JP6932340B2 - 細胞透過性ペプチド - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
この出願は、2019年6月21日に出願された日本国特許出願番号2019−115222の出願日の利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明はペプチドに関し、特に細胞透過性ペプチドまたは送達キャリアに関する。
近年がんへの対策は急がれており、ニーズに合わせた種々の抗がん剤が開発され、目覚ましい効果をもたらしている。
例えば微小管に結合し、安定化させ脱重合を阻害することで、腫瘍細胞の分裂を阻害する、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン系や、微小管の重合を阻害し細胞分裂を停止させる、ビンクリスチンおよびビンブラスチンなどのビンカアルカロイド系の化合物などが知られている。またDNAと結合して抗がん効果を発揮する、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチンおよびオキサリプラチンなどの白金製剤などは、注射または点滴静注によりに簡単に用いることができる(非特許文献1〜3)。
さらに抗がん剤の作用効果を高めるために、DDS(Drug Delivery System)を利用し、内部に抗がん剤など医薬品を封入させたミセル複合体やリポソームに封入した抗がん剤などの開発がすすめられている(非特許文献4)。またNGRモチーフが糖タンパク質に結合することで、融合ポリペプチド−抗がん剤が、効率的にがん細胞を標的とすることができるという報告もある(特許文献1)。
米国特許第8,636,978号明細書
Beth A. Weaver、How Taxol/paclitaxel kills cancer cells. Mol Biol Cell. 2014 Sep 15; 25(18): 2677-2681. Maryam Moudi et al、Int J Prev Med. 2013 Nov; 4(11): 1231-1235. Cara A. Rabik et al、 Molecular Mechanisms of Resistance and Toxicity Associated with Platinating Agents. Cancer Treat Rev. 2007 Feb; 33(1): 9-23. Bruno F. O. Nascimento et al、A Review on (Hydro)Porphyrin-Loaded Polymer Micelles: Interesting and Valuable Platforms for Enhanced Cancer Nanotheranostics Pharmaceutics 2019, 11(2), 81.
ところですべての抗がん剤化合物などの活性剤は、選択毒性の問題、つまり正常細胞への影響に直面する。上記した白金製剤もまた、腎毒性の議論を避けては通れない。さらにDDSを利用した抗がん剤でさえも細胞毒性の問題は無視できない。すなわち、いかに標的細胞のみに抗がん剤などの薬剤または活性剤を作用せるかが大きな問題の一つとなっている。またがんなどの重篤な疾患において、疾患を有する者の病状や状態に合わせた種々の治療選択肢を提供することは非常に重要である。それゆえ、標的細胞に対し選択毒性(標的細胞へ特異的に作用する)がより高い、細胞透過性ペプチドの提供を目的とする。また活性剤送達キャリアとしての細胞透過性ペプチドの提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を続けたところ、細胞表面に結合するリガンド分子のNGRモチーフから、細胞表面に結合するためには、構造上、別なモチーフも必要ではないかとの着想に基づき、結合に必要な独自のモチーフを見出した。ついで上記独自のモチーフを有するペプチドが、細胞質内に取り込まれて核へ移動した後、アポトーシスを誘導するという驚くべき知見を突き止め、さらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下に関する:
〔1〕RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチド。
〔2〕糖タンパク質に特異的に結合する、〔1〕に記載の細胞透過性ペプチド。
〔3〕前記細胞透過性ペプチドの完全長が、40個以下のアミノ酸で構成される、〔1〕または〔2〕に記載の細胞透過性ペプチド。
〔4〕配列番号1、配列番号34、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8および配列番号9からなる群から選択される、アミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチド。
〔5〕配列番号1、配列番号34、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8および配列番号9からなる群から選択される、アミノ酸配列を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチド。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドを有効成分として含有する、がんの治療または予防のための医薬組成物。
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドを核内の薬剤送達キャリアとして含有する、がんの治療または予防のための医薬組成物。
〔8〕薬剤が、前記細胞透過性ペプチドのN末端部分および/またはC末端部分に結合する、〔6〕または〔7〕に記載の医薬組成物。
〔9〕薬剤が、ドキソルビシン、マイトマイシンC、ビンデシン、メトトレキサート、レチノイン酸、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、エピルビシン、アクチノマイシンD、ゲムシタビンおよびオテラシルカリウムからなる群から選択される、〔8〕に記載の医薬組成物。
〔10〕がんが、上皮細胞がんまたは癌腫、非上皮性がんまたは肉腫または血液がんである、〔6〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の医薬組成物。
〔11〕がんが、肺癌、胃癌、胆のう・胆管癌、すい臓癌、肝癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、骨肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性前骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群から選択される、〔10〕に記載の医薬組成物。
本発明の細胞透過性ペプチドは、単に細胞膜を通過するのではなく、細胞膜受容体を介し、細胞膜を透過して細胞質内に移行することができる。またそれのみならず、核へ移行することもできる。さらに正常細胞には影響が少なく、標的細胞におけるアポトーシスを誘導し、腫瘍等を抑制・縮小することから、選択毒性がより高い(標的細胞へ特異的に作用する)、細胞透過性ペプチドの提供を提供することができる。細胞核内へ、活性剤送達キャリアとしての細胞透過性ペプチドも提供することができる。
図1は、正常細胞とがん細胞に対する、実施例1のアポトーシス誘導作用を示すグラフである。 図2Aは、正常細胞と各種がん細胞に対する、実施例2の細胞死誘導作用を示すグラフである。 図2B〜Eは、がん細胞に対する、実施例の細胞死誘導作用を示すグラフである。 図3は、実施例2とCD13が結合していることを示す、免疫沈降の画像である。 図4は、実施例2をがん細胞に投与した、共焦点顕微鏡の画像写真である。 図5AおよびBは、実施例2を正常細胞または各種がん細胞に投与した、共焦点顕微鏡の画像写真である。 図6は、対照または実施例2を投与した後の腫瘍の大きさと投与日数を示すグラフである 図7は、対照、比較例4または実施例3を投与した後の腫瘍の大きさと投与日数を示すグラフである。
本明細書で特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似したまたは均等な任意の方法および材料の使用が発明の態様において見出されるが、一部の好適な方法および材料を本明細書に記載するものとする。本発明は、記載される特定の方法、プロトコールおよび試薬に限定されるものではなく、当業者によりこれらが使用される文脈に依存して変更されてもよいことが理解されよう。また特に示さない限り、アミノ酸は左から右にアミノ基末端(N末端)→カルボキシル基末端(C末端)の向きで記述される。
本開示を通して、文脈によりそうでないことが要請されない限り、「〜を含む」、「〜を含む」、および「〜を含むこと」という語は、言明されるステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の包含を含意するが、他の任意のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の除外は含意しないことが理解されるであろう。
本明細書で用いられている、単数形「a」、「an」および「the」は、明らかに別の指示がない限り複数形を含む。
本明細書で使用される「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、ペプチド結合によって接合された少なくとも2アミノ酸残基のポリマーを指すために、可換的に使用される。この用語は、特定な長さのポリマーを意味せず、そのペプチドが組換え技術を使って生産されるか、化学合成または酵素合成を用い産生されるか、天然物であるかどうかまたは単離されたかどうかを、区別することは意図されない。
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、その広い意味で、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に組み込まれうる任意の化合物および/または物質を指す。一部の態様において、アミノ酸は、一般構造HN−C(H)(R)−COOHを有する。一部の態様において、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、合成アミノ酸、D−アミノ酸またはL−アミノ酸である。
本明細書で使用される「細胞透過性ペプチド」(CPP:cell−penetrating peptide)という用語は、互換的に使用され、「輸送ペプチド」または「担体ペプチド」とも呼ばれる。細胞透過性ペプチドは、限定されないが、生物学的応答を引き起こすまたはその機能に影響を及ぼしうる細胞に対し、細胞膜を横断し、細胞に侵入するまたは細胞内に移行する能力を有する公知またはそれが実証されうる可変長のペプチド鎖を指す。
本明細書で使用される「モチーフ」という用語は、特定の細胞の受容体分子によって認識されうる、または特定の構造または機能を有するペプチドを指す。
第一の態様において、本発明は、RGN(Arg−Gly−Asn)、RGH(Arg−Gly−His)、RYN(Arg−Tyr−Asn)、LYN(Leu−Tyr−Asn)、FFN(Phe−Phe−Asn)およびQYN(Gln−Tyr−Asn)からなる群から選択される第一のモチーフと、NGR(Asn−Gly−Arg)、NGQR(Asn−Gly−Gln−Arg)(配列番号44)およびNGYR(Asn−Gly−Tyr−Arg)(配列番号45)からなる群から選択される第二のモチーフとを含み、前記第一および第二のモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドである。また本発明は、RGN(Arg−Gly−Asn)またはLYN(Leu−Tyr−Asn)のどちらかで表されるモチーフと、NGR(Asn−Gly−Arg)または配列番号44のどちらかで表されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有し、単離された細胞透過性ペプチドである。さらに本発明は、RGN(Arg−Gly−Asn)モチーフおよびNGR(Asn−Gly−Arg)モチーフを含み、前記RGNモチーフと前記NGRモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドである。一態様において、第一または第二のモチーフは、糖タンパク質または細胞膜受容体に特異的に結合する能力があればよく、例えばβターン構造を構成するアミノ酸配列であればよい。
本発明の一部の態様において、βターン構造を構成するアミノ酸配列は、限定されないが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号44、配列番号45、LYN(Leu−Tyr−Asn)またはLY(Leu−Tyr)を有するペプチドであってよい。標的細胞の細胞質内または核内タンパク質に特異的に結合する能力があればよく、βストランド構造を構成するアミノ酸配列は、限定されないが、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号38または配列番号42を有するペプチドであってよい。
また一部の態様によれば、さらにN末端またはC末端にランダムコイル構造が付加されてもよい。ランダムコイル構造を構成するアミノ酸配列は、親水性を高めるアミノ酸配列であればよい。例えば、限定されないが、N末側のアミノ酸配列は、KD(Lys−Asp)、TD(Thr−Asp)、KT(Lys−Thr)、KH(Lys−His)、KR(Lys−Arg)、KN(Lys−Asn)またはKHG(Lys−His−Gly)を有するペプチドであってよい。C末側のアミノ酸配列は、配列番号26、配列番号27、配列番号28または配列番号43を有するペプチドであってよい。
本発明の一部の態様によれば、細胞透過性ペプチドの完全長が、40個以下のアミノ酸で構成される、細胞透過性ペプチドであってよい。一部の態様において、細胞透過性ペプチドの完全長は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40アミノ酸残基以下のペプチドであってよい。さらに任意で、細胞透過性ペプチドの細胞透過能力を抑制することなしに1、2、3、4または5個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されている断片、またはかかる断片の配列変異体を含むアミノ酸配列を有してもよい。また細胞透過性ペプチド中のアミノ酸の欠失、他のアミノ酸で置換または付加は、それぞれ独立して、または同時に起こってもよい。
一態様において、限定されないが、KDNRGNLLQCVCTGNGRGEWKC(配列番号1)、KDNRGNLLQCICTGNGRGEWKC(配列番号2)、TDTRGNLLQCICTGNGRGEWKC(配列番号3)、KTDSRGHVLQCLCTGNGRGEWKC(配列番号4)、KHGRYNLKQCKMSLNGQRGECWC(配列番号5)、KHGLYNLKQCKMSLNGQRGECWC(配列番号6)、KHGLYNLKQCKMSVNGQRGECWC(配列番号7)、KNGFFNLKQCKMSVNGQRGECWC(配列番号8)、KRGQYNLKQCKMSVNGYRGECWC(配列番号9)およびKDNRGNLLQCLCTGNGRGEWKC(配列番号34)からなる群から選択される、アミノ酸配列を有する、単離された細胞透過性ペプチドであってよい。また一態様において、細胞透過性ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号34からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
また一部の態様において、限定されないが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号34からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、ペプチドまたは細胞透過性ペプチドであってよいし、または配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9または配列番号34に示されるアミノ酸配列からなる、ペプチドまたは細胞透過性ペプチドであってもよい。一態様において、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号34からなる群から選択される、アミノ酸配列と少なくとも80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる、ペプチドまたは細胞透過性ペプチドであってもよい。
本明細書で使用される「特異的に」という用語は、非特異的である糖タンパク質の親和性と比べ、特異的である糖タンパク質に対し有意に高い結合親和性(例えば、3、4、5、6、7、8、9または10倍高い結合親和性)を有する糖タンパク質を指す。
本明細書で使用される「糖タンパク質」という用語は、タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したものを指す。
本明細書で使用される「細胞膜受容体」という用語は、細胞膜に表面に存在するタンパク質(複合タンパク質を含む)だけでなく、細胞膜を貫通し細胞質中にもそのタンパク質の一部が存在するタンパク質をも指す。
本発明の別の態様によれば、本発明は、標的細胞の糖タンパク質または細胞膜受容体に特異的に結合する、細胞透過性ペプチドでよい。一部の態様において、細胞表面の糖タンパク質または細胞膜受容体は、細胞マーカーであってよく、例えば、限定されないが、細胞マーカーは、T細胞系、B細胞系、骨髄系、赤芽球系または巨核球系のマーカー、またはがん幹細胞マーカーであってよい。一態様において、細胞表面の糖タンパク質または細胞膜受容体は、CD3、CD9、CD11c、CD13、CD14、CD19、CD20、CD29、CD30、CD33、CD34、CD38、CD44、CD45、CD64、CD65、CD105、CD117、CD133、CD166、CD271、CD326、CD338またはCD340であってよい。
本明細書において、「アポトーシスを誘導する」は、標的細胞を死滅させるまたは細胞死させると言い換えてよい。
本発明の別の態様によれば、細胞透過性ペプチドは、標的細胞におけるアポトーシスを誘導する。
本発明の別の態様において、標的細胞は、T細胞系、B細胞系、骨髄系、赤芽球系または巨核球系のマーカー、またはがん幹細胞マーカーを発現する細胞であってよい。また標的細胞は、例えば、限定されないが、CD3、CD9、CD11c、CD13、CD14、CD19、CD20、CD29、CD30、CD33、CD34、CD38、CD44、CD45、CD64、CD65、CD105、CD117、CD133、CD166、CD271、CD326、CD338またはCD340を発現する細胞であってよい。標的細胞は、障害または状態に罹患しているそれらの細胞を指し、細胞増殖障害に罹患したこれらの細胞、限定されないが、例示的には、悪性腫瘍、すなわち、上皮細胞がんまたは癌腫、非上皮性がんまたは肉腫または血液がん(血液性細胞がん)などのがん細胞または腫瘍細胞であってよく、かかるがん細胞または腫瘍細胞は、肝細胞癌(肝細胞癌または胆管癌)、すい臓癌、胃癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、甲状腺癌または肺癌(小細胞肺癌または非小細胞性肺癌)、喉頭癌、咽頭癌または舌癌などの上皮細胞がんまたは癌腫、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫または血管肉腫などの肉腫(非上皮細胞がん)、または白血病、すなわち、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性前骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫または多発性骨髄腫などの血液がんであってもよい。
本発明の別の態様によれば、薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤が、細胞透過性ペプチドの末端部分に直接またはリンカーにより結合または付加されてよい。別の態様において、リンカーは、水溶性高分子であってよい。また一部の態様において、例えば限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)または、アジド−アルキン付加環化反応を起こすアジ化物(Azide)またはジベンゾシクロオクチン(DBCO)などのクリックケミストリー試薬であってよい。一部の態様によれば、活性剤または薬剤が、細胞透過性ペプチドのアミノ基末端(N末端)部分および/またはカルボキシル基末端(C末端)部分に直接結合されてよい。
本発明の一部の態様によれば、活性剤または薬剤は、限定されないが、タンパク質、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリサッカリド、脂質、抗体、抗体断片、アプタマー、核酸(例えば、限定されないが、siRNA、shRNA、DNA/RNAハイブリッド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム)、小分子薬物、またはその他のいずれの生物学的活性物質であってよい。一部の態様において、活性剤または薬剤は、細胞内で作用してもよく、または標的細胞内部の成分に対して特異的であってよく、さらに、細胞毒性剤または細胞分裂阻害剤であってもよい。一態様において、活性剤または薬剤としては、細胞毒性放射性核種、化学毒素、またはタンパク質毒素であってもよい。また一態様において、活性剤または薬剤は、抗がん剤または抗腫瘍剤であってよく、例えば限定されないが、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、マイトマイシンC、レチノイン酸、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、ブレオマイシン、フルオロウラシル、エピルビシン、アクチノマイシンD、ゲムシタビン、オテラシルカリウムまたは酸化鉄ナノ粒子であってもよい。
本発明の別の側面によれば、本発明は、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、細胞透過性ペプチドを有効成分として含有する、医薬または医薬組成物であってよい。また本発明は、RGNモチーフおよびNGRモチーフを含み、前記RGNモチーフと前記NGRモチーフとの間にβストランド構造を有する、細胞透過性ペプチドを有効成分として含有する、医薬または医薬組成物であってよい。本発明の医薬または医薬組成物においては、有効成分の効果を妨げない限り、有効成分を他の任意成分と組み合わせてよい。一部の態様において、医薬組成物には、薬学的に許容し得る担体、賦形剤または希釈剤を含んでよく、さらに不活性希釈剤、平滑剤、緩衝剤、またはアジュバント、例えば、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤またはバッファーなどを含んでもよい。医薬組成物は、例えば、限定されないが、経口投与、非経口投与または直腸投与などであってよい。また本発明の医薬組成物は、固形形態(制限されずに、カプセル、錠剤、丸薬、顆粒、粉末または坐薬を含む)、または、液体形態(制限されずに、溶液、懸濁液またはエマルションを含む)であってよい。さらに、投与経路や薬物放出様式などに応じて、本発明の医薬または医薬組成物を、適切な材料、例えば時限崩壊性の材料等で被覆してよく、また、適切な薬物放出システムに組み込んでもよい。
本明細書に記載され本発明の医薬または医薬組成物は、経口および非経口の両方を包含する種々の経路、例えば、限定することなく、経口、静脈内、筋肉内、皮下、局所、腫瘍内、直腸、動脈内、門脈内、心室内、経粘膜、経皮、鼻内、腹腔内、肺内および子宮内等の経路で投与してよく、各投与経路に適した剤形に製剤してもよい。かかる剤形および製剤方法は任意の公知のものを適宜採用することができる。
本明細書で使用される「処置」または「予防」という用語は、状態、病気、症状または望ましくないその副作用の抑制、軽減、遅延、緩和および除去を含む。
本発明の一部の態様において、本発明は、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドを有効成分として含有する、がんまたは腫瘍の処置または予防のための組成物、医薬組成物もしくは医薬である。また本発明は、RGNモチーフとNGRモチーフとを含み、前記RGNモチーフと前記NGRモチーフとの間にβストランド構造を有する、がんまたは腫瘍の処置または予防のための細胞透過性ペプチドまたは組成物、医薬組成物もしくは医薬である。また限定されないが、例示的ながんまたは腫瘍は、肝細胞癌(肝細胞癌または胆管癌)、すい臓癌、胃癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌(小細胞肺癌または非小細胞性肺癌)、喉頭癌、咽頭癌または舌癌などの上皮細胞がんまたは癌腫、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫または血管肉腫などの肉腫(非上皮細胞がん)、または白血病、悪性リンパ腫または多発性骨髄腫などの血液がんであってよい。
本発明の一部の態様において、本発明は、がんまたは腫瘍の処置または予防のための、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドであってもよい。
本明細書で使用される「キャリア」という用語は、薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤輸送体を言い、それ自身輸送される活性剤または薬剤と相互または補助作用を有していてよく、およびそれ自身何らかの活性を有していてもよい。
本発明の一部の態様において、本発明は、標的細胞における細胞内または核内への、薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のためのキャリアであって、前記キャリアが、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドである。本発明は、キャリアが、糖タンパク質または細胞膜受容体に特異的に結合してよい。また、ある態様において、本発明は、RGNモチーフとNGRモチーフとを含み、前記RGNモチーフと前記NGRモチーフとの間にβストランド構造を有する、標的細胞における細胞内または核内への、薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のための細胞透過性ペプチドまたはキャリアペプチドもしくはキャリアであってよい。さらに、本発明のキャリアの標的細胞(または悪性腫瘍)が、上皮細胞がんまたは癌腫、肉腫または血液がんであってよく、例示的には、限定されないが上記した通りである。また細胞透過性ペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号34からなる群から選択される、アミノ酸配列であってよく、例示的な、標的細胞の糖たんぱく質または細胞膜受容体、標的細胞、およびキャリアに付加し得る活性剤または薬剤などは上記した通りである。
本発明の一部の態様において、本発明は、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドを、標的細胞における細胞内または核内への、薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のためのまたはキャリアペプチドもしくはキャリアとして含有する、がんまたは腫瘍の処置または予防のための医薬または医薬組成物であってよい。また限定されないが、例示的なアミノ酸配列、標的細胞の糖タンパク質または細胞膜受容体、標的細胞(または悪性腫瘍)、および活性剤または薬剤などは上記した通りである。さらに上記組成物に含まれてよい、薬学的に許容し得る担体、賦形剤または希釈剤、または不活性希釈剤などは、限定されないが、上記した通りである。
本発明のまた別の側面によれば、本発明は、がんまたは腫瘍の処置または予防のための医薬または医薬組成物の製造における、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、細胞透過性ペプチド、または薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のためのキャリアペプチドもしくはキャリアの使用であってよい。また本発明は、がんまたは腫瘍の処置または予防のための医薬または医薬組成物の製造における、RGNモチーフとNGRモチーフとを含み、前記RGNモチーフと前記NGRモチーフとの間にβストランド構造を有する、細胞透過性ペプチドの使用であってよい。また限定されないが、例示的ながんまたは腫瘍、医薬または医薬組成物の用途、細胞透過性ペプチドまたは薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のためのキャリアペプチドもしくはキャリアが有してよいアミノ酸配列、標的細胞の糖たんぱく質または細胞膜受容体、標的細胞(または悪性腫瘍)、および活性剤または薬剤、含んでよい薬学的に許容し得る担体、賦形剤または希釈剤、さらに不活性希釈剤、平滑剤または緩衝剤などは、上記した通りである。
本発明のさらなる別の側面によれば、本発明は、対象において、がんまたは腫瘍を処置または予防するための方法であって、がんまたは腫瘍を有する対象へ、治療的に有効量の、RGN、RGH、RYN、LYN、FFNおよびQYNからなる群から選択されるモチーフと、NGR、配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるモチーフとを含み、前記それぞれのモチーフとの間にβストランド構造を有する、細胞透過性ペプチドまたは、薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のためのキャリアペプチドもしくはキャリアを投与することを含む、前記方法である。また本発明は、対象において、がんまたは腫瘍を処置または予防するための方法であって、がんまたは腫瘍を有する対象へ、治療的に有効量の、RGNモチーフとNGRモチーフとを含み、前記RGNモチーフと前記NGRモチーフとの間にβストランド構造を有する、細胞透過性ペプチドを投与することを含む、前記方法である。一態様によれば、対象が、ヒトまたは、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、トリ、カメ、スッポンまたはゼブラフィッシュなどの非ヒト哺乳類対象であってよい。また限定されないが、例示的ながんまたは腫瘍は、上記した通りである。
本明細書に記載される本発明の各種方法における有効量とは、例えば、がんに関しては、がん細胞の死滅を促進し、または、がん細胞を死滅させる量であってよく、がん細胞の増殖に関しては、細胞の増殖を抑制、または、細胞増殖を遅延する量であってよい。疾患の処置に関しては、疾患の症状を低減し、または疾患の進行を遅延もしくは停止する量であってよく、疾患を抑制し、または治癒する量でもある。かかる量は、培養細胞などを用いたin vitro試験や、マウス、ラット、イヌ、ブタまたはサルなどのモデル動物における試験により適宜決定することができ、このような試験法は当業者によく知られている。また、本発明の処置方法に用いる薬物の用量は当業者に公知であるか、または、上記の試験等により適宜決定することができる。本明細書に記載される本発明の処置方法において投与する有効成分の具体的な用量は、処置を要する対象に関する種々の条件、例えば、がんの状態やステージ、症状の重篤度、対象の一般健康状態、年齢、体重、対象の性別、食事、投与の時期および頻度、併用している医薬、治療への反応性、剤形、および治療に対するコンプライアンスなどを考慮して決定され得る。
また一部の態様において、本発明は、少なくとも4、3、2または1日ごと、または1日多数回(すなわち1日2、3、4回または5回以上)で、経口、門脈内、静脈内、筋肉内、皮下、経鼻、経肺、経皮、局所、腫瘍内、経粘膜、経皮、鼻内、腹腔内、肺内、子宮内、舌下または直腸投与で、約2.5、5、7.5、10.0、12.5または15mg/kg、または約2.5〜15mg/kgの範囲内で対象に投与されてよい。また本発明の1日総投与量は、限定されずに、例えば、約1μg/kg〜約1000mg/体重kg、約10μg/kg〜約100mg/体重kg、約100μg/kg〜約10mg/体重kgなどであってよい。例示的ながんまたは腫瘍、細胞透過性ペプチドまたは薬理学的活性剤(活性剤)または薬剤送達のためのキャリアペプチドもしくはキャリアが有してよいアミノ酸配列、標的細胞(または悪性腫瘍)などは、上記した通りである。
本発明を以下の例でさらに詳細に説明するが、これらは例示に過ぎず、本発明を決して限定するものではない。
図1、2A−E、6および7において、有意差検定は、両側t−検定を行った。5%または1%水準で有意差が認められた場合、それぞれ*または**印で示した。
ペプチドの作成
本発明で用いるペプチドは、化学的に合成することもできるし、遺伝子工学的に生産することもできる。本発明で用いるペプチドまたは薬剤を付加したペプチドは、当業者に公知の一般法に従って調製され得る。なおペプチドは、株式会社医学生物学研究所(日本)またはジェンスクリプトジャパン株式会社(日本)に委託により作成した。合成方法を簡単に述べると、H−Cys(Trt)−2−クロトトリチルクロライド(CTC)樹脂(Merck)を、DMFで膨潤した。次に、Fmoc−アミノ酸(4当量)、DIC(4当量)およびHOBt(4当量)の条件下で1時間撹拌し、カップリング反応により、Lys(Boc)、Trp(Boc)、Glu(OtBu),Gly、Arg(Pbf)、Gly、Asn(Trt)、Gly、Thr(tBu)、Cys(Trt)、Val、Cys(Trt)、Gln(Trt)、Leu、Leu、Asn(Trt)、Gly、Arg(Pbf)、Asn(Trt)、Asp(OtBu)およびLys(Boc)をそれぞれ順次導入した。さらに樹脂を20%ピペリジン/DMFで処理した後、メタノールで洗浄および乾燥し、ペプチド−樹脂を得た。得られたペプチド−樹脂100mgを、3mLのクリーベイジカクテル(TFA/1,2ーエタンジチオール/チオアニソール/フェノール/HO/トリイソプロピルシラン=68.5/10/10/5/3.5/1V/V)で、30℃で4時間処理した。さらに、これに冷ジエチルエーテルを添加し、室温で乾燥させた。続いて、得られたペプチドを、逆相−HPLCにより、カラム:C18、流速:1ml/min、溶出:A液(100%水、0.1%TFA)とB液(100%アセトニトリル、0.1%TFA)の直線的勾配および検出:210nmの条件下で、分取精製したペプチドを実施例1(配列番号1)(株式会社医学生物学研究所)とした。
また上記ペプチド−樹脂に、Ahxリンカーを介してFITCを結合させ、上記同様に精製したペプチドを実施例2(配列番号32)(ジェンスクリプトジャパン株式会社)とした。
さらに上記ペプチド−樹脂を、DMF溶媒中において、Azide−PEG4−NHS(CLICK CHEMISTRY TOOLS)を当量で混合した。さらに、この溶液に10倍当量のDIEAを加え、室温で1時間撹拌し、得られたペプチド(M.W.2725.09、95%、100.5mg、TFA free)(株式会社ピーエイチジャパン)を、滅菌Milli−Q水で、50mg/ml(17.5mM)に調整した。滅菌したMilli−Q水で溶解したDoxorubicin(Dox)(Carbosynth社)4ml(11mg/ml)に1mlの0.5Mリン酸バッファー(pH5.5)を添加した後、20mlの滅菌したMilli−Q水を添加し、これをDox溶解液とした。その一方で、DMSOで溶解したDBCO−PEG5−NHS Ester(Click Chemistry Tools、AZ、USA)溶液(25mg/ml)0.5mlと、7.5mlのDox溶解液を室温で3時間混和した。反応液を、Aバッファー(0.1%(V/V)酢酸(富士フィルム和光純薬))で平衡化した1ml Resource 15 RPCカラム(GE Healthcare)に吸着させた。その後AバッファーとBバッファー(0.1%(V/V)酢酸を含むアセトニトリル(ANC)(富士フィルム和光純薬)90:水10)の30〜44%線状勾配で、1ml/minの流速で、Dox−PEG5−DBCO画分を分画した。同時に210nmから500nmまでの吸光度をモニタリングした。分取した上記画分を、遠心式濃縮機で濃縮し、DMSOで67mg/ml(52.6mM)の濃度になるように溶解した。上記の得られたペプチドと調整したDox−PEG5−DBCO溶液を、モル比1:1の割合で、DMSO中で室温3時間混和した。得られた反応溶液を上記カラムに吸着させた後、AバッファーとBバッファーを用い、20〜45%線状勾配で、上記と同様に分画した。さらに上記同様に濃縮した後、滅菌Milli−Q水で溶解し、これを実施例3(配列番号33)とした。
また上記CTC樹脂にLys(Boc)、Trp(Boc)、Glu(OtBu),Gly、Arg(Pbf)、Gly、Asn(Trt)、Gly、Thr(tBu)、Cys(Trt)、ValおよびCys(Trt)を、実施例1と同様の手順で順次導入し、分取精製したペプチドを比較例1(配列番号29)(株式会社医学生物学研究所)とした。
さらに上記CTC樹脂にArg(Pbf)、Gly、Asn(Trt)およびCys(Trt)を、実施例1と同様の手順で順次導入した。次に、得られたペプチド−樹脂を、ペプチド濃度1mg/ml下で、水:DMSO=1:1の溶媒で24時間の酸化反応した後、上記同様、分取精製したペプチドを比較例3(配列番号31)(株式会社医学生物学研究所)とした。
また上記CTC樹脂にLys(Boc)、Trp(Boc)、Glu(OtBu),Gly、Arg(Pbf)、Gly、Asn(Trt)、Gly、Thr(tBu)、Cys(Trt)、Leu、Cys(Trt)、Gln(Trt)、Leu、Leu、Asn(Trt)、Gly、Arg(Pbf)、Asn(Trt)、Asp(OtBu)およびLys(Boc)を、実施例1と同様の手順で順次導入し、分取精製したペプチドを得た(配列番号34)。また、結果として得られたペプチド−樹脂を、Ahxリンカーを介してFITCを結合させ、分取精製したペプチドを実施例4(配列番号35)(ジェンスクリプトジャパン株式会社)とした。
さらに上記CTC樹脂にLys(Boc)、Trp(Boc)、Glu(OtBu)、Gly、Arg(Pbf)、Gly、Asn(Trt)、Gly、Thr(tBu)、Cys(Trt)、Ile(Boc)、Cys(Trt)、Gln(Trt)、Leu、Leu、Asn(Trt)、Gly、Arg(Pbf)、Asn(Trt)、Asp(OtBu)およびLys(Boc)を、実施例1と同様の手順で順次導入し、分取精製したペプチドを得た(配列番号2)。また、結果として得られたペプチド−樹脂を、Ahxリンカーを介してFITCを結合させ、分取精製したペプチドを実施例5(配列番号36)(ジェンスクリプトジャパン株式会社)とした。
また上記CTC樹脂にTrp(Boc)、Cys(Trt)、Glu(OtBu)、Gly、Arg(Pbf)、Gln(Trt)、Gly、Asn(Trt)、Leu、Ser(tBu)、Met、Lys(Boc)、Cys(Trt)、Gln(Trt)、Lys(Boc)、Leu、Asn(Trt)、Trp(Boc)、Leu、Gly、His(Trt)およびLys(Boc)を、実施例1と同様の手順で順次導入し、分取精製したペプチドを得た(配列番号6)。また、結果として得られたペプチド−樹脂を、Ahxリンカーを介してFITCを結合させ、分取精製したペプチドを実施例6(配列番号37)(ジェンスクリプトジャパン株式会社)とした。
Fmoc−Trp(Boc)−Wang樹脂(Merck)を用い、5%のピペリジン含有のDMF(0.1%HOBt)でN末端Fmocを脱保護した後、Glu(OtBu)、Gly、Arg(Pbf)、Gly、Asn(Trt)およびGlyを、実施例1と同様の手順で順次導入し、分取精製したペプチドを比較例2(配列番号30)(株式会社医学生物学研究所)とした。
実施例1〜6および比較例1〜3のアミノ酸配列一次構造情報は、マトリクス支援レーザー励起イオン化法スペクトルで確認し、精製度は逆相−HPLC(C18)で解析し、98%以上であることを確認した。
細胞培養
ミトコンドリア膜電位の変化測定試験では、ヒト線維肉腫由来HT−1080細胞(HT−1080細胞、JCRB細胞バンク)を、In vitroでのがん細胞の細胞死誘導試験および実施例2の核移行試験では、HT−1080細胞、ヒト骨肉腫細胞株Hos細胞(Hos細胞、JCRB細胞バンク)、ヒト組織球性リンパ腫・マクロファージU937細胞(U937細胞、JCRB細胞バンク)、ヒト骨髄性白血病細胞HL−60細胞(HL−60細胞、JCRB細胞バンク)、急性単球性白血病THP−1細胞(THP−1細胞、JCRB細胞バンク)、ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞A549細胞(A549細胞、東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)、ヒト膵臓がん細胞MIA Paca2細胞(MIA Paca2細胞、東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)および高分化型ヒト肝癌由来細胞株HuH7細胞(HuH7細胞、東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センター)を、がん細胞として用いた、また、対照として正常ヒト歯肉線維芽細胞Gin−1(Gin−1細胞、(株)DSファーマバイオメディカル)を用いた。上記細胞を、それぞれ96穴培養プレート(Falcon)に5000個/100μlで播種し、以下の試験に供した。
がんマウスの作成
HT−1080細胞(1×10個/200μl)を5週齢BALB/cヌードマウス(日本チャールス・リバー)の背中へ皮下移植した。さらに、移植後の腫瘍が30〜60mmに達したことを確認した後、これを以下の試験に供した。
試験例1 ミトコンドリア膜電位の変化測定試験
実施例1、比較例1〜3の合成ペプチドをそれぞれ細胞に添加して、血清添加培地(α−MEM+10%FBS)で培養し、またコントロールとして血清添加培地(α−MEM+10%FBS)のみで培養した。7日間培養後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で一回洗浄し、2μMのJC−1で、37℃、5%CO細胞培養器中で30分間染色した。さらにPBSで一回洗浄し、PBSを100μl添加し、共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM800(Zeiss)で画像を取得した後、ImageJで解析した。
図1は、縦軸にアポトーシス率(JC1染色グリーン細胞数/全細胞数×100(%))の平均値±SD(標準偏差)、横軸に、実施例1、比較例1、比較例2および比較例3を示す。実施例1の左中央右のバーにおいて、左側のバーは25μg/ml、中央のバーは50μg/ml、右側のバーは100μg/mlのそれぞれの添加したペプチド濃度を示す。比較例1、比較例2および比較例3の左右のバーにおいて、左側のバーは50μg/ml、右側のバーは100μg/mlのそれぞれの添加したペプチド濃度を示す。実施例1で刺激したときのみ、HT−1080細胞に対してアポトーシス率の上昇が認められた。その一方で、比較例1、比較例2、および比較例3では、HT−1080細胞のアポトーシス率の上昇は観察されなかった。またGin−1細胞へ、実施例1の50μg/ml投与では、アポトーシス率の上昇は観察されなかった。本発明の細胞透過性ペプチドが、正常細胞には影響を及ぼさないが、がん細胞においてアポトーシス誘導作用を有することが実証された。
試験例2A In vitroでのがん細胞の細胞死誘導試験
In vitroでのがん細胞の細胞死誘導試験をするために、配列番号1のペプチドをFITCでラベルしたペプチド(実施例2)用いた。実施例2を100μl添加し、さらに10%FBSを加え、血清添加培地(Alpha modification of Eagle’s MEM(α−MEM)(Thermo Fisher Scientific)+10%FBS)200μlの条件下で9日間、培養した試験例を作成した。さらに実施例2添加培地を7日間ごとに全量交換し21日間培養した試験例も作成した。また対照としは血清添加培地(α−MEM+10%FBS)のみで培養した細胞を用いた。培養終了後、上清を除きPBSで一回洗浄、生細胞染色用蛍光色素Calcein−AM(同仁化学研究所)(最終濃度0.1μg/ml)と死細胞染色用蛍光色素Propidium Iodide(PI)(同仁化学研究所)(最終濃度0.3μg/ml)添加したPBS中で、37℃、5%CO細胞培養器内で30分間染色した。その後、共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM800で、Calcein−AMとPIで生細胞と死細胞を染め分けた画像を取得した。次に、ImageJを用い、全細胞数に対する死細胞の比率の解析を行った。
結果は、死細胞率(PI染色赤色細胞数/全細胞数×100(%))の平均値±SD(標準偏差)で示された。図2Aは、縦軸に各細胞に対する実施例2(50μg/ml)で9日間培養した時点の死細胞率、横軸に各種細胞を示す。Gin−1細胞に対する死細胞率の上昇は観察されなかった。一方、HT−1080細胞、U937細胞、HL−60細胞およびHos細胞に対する死細胞率の上昇は1%水準で有意差が認められた。THP−1細胞に対しては5%水準で有意差が認められた。培養21日目HT−1080細胞へ、6.25および12.5μg/mlの実施例2投与では、約75%以上の死細胞率の上昇がそれぞれ観察された。さらに、25、50および100μg/ml投与結果は95%以上の死細胞率の上昇が認められた(図示せず)。本発明の細胞透過性ペプチドは、正常細胞においては細胞死誘導作用を有さないが、がん細胞においては細胞死誘導作用を有することから、非常に高い選択毒性が実証された。
試験例2B In vitroでのがん細胞の細胞死誘導試験
In vitroでのがん細胞の細胞死誘導試験をするために、配列番号34のペプチドをFITCでラベルしたペプチドを実施例4、配列番号2のペプチドをFITCでラベルしたペプチドを実施例5、および配列番号6のペプチドをFITCでラベルしたペプチドを実施例6として用いた。
実施例2および4〜6をそれぞれ12.5、25、50および100μg/mlとなるよう調整し、上記試験例2Aと同じ方法でHT−1080細胞を用い、9日間の投与試験を行った。細胞染色および、その後の全細胞数に対する死細胞の比率解析は上記試験例2Aと同様に行った。
図2Bは、縦軸にHT1080細胞に対する実施例2または実施例4〜6(それぞれ、12.5、25、50および100μg/ml)で9日間培養した時点の死細胞率、横軸に各実施例およびその投与濃度、または対照を示す。HT−1080細胞に対する死細胞率の上昇は1%水準で有意差が認められた。実施例2の50および100μg/ml投与では、少なくとも60%以上を示した。実施例4および5の同様の投与濃度では、それぞれ少なくとも60%および50%以上の死細胞率を示した。また投与濃度が、25および12.5μg/mlである、実施例2、4および5では、それぞれおよそ50%〜40%の死細胞率を示した。とりわけ実施例6は、その投与濃度が12.5μg/mlであっても、100μg/mlの投与濃度とほぼ同等な死細胞率を示し、約35%の死細胞率を維持した。本実験によって、実施例2、4〜6が、12.5μg/mlの投与濃度でも有効であることが示された。
試験例2C〜E In vitroでのがん細胞の細胞死誘導試験
実施例2の投与量を50μg/mlになるよう調整し、上記試験例2Aと同じ方法でA549細胞、MIA Paca2細胞またはHuH7細胞を用い、9日、16日または23日間の投与試験を行った。細胞染色および、その後の全細胞数に対する死細胞の比率解析は上記試験例2Aと同様に行った。
図2C〜Eは、縦軸に各種細胞に対する実施例2(50μg/ml)で9、16日または23日間培養した時点の死細胞率を、横軸に実施例2または対照を示す。各いずれの細胞においても死細胞率の上昇は、1%水準で有意差が認められた。図2Cに示されるA549細胞への投与試験では、培養9日目では、約50%近く、16日目では、約60%近く、21日目では、約80%以上の死細胞率がそれぞれ確認された。また図2Dに示されるMIA Paca2細胞への投与試験では、9日目では約10%程度の死細胞率であったが、16日目では約50%程度、23日目では、約80%の死細胞率を実証した。これは、有効手立ての少ないすい臓癌に対し、本発明が有効であることを示す。またこれらのがん細胞に対し、日を追うごとに実施例2の効果があることを示す。これに対し、図2Eに示されるHuH7細胞への投与試験では、投与9日目と16および23日目の効果がほぼ同じであり、投与初期から、がん細胞死滅効果が実証された。これにより、本発明の上皮細胞がんへの有効性が確認された。
試験例3 免疫沈降による結合タンパク質解析試験
実施例2(80μg/400μl)をHT1080細胞(4000万個)に4℃で2時間作用させた。次いでPBSで洗浄後、遠心した細胞を、Halt Protease & Phosphatase inhibitor Single−Use Cocktail,EDTA−free(Thermo Fisher Scientific)(10μl)添加したIP Lysis/Wash buffer 1000μl(Thermo Fisher Scientific)で4℃、5分間の条件で溶解した。4℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。タンパク質1mgとした上清に、80μlのA/Gアガロースを加え、4℃で1時間撹拌し、さらに1分間遠心分離し、これを前処理溶解液とした。前処理溶解液(1mg/600μl)に、IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti−Fluorescein(FITC)(Jackson ImmunoResearch)10μg、またはMouse IgG Isotype Control(Thermo Fisher Scientific)10μgをそれぞれ添加して、4℃で一晩振とうした。その後、20μlのA/Gアガロースを加え、4℃で2時間振とうした。上記洗浄バッファーで3回洗浄後、A/Gアガロースに2×Non−reducing Lane Marker Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)20μlを添加した。これを100℃で5分間加熱し、1分間遠心分離した後、サンプルを回収した。サンプルをSDS−PAGEゲル(8%)にロードした。ウェスタンブロティングでは、1次抗体として、PE標識ヒトCD13抗体(Clone:WM−15 Biolegend)、IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti−Fluorescein(FITC)またはHRP−標識抗tubulin抗体(MBLライフサイエンス)、2次抗体としてHRP−標識抗マウスIgG抗体(Abcam)を用いた。
図3の左のレーンには、免疫沈降に用いた溶解液の10%をロードした。中央のレーンには、IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti−Fluorescein (FITC)で免疫沈降したサンプルをロードした。右のレーンには、Mouse IgG Isotype Controlで免疫沈降したサンプルをロードした。右のレーンではCD13が検出されなかったが、中央のレーンでは、CD13が検出された。すなわち、実施例2が細胞膜上のCD13に特異的に結合することが証明された。
試験例4 実施例2における、細胞膜への結合試験
PE標識ヒトCD13抗体(Clone:WM−15 Biolegend)(1μg/100μl)と実施例2(1μg/100μl)を各細胞(50万個/100μl)に添加し、4℃で1時間染色した。PBSで洗浄した後、HT1080細胞の蛍光強度を基準に各細胞のCD13発現と実施例2の結合部位を、共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM800で観察した。HT1080細胞とGin−1細胞には、最もCD13(赤色)発現が強く、実施例2(緑色)の発光も強かった。さらに重ね合わせ写真では、強い黄色が観察されたことから、実施例2とCD13は共局在していることが観察された。さらに、CD13の発現がU937細胞、HL−60細胞、THP−1細胞およびHos細胞でも上記と同様の現象が認められた(図示せず)。
試験例5A がん細胞における、実施例2の核移行試験
実施例2を最終的濃度50μg/mlになるように、血清添加培地(α−MEM+10%FBS)200μl下で、3日または9日間培養した。なお培養3日間では、細胞死が認められなかった。一方で、培養9日間では細胞死が認められたため、上記細胞培養日数で試験した。上記それぞれの細胞をはがして、Cellviewガラスボトムシャーレ(35×10mm)(Greiner)に移した。培養3日目の細胞は、10%ホルマリンエタノールで固定した後、DAPI染色した。培養9日目の細胞は、固定せずに、DAPI染色した。さらに経時的に共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM800で観察した。
図4は、HT1080細胞培養3日目および9日目における、実施例2(緑色)、DAPI(青色)、実施例2(緑色)とDAPI(青色)の重ね合わせ、および微分干渉像の写真である。3日目のHT1080細胞では、実施例2(緑色)が核染色のDAPI(青色)の周りの細胞質に存在していた。しかし、9日目のHT1080細胞中の実施例2とDAPI染色の重ね合わせの画像の色が水色を呈することから、実施例2は核に移行し染色体DNAと結合していることが確認された。
さらにGin−1細胞または上記がん細胞に、50μg/mlの濃度で実施例2を添加し9日間培養後、DAPI染色後、共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM800でZスキャンを行った。図5Aは、Gin−1細胞または上記がん細胞における実施例2(緑色)とDAPI(青色)の重ね合わせた、XY、XZおよびYZ断面のそれぞれの写真である。Gin−1細胞の核は、DAPIによって染色されず、実施例2が、細胞質に留まっていることがXZ断面、YZ断面からも確認された。一方、U937細胞、HL−60細胞、THP−1細胞およびHos細胞は、実施例2とDAPI染色の重ね合わせの画像の色が水色を呈した。さらにそれぞれの細胞のXZ断面,YZ断面から実施例2が核に移行し、染色体DNAと結合していたことが確認された。
同様に、A549細胞、MIA Paca2細胞およびHuH7細胞でも50μg/mlの濃度で実施例2を添加し23日間培養後、DAPI染色後、共焦点レーザースキャン顕微鏡LSM800でZスキャンを行った。図5Bは、各種がん細胞における実施例2(緑色)とDAPI(青色)の重ね合わせた、XY、XZおよびYZ断面のそれぞれの写真である。結果は、実施例2とDAPI染色の重ね合わせの画像の色が水色を呈した。またそれぞれの細胞のXZ断面、YZ断面から、実施例2が核に移行し、染色体DNAと結合していたことが確認された。
試験例5B 実施例2が結合する細胞質内および核内タンパク質の解析試験
実施例2を最終的濃度50μg/mlになるように、血清添加培地(α−MEM+10%FBS)4mlに調整し、HT1080細胞(2000万個)を、37℃、5%CO2細胞培養器中で5日間培養した。PBSで洗浄、細胞を回収後、NE−PER Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagents (PIERCE)で、細胞質と核からタンパク質をそれぞれ回収した。細胞質および核のタンパク質1mgに、80μlのA/Gアガロースをそれぞれ加え、4℃で1時間撹拌し試料の前処理を行った。前処理溶解液(1mg/600μl)に、IgG Fraction Monoclonal Mouse Anti−Fluorescein(FITC)(Jackson ImmunoResearch)10μgを添加して、4℃で一晩振とうした。その後、20μlのA/Gアガロースを加え、4℃で2時間振とうした。洗浄バッファーで3回洗浄後、A/GアガロースにElution Buffer (Thermo Fisher Scientific)50μlを添加しサンプルを回収、Neutralization Buffer(Thermo Fisher Scientific)5μlを添加しpHを中性に調整し、これを実施例2に結合するタンパク質同定のための試料として用いた。Waters Xevo G2−XS Qtof(Waters Xevo G2−XS)を用い、ショットガン解析により網羅的にタンパク質を同定した。
下表は、検出されたタンパク質から免疫沈降に用いた抗体と実施例2を除いた、細胞質および核から同定されたタンパク質を、アクセッション番号、タンパク質名称、検出されたペプチドの同定数、特異的なペプチドの同定数、信頼性スコア、細胞質内タンパク質量(fmol)および核内タンパク質量(fmol)で示した。
Figure 0006932340
解析の結果、リンカー・ヒストンH1―3、コア・ヒストン(H2A、H2B、H3−2、H4)および、40Sを構成する22種類および60Sを構成する28種類のリボソームタンパク質が、それぞれ同定された。さらに40Sおよび60Sリボゾームタンパク質が細胞質内より、核内で多く検出された。これは、実施例2が、核に移行後、核内にも存在する40Sおよび60Sリボゾームタンパク質に結合することを示す。上記解析により、実施例2が核内に移行し得ることが、生化学的にも実証された。
試験例6 がんマウスにおける、実施例2のがん細胞増殖抑制およびアポトーシス試験
実施例2を無菌水で溶解し、2倍濃度α−MEM(グルタミンおよび抗生物質を含まない)を加え、200μg/200μlへ調整した。これを、がんマウスの腹腔内に10mg/kgになるように3日ごとに投与した。対照投与群には、200μlの1倍濃度α−MEMを用い、これをがんマウスの腹腔内に3日ごとに投与した。3日ごとにDRETEC体重計(株式会社ドリテック、Japan)で体重を測定し、ノギス(最大150mm、最小0.05mm)(MITUTOYO、Japan)で腫瘍の大きさ(推定体積(短径×長径×高さ×π/6mm))を測定した。
図6に実施例2投与群(N=6)と対照投与群(N=6)の腫瘍の大きさの変遷をグラフに表した。縦軸は腫瘍の大きさの平均値±SD(標準偏差)、横軸は投与後の日数を示す。対照投与群と比べ、12日目から24日目まで実施例2投与群は、腫瘍の増殖抑制が1%水準で有意差が認められた。対照投与群では、24日目で1500mmを超えた。その一方で、実施例2を用いたマウスでは、約600mmで、その腫瘍成長抑制効果が確認された。さらにその後、33日まで、腫瘍の縮小傾向が確認された。
試験例7 がんマウスにおける、実施例3の抗がん剤送達試験
実施例3を5mg/kg、および比較例4(Dox)を1.2mg/kgにそれぞれなるように、実施例2と同様に処理し、これをがんマウスに供した後、同様の手法で、腫瘍の大きさを測定した。
図7は、対照投与群(N=2)、比較例4投与群(N=2)および実施例3投与群(N=2)の腫瘍の大きさの変遷をグラフとして示す。縦軸は腫瘍の大きさの平均値±SD(標準偏差)、横軸は投与後の日数をそれぞれ表す。18日目から24日目まで実施例3投与群は対照投与群と比較例4投与群と比べて腫瘍の増殖抑制が1%水準で有意差が認められた。対照投与群と比較例4投与群では、24日目で約2000mmまで大きくなった。その一方で、実施例3投与群では、腫瘍の大きさが18日目で800mmから500mmまで減少し、24日までその抑制効果が確認された。すなわち、ペプチドそのものの抗がん効果だけでなく、抗がん剤の効果も重複し、大きく腫瘍を縮小させた。本発明のペプチドが、抗がん剤単独投与に比べ、標的細胞に特異的に作用し、がん細胞への高い毒性を有することを示した。また上記結果は、本発明のペプチドが、抗がん剤などの活性剤の送達キャリアとしても有効であることを実証するものである。
本発明の細胞透過性ペプチドは、選択毒性の高い、従来の治療法とは異なる新たな手段に応用することができる。また医薬品としてだけでなく、病巣の診断にも応用でき、さらに核内に種々の活性剤を運ぶキャリアペプチドとしての使用も期待される。

Claims (11)

  1. RGNのN末側のモチーフとNGRのC末側のモチーフまたはLYNのN末側のモチーフと配列番号44および配列番号45からなる群から選択されるC末側のモチーフとを含み、前記それぞれのN末側およびC末側のモチーフとの間にβストランド構造を有する、単離された細胞透過性ペプチドであって、ここで、前記細胞透過性ペプチドの完全長が、40個以下のアミノ酸で構成される、細胞透過性ペプチド。
  2. 糖タンパク質に特異的に結合する、請求項1に記載の細胞透過性ペプチド。
  3. βストランド構造が、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号38および配列番号42からなる群から選択されるペプチド、または配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号38および配列番号42からなる群から選択されるペプチドの1または2個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたペプチドを含む、請求項1または2に記載の細胞透過性ペプチド。
  4. 配列番号1、配列番号34、配列番号2、配列番号3、配列番号6および配列番号7からなる群から選択される、アミノ酸配列を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチド。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドを有効成分として含有する、がんの治療または予防のための医薬組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドを核内の薬剤送達キャリアとして含有する、がんの治療または予防のための医薬組成物。
  7. 薬剤が、前記細胞透過性ペプチドのN末端部分および/またはC末端部分に結合する、請求項に記載の医薬組成物。
  8. 薬剤が、ドキソルビシン、マイトマイシンC、ビンデシン、メトトレキサート、レチノイン酸、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、エピルビシン、アクチノマイシンD、ゲムシタビンおよびオテラシルカリウムからなる群から選択される、請求項6または7に記載の医薬組成物。
  9. がんが、上皮細胞がんまたは癌腫、肉腫または血液がんである、請求項5または6に記載の医薬組成物。
  10. がんが、肺癌、胃癌、胆のう・胆管癌、すい臓癌、肝癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、骨肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性前骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫からなる群から選択される、請求項5または6に記載の医薬組成物。
  11. 配列番号1、配列番号34、配列番号2および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、ペプチドであって、ここで前記ペプチドの完全長が、40個以下のアミノ酸で構成される、ペプチド。
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