JP7513134B1 - 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法 - Google Patents

自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7513134B1
JP7513134B1 JP2023018053A JP2023018053A JP7513134B1 JP 7513134 B1 JP7513134 B1 JP 7513134B1 JP 2023018053 A JP2023018053 A JP 2023018053A JP 2023018053 A JP2023018053 A JP 2023018053A JP 7513134 B1 JP7513134 B1 JP 7513134B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensitivity
vehicle body
vibration
sensitivity analysis
rigidity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023018053A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2024113228A (ja
Inventor
遼 揚場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2023018053A priority Critical patent/JP7513134B1/ja
Priority to PCT/JP2023/045499 priority patent/WO2024166541A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7513134B1 publication Critical patent/JP7513134B1/ja
Publication of JP2024113228A publication Critical patent/JP2024113228A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D25/00Superstructure or monocoque structure sub-units; Parts or details thereof not otherwise provided for
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/10Geometric CAD
    • G06F30/15Vehicle, aircraft or watercraft design
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/20Design optimisation, verification or simulation

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Geometry (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Automation & Control Theory (AREA)
  • Aviation & Aerospace Engineering (AREA)
  • Computational Mathematics (AREA)
  • Mathematical Analysis (AREA)
  • Mathematical Optimization (AREA)
  • Pure & Applied Mathematics (AREA)
  • Body Structure For Vehicles (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

【課題】振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計する自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る自動車車体設計方法は、車体部品を剛性を高める構造に変更し、振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体100を設計するために、コンピュータが以下の各ステップを実行するものであって、車体部品のうち剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ステップS1と、感度解析により車体部品について求めた感度に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ステップS3と、を含むものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計する自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法に関する。
近年、制振性に優れた自動車車体の効率的な設計手法の開発が、これまで以上に求められている。これは、電気自動車の普及拡大が大きな要因の一つとして挙げられる。電気自動車は内燃機関による振動及び騒音の発生がないため、その他の振動源による振動や騒音に対する乗員の感度が高まるためである。また、電気自動車は大容量バッテリーを搭載する必要があり、それらの保護構造と相まって車体骨格構造が大きく異なるケースがある。これにより、電気自動車においては振動伝達経路が従来のガソリン車と異なるため、車体設計に際しては、振動や騒音を低減する制振構造に関する従来の経験則が通用しない。
そこで、従来の経験則によらずに、振動や騒音を低減する制振構造の設計指針を得る手段として、コンピュータを用いた最適化技術が提案されている。
例えば特許文献1には、自動車の起振源から振動騒音低減対象パネル部品に到る振動伝達経路にある振動伝達骨格部品を特定し、特定した振動伝達骨格部品を板厚ごとに区分する最適な区分領域と板厚を求める方法が開示されている。
また、特許文献2には、自動車のパネル部品の振動騒音を低減するための該パネル部品に付与するビードの最適な分布を求める方法が開示されている。
また、車体の振動特性を向上させるために、振動に対して感度が高い部位を抽出する「感度解析」は重要である。ここで、感度解析とは、自動車車体の要求性能(車体剛性等)に対し、当該自動車車体を構成する部位(例えば、車体部品)等の形状、寸法又は材料特性等が寄与する度合いを推定する解析手法である。そして、自動車車体のような、金属板で構成された構造体は、その振動特性が板厚構成に依存することは自明であり、板厚最適化を活用した感度解析手法が公開されている。
例えば、特許文献3には、自動車の車体部品の振動性能に対する該車体部品の板厚の感度を解析する方法(板厚最適化を適用した感度解析)が開示されている。板厚最適化を適用した感度解析とは、構造体を構成する部位の板厚を設計変数とし、構造体の重量等に関する制約の下で当該構造体の要求性能を満たす最適な板厚を部位ごとに求める解析手法である。そして、板厚最適化を適用した感度解析では、元の車体部品よりも板厚が厚くなった部位が、構造体の要求性能に対して感度が高い部位であり、板厚が薄くなった部位は要求性能に対する感度が低い部位であると特定する。
また、特許文献4には、トポロジー最適化の密度法を適用し、自動車車体の車体性能に対する車体部品の形状等の感度を求める感度解析方法も開示されている。当該感度解析方法は、密度法を用いたトポロジー最適化により算出されるシェル要素の材料密度(各シェル要素における材料の充填状態を表す仮想的な密度)を感度とするものである。そして、シェル要素の材料特性としてヤング率、比重等を設定し、構造体(自動車車体)が制約条件の下で要求特性(目的条件)を満たす各シェル要素の材料密度を感度として求める。これにより、材料密度の高い部位は構造体が満たすべき要求性能に対して感度が高い部位であり、材料密度の低い部位は要求性能に対する感度が低い部位であると特定できる。
特許第6769536号公報 特許第6798595号公報 特開2022-121904号公報 特許第6617812号公報
特許文献1に開示されている方法によれば、自動車における起振源から伝達した振動に起因するパネル部品の振動騒音を効率的かつ確実に低減することができるとされている。しかしながら、当該方法は、車体骨格部品の板厚を再構成することを前提とするため、例えば車体剛性や衝突性能等といった他の車体性能を低下させずに振動騒音低減対象となるパネル部品の制振性を向上させることが困難な場合があった。
また、特許文献2に開示されている方法によれば、自動車のパネル部品に付与するビードの最適な分布を求めることにより、パネル部品の振動に起因する騒音を低減することが可能である。しかしながら、振動騒音の発生源となるパネル部品自体にビードを付与する必要があるため、例えば、ルーフパネル等の自動車車体の外側に用いられるパネル部品の場合、ビードの凹凸形状により外観が損なわれるため、適用が困難な場合があった。
一方、特許文献3に開示されている板厚最適化を適用した感度解析により、自動車車体の重量を増加させずに振動特性を向上させる板厚構成を求めた場合、元の車体部品よりも板厚が厚くなった部位だけでなく、板厚が薄くなった部位が発生する。そして、元の板厚を基準とした板厚減少率が大きい部位は振動特性に対する感度は低い部位であるため、板厚減少により振動特性に対する影響は十分に小さいと考えられる。しかしながら、板厚を減じた部位では、車体剛性や衝突性能等といった振動特性以外の車体性能が低下する場合があった。
また、特許文献4に開示されているトポロジー最適化を適用した感度解析方法を振動性能に対する車体部品の感度解析に適用した場合、車体部品において立体要素が残存した部位(材料密度の高い部位)が、振動特性に対する感度が高い部位であると特定される。しかしながら、振動特性に対しては残存した立体要素の構造(形状)に起因する剛性と、残存した立体要素の重量のどちらが寄与しているかは不明である。そのため、当該部位に対して重量を増加させずに剛性を高める構造に変更したとしても、振動騒音低減対象部位の制振性が向上するとは限らない問題があった。
さらに、これらの方法は、パネル部品の振動騒音を低減するために対策を施す対象を骨格部品(特許文献1)又はパネル部品自体(特許文献2)に限定するものであった。しかしながら、骨格部品又はパネル部品自体に対策を施すだけではパネル部品の振動を十分に低減できない場合があった。そのため、自動車車体を構成する骨格部品及びパネル部品のいずれをも対象とし、車体剛性や衝突性能等の他の車体性能を低下させずに、振動騒音低減対象部位であるパネル部品の制振性を向上させた自動車車体を設計及び製造する方法が望まれていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、車体性能を低下させずに振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計する自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る自動車車体設計方法は、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するために、コンピュータが以下の各ステップを実行するものであって、
剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ステップと、
前記感度解析により前記車体部品について求めた感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ステップと、を含み、
前記感度解析ステップは、
前記車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、該配置した感度判定要素を前記車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する感度解析車体モデル生成工程と、
前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素の材料特性として、前記車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値の密度と、を設定する感度判定要素材料特性設定工程と、
前記感度解析における感度解析条件として、前記感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を設定する感度解析条件設定工程と、
該設定された感度解析条件の下で前記感度解析を行い、前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する前記感度判定要素の感度を求める感度解析工程と、を有することを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、
前記感度解析条件設定工程において、
前記振動入力条件を、前記感度解析車体モデルに対して1又は2以上の部位に所定の振動を入力、とし、
前記目的関数を、前記振動騒音低減対象部位の所定の周波数帯における加速度、イナータンス又は等価放射パワーのいずれかの周波数応答値の最小化、又はこれらを変数とする関数の最小化、とし、
前記制約条件を、前記感度判定要素の体積率を所定の値以下、とし、
前記感度解析工程において、
前記車体部品に配置した感度判定要素についてトポロジー最適化を行い、該トポロジー最適化の解析処理により残存した前記車体部品における感度判定要素を、該車体部品において前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度が高い部位として求める、ことを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、
前記高剛性構造決定ステップにおいて、前記車体部品について求めた感度が高い前記感度判定要素に対応する部位に所定の寸法の凹凸形状を付与した構造を、該車体部品の剛性を高めた構造として決定することを特徴とするものである。
(4)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、
前記高剛性構造決定ステップは、
前記車体部品のうち、前記感度解析で求めた感度が高い前記感度判定要素の割合の大きい車体部品を高感度車体部品として選定する高感度車体部品選定工程と、
該選定された高感度車体部品の表面に付与する最適な凹凸形状を求めるトポグラフィー最適化を実施し、該トポグラフィー最適化により求めた最適な凹凸形状に基づいて、前記高感度車体部品の剛性を高める構造を決定するトポグラフィー最適化解析工程と、を有することを特徴とするものである。
(5)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、
前記高剛性構造決定ステップは、
前記車体部品のうち、前記感度解析で求めた感度が高い前記感度判定要素の割合の大きい車体部品を選定し、該選定した車体部品の表面に沿って設計空間を設定する設計空間設定工程と、
前記設計空間が設定された前記車体部品の最適な形状を求めるトポロジー最適化を実施し、該トポロジー最適化により求めた前記車体部品の最適な形状に基づいて該車体部品の剛性を高める構造を決定するトポロジー最適化解析工程と、を有することを特徴とするものである。
(6)本発明に係る自動車車体設計装置は、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するものであって、
剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ユニットと、
前記感度解析により前記車体部品について求めた感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ユニットと、を備え、
前記感度解析ユニットは、
前記車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、該配置した感度判定要素を前記車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する感度解析車体モデル生成部と、
前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素の材料特性として、前記車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値の密度と、を設定する感度判定要素材料特性設定部と、
前記感度解析における感度解析条件として、前記感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を設定する感度解析条件設定部と、
該設定された感度解析条件の下で前記感度解析を行い、前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する前記感度判定要素の感度を求める感度解析部と、を有することを特徴とするものである。
(7)本発明に係る自動車車体設計プログラムは、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するものであって、
コンピュータを、
剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ユニットと、
前記感度解析により前記車体部品について求めた感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ユニットと、して実行させる機能を備え、
前記感度解析ユニットを、
前記車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、該配置した感度判定要素を前記車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する感度解析車体モデル生成部と、
前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素の材料特性として、前記車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値の密度と、を設定する感度判定要素材料特性設定部と、
前記感度解析における感度解析条件として、前記感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を設定する感度解析条件設定部と、
該設定された感度解析条件の下で前記感度解析を行い、前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する前記感度判定要素の感度を求める感度解析部と、して機能させることを特徴とするものである。
(8)本発明に係る自動車車体の製造方法は、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を製造するものであって、
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の自動車車体設計方法を用いて、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定し、
該決定した剛性を高める構造に基づいて前記車体部品を製造する、ことを特徴とするものである。
本発明においては、自動車車体を構成する骨格部品及びパネル部品のうち剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、重量の影響を考慮せずに振動騒音低減対象部位の振動特性に対する局所的な剛性が寄与する度合いである感度を求める感度解析を行う。そして、感度解析により求めた感度に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定する。これにより、車体剛性や衝突性能等といった他の車体性能を低下させずに、かつ重量を増加せずに振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計し、さらには製造することができる。
本実施の形態1に係る自動車車体設計装置の構成を示すブロック図である。 本実施の形態1において解析対象とした自動車車体と、自動車車体の振動特性の評価に用いる部位及び振動を入力する部位の一例を示す図である。 本実施の形態1に係る自動車車体設計装置において、振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度が高い高感度車体部品について、トポグラフィー最適化又はトポロジー最適化を実施し、剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ユニットの具体的な構成を示す図である((a)トポグラフィー最適化を実施する構成、(b)トポロジー最適化を実施する構成)。 本実施の形態1に係る自動車車体設計方法における処理の流れを示すフロー図である。 本実施の形態1に係る自動車車体設計方法において、トポグラフィー最適化又はトポロジー最適化を実施し、剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ステップの具体的な構成を示す図である((a)トポグラフィー最適化を実施する構成、(b)トポロジー最適化を実施する構成)。 本実施の形態1において、剛性を高める構造に変更可能な車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置して生成した感度解析車体モデルの一例を示す。 本実施の形態1において、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性の一例として求めた、ルーフパネルの等価放射パワーの周波数応答である。 本実施の形態1において、(a)トポロジー最適化を適用した感度解析により残存した感度判定要素と、(b)感度の高い感度判定要素の割合が大きい高感度車体部品、を示す図である。 本実施の形態1において、高感度車体部品についてトポグラフィー最適化を行い、高感度車体部品の表面に付与する最適な凹凸形状を求めた結果を示すコンター図である。 本実施の形態1において、車体部品を剛性を高める構造に変更する前の自動車車体と、ルーフパネルの振動特性に対する感度の高い高感度車体部品にトポグラフィー最適化により求めた最適な凹凸形状を付与して剛性を構造に変更した自動車車体、のそれぞれについて、ルーフパネルの等価放射パワーの周波数応答を求めた結果を示すグラフである。
本発明の実施の形態1及び実施の形態2について説明するに先立ち、本発明で対象とする自動車車体と、本発明に至った経緯を説明する。なお、本願の図面に示す座標軸において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、それぞれ、車体前後方向、車体幅方向及び車体上下方向を示す。
<自動車車体>
自動車車体100は、一例として図2に示すように、車体骨格部品やパネル部品等の車体部品を備えて構成されたものである。
車体骨格部品は、自動車の車体骨格を構成する部品であり、サブフレーム101、トンネル103等が例示できる。
パネル部品は、薄板構造の部品である外板パネルやパネルであり、ルーフパネル105、フロアパネル107、ダッシュパネル109等が例示できる。
そして、自動車車体100においては、ルーフパネル105等のパネル部品について振動騒音を低減させることが要求される場合がある。
本発明は、後述するように、自動車車体100の各車体部品について、振動騒音低減対象部位であるパネル部品の振動特性に対する寄与(感度)の高い部位を求める感度解析を行うものである。そのため、自動車車体100を構成する車体部品は、感度解析を行うためにシェル要素及び/又はソリッド要素でモデル化されているものとする。そして、自動車車体100を構成する各車体部品の要素情報や材料特性等は、後述する自動車車体モデルファイル61(図1)に保存されているものとする。
<発明に至った経緯>
特許文献3及び特許文献4の感度解析は、前述したように、最適化手法を適用し、振動特性を向上させる板厚構成(特許文献3)、材料密度分布(特許文献4)を求めるものである。しかしながら、発明者は、いずれも、振動特性に影響する重量バランスと剛性バランスの両方に影響する因子を最適化の対象としている点に問題があると考えた。
そこで発明者は、特許文献3及び特許文献4の感度解析の方法に代わり、剛性バランスの最適化を感度解析に用いる手法に思い至った。具体的には、自動車の車体部品の振動性能に対する車体部品の感度解析する方法として、物性値として重量バランスの影響を限りなく小さくし、剛性バランスの影響のみを残した仮想的な要素を感度判定要素として、最適化計算を実施する方法に想い至った。
また、発明者は、他の車体性能を低下させず、かつ重量増加させずに振動騒音低減対象部位の制振性を向上させるため、剛性を高める構造とする車体部品を、剛性バランスに関する感度解析により選定する解析手法についてさらに検討した。当該検討では、従来より、車体部品の表面にビード(凹凸形状)を付与することにより、重量を増加せずに局所的な剛性(面剛性)を向上させることが行われていることに着目した。
発明者は、自動車車体等の構造体にビード形状を付与する代わりに金属板を貼付することによっても面剛性を高くすることができると考えた。ただし、金属板をそのまま貼付すると、剛性だけでなく重量も増加し、重量分布の変更に伴う振動特性への影響も生じてしまう。そこで、重量分布を変更せずに局所的な剛性のみを高めるためには、仮想的に重量が0の仮想的な金属板を貼付することと同義であると着想した。さらに、重量が0の仮想的な金属板を貼付した場合、振動特性以外の他の車体性能が低下するものではないことも重要である。
そして、重量0の金属板を貼付するのに最適な部位を求める最適化解析を行うには、車体部品の表面に沿う二次元空間にシェル要素を配置し、シェル要素の密度を十分に小さくして弾性係数のみを設定してトポロジー最適化を実施すればよいと考えた。その結果、車体性能を低下させず、かつ重量を増加せずに剛性を高める構造に変更する部位を有する車体部品を選定できるという知見が得られた。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その具体的な構成は以下に述べるとおりである。
[実施の形態1]
<自動車車体設計装置>
本発明の実施の形態1に係る自動車車体設計装置は、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するものである。そして、自動車車体設計装置1は、一例として図1に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成され、表示装置3と、入力装置5と、記憶装置7と、作業用データメモリ9と、演算処理部11と、を備えている。表示装置3、入力装置5、記憶装置7及び作業用データメモリ9は、演算処理部11に接続され、演算処理部11からの指令によってそれぞれの機能が実行される。
以下、自動車車体設計装置1の各構成について説明する。
表示装置3は、解析結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
入力装置5は、自動車車体モデルファイル61の表示指示や操作者の条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
記憶装置7は、自動車車体モデルファイル61等の各種ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。
作業用データメモリ9は、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算に用いられ、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
演算処理部11は、図1に示すように、感度解析ユニット21と、高剛性構造決定ユニット31と、を備える。そして、演算処理部11は、PC等のCPU(中央演算処理装置)によって構成され、上記の各部は、CPUが所定のプログラムを実行することによって機能する。
演算処理部11における上記の各ユニットの機能を以下に説明する。
≪感度解析ユニット≫
感度解析ユニット21は、自動車車体100における車体部品のうち剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行うものである。
感度解析ユニット21は、図1に示すように、感度解析車体モデル生成部23と、感度判定要素材料特性設定部25と、感度解析条件設定部27と、感度解析部29と、を有する。
(感度解析車体モデル生成部)
感度解析車体モデル生成部23は、剛性を高める構造に変更可能な車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、配置した感度判定要素を車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成するものである。
感度判定要素の配置は、例えば、車体部品の表面に沿う二次元空間に対してシェル要素を用いて要素分割することにより行うことができる。
また、車体部品の表面に沿って配置した感度判定要素と車体部品との結合は、例えば、感度判定要素の節点と車体部品の節点とを要素(剛体要素、弾性体要素、又は弾塑性体要素)で結合(剛体結合、又は弾性体結合)とすればよい。あるいは、感度判定要素と車体部品の節点を共有させることで、感度判定要素と車体部品を結合してもよい。
(感度判定要素材料特性設定部)
感度判定要素材料特性設定部25は、感度解析車体モデルにおける感度判定要素の材料特性として、弾性係数と、密度と、を設定するものである。そして、弾性係数は、感度判定要素が配置された車体部品に用いられている金属材料に相当する値を設定し、密度は、感度解析車体モデルにおける振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値を設定する。
感度判定要素に設定する弾性係数は、例えば鋼板の弾性係数(=210GPa)を設定することができる。もっとも、感度解析ユニット21による感度解析は、車体部品の局所的な剛性に対する感度を求めることが目的である。そのため、感度判定要素に設定する弾性係数は、鋼板の弾性係数そのものの値に限るものではない。
感度判定要素に設定する密度は、感度判定要素であるシェル要素の重量が振動騒音低減対象部位の振動特性に影響しない程度の値を設定する必要がある。そのため、感度判定要素の密度の値として0を設定するとよい。なお、感度判定要素の密度の値は0に限定されるものではなく、振動騒音低減対象部位の振動特性に影響しない程度の値であればよい。
なお、感度判定要素材料特性設定部25により感度判定要素の板厚を設定する場合においては、車体部品における感度判定要素を重ねて配置する部位と同程度の板厚とすればよい。
(感度解析条件設定部)
感度解析条件設定部27は振動入力条件と、目的関数と、制約条件と、を感度解析条件として設定するものである。
振動入力条件は、感度解析において感度解析車体モデルに与える振動に関する条件である。
振動入力条件として、振幅(振動の大きさ)、周波数、及び、感度解析車体モデルに振動を与える部位、等を設定すればよく、例えば、自動車の走行時にタイヤを介して自動車車体100に入力する振動(ロードノイズ)を想定して適宜設定すればよい。この場合、振動を与える部位は、感度解析車体モデルにおいて、サブフレーム101とロアアーム(図示なし)との結合部(図2中の△印で示す部位)が例示できる。
目的関数は、振動騒音低減対象部位の振動特性に応じて設定する条件であり、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性を振動強度とすることができる。そして、振動強度としては、振動騒音低減対象部位の所定の周波数帯における加速度、イナータンス又は等価放射パワーのいずれかの周波数応答値とすることができる。
イナータンスは、物体に入力する力と、それによって発生する加速度の比で表される振動特性であり、振動伝達関数とも呼ばれる。
等価放射パワーとは、振動している構造物が発する音のレベルを簡易的に表現する指標であり、構造物の振動速度の面直成分が音響空間にエネルギーを与える、という考えに基づいて表される振動特性である。
なお、目的関数は、振動騒音低減対象部位の所定の周波数帯における加速度、イナータンス又は等価放射パワーを変数とする関数としてもよい。
加速度、イナータンス若しくは等価放射パワーを変数とする関数としては、例えば、制振性向上の対象とする車体部品(例えば、パネル部品等)における複数の位置での加速度等の平均値や最大値を与える関数、が挙げられる。
なお、振動騒音低減対象部位において振動特性を評価する部位は、操作者の指示により適宜設定すればよい。例えば、パネル部品を振動騒音低減対象部位とした場合、振動特性を評価する部位は、パネル部品の全面としてもよいし、パネル部品における所定の部位としてもよい。
制約条件は、感度解析車体モデルにおける感度判定要素に関する制約である。
感度判定要素に関する制約条件としては、例えば、後述する感度解析部29による感度解析にトポロジー最適化を適用した場合、最適化処理により残存した感度判定要素が所定の体積率以下とする制約を設定することができる。ここで、感度判定要素の体積率とは、感度判定要素を配置するために設定された設計空間の体積に対し、トポロジー最適化の最適化処理により残存した感度判定要素が占める体積の比率とすればよい。
(感度解析部)
感度解析部29は、感度解析条件設定部27により設定された感度解析条件の下で感度解析を行い、振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度判定要素の感度を求めるものである。
感度解析部29による感度解析には、例えばトポロジー最適化を適用することができる。
密度法を用いたトポロジー最適化においては、感度判定要素の仮想的な材料密度(各シェル要素における材料の充填状態を表す仮想的な密度)を設計変数とする。そして、トポロジー最適化の解析処理により、振動特性に対する寄与が大きい感度判定要素は材料密度が1に近い値となって残存し、振動特性に対する感度が高いことを示す。これに対し、振動特性に対する寄与が小さい感度判定要素は材料密度が0に近い値となって消去され、振動特性に対する感度が低いことを示す。このように、感度解析部29は、感度解析にトポロジー最適化を適用することで、各感度判定要素について算出した材料密度を振動特性に対する感度として求めることができる。
≪高剛性構造決定ユニット≫
高剛性構造決定ユニット31は、感度解析により車体部品について求めた感度に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定するものである。
高剛性構造決定ユニット31は、感度解析部29により車体部品の感度判定要素について求めた感度が高い感度判定要素の位置を、剛性を高める構造に変更する部位とすることで、車体部品の剛性を高める構造を決定することができる。
ここで、車体部品の剛性を高める構造は、例えば、車体部品について求めた感度が高い感度判定要素に対応する部位に所定の寸法の凹凸形状(ビード)を付与した構造と決定することができる。そして、凹凸形状の寸法は、操作者により適宜設定するとよい。
あるいは、感度解析部29による感度解析により、車体部品について求めた感度が高い感度判定要素に対応する部位の凹凸形状にそのまま変更した構造を、車体部品の剛性を高める構造として決定してもよい。
さらに、高剛性構造決定ユニット31は、車体部品の形状を変更することで剛性を高める構造を決定するものであってもよい。例えば、車体部品の表面にドアパネル部品のようなキャラクターライン状の表面構造としても良い。
なお、高剛性構造決定ユニット31は、感度が高い部位に凹凸形状を付与したり部品形状を変更するものに限らず、トポグラフィー最適化又はトポグラフィー最適化を行い、車体部品の剛性を高める構造を決定するものであってもよい。
図3に、(a)トポグラフィー最適化を行う高剛性構造決定ユニット41、及び、(b)トポロジー最適化を行う高剛性構造決定ユニット51、の具体的な構成を示す。
(a)高剛性構造決定ユニット41
図3(a)に示す高剛性構造決定ユニット41は、トポグラフィー最適化を行い、車体部品の剛性を高める構造を決定するものであり、高感度車体部品選定部43と、トポグラフィー最適化解析部45と、を有する。
(高感度車体部品選定部)
高感度車体部品選定部43は、感度解析部29により求めた感度が高い感度判定要素の割合の大きい車体部品を高感度車体部品として選定するものである。
(トポグラフィー最適化解析部)
トポグラフィー最適化解析部45は、高感度車体部品選定部43により選定された高感度車体部品の表面の全部又は一部に付与する最適な凹凸形状を求めるトポグラフィー最適化を実施するものである。さらに、トポグラフィー最適化解析部45は、トポグラフィー最適化により求めた最適な凹凸形状に基づいて、高感度車体部品の表面に凹凸形状を付与することにより剛性を高める構造を決定するものである。
トポグラフィー最適化解析部45によりトポグラフィー最適化の解析処理を行うには、まず、高感度車体部品に付与する凹凸形状(ビード)に関する条件を設定する。凹凸形状に関する条件としては、ビードの最小幅、最大幅、ビード角度、ビード最大高さ、等が例示できる。そして、これらの凹凸形状に関する条件は、ビードを付与する車体部品の周辺に存在する車体部品との干渉や自動車車体の要件によって、操作者が適宜設定することができる。
トポグラフィー最適化の解析処理を行うには、最適化解析条件として、目的関数及び制約条件と、振動入力条件と、を設定する。
ここで、目的関数と振動入力条件は、感度解析条件設定部27により設定された感度解析条件と同一の振動入力条件及び目的関数を設定するとよい。
また、制約条件は、凹凸形状に関する制約(例えば、ビードの最小幅及び最大幅、ビード角度、ビード最大高さ、等)を設定すればよい。
(b)高剛性構造決定ユニット51
図3(b)に示す高剛性構造決定ユニット51は、トポロジー最適化を行い、車体部品の剛性を高める構造を決定するものであり、設計空間設定部53と、トポロジー最適化解析部55と、を有する。
(設計空間設定部)
設計空間設定部53は、感度解析ユニット21により求めた感度が高い感度判定要素の割合の大きい車体部品について、最適化の解析処理を行うための設計空間を設定するものである。
設計空間設定部53は、例えば、感度が高い感度判定要素の割合が大きい車体部品を取り除き、感度解析車体モデル110において車体部品を取り除いた領域に設定することができる。
若しくは、設計空間設定部53は、感度が高い感度判定要素の割合が大きい車体部品の表面に沿って設定してもよい。
さらに、設計空間設定部53は、感度が高い車体部品ごとに設計空間を設定してもよいし、感度が高い車体部品を含む複数の車体部品についてまとめて設計空間を設定してもよい。
(トポロジー最適化解析部)
トポロジー最適化解析部55は、設計空間設定部53により設定された設計空間に対して、車体部品の最適な形状を求めるトポロジー最適化を実施するものである。さらに、トポロジー最適化解析部55は、トポロジー最適化により求めた車体部品の最適な形状に基づいて剛性を高める構造を決定するものである。
トポロジー最適化解析部55によるトポロジー最適化を実施するための具体的の処理の一例は、以下のとおりである。
まず、本発明の感度解析部により求められた高感度部位に対して、要素(ソリッド要素又はシェル要素)でモデル化されて最適化の解析処理を行う最適化解析ブロックモデルを生成する。
次に、生成した最適化解析ブロックモデルを感度解析車体モデルに結合し、最適化解析モデルを生成する。なお、最適化解析ブロックモデルの材料特性(ヤング率、比重、密度等)は車体部品の材料特性に相当する値を設定する。
続いて、最適化解析モデルについて、トポロジー最適化の解析処理のための最適化解析条件として、目的関数、制約条件及び振動入力条件を設定する。
目的関数及び振動入力条件は、感度解析条件と同一の振動入力条件及び目的関数を設定すればよい。
制約条件は、トポロジー最適化において最適化解析ブロックモデルに関する制約である。制約条件としては、例えば、最適化ブロックモデルの重量又は体積率を、設計空間設定部53において設計空間を設定するにあたり、車体部品から取り除いた領域の重量又は体積を超えない範囲に設定すればよい。
次に、設定した最適化解析条件の下で、最適化解析ブロックモデルの最適な構造を求めるトポロジー最適化の解析処理を行う。
そして、トポロジー最適化により求めた最適化解析ブロックモデルの最適な構造に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定する。例えば、最適化解析ブロックモデルにおいて要素が残存した部位については、元の車体部品における当該部位に補剛部品を追加し、要素が消去した部位については開口した孔部を設ける、等により剛性を高める構造を決定するとよい。
なお、振動特性以外の性能を担保するため、最適化制約条件に必要な剛性維持の条件を設定してもよい。また、衝突性能の低下が懸念される場合には、使用材料をより高強度な材料に置き換えることで対応が可能である。
<自動車車体設計方法>
本実施の形態1に係る自動車車体設計方法は、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するために、コンピュータが以下の各ステップを実行するものである。そして、自動車車体設計方法は、図4に示すように、感度解析ステップS1と、高剛性構造決定ステップS3と、を含む。
なお、本実施の形態1に係る自動車車体設計方法は、コンピュータによって構成された自動車車体設計装置1(図1)を用いて実行するものとする。
≪感度解析ステップ≫
感度解析ステップS1は、車体部品のうち剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行うステップである。そして感度解析ステップS1は、図4に示すように、感度解析車体モデル生成工程S11と、感度判定要素材料特性設定工程S13と、感度解析条件設定工程S15と、感度解析工程S17と、を有する。
本実施の形態1において、感度解析ステップS1は、自動車車体設計装置1の感度解析ユニット21が実行する。
(感度解析車体モデル生成工程)
感度解析車体モデル生成工程S11は、車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、配置した感度判定要素を車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する工程である。
本実施の形態1において、感度解析車体モデル生成工程S11は、自動車車体設計装置1の感度解析車体モデル生成部23が実行する。
(感度判定要素材料特性設定工程)
感度判定要素材料特性設定工程S13は、感度解析車体モデルにおける感度判定要素の材料特性として、弾性係数と、密度と、を設定する工程である。ここで、弾性係数は、車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数を設定し、密度は、感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値を設定する。
本実施の形態1において、感度判定要素材料特性設定工程S13は、自動車車体設計装置1の感度判定要素材料特性設定部25が実行する。
なお、感度判定要素の密度の値は0に限定されるものではなく、振動騒音低減対象部位の振動特性に影響しない程度の値を適宜設定してもよい。
(感度解析条件設定工程)
感度解析条件設定工程S15は、感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、を感度解析条件として設定する工程である。さらに、感度解析条件設定工程S15は、感度解析車体モデルにおける振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を感度解析条件として設定する工程である。
本実施の形態1において、感度解析条件設定工程S15は、自動車車体設計装置1の感度解析条件設定部27が実行する。
振動入力条件としては、振幅(振動の大きさ)、周波数、及び、感度解析車体モデルに振動を与える部位、等を設定すればよく、例えば、自動車の走行時にタイヤを介して自動車車体100に入力する振動(ロードノイズ)を想定して適宜設定すればよい。また、振動入力条件として、感度解析車体モデルに対して1又は2以上の部位に所定の振動を入力するものと設定することができる。
目的関数としては、振動騒音低減対象部位の所定の周波数帯における加速度、イナータンス又は等価放射パワーのいずれかの周波数応答値の最小化、又はこれらを変数とする関数の最小化、とすることができる。
制約条件としては、例えば、後述する感度解析工程S17における感度解析にトポロジー最適化を適用した場合、最適化処理により残存した感度判定要素が所定の体積率以下とする制約を設定することができる。
(感度解析工程)
感度解析工程S17は、感度解析条件設定工程S15において設定された感度解析条件の下で感度解析を行い、振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度判定要素の感度を求めるものである。
本実施の形態1において、感度解析工程S17は、自動車車体設計装置1の感度解析部29が実行する。
感度解析工程S17においては、車体部品に配置した感度判定要素についてトポロジー最適化を行うことができる。そして、トポロジー最適化の解析処理により残存した車体部品における感度判定要素を、車体部品において前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度が高い部位として求めることができる。
≪高剛性構造決定ステップ≫
高剛性構造決定ステップS3は、感度解析ステップS1における感度解析により車体部品について求めた感度に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定するステップである。
本実施の形態1において、高剛性構造決定ステップS3は、自動車車体設計装置1の高剛性構造決定ユニット31が実行する。
高剛性構造決定ステップS3においては、感度解析ステップS1において車体部品の感度判定要素について求めた感度が高い感度判定要素の位置に対して、剛性を高める構造に決定することができる。
高剛性構造決定ステップS3においては、例えば、車体部品について求めた感度が高い感度判定要素に対応する部位に所定の寸法の凹凸形状(ビード)を付与した構造を車体部品の剛性を高める構造として決定することができる。そして、凹凸形状の寸法は適宜設定するとよい。
あるいは、高剛性構造決定ステップS3においては、車体部品について求めた感度が高い感度判定要素に対応する部位の形状にそのまま変更した構造を、車体部品の剛性を高める構造として決定してもよい。
なお、高剛性構造決定ステップにおいては、感度が高い部位に凹凸形状を付与したり部品形状を変更するものに限らず、トポグラフィー最適化又はトポグラフィー最適化を行い、車体部品の剛性を高める構造を決定してもよい。
図5に、トポグラフィー最適化を行う高剛性構造決定ステップS4、及び、トポロジー最適化を行う高剛性構造決定ステップS5、の具体的な構成を示す。
(a)高剛性構造決定ステップS4
図5(a)に示す高剛性構造決定ステップS4は、トポグラフィー最適化を行い、車体部品の剛性を高める構造を決定するものであり、高感度車体部品選定工程S41と、トポグラフィー最適化解析工程S43と、を有する。そして、図5(a)に示す高剛性構造決定ステップS4は、図3(a)に示した高剛性構造決定ユニット41が実行する。
(高感度車体部品選定工程)
高感度車体部品選定工程S41は、車体部品のうち、感度解析工程S17において求めた感度が高い感度判定要素の割合の大きい車体部品を高感度車体部品として選定する工程である。
高感度車体部品選定工程S41は、自動車車体設計装置1の高感度車体部品選定部43が実行することができる(図3(a))。
(トポグラフィー最適化解析工程)
トポグラフィー最適化解析工程S43は、高感度車体部品選定工程S41において選定された高感度車体部品の表面に付与する最適な凹凸形状を求めるトポグラフィー最適化を実施するものである。さらに、トポグラフィー最適化解析工程S43は、トポグラフィー最適化により求めた最適な凹凸形状に基づいて、高感度車体部品の表面に凹凸形状を付与することにより剛性を高める構造を決定するものである。
トポグラフィー最適化解析工程S43は、自動車車体設計装置1のトポグラフィー最適化解析部45が実行することができる(図3(a))。
(b)高剛性構造決定ステップS5
図5(b)に示す高剛性構造決定ステップS5は、トポロジー最適化を行い、車体部品の剛性を高める構造を決定するステップの構成を示すものであり、設計空間設定工程S51と、トポロジー最適化解析工程S53と、を有する。
(設計空間設定工程)
設計空間設定工程S51は、車体部品のうち、感度解析ステップS1により求めた感度が高い感度判定要素の割合の大きい車体部品について、最適化の解析処理を行うための設計空間を設定するものである。
設計空間設定工程S51は、図3(b)に示す高剛性構造決定ユニット51の設計空間設定部53により実行することができる。
設計空間設定工程S51においては、例えば、感度が高い感度判定要素の割合が大きい車体部品を取り除き、感度解析車体モデル110において車体部品を取り除いた領域に設定することができる。
若しくは、設計空間設定工程S51においては、感度が高い感度判定要素の割合が大きい車体部品の表面に沿って設定してもよい。
さらに、設計空間設定工程S51においては、感度が高い車体部品ごとに設計空間を設定してもよいし、感度が高い車体部品を含む複数の車体部品についてまとめて設計空間を設定してもよい。
(トポロジー最適化解析工程)
トポロジー最適化解析工程S53は、設計空間設定工程S51において設定された設計空間に対して、車体部品の最適な形状を求めるトポロジー最適化を実施するものである。さらに、トポロジー最適化解析工程S53は、トポロジー最適化により求めた車体部品の最適な形状に基づいて剛性を高める構造を決定するものである。
トポロジー最適化解析工程S53は、図3(b)に示す高剛性構造決定ユニット51のトポロジー最適化解析部55により実行し、車体部品の剛性を高める構造を決定することができる。
<本実施の形態1の作用効果>
次に、本実施の形態1に係る自動車車体設計方法及び装置の作用効果を説明する。
ここでは、図2に示す自動車車体100の振動騒音低減対象部位としてルーフパネル105の制振性を向上させるために車体部品の剛性を高める構造を決定する場合について、本実施の形態1に係る自動車車体設計方法における処理を説明する。なお、以下の説明は、自動車車体設計方法の作用効果に関するものであるが、本実施の形態1に係る自動車車体設計装置1によっても同様の作用効果が得られる。
まず、感度解析ステップS1を実行するにあたって、記憶装置7に保存された自動車車体モデルファイル61から自動車車体100を構成する各車体部品のメッシュデータ等を取得した。そして、ルーフパネル105等の外板パネル以外の車体部品を剛性を高める構造に変更可能な車体部品として選定した。
次に、感度解析車体モデル生成工程S11において、図6に示すように、ルーフパネル105等の外板パネル以外の車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置した。なお、図6においては、全車体部品について感度判定要素を配置し、特に後述する図8(a)と対応する車体部品については111、113、117、119の符号を付した。そして、配置した感度判定要素を車体部品に結合して感度解析車体モデル110を生成する。ここで、感度判定要素はシェル要素とし、車体部品とは剛体ビーム要素により結合した。
続いて、感度判定要素材料特性設定工程S13において、感度解析車体モデル110における感度判定要素に材料特性を設定した。ここでは、材料特性として、弾性係数は各車体部品に用いられている鋼板の弾性係数(210GPa)とし、密度は0とした。
さらに、感度解析条件設定工程S15において、振動入力条件と、目的関数と、制約条件と、振動入力条件と、を設定した。
振動入力条件は、自動車走行時のロードノイズを想定し、感度解析車体モデル110におけるサブフレーム101とロアアーム(図示なし)の結合部(図2における△印の部位)に、振幅1N、周波数1~200Hzの振動が入力する条件とした。
また、目的関数は、ルーフパネル105の等価放射パワーERPの110Hzから180Hzの周波数帯におけるピーク値の最小化とした。図7に、自動車車体100に上記の振動入力条件を与えたときのルーフパネル105の等価放射パワーの周波数応答値を示す。
さらに、制約条件は、感度判定要素の体積率10%以下を設定した。
次に、感度解析工程S17において、上記のように設定した感度解析条件を感度解析車体モデル110に与えて、感度解析を行った。
図8(a)に、感度解析を行って残存した感度判定要素の結果を示す。サブフレーム101、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109に残存している感度判定要素(111、113、117及び119)の割合が大きいことが分かる。
続いて、トポグラフィー最適化を行う高剛性構造決定ステップS4において、車体部品について剛性を高める構造を決定した。
まず、高感度車体部品選定工程S41において、ルーフパネル105の振動特性に対する感度が高い車体部品を高感度車体部品として選定した。
ここでは、図8(a)に示した感度の結果から、図8(b)に示すように、サブフレーム101の一部、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109を高感度車体部品131、133、137、139として選定した。
次に、トポグラフィー最適化解析工程S43において、高感度車体部品の表面に付与する最適な凹凸形状を求めるトポグラフィー最適化を実施した。
トポグラフィー最適化においては、凹凸形状に関する制約条件を、最小幅15mm、最大幅30mm、壁角度80°、最大高さ7mm、とした。
さらに、トポグラフィー最適化における最適化解析条件として、感度解析条件と同一の振動入力条件及び目的関数を設定した。
図9に、上記の凹凸形状に関する条件と最適化解析条件との下で、高感度車体部品(131、133、137、139)についてトポグラフィー最適化により最適な凹凸形状の分布を求めた結果を示す。
そして、図9に示す結果に基づいて、サブフレーム101の一部、高感度車体部品であるトンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109の表面に凹凸形状を付与することで剛性を高める構造を決定した。
さらに、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109に凹凸形状を付与することで剛性を高める構造に変更することにより、ルーフパネル105の制振性を評価した。図10に、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109を剛性を高める構造に変更した自動車車体100に上記の振動入力条件を与えたときのルーフパネル105の等価放射パワーの周波数応答の結果を示す。なお、図10には、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109の構造を変更する前の自動車車体100についてルーフパネル105の等価放射パワーの周波数応答を求めた結果(図7)も併せて示す。
図10に示すように、110Hzから180Hzの周波数帯における等価放射パワーの最大値が1.6dB低下する結果が得られ(構造変更前:67.5dB、高剛性構造に変更後:65.9dB)、ルーフパネル105の制振性が向上することが示された。
なお、各車体部品について求めた感度が高い感度判定要素に対応する部位に凹凸形状を付与した構造を車体部品の剛性を高める構造として決定した場合(高剛性構造決定ステップS3)についても、ルーフパネル105の制振性を評価した。ここでは、図8(a)に示したように、サブフレーム101の一部、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109における感度が高い感度判定要素に対応する部位に高さ5.0mm程度の凹凸形状を付与した構造を高剛性構造として決定した。
このように決定した高剛性構造に変更した自動車車体100についてルーフパネル105の等価放射パワーの周波数応答を求めた。その結果、110Hzから180Hzの周波数帯における最大値が1.0dB低下(構造変更前:67.5dB、高剛性構造に変更後:66.5dB、図示なし)した。この結果から、感度解析により感度が高い感度判定要素に対応する部位に凹凸形状を付与した場合、トポグラフィー最適化により求めた最適な形状の凹凸形状を付与した場合よりも効果は低かったものの、ルーフパネル105の制振性の有意な改善が見られた。
さらに、感度解析に基づいて高感度車体部品を選定し、選定した高感度車体部品についてトポロジー最適化を行って高剛性構造を決定した場合(高剛性構造決定ステップS5)についても、ルーフパネル105の制振性を評価した。ここでは、前述した図8(b)に示したように、サブフレーム101の一部、トンネル103、フロアパネル107及びダッシュパネル109を高感度車体部品131、133、137、139として選定した。そして、各高感度車体部品の近傍に3次元ソリッド要素からなる設計空間を設定し、トポロジー最適化により残存形状を求め、残存形状に基づいて高感度車体部品の高剛性構造を決定した。高感度車体部品の残存形状を求めるトポロジー最適化の最適化解析条件は、感度解析条件と同一の振動入力条件及び目的関数とした。
このように決定した高剛性構造に変更した自動車車体100についてルーフパネル105の等価放射パワーの周波数応答を求めた。その結果、110Hzから180Hzの周波数帯における等価放射パワーの最大値が1.8dB低下(構造変更前:67.5dB、高剛性構造に変更後:65.7dB、図示なし)した。この結果から、トポロジー最適化により高感度車体部品の高剛性構造を決定した場合、トポグラフィー最適化により高剛性構造を決定した場合と比べると、わずかであるがルーフパネルの制振性が改善することが示された。
以上、本実施の形態1に係る自動車車体設計方法及び装置においては、自動車車体における車体部品について、重量の影響を考慮せずに振動騒音低減対象部位の振動特性に対する局所的な剛性が寄与する度合い(感度)を求める感度解析を行う。当該感度解析においては、パネル部品等の振動騒音低減対象部位だけでなく、自動車における起振源から振動騒音低減対象部位に至るまでの車体骨格部品や補強部品について、振動騒音低減対象部位の制振性に対する感度を求める。
さらに、感度解析により求めた感度に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定する。これにより、車体剛性や衝突性能等といった他の車体性能を低下させずに、かつ重量を増加せずに振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計することができる。
<自動車車体設計プログラム>
上記の本発明の実施の形態1に係る説明は、自動車車体設計方法及び装置についてのものであった。もっとも、本発明は、コンピュータによって構成された自動車車体設計装置1(図1)の演算処理部11における各部を機能させる自動車車体設計プログラムとして構成することができる。
本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するものである。そして、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、コンピュータを、図1に示す演算処理部11のように、感度解析ユニット21と、高剛性構造決定ユニット31と、して機能させるものである。
ここで、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、コンピュータを感度解析ユニット21として機能させるため、感度解析ユニット21が有する各部を機能させる。感度解析ユニット21は、前述した図1に示すように、感度解析車体モデル生成部23と、感度判定要素材料特性設定部25と、感度解析条件設定部27と、感度解析部29と、を有する。
なお、図1に示す高剛性構造決定ユニット31は、感度解析部29により求めた感度が高い部位に凹凸形状を付与する等により、車体部品の剛性を高める構造を決定するように機能するものであった。
もっとも、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、コンピュータを、図3(a)に示す高剛性構造決定ユニット41として実行させる機能を備えるものであってもよい。この場合、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、高剛性構造決定ユニット41(図3(b))を、高感度車体部品選定部43と、トポグラフィー最適化解析部45と、して機能させる。
若しくは、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、コンピュータを、図3(b)に示す高剛性構造決定ユニット51として実行させる機能を備えるものであってもよい。この場合、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムは、高剛性構造決定ユニット51(図3(b))を、設計空間設定部53と、トポロジー最適化解析部55と、して機能させる。
そして、本実施の形態1に係る自動車車体設計プログラムをコンピュータで実行することにより、上記で説明した本実施の形態1に係る自動車車体設計方法及び装置と同様の作用効果が得られる。
なお、上記の説明は、感度解析にトポロジー最適化を適用したものであったが、本発明は、感度解析に板厚最適化を適用するものであってもよい。
板厚最適化を適用した感度解析においても、まず、自動車車体における車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、感度解析車体モデルを生成する。
次に、感度解析車体モデルにおける感度判定要素に、材料特性として、感度判定要素が配置された車体部品に用いられる金属板に相当する弾性係数と、振動騒音低減対象部位の振動特性に影響しない程度に小さな値の密度を設定する。
さらに、トポロジー最適化を適用した感度解析と同様に、感度解析条件を設定する。ここで、感度解析条件として設定する制約条件は、感度判定要素に関する板厚を設定するとよい。
続いて、設定した感度解析条件の下で、感度解析車体モデルにおける感度判定要素の板厚に関する板厚最適化の解析処理を実行することにより、車体部品に配置した感度判定要素ごとに最適な板厚が算出される。
そして、板厚最適化により求めた板厚が元の板厚よりも増加している感度判定要素は、振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度が高く、元の板厚よりも減少している感度判定要素は、振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度が低いこと示す。
このように、板厚最適化を適用した場合においても、車体部品について、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に関する振動特性に対する寄与の度合い(感度)の高い部位を特定することができる。
また、上記の説明では、感度判定要素ごとに感度を求めていたが、本発明は、車体部品ごとに感度を求めるものであってもよい。この場合においては、感度が高い車体部品の全体について剛性を高める構造を決定すればよい。
あるいは、感度が高い車体部品について、トポグラフィー最適化又はトポロジー最適化を実施し、剛性を高める構造を決定してもよい。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る自動車車体の製造方法は、自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を製造するものである。
本実施の形態2に係る自動車車体の製造方法においては、まず、前述した実施の形態1に係る自動車車体設計方法を用いて、振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度に基づいて、車体部品の剛性を高める構造を決定する。
剛性を高める構造しては、例えば、感度解析により求めて感度が高い部位に凹凸形状を付与した構造や、感度が高い部位の形状を変更した構造とすればよい。
また、感度解析により求めた感度が高い感度判定要素の割合が大きい車体部品を高感度車体部品として選定し、トポグラフィー最適化により高感度車体部品の表面に付与する最適な凹凸形状を求めることにより、剛性を高める構造を決定してもよい。
さらに、感度解析により求めた感度が高い感度判定要素の割合が大きい車体部品に設計空間を設定し、トポロジー最適化により車体部品の剛性を高める構造を決定してもよい。
そして、このように決定した剛性を高める構造の車体部品を製造する。
車体部品は、例えば、凹凸形状を付与した構造の場合は、当該車体部品をプレス成形で製造する過程において凹凸形状を同時に付与することにより、製造することができる。
このように、本実施の形態2に係る自動車車体の製造方法によれば、車体剛性や衝突性能等の車体性能を低下させず、かつ重量を増加させずに、振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を製造することができる。
1 自動車車体設計装置
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
9 作業用データメモリ
11 演算処理部
21 感度解析ユニット
23 感度解析車体モデル生成部
25 感度判定要素材料特性設定部
27 感度解析条件設定部
29 感度解析部
31 高剛性構造決定ユニット
41 高剛性構造決定ユニット
43 高感度車体部品選定部
45 トポグラフィー最適化解析部
51 高剛性構造決定ユニット
53 設計空間設定部
55 トポロジー最適化解析部
61 自動車車体モデルファイル
100 自動車車体
101 サブフレーム
103 トンネル
105 ルーフパネル
107 フロアパネル
109 ダッシュパネル
110 感度解析車体モデル
111、113、115、117 感度判定要素
121、123、125、127 トポロジー最適化により残存した感度判定要素
131、133、137、139 高感度車体部品

Claims (8)

  1. 自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計するために、コンピュータが以下の各ステップを実行する自動車車体設計方法であって、
    剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ステップと、
    前記感度解析により前記車体部品について求めた感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ステップと、を含み、
    前記感度解析ステップは、
    前記車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、該配置した感度判定要素を前記車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する感度解析車体モデル生成工程と、
    前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素の材料特性として、前記車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値の密度と、を設定する感度判定要素材料特性設定工程と、
    前記感度解析における感度解析条件として、前記感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を設定する感度解析条件設定工程と、
    該設定された感度解析条件の下で前記感度解析を行い、前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する前記感度判定要素の感度を求める感度解析工程と、を有することを特徴とする自動車車体設計方法。
  2. 前記感度解析条件設定工程において、
    前記振動入力条件を、前記感度解析車体モデルに対して1又は2以上の部位に所定の振動を入力、とし、
    前記目的関数を、前記振動騒音低減対象部位の所定の周波数帯における加速度、イナータンス又は等価放射パワーのいずれかの周波数応答値の最小化、又はこれらを変数とする関数の最小化、とし、
    前記制約条件を、前記感度判定要素の体積率を所定の値以下、とし、
    前記感度解析工程において、
    前記車体部品に配置した感度判定要素についてトポロジー最適化を行い、該トポロジー最適化の解析処理により残存した前記車体部品における感度判定要素を、該車体部品において前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する感度が高い部位として求める、ことを特徴とする請求項1に記載の自動車車体設計方法。
  3. 前記高剛性構造決定ステップにおいて、前記車体部品について求めた感度が高い前記感度判定要素に対応する部位に所定の寸法の凹凸形状を付与した構造を、該車体部品の剛性を高めた構造として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車車体設計方法。
  4. 前記高剛性構造決定ステップは、
    前記車体部品のうち、前記感度解析で求めた感度が高い前記感度判定要素の割合の大きい車体部品を高感度車体部品として選定する高感度車体部品選定工程と、
    該選定された高感度車体部品の表面に付与する最適な凹凸形状を求めるトポグラフィー最適化を実施し、該トポグラフィー最適化により求めた最適な凹凸形状に基づいて、前記高感度車体部品の剛性を高める構造を決定するトポグラフィー最適化解析工程と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車車体設計方法。
  5. 前記高剛性構造決定ステップは、
    前記車体部品のうち、前記感度解析で求めた感度が高い前記感度判定要素の割合の大きい車体部品を選定し、該選定した車体部品の表面に沿って設計空間を設定する設計空間設定工程と、
    前記設計空間が設定された前記車体部品の最適な形状を求めるトポロジー最適化を実施し、該トポロジー最適化により求めた前記車体部品の最適な形状に基づいて該車体部品の剛性を高める構造を決定するトポロジー最適化解析工程と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車車体設計方法。
  6. 自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計する自動車車体設計装置であって、
    剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ユニットと、
    前記感度解析により前記車体部品について求めた感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ユニットと、を備え、
    前記感度解析ユニットは、
    前記車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、該配置した感度判定要素を前記車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する感度解析車体モデル生成部と、
    前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素の材料特性として、前記車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値の密度と、を設定する感度判定要素材料特性設定部と、
    前記感度解析における感度解析条件として、前記感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を設定する感度解析条件設定部と、
    該設定された感度解析条件の下で前記感度解析を行い、前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する前記感度判定要素の感度を求める感度解析部と、を有することを特徴とする自動車車体設計装置。
  7. 自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を設計する自動車車体設計プログラムであって、
    コンピュータを、
    剛性を高める構造に変更可能な車体部品について、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度を求める感度解析を行う感度解析ユニットと、
    前記感度解析により前記車体部品について求めた感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定する高剛性構造決定ユニットと、して実行させる機能を備え、
    前記感度解析ユニットを、
    前記車体部品の表面に沿う二次元空間に感度判定要素を配置し、該配置した感度判定要素を前記車体部品に結合して感度解析車体モデルを生成する感度解析車体モデル生成部と、
    前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素の材料特性として、前記車体部品に用いられている金属材料に相当する弾性係数と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に影響が生じない程度に小さい値の密度と、を設定する感度判定要素材料特性設定部と、
    前記感度解析における感度解析条件として、前記感度解析車体モデルに与える振動に関する振動入力条件と、前記感度解析車体モデルにおける前記振動騒音低減対象部位の振動特性に関する目的関数と、前記感度解析車体モデルにおける前記感度判定要素に関する制約条件と、を設定する感度解析条件設定部と、
    該設定された感度解析条件の下で前記感度解析を行い、前記振動騒音低減対象部位の振動特性に対する前記感度判定要素の感度を求める感度解析部と、して機能させることを特徴とする自動車車体設計プログラム。
  8. 自動車車体を構成する車体部品を剛性を高める構造に変更し、前記自動車車体における振動騒音低減対象部位の制振性を向上させた自動車車体を製造する自動車車体の製造方法であって、
    請求項1又は2に記載の自動車車体設計方法を用いて、前記振動騒音低減対象部位の制振性の評価に用いる振動特性に対する感度に基づいて、前記車体部品の剛性を高める構造を決定し、
    該決定した剛性を高める構造に基づいて前記車体部品を製造する、ことを特徴とする自動車車体の製造方法。
JP2023018053A 2023-02-09 2023-02-09 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法 Active JP7513134B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023018053A JP7513134B1 (ja) 2023-02-09 2023-02-09 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法
PCT/JP2023/045499 WO2024166541A1 (ja) 2023-02-09 2023-12-19 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023018053A JP7513134B1 (ja) 2023-02-09 2023-02-09 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7513134B1 true JP7513134B1 (ja) 2024-07-09
JP2024113228A JP2024113228A (ja) 2024-08-22

Family

ID=91802792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023018053A Active JP7513134B1 (ja) 2023-02-09 2023-02-09 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7513134B1 (ja)
WO (1) WO2024166541A1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010067022A (ja) 2008-09-11 2010-03-25 Toyota Central R&D Labs Inc 構造物の設計方法及びプログラム
CN109635469A (zh) 2018-12-19 2019-04-16 苏州奥杰汽车技术股份有限公司 基于板件声压贡献量的铝车身噪声传递路径优化方法
JP2020046185A (ja) 2018-09-14 2020-03-26 Jfeスチール株式会社 車体の振動特性の適正化解析方法及び装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010067022A (ja) 2008-09-11 2010-03-25 Toyota Central R&D Labs Inc 構造物の設計方法及びプログラム
JP2020046185A (ja) 2018-09-14 2020-03-26 Jfeスチール株式会社 車体の振動特性の適正化解析方法及び装置
CN109635469A (zh) 2018-12-19 2019-04-16 苏州奥杰汽车技术股份有限公司 基于板件声压贡献量的铝车身噪声传递路径优化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2024113228A (ja) 2024-08-22
WO2024166541A1 (ja) 2024-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6769536B1 (ja) 自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法及び解析装置
WO2018154896A1 (ja) 車体の補強部材の形状最適化方法及び形状最適化装置
CN112673375A (zh) 车身的振动特性的合理化解析方法以及装置
CN102023074A (zh) 汽车发动机机油盘振动噪声性能分析方法
JP7513134B1 (ja) 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法
Han et al. Interior sound field refinement of a passenger car using modified panel acoustic contribution analysis
JP6958670B1 (ja) 車体の接着位置の最適化解析方法及び装置
US20220350940A1 (en) Vibration noise reduction analysis method and analyzer for automotive panel parts
Wang et al. Control of structure-borne noise for a vehicle body by using power flow analysis and acoustic path participation method
CN116432316A (zh) 一种汽车中频路噪优化方法、系统及存储介质
CN110008614A (zh) 白车身扭转刚度优化方法
WO2022004087A1 (ja) 自動車のパネル部品の振動騒音低減解析装置及び解析方法
JP7493139B1 (ja) 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法
WO2024009574A1 (ja) 自動車車体設計方法、装置及びプログラム、並びに自動車車体の製造方法
Coyette et al. From body in white to trimmed body models in the low frequency range: a new modeling approach
Prasanth et al. Using the Hybrid FE-SEA model of a trimmed full vehicle to reduce structure borne noise from 200Hz to 1kHz
CN112560183A (zh) 一种汽车阻尼贴片位置优化方法及系统
JP7327424B2 (ja) 自動車の車体部品の板厚感度解析方法、板厚感度解析装置及び板厚感度解析プログラム
Singh et al. Dynamic Analysis of Condenser Assembly of Automobile Air Conditioning System Using CAE Tools
Jee et al. The application of the simulation techniques to reduce the noise and vibration in vehicle development
Butkunas Analysis of vehicle structures
Mohammad et al. New Approach for Road Induced Noise Prediction in Battery Electric Vehicles
Jans et al. Reducing body development time by integrating NVH and durability analysis from the start
Xie et al. Simulation and optimization of nonlinear structures on low frequency vibration and noise of lightweight car body
JP7099561B1 (ja) 車体部品の分割位置及び一体化の決定方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240329

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20240329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7513134

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150