以下、本発明に係るシリンジ包装体について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るシリンジ包装体10Aは、筒状のシリンジ本体705内(内筒710)に所定の薬剤が予め充填されたプレフィルドシリンジシステム700と、プレフィルドシリンジシステム700を収容する包装本体12と、包装本体12内に配設されてプレフィルドシリンジシステム700を支持する支持部14とを備える。
まず、プレフィルドシリンジシステム700について説明する。図1〜図3において、プレフィルドシリンジシステム700は、例えば、インフルエンザ等のワクチン(薬剤)を皮下や皮内に投与するためのデバイスであって、プレフィルドシリンジ702と、針ユニット760を有する針包装体704とを備えている。具体的には、プレフィルドシリンジシステム700は、未使用時ではプレフィルドシリンジ702と針ユニット760とが分離された状態で保管され、使用時に針包装体704の針ユニット760がプレフィルドシリンジ702に装着される。
図1及び図2に示すように、プレフィルドシリンジ702は、筒状のシリンジ本体705と、シリンジ本体705内に設けられたガスケット706と、ガスケット706をシリンジ本体705の先端側に押圧する押子708とを備えている。シリンジ本体705は、薬剤が充填された細径のバレルを構成する内筒710と、内筒710の外周側に設けられた太径のカウル筒を構成する外筒712とを有している。
内筒710は、樹脂材料又はガラス等によって一体的に構成されている。内筒710は、その内部の薬液を視認可能なように透明性を有している。内筒710の先端部は、基端側よりも細径に形成されている。内筒710の先端部には、内筒710の先端側の開口部を封止するキャップ714のねじ部716が螺合するねじ部718が形成された接続部720が固定されている。内筒710の基端には、内筒フランジ722が設けられている。
外筒712は、樹脂材料によって一体的に構成されている。外筒712は、内筒710に充填されている薬液を視認し易くするため透明性を有するのが好ましい。外筒712は、内筒710と同軸に設けられている。外筒712の先端は内筒710の先端よりも幾らか基端側に位置している。すなわち、内筒710の接続部720の一部が外筒712の先端側に露出している。また、外筒712は、内筒710の基端よりも基端側に延在している。
外筒712の内周面には、内筒710を支持する複数(4つ)の先端側突起724(図7A参照)と複数(2つ)の基端側突起726(図6参照)とが設けられている。先端側突起724は内筒フランジ722の先端面に接触し、基端側突起726は内筒フランジ722の基端面に接触している。つまり、内筒710は、先端側突起724と基端側突起726とによって内筒フランジ722を軸線方向から挟持することによって外筒712に対して固定されている。
図1及び図6に示すように、外筒712の外径は、人手によって把持し易い大きさに形成されている。外筒712の外周面には、第1開口部728、第2開口部730及び第3開口部732が2つずつ互いに対向するように形成されている。第1開口部728、第2開口部730及び第3開口部732は、外筒712の軸線方向に沿って並んでいる。
各第1開口部728は、内筒710内の薬剤を目視するための孔であって、外筒712の先端側に設けられている。図示例では、各第1開口部728は、外筒712の軸線方向に延在した長孔として形成されている。ただし、各第1開口部728は、任意の形状に形成することができる。
各第2開口部730は、先端側突起724及び基端側突起726を成形するための孔であって、第1開口部728よりも基端側に位置している。2つの第2開口部730は、内筒フランジ722を挟むように互いに対向している。各第2開口部730は、外筒712の周方向に沿って延在している。ただし、各第2開口部730は、任意の形状に形成することができる。
各第3開口部732は、押子708を組み付けるための孔であって、第2開口部730よりも基端側に位置している。各第3開口部732は、外筒712の周方向に沿って延在している。ただし、各第3開口部732は、任意の形状に形成することができる。
図2に示すように、外筒712の内周面のうち第3開口部732よりも基端側には、径方向内方に突出した突出部734が形成されている。外筒712の基端には、外筒712の径方向外側に延出した外筒フランジ736が設けられている。
ガスケット706は、内筒710の軸線方向に沿って液密に移動可能に設けられている。すなわち、ガスケット706は、内筒710の内周面に対して摺動可能である。ガスケット706の構成材料としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、或いはこれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
押子708は、樹脂材料によって一体的に構成されており、先端側のみが内筒710内に挿入され、基端部が外筒712よりも基端側に露出している。押子708は、内筒710の軸線方向に沿って延在した軸部738を有している。
軸部738の先端には、ガスケット706の基端面を先端側に向けて押圧するための押圧部740が設けられている。未使用状態では、押圧部740は、ガスケット706に対して離間している(連結されていない)。
図2及び図6に示すように、軸部738の基端側には、第1中間フランジ742、第2中間フランジ744及び押子フランジ746が設けられている。第1中間フランジ742及び第2中間フランジ744は、内筒710よりも大径且つ外筒712よりも小径に形成されている。第1中間フランジ742は、未使用状態で外筒712の突出部734に接触することによって、押子708が内筒710から抜け出ることを阻止するためのものである。第2中間フランジ744には、薬剤の投与が完了した時に突出部734に係止されることによって、押子708の軸線方向に沿った変位を阻止するロック部748が設けられている。
押子フランジ746は、外筒712の基端側に露出している。押子フランジ746は、人手によって操作し易い大きさに形成された円板状部材であって、軸部738の基端から径方向外方に延出している。押子フランジ746の外径は、外筒712の内径よりも大きい。
図7A及び図7Bに示すように、軸部738は、横断面が十字状に形成されている。図7Bにおいて、軸部738のうち第2中間フランジ744(図6参照)と押子フランジ746との間の部位は、軸部738の軸線上に位置する中心部750と、中心部750から互いに反対方向に延出した2つの板状の第1張出部752と、第1張出部752の延出方向と直交する方向に中心部750から互いに反対方向に延出した2つの板状の第2張出部754とを備えている。中心部750、第1張出部752及び第2張出部754のそれぞれは、第2中間フランジ744から押子フランジ746まで延在している。第1張出部752の中心部750からの延出長は、第2張出部754の中心部750からの延出長よりも短い。
図1及び図3に示すように、針包装体704は、プレフィルドシリンジ702の接続部720に取り付け可能な針ユニット760と、針ユニット760を収容する針ユニットケース762とを有する。針ユニットケース762は、針ユニット760を収容するケース本体763と、ケース本体763を封止する封止フィルム764とを備えている。針ユニット760は、先端に鋭利な針先を有する管状の針体766と、針体766が固定される針ハブ768とを含む。以下の説明では、針ユニット760及びその構成要素において、針体766の針先が位置する方向を先端側と呼び、その反対側を基端側と呼ぶことがある。
針体766は、中空状の管状部材であって、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム或いはアルミニウム合金、チタン或いはチタン合金のような金属材料又はポリフェニレンサルファイド等の硬質樹脂材料等によって構成される。
針ハブ768は、針体766を保持する第1ハブ770と、第1ハブ770に設けられてプレフィルドシリンジ702の接続部720に着脱可能な中空状の第2ハブ772と、第2部材内に配設された弾性部材774とを有する。第1ハブ770及び第2ハブ772のそれぞれは、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂で構成されている。
第1ハブ770は、針体766が挿通する挿通孔が形成された針保持部776と、針保持部776の先端側から径方向外方に突出した円環状の鍔部778と、鍔部778から先端側に向かって延出した環状部780とを含む。
針保持部776の先端部は、環状部780内に位置している。針保持部776の先端からの針体766の突出長は、皮内(真皮)に薬液を確実に投与するため、例えば、0.9mm〜1.4mmに設定するのが好ましい。鍔部778は、板状に構成されており、針ハブ768の中で最大径となる部分である。鍔部778は、針体766の先端の近傍に位置している。
環状部780は、針保持部776の先端部を周方向に覆うように円環状に構成されている。針体766の軸線方向において、環状部780の突出端面は、針保持部776の先端面と略同じ位置にある。環状部780の外径は、鍔部778の外径よりも小さい。
第2ハブ772は、針体766の軸線方向に延在した管状部材であって、その先端部に円環状のフランジ782が設けられている。第2ハブ772は、その内孔の先端側に針保持部776の基端側が挿入されるとともにフランジ782が鍔部778に接触した状態で第1ハブ770に固定されている。第2ハブ772の内孔の基端側には、シリンジ本体705の内筒710の先端部が挿入される。第2ハブ772の基端側の外周面には、接続部720のねじ部718に螺合するねじ部784が形成されている。
弾性部材774は、第2ハブ772の内孔の針保持部776の基端側に位置している。弾性部材774には、針体766の基端部が挿通する挿通孔が形成されている。弾性部材774は、プレフィルドシリンジ702の接続部720に第2ハブ772を装着した状態で針体766の外周面と第2部材の内周面とに液密に接触するシール部材である。
ケース本体763は、横断面が略U字状に形成されている。具体的には、ケース本体763は、円形状の底面部786と、底面部786の外縁部に設けられ周壁部788とを有する。周壁部788は、底面部786に向かって徐々に縮径するようにテーパ状に傾斜している。周壁部788の内面には、鍔部778が係合する係合凸部790が設けられている。周壁部788の外面には、針体766の軸線方向に沿って延在した凹部792と凸部794とが周方向に交互に複数(図6では6つずつ)設けられている。封止フィルム764は、針ユニットケース762の開口部を閉塞するように設けられている。
このように構成されたプレフィルドシリンジシステム700を使用する場合、まず、プレフィルドシリンジ702のキャップ714を外し、針包装体704の封止フィルム764を剥がす。そして、針ユニット760を針ユニットケース762内に位置させた状態で、プレフィルドシリンジ702の接続部720のねじ部718を針ユニット760の第2ハブ772のねじ部784に螺合させることにより、針ユニット760をプレフィルドシリンジ702に対して連結する。その後、針ユニット760を針ユニットケース762から取り出し、外筒712を握った状態で生体の皮膚に針体766を穿刺することによって針先を皮内に位置させる。続いて、親指で押子フランジ746を先端側に押圧する。そうすると、押子708の押圧部740がガスケット706に接触し、ガスケット706が先端側に変位することにより内筒710内の薬剤が針体766の内孔を介して皮内に注入されるに至る。薬剤の皮内への注入後、針体766を皮膚から抜去する。
図1に示すように、包装本体12は、紙により直方体形状に形成されている。ただし、包装本体12は、樹脂等の紙以外の材料で構成されていてもよい。包装本体12は、包装基部16と、包装基部16に対して開封可能に設けられた蓋部18とを有する。包装基部16は、包装本体12の底面12a及び側面12bを構成し、蓋部18は、包装本体12の天面12c及び矢印Y1方向の側面12bの一部を構成している。図1の例では、包装本体12は矢印X方向に長く延在しており、矢印Z1方向に底面12aが位置し、矢印Z2方向に天面12cが位置している。
支持部14は、樹脂材料を真空成形又は圧空成形することにより形成されている。支持部14を構成する樹脂材料としては、例えば、BS(ブタジエン−スチレン)、AES(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)等が挙げられる。
図1、図4〜図6に示すように、支持部14は、包装本体12の長手方向に延在した板状のベース部20と、針包装体704の針ユニットケース762を支持する針ユニットケース支持部22と、プレフィルドシリンジ702を支持するシリンジ支持部24とを有する。ベース部20は、包装本体12の底面12aと略同一の大きさに形成された状態でその底面12aに載置されている。すなわち、ベース部20は、包装本体12の側面12bによって底面12aと平行な方向(矢印X方向及び矢印Y方向)の変位が規制されている。換言すれば、ベース部20は、包装本体12内での針ユニットケース支持部22及びシリンジ支持部24の位置を保持する。
針ユニットケース支持部22は、ベース部20の一端部(矢印X1方向)の端部から底面12aとは反対側(矢印Z2方向)に突出した内周面部26及び外周面部28と、内周面部26及び外周面部28の突出端部同士を互いに連結する頂部30とを有する。内周面部26は、円環状に形成されている。
内周面部26における矢印X2方向の突出端部は、切り欠かれている。外周面部28は、平面視で略C字状に形成されている。針ユニットケース支持部22の突出長は、針ユニットケース762の全長の約1/3程度に設定されている。ただし、針ユニットケース支持部22の突出長は、任意に設定可能である。
シリンジ支持部24は、プレフィルドシリンジ702の先端側を支持する先端側支持部(先端側規制部)32と、シリンジ本体705の中間部を支持する中間支持部(位置ずれ規制部)34と、シリンジ本体705の基端側を支持する基端側支持部(変位規制部)36とを含む。
先端側支持部32は、ベース部20から矢印Z2方向に向かって突出し、針ユニットケース支持部22に連結するとともに矢印X方向に延在している。先端側支持部32は、内周面部26に連なる第1湾曲面部38と、第1湾曲面部38の矢印Y方向の両側に位置する2つの第1側面部40、42と、第1湾曲面部38及び各第1側面部40、42を連結する2つの第1頂部44、46と、矢印X2方向に指向する第1端面部48とを有する。
第1湾曲面部38は、横断面が円弧状に形成されている。第1湾曲面部38の幅寸法(矢印Y方向の寸法)は、シリンジ本体705のキャップ714の幅寸法(外径)よりも大きい。第1湾曲面部38の矢印X2方向の端部には、矢印Z2方向に突出した湾曲凸部50が設けられている。湾曲凸部50は、湾曲面の全幅に亘って延在している。湾曲凸部50には、シリンジ本体705の接続部720の外面が接触する(図5参照)。第1端面部48は、第1湾曲面部38(湾曲凸部50)、各第1側面部40、42及び各第1頂部44、46のそれぞれに連なっている。2つの第1側面部40、42は、外周面部28に連なるとともに第1湾曲面部38をY方向から挟むように設けられている。各第1頂部44、46は、針ユニットケース支持部22の頂部30と同一平面上で連なっている。
中間支持部34は、ベース部20から矢印Z2方向に向かって突出している。中間支持部34は、先端側支持部32に対して矢印X2方向に離間している。中間支持部34は、横断面が円弧状(略半円状)の第2湾曲面部52と、第2湾曲面部52の両側に位置する2つの第2側面部54、56と、各第2側面部54、56及び第2湾曲面部52を互いに連結する2つの第2頂部58、60と、矢印X方向を指向する2つの第2端面部62、64とを有する。
第2湾曲面部52の矢印Z2方向の端部の幅寸法(矢印Y方向の寸法)は、外筒712の外径よりも幾らか小さく形成されている(図7A参照)。2つの第2側面部54、56は、第2湾曲面部52をY方向から挟むように設けられている。各第2側面部54、56は、X方向に延在している。各第2端面部62、64は、第2湾曲面部52、各第2側面部54、56及び各第2頂部58、60のそれぞれに連なっている。
基端側支持部36は、ベース部20から矢印Z2方向に向かって突出している。基端側支持部36は、中間支持部34に対して矢印X2方向に離間している。基端側支持部36のX方向の長さ寸法L1は、未使用状態のシリンジ本体705の外筒712の基端と押子フランジ746との間の寸法L2よりも短い(図6参照)。寸法L1と寸法L2との差ΔLは、未使用状態のシリンジ本体705のガスケット706と押子708との離間間隔L3よりも小さい。
基端側支持部36は、押子708の第1張出部752が挿入される溝(スリット)66を形成する溝形成部68と、溝形成部68の両側に位置する2つの第3側面部70、72と、各第3側面部70、72及び溝形成部68を互いに連結する2つの第3頂部74、76と、矢印X方向を指向する2つの第3端面部78、80とを有する。
図7Bに示すように、溝形成部68は、第3頂部74からベース部20に向かって矢印Y2方向に傾斜する溝側面部82と、第3頂部76からベース部20に向かって矢印Y1方向に傾斜する溝側面部84と、溝側面部82及び溝側面部84を互いに連結する溝底面部86とを含む。すなわち、溝66の幅寸法は、溝底面部86に向かって徐々に狭くなっており、溝66の深さ寸法は、第1張出部752の突出長よりも大きい。
2つの第3側面部70、72は、矢印Z2方向に向かって互いに近接するように傾斜している。第3頂部74は第3側面部70及び溝側面部82を互いに連結し、第3頂部76は第3側面部72及び溝側面部84を互いに連結している。各第3端面部78、80は、溝形成部68、各第3側面部70、72及び各第3頂部74、76のそれぞれに連なっている。
このように構成されたシリンジ包装体10Aでは、針包装体704は、針ユニットケース支持部22の内周面部26の内側に挿入される。具体的には、針ユニットケース762が内周面部26の内側に挿入される。そうすると、内周面部26は、針ユニットケース762によって押し広げられる(弾性変形する)ため、針ユニットケース762の周壁部788の外面には周壁部788の復元力(弾性力)が作用する。これにより、針ユニットケース支持部22によって針包装体704の支持部14に対する矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向の変位が規制される。換言すれば、針包装体704は、針ユニットケース支持部22によって保持される。
一方、プレフィルドシリンジ702は、先端側支持部32、中間支持部34及び基端側支持部36に対して取り付けられる。具体的には、プレフィルドシリンジ702の接続部720は、先端側支持部32の第1湾曲面部38に載置され、プレフィルドシリンジ702の外筒712は、中間支持部34の第2湾曲面部52に取り付けられる。そうすると、第2湾曲面部52は、外筒712によって押し広げられる(弾性変形する)ため、外筒712の外周面には第2湾曲面部52の復元力(弾性力)が作用する。これにより、第2湾曲面部52によって外筒712の支持部14に対する矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向の変位が規制される。換言すれば、外筒712は、中間支持部34によって保持される。
また、第1端面部48と外筒712の先端面とが矢印X方向に互いに対向しているため、第1端面部48によって外筒712の押子708(支持部14)に対する矢印X1方向の変位が規制される。なお、キャップ714は、第1湾曲面に対して接触していない。
プレフィルドシリンジ702の押子708の第1張出部752は、基端側支持部36の溝66内に挿入される。これにより、溝形成部68(溝側面部82、84)によって押子708の支持部14に対する矢印Y方向の変位が規制される。
さらに、第3端面部78と外筒712の基端面とが矢印X方向に互いに対向するため、外筒712の押子708(支持部14)に対する矢印X2方向の変位が規制される。また、第3端面部80と押子フランジ746とが矢印X方向に互いに対向するため、押子708のシリンジ本体705(支持部14)に対する矢印X1方向の変位が規制される。さらにまた、押子フランジ746と包装本体12の矢印X2方向の側面とが互いに近接して対向しているため、押子708のシリンジ本体705(支持部14)に対する矢印X2方向の変位が規制される。なお、外筒712に対する押子708の基端側への変位は、第1中間フランジ742と突出部734との係合によっても規制されている。
本実施形態によれば、ガスケット706と押子708とが互いに近接する方向に外筒712及び押子708が相対変位することを基端側支持部36によって規制している。そのため、シリンジ包装体10Aの輸送時にプレフィルドシリンジシステム700の構成を簡素化することができるとともに押子708がガスケット706に当たること(ガスケット706が押子708に押圧されること)を抑えることができる。
また、基端側支持部36は、外筒712と押子フランジ746との間に配設されているため、外筒712の押子708に対する基端側への変位と押子708の外筒712に対する先端側(ガスケット706側)への変位を効果的に抑えることができる。
さらに、基端側支持部36には、押子708の第1張出部752が挿入される溝66が形成されているため、シリンジ包装体10Aの輸送時の振動によって基端側支持部36が外筒712と押子フランジ746との間から離脱することを抑えることができる。
また、中間支持部34が外筒712に接触して外筒712の軸線方向と交差する方向の変位を規制するため、シリンジ包装体10Aの輸送時の振動によって基端側支持部36が外筒712と押子フランジ746との間から離脱することを一層抑えることができる。
さらに、外筒712(シリンジ本体705の中間部)が中間支持部34に係止されるため、簡易な構成でシリンジ包装体10Aの輸送時の振動によって基端側支持部36が外筒712と押子フランジ746との間から離脱することを一層抑えることができる。
本実施形態によれば、先端側支持部32が外筒712の先端側への変位を規制しているため、シリンジ本体705の位置ずれを一層抑えることができる。また、支持部14は、針ユニットケース支持部22を有しているため、針包装体704とプレフィルドシリンジ702とを包装本体12内で別個に支持することができる。
本実施形態によれば、針ユニットケース支持部22、先端側支持部32、中間支持部34及び基端側支持部36のそれぞれがベース部20に対して一体的に設けられているため、針ユニットケース支持部22、先端側支持部32、中間支持部34及び基端側支持部36が包装本体12内で変位することを抑えることができる。
本実施形態は、上述した構成に限定されない。例えば、シリンジ包装体10Aは、支持部14に替えて図8及び図9に示す支持部90を備えていてもよい。図8及び図9に示すように、支持部90は、紙によって形成されており、包装本体12の底面に載置されるベース部92と、ベース部92に設けられた針ユニットケース支持部94及びシリンジ支持部96とを有する。
ベース部92は、包装本体12の底面12aと略同一の大きさの矩形状のベース部本体98と、ベース部本体98の外縁から延出した脚部100とを含む。針ユニットケース支持部94は、ベース部本体98の一端部(矢印X1方向)の端部に形成された孔である。
シリンジ支持部96は、シリンジ本体705の先端側を支持する先端側支持部(先端側規制部)102と、シリンジ本体705の中間部を支持する中間支持部(位置ずれ規制部)104と、シリンジ本体705の基端側を支持する基端側支持部(変位規制部)106とを含む。
先端側支持部102は、ベース部本体98に固定された2つの第1固定部108、110と、各第1固定部108、110から矢印Z2方向に延出した2つの第1延出部112、114とを備える。2つの第1延出部112、114は、ベース部92の幅方向(矢印Y方向)に互いに離間して配設されている。これら第1延出部112、114の離間間隔は、接続部720の幅寸法よりも小さい。第1延出部112には、円弧状の第1切欠部116が形成され、第1延出部114には円弧状の第1切欠部118が形成されている。2つの第1切欠部116、118は、互いに連通して1つの円形状の第1孔120を形成する。この第1孔120には、プレフィルドシリンジ702の接続部720が挿通される。第1延出部112、114は、第1孔120に接続部720が挿入された状態で、接続部720の矢印Y方向及び矢印Z方向の変位を規制する。第1孔120の孔径は、接続部720の外径よりも大きく外筒712の外径よりも小さい。
中間支持部104は、ベース部本体98に固定された2つの第2固定部122、124と、各第2固定部122、124から矢印Z2方向に延出した2つの第2延出部126、128とを備える。2つの第2延出部126、128は、ベース部92の幅方向(矢印Y方向)に互いに離間して配設されている。これら第2延出部126、128の離間間隔は、外筒712の外径よりも小さい。第2延出部126には円弧状の第2切欠部130が形成され、第2延出部128には円弧状の第2切欠部132が形成されている。2つの第2切欠部130、132は、互いに連通して1つの円形状の第2孔134を形成する。この第2孔134には、プレフィルドシリンジ702の外筒712が挿通される。第2延出部126、128は、第2孔134に外筒712が挿入された状態で、外筒712の矢印Y方向及び矢印Z方向の変位を規制する。第2孔134の孔径は、外筒712の外径よりも若干大きい。
基端側支持部106は、ベース部本体98に固定された2つの第3固定部136、138と、各第3固定部136、138から矢印Z2方向に延出した2つの第3延出部140、142とを備える。各第3延出部140、142は、ベース部本体98の延在方向(矢印X方向)に延在している。2つの第3延出部140、142は、ベース部92の幅方向(矢印Y方向)に互いに離間して配設されている。これら第3延出部140、142の離間間隔は、矢印Z2方向に向かって徐々に大きくなっている。つまり、互いに対向する第3延出部140、142の間に形成される隙間は、プレフィルドシリンジ702の押子708の第1張出部752が挿入される溝144として機能する。
このような変形例に係る支持部90を備えたシリンジ包装体10Aでは、針包装体704の針ユニットケース762は、針ユニットケース支持部94に挿入される。これにより、針ユニットケース支持部94によって針包装体704の支持部90に対する矢印X方向及び矢印Y方向の変位が規制される。また、第1延出部112、114と外筒712の先端面とが矢印X方向に互いに対向するため、第1延出部112、114によって外筒712の押子708(支持部90)に対する矢印X1方向の変位が規制される。
プレフィルドシリンジ702は、先端側支持部102、中間支持部104及び基端側支持部106に対して取り付けられる。具体的には、プレフィルドシリンジ702の接続部720は、先端側支持部102の第1孔120に挿入される。これにより、第1孔120を構成する第1延出部112、114によって接続部720の支持部90に対する矢印Y方向及び矢印Z方向の変位が規制される。
プレフィルドシリンジ702の外筒712は、中間支持部104の第2孔134に挿入される。これにより、第2孔134を構成する第2延出部126、128によって外筒712の支持部90に対する矢印Y方向及び矢印Z方向の変位が規制される。
プレフィルドシリンジ702の押子708の第1張出部752は、基端側支持部106の溝144内に挿入される。これにより、溝144を構成する第3延出部140、142によって押子708の支持部90に対する矢印Y方向の変位が規制される。また、第3延出部140、142と外筒712の基端面とが矢印X方向に互いに対向するため、外筒712の押子708(支持部90)に対する矢印X2方向の変位が規制される。さらに、第3延出部140、142と押子フランジ746とが矢印X方向に互いに対向するため、押子708のシリンジ本体705(支持部90)に対する矢印X1方向の変位が規制される。
このように、変形例に係る支持部90であっても上述した支持部14と同様の効果を奏する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るシリンジ包装体10Bについて説明する。なお、第2実施形態に係るシリンジ包装体10Bにおいて、第1実施形態に係るシリンジ包装体10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。後述する第3実施形態に係るシリンジ包装体10Cについても同様である。
図10に示すように、本実施形態に係るシリンジ包装体10Bは、2組のプレフィルドシリンジ702及び針包装体704が収容される箱型の包装本体150と、包装本体150内に設けられた支持部152とを備える。つまり、シリンジ包装体10Bは、2つのプレフィルドシリンジシステム700を一緒に収容するものである。なお、各プレフィルドシリンジシステム700は、上述した第1実施形態のプレフィルドシリンジシステム700と同一構成である。
包装本体150は、紙により直方体形状に形成されている。ただし、包装本体150は、樹脂等の紙以外の材料で構成されていてもよい。具体的には、包装本体150は、包装基部154と、包装基部154に対して開封可能に接合された蓋部156とを有する。包装基部154は、包装本体150の底面150a及び側面150bを構成し、蓋部156は、包装本体150の天面150c及び矢印Y1方向の側面150bの一部を構成する。図10の例では、包装本体150は矢印Z方向に長く延在しており、矢印Z1方向に底面150aが位置し、矢印Z2方向に天面150cが位置している。
図10〜図14に示すように、支持部152は、第1支持部材158と第2支持部材160とを有する。第1支持部材158及び第2支持部材160は、例えば、紙を折り曲げることによって組み立てられる。第1支持部材158は、包装本体150の延在方向(矢印Z方向)に延在した矩形状の第1ベース部162と、プレフィルドシリンジ702の先端側を支持する先端側支持部(先端側規制部)164と、プレフィルドシリンジ702の基端側を支持する第1基端側支持部166とを含む。
第1ベース部162の幅寸法(矢印X方向の寸法)は、包装本体150の矢印Y2方向の側面150bの幅寸法と略同一である。先端側支持部164は、側面視で略U字状に形成され、第1ベース部162の一端部(矢印Z1方向の端部)に設けられている。具体的には、先端側支持部164は、第1ベース部162の一端から矢印Y1方向に突出した第1壁部168と、第1壁部168の突出端部から矢印Z2方向に突出した第2壁部170と、第2壁部170の突出端部から矢印Y2方向に延出した第3壁部172とを含む。第3壁部172の突出端面は、第1ベース部162に対して固定部材(接着剤等)で固定されている。ただし、第3壁部172は、第1ベース部162に対して固定されていなくてもよい。
互いに対向する第1壁部168と第3壁部172との間隔は、プレフィルドシリンジ702の外筒712の先端からキャップ714の先端までの距離よりも若干長い(図12参照)。第3壁部172には、プレフィルドシリンジ702の接続部720が挿通する2つのシリンジ支持孔174が矢印X方向に並んで形成されている。このシリンジ支持孔174の孔径は、外筒712の外径よりも小さい。
第1基端側支持部166は、側面視で略U字状に形成され、第1ベース部162の他端部(矢印Z2方向の端部)に設けられている。具体的には、第1基端側支持部166は、第1ベース部162の他端から矢印Y1方向に突出した第4壁部178と、第4壁部178の突出端から矢印Z1方向に突出した第5壁部180と、第5壁部180の突出端から矢印Y2方向に突出した第6壁部182とを含む。
第4壁部178及び第6壁部182の突出長は、第1壁部168及び第3壁部172の突出長よりも短い。第5壁部180には、押子708の第1張出部752が挿入される2つの第1溝(スリット)184が矢印Z方向の全長に亘って形成されている。これら第1溝184は、矢印X方向に互いに離間して設けられている。第6壁部182の突出端面は、第1ベース部162に対して固定部材(接着剤等)で固定されている。ただし、第6壁部182は、第1ベース部162に対して固定されていなくてもよい。第6壁部182と第4壁部178との間隔は、外筒712の全長と略同一である。
第2支持部材160は、第2ベース部188と、プレフィルドシリンジ702の基端側を支持する第2基端側支持部190と、針包装体704を支持する針支持部192とを含む。第2基端側支持部190は、側面視で略U字状に形成され、第1基端側支持部166に矢印Y方向に対向している。本実施形態では、第1基端側支持部166と第2基端側支持部190とで1つの基端側支持部(変位規制部)193を構成する。
具体的には、第2基端側支持部190は、第2ベース部188の矢印Z2方向の端から矢印Y2方向に突出した第7壁部194と、第7壁部194の突出端から矢印Z1方向に突出した第8壁部196と、第8壁部196の突出端から矢印Y1方向に突出した第9壁部198とを含む。
第7壁部194及び第9壁部198の突出長は、第4壁部178及び第6壁部182の突出長と略同一の長さである(図12参照)。第5壁部180と第8壁部196との間には、所定の隙間が形成されている。第8壁部196には、押子708の第1張出部752が挿入される2つの第2溝(スリット)200が矢印Z方向の全長に亘って形成されている。これら第2溝200は、矢印X方向に互いに離間して設けられている。また、各第2溝200は、第1溝184に対向している。第9壁部198の突出端面は、第2ベース部188に対して固定部材(接着剤等)で固定されている。ただし、第9壁部198は、第2ベース部188に対して固定されていなくてもよい。
針支持部192は、側面視で略U字状に形成され、第1基端側支持部166及び第2基端側支持部190の先端側支持部164とは反対方向(矢印Z2方向)に位置している。具体的には、針支持部192は、第2ベース部188の矢印Z2方向の端から矢印Y2方向に突出した第10壁部204と、第10壁部204の突出端から矢印Z1方向に突出した第11壁部206と、第11壁部206の突出端から矢印Y1方向に突出した第12壁部208とを含む。
第10壁部204及び第12壁部208の突出長は、第1壁部168及び第3壁部172の突出長と略同一である。第10壁部204には、針包装体704の針ユニットケース762が挿通される孔である2つの針ユニットケース支持部210が矢印X方向に並んで形成されている。第12壁部208と第4壁部178との間隔及び第12壁部208と第9壁部198との間隔は、押子フランジ746の厚みよりも若干大きく形成されている。
このように構成されたシリンジ包装体10Bでは、2つのプレフィルドシリンジ702が矢印X方向に並んで取り付けられるとともに2つの針包装体704が矢印X方向に並んで取り付けられる。すなわち、一方のプレフィルドシリンジ702は、矢印X1方向に位置するシリンジ支持孔174、第1溝184及び第2溝200に取り付けられ、他方のプレフィルドシリンジ702は、矢印X2方向に位置するシリンジ支持孔174、第1溝184及び第2溝200に取り付けられる。また、一方の針包装体704は、矢印X1方向に位置する針ユニットケース支持部210に取り付けられ、他方の針包装体704は、矢印X2方向に位置する針ユニットケース支持部210に取り付けられる。
具体的には、プレフィルドシリンジ702の接続部720は、シリンジ支持孔174に挿入される。これにより、第3壁部172によって外筒712の押子708(支持部152)に対する矢印X1方向への変位が規制される。プレフィルドシリンジ702の押子708の一方の第1張出部752は第1溝184内に挿入され、押子708の他方の第1張出部752は第2溝200内に挿入され、第2張出部754は第6壁部182と第8壁部196との間の隙間に配設される。これにより、押子708の支持部152に対する矢印X方向及び矢印Y方向の変位が規制される。
プレフィルドシリンジ702の外筒712の基端(外筒フランジ736)は、第6壁部182及び第7壁部194の矢印Z1方向に位置している。つまり、プレフィルドシリンジ702の外筒712の基端面と第6壁部182及び第7壁部194とはZ方向に互いに対向している。これにより、第6壁部182及び第7壁部194によって外筒712の押子708(支持部152)に対する矢印Z2方向の変位が規制される。
押子フランジ746は、第4壁部178及び第12壁部208の間と第9壁部198及び第12壁部208の間に位置しているため、押子708のシリンジ本体705(支持部152)に対する先端側(矢印Z1方向)への変位が規制される。
また、針ユニットケース762は、針ユニットケース支持部210に挿入された状態で第12壁部208に接触するため、第10壁部204によって支持部152に対する針包装体704の矢印X方向及び矢印Y方向の変位が規制される。なお、支持部152に対する針包装体704の矢印Z2方向の変位は包装本体150の天面150cによって規制される。
本実施形態に係るシリンジ包装体10Bは、上述した第1実施形態のシリンジ包装体10Bと同様の作用効果を奏する。本実施形態は、上述した構成に限定されない。シリンジ包装体10Bは、1つ又は3つ以上のプレフィルドシリンジシステム700を一緒に収容するものであってもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るシリンジ包装体10Cについて説明する。図14に示すように、シリンジ包装体10Cのプレフィルドシリンジシステム700の封止フィルム764の外面には、針ユニット760に関する視認可能な情報表示765が設けられている。この情報としては、例えば、針体766のゲージ(内径)、外径、長さ(針ハブ768からの突出長)等が挙げられる。
シリンジ包装体10Cは、包装ユニット221を有する。包装ユニット221は、2組のプレフィルドシリンジ702及び針包装体704が収容される箱型の包装本体220と、包装本体220内に設けられた支持部222とを備える。つまり、シリンジ包装体10Cは、2つのプレフィルドシリンジシステム700を一緒に収容するものである。なお、各プレフィルドシリンジシステム700は、上述した第1実施形態のプレフィルドシリンジシステム700と同一構成である。
包装本体220は、紙により直方体状に形成されている。ただし、包装本体220は、樹脂等の紙以外の材料で構成されていてもよい。具体的には、包装本体220は、包装基部224と、包装基部224に対して開封可能に接合された蓋部226とを有する。包装基部224は、包装本体220の底面220a及び側面220bを構成し、蓋部226は、包装本体220の天面220c及び矢印Y1方向の側面220bの一部を構成する。図14の例では、包装本体220は矢印X方向に長く延在しており、矢印Z1方向に底面220aが位置し、矢印Z2方向に天面220cが位置している。
図14〜図16に示すように、支持部222は、紙によって形成されたベース部228を備える。ベース部228は、矩形状のベース部本体230と、ベース部本体230の外縁から延出した脚部232とを有する。ベース部本体230は、包装本体220の底面220aと略同一の大きさである。換言すれば、脚部232は、包装本体220の各側面220bに接触する。ベース部本体230には、針包装体704を支持する2つの針ユニットケース支持部234と、プレフィルドシリンジ702を支持する2つのシリンジ支持部236とが設けられている。
各針ユニットケース支持部234は、ベース部本体230の長手方向の一端部(矢印X1方向の端部)に形成された針ユニットケース支持孔238を含む。2つの針ユニットケース支持孔238は、ベース部本体230の幅方向(矢印Y方向)に所定間隔離間して位置している。各針ユニットケース支持孔238を構成する壁面には、針ユニットケース支持孔238の中心(径方向内方)に向かって延出した複数の突起240が周方向に等間隔に設けられている。これら突起240は、針ユニットケース762の凹部792に挿入されるものである。そのため突起240の数及び位置は、針ユニットケース762の凹部792の数に対応している。
各シリンジ支持部236は、プレフィルドシリンジ702の先端側が挿入される孔である先端側支持部242と、プレフィルドシリンジ702の中間部が挿入される孔である中間支持部244と、プレフィルドシリンジ702の押子708が挿入される孔である基端側支持部246とを有する。
各先端側支持部242は、プレフィルドシリンジ702のキャップ714が挿入される第1孔248と、第1孔248の矢印X2方向に連なり外筒712の先端部が挿入される第2孔250とを含む。第1孔248は、第2孔250よりも幅狭に(矢印Y方向の幅寸法が狭く)形成されている。
先端側支持部242と中間支持部244との間には、プレフィルドシリンジ702の各第1開口部728に挿入される2つの第1係止部(位置ずれ規制部)252が設けられている。換言すれば、これら第1係止部252は、プレフィルドシリンジ702が支持部222に装着されていない状態で互いに接触して先端側支持部242と中間支持部244とを仕切るように設けられている。第1係止部252は、シリンジ本体705を係止する。
中間支持部244は、外筒712の先端側のうち第1開口部728よりも基端側が挿入される第3孔254と、第3孔254の矢印X2方向に連なる幅広の第4孔256と、第4孔256の矢印X2方向に連なり外筒712の基端側が挿入される第5孔258と、第5孔258の矢印X2方向に連なり外筒フランジ736が挿入される第6孔260とを含む。第3孔254と第5孔258のそれぞれの幅寸法は、第2孔250の幅寸法と略同一である。第4孔256は、外筒712が第4孔256に挿入された状態で外筒712の外側に手指が挿入可能な空間が形成される程度の大きさである。第6孔260の幅寸法は、第5孔258の幅寸法よりも広い。
基端側支持部246は、第6孔260の矢印X2方向に連なり押子708の第1張出部752が挿入される第7孔(溝)262と、第7孔262の矢印X2方向に連なり押子フランジ746が挿入される第8孔264とを含む。第7孔262の幅寸法は、第1張出部752の厚み寸法よりも若干広い。つまり、第6孔260と第7孔262との間には、プレフィルドシリンジ702が支持部222に取り付けられた状態で第2張出部754を矢印Z2方向から覆う2つの第2係止部(変位規制部)266が設けられている。そして、これら第2係止部266の間に第7孔262が形成されている。
このように構成されたシリンジ包装体10Cでは、2つの針包装体704が矢印Y方向に並んで取り付けられるとともに2つのシリンジ部が矢印Y方向に並んで取り付けられる。具体的には、針包装体704の針ユニットケース762は針ユニットケース支持孔238に挿入されるため、針ユニットケース支持孔238を構成する壁面によって支持部222に対する針包装体704の矢印X方向及び矢印Y方向の変位が規制される。
また、この状態で、図15に示すように、針ユニットケース762の凹部792には突起240が挿入されているため、突起240によって針包装体704の軸線周りの回転が規制される。これにより、封止フィルム764の外面に表示された視認可能な情報を一定の向きに保持することができる。よって、包装本体220を開封した際に、針ユニット760に関する情報表示765を容易に視認することができる。
プレフィルドシリンジ702の第1開口部728には、第1係止部(先端側規制部)252が挿入される。これにより、第1係止部252によって外筒712の支持部222に対する矢印Y方向及び矢印Z方向の変位が規制されるとともに外筒712の押子708(支持部222)に対する矢印X方向の変位が規制される。
プレフィルドシリンジ702の押子708の第1張出部752は、第7孔262に挿入される。これにより、第2係止部266によって押子708の支持部222に対する矢印Y方向の変位が規制される。また、第2係止部266が第2張出部754を矢印Z2方向から覆うため、押子708の支持部222に対する矢印Z2方向の変位が規制される。
外筒712の基端面と第2係止部266とは矢印X方向に互いに対向するため、外筒712の押子708(支持部222)に対する矢印X2方向の変位が規制される。押子フランジ746と第2係止部266とは矢印X方向に互いに対向するため、押子708のシリンジ本体705(支持部222)に対する矢印X1方向の変位が規制される。
本実施形態に係るシリンジ包装体10Cは、上述した第1実施形態のシリンジ包装体10Aと同様の作用効果を奏する。また、シリンジ包装体10Cは、後述する第1参考例に係るシリンジ包装体10Gと同様の作用効果を奏する。
本実施形態は上述した構成に限定されない。シリンジ包装体10Cは、1つ又は3つ以上のプレフィルドシリンジシステム700を一緒に収容するものであってもよい。
上述したシリンジ包装体10A〜10Cは、未使用状態でガスケット706と押子708とは互いに接続されていない状態で接触されており、使用時にガスケット706に対して押子708を接続するものであってもよい。また、シリンジ包装体10A〜10Cにおいて、未使用状態で針ユニット760は、プレフィルドシリンジ702の接続部720に接続されていてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るシリンジ包装体10Dについて説明する。なお、第4実施形態に係るシリンジ包装体10Dにおいて、第3実施形態に係るシリンジ包装体10Cと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図17〜図19に示すように、シリンジ包装体10Dは、添付文書360を収容した添付文書ケース362を備え、包装本体220内に添付文書ケース362と支持部222とが収容されている。
図18に示すように、包装本体220は、上部に取出し用開口223が設けられた収容基部(収容本体部)224と、取出し用開口223を閉じる蓋部226とを有する。底面(底壁部)220a及び側面(周壁部)220bが、収容基部224を構成している。また、天面(天壁部)220cが、蓋部226を構成している。蓋部226は、側面220bの一辺を構成する壁部の上端に連なって、収容基部224と一体的に形成されている。なお、蓋部226は、収容基部224から分離可能な部材であってもよい。
針ユニットケース762は、シリンジ本体705(の外面705s)よりも天面220cに近接して配置されることで、シリンジ本体705よりも蓋部226側に突出している。具体的に、図19に示す収納状態において、針ユニットケース762の上面(封止フィルム764の表面764a)は、シリンジ本体705の外面705sよりも高い位置にある。
封止フィルム764は、ケース本体763の開口部を閉塞するように、針ユニットケース762に剥離可能に設けられている。封止フィルム764には、針ユニットケース762の開封時にユーザが摘むためのタブ764bが設けられている。本実施形態では、図19に示すように、タブ764bは、ケース本体763における添付文書ケース362側の側面に沿って折り曲げられ、当該側面に剥離可能に固定されている。図18に示すように、封止フィルム764の表面764aには、針ユニット760に関する情報表示(サイズ、使用期限等)765が設けられてもよい。情報表示765の一部又は全部がタブ764bの表面に設けられてもよい。
図18において、添付文書ケース362は、扁平な直方体状に形成された紙製の部材であり、添付文書360を収容する収容部364(収容空間)を有する。ただし、添付文書ケース362は、樹脂等の紙以外の材料で構成されていてもよい。添付文書ケース362の収容部364は、包装本体220の厚さ方向(矢印Z方向)と直交する方向(矢印X方向)に貫通している。
添付文書ケース362の長さ(矢印X方向の寸法)は、包装本体220内における針ユニットケース762と矢印X方向側の側部との間の距離よりも若干短い長さに設定されている。添付文書ケース362の幅(矢印Y方向の寸法)は、包装本体220の収容基部224の内部幅(矢印Y方向の寸法)と略同じに設定されている。添付文書ケース362の厚さ(矢印Z方向の寸法)は、包装本体220内に収納されたシリンジ本体705の外面705sと、包装本体220の天面220cとの間の距離と略同じに設定されている。
図18に示すように、添付文書ケース362は、包装本体220の厚さ方向に離間して互いに対向する一対のベース壁部362a、362bと、一対のベース壁部362a、362b同士を繋ぐ側壁部362c、362dとを有する。収容部364は、一対のベース壁部362a、362bと一対の側壁部362c、362dとにより囲まれた空間である。
図19において、添付文書ケース362は、シリンジ本体705と天面220cとの間に配置されるとともに、包装本体220内でのプレフィルドシリンジ702の移動を抑制するようにシリンジ本体705に接触している。具体的に、一方(上側)のベース壁部362aは、包装本体220の蓋部226の内面に接触している。他方(下側)のベース壁部362bは、針ユニットケース762の天面220cと対向する面(封止フィルム764の表面764a)よりも下方に位置するとともに、シリンジ本体705の外面705sに接触している。
図18に示すように、添付文書ケース362には、フランジ用開口部362eが設けられている。具体的に、フランジ用開口部362eは、下側のベース壁部362bに設けられている。プレフィルドシリンジ702の収納状態では、フランジ用開口部362eに、プレフィルドシリンジ702の外筒フランジ736が挿入されている。本実施形態では、2つのプレフィルドシリンジ702が収容されているため、フランジ用開口部362eも2つ設けられている。フランジ用開口部362eは、収容部364と連通している。
添付文書360は、プレフィルドシリンジシステム700の使用方法を説明した取扱説明書である。添付文書360には、複数の文書が含まれていてもよい。従って、取扱説明書以外の文書が含まれていてもよい。添付文書360は、例えば、図18に示すように、折り畳まれた状態で、添付文書ケース362に収容されている。
ところで、従来、シリンジと針ユニットとを備え、初期状態(製品提供時)では針ユニットがシリンジから分離されており、使用時に針ユニットをシリンジに接続するように構成されたシリンジシステムが公知である(例えば、特許第5756793号公報)
この種のシリンジシステムは、針ユニットを収容した針ユニットケースと、シリンジとが、箱状の包装体内に収容された状態で、製品としてユーザに提供される。通常、包装体には、製品であるシリンジシステムの他に、取扱説明書等の添付文書が格納されている。このような包装体は、コンパクトに構成されるとともに、包装体内でのシリンジの位置が所定の位置に保持されていることが望ましい。
第4実施形態に係るシリンジ包装体10Dでは、針ユニットケース762は、シリンジ本体705よりも、包装本体220の互いに対向する壁部(天面220c及び底面220a)のうち少なくとも一方の壁部(天面220c)側に突出している。そして、添付文書ケース362は、シリンジ本体705と一方の壁部(天面220c)との間に配置されるとともに、シリンジ本体705の外面705sに接触している。
このため、本来であればデッドスペースとなる、包装本体220の一方の壁部(天面220c)とシリンジ本体705との間の空間に添付文書ケース362が配置されているとともに、添付文書ケース362が、包装本体220内でのプレフィルドシリンジ702の移動を抑制している。従って、デッドスペースを有効利用することでシリンジ包装体10Dをコンパクトに構成することが可能となるとともに、包装本体220内でのプレフィルドシリンジ702の位置を良好に保持することが可能となる。
また、第4実施形態では、シリンジ本体705の基端部には、シリンジ本体705の軸に対して直交する方向に突出する外筒フランジ736が設けられており、添付文書ケース362は、外筒フランジ736が挿入されたフランジ用開口部362eを有する。このため、添付文書ケース362と外筒フランジ736との干渉を回避しつつ、添付文書ケース362を大きくすることができ、デッドスペースを一層効果的に有効利用することができる。
さらに、第4実施形態では、包装本体220は、取出し用開口223が設けられた収容基部224と、取出し用開口223を閉じる蓋部226とを有し、一方の壁部(天面220c)が蓋部226を構成している。このため、蓋部226を開くと添付文書ケース362が露出するため、ユーザは添付文書360を発見し易い。
さらに、第4実施形態では、針ユニットケース762は、ケース本体763と、ケース本体763を封止する封止フィルム764とを有し、封止フィルム764には、針ユニットケース762の開封時にユーザが摘むためのタブ764bが設けられている。そして、タブ764bは、ケース本体763における添付文書ケース362側の側面に沿って折り曲げられ、当該側面に剥離可能に固定されている(図19参照)。このため、輸送時等において振動により封止フィルム764がケース本体763から剥がれる(針ユニットケース762が開封される)ことを防止できる。また、添付文書ケース362を取り出す際に、添付文書ケース362によって封止フィルム764が剥がされることを防止することができる。
なお、上記の構成と異なり、タブ764bは、添付文書ケース362における天面220cと対向する外面に重なっていてもよい。すなわち、タブ764bは、天面220cと添付文書ケース362(ベース壁部362a)との間に挟まれていてもよい。この構成によれば、針ユニット760に関する情報表示765(図18参照)がタブ764bの表面に設けられている場合でも、添付文書ケース362によって情報表示765が隠れることがないため、包装本体220の開封時に、ユーザは針ユニット760に関する情報を迅速に認識することができる。
その他、第4実施形態において、第3実施形態と共通又は同様の構成部分については、第3実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第5実施形態)
図20〜図22に示す第5実施形態に係るシリンジ包装体10Eは、プレフィルドシリンジ702と、針包装体704と、プレフィルドシリンジ702及び針包装体704を支持する支持部370と、添付文書360を収容した添付文書ケース372と、プレフィルドシリンジ702、針包装体704、支持部370及び添付文書ケース372を収容した包装本体220とを備える。第5実施形態の包装本体220は、第4実施形態の包装本体220と同一構成を有する。
図21において、支持部370は、第1支持部材374と第2支持部材376とを有する。第1支持部材374及び第2支持部材376は、例えば、紙を折り曲げることによって組み立てられる。第1支持部材374は、包装本体220の延在方向(矢印X方向)に延在した矩形状のベース部374aと、プレフィルドシリンジ702の先端側を支持する先端側支持部(先端側規制部)374bと、プレフィルドシリンジ702の基端側を支持する第1基端側支持部374cとを含む。
ベース部374aの幅寸法(矢印Y方向の寸法)は、包装本体220において矢印Y方向に互いに対向する側部間距離と略同一である。先端側支持部374bは、ベース部374aの一端部(矢印X2方向の端部)から上方に突出している。先端側支持部374bの第1基端側支持部374c側の面には、プレフィルドシリンジ702の接続部720が挿入されたシリンジ支持孔374dが設けられている。本実施形態では、2つのプレフィルドシリンジ702が収納されているため、シリンジ支持孔374dは、矢印Y方向に間隔を置いて2つ設けられている。
第1基端側支持部374cは、ベース部374aの他端部(矢印X1方向の端部)から上方に突出している。第1基端側支持部374cのベース部374aからの突出高さは、先端側支持部374bのベース部374aからの突出高さよりも低い。第1基端側支持部374cには、T字状の第1保持溝374eが設けられている。
第1保持溝374eは、包装本体220の延在方向(矢印X方向)に沿って延在する第1スリット374e1と、第1スリット374e1と直交する方向(矢印Y方向)に延在する第2スリット374e2とを有する。プレフィルドシリンジ702の収納状態で、第1スリット374e1に押子708の第1張出部752が挿入され、第2スリット374e2に押子フランジ746が挿入されている。第2実施形態では、2つのプレフィルドシリンジ702が収納されているため、第1保持溝374eは、矢印Y方向に間隔を置いて2つ設けられている。
第2支持部材376は、プレフィルドシリンジ702の基端側を支持する第2基端側支持部376aと、針包装体704を支持する針ユニットケース支持部376bとを含む。第2基端側支持部376aは、第1基端側支持部374cの上方で、第1基端側支持部374cに対向している。プレフィルドシリンジ702の収納状態では、第1基端側支持部374cと第2基端側支持部376aとで構成される基端側支持部(変位規制部)375により、押子708の基端部が挟み込まれている。
第2基端側支持部376aには、T字状の第2保持溝376cが設けられている。プレフィルドシリンジ702の収納状態で、第2保持溝376cには、押子708の基端部(軸部738の第1張出部752及び押子フランジ746)が挿入されている。第5実施形態では、2つのプレフィルドシリンジ702が収納されているため、第2保持溝376cは、矢印Y方向に間隔を置いて2つ設けられている。
このように、包装本体220内において、プレフィルドシリンジ702の先端部(接続部720)が第1支持部材374の先端側支持部374bに設けられたシリンジ支持孔374dに挿入されている。また、プレフィルドシリンジ702の基端部(押子708の基端部)が、第1基端側支持部374cに設けられた第1保持溝374eと第2基端側支持部376aに設けられた第2保持溝376cとに挿入されている。これにより、包装本体220内において複数のプレフィルドシリンジ702は、第1支持部材374及び第2支持部材376を有する支持部370によって、所定位置に保持されている。
針ユニットケース支持部376bの上面には、針包装体704の針ユニットケース762が挿入された針ケース支持孔376dが設けられている。第5実施形態では、2つの針包装体704が収納されているため、針ケース支持孔376dは、矢印Y方向に間隔を置いて2つ設けられている。
図22に示すように、針ユニットケース支持部376bの上面は、第2基端側支持部376aの上面よりも低い位置にある。針ユニットケース支持部376bは、針ユニットケース762内の針ユニット760の針体766が包装本体220の厚さ方向(矢印Z方向)に沿うように針ユニットケース762を支持する。すなわち、針ユニットケース762が包装本体220内に収容された状態において、針体766は、包装本体220の厚さ方向に沿っている。
針ユニットケース762は、シリンジ本体705(の外面705s)よりも天面220cに近接して配置されることで、シリンジ本体705よりも天面220c側に突出している。具体的に、第5実施形態では、図22に示す収納状態において、針ユニットケース762の上面(封止フィルム764の表面764a)は、シリンジ本体705の外面705sよりも高い位置にある。
図21において、添付文書ケース372は、扁平な直方体状に形成された紙製の部材であり、添付文書360を収容する収容部378(収容空間)を有する。ただし、添付文書ケース372は、樹脂等の紙以外の材料で構成されていてもよい。添付文書ケース372の収容部378は、包装本体220の厚さ方向(Z方向)と直交する方向(X方向)に貫通している。
添付文書ケース372の長さ(矢印X方向の寸法)は、包装本体220内における先端側支持部374bと第2基端側支持部376aとの間の距離と略同じ長さに設定されている。添付文書ケース372の幅(矢印Y方向の寸法)は、包装本体220の収容本体部224の内部幅(矢印Y方向の寸法)と略同じに設定されている。添付文書ケース372の厚さ(矢印Z方向の寸法)は、包装本体220内に収納されたシリンジ本体705の外面705sと、包装本体220の天面220c(蓋部226)との間の距離と略同じに設定されている。
添付文書ケース372は、包装本体220の厚さ方向に離間して互いに対向する一対のベース壁部372a、372bと、一対のベース壁部372a、372b同士を繋ぐ側壁部372c、372dとを有する。収容部378は、一対のベース壁部372a、372bと一対の側壁部372c、372dとにより囲まれた空間である。
図22において、添付文書ケース372は、シリンジ本体705と天面220cとの間に配置されるとともに、包装本体220内でのプレフィルドシリンジ702の移動を抑制するようにシリンジ本体705に接触している。具体的に、一方(上側)のベース壁部372aは、包装本体220の天面220cの内面に接触している。他方(下側)のベース壁部372bは、針ユニットケース762の天面220cと対向する面(封止フィルム764の表面764a)よりも下方に位置するとともに、シリンジ本体705の外面705sに接触している。
図21に示すように、添付文書ケース372には、フランジ用開口部372eが設けられている。具体的に、第5実施形態では、フランジ用開口部372eは、下側のベース壁部372bの矢印X1方向側の端部に切欠状に設けられている。フランジ用開口部372eに、プレフィルドシリンジ702の外筒フランジ736が挿入されている。本実施形態では、2つのプレフィルドシリンジ702が収容されているため、フランジ用開口部372eも2つ設けられている。フランジ用開口部372eは、収容部378と連通している。
このように、第5実施形態に係るシリンジ包装体10Eでは、針ユニットケース762は、シリンジ本体705よりも、包装本体220の互いに対向する壁部(天面220c及び底面220a)のうち少なくとも一方の壁部(天面220c)側に突出している。そして、添付文書ケース372は、シリンジ本体705と一方の壁部(天面220c)との間に配置されるとともに、シリンジ本体705の外面705sに接触している。
このため、本来であればデッドスペースとなる、包装本体220の一方の壁部(天面220c)とシリンジ本体705との間の空間に添付文書ケース372が配置されているとともに、添付文書ケース372が、包装本体220内でのプレフィルドシリンジ702の移動を抑制している。従って、第5実施形態によっても、デッドスペースを有効利用することでシリンジ包装体10Eをコンパクトに構成することが可能となるとともに、包装本体220内でのプレフィルドシリンジ702の位置を良好に保持することが可能となる。
その他、第5実施形態において、第3実施形態及び第4実施形態と共通又は同様の構成部分については、第3実施形態及び第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第6実施形態)
図23〜図25に示す第6実施形態に係るシリンジ包装体10Fは、プレフィルドシリンジ702と、針包装体704と、プレフィルドシリンジ702及び針包装体704を支持する支持部152と、添付文書360を収容した添付文書ケース372と、プレフィルドシリンジ702、針包装体704、支持部152及び添付文書ケース372を収容した包装本体150とを備える。このシリンジ包装体10Fは、包装本体150の延在方向(長手方向)が、上下方向(矢印Z方向)に沿っている。
包装本体150は、紙製の部材であって、扁平な直方体状に形成されている。ただし、包装本体150は、樹脂等の紙以外の材料で構成されていてもよい。図23に示すように、包装本体150は、底面(底壁部)150a、側面(周壁部)150b及び天面(天壁部)150cを有する。側面150bは、包装本体150の厚さ方向(矢印Y方向)に互いに離間した壁部を構成する矩形状の前壁部150b1及び後壁部150b2を含む。前壁部150b1及び後壁部150b2は、いずれも平板状に形成されるとともに、包装本体150の未開封状態では互いに平行である。
図24に示すように、包装本体150は、取出し用開口151が設けられた包装基部(収容本体部)154と、取出し用開口151を閉じる蓋部156とを有する。取出し用開口151は、上方(矢印Z2方向)に開口する第1開口151aと、包装本体150の厚さ方向一方(矢印Y1方向)に開口する第2開口151bとを有する。
上述した底面150a及び側面150b(第2開口151bを覆う部分を除く)が、包装基部154を構成している。また、上述した天面150c及び前壁部150b1のうち第2開口151bを覆う部分が、蓋部156を構成している。蓋部156は、側面150bの一辺を構成する後壁部150b2の上端に連なって、包装基部154と一体的に形成されている。なお、蓋部156は、包装基部154から分離可能な部材であってもよい。
支持部152は、第2実施形態の支持部152と同様に構成されている。
支持部152では、包装本体150内において、プレフィルドシリンジ702の先端部(接続部720)が第1支持部材158の先端側支持部164に設けられたシリンジ支持孔174に挿入されている。また、プレフィルドシリンジ702の基端部(押子708の基端部)が、第1基端側支持部166に設けられた第1溝184と第2基端側支持部190に設けられた第2溝200とに挿入されている。これにより、包装本体150内において複数のプレフィルドシリンジ702は、第1支持部材158及び第2支持部材160を有する支持部152によって、所定位置に保持されている。
また、押子フランジ746が、第1基端側支持部166の上面と係合するとともに、第2基端側支持部190と針支持部192との間に保持されるため、シリンジ本体705及びガスケット706(図12参照)に対する押子708の軸方向位置が保持される。
針支持部192の上面には、針包装体704の針ユニットケース762が挿入された針ユニットケース支持部210が設けられている。第6実施形態では、2つの針包装体704が収納されているため、針ユニットケース支持部210は、矢印X方向に間隔を置いて2つ設けられている。図25に示すように、包装本体150内において、針支持部192の上面は、天面150cから離間するとともに天面150cに対向している。
針支持部192は、針ユニットケース762内の針ユニット760の針体766が包装本体150の延在方向(矢印Z方向)に沿うように針ユニットケース762を支持する。すなわち、針ユニットケース762が包装本体150内に収容された状態において、針体766は、包装本体150の延在方向及びプレフィルドシリンジ702の延在方向に沿っている。針ユニットケース762は、シリンジ本体705(の外面705s)よりも前壁部150b1に近接して配置されることで、シリンジ本体705よりも前壁部150b1側に突出している。
図24に示す第6実施形態の添付文書ケース372は、図22に示した第5実施形態の添付文書ケース372と同様に構成されており、一対のベース壁部372a、372bと一対の側壁部372c、372dとを有する。ただし、図24において、添付文書ケース372の収容部378は、包装本体150の延在方向(矢印Z方向)に沿って貫通している。
添付文書ケース372の長さ(矢印Z方向の寸法)は、包装本体150内における先端側支持部164と第2基端側支持部190との間の距離と略同じ長さに設定されている。添付文書ケース372の幅(矢印X方向の寸法)は、包装本体150の包装基部154の内部幅(矢印X方向の寸法)と略同じに設定されている。添付文書ケース372の厚さ(矢印Y方向の寸法)は、包装本体150内に収納されたシリンジ本体705の外面705sと、包装本体150の前壁部150b1との間の距離と略同じに設定されている。
図25において、添付文書ケース372は、シリンジ本体705と前壁部150b1との間に配置されるとともに、包装本体150内でのプレフィルドシリンジ702の移動を抑制するようにシリンジ本体705に接触している。具体的に、一方のベース壁部372aは、包装本体150の前壁部150b1の内面に接触している。他方のベース壁部372bは、針ユニットケース762の前壁部150b1に最も近い部位よりも後壁部150b2側に位置するとともに、シリンジ本体705の外面705sに接触している。
このように、第6実施形態に係るシリンジ包装体10Fでは、針ユニットケース762は、シリンジ本体705よりも、包装本体150の互いに対向する壁部(前壁部150b1及び後壁部150b2)のうち少なくとも一方の壁部(前壁部150b1)側に突出している。そして、添付文書ケース372は、シリンジ本体705と一方の壁部(前壁部150b1)との間に配置されるとともに、シリンジ本体705の外面705sに接触している。
このため、本来であればデッドスペースとなる、包装本体150の一方の壁部(前壁部150b1)とシリンジ本体705との間の空間に添付文書ケース372が配置されているとともに、添付文書ケース372が、包装本体150内でのプレフィルドシリンジ702の移動を抑制している。従って、第6実施形態によっても、デッドスペースを有効利用することでシリンジ包装体10Fをコンパクトに構成することが可能となるとともに、包装本体150内でのプレフィルドシリンジ702の位置を良好に保持することが可能となる。
その他、第6実施形態において、第2実施形態及び第5実施形態と共通又は同様の構成部分については、第2実施形態及び第5実施形態と同様の作用効果が得られる。
(参考例)
次に、参考例に係るシリンジ包装体10Gについて説明する。なお、参考例に係るシリンジ包装体10Gおいて、第1実施形態に係るシリンジ包装体10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図26に示すように、参考例に係るシリンジ包装体10Gは、プレフィルドシリンジシステム700と包装ユニット411とを備える。プレフィルドシリンジシステム700のフィルム(封止フィルム)764の外面には、針ユニット760に関する視認可能な情報が表示されている。この情報としては、例えば、針体766のゲージ(内径)、外径、長さ(針ハブ768からの突出長)等が挙げられる。
包装ユニット411は、箱型の包装本体12と、包装本体12内に設けられてプレフィルドシリンジシステム700を支持する支持部414とを有している。
支持部414は、樹脂材料を真空成形又は圧空成形することにより形成されている。支持部414を構成する樹脂材料としては、上述した支持部14と同様のものが挙げられる。
図26〜図29に示すように、支持部414は、包装本体12の長手方向に延在した板状のベース部420と、針包装体704の針ユニットケース762を支持する針ユニットケース支持部422と、プレフィルドシリンジ702を支持するシリンジ支持部424とを有する。ベース部420は、包装本体12の底面12aと略同一の大きさに形成された状態でその底面12aに載置されている。すなわち、ベース部420は、包装本体12部の側面12bによって底面12aと平行な方向(矢印X方向及び矢印Y方向)の変位が規制されている。換言すれば、ベース部420は、包装本体12内での針ユニットケース支持部422及びシリンジ支持部424の位置を保持する。
針ユニットケース支持部422は、ベース部420の一端側(矢印X1方向)の端部から底面12aとは反対側(矢印Z2方向)に突出した複数の突出部(第2係止部)426を有する。各突出部426は、針ユニットケース762の凹部792に対応した形状を有しており、その凹部792内に挿入される。複数の突出部426は、凹部792に対応して針ユニットケース762の周方向に等間隔に設けられている。
シリンジ支持部424は、プレフィルドシリンジ702の先端側を支持する先端側支持部432と、プレフィルドシリンジ702の基端側を支持する基端側支持部436とを含む。
先端側支持部432は、ベース部420から矢印Z2方向に向かって突出し、平面視で略U字状に形成されている。先端側支持部432は、ベース部420の幅方向(矢印Y方向)に延在した第1壁部438と、第1壁部438の矢印Y方向の両端部から矢印X2方向に延在した2つの第2壁部440とを有する。第1壁部438は、プレフィルドシリンジ702の接続部720が設けられるU字状の窪み部442が形成されている。窪み部442の矢印Z2方向の壁面442aの高さ寸法(ベース部420と壁面442aとの間隔)は、キャップ714がベース部420に接触しない程度に設定されている。各第2壁部440のうち互いに対向する面には、互いに近接する方向に突出して外筒712の第1開口部728内に挿入される第1凸部(先端側凸部)444が設けられている。各第1凸部444は、第1開口部728の形状に対応して矢印X方向に延在している。
基端側支持部436は、ベース部420から矢印Z2方向に向かって突出している。基端側支持部436は、矢印X方向に延在して矢印Y方向に互いに離間した状態で対向した2つの第3壁部446を有する。第3壁部446の矢印X1方向側には、互いに近接する方向に突出して外筒712の第3開口部732内に挿入される第2凸部(基端側凸部)448が設けられている。第2凸部448は、第3開口部732の形状に対応して矢印Z方向に延在している。各第3壁部446の基端部には、互いに近接する方向に延出した第4壁部450が設けられている。互いに対向する第4壁部450の間隔は、押子フランジ746の外形よりも狭く押子708の軸部738が挿入可能な大きさである。
このように構成されたシリンジ包装体10Gでは、針包装体704は、針ユニットケース支持部422の突出部426の内側に挿入される。具体的には、針ユニットケース762の凹部792に複数の突出部426が挿入される。これにより、針ユニットケース支持部422によって針ユニットケース762の支持部414に対する矢印X方向及び矢印Y方向の変位が規制される。また、支持部414に対する針ユニットケース762の周方向(軸線回り)の回転が規制される。
一方、プレフィルドシリンジ702は、先端側支持部432及び基端側支持部436に対して取り付けられる。具体的には、プレフィルドシリンジ702の接続部720は、先端側支持部432の窪み部442内に挿入され、プレフィルドシリンジ702の外筒712は、互いに対向する第2壁部440の間の空間と互いに対向する第3壁部446の間の空間に挿入され、押子708は、互いに対向する第4壁部450の間の空間に挿入される。
これにより、第1壁部438によって外筒712の支持部414(押子708)に対する矢印X1方向の変位が規制され、第2壁部440及び第3壁部446によって外筒712の支持部414に対する矢印Y方向の変位が規制され、第4壁部450によって外筒712の支持部414(押子708)に対する矢印X2方向の変位が規制される。また、第4壁部450によって、押子708の支持部414に対する矢印Y方向の変位が規制されるとともに押子708(押子フランジ746)の支持部414(外筒712)に対するX2方向の変位が規制される。なお、プレフィルドシリンジ702がシリンジ支持部424に取り付けられた状態でキャップ714は、支持部414にも包装本体12にも接触していない。
ところで、特許第5756793号公報には、未使用状態でプレフィルドシリンジと針ユニットとが互いに分離されたプレフィルドシリンジが開示されている。このようなプレフィルドシリンジは、予め薬剤が充填された内筒(バレル)と、内筒の先端部に取り外し可能に設けられたキャップとを備える。そして、プレフィルドシリンジは、包装ユニットの包装本体に収納された状態で輸送されるが、輸送時の振動によって、キャップが包装ユニット411に当たり緩むおそれがある。
本参考例によれば、キャップ714が包装ユニット411に接触していないため、輸送時の振動によりキャップ714が緩むことを抑えることができる。また、支持部414の第1凸部444が第1開口部728に挿入される(係合する)ため、輸送時の振動によってプレフィルドシリンジ702が包装ユニット411に対して変位してキャップ714が包装ユニット411に接触することを抑えることができる。
さらに、2つの第1開口部728が互いに対向しているため、プレフィルドシリンジ702の先端側の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。さらにまた、第1開口部728が薬剤視認用の貫通孔であるため、外筒712の構成を簡素化することができる。
本参考例では、外筒712の基端側に位置する第3開口部732に支持部414の第2凸部448が挿入されるため、プレフィルドシリンジ702の基端側の包装ユニット411に対する変位を抑えることができる。また、2つの第3開口部732が互いに対向しているため、プレフィルドシリンジ702の基端側の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。さらに、第3開口部732は、内筒710内に押子708を組み付けるための貫通孔であるため、外筒712の構成を簡素化できる。
本参考例によれば、内筒710の先端部に設けられた接続部720のねじ部718(図2参照)とキャップ714のねじ部716(図2参照)との螺合作用によってキャップ714の接続部720に対する着脱操作を簡単に行うことができる。この場合であっても、輸送時の振動によってキャップ714が包装ユニット411に当たり緩むことを抑えることができる。
本参考例において、支持部414は、包装本体12内で第1凸部444の位置を保持するベース部420を有するため、輸送時の振動によってキャップ714が包装本体12に当たることを抑えることができる。
また、針ユニットケース762が針ユニットケース支持部422によって支持されているため、針ユニットケース762の包装ユニット411に対する変位を抑えることができる。さらに、針ユニットケース支持部422がベース部420に設けられているため、針ユニットケース762の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。
さらにまた、針ユニットケース762の凹部792に針ユニットケース支持部422の突出部426が挿入されている。そのため、針ユニットケース762の凸部794と針ユニットケース支持部422の突出部426とが接触することにより支持部414に対する針ユニットケース762の軸線回りの回転が規制される。これにより、封止フィルム764の外面に表示された視認可能な情報を一定の向きに保持することができる。よって、包装本体12を開封した際に、針ユニット760に関する情報を容易に視認することができる。
[参考例のまとめ]
参考例に係るシリンジ包装体10Gは、プレフィルドシリンジ702と未使用状態でプレフィルドシリンジ702に対して接続可能に分離された針ユニット760とを有するプレフィルドシリンジシステム700を備える。シリンジ包装体10Gは、プレフィルドシリンジシステム700を収容する包装本体12と包装本体12内に配設されてプレフィルドシリンジシステム700を支持する支持部414とを含む包装ユニット411を備える。
プレフィルドシリンジ702は、薬剤が充填された内筒710と、内筒710の外側に設けられた外筒712と、内筒710の先端部に取り外し可能に装着された封止キャップ(キャップ714)と、を有する。外筒712の外周面には、凹部(第1開口部728及び第3開口部732)が形成されている。支持部414には、凹部に係合する凸部(第1凸部444及び第2凸部448)が設けられている。凹部に凸部が係合されることによりプレフィルドシリンジ702の包装ユニット411に対する変位が規制される。キャップ714は、包装ユニット411に対して離間している。
このような構成によれば、キャップ714が包装ユニット411に接触していないため、輸送時にキャップ714が緩むことを抑えることができる。また、支持部414の凸部が外筒712の凹部に係合するため、輸送時の振動によってプレフィルドシリンジ702が包装ユニット411に対して変位してキャップ714が包装ユニット411に接触することを抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、凹部は、外筒712の先端側に位置する先端側凹部(第1開口部728)を有し、凸部は、先端側凹部に係合する先端側凸部(第1凸部444)を有する。
このような構成によれば、プレフィルドシリンジ702の先端部(キャップ714)の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、先端側凹部(第1開口部728)は、互いに対向するように外筒712に複数設けられ、先端側凸部(第1凸部444)は、各先端側凹部(第1開口部728)に係合するように複数設けられている。
このような構成によれば、プレフィルドシリンジ702の先端側の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、先端側凹部(第1開口部728)は、外筒712の外側から内筒710内の薬剤を視認するための貫通孔である。
このような構成によれば、薬剤視認用の貫通孔を利用するため、外筒712の構成を簡素化できる。
シリンジ包装体10Gにおいて、凹部は、外筒712の基端側に位置する基端側凹部(第3開口部732)を有し、凸部は、基端側凹部に係合する基端側凸部(第2凸部448)を有する。
このような構成によれば、プレフィルドシリンジ702の基端側の包装ユニット411に対する変位を抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、基端側凹部(第3開口部732)は、互いに対向するように外筒712に複数設けられ、基端側凸部(第2凸部448)は、各基端側凹部(第3開口部732)に係合するように複数設けられている。
このような構成によれば、プレフィルドシリンジ702の基端側の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、基端側凹部(第3開口部732)は、内筒710内に押子708を組み付けるための貫通孔である。
このような構成によれば、押子組付用の貫通孔を利用するため、外筒712の構成を簡素化できる。
シリンジ包装体10Gにおいて、内筒710の先端部には、第1ねじ部(ねじ部718)を有する接続部720が設けられ、キャップ714は、第1ねじ部に螺合可能な第2ねじ部(ねじ部716)を有する。
このような構成によれば、第1ねじ部と第2ねじ部の螺合作用によって、キャップ714の接続部720に対する着脱操作を簡単に行うことができる。この場合であっても、輸送時の振動によってキャップ714が包装ユニット411に当たり緩むことを抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、支持部414は、包装本体12内での凸部(第1凸部444及び第2凸部448)の位置を保持するベース部420を有する。
このような構成によれば、輸送時に振動によってキャップ714が包装本体12に当たることを抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、プレフィルドシリンジシステム700は、生体に穿刺可能な針ユニット760と針ユニット760を収容した針ユニットケース762とを含む針包装体704を備える。支持部414は、針ユニットケース762を支持する針ユニットケース支持部422を有する。
このような構成によれば、針包装体704の包装ユニット411に対する変位を抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、針ユニットケース支持部422は、ベース部420に設けられている。
このような構成によれば、針包装体704の包装ユニット411に対する変位を効果的に抑えることができる。
シリンジ包装体10Gにおいて、針ユニットケース762は、内部に針ユニット760が設けられたケース本体763と、ケース本体763を封止する封止フィルム764と、を有する。封止フィルム764の外表面には、針ユニット760に関する視認可能な情報が表示されている。針ユニットケース762の外面には、第1係止部(凸部794)が設けられている。針ユニットケース支持部422は、第1係止部に係止することにより支持部414に対する針ユニットケース762の軸線周りの変位を規制する第2係止部(突出部426)を有する。
このような構成によれば、針ユニットケース762の軸線回りに沿った包装ユニット411に対する回転が規制されるため、封止フィルム764の外面に表示された視認可能な情報を一定の向きに保持することができる。これにより、包装本体12を開封した際に、針ユニット760に関する情報を容易に視認することができる。
本発明に係る包装体は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。