、RGB表色系の色変換テーブルを例に挙げて説明したが、これに限定される必要は無い。たとえば、RGB表色系の色変換テーブルに代えて、YMCK表色系の色変換テーブルを用いることもできる。
さらに、上述の実施例で挙げた数値、画面および具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。