JP7306510B1 - 自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法、装置及びプログラム、自動車の車体骨格部品における荷重伝達部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、自動車の側面衝突試験は、多くの衝突アセスメントにおいて乗員傷害を評価する項目である。そして、電気自動車の側面衝突試験は、ポールから自動車に入力する衝突荷重が集中荷重であることに加え、ポールが衝突する位置からバッテリーまでの距離が短いことから、バッテリー保護の観点でも特に厳しい衝突試験であると言える。
その一方で、特許文献1に示されている制約条件と目的条件の組み合わせでは、車体骨格部品と耐荷重部品とを備えた車体に衝突荷重が入力した時に、車体骨格部品から複数の耐荷重部品へと伝達する荷重の大きさや配分が保障されていないという課題があった。
特に、前述した図8に示したような電気自動車の車体100においては、バッテリー101を保護するために、EA部品である車体骨格部品から非EA部品である耐荷重部品への伝達荷重の分配を考慮することが特に重要である。しかしながら、特許文献1に記載された方法では、車体骨格部品から耐荷重部品への伝達荷重の分配を考慮して車体骨格部品における最適な荷重伝達構造を求めることはできなかった。
そして、発明者らは、作用・反作用の法則より、衝突荷重が入力した車体骨格部品から各耐荷重部品へと伝達する荷重と、各耐荷重部品から車体骨格部品に作用する衝突荷重の入力方向とは逆向きの方向の荷重(以下、反力と称す)とは、荷重の作用する方向は逆向きではあっても大きさが同じであり、さらに、各耐荷重部品からの反力の総和は車体骨格部品に入力する衝突荷重と等しくなる点に着目した。
前記車体骨格部品と前記耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された前記自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する車体モデル取得工程と、
前記車体モデルにおける前記荷重伝達構造が配設可能な領域を設計空間として設定する設計空間設定工程と、
該設定された設計空間に立体要素でモデル化されて最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成工程と、
該生成した最適化ブロックモデルを前記車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する結合処理工程と、
前記最適化の解析処理を行うための解析条件を設定する解析条件設定工程と、
該設定した解析条件の下で前記最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う最適化解析工程と、を含み、
前記解析条件設定工程は、
前記最適化解析モデルの前記車体骨格部品における衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の前記耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる前記車体骨格部品における部位に荷重伝達部位と、を設定する衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定ステップと、
前記最適化解析モデルに入力する衝突荷重を複数の前記耐荷重部品の耐荷重以下に分配し、各前記荷重伝達部位における前記耐荷重部品への伝達荷重を決定する耐荷重部品伝達荷重決定ステップと、
該決定した前記耐荷重部品への伝達荷重を各前記荷重伝達部位のそれぞれに対して前記衝突荷重の反力として設定して前記最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、前記衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定する荷重拘束条件設定ステップと、
前記最適化解析工程における前記最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の前記荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定する最適化解析条件設定ステップと、を有することを特徴とするものである。
前記最適化解析条件設定ステップは、前記制約条件として、さらに前記最適化ブロックモデルの体積制約率を前記設計空間全体の体積の3%以上7%以下の範囲内の所定の値以下と設定し、
前記最適化解析工程は、トポロジー最適化の密度法を用いた最適化解析を行う、ことを特徴とするものである。
前記車体骨格部品は、前記自動車の側部に配設されて車体前後方向に延在するサイドシルとし、
前記耐荷重部品は、前記自動車の下部に配設されたバッテリーケースを前記サイドシルと接続するバッテリーケース固定部品とフロアクロスメンバとし、
前記解析条件設定工程に先立って、前記車体モデルを対象とし、該車体モデルにおける車体幅方向外側から前記サイドシルにポールが衝突する側面衝突解析を行い、
前記側面衝突解析の結果に基づいて、
前記衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定ステップは、前記車体モデルの車体骨格部品における前記衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位を設定し、
前記耐荷重部品伝達荷重決定ステップは、前記車体骨格部品に入力する衝突荷重及び耐荷重部品への伝達荷重を決定することを特徴とするものである。
該求めた荷重伝達部材の構造に基づいて該荷重伝達部材の形状を決定し、
該決定した形状に従って前記荷重伝達部材を製造することを特徴とするものである。
前記車体骨格部品と前記耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された前記自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する車体モデル取得部と、
前記車体モデルにおける前記荷重伝達構造が配設される領域に設計空間を設定する設計空間設定部と、
該設定された設計空間に立体要素でモデル化されて前記荷重伝達構造の最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、
該生成した最適化ブロックモデルを前記車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する結合処理部と、
前記最適化の解析処理を行うための解析条件を設定する解析条件設定部と、
該設定した解析条件の下で前記最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う最適化解析部と、を備え、
前記解析条件設定部は、
前記最適化解析モデルにおける衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の前記耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる部位に荷重伝達部位と、を前記最適化解析モデルに設定する衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部と、
複数の前記耐荷重部品それぞれの耐荷重以下となるように前記最適化解析モデルに入力する衝突荷重を配分して各前記耐荷重部品の荷重伝達部位における伝達荷重を決定する耐荷重部品伝達荷重決定部と、
複数の前記荷重伝達部位のそれぞれに対して前記衝突荷重の反力として各前記耐荷重部品への伝達荷重を設定して前記最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、前記衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定する荷重拘束条件設定部と、
前記最適化解析部において行う前記最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の前記荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定する最適化解析条件設定部と、を有することを特徴とするものである。
前記最適化解析条件設定部は、前記制約条件として、さらに前記最適化ブロックモデルの体積制約率を前記設計空間全体の3%以上7%以下の範囲内で設定し、
前記最適化解析部は、トポロジー最適化の密度法を用いた最適化解析を行う、ことを特徴とするものである。
コンピュータを、
前記車体骨格部品と前記耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された前記自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する車体モデル取得部と、
前記車体モデルにおける前記荷重伝達構造が配設される領域に設計空間を設定する設計空間設定部と、
該設定された設計空間に立体要素でモデル化されて前記荷重伝達構造の最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、
該生成した最適化ブロックモデルを前記車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する結合処理部と、
前記最適化の解析処理を行うための解析条件を設定する解析条件設定部と、
該設定した解析条件の下で前記最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う最適化解析部と、して実行させる機能を備え、
前記解析条件設定部を、
前記最適化解析モデルにおける衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の前記耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる部位に荷重伝達部位と、を前記最適化解析モデルに設定する衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部と、
複数の前記耐荷重部品それぞれの耐荷重以下となるように前記最適化解析モデルに入力する衝突荷重を配分して各前記耐荷重部品の荷重伝達部位における伝達荷重を決定する耐荷重部品伝達荷重決定部と、
複数の前記荷重伝達部位のそれぞれに対して前記衝突荷重の反力として各前記耐荷重部品への伝達荷重を設定して前記最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、前記衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定する荷重拘束条件設定部と、
前記最適化解析部において行う前記最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の前記荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定する最適化解析条件設定部と、して機能させることを特徴とするものである。
前記最適化解析条件設定部は、前記制約条件として、さらに前記最適化ブロックモデルの体積制約率を前記設計空間全体の3%以上7%以下の範囲内で設定し、
前記最適化解析部は、トポロジー最適化の密度法を用いた最適化解析を行う、ことを特徴とするものである。
さらに、本発明によれば、上記の最適化解析を用いて最適な荷重伝達構造を求め、求めた最適な荷重伝達構造に基づいて荷重伝達部材の形状を決定し、決定した荷重伝達部材の形状に従って荷重伝達部材を製造することで、車体骨格部品から複数の耐荷重部品への伝達荷重を適切に分配することができる荷重伝達部材を製造することができる。
サイドシル105は、車体幅方向の両側において車体前後方向に延在して配設された車体骨格部品であり、図9に示すように、ハット断面形状のサイドシルインナ105aとサイドシルアウタ105bとが互いに開口側を向かい合わせて閉断面空間を形成するように上端部同士と下端部同士が接合されている。
<荷重伝達構造最適化解析装置>
本発明の実施の形態1に係る荷重伝達構造最適化解析装置1は、車体骨格部品と複数の耐荷重部品とを備えてなる自動車の衝突時に車体骨格部品に入力した衝突荷重を分配して複数の耐荷重部品に伝達させる最適な荷重伝達構造を求めるものであって、図1に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成され、表示装置3と、入力装置5と、記憶装置7と、作業用データメモリ9と、演算処理部11と、を備えている。
そして、表示装置3、入力装置5、記憶装置7及び作業用データメモリ9は、演算処理部11に接続され、演算処理部11からの指令によってそれぞれの機能が実行される。
以下、本実施の形態に係る荷重伝達構造最適化解析装置1の各構成について説明する。
入力装置5は、車体モデルファイル31の表示指示や操作者の条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
記憶装置7は、車体モデルファイル31等の各種ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。
作業用データメモリ9は、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算に用いられ、RAM(Random Accress Memory)等で構成される。
演算処理部11における上記の各部の機能を以下に説明する。
車体モデル取得部13は、車体骨格部品と耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された自動車の全部又は一部の車体モデルを取得するものである。
本実施の形態において、車体モデル取得部13は、図9に示すように、車体骨格部品であるサイドシル105と、耐荷重部品であるフロアクロスメンバ107及びバッテリーケース固定部品109と、が平面要素でモデル化された自動車の一部の車体モデル110を取得する。
設計空間設定部15は、車体モデルにおける荷重伝達構造が配設可能な領域を設計空間として設定するものである。
本実施の形態において、設計空間設定部15は、車体モデル110における荷重伝達構造が配設可能な領域として、図9に示すように、サイドシルインナ105aとサイドシルアウタ105bとの間の閉断面空間に設計空間111を設定する。
最適化ブロックモデル生成部17は、設計空間設定部15により設定された設計空間に立体要素でモデル化されて最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成するものである。
本実施の形態において、最適化ブロックモデル生成部17は、図2に示すように、設計空間設定部15により設定された設計空間111に最適化ブロックモデル113を生成する。
結合処理部19は、最適化ブロックモデル生成部17により生成した最適化ブロックモデルを車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成するものである。
本実施の形態において、結合処理部19は、図2に示すように、最適化ブロックモデル113を車体モデル110(図9参照)におけるサイドシル105に結合して最適化解析モデル120を生成する。なお、図2に示す最適化解析モデル120においては、耐荷重部品であるフロアクロスメンバ107とバッテリーケース固定部品109の表示は省略している。
解析条件設定部21は、最適化の解析処理のための解析条件を設定するものであり、図1に示すように、衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部21aと、耐荷重部品伝達荷重決定部21bと、荷重拘束条件設定部21cと、最適化解析条件設定部21dと、を有する。
衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部21aは、最適化解析モデルの車体骨格部品における衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる車体骨格部品における部位に複数の荷重伝達部位と、を設定するものである。ここで、荷重入力部位は1か所、荷重伝達部位は複数箇所とする。
本実施の形態においては、図9に示すようにポール200がサイドシル105の車体幅方向外側に衝突する側面衝突を対象としているため、衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部21aは、図3に示すように、最適化解析モデル120のサイドシル105における衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位121と、サイドシル105から耐荷重部品であるフロアクロスメンバ107とバッテリーケース固定部品109へと荷重が伝達する部位に複数(三か所)の荷重伝達部位123(123a、123b及び123c)と、を設定する。
耐荷重部品伝達荷重決定部21bは、最適化解析モデルに入力する衝突荷重を複数の耐荷重部品の耐荷重以下に分配し、各荷重伝達部位における耐荷重部品への伝達荷重を決定するものである。
また、車体骨格部品に入力する衝突荷重は、適宜設定することができるが、例えば、図9に示す側面衝突試験を対象とした衝突解析を行って求めるとよい。
荷重拘束条件設定部21cは、耐荷重部品伝達荷重決定部21bにより決定した耐荷重部品への伝達荷重を各荷重伝達部位のそれぞれに対して衝突荷重の反力として設定して最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定するものである。
なお、荷重伝達部位に対して衝突荷重の反力として伝達荷重を設定するとは、衝突荷重の入力方向とは逆向きの方向に伝達荷重が荷重伝達部位に作用するように設定することを意味する。
最適化解析条件設定部21dは、最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定するものである。
なお、制約条件は、複数設定可能である。そして、最適化ブロックモデルの体積制約率(設計空間の体積に対する最適化処理により残存する最適化ブロックモデルの体積の比率)を、設計空間全体の体積の3%以上7%以下の範囲内の所定の値以下とする制約条件をさらに設定することが好ましい。
最適化解析部23は、解析条件設定部21により設定された解析条件の下で最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う工程である。
本発明の実施の形態に係る構造最適化解析方法は、車体骨格部品と複数の耐荷重部品とを備えてなる自動車の衝突時に前記車体骨格部品に入力した衝突荷重を分配して複数の前記耐荷重部品に伝達させる最適な荷重伝達構造を、コンピュータが以下の各ステップを行うことにより求めるものであって、図5に示すように、車体モデル取得工程S1と、設計空間設定工程S3と、最適化ブロックモデル生成工程S5と、結合処理工程S7と、解析条件設定工程S9と、最適化解析工程S11と、を含む。
以下、図9に示す電気自動車の車体100を対象として、上記の各工程について説明する。
車体モデル取得工程S1は、車体骨格部品と耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する工程である。
本実施の形態において、車体モデル取得工程S1は、荷重伝達構造最適化解析装置1の車体モデル取得部13が、車体骨格部品であるサイドシル105と、耐荷重部品であるフロアクロスメンバ107及びバッテリーケース固定部品109と、が平面要素でモデル化された電気自動車の一部の車体モデル110を取得する。
設計空間設定工程S3は、車体モデルにおける荷重伝達構造が配設可能な領域を設計空間として設定する工程である。
本実施の形態において、設計空間設定工程S3は、荷重伝達構造最適化解析装置1の設計空間設定部15が、図2及び図9に示すように、車体モデル110における荷重伝達部材が配設可能な領域であるサイドシルインナ105aとサイドシルアウタ105bとの間の閉断面空間を設計空間111として設定する。
最適化ブロックモデル生成工程S5は、設計空間設定工程S3において設定された設計空間に立体要素でモデル化されて最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する工程である。
本実施の形態において、最適化ブロックモデル生成工程S5は、荷重伝達構造最適化解析装置1の最適化ブロックモデル生成部17が、図2に示すように、サイドシルインナ105aとサイドシルアウタ105bとの間に設定された設計空間111に最適化ブロックモデル113を生成する。
結合処理工程S7は、最適化ブロックモデル生成工程S5において生成した最適化ブロックモデルを車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する工程である。
本実施の形態において、結合処理工程S7は、荷重伝達構造最適化解析装置1の結合処理部19が、最適化ブロックモデル113を車体モデル110に結合して最適化解析モデル120を生成する。
解析条件設定工程S9は、最適化の解析処理のための解析条件を設定するものであり、図5に示すように、衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定ステップS9aと、耐荷重部品伝達荷重決定ステップS9bと、荷重拘束条件設定ステップS9cと、最適化解析条件設定ステップS9dと、を有する。
衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定ステップS9aは、最適化解析モデルの車体骨格部品における衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる車体骨格部品における部位に荷重伝達部位と、を設定するものである。
本実施の形態においては、前述した図9に示すようにポール200がサイドシル105の車体幅方向外側に衝突する側面衝突を対象としているため、図3に示すように、最適化解析モデル120のサイドシル105における衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位121と、サイドシル105から耐荷重部品であるフロアクロスメンバ107とバッテリーケース固定部品109へと荷重が伝達する部位に荷重伝達部位123a、123b及び123cと、を設定する。
耐荷重部品伝達荷重決定ステップS9bは、最適化解析モデルに入力する衝突荷重を複数の耐荷重部品の耐荷重以下に分配し、各荷重伝達部位における耐荷重部品への伝達荷重を決定するものである。
荷重拘束条件設定ステップS9cは、耐荷重部品伝達荷重決定ステップS9bにおいて決定した耐荷重部品への伝達荷重を各荷重伝達部位のそれぞれに対して衝突荷重の反力として設定して最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定するものである。
最適化解析条件設定ステップS9dは、最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定するものである。
本実施の形態において、最適化解析条件設定ステップS9dは、荷重伝達構造最適化解析装置1の最適化解析条件設定部21dが、最適化解析条件として、荷重伝達部位の変位を最小とする目的関数と、複数の荷重伝達部位123a、123b及び123cの変位が等しいとする制約条件と、を設定する。
そこで、本実施の形態では、荷重伝達部位123a、123b及び123cそれぞれの変位が等しいとする制約条件に加えて、最適化ブロックモデル113の体積制約率を設計空間111全体の体積の5%とする制約条件を設定する。
最適化解析工程S11は、解析条件設定工程S9において設定された解析条件の下で最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う工程である。
上記の本実施の形態1についての説明は荷重伝達構造最適化解析装置及び方法についてのものであったが、本実施の形態1は、コンピュータによって構成された荷重伝達構造最適化解析装置1(図1)の演算処理部11における各部を機能させる荷重伝達構造最適化解析プログラムとして構成することができる。
なお、本発明は、車体骨格部品を補剛する補剛部材にも適用することができ、車体における耐荷重部品への伝達荷重の分配を考慮して車体骨格部品の補剛部材の構造や形状に関する設計指針を求めることが可能となる。
前述した実施の形態1は、自動車の車体骨格部品における最適な荷重伝達構造を求めるものであったが、本発明は、該求めた荷重伝達構造に基づいて車体骨格部品における荷重伝達部材を製造する方法として構成することができる。
すなわち、本発明の実施の形態2に係る自動車の車体骨格部品における荷重伝達部材の製造方法は、実施の形態1に係る自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法を用いて前記車体骨格部品の荷重伝達部材の構造を求め、求めた荷重伝達部材の構造に基づいて該荷重伝達部材を製造するものである。
そして、決定した荷重伝達部材の形状に従って、荷重伝達部材を設計・製造する。プレス成形やロールフォーミングなどの金属板の加工によって製造可能な板金部材で荷重伝達部材を実現するにあたっては、求められた最適構造125内に見られる柱状の部位(例えば、後述する図4の125a、125b、125c)に、板金部材の稜線部が沿うような形状に設計すればよく、さらに最適構造125内の各柱状の部位の太さに応じて板金部材の稜線部の強度を調整することが望ましい。稜線部の強度の調整は、板金部材の板厚や材料強度を変えることによって行う。また、鋳造部品やアルミ材押出し材等、より形状自由度が高い金属加工方法を扱える場合は、最適構造125の形状そのままに荷重伝達部材を製造することで最大の効果が得られる。
最適化の解析処理の解析条件の設定において、まず、側面衝突解析の結果に基づいて、図3に示すように、サイドシル105における衝突荷重入力部位121と、複数の荷重伝達部位123と、を設定した。
ここで、衝突荷重入力部位121は、側面衝突解析においてポール200がサイドシル105に接触する部位とした。
さらに、荷重伝達部位123は、図3に示すようにサイドシル105とフロアクロスメンバ107とが接続している部位(123a及び123b)と、サイドシル105とバッテリーケース固定部品109とが接続している部位(123c)とした。
本実施例では、図9に示す車体モデル110の側面衝突解析の結果に基づいて、フロアクロスメンバ107へと荷重が伝達する荷重伝達部位123a及び123bにおける伝達荷重を200kN、バッテリーケース固定部品109へと荷重が伝達する荷重伝達部位123cにおける伝達荷重を300kNと決定した。
表1に、発明例に係る最適化ブロックモデルの最適構造125又は比較例に係る最適化ブロックモデルの最適構造127が配設されたサイドシル105の荷重伝達部位123a、123b及び123における伝達荷重の解析結果を示す。
これに対し、比較例に係る最適化ブロックモデルの最適構造127の場合、荷重伝達部位123における伝達荷重を調整することはできないため、クロスメンバへの伝達荷重は目標よりも50kN小さく、バッテリーケース固定部品への伝達荷重は100kN大きい結果となり、目標と大きく異なる結果となった。
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
9 作業用データメモリ
11 演算処理部
13 車体モデル取得部
15 設計空間設定部
17 最適化ブロックモデル生成部
19 結合処理部
21 解析条件設定部
21a 衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部
21b 耐荷重部品伝達荷重決定部
21c 荷重拘束条件設定部
21d 最適化解析条件設定部
23 最適化解析部
31 車体モデルファイル
100 車体
101 バッテリー
103 バッテリーケース
103a バッテリーケースアッパ
103b バッテリーケースロア
105 サイドシル
105a サイドシルインナ
105b サイドシルアウタ
107 フロアクロスメンバ
107a フロアクロスメンバ
107b フロアクロスメンバ
109 バッテリーケース固定部品
110 車体モデル
111 設計空間
113 最適化ブロックモデル
120 最適化解析モデル
121 衝突荷重入力部位
123 荷重伝達部位
123a 荷重伝達部位
123b 荷重伝達部位
123c 荷重伝達部位
125 最適構造
125a 部位
125b 部位
125c 部位
127 最適構造
127a 部位
127b 部位
200 ポール
Claims (8)
- 車体骨格部品と複数の耐荷重部品とを備えてなる自動車の衝突時に前記車体骨格部品に入力した衝突荷重を分配して複数の前記耐荷重部品に伝達させる最適な荷重伝達構造を、コンピュータが以下の各ステップを行うことにより求める自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法であって、
前記車体骨格部品と前記耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された前記自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する車体モデル取得工程と、
前記車体モデルにおける前記荷重伝達構造が配設可能な領域を設計空間として設定する設計空間設定工程と、
該設定された設計空間に立体要素でモデル化されて最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成工程と、
該生成した最適化ブロックモデルを前記車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する結合処理工程と、
前記最適化の解析処理を行うための解析条件を設定する解析条件設定工程と、
該設定した解析条件の下で前記最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う最適化解析工程と、を含み、
前記解析条件設定工程は、
前記最適化解析モデルの前記車体骨格部品における衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の前記耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる前記車体骨格部品における部位に荷重伝達部位と、を設定する衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定ステップと、
前記最適化解析モデルに入力する衝突荷重を複数の前記耐荷重部品の耐荷重以下に分配し、各前記荷重伝達部位における前記耐荷重部品への伝達荷重を決定する耐荷重部品伝達荷重決定ステップと、
該決定した前記耐荷重部品への伝達荷重を各前記荷重伝達部位のそれぞれに対して前記衝突荷重の反力として設定して前記最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、前記衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定する荷重拘束条件設定ステップと、
前記最適化解析工程における前記最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の前記荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定する最適化解析条件設定ステップと、を有することを特徴とする自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法。 - 前記最適化解析条件設定ステップは、前記制約条件として、さらに前記最適化ブロックモデルの体積制約率を前記設計空間全体の体積の3%以上7%以下の範囲内の所定の値以下と設定し、
前記最適化解析工程は、トポロジー最適化の密度法を用いた最適化解析を行う、ことを特徴とする請求項1記載の自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法。 - 前記車体骨格部品は、前記自動車の側部に配設されて車体前後方向に延在するサイドシルとし、
前記耐荷重部品は、前記自動車の下部に配設されたバッテリーケースを前記サイドシルと接続するバッテリーケース固定部品とフロアクロスメンバとし、
前記解析条件設定工程に先立って、前記車体モデルを対象とし、該車体モデルにおける車体幅方向外側から前記サイドシルにポールが衝突する側面衝突解析を行い、
前記側面衝突解析の結果に基づいて、
前記衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定ステップは、前記車体モデルの車体骨格部品における前記衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位を設定し、
前記耐荷重部品伝達荷重決定ステップは、前記車体骨格部品に入力する衝突荷重及び耐荷重部品への伝達荷重を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析方法を用いて前記車体骨格部品の荷重伝達部材の構造を求め、
該求めた荷重伝達部材の構造に基づいて該荷重伝達部材の形状を決定し、
該決定した形状に従って前記荷重伝達部材を製造することを特徴とする自動車の車体骨格部品における荷重伝達部材の製造方法。 - 車体骨格部品と複数の耐荷重部品とを備えてなる自動車の衝突試験において前記車体骨格部品に入力した衝突荷重を分配して複数の前記耐荷重部品に伝達させる最適な荷重伝達構造を求める自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析装置であって、
前記車体骨格部品と前記耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された前記自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する車体モデル取得部と、
前記車体モデルにおける前記荷重伝達構造が配設される領域に設計空間を設定する設計空間設定部と、
該設定された設計空間に立体要素でモデル化されて前記荷重伝達構造の最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、
該生成した最適化ブロックモデルを前記車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する結合処理部と、
前記最適化の解析処理を行うための解析条件を設定する解析条件設定部と、
該設定した解析条件の下で前記最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う最適化解析部と、を備え、
前記解析条件設定部は、
前記最適化解析モデルにおける衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の前記耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる部位に荷重伝達部位と、を前記最適化解析モデルに設定する衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部と、
複数の前記耐荷重部品それぞれの耐荷重以下となるように前記最適化解析モデルに入力する衝突荷重を配分して各前記耐荷重部品の荷重伝達部位における伝達荷重を決定する耐荷重部品伝達荷重決定部と、
複数の前記荷重伝達部位のそれぞれに対して前記衝突荷重の反力として各前記耐荷重部品への伝達荷重を設定して前記最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、前記衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定する荷重拘束条件設定部と、
前記最適化解析部において行う前記最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の前記荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定する最適化解析条件設定部と、を有することを特徴とする自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析装置。 - 前記最適化解析条件設定部は、前記制約条件として、さらに前記最適化ブロックモデルの体積制約率を前記設計空間全体の3%以上7%以下の範囲内で設定し、
前記最適化解析部は、トポロジー最適化の密度法を用いた最適化解析を行う、ことを特徴とする請求項5記載の自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析装置。 - 車体骨格部品と複数の耐荷重部品とを備えてなる自動車の衝突試験において前記車体骨格部品に入力した衝突荷重を分配して複数の前記耐荷重部品に伝達させる最適な荷重伝達構造を求める自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析プログラムであって、
コンピュータを、
前記車体骨格部品と前記耐荷重部品とが平面要素及び/又は立体要素でモデル化された前記自動車の全部又は一部の車体モデルを取得する車体モデル取得部と、
前記車体モデルにおける前記荷重伝達構造が配設される領域に設計空間を設定する設計空間設定部と、
該設定された設計空間に立体要素でモデル化されて前記荷重伝達構造の最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、
該生成した最適化ブロックモデルを前記車体モデルに結合して最適化解析モデルを生成する結合処理部と、
前記最適化の解析処理を行うための解析条件を設定する解析条件設定部と、
該設定した解析条件の下で前記最適化ブロックモデルの最適な構造を求める最適化解析を行う最適化解析部と、して実行させる機能を備え、
前記解析条件設定部を、
前記最適化解析モデルにおける衝突荷重が入力する部位に衝突荷重入力部位と、複数の前記耐荷重部品のそれぞれに荷重を伝達させる部位に荷重伝達部位と、を前記最適化解析モデルに設定する衝突荷重入力部位及び荷重伝達部位設定部と、
複数の前記耐荷重部品それぞれの耐荷重以下となるように前記最適化解析モデルに入力する衝突荷重を配分して各前記耐荷重部品の荷重伝達部位における伝達荷重を決定する耐荷重部品伝達荷重決定部と、
複数の前記荷重伝達部位のそれぞれに対して前記衝突荷重の反力として各前記耐荷重部品への伝達荷重を設定して前記最適化解析モデルへの入力荷重とする荷重条件と、前記衝突荷重入力部位の変位を拘束する拘束条件と、を設定する荷重拘束条件設定部と、
前記最適化解析部において行う前記最適化解析の最適化解析条件として、所定の目的関数と、複数の前記荷重伝達部位の変位が等しいとする制約条件と、を設定する最適化解析条件設定部と、して機能させることを特徴とする自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析プログラム。 - 前記最適化解析条件設定部は、前記制約条件として、さらに前記最適化ブロックモデルの体積制約率を前記設計空間全体の3%以上7%以下の範囲内で設定し、
前記最適化解析部は、トポロジー最適化の密度法を用いた最適化解析を行う、ことを特徴とする請求項7記載の自動車の車体骨格部品における荷重伝達構造の最適化解析プログラム。
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CN110059418A (zh) | 2019-04-23 | 2019-07-26 | 北斗航天汽车(北京)有限公司 | 一种基于cae的新能源汽车整车正面结构抗撞性的模拟测试方法 |
JP2020086564A (ja) | 2018-11-16 | 2020-06-04 | Jfeスチール株式会社 | 形状最適化解析方法及び装置 |
-
2022
- 2022-03-03 JP JP2022032258A patent/JP7306510B1/ja active Active
- 2022-12-23 WO PCT/JP2022/047586 patent/WO2023166830A1/ja unknown
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