JP6614301B1 - 車体の振動特性の適正化解析方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本発明において形状最適化とは、予め所定の形状、例えばT字形状を想定し、その所定の形状を前提として最適な形状を求めることではなく、所定の形状を想定することなく、解析条件を満たす最適な形状と配置を求めることを意味する。
構造体の静的剛性は、フックの法則に従い、構造体の質量とは無関係にばね定数が増加すれば向上する。
これに対し、構造体の動的剛性は、加振点からの荷重の入力により構造体の形状が周期的に変化する場合においては、その振動特性が関係するとされている。例えば図20に示すような1自由度系の振動の場合における動的剛性は、剛性K(多自由度系の振動の場合は剛性マトリクスに相当)と質量Mとを用いてω=(K/M)0.5で表される振動数により評価され、剛性Kを向上することで振動数ωが増加すれば、動的剛性は向上するとされる。
このCAE解析では数理最適化、板厚最適化、形状最適化、トポロジー最適化などの最適化技術を用いることによって剛性の向上や軽量化が図られることが知られており、例えばエンジンブロックなどの鋳物の構造最適化によく用いられている。
トポロジー最適化はある程度の大きさの設計空間を設け、当該設計空間に立体要素を組み込み、与えられた条件を満たしかつ必要最小限の立体要素の部分を残すことで当該条件を満たす最適形状とするという方法である。そのため、トポロジー最適化は、設計空間をなす立体要素に直接拘束を行い、直接荷重を加えるという方法が用いられる。
このようなトポロジー最適化に関する技術として、複雑な構造体のコンポーネントのトポロジー最適化のための方法が特許文献1に開示されている。
さらに、車体部品においては、自動車において振動を発するもの(例えば、エンジン等)の振動と共振しないような振動特性とすることが望まれる場合もある。
本実施の形態に係る車体41は、図2に示すように、Aピラー43、ダッシュボード45及び車体フロアのトンネル部47等の車体骨格部品と、振動特性の適正化の対象とする車体41の一部であるステアリングハンドル49と、ステアリングハンドル49を支持する部品又は部材であるステアリングビーム51、ブラケット53、接続部55及びステイ部57を含んで構成されたものである。
ブラケット53は、一端側が車体のダッシュボード45に固定され、他端側がステアリングビーム51に接続されている(図3参照)。
接続部55は、ステアリングビーム51の両端とAピラー43とを接続して固定するものである。
ステイ部57は、下端が車体フロアのトンネル部47に接続して固定され、上端側がステアリングビーム51に接続されている。
本実施の形態に係る車体の振動特性の適正化解析装置(以下、「振動特性適正化解析装置」という。)の構成について、以下に説明する。
そして、表示装置3、入力装置5、記憶装置7及び作業用データメモリ9は、演算処理部11に接続され、演算処理部11からの指令によってそれぞれの機能が実行される。
表示装置3は、解析結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
入力装置5は、車体モデルファイル31の表示指示や操作者の条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
記憶装置7は、車体モデルファイル31等の各種ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。
作業用データメモリ9は、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算に用いられ、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
演算処理部11は、図1に示すように、振動解析部13と、最大変位荷重取得部15と、感度解析部17と、設計空間設定部19と、最適化ブロックモデル生成部21と、結合処理部23と、最適化解析部25と、を有し、PC等のCPU(中央演算処理装置)によって構成される。これらの各部は、CPUが所定のプログラムを実行することによって機能する。
演算処理部11における上記の各部の機能を以下に説明する。
振動解析部13は、車体41におけるステアリングハンドル49に所定の加振条件を与えて振動解析を行い、ステアリングハンドル49の最大変位を求めるものである。
このように、周波数応答解析の結果から、各周波数の正弦波の変位を足し合せてステアリングハンドル49の変位の時間応答を求め、該求めた時間応答における最大変位を求めることができる。
最大変位荷重取得部15は、振動解析部13が求めたステアリングハンドル49の最大変位と同じ変位をステアリングハンドル49に与えるのに要する荷重を求めるものである。
感度解析部17は、最大変位荷重取得部15が求めた荷重を荷重条件として与えて車体41の感度解析(例えば、以下の公知の参考文献参照)を行い、最適化の対象とする部品又は部材を特定するものである。
(参考文献)竹澤ら、日本機械学会論文集(A編)、76巻761号(2010−1)、p.1〜p.9
設計空間設定部19は、感度解析部17により特定された部品又は部材を最適化の対象として設計空間を設定するものである。
図7に、感度解析部17により最適化の対象として特定されたブラケット53に対して設計空間59を設定した一例を示す。設計空間59は、元のブラケット53の形状や、ブラケット53の周囲にある他の部品との隙間に基づいて、任意に設定することができる。
最適化ブロックモデル生成部21は、設計空間設定部19により設定した設計空間に、立体要素からなる最適化ブロックモデルを生成するものである。
図7(b)に、ブラケット53に対して設定した設計空間59に、立体要素からなる最適化ブロックモデル61を生成した例を示す。
また、最適化ブロックモデル生成部21は、車体41における設計空間59の周囲の面と平行になる面が最大面積となるように前記最適化ブロックモデルを生成することが好ましい。
結合処理部23は、最適化ブロックモデル生成部21により生成された最適化ブロックモデルを、車体に結合し、最適化解析モデルを生成するものである。
最適化ブロックモデルと車体との結合は、剛体要素を用いるもの、あるいは、節点共有させるもの、のいずれであってもよい。
最適化解析部25は、結合処理部23が生成した最適化解析モデルに、最大変位荷重取得部15により求めた荷重を荷重条件として与え、加振により車体の一部に生じる慣性力を考慮して最適化ブロックモデルを最適化の対象として最適化解析を行い、該最適化ブロックモデルの最適な形状を求めるものである。
目的条件は、例えば、最適化解析モデルにおけるひずみエネルギー総和の最小化、変位の最小化、体積の最小化、質量の最小化などがある。
一方、制約条件は、最適化解析の対象となる最適化ブロックモデルの体積制約率、任意の節点の変位量、応力などがある。制約条件は、複数設定可能である。
次に、本実施の形態に係る車体の振動特性の適正化解析方法(以下、単に「振動特性適正化解析方法」という。)について、以下に説明する。
なお、本実施の形態に係る振動特性適正化解析方法は、上記の各ステップをコンピュータによって構成された振動特性適正化解析装置1(図1参照)を用いて実行するものである。
振動解析ステップS1は、車体の一部に所定の加振条件を与えて振動解析を行い、該車体の一部の最大変位を求めるステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の振動解析部13が、車体41の一部であるステアリングハンドル49(図2参照)に所定の加振条件を与えて振動解析を行い、ステアリングハンドル49の最大変位を求める。
最大変位荷重取得ステップS3は、振動解析ステップS1において求めた最大変位と同じ変位を車体の一部に与えるのに要する荷重を求めるステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の最大変位荷重取得部15が、振動解析ステップS1において求めたステアリングハンドル49の最大変位と同じ変位を与えるのに要する荷重を求める。
感度解析ステップS5は、最大変位荷重取得ステップS3で求めた荷重を荷重条件として与えて車体の感度解析を行い、最適化の対象とする部品又は部材を特定するステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の感度解析部17が、最大変位荷重取得部15により求められた荷重を荷重条件として与えて車体41の感度解析を行い、図6に示すように、感度の高い部品であるブラケット53を最適化の対象として特定する。
設計空間設定ステップS7は、感度解析ステップS5において最適化の対象として特定された部品又は部材に対して設計空間を設定するステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の設計空間設定部19が、図7に示すように、感度解析ステップS5で特定されたブラケット53を最適化の対象として設計空間59を設定する。
最適化ブロックモデル生成ステップS9は、設計空間設定ステップS7において設定した設計空間に、立体要素からなる最適化ブロックモデルを生成するステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の最適化ブロックモデル生成部21が、図7(b)に示すように、ブラケット53について設定した設計空間59に最適化ブロックモデル61を生成する。
結合処理ステップS11は、最適化ブロックモデル生成ステップS9において生成した最適化ブロックモデルを車体に結合し、最適化解析モデルを生成するステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の結合処理部23が、最適化ブロックモデル生成ステップS9において生成した最適化ブロックモデル61を車体41に結合し、最適化解析モデル(図示なし)を生成する。
最適化解析ステップS13は、最大変位荷重取得ステップS3で求めた荷重を荷重条件として与え、加振により車体の一部に生じる慣性力を考慮して最適化ブロックモデルについて最適化解析を行い、該最適化ブロックモデルの最適な形状を求めるステップである。本実施の形態においては、振動特性適正化解析装置1の最適化解析部25が、最大変位荷重取得ステップS3において求めた荷重を荷重条件として与え、加振によりステアリングハンドル49に生じる慣性力を考慮してブラケット53の最適化ブロックモデル61について最適化解析を行い、最適化ブロックモデルの最適形状67(図9(a))を求める。
荷重条件としては、図5(b)に示すように、ステアリングハンドル49のY方向及びZ方向のそれぞれに荷重(Y荷重及びZ荷重)を与えた。
最適化解析条件としては、目的条件としてひずみエネルギー総和最小を、制約条件として体積制約率20%以下を与えた。
図9に、ブラケット53について求めた最適化ブロックモデルの最適形状67を、図14(a)に、接続部55について求めた最適化ブロックモデルの最適形状73を示す。
また、元形状のブラケット53と接続部55を用いたものを基準例とした。
図15は、加振条件としてY加振を与えた場合の周波数応答(横軸:周波数、縦軸:加速度)であり、周波数35.1Hzにおいて加速度がピーク値を示している。
また、図16は、加振条件としてZ加振を与えた場合の周波数応答(横軸:周波数、縦軸:加速度)であり、周波数30.5Hzにおいて加速度がピーク値を示している。
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
9 作業用データメモリ
11 演算処理部
13 振動解析部
15 最大変位荷重取得部
17 感度解析部
19 設計空間設定部
21 最適化ブロックモデル生成部
23 結合処理部
25 最適化解析部
31 車体モデルファイル
41 車体
43 Aピラー
45 ダッシュボード
47 トンネル部
49 ステアリングハンドル
51 ステアリングビーム
53 ブラケット
55 接続部
57 ステイ部
59 設計空間(ブラケット)
61 最適化ブロックモデル(ブラケット)
63 設計空間(接続部)
65 設計空間(ステイ部)
67 最適形状(ブラケット)
69 最適化形状部品(ブラケット)
71 最適化ブロックモデル(接続部)
73 最適形状(接続部)
75 最適化形状部品(接続部)
Claims (6)
- 車体の一部の振動特性を適正化するために、コンピュータが以下の各ステップを行う車体の振動特性の適正化解析方法であって、
前記車体の一部に所定の加振条件を与えて振動解析を行い、該車体の一部の振動の最大変位を求める振動解析ステップと、
該求めた最大変位と同じ変位を前記車体の一部に与えるのに要する荷重を求める最大変位荷重取得ステップと、
前記車体の一部を支持する部品又は部材を最適化の対象として設計空間を設定する設計空間設定ステップと、
設定した前記設計空間に、立体要素からなる最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成ステップと、
生成した前記最適化ブロックモデルを前記車体に結合し、最適化解析モデルを生成する結合処理ステップと、
前記最大変位荷重取得ステップで求めた荷重を荷重条件として与え、加振により前記車体の一部に生じる慣性力を考慮して前記最適化ブロックモデルについて最適化解析を行い、該最適化ブロックモデルの最適な形状を求める最適化解析ステップと、を備えたことを特徴とする車体の振動特性の適正化解析方法。 - 前記最適化ブロックモデル生成ステップは、前記最適化ブロックモデルの質量が最適化の対象とする前記部品又は部材の質量と等しくなるように、該最適化ブロックモデルの比重を設定することを特徴とする請求項1記載の車体の振動特性の適正化解析方法。
- 前記最大変位荷重取得ステップで求めた荷重を荷重条件として与えて前記車体の感度解析を行い、前記最適化の対象とする部品又は部材を特定する感度解析ステップを備え、
前記設計空間設定ステップは、該感度解析ステップで特定した前記部品又は部材に対して設計空間を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の車体の振動特性の適正化解析方法。 - 車体の一部の振動特性を適正化する車体の振動特性の適正化解析装置であって、
前記車体の一部に所定の加振条件を与えて振動解析を行い、該車体の一部の最大変位を求める振動解析部と、
該求めた最大変位と同じ変位を前記車体の一部に与えるのに要する荷重を求める最大変位荷重取得部と、
前記車体の一部を支持する部品又は部材を最適化の対象として設計空間を設定する設計空間設定部と、
設定した前記設計空間に、立体要素からなる最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、
生成した前記最適化ブロックモデルを前記車体に結合し、最適化解析モデルを生成する結合処理部と、
前記最大変位荷重取得部により求められた荷重を荷重条件として与え、加振により前記車体の一部に生じる慣性力を考慮して前記最適化ブロックモデルについて最適化解析を行い、該最適化ブロックモデルの最適な形状を求める最適化解析部と、を備えたことを特徴とする車体の振動特性の適正化解析装置。 - 前記最適化ブロックモデル生成部は、前記最適化ブロックモデルの質量が最適化の対象とする前記部品又は部材の質量と等しくなるように、該最適化ブロックモデルの比重を設定することを特徴とする請求項4記載の車体の振動特性の適正化解析装置。
- 前記最大変位荷重取得部により求められた荷重を荷重条件として与えて前記車体の感度解析を行い、前記最適化の対象とする部品又は部材を特定する感度解析部を備え、
前記設計空間設定部は、該感度解析部により特定された前記部品又は部材に対して設計空間を設定することを特徴とする請求項4又は5記載の車体の振動特性の適正化解析装置。
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