JP6932516B2 - 遠心ポンプ - Google Patents

Description

本発明は遠心ポンプに係り、特に羽根車を収容するためのケーシングに関するものである。

遠心ポンプは、一般に、主軸に固定された羽根車と、羽根車を内部に収容したケーシングとを備える。主軸はモータなどの原動機に連結されており、原動機の駆動によって主軸および羽根車を回転させることで、ケーシングの内部に流入した液体を昇圧させてケーシングの外部に流出させるよう構成されている。

図８は、遠心ポンプの一例である従来の多段ポンプの断面を示す部分拡大図である。図８に示すように、遠心ポンプは、主軸１００と、主軸１００に固定された複数の羽根車１０１と、羽根車１０１を収容するケーシング１０２とを備えている。ケーシング１０２は、複数の羽根車１０１をそれぞれ挟むように配置された複数の主板側ケーシング１０２ａおよび複数の側板側ケーシング１０２ｂを備えている。複数の側板側ケーシング１０２ｂは重なりあってボルト１０４で互いに締め付けられている。主板側ケーシング１０２ａと側板側ケーシング１０２ｂとの間には液体の流路が形成されている。

各羽根車１０１は、各主板側ケーシング１０２ａと各側板側ケーシング１０２ｂの間に配置されている。羽根車１０１は、主板１０１ａと、側板１０１ｂと、主板１０１ａと側板１０１ｂとの間に配置された複数の翼１０１ｃとを有している。羽根車１０１の吐出側には複数のガイドベーン１０３が配置されており、主板側ケーシング１０２ａは、ガイドベーン１０３によって側板側ケーシング１０２ｂに連結されている。

ケーシング１０２は鋳造されており、ケーシング１０２の肉厚は均一に形成されている。これは、ケーシング１０２を鋳造する際に肉厚の異なる部分が存在すると、鋳型に材料を流し込んだ後に冷却する段階で、不均一な肉厚に起因した冷却速度の差異が生じ、冷却速度が遅い部分から、冷却速度が速い部分に引っ張り応力が発生し、ケーシング１０２、特にガイドベーン１０３が変形することがあるためである。

上述のように主板側ケーシング１０２ａ、側板側ケーシング１０２ｂを均一な肉厚で形成するために、羽根車１０１の主板１０１ａと対向する主板側ケーシング１０２ａの内面には、環状の主板側切り欠き部１０５ａが形成されている。同様に、羽根車１０１の側板１０１ｂと対向する側板側ケーシング１０２ｂの内面には、環状の側板側切り欠き部１０５ｂが形成されている。このような切り欠き部１０５ａ，１０５ｂを形成することで、主板側ケーシング１０２ａ、側板側ケーシング１０２ｂの肉厚を均一にできる。

特開昭６０−１９０６９５号公報 特許第３８６４１４９号公報 特開平７−３３２２７５号公報

しかしながら、このような切り欠き部１０５ａ，１０５ｂ内では羽根車１０１の回転に伴って液体の旋回流が発生する。この旋回流は、切り欠き部１０５ａ，１０５ｂの内部を浸食するだけでなく、羽根車１０１の回転エネルギーの損失を大きくし、ポンプ効率低下の一因となっていた。そこで、旋回流の発生を防止するために、主板側切り欠き部１０５ａ内には、放射状に延びるバッフル１０６ａが設けられている。同様に、側板側切り欠き部１０５ｂ内には、放射状に延びるバッフル１０６ｂが設けられている。

しかしながら、バッフル１０６ａ，１０６ｂが羽根車１０１の回転の抵抗となって、主軸１００の軸動力が大きくなり、ポンプ効率が低下するという問題があった。

本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたもので、ポンプ効率を向上させることができるケーシングを備えた遠心ポンプを提供することを目的とする。

本発明の一態様は、主軸と、前記主軸に固定された羽根車と、内部に前記羽根車を収容するケーシングとを備え、前記ケーシングは、前記羽根車の主板に対向する内面を有する主板側ケーシングを備え、前記主板側ケーシングは、前記主板に対向する前記内面に形成された環状の主板側切り欠き部を有しており、前記主板側切り欠き部は、内周面と外周面とを有しており、前記主板側切り欠き部の入口部には、前記入口部の外周側から内周側に向けて突出させて、該入口部の外周側を塞ぐ環状の主板側板部材が取り付けられており、前記主板側板部材は、ねじによって、取り外し可能に前記入口部に取り付けられていることを特徴とする遠心ポンプである。

本発明の好ましい態様は、前記主板側板部材の前記主板と対向する面は、前記主板の外面と平行であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ケーシングは、前記羽根車の側板に対向する内面を有する側板側ケーシングをさらに備え、前記側板側ケーシングは、前記側板に対向する前記内面に形成された環状の側板側切り欠き部を有しており、前記側板側切り欠き部は、内周面と外周面とを有しており、前記側板側切り欠き部の入口部には、前記入口部の外周側から内周側に向けて突出させて、該入口部の外周側を塞ぐ環状の側板側板部材が取り付けられており、前記側板側板部材は、ねじによって、取り外し可能に前記入口部に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記側板側板部材の前記側板と対向する面は、前記側板の外面と平行であることを特徴とする。

本発明の一態様は、主軸と、前記主軸に固定された羽根車と、内部に前記羽根車を収容するケーシングとを備え、前記ケーシングは、前記羽根車の主板に対向する内面を有する主板側ケーシングと、前記羽根車の側板に対向する内面を有する側板側ケーシングとを備え、前記側板側ケーシングは、前記側板に対向する前記内面に形成された環状の側板側切り欠き部を有しており、前記側板側切り欠き部は、内周面と外周面とを有しており、前記側板側切り欠き部の入口部には、前記入口部の外周側から内周側に向けて突出させて、該入口部の外周側を塞ぐ環状の側板側板部材が取り付けられており、前記側板側板部材は、ねじによって、取り外し可能に前記入口部に取り付けられていることを特徴とする遠心ポンプである。

本発明の好ましい態様は、前記側板側板部材の前記側板と対向する面は、前記側板の外面と平行であることを特徴とする。

本発明によれば、ケーシングの切り欠き部の入口部に取り外し可能に取り付けられた板部材は、切り欠き部の入口部を小さくし、切り欠き部内の旋回流を抑制することができる。これにより、主軸の軸動力を小さくし、ポンプ効率を向上させることができる。また、板部材を取り外し、肉厚の異なる他の板部材を取り付けることにより、羽根車の主板と主板側板部材との間隔、および／または羽根車の側板と側板側板部材との間隔を変えることができる。これにより、羽根車の回転に伴って主板と主板側ケーシングの間に発生する旋回流、および／または側板と側板側ケーシングの間に発生する旋回流を効果的に抑制し、羽根車の回転エネルギーの損失をより小さくすることが可能である。さらに、板部材が劣化した場合は、板部材を新たなものに取り替えることでポンプの延命化が図れる。

また、本発明によればケーシングの肉厚を略均一にすることができる。その結果、鋳型工程における冷却時にケーシングに発生する引っ張り応力を小さくすることができる。それに加え、切り欠き部からの鋳物砂の除去が容易になり、また、残留鋳物砂の確認が可能であるので、異物（残留鋳物砂）のない信頼性の高いケーシングを鋳造することができる。

本発明の一実施形態に係る遠心ポンプを示す断面図である。 図１に示す主板側ケーシング、側板側ケーシング、および羽根車を示す部分拡大図である。 図２の主板側板部材を示す部分拡大図である。 図２の側板側板部材を示す部分拡大図である。 本発明の他の実施形態に係る遠心ポンプを示す断面図であり、主板側ケーシング、側板側ケーシング、および羽根車を示す部分拡大図である。 本発明の遠心ポンプの一実施形態に係る単段ポンプを示す断面図である。 本発明の遠心ポンプの一実施形態に係る多段ポンプを示す断面図である。 遠心ポンプの一例である従来の多段ポンプの断面を示す部分拡大図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図１は、本発明の一実施形態に係る遠心ポンプを示す断面図である。図１に示す遠心ポンプは、複数の羽根車を備えた多段ポンプである。図１に示すように、本実施形態の遠心ポンプは、主軸１と、主軸１に固定された複数の片吸込羽根車２（以下、単に羽根車２という）および両吸込羽根車７と、羽根車２と両吸込羽根車７を収容するケーシング３およびケーシング５とを備えている。主軸１は、軸受２６ａ，２６ｂ，２６ｃ，２６ｄによって回転可能に支持されている。ケーシング３は、複数の羽根車２をそれぞれ挟むように配置された複数の主板側ケーシング３ａおよび複数の側板側ケーシング３ｂと、最終段の側板側ケーシング３ｂに接続された中間ケーシング１７とを備えている。複数の側板側ケーシング３ｂは重なりあってボルト６で互いに締め付けられている。主板側ケーシング３ａと側板側ケーシング３ｂとの間には液体の流路が形成されている。

羽根車２は、主板側ケーシング３ａと側板側ケーシング３ｂの間に配置されている。羽根車２の吐出側には複数のガイドベーン１６が配置されており、主板側ケーシング３ａは、ガイドベーン１６によって側板側ケーシング３ｂに連結されている。ケーシング３は鋳造されており、ケーシング３の肉厚は均一に形成されている。ケーシング５には２つの吸込口１３が形成され、ケーシング３には吐出口１０が形成されている。さらに、ケーシング３およびケーシング５を囲むように外側ケーシング８が配置されており、ケーシング３およびケーシング５と外側ケーシング８の間には環状流路１２が形成されている。さらに、外側ケーシング８には液体の導入口９、およびバランス配管１１が設けられている。導入口９は、環状流路１２を通じて２つの吸込口１３に連通している。

主軸１は、図示しない原動機（例えばモータ）に連結され、この原動機により羽根車２と両吸込羽根車７が回転するように構成されている。羽根車２と両吸込羽根車７が回転すると、液体は、導入口９を通って外側ケーシング８内に流入し、さらに環状流路１２を通って、吸込口１３に導かれる。吸込口１３に導かれた液体は、両吸込羽根車７の回転に伴って昇圧され、昇圧された液体は、連絡流路１４を通って羽根車２の液体入口１５に導かれる。

液体入口１５に導かれた液体は、羽根車２の回転により増速され、ガイドベーン１６を通ることで速度が圧力に変換され、さらに、液体は、次段の羽根車２の液体入口１５に導かれる。このようにして液体は、各段の羽根車２およびガイドベーン１６で順次昇圧される。最終段の側板側ケーシング３ｂは、中間ケーシング１７にボルト１８により接続されている。中間ケーシング１７と主軸１の間の流路は昇圧された液体で満たされ、吐出口１０から液体が排出される。

図１に示される遠心ポンプは、３段の羽根車２を有する多段ポンプである。上述のように液体は各羽根車２およびガイドベーン１６で順次昇圧されるため、羽根車２およびガイドベーン１６の数が増えるほど吐出圧力を高めることができる。上述した実施形態では、３段の羽根車２を有する多段ポンプについて述べたが、本発明はこれに限定されるものでなく、さらに多くの羽根車２を備えた多段ポンプにも適用できる。また、本実施形態の遠心ポンプは、両吸込羽根車７と多段の羽根車２との組み合わせを備えるが、一実施形態では、遠心ポンプは両吸込羽根車７を備えずに多段の羽根車２のみを備えてもよい。

図２は、図１に示す主板側ケーシング３ａ、側板側ケーシング３ｂ、および羽根車２を示す部分拡大図である。図２に示すように、羽根車２は、主板２ａと、側板２ｂと、翼２ｃとを備えている。翼２ｃは、主板２ａと側板２ｂの間に配置されている。側板２ｂは、主板２ａよりも上流側に配置され、液体入口１５は、側板２ｂに形成されている。主板２ａは、主軸１に固定されており、側板２ｂは、翼２ｃによって主板２ａに接続されている。主板側ケーシング３ａは、羽根車２の主板２ａに対向する内面を有しており、さらにこの内面に形成された環状の主板側切り欠き部４ａを有している。主板側切り欠き部４ａの入口部の外周側には、環状の主板側板部材１９が取り付けられている。主板側板部材１９は、主板側切り欠き部４ａの入口部の外周側から内周側に向けて突出しており、主板側切り欠き部４ａの入口部を塞ぐように配置されている。主板側板部材１９は、ねじ２７によって主板側ケーシング３ａに取り外し可能に固定されている。

同様に、側板側ケーシング３ｂは、羽根車２の側板２ｂに対向する内面を有しており、さらにこの内面に形成された環状の側板側切り欠き部４ｂを有している。側板側切り欠き部４ｂの入口部の外周側には、環状の側板側板部材２０が取り付けられている。側板側板部材２０は、側板側切り欠き部４ｂの入口部の外周側から内周側に向けて突出しており、側板側切り欠き部４ｂの入口部を塞ぐように配置されている。側板側板部材２０は、ねじ２８によって側板側ケーシング３ｂに取り外し可能に固定されている。ねじ２７，２８の一例として、例えば六角穴付きボルトを使うことができる。

切り欠き部４ａ，４ｂ、および板部材１９，２０は、主軸１の周りを延びる環状であり、かつ羽根車２と同心状である。主板側板部材１９は、羽根車２の主板２ａに近接しており、側板側板部材２０は、羽根車２の側板２ｂに近接している。これら板部材１９，２０により、切り欠き部４ａ，４ｂの入口部の大部分が塞がれており、切り欠き部４ａ，４ｂの開口面積は小さくなっている。

羽根車２が回転すると、主板側ケーシング３ａと主板２ａの間、および側板側ケーシング３ｂと側板２ｂの間に液体の旋回流が発生する。本実施形態によれば、切り欠き部４ａ，４ｂの入口部に板部材１９，２０が設けられているため、切り欠き部４ａ，４ｂの開口面積が小さく、切り欠き部４ａ，４ｂ内の旋回流を抑制することができる。これにより、主軸１の軸動力を小さくし、ポンプ効率を向上させることができる。

また、切り欠き部４ａ，４ｂの開口面積を小さくしつつ、切り欠き部４ａ，４ｂの奥は広くすることができるので、ケーシング３の肉厚を略均一にすることができる。その結果、鋳型工程における冷却時にケーシング３に発生する引っ張り応力を小さくすることができる。それに加え、切り欠き部４ａ，４ｂからの鋳物砂の除去が容易になり、また、残留鋳物砂の確認が可能であるので、異物（残留鋳物砂）のない信頼性の高いケーシング３を鋳造することができる。

さらに、板部材１９，２０を取り外し、肉厚の異なる他の板部材を取り付けることにより、主板２ａと主板側板部材１９との間隔、および／または側板２ｂと側板側板部材２０との間隔を変えることができる。例えば、肉厚の異なる複数の板部材１９，２０をあらかじめ準備し、対向する羽根車２の構造に基づいて板部材１９，２０を選定してもよい。また、主板側ケーシング３ａと主板側板部材１９との間、および／または側板側ケーシング３ｂと側板側板部材２０との間に薄板（シム、スペーサなど）を挿入して上記間隔を調整してもよい。

主板２ａと主板側板部材１９との間隔、および／または側板２ｂと側板側板部材２０との間隔を変えることにより、羽根車２の回転に伴って主板２ａと主板側ケーシング３ａの間に発生する旋回流、および／または側板２ｂと側板側ケーシング３ｂの間に発生する旋回流を効果的に抑制し、羽根車２の回転エネルギーの損失をより小さくすることが可能である。さらに、上述の板部材１９，２０が劣化した場合は、板部材１９，２０を新たなものに取り替えることでポンプの延命化が図れる。

次に、上述の板部材１９，２０の詳細について説明する。図３は、図２の主板側板部材１９を示す部分拡大図である。図３に示すように、主板側板部材１９の主板２ａと対向する面１９ａは、主板２ａの外面と平行である。ねじ２７が液体の流れを阻害しないように、ねじ２７の頭部は、板部材１９内に位置している。本実施形態では、ねじ２７の頭部の端面は、板部材１９の主板２ａと対向する面１９ａと同一平面内にある。液体の旋回流でねじ２７が緩まないように、ねじ２７を主板側板部材１９にスポット溶接してもよい。上述の旋回流が、ねじ２７と主板側板部材１９の隙間に侵入して主板側ケーシング３ａを浸食することも有り得るので、そのような主板側ケーシング３ａの浸食を防止するために、ねじ２７と主板側板部材１９は、隙間なく溶接されてもよい。

主板側ケーシング３ａと側板側ケーシング３ｂとの間の流路に液体が流入する前は、主板側切り欠き部４ａ内には空気が存在する。主板側ケーシング３ａは、主板側切り欠き部４ａに連通する空気抜き穴１９ｈを有している。主板側板部材１９と主板側切り欠き部４ａの内周面４０ａとの間には、わずかな隙間ｄｗが存在する。本実施形態の遠心ポンプは縦型の遠心ポンプであり、図左側が上側、図右側が下側となる。運転前の水張りで隙間ｄｗを通過した水により主板側切り欠き部４ａ内の空気は、空気抜き穴１９ｈを通って、主板側切り欠き部４ａの外部へ放出され、主板側切り欠き部４ａ内は水で満たされる。

図４は、図２の側板側板部材２０を示す部分拡大図である。図４に示すように、側板側板部材２０の側板２ｂと対向する面２０ａは、側板２ｂの外面と平行である。ねじ２８が液体の流れを阻害しないように、ねじ２８の頭部は、板部材２０内に位置している。本実施形態では、ねじ２８の頭部の端面は、板部材２０の主軸１と垂直な面２０ｃと同一平面内にある。液体の旋回流でねじ２８が緩まないように、ねじ２８を側板側板部材２０にスポット溶接してもよい。上述の旋回流が、ねじ２８と側板側板部材２０の隙間に侵入して側板側ケーシング３ｂを浸食することも有り得るので、そのような側板側ケーシング３ｂの浸食を防止するために、ねじ２８と側板側板部材２０は、隙間なく溶接されてもよい。本実施形態では、側板側ケーシング３ｂの重なりを利用して、側板側ケーシング３ｂがねじ２８の頭部を覆い隠している。このような構造でも側板側ケーシング３ｂの浸食を防止することが可能である。

主板側ケーシング３ａと側板側ケーシング３ｂとの間の流路に液体が流入する前は、側板側切り欠き部４ｂ内には空気が存在する。本実施形態によれば、側板側板部材２０と側板側切り欠き部４ｂの内周面４０ｂとの間には、わずかな隙間ｄｒが存在する。本実施形態の遠心ポンプは縦型の遠心ポンプであり、図左側が上側、図右側が下側となる。運転前の水張りで隙間ｄｒより侵入した水により側板側切り欠き部４ｂ内の空気は、側板側切り欠き部４ｂの外部へ放出され、側板側切り欠き部４ｂ内は水で満たされる。

旋回流の周速は、内周側より外周側のほうが速くなるため、内周側より外周側の旋回流を抑制することがポンプ効率の向上により効果がある。そのため、板部材１９，２０を切り欠き部４ａ，４ｂの入口部の外周側に設け、切り欠き部４ａ，４ｂの入口部の外周側から内周側に向けて、突出する構造とした。

図５は、本発明の他の実施形態に係る遠心ポンプを示す断面図であり、主板側ケーシング３ａ、側板側ケーシング３ｂ、および羽根車２を示す部分拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図１乃至図４を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、主板側板部材１９は、その外周面にねじ山１９ｂが形成されており、主板側ケーシング３ａの側壁に形成されたねじ山３０ａにねじ込まれて固定される。同様に、側板側板部材２０は、その外周面にねじ山２０ｂが形成されており、側板側ケーシング３ｂの側壁に形成されたねじ山３０ｂにねじ込まれて固定される。本実施形態では、主板側板部材１９を主板側ケーシング３ａに取り外し可能に取り付けるためのねじは、ねじ山１９ｂ，ねじ山３０ａから構成され、側板側板部材２０を側板側ケーシング３ｂに取り外し可能に取り付けるためのねじは、ねじ山２０ｂ，ねじ山３０ｂから構成される。

板部材１９，２０のねじ込み量を調整することにより、主板２ａと主板側板部材１９との間隔、および／または側板２ｂと側板側板部材２０との間隔を変えることができる。主板２ａと主板側板部材１９との間隔、および／または側板２ｂと側板側板部材２０との間隔を変えることにより、羽根車２の回転に伴って主板２ａと主板側ケーシング３ａの間に発生する旋回流、および／または側板２ｂと側板側ケーシング３ｂの間に発生する旋回流を効果的に抑制し、羽根車２の回転エネルギーの損失をより小さくすることが可能である。さらに、上述の板部材１９，２０が劣化した場合は、板部材１９，２０を新たなものに取り替えることでポンプの延命化が図れる。

図６は、本発明の遠心ポンプの一実施形態に係る単段ポンプを示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図１乃至図４を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。側板側ケーシング３ｂは、羽根車２の側板２ｂに対向する内面を有した端壁３ｃを備えている。本実施形態では、主板側ケーシング３ａは主板側切り欠き部４ａを有しているが、側板側ケーシング３ｂは上述した切り欠き部４ｂを有さない。そのため、本発明のケーシングの構造は主板側ケーシング３ａにのみ適用される。すなわち、羽根車２の主板２ａに対向する主板側ケーシング３ａの内面は、主板側切り欠き部４ａを有しており、該主板側切り欠き部４ａの入口部には主板側板部材１９が取り外し可能に取り付けられる。本実施形態においても、従来構造の主板側ケーシングを用いた単段ポンプよりポンプ効率が向上する。

図示はしないが、遠心ポンプは、側板が省略されたセミオープン型の羽根車（すなわち、主板と該主板に固定される翼とからなる羽根車）を有していてもよい。図６に示される実施形態は、セミオープン型の羽根車を有する遠心ポンプにも適用することができる。この場合、羽根車の主板に対向する主板側ケーシングの内面は、上述した主板側切り欠き部４ａを有しており、該主板側切り欠き部４ａの入口部には上述した主板側板部材１９が取り外し可能に取り付けられる。また、図５に示されるねじ山３０ａ，１９ｂの構造は、図６に示される主板側ケーシング３ａ、および主板側板部材１９にも適用できる。

図７は、本発明の遠心ポンプの一実施形態に係る多段ポンプを示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図１乃至図４を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、側板側ケーシング３ｂは側板側切り欠き部４ｂを有しているが、主板側ケーシング３ａは概ね均一な厚さを有しているので、切り欠き部を有さない。そのため、本発明のケーシングの構造は側板側ケーシング３ｂにのみ適用される。主板側ケーシング３ａは、羽根車２の主板２ａに対向する内面３ｄを有している。この内面３ｄの全体は平坦面であり、主板２ａの外面に平行である。羽根車２の側板２ｂに対向する側板側ケーシング３ｂの内面は、側板側切り欠き部４ｂを有しており、該側板側切り欠き部４ｂの入口部には側板側板部材２０が取り外し可能に取り付けられる。本実施形態においても、従来構造の側板側ケーシングを用いた多段ポンプよりポンプ効率が向上する。図７に示される遠心ポンプは、複数の羽根車２を有する多段ポンプであるが、本実施形態はこれに限定されるものでなく、一つの羽根車２を有する単段ポンプにも適用できる。また、図５に示されるねじ山３０ｂ，２０ｂの構造は、図７に示される側板側ケーシング３ｂ、および側板側板部材２０にも適用できる。

これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。

１ 主軸
２ 羽根車（片吸込羽根車）
２ａ 主板
２ｂ 側板
２ｃ 翼
３ ケーシング
３ａ 主板側ケーシング
３ｂ 側板側ケーシング
３ｃ 端壁
３ｄ 内面
４ａ 主板側切り欠き部
４ｂ 側板側切り欠き部
５ ケーシング
６ ボルト
７ 両吸込羽根車
８ 外側ケーシング
９ 導入口
１０ 吐出口
１１ バランス配管
１２ 環状流路
１３ 吸込口
１４ 連絡流路
１５ 液体入口
１６ ガイドベーン
１７ 中間ケーシング
１８ ボルト
１９ 主板側板部材
１９ｂ ねじ山
１９ｈ 空気抜き穴
２０ 側板側板部材
２０ｂ ねじ山
２６ａ，２６ｂ，２６ｃ，２６ｄ 軸受
２７ ねじ
２８ ねじ
３０ａ，３０ｂ ねじ山
４０ａ，４０ｂ 切り欠き部の内周面
１００ 主軸
１０１ 羽根車
１０１ａ 主板
１０１ｂ 側板
１０１ｃ 翼
１０２ ケーシング
１０２ａ 主板側ケーシング
１０２ｂ 側板側ケーシング
１０３ ガイドベーン
１０４ ボルト
１０５ａ 主板側切り欠き部
１０５ｂ 側板側切り欠き部
１０６ａ，１０６ｂ バッフル

Claims (6)

1. 主軸と、
   前記主軸に固定された羽根車と、
   内部に前記羽根車を収容するケーシングとを備え、
   前記ケーシングは、前記羽根車の主板に対向する内面を有する主板側ケーシングを備え、
   前記主板側ケーシングは、前記主板に対向する前記内面に形成された環状の主板側切り欠き部を有しており、
   前記主板側切り欠き部は、内周面と外周面とを有しており、
   前記主板側切り欠き部の入口部には、前記入口部の外周側から内周側に向けて突出させて、該入口部の外周側を塞ぐ環状の主板側板部材が取り付けられており、
   前記主板側板部材は、ねじによって、取り外し可能に前記入口部に取り付けられていることを特徴とする遠心ポンプ。
2. 前記主板側板部材の前記主板と対向する面は、前記主板の外面と平行であることを特徴とする請求項１に記載の遠心ポンプ。
3. 前記ケーシングは、前記羽根車の側板に対向する内面を有する側板側ケーシングをさらに備え、
   前記側板側ケーシングは、
   前記側板に対向する前記内面に形成された環状の側板側切り欠き部を有しており、
   前記側板側切り欠き部は、内周面と外周面とを有しており、
   前記側板側切り欠き部の入口部には、前記入口部の外周側から内周側に向けて突出させて、該入口部の外周側を塞ぐ環状の側板側板部材が取り付けられており、
   前記側板側板部材は、ねじによって、取り外し可能に前記入口部に取り付けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の遠心ポンプ。
4. 前記側板側板部材の前記側板と対向する面は、前記側板の外面と平行であることを特徴とする請求項３に記載の遠心ポンプ。
5. 主軸と、
   前記主軸に固定された羽根車と、
   内部に前記羽根車を収容するケーシングとを備え、
   前記ケーシングは、前記羽根車の主板に対向する内面を有する主板側ケーシングと、前記羽根車の側板に対向する内面を有する側板側ケーシングとを備え、
   前記側板側ケーシングは、
   前記側板に対向する前記内面に形成された環状の側板側切り欠き部を有しており、
   前記側板側切り欠き部は、内周面と外周面とを有しており、
   前記側板側切り欠き部の入口部には、前記入口部の外周側から内周側に向けて突出させて、該入口部の外周側を塞ぐ環状の側板側板部材が取り付けられており、
   前記側板側板部材は、ねじによって、取り外し可能に前記入口部に取り付けられていることを特徴とする遠心ポンプ。
6. 前記側板側板部材の前記側板と対向する面は、前記側板の外面と平行であることを特徴とする請求項５に記載の遠心ポンプ。

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