JP6933041B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、天然ゴム、イソプレンゴム、および/またはブタジエンゴムを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
空気入りタイヤを加硫成形するとき、すべての構成部材を適正加硫することが理想的である。しかしながら、タイヤサイズ、各構成部材のゲージ、熱源からの距離、金型内の上下位置等により、加硫時に与えられる熱履歴は部材毎に異なり、各部材の加硫度を均質にするように加硫条件を設定することは困難である。一般に、加硫条件は必要熱履歴が一番大きい部位に合わせるため、過加硫状態になる部材がある。
天然ゴム、イソプレンゴム、および/またはブタジエンゴムを含むゴム組成物で成形された部材が、過加硫状態になるとリバージョン(加硫戻り)によりその物性が低下し、タイヤの特性を悪化させる虞がある。これらゴム成分を含むゴム組成物は、リバージョンにより架橋形態が、チオフェン、メルカプタン等の架橋に関与しない結合へ変化するため、モジュラス、強度、硬度などの機械的特性が低下する問題があった。一方、スチレンブタジエンゴムからなるゴム組成物は、リバージョンにより架橋点が切断されても、再度スチレンブタジエンゴムとの間で架橋点を形成するためリバージョンによる物性低下が起こりにくいことが知られている。
特許文献1は、加硫戻り防止剤としてビスマレイミド系化合物を添加することを提案している。しかし、ビスマレイミド系化合物を添加すると、ゴム組成物の粘度が増大し加工性が悪化するという問題があった。またゴム組成物の調製ラインにおいて、配合剤計量設備の新設、改良や、計量サイクルの悪化など生産効率が低下するという課題がある。
特開2005−42076号公報
本発明の目的は、天然ゴム、イソプレンゴム、および/またはブタジエンゴムを含みながらリバーションを抑制するタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つを30質量%以上含むジエン系ゴム、および硫黄からなるタイヤ用ゴム組成物であって、加硫したときの架橋形態において、3つ以上の硫黄原子からなるポリスルフィド結合の架橋密度の比率が、全架橋密度に対し20%以下であることを特徴とする。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、3つ以上の硫黄原子からなるポリスルフィド結合の架橋密度の比率を全架橋密度に対し20%以下にしたので、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムから選ばれるゴム成分を含んでも、リバーションを抑制することができる。
前記架橋形態は、ジスルフィド結合を有し、該ジスルフィド結合の架橋密度の比率が、前記全架橋密度に対し10%以上であることが好ましい。また前記ポリスルフィド結合の架橋密度の比率が、全架橋密度に対し20%以下であることが好ましい。このように架橋形態を形成することにより、ポリスルフィド結合からなる架橋点を少なくし、リバージョンの発生を抑制することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つを含み、その含有量はジエン系ゴム100質量%中、30質量%以上、好ましくは50〜100質量%である。天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムは、それぞれが単独で30質量%以上含有されてもよいし、或はこれらから選ばれる2つ以上の合計が30質量%以上でもよい。天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つが30質量%以上であることにより、ゴム組成物のゴム強度、耐摩耗性等を向上することができる。
タイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴム以外の他のジエン系ゴムを含むことができる。他のジエン系ゴムとして、例えばスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムおよび他のジエン系ゴムは、その分子鎖の末端および/または側鎖がエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アミド基等により、変性された変性ジエン系ゴムでもよい。
他のジエン系ゴムは、ジエン系ゴム100質量%中、70質量%以下であり、好ましくは0〜50質量%である。他のジエン系ゴムの含有量が70質量%を超えると、タイヤ用ゴム組成物にリバージョンが起こりにくくなり、本発明の課題が存在しない。とりわけスチレンブタジエンゴムを主成分(ジエン系ゴム100質量%中50質量%以上)にするゴム組成物では、リバージョンが起こりにくい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述したジエン系ゴムおよび硫黄を含有し、加熱、加圧を受けることにより、架橋形態を形成し加硫物になる。タイヤ用ゴム組成物が加硫された加硫形態は、硫黄原子が1つのモノスルフィド結合、硫黄原子が2つのジスルフィド結合、および3以上の硫黄原子からなるポリスルフィド結合に大別される。また各加硫形態が存在する比率は、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の架橋密度により求めることができる。
本発明において、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の架橋密度の合計を全架橋密度とする。このときポリスルフィド結合の架橋密度の比率は、全架橋密度に対し50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは5.0〜15.0%である。全架橋密度に対するポリスルフィド結合の架橋密度の比率を50%以下にすることにより、ポリスルフィド結合からなる架橋点を少なくし、天然ゴム、イソプレンゴムおよび/またはブタジエンゴムを含むゴム成分において、リバーションを抑制することができる。
モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の架橋密度は、膨潤圧縮法により測定することができる。またモノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合は、特定の試薬を適用したとき切断するか残存するかが相違するので、試薬により特性のスルフィド結合を切断し、残存するスルフィド結合の架橋密度を測定することができる(中内秀雄「膨潤圧縮法による加硫ゴムの架橋構造解析」、日本ゴム協会誌、2002年、第75巻、第2号、第73−78頁参照。)。例えばモノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の架橋密度は、以下の方法で測定するとよい。
(1)トルエンで試料を膨潤させ、膨潤度(膨潤前後の体積変化率)をFlory-Rhenerの式を用いて架橋密度を算出する(膨潤圧縮法)。これが全体(モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の合計)の架橋密度となる。
(2)試料にリチウムアルミニウムハイデライド(LiAIH4)を適用する。これにより、ジスルフィド結合およびポリスルフィド結合が切断され、モノスルフィド結合が残る。この試料を上記(1)の方法で測定することにより、モノスルフィド結合の架橋密度が算出される。
(3)試料にプロパン−2−チオールとピペリジンの0.4モル溶液を適用する。これにより、ポリスルフィド結合が切断され、モノスルフィド結合およびジスルフィド結合が残る。この試料を上記(1)の方法で測定することにより、モノスルフィド結合およびジスルフィド結合の架橋密度が算出される。
(4)上記(3)で得られたモノスルフィド結合およびジスルフィド結合の架橋密度と、上記(2)で得られたモノスルフィド結合の架橋密度との差から、ジスルフィド結合の架橋密度を算出する。
(5)上記(1)で得られた全体の架橋密度と、上記(3)で得られたモノスルフィド結合およびジスルフィド結合の架橋密度との差から、ポリスルフィド結合の架橋密度を算出する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ポリスルフィド結合の架橋密度を全架橋密度の50%以下にする方法は、特に限定されるものではない。例えばゴム組成物に配合する加(1)ゴム組成物が、硫黄および硫促進剤を配合し、その硫黄硫促進剤/硫黄の比を1以上にする方法、
(2)加硫戻り防止剤および/またはリバージョン防止剤を配合する方法、
(3)硫黄原子数が少ない加硫剤を配合する方法、
等を挙げることができる。
タイヤ用ゴム組成物は、硫黄および硫促進剤を配合し、その硫黄硫促進剤/硫黄の比を好ましくは1以上、より好ましくは2〜20、更に好ましくは3.5〜12.0にすることにより、ポリスルフィド結合の架橋密度を全架橋密度の50%以下にすることができる。
本発明において、タイヤ用ゴム組成物に加硫戻り防止剤および/またはリバージョン防止剤を配合することにより、ポリスルフィド結合の架橋密度を全架橋密度の50%以下にすることができる。加硫戻り防止剤およびリバージョン防止剤は、ジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは0.5〜5.0質量部配合するとよい。加硫戻り防止剤およびリバージョン防止剤の配合量が0.5質量部未満であると、ポリスルフィド結合の架橋密度を小さくすることができない虞がある。また。加硫戻り防止剤およびリバージョン防止剤の配合量が5.0質量部を超えると、適正加硫時間が長くなり生産効率が低下する虞がある。
加硫戻り防止剤として、例えばLANXESS社製Vulcuren(1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等を好ましく挙げることができる。なかでもLANXESS社製Vulcurenがより好ましい。またリバージョン防止剤としてはビスシトラコンイミド誘導体、例えばN,N’−m−フェニレンジメチレンビスシトラコンイミド等を好ましく挙げることができる。
本発明において、タイヤ用ゴム組成物に硫黄原子数が少ない加硫剤を配合することにより、ポリスルフィド結合の架橋密度を全架橋密度の50%以下にすることができる。硫黄原子数が少ない加硫剤としては、硫黄原子数が好ましくは8以下、より好ましくは6以下の加硫剤がよい。このような加硫剤として、例えば大内新興化学社製バルノックR、等を挙げることができる。また、硫黄原子数が少ない加硫剤として環状ポリスルフィドを挙げることができ、下記式(I)で示される環状ポリスルフィドが例示される。
Figure 0006933041
(式(I)中、Rは置換もしくは非置換の炭素数4〜8のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数4〜8のオキシアルキレン基、xは平均3〜5の数、nは1〜5の整数である。)
上記式(I)の環状ポリスルフィドにおいて、Rがアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、その炭素数は4〜8、好ましくは4〜7であるとよい。また、アルキレン基及びオキシアルキレン基に対する置換基としては、例えばフェニル基、ベンジル基、メチル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、シリル基などを例示することができる。Sは硫黄である。xは平均3〜5、好ましくは平均3.5〜4.5にするとよい。また、nは1〜5、好ましくは1〜4の整数である。このような環状ポリスルフィドは、通常の方法で製造することができ、例えば特開2007−92086号公報に記載の製造方法を例示することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、架橋形態がジスルフィド結合を有し、ジスルフィド結合の架橋密度の比率が、全架橋密度に対し好ましくは10%以上、より好ましくは15〜20%であるとよい。ジスルフィド結合の架橋密度の比率を10%以上にすることにより、リバーションをより抑制することができる。ジスルフィド結合の架橋密度の比率を10%以上にする方法は、特に限定されるものではないが、例えば加硫温度や時間を適宜調整する方法を挙げることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、カーボンブラックを配合することができる。カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは30〜70質量部、より好ましくは32〜60質量部である。カーボンブラックの配合量を30質量部以上にすることによりゴム組成物の機械的特性を改良することができる。またカーボンブラックの配合量を70質量部以下にすることにより、ゴム組成物の発熱性を小さくすることができる。またタイヤにしたとき重量の増加を抑制することができる。
本発明においてカーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、HMF、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは20〜150m2/g、より好ましくは20〜100m2/gであるとよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積を20m2/g以上にすることにより、ゴム組成物の機械的特性を確保することができる。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積を150m2/g以下にすることにより、低初滅性を良好にすることができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2に準拠して、測定するものとする。
タイヤ用ゴム組成物には、シリカを配合してもよい。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。またシリカと共にシランカップリング剤を配合するとよい。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上し、機械的特性、低転がり抵抗性およびウェット性能のバランスをより高くすることができる。シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではない。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのキャップトレッド、アンダートレッド、サイドトレッド、ビード部、繊維コードの被覆ゴムを形成するのに好適である。本発明のタイヤ用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、優れた品質で安定的に生産することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表3に記載されたタイヤ用ゴム組成物の共通組成を有し、表1,2に記載の原材料を配合した7種類のタイヤ用ゴム組成物(実施例1〜5、比較例1〜2)を調製するにあたり、硫黄、および加硫促進剤を除く成分を1.7Lのバンバリーミキサーで5分間混練し、145℃に達したとき放出し冷却しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄、および加硫促進剤を加えて70℃のオープンロールで混練することにより、7種類のタイヤ用ゴム組成物を得た。なお、表1,2において、加硫促進剤の配合量(A質量部)に対する硫黄の配合量(S質量部)の比(A/S)を算出し「配合比(A/S)」の欄に記載した。また表3に記載の各添加剤の配合量は、表1,2に記載のジエン系ゴム100質量部に対する質量部として表されている。
得られたタイヤ用ゴム組成物を、所定形状の金型(内寸;長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて180℃で、5分間加硫、10分間加硫、および25分間加硫の3条件での加硫成形を行い、タイヤ用ゴム組成物のサンプル(加硫ゴム試験片)を作成した。得られた加硫ゴム試験片を使用して、以下に示す試験方法で、スルフィド結合の架橋密度、100%引張り応力、および60℃のtanδを測定した。
スルフィド結合の架橋密度
表1に記載された実施例1〜4のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、5分間加硫が適正加硫条件に近く、表2に記載の実施例5のタイヤ用ゴム組成物は、180℃、10分間加硫が適正加硫条件に近い。このため、表1に記載の実施例および比較例では、180℃、5分間の加硫により得られた加硫ゴム試験片を用いて各スルフィド結合の架橋密度を測定し、表2に記載の実施例および比較例では、180℃、10分間の加硫により得られた加硫ゴム試験片を用いて各スルフィド結合の架橋密度を測定した。各加硫ゴム試験片のモノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の架橋密度は、前述した方法、すなわち、全架橋密度を膨潤圧縮法およびFlory-Rhenerの式を用いて算出し、試薬を用いて特定のスルフィド結合を切断し、残りのスルフィド結合を上記方法により算出した。リチウムアルミニウムハイデライド(LiAIH4)を試薬とし、ジスルフィド結合およびポリスルフィド結合を切断し、モノスルフィド結合の架橋密度を上記により算出した。またプロパン−2−チオールとピペリジンの0.4モル溶液を試薬とし、ポリスルフィド結合を切断し、モノスルフィド結合およびジスルフィド結合の架橋密度を上記により算出した。上述した測定結果から、前述の通り、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の架橋密度を測定した。得られた結果を表1,2に記載する。
100%引張り応力
180℃での5分間加硫、10分間加硫および25分間加硫により得られた加硫ゴム試験片を用いて、JIS K6251に準拠して、ダンベルJIS3号形試験片を作製した。得られた試験片を用い、室温(23℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、100%伸長時の100%引張応力を測定した。得られた結果は、表1に記載のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、5分間加硫で得られた各試験片の100%引張応力に対する、180℃、10分間加硫で得られた各試験片の100%引張応力の比を「100%引張応力の保持率」として算出した。また表2に記載のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、10分間加硫で得られた各試験片の100%引張応力に対する、180℃、25分間加硫で得られた各試験片の100%引張応力の比を「100%引張応力の保持率」として算出した。これは、表1に記載された実施例1〜4のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、5分間加硫が適正加硫条件に近く、表2に記載の実施例5のタイヤ用ゴム組成物は、180℃、10分間加硫が適正加硫条件に近いためである。表1では、180℃、10分間加硫を過加硫状態、表2では、180℃、25分間加硫を過加硫状態と見なし、それぞれの加硫戻りを100%引張応力の保持率により評価する。100%引張応力の保持率が100%に近いほど、加硫戻り(リバーション)が抑制されていることを意味する。
60℃のtanδ
180℃での5分間加硫、10分間加硫および25分間加硫により得られた加硫ゴム試験片を用いて、JIS K6394に準拠して、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で、温度60℃における損失正接tanδを測定した。tanδ(60℃)の値が小さいほど発熱性が小さく、タイヤにしたとき低転がり抵抗であることを意味する。また加硫戻りが起きるとtanδ(60℃)の値が大きくなり、発熱性が大きくなる。このため得られた結果は、表1に記載のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、10分間加硫で得られた各試験片のtanδ(60℃)に対する、180℃、5分間加硫で得られた各試験片のtanδ(60℃)の比を「tanδ(60℃)の保持率」として算出した。また表2に記載のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、25分間加硫で得られた各試験片のtanδ(60℃)に対する、180℃、10分間加硫で得られた各試験片のtanδ(60℃)の比を「tanδ(60℃)の保持率」として算出した。これは、表1に記載された実施例1〜4のタイヤ用ゴム組成物では、180℃、5分間加硫が適正加硫条件に近く、表2に記載の実施例5のタイヤ用ゴム組成物は、180℃、10分間加硫が適正加硫条件に近いためである。表1では、180℃、10分間加硫を過加硫状態、表2では、180℃、25分間加硫を過加硫状態と見なし、それぞれの加硫戻りをtanδ(60℃)の保持率により評価する。tanδ(60℃)の保持率が100%に近いほど、加硫戻り(リバーション)が抑制されていることを意味する。
Figure 0006933041
Figure 0006933041
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、RSS#3
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン(株)製Nipol BR1220
・カーボンブラック:ソフト級カーボンブラック、東海カーボン社製シーストF(窒素吸着比表面積:42cm2/g)
・硫黄:細井化学工業社製油処理硫黄、硫黄含有率が約95質量%
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製ノクセラー CZ−G(CBS)
・加硫戻り防止剤:LANXESS社製vulcuren
Figure 0006933041
なお、表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
・老化防止剤:LANXESS社製DEUTSCHLAND GMBH VULKANOX 4020
・ワックス:日本精蝋株式会社製OZOACE−0015A
・軟化剤:昭和シェル石油社製エキストラクト 4号S
表1,2から明らかなように実施例1〜5のタイヤ用ゴム組成物は、100引張り応力およびtanδ(60℃)の保持率が、100%に近くリバージョンが抑制されていることが確認された。
比較例1のタイヤ用ゴム組成物は、ポリスルフィド結合の架橋密度の比率が50%を超えるので、100引張り応力およびtanδ(60℃)の保持率が劣る。
比較例2のタイヤ用ゴム組成物は、ポリスルフィド結合の架橋密度の比率が50%を超えるので、100引張り応力およびtanδ(60℃)の保持率が劣る。

Claims (2)

  1. 天然ゴム、イソプレンゴムおよびブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つを30質量%以上含むジエン系ゴム、および硫黄からなるタイヤ用ゴム組成物であって、加硫したときの架橋形態において、3つ以上の硫黄原子からなるポリスルフィド結合の架橋密度の比率が、全架橋密度に対し20%以下であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記架橋形態が、ジスルフィド結合を有し、該ジスルフィド結合の架橋密度の比率が、前記全架橋密度に対し10%以上であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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