JP6933200B2 - 形状最適化解析方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、形状最適化解析方法及び装置に関し、特に、車両の耐衝突性能を向上させる客室部を求める形状最適化解析方法及び装置に関する。
なお、本明細書において形状最適化と称する場合には、予め所定形状、例えばT字形状を想定し、その形状を前提として最適な形状を求めることではなく、所定の形状を想定することなく、解析条件を満たす最適な形状を求めることを意味する。
自動車の衝突安全性能への要求は年々厳格化しており、車体構造にはパッシブセーフティとして衝突に対応した機能が求められる。一方、燃費規制の問題から車体には軽量化が求められており、軽量化かつ高性能な車体構造を創造できる技術としてトポロジー最適化などの最適化技術が知られている。
トポロジー最適化とは、最適化の対象とする領域である設計空間を設けて、当該設計空間に立体要素を組み込み、そこから要求特性を満たし必要最小限な部位を残存させるという最適化方法のことをいう。トポロジー最適化を用いることで、例えば自動車等の構造体の剛性を高めると共に軽量化したり、軽量化するとともに耐衝突性能を向上させるための構造体の形状最適化を実現することができる。
このようなトポロジー最適化に関する技術として、車体構造の最適化による耐衝突性能の向上と耐衝突性能を所定値に保持しつつ軽量化を実現するための技術が特許文献1に開示されている。
特開2014―149733号公報
トポロジー最適化を行う上で、車両に与える荷重条件を適切に設定することが重要である。一方、衝突解析は被衝突体(例えば、剛体壁)へ衝突させる車両に初期速度を与えて変形の計算を行うものであり、衝突による荷重を車両に与えて計算する形式になっていない。このためトポロジー最適化のためには衝突解析の結果から最適化計算に必要な荷重条件を抽出することが必要となる。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、荷重を与えることは示されていても、その荷重条件をどのように抽出するかまでは具体的に示されていなかった。
また、仮に、塑性変形量が小さく弾性に近い領域での衝突解析の変位のコンター図とトポロジー最適化を行う弾性解析での変位のコンター図とが一致するように荷重条件を設定するとした場合、変位のコンター図を目視で比較して判断した場合には定性的となり、CAEに重要な荷重条件の精度が低くなる可能性が高い。さらに変位のコンター図が一致するまで荷重条件を少しずつ変更して再計算する作業を繰り返す必要があるため、荷重選定時の時間的負担が大きくなる課題もあった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、車両の衝突解析での変形を模擬するために形状最適化解析で設定する荷重条件を定量的に求め、衝突に対する車両の最適な形状を精度良く効率的に求めることができる形状最適化解析方法及び装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る形状最適化解析方法は、客室部を有する車両が被衝突体に衝突した際の該衝突に対する前記客室部の最適な形状を求めるために、コンピュータが以下の各ステップを行うものであって、前記車両を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデルを取得し、該衝突解析モデルを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、該衝突解析モデルにおける客室部の衝突による変形の変位を取得する衝突解析ステップと、平面要素及び/又は立体要素でモデル化した前記客室部を少なくとも有する弾性解析モデルを取得し、該弾性解析モデルに異なる荷重条件を設定して弾性解析を行い、前記異なる荷重条件ごとに前記客室部の弾性変形の変位を取得する弾性解析ステップと、該弾性解析ステップにおいて前記異なる荷重条件ごとに取得した前記客室部の弾性変形の変位と前記衝突解析ステップにおいて取得した前記客室部の衝突による変形の変位とを比較し、前記衝突による変形の変位との間で所定の条件を満たす前記弾性変形の変位となる前記荷重条件を選出する荷重条件選出ステップと、該荷重条件選出ステップで選出した荷重条件を用いて前記客室部の最適な形状を求める形状最適化解析を行う形状最適化解析ステップと、を備えたことを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記車両は、前記客室部の車両前方側及び車両後方側に衝突エネルギーを吸収するクラッシャブルゾーンを有し、前記衝突解析ステップは、前記衝突解析モデルにおける前記車両前方側又は車両後方側の前記クラッシャブルゾーンを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、前記被衝突体に作用する前記衝突解析モデルからの反力が最大値を示してから前記客室部が座屈変形を開始するまでの間における該客室部の変位を取得する、ことを特徴とするものである。
(3)本発明に係る形状最適化解析装置は、客室部を有する車両が被衝突体に衝突した際の該衝突に対する前記客室部の最適な形状を求めるものであって、前記車両を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデルを取得し、該衝突解析モデルを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、該衝突解析モデルにおける客室部の衝突による変形の変位を取得する衝突解析部と、平面要素及び/又は立体要素でモデル化した前記客室部を少なくとも有する弾性解析モデルを取得し、該弾性解析モデルに異なる荷重条件を設定して弾性解析を行い、前記異なる荷重条件ごとに前記客室部の弾性変形の変位を取得する弾性解析部と、該弾性解析部により前記異なる荷重条件ごとに取得した前記客室部の弾性変形の変位と前記衝突解析部により取得した前記客室部の衝突による変形の変位とを比較し、前記異なる荷重条件のうち、前記衝突による変形の変位との間で所定の条件を満たす前記弾性変形の変位となる荷重条件を選出する荷重条件選出部と、該荷重条件選出部により選出した荷重条件を用いて前記客室部の最適な形状を求める形状最適化解析を行う形状最適化解析部と、を備えたことを特徴とするものである。
(4)上記(3)に記載のものにおいて、前記車両は、前記客室部の車両前方側及び車両後方側に衝突エネルギーを吸収するクラッシャブルゾーンを有し、前記衝突解析部は、前記衝突解析モデルにおける前記車両前方側又は車両後方側の前記クラッシャブルゾーンを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、前記被衝突体に作用する前記衝突解析モデルからの反力が最大値を示してから前記客室部が座屈変形を開始するまでの間における該客室部の変位を取得する、ことを特徴とするものである。
本発明によれば、車両の衝突解析による変形を模擬するために形状最適化解析で設定する荷重条件を定量的に求めることができ、衝突に対する車両の最適な形状を求めることができる。また、これによって、耐衝突性能の精度良い向上を図ることができて、さらに、良好な耐衝突性能を保持しつつ、精度良い軽量化を効率的に実現できる。
本発明の実施の形態に係る形状最適化解析装置のブロック図である。 本発明で解析対象とする車両を説明する図である。 衝突解析で求められたダッシュボードの衝突による変形の変位の分布の一例である。 本実施の形態において、車両のスモールオーバーラップ衝突を対象とした衝突解析で求められた剛体壁に作用する反力と当該車両における客室部の相当塑性ひずみの時間変化を示すグラフである。 本実施の形態で用いた弾性解析モデルを示す図である(その1)。 本実施の形態で用いた弾性解析モデルを示す図である(その2)。 本実施の形態において弾性解析モデルに設定する荷重の負荷位置と負荷方向を示す図である(その1)。 本実施の形態において弾性解析モデルに設定する荷重の負荷位置と負荷方向を示す図である(その2)。 本実施の形態において形状最適化解析で生成した最適化ブロックモデルを示す図である。 本実施の形態において形状最適化解析で求められた客室部の最適形状を示す図である。 本実施の形態に係る形状最適化解析方法の処理の流れを示す図である。 本実施の形態に係る形状最適化解析方法において形状最適化解析ステップでの処理の流れを示す図である。 本実施例において、形状最適化解析で荷重条件として与えた荷重値の組合せの範囲を示すグラフである。 本実施例において、弾性解析での荷重条件として与えたY方向の荷重値と、衝突による変形の変位と弾性変形の変位との一致率との関係を示すグラフである。 本実施例において、発明例に係る荷重条件を示す図である。 本実施例において、比較例に係る荷重条件を示す図である。 本実施例において、比較例に係る客室部の最適形状を示す図である。 本実施例において、発明例に係る客室部の最適形状に基づいて求めた客室部の発明構造を示す図である。 本実施例において、比較例に係る客室部の最適形状に基づいて求めた客室部の比較構造を示す図である。
本発明の実施の形態に係る形状最適化解析方法及び装置について説明するに先立ち、本実施の形態で対象とする車両について説明する。
<車両>
本実施の形態に係る車両は、車体骨格(ホワイトボデー)に蓋物等の艤装品やタイヤ等が設定されているものであり、図2に例示するように、乗員の居住空間Lを形成する客室部41と、客室部41の車両前方側及び車両後方側に配設されて車両40が被衝突体(図示なし)に衝突したときの衝突エネルギーを吸収するクラッシャブルゾーン43と、を有している。
客室部41は、図2に示すように、車両40の車両前後方向において、車両前方側に設置されたダッシュボード45からフロア部47の後端47aまでの領域とし、ダッシュボード45と、フロア部47と、フロア部47の上面に設置されたセンタートンネル部49を備えてなる。
クラッシャブルゾーン43は、車両40が被衝突体と衝突したときに潰れて衝突エネルギーを吸収することにより、客室部41に入力する衝突荷重を低減させて客室部41の衝突による変形を抑制させる。
なお、本願の明細書及び図面において、車両前後方向、車両左右方向及び車両上下方向は、それぞれ、X方向、Y方向及びZ方向と表すものとする。
<形状最適化解析装置>
本実施の形態に係る形状最適化解析装置1は、図1に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成され、表示装置3、入力装置5、記憶装置7、作業用データメモリ9及び演算処理部11を有している。
そして、表示装置3、入力装置5、記憶装置7及び作業用データメモリ9は、演算処理部11に接続され、演算処理部11からの指令によってそれぞれの機能が実行される。
以下、本実施の形態に係る形状最適化解析装置1の各構成について説明する。
≪表示装置≫
表示装置3は、解析結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
≪入力装置≫
入力装置5は、操作者による構造体モデルファイル7aの表示指示や解析条件の入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
≪記憶装置≫
記憶装置7は、構造体モデルファイル7aを記憶するものである。構造体モデルファイル7aとは、車両40を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデルの各種情報が格納された衝突解析モデルファイル、及び、平面要素及び/又は立体要素でモデル化した客室部41を少なくとも有する弾性解析モデルの各種情報が格納された弾性解析モデルファイルをいうものとする。
衝突解析モデルファイル及び弾性解析モデルファイルに格納されている情報としては、衝突解析モデルや弾性解析モデルの要素や節点に関する情報や、材料特性に関する情報、等が挙げられる。
なお、衝突解析モデル及び弾性解析モデルはいずれも、平面要素のみ、または、立体要素のみによってモデル化されたものであってもよいし、あるいは、平面要素と立体要素の組合せによってモデル化されたものであってもよい。
≪作業用データメモリ≫
作業用データメモリ9は、演算処理部11による計算結果を記憶するデータ記憶領域9aと、演算処理部11が計算処理を行うための作業領域9bとを有し、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
≪演算処理部≫
演算処理部11は、図1に示すように、衝突解析部13と、弾性解析部15と、荷重条件選出部17と、形状最適化解析部19と、を有し、PC等コンピュータのCPU(中央演算処理装置)によって構成される。これらの各部は、CPUが所定のプログラムを実行することによって機能する。
演算処理部11における上記の各部の機能を以下に説明する。
(衝突解析部)
衝突解析部13は、客室部41とクラッシャブルゾーン43とを有する車両40を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデル(図示なし)を取得し、該衝突解析モデルを被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、該衝突解析モデルにおける客室部の衝突による変形の変位を取得するものである。
衝突解析部13による衝突解析においては、耐衝突性能の評価対象とする衝突試験に応じて解析条件を設定する。衝突試験としては、前面衝突、側面衝突、後面衝突、スモールオーバーラップ衝突等が挙げられる。このうち、スモールオーバーラップ衝突とは、試験に供する車両を64km/hの速度で車幅の25%を被衝突体としての剛体壁に衝突させるものをいう。本実施の形態では、スモールオーバーラップ衝突を対象とする。スモールオーバーラップ衝突を対象とする衝突解析における解析条件として、衝突解析モデルの速度、被衝突体である剛体壁の位置を与えればよい。
衝突解析部13により衝突解析モデルの客室部における衝突による変形の変位を取得する評価点の位置として、衝突により客室部の変形が居住空間L(図2参照)に侵入して乗員に障害を与えるおそれがあり、塑性変形せずに弾性変形でおさめることが望ましい部位とすることが好ましい。
図3に、スモールオーバーラップ衝突における衝突解析モデルのダッシュボード57の一部の衝突による変形の変位の解析結果を示す。
図3に示す変位は、衝突による変形の変位の最大値により規格化したものであり、ダッシュボード57のステアリングシャフト付け根部57a及び足元周りフロア部57bの変位が大きい結果が得られた。この結果から、これらの部位の衝突による変形が乗員に障害を負わせる可能性が懸念される。
そこで、本実施の形態では、衝突解析モデルにおける客室部の下部を構成する部品における全9万点の節点の中から、ステアリングシャフト付け根部57a及び足元周りフロア部57bに含まれる1175点の節点を変位の評価点として抽出し、各評価点における衝突による変形の変位を取得した。
また、衝突による変形の変位は、衝突開始からの経過時間に応じて変化するが、衝突解析部による変形の変位を取得するタイミングとしては、被衝突体との衝突を開始してからの所定の経過時間とし、適宜設定すればよい。
もっとも、衝突解析部13による衝突解析において車両が被衝突体との衝突を開始すると、まず、衝突解析モデルにおけるクラッシャブルゾーンが潰れて衝突エネルギーを吸収し、続いて、客室部に衝突による荷重が作用して塑性変形である座屈変形を開始する。そのため、衝突解析部13は、衝突による荷重が客室部に作用してから該客室部が座屈変形を開始する直前までの間を対象とすることが好ましい。
衝突による荷重が客室部に作用して座屈変形を開始するタイミングを判断する指標としては、衝突解析において被衝突体に作用する反力の時間変化や、客室部における各節点のひずみの時間変化を用いることができる。
図4に、衝突解析により求めた被衝突体としての剛体壁に作用する反力と、客室部に設定した変位の評価点を節点として有する要素(36要素)の相当塑性ひずみの時間変化のグラフの一例を示す。
反力は、衝突開始から増加して15msecで最大値を示した後に減少する。そして、反力は35msecで極小値となった後、再度、増加し、45msecで極大値となった。その後、反力は減少し、70msec以降は0となり、車両の衝突による変形は終了した。
相当塑性ひずみの時間変化については、衝突終了時に相当塑性ひずみが2%以上となる要素の相当塑性ひずみは、衝突開始から45〜60msecにおいて急激に増加する傾向が見られた。また、前述のとおり、剛体壁に作用する反力は45msec以降では減少した。
これらの結果から、衝突開始から15msec〜35msecにおいては、クラッシャブルゾーンが塑性変形して衝突エネルギーを吸収し、35msec〜45msecにおいては、クラッシャブルゾーンの塑性変形が概ね終了して衝突による荷重が客室部に作用して弾性変形し、45msec以降では客室部が弾性限界を越えて塑性変形を開始していると考えられる。
したがって、図4に示す結果によれば、客室部の衝突による変形の変位を取得するタイミングとして、客室部に衝突による荷重が作用して弾性変形しつつ座屈変形する前である35msec〜45msecとすることが好ましい。もっとも、45msecにおいては、座屈変形前の不安定な状態である可能性があるため、客室部の弾性変形が安定状態にあると考えられる40msecにおける変位を取得することがより好ましい。
(弾性解析部)
弾性解析部15は、平面要素及び/又は立体要素によりモデル化された客室部を少なくとも有する弾性解析モデルを取得し、該弾性解析モデルに異なる荷重条件を設定して弾性解析を行い、前記異なる荷重条件ごとに客室部の弾性変形による変位を取得するものである。
本実施の形態において、弾性解析部15は、まず、図5及び図6に示すような、客室部61の一部であるダッシュボード63、フロア部65及びセンタートンネル部67と、車体骨格の一部であるAピラーロア69とフロントサイドメンバ71と、を有する弾性解析モデル60を取得する。そして、弾性解析モデル60に荷重条件を与えて弾性解析を行う。
弾性解析部15により弾性解析を行うために与える荷重条件としては、荷重の負荷位置、負荷方向及び荷重値が挙げられる。このうち、後述する形状最適化解析において最適な荷重条件を決めるためには、荷重の負荷位置、負荷方向及び荷重値のそれぞれについて複数の条件を設定し、その組合せを変更することで、異なる荷重条件を設定する。
荷重の負荷位置及び負荷方向については、対象とする衝突試験に応じて適宜設定すればよい。例えば、スモールオーバーラップ衝突試験を対象として衝突解析を行った場合、客室部61に荷重が入力する位置としては、図7に示すAピラーロア69の先端部69a及び下部69bと、図8に示すフロントサイドメンバ71の根元部71aが好ましく、荷重の負荷方向は、車両前後方向(X方向)及び車両左右方向(Y方向)の2方向とすることが好ましい。そして、荷重値としては、荷重の各負荷位置及び負荷方向について複数を設定すればよい。
例えば、荷重値として、表1に示すように、Aピラーロア69の先端部69aにおいてX方向(車両前後方向)の荷重値(FX)及びY方向の荷重値(FY)それぞれについて10条件、Aピラーロア69の下部69bにおいてX方向で8条件、Y方向で9条件、フロントサイドメンバ71の根元部71aにおいてX方向で10条件、Y方向で7条件とする。
Figure 0006933200
この場合、荷重の負荷方向及び荷重値の総当たりで組合せると、荷重条件は50万通り以上となり、全ての荷重条件について弾性解析を行うのは多大な計算時間を要して現実的ではない。
このような場合、例えば、対象とする衝突試験に応じて荷重の負荷方向と荷重値との関係について何らかの制限を設ければよい。本実施の形態では、車両の前方側が衝突する前突であることから、X方向の荷重値(FX)とY方向の荷重値(FY)とがFX≧FYの関係を満たし、さらに、衝突解析による変位のコンター図においてフロントサイドメンバとの接続部(図3中の破線楕円で囲まれた部位)が大きく変形していたことから、フロントサイドメンバ71の根元部71aに入力する荷重値を最大とする、という2つの制限を設けることができる。
このような制限を設けることにより、Aピラーロア69の先端部69aと下部69b、及び、フロントサイドメンバ71の根元部71aに与える荷重の負荷方向及び荷重値の組合せとして、1843通りの荷重条件が設定される。
そして、このように設定した異なる荷重条件ごとに、客室部の弾性変形の変位を取得する。ここで、弾性変形の変位を取得する位置は、衝突解析部13により変位を取得する評価点と同一位置又はこれに相当する位置とする。
なお、弾性解析部15による弾性解析においては、本実施の形態では、車両の衝突による客室部の変形挙動を対象としていることから、弾性解析モデル60(図5)に拘束点を設定する拘束条件は与えず、慣性リリーフ法を適用する。
また、弾性解析モデル60は、図5及び図6に示すように、客室部61と車体骨格(Aピラーロア69、フロントサイドメンバ71等)を平面要素及び/又は立体要素でモデル化したものを取得すればよい。もっとも、客室部61のみをモデル化したものを取得してもよい。
さらに、荷重の負荷方向は、車両前後方向、車両左右方向の2方向に限定されるものではなく、車両前後方向(X方向)、車両左右方向(Y方向)及び車両上下方向(Z方向)のうちの任意の一又は複数の方向とすることができ、対象とする衝突試験に応じて荷重の負荷方向を選択すればよい。
(荷重条件選出部)
荷重条件選出部17は、弾性解析部15により異なる荷重条件ごとに取得した客室部61の弾性変形の変位と衝突解析部13により取得した客室部の衝突による変形の変位とを比較し、前記異なる荷重条件のうち前記衝突による変形との間で所定の条件を満たす前記弾性変形となる荷重条件を選出するものである。
本実施の形態において、荷重条件を選出するための所定の条件は以下のとおりである。
まず、弾性解析部15により取得した客室部61の弾性変形の変位と衝突解析部13により取得した客室部の衝突による変形の変位の各評価点での偏差を求め、該求めた偏差が予め定めた閾値以下であるかどうかを判定する。
閾値以下であると判定された場合には、当該評価点における衝突による変形の変位と弾性変形の変位とが一致していると判定し、閾値以下でないと判定された場合には、当該評価点における変位は不一致であると判定する。
そして、全ての評価点について変位の一致・不一致を判定し、変位の一致率を算出する。
このよう、弾性解析部により設定した異なる荷重条件ごとに変位の一致率を算出し、全ての荷重条件のうち、変位の一致率が最も高い荷重条件を選出する。
本実施の形態においては、Aピラーロア69の先端部69aにおいてFX=150N、FY=150N、下部69bにおいてFX=200N、FY=150N、フロントサイドメンバ71の根元部71aにおいてFX=250N、FY=250Nとしたときの変位の一致率が70%となり、最も変位の一致率が高い荷重条件として選出された。
なお、上記の説明において荷重条件を選出するための所定の条件は、衝突による変形の変位と弾性変形の変位との偏差に基づいて算出した一致率を用いたものであるが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、応力やひずみの条件が挙げられる。
(形状最適化解析部)
形状最適化解析部19は、荷重条件選出部17により選出した荷重条件を用いて客室部最適な形状を求める形状最適化解析を行うものであり、図1に例示するように、構造体モデル取得部21、設計空間設定部23、最適化ブロックモデル生成部25、結合処理部27、材料特性設定部29、解析条件設定部31、最適化解析部33、とを有する。形状最適化解析部19としては、例えば以下の参考文献1に開示されている形状最適化解析装置の一部を用いることができる。
(参考文献1)特開2014−149733号公報
構造体モデル取得部21は、形状最適化解析の対象となる構造体モデルを取得するものであり、本実施の形態では、構造体モデルとして弾性解析モデル60(図5及び図6)を取得する。
設計空間設定部23は、構造体モデルの一部に最適化の対象となる部分を設計空間として設定するものであり、前述の参考文献1における形状最適化解析装置の設計空間設定部に相当する。本実施の形態では、弾性解析モデル60における客室部61の一部であるダッシュボード63、フロア部65及びセンタートンネル部67を削除し、該削除した部位に設計空間を設定する。
本実施の形態では、ダッシュボード63については厚さ25mm、フロア部65については高さ70mm、センタートンネル部67については高さ30mmという寸法で設計空間を設定した。
最適化ブロックモデル生成部25は、設計空間設定部23により設定された設計空間に最適化の解析処理を行うための最適化ブロックモデルを生成するものであり、参考文献1の形状最適化解析装置の最適化ブロックモデル生成部に相当する。
最適化ブロックモデル生成部25により生成された最適化ブロックモデルは、設計空間設定部23により設定された設計空間に入る大きさで任意の形状にすることができる。
図9に、本実施の形態において生成した最適化ブロックモデル81を示す。最適化ブロックモデル81には、弾性解析モデル60(図5及び図6)におけるダッシュボード63、フロア部65及びセンタートンネル部67に相当する部位として、ダッシュボード83、フロア部85及びセンタートンネル部87がそれぞれ設定され、最適化ブロックモデル81は、六面体立体要素によって要素サイズが約7.5mmとなるようにメッシュ化されている。
結合処理部27は、最適化ブロックモデル生成部25により生成された最適化ブロックモデル81を、設計空間を削除した構造体モデルに結合する処理を行い、最適化解析モデル(図示なし)を生成するものであり、参考文献1の形状最適化解析装置の結合処理部に相当する。
最適化ブロックモデルと構造体モデルとの結合には、剛体要素、板要素または梁要素を用いることができる。
材料特性設定部29は、最適化ブロックモデル81にヤング率や比重、降伏強度や引張強度を表す応力−ひずみ曲線等の材料特性を設定するものであり、参考文献1の形状最適化解析装置の材料特性設定部に相当する。
解析条件設定部31は、衝突に関する最適形状を求めるために最適化解析モデルに解析条件を設定するものであり、参考文献1の形状最適化解析装置の衝突最適化条件設定部及び衝突解析条件設定部に相当する。
解析条件としては、最適化解析についての最適化条件と、最適化解析を行うために与える荷重条件とがある。そして、最適化条件には、目的条件と制約条件とがある。
目的条件は、構造体モデルの目的に応じて設定される条件であり、例えば、ひずみエネルギーを最小にする、発生応力を最小にする、吸収エネルギーを最大にする等がある。目的条件は1つだけ設定する。
制約条件は、最適化解析を行う上で課す制約であり、例えば、最適化前の最適化ブロックモデル81の体積に対して最適化後の最適化ブロックモデルの体積比率である材料体積率、任意の部分の変位等がある。制約条件は、複数設定可能である。
本実施の形態において、目的条件は設定した評価点における変位の最小化、制約条件は、材料体積率20%以下とした。ここで、変位の評価点は、図3に示したステアリングシャフト付け根部57aおよび足元周りフロア部57bの評価点9点を車幅方向に左右対称とした18点とした。
また、荷重条件は、構造体モデルの拘束位置や衝突荷重を与える位置等についての条件であり、本実施の形態では、荷重条件選出部17により選出された荷重条件を与える。
最適化解析部33は、最適化解析を行う際に最適化ブロックモデル81における各立体要素の要・不要に関する情報を演算するものであり、参考文献1の形状最適化解析装置の立体要素要・不要部と最適形状決定部に相当する。
各立体要素の要・不要に関する情報としては、例えば、各立体要素の材料密度がある。最適化解析における材料密度は、1.0〜0.0の範囲で設定され、材料密度が1.0であれば当該立体要素はその全体が材料であって目的条件に対して必要であることを意味し、材料密度が0.0であれば当該立体要素は空孔であって目的条件に対して不要であることを意味する。
最適化解析部33により、最適化ブロックモデル81における各立体要素のうち、与えられた最適化解析条件を満たす立体要素については、「要」を意味する情報(例えば、材料密度が0.6以上等)が演算される。
図10に、最適化ブロックモデル81について求めた最適形状91の一例を示す。
なお、最適化解析部33は、ペナルティ係数を用いて最適化パラメータの離散化を行うことが好ましい。ペナルティ係数としては、2以上または基準となる立体要素のサイズの3〜20倍を制限にすることが好ましい。
最適化パラメータの離散化を行うことで、薄板の構造体形状に反映することが可能となる。
最適化解析部33による最適化処理としては、トポロジー最適化を行うものでもよいし、他の計算方式による最適化処理であってもよい。また、最適化解析部33としては、例えば市販されている有限要素法を用いた解析ソフトを用いることができる。
さらに、最適化解析部33は、衝突試験において車両に作用する慣性力を慣性リリーフ法により考慮して最適化解析を行うとよい。慣性リリーフ法とは、慣性力の座標の基準となる支持点において物体が支持された状態(自由支持状態)で等加速度運動中の物体に作用する力から応力やひずみを求める解析手法であり、運動中の飛行機や船の静解析に使用されている。
<形状最適化解析方法>
本実施の形態に係る形状最適化解析方法は、図2に示すような客室部41を有する車両40が被衝突体に衝突した際の該衝突に対する客室部41の最適な形状を求めるものであって、図11に示すように、衝突解析ステップS1と、弾性解析ステップS3と、荷重条件選出ステップS5と、形状最適化解析ステップS7と、を備えている。
以下、各ステップについて説明する。なお、以下の説明では、各ステップとも、コンピュータによって構成された形状最適化解析装置1を用いて実行するものとしている。
<衝突解析ステップ>
衝突解析ステップS1は、車両40を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデルを取得し、該衝突解析モデルを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、該衝突解析モデルにおける前記客室部の衝突による変形の変位を取得するものであり、形状最適化解析装置1においては衝突解析部13が行うものである。
衝突解析ステップS1において、衝突解析モデルにおけるクラッシャブルゾーンを被衝突体に衝突させる衝突解析を行う場合、被衝突体に作用する衝突解析モデルからの反力が最大値を示してから客室部が座屈変形を開始するまでの間における客室部の変位を取得することが好ましい。
さらに、前述の図4に示すように、客室部が塑性変形を開始する直前において反力が極小値を示す場合にあっては、衝突開始後にクラッシャブルゾーンの塑性変形が概ね終了して衝突による荷重が客室部に作用を開始(図4中のA)してから客室部が弾性限界を越えて塑性変形を開始(図4中のB)するまでの間の時点において客室部の変位を取得することがより好ましい。
<弾性解析ステップ>
弾性解析ステップS3は、少なくとも平面要素及び/又は立体要素でモデル化した前記客室部を有する弾性解析モデルを取得し、該弾性解析モデルに異なる荷重条件を設定して弾性解析を行い、前記異なる荷重条件ごとに前記客室部の弾性変形の変位を取得するものであり、形状最適化解析装置1においては弾性解析部15が行うものである。
<荷重条件選出ステップ>
荷重条件選出ステップS5は、弾性解析ステップS3において異なる荷重条件ごとに取得した客室部の弾性変形の変位と衝突解析ステップS1において取得した客室部の衝突による変形の変位とを比較し、前記異なる荷重条件のうち、衝突による変形の変位との間で所定の条件を満たす弾性変形の変位となる荷重条件を選出するものあり、形状最適化解析装置1においては、荷重条件選出部17が行うものである。
<形状最適化解析ステップ>
形状最適化解析ステップS7は、荷重条件選択ステップS5で選出した荷重条件を用いて前記客室部の最適な形状を求める形状最適化解析を行うものであり、形状最適化解析装置1においては、形状最適化解析部19が行うものである。
形状最適化解析ステップS7における具体的な処理を図12に示す。
まず、形状最適化解析部19の構造体モデル取得部21により、構造体モデル(例えば、図5及び図6に示す弾性解析モデル60)を読み出して表示する(S11)。
次いで、形状最適化解析部19の設計空間設定部23により、設計空間を設定する(S13)。
具体的には、構造体モデルにおいて、最適化処理の対象となる部位の座標を指定し、当該部位の要素を削除する指示を行う。この指示がなされることで、設計空間設定部23が当該部位の要素を削除する処理を行い、設計空間が設定される。
次いで、形状最適化解析部19の最適化ブロックモデル生成部25により、最適化ブロックモデル81(図9)を生成する(S15)。
具体的には、操作者は設計空間に入る大きさの最適化ブロックモデル81の生成を最適化ブロックモデル生成部25に指示する。この指示により、設計空間の内部が立体要素で要素分割された最適化ブロックモデル81が生成される。
次いで、形状最適化解析部19の結合処理部27により、最適化ブロックモデル81と構造体モデルとを結合し、最適化解析モデル(図示なし)を生成する(S17)。
最適化ブロックモデルと構造体モデルとの結合について、操作者は、剛体要素、板要素または梁要素のいずれの要素を用いるかを指示することができる。
次いで、形状最適化解析部19の材料特性設定部29により、最適化ブロックモデル81の材料特性を設定する(S19)。
次いで、形状最適化解析部19の解析条件設定部31により、操作者は、最適化解析モデルに最適化解析条件と荷重条件とを設定する(S21)。
最適化解析条件としては、前述したように、ひずみエネルギーを最小にする、吸収エネルギーを最大にする等の目的条件と、材料体積率等の制約条件を設定する。
荷重条件としては、衝突荷重を加える位置や方向、荷重値を設定する。
次いで、形状最適化解析部19の最適化解析部33により、最適化解析条件および荷重条件に基づいて最適化ブロックモデルについて最適化解析を実行し、最適化ブロックモデルにおける各立体要素の要・不要に関する情報を演算によって求め、該求められた要・不要に関する情報に基づいて最適化ブロックモデルの最適形状を決定する(S19)。
以上、本実施の形態に係る形状最適化解析方法及び装置によれば、衝突解析による変形を模擬するために最適化解析で入力する荷重条件を求めることができ、衝突に対する車両の最適な形状を精度良く求めることができる。
なお、上記の説明において、衝突解析部13及び衝突解析ステップS1では、乗員に障害を与える可能性のある部品の節点を変位の評価点として抽出するものとしたが、本発明は、衝突による変形の変位を取得する評価点の位置は任意であって、客室部を構成する部品の節点に限られず、また、評価点の個数も特に制限はない。
以下、本発明の効果を確認する解析を行ったので、これについて説明する。
本実施例では、上記の実施の形態で述べたように、客室部41とクラッシャブルゾーン43を有する車両40(図2参照)のスモールオーバーラップ衝突を対象とし、客室部の最適形状91を求めた。さらに、最適形状に基づいて客室部の構造(発明構造)を設定し、その重量増加と衝突による変形に伴う客室部内部への侵入量を評価した。
さらに、本実施例では、比較例として、客室部の衝突による変形の変位のコンター図と弾性変形の変位のコンター図とを目視で比較し、双方のコンター図が最も類似している荷重条件を求めた。そして、目視比較により求めた荷重条件を用いて発明例と同様に形状最適化解析を行い、客室部の最適形状を求め、さらに、該最適形状に基づいて客室部の構造(比較構造)を設定し、その重量増加と衝突による変形に伴う客室部内部への侵入量を評価した。
発明例及び比較例ともに、弾性変形による変位を求めるのに用いた弾性解析モデル60(図5及び図6)と、弾性解析モデル60に荷重を負荷する荷重負荷位置及び荷重方向は同一(図7及び図8)としているが、負荷する荷重値の組合せに違いがある。
図13に、発明例及び比較例のそれぞれの荷重条件におけるX方向の荷重値(FX)とY方向の荷重値(FY)の組合せを示す。
発明例においては、荷重条件の設定と、客室部に設定した変位の評価点における変位の偏差の算出と、偏差の一致率の算出とをプログラムにより自動的に行うことが可能であり、本実施例で用いたコンピュータでは1つの荷重条件に対する偏差の一致率を算出までを完了するのに要する時間はわずか約4分であるため、荷重を負荷するX方向の荷重値とY方向の荷重値の組合せとして1843条件について偏差の一致率を算出した。
一方、比較例においては、上記と同じコンピュータで荷重条件を設定して弾性変形による変位を求めた後、変位のコンター図を表示し、衝突による変形の変位と目視で比較する必要があるため、1つの荷重条件に対する操作に約20分を要する。
そのため、同じ時間を掛けて実施した場合、比較例においては、X方向の荷重値とY方向の荷重値の組合せが発明例に比べて少なく、発明例においては非常に広範囲かつ多様な荷重条件についての変位の一致率によって定量的に検討可能となった。
図14に、Aピラーロア69の先端部69aに設定したY方向の荷重(FY)とそのときの変位の一致率の関係を示す。
発明例においては、広範囲かつ多様な荷重値について衝突による変形の変位と弾性変形の変位との偏差を比較したため、比較例と比較して変位の一致率の高い荷重条件を得ることができた。
図15に、発明例において変位の一致率が最大値を示した荷重条件を示し、図16に、比較例において衝突による変形の変位を再現できたと目視比較により判断した荷重条件を示す。
比較例と比較すると、発明例における荷重値は1.5倍から2倍増加していることがわかる。
表2に、比較例と発明例のそれぞれにおける荷重値の組合せと、変位の一致率を示す。発明例における変位の一致率は、比較例に比べて3倍以上向上した。
Figure 0006933200
表2に示す荷重条件により、図1に示す客室部41の一部であるダッシュボード45、フロア部47及びセンタートンネル部49を有する最適化解析モデルを用いて形状最適化解析を行った結果を図10及び図17に示す。図10は、発明例に係る荷重条件を与えた結果であり、図17は、比較例に係る荷重条件を与えた結果である。なお、比較例においても、形状最適化解析手法にはトポロジー最適化を適用し、目的条件及び制約条件と、制約条件に係る変位の評価点は、発明例と同様に上記の実施の形態で述べたものとした。
図17に示す比較例に係る最適形状95と比べると、図10に示す発明例に係る最適形状91においては、ダッシュボード93の上部に立体要素がより多く残存する傾向が見られた。これは、図15及び図16に示すように、発明例の方が車体左右方向の荷重値(FY)が増加し、増加した分の荷重を伝達させるためにダッシュボード93の上部において車体左右方向に沿って残存する立体要素が増加したためであると考えられる。
図18及び図19に発明例に係る最適形状91及び比較例に係る最適形状95をもとに設計した客室部の構造を示す。
図18に示す発明例に係る発明構造100は、ダッシュボード45の上部に左右のAピラーロア51に接続するハット断面部材101と、ダッシュボード45の下部にホイルハウス45cからセンタートンネル部49に向かって接続するハット断面部材103を追加したものである。
図19に示す比較例に係る比較構造110は、ダッシュボード45の上部中央に接続するハット断面部材111と、フロア部47の前部であってホイルハウス45cの近くからセンタートンネル部49に向かって接続するハット断面部材113を追加したものである。
上記のように追加したハット断面部材の近傍における応力解析結果から、最大で600MPa程度の応力が発生するため、各ハット断面部材に用いた素材(鋼板)は引張強度780MPa級とし、周囲の部材と同等の板厚(=1mm)とした。また、発明構造及び比較構造に用いた各部品の材料モデルは、ひずみ速度依存性を考慮した等方弾塑性体モデルとした。さらに、追加したハット断面部材はスポット溶接により客室部の各部品に接続するものとした。
これにより、元の客室部に比べると、発明例に係る発明構造100の重量は2.2kg増加し、比較例に係る比較構造110の重量は1.6kg増加した。
さらに、これらの構造とした客室部を有する車両及び従来の構造(図5)の車両に対して衝突解析を行い、衝突開始から40msec経過時における衝突による変形に伴う客室部内部への侵入量を求めた。侵入量の評価においては、前述と同様に、衝突解析モデルにおけるダッシュボード57のステアリングシャフト付け根部57a及び足元周りフロア部57b(図3参照)の評価点9点を車体左右方向に左右対称とした18点の変位とした。
発明例に係る発明構造100とした場合、従来の車両に対する衝突解析に比べて、侵入量は全評価点で減少し、平均して15%減少した。一方、比較例に係る比較構造110とした場合、評価点の中には侵入量が減少していないものがあり、侵入量は平均4%減少にとどまり、発明例と比較して衝突による変形の抑制効果が小さかった。
さらに、発明構造100及び比較構造110に係る客室部の変位と従来の客室部の変位の偏差を従来の客室部の変位で除した値を性能向上率として、発明例及び比較例のそれぞれについて算出し、さらに、増加重量で除した重量効率を求めた。その結果、比較例に係る比較構造110に比べると、発明例に係る発明構造100は約3倍の重量効率を示した。
以上より、本発明に係る形状最適化解析方法及び装置によれば、トポロジー最適化によって衝突による変形に対して最適な形状の客室部を求めることができた。さらに、該求めた客室部の最適な形状により、衝突による変形を抑制することで耐衝突性能を向上できることが実証されたとともに、客室部の良好な耐衝突性能を保持しつつ精度良い軽量化を効率的に実現できることが示唆された。
1 形状最適化解析装置
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
7a 構造体モデルファイル
9 作業用データメモリ
9a データ記憶領域
9b 作業領域
11 演算処理部
13 衝突解析部
15 弾性解析部
17 荷重条件選出部
19 形状最適化解析部
21 構造体モデル取得部
23 設計空間設定部
25 最適化ブロックモデル生成部
27 結合処理部
29 材料特性設定部
31 解析条件設定部
33 最適化解析部
40 車両
41 客室部
43 クラッシャブルゾーン
45 ダッシュボード
45c ホイルハウス
47 フロア部
47a 後端
49 センタートンネル部
51 Aピラーロア
57 ダッシュボード(衝突解析モデル)
57a ステアリングシャフト付け根部
57b 足元周りフロア部
60 弾性解析モデル
61 客室部
63 ダッシュボード
65 フロア部
67 センタートンネル部
69 Aピラーロア
71 フロントサイドメンバ
81 最適化ブロックモデル
83 ダッシュボード
85 フロア部
87 センタートンネル部
91 最適形状(発明例)
93 ダッシュボード
95 最適形状(比較例)
97 ダッシュボード
100 発明構造(発明例)
101 ハット断面部材
103 ハット断面部材
110 比較構造(比較例)
111 ハット断面部材
113 ハット断面部材

Claims (4)

  1. 客室部を有する車両が被衝突体に衝突した際の該衝突に対する前記客室部の最適な形状を求めるために、コンピュータが以下の各ステップを行う形状最適化解析方法であって、
    前記車両を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデルを取得し、該衝突解析モデルを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、該衝突解析モデルにおける客室部の衝突による変形の変位を取得する衝突解析ステップと、
    平面要素及び/又は立体要素でモデル化した前記客室部を少なくとも有する弾性解析モデルを取得し、該弾性解析モデルに異なる荷重条件を設定して弾性解析を行い、前記異なる荷重条件ごとに前記客室部の弾性変形の変位を取得する弾性解析ステップと、
    該弾性解析ステップにおいて前記異なる荷重条件ごとに取得した前記客室部の弾性変形の変位と前記衝突解析ステップにおいて取得した前記客室部の衝突による変形の変位とを比較し、前記衝突による変形の変位との間で所定の条件を満たす前記弾性変形の変位となる前記荷重条件を選出する荷重条件選出ステップと、
    該荷重条件選出ステップで選出した荷重条件を用いて前記客室部の最適な形状を求める形状最適化解析を行う形状最適化解析ステップと、を備えたことを特徴とする形状最適化解析方法。
  2. 前記車両は、前記客室部の車両前方側及び車両後方側に衝突エネルギーを吸収するクラッシャブルゾーンを有し、
    前記衝突解析ステップは、前記衝突解析モデルにおける前記車両前方側又は車両後方側の前記クラッシャブルゾーンを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、前記被衝突体に作用する前記衝突解析モデルからの反力が最大値を示してから前記客室部が座屈変形を開始するまでの間における該客室部の変位を取得する、ことを特徴とする請求項1記載の形状最適化解析方法。
  3. 客室部を有する車両が被衝突体に衝突した際の該衝突に対する前記客室部の最適な形状を求める形状最適化解析装置であって、
    前記車両を平面要素及び/又は立体要素でモデル化した衝突解析モデルを取得し、該衝突解析モデルを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、該衝突解析モデルにおける客室部の衝突による変形の変位を取得する衝突解析部と、
    平面要素及び/又は立体要素でモデル化した前記客室部を少なくとも有する弾性解析モデルを取得し、該弾性解析モデルに異なる荷重条件を設定して弾性解析を行い、前記異なる荷重条件ごとに前記客室部の弾性変形の変位を取得する弾性解析部と、
    該弾性解析部により前記異なる荷重条件ごとに取得した前記客室部の弾性変形の変位と前記衝突解析部により取得した前記客室部の衝突による変形の変位とを比較し、前記異なる荷重条件のうち、前記衝突による変形の変位との間で所定の条件を満たす前記弾性変形の変位となる荷重条件を選出する荷重条件選出部と、
    該荷重条件選出部により選出した荷重条件を用いて前記客室部の最適な形状を求める形状最適化解析を行う形状最適化解析部と、を備えたことを特徴とする形状最適化解析装置。
  4. 前記車両は、前記客室部の車両前方側及び車両後方側に衝突エネルギーを吸収するクラッシャブルゾーンを有し、
    前記衝突解析部は、前記衝突解析モデルにおける前記車両前方側又は車両後方側の前記クラッシャブルゾーンを前記被衝突体に衝突させる衝突解析を行い、前記被衝突体に作用する前記衝突解析モデルからの反力が最大値を示してから前記客室部が座屈変形を開始するまでの間における該客室部の変位を取得する、ことを特徴とする請求項3記載の形状最適化解析装置。
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