JP6931556B2 - 位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents

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本発明は、微細かつ高精度な露光パターンを形成することが可能な位相シフトマスクの製造方法に関し、特にフラットパネルディスプレイの製造に用いて好適な技術に関する。
半導体において、高密度実装を行うため、長い期間にかけてパターンの微細化が行われてきている。そのために、露光波長を短波長化するとともに、露光方法の改善など様々な手法が検討されてきた。
フォトマスクにおいてもパターン微細化を行うために、複合波長を用いる遮光膜パターン形成フォトマスクから、パターン縁において光干渉を用いて、単波長を用い、より微細なパターン形成可能な位相シフトマスクが使用されるに至っている。
このため、特許文献1に示すようにエッジ強調型の位相シフトマスクが使用されるに至っている。
然し、上記従来例のものでは、透明基板上に遮光層を成膜し、この遮光層をエッチングおよびパターニングし、パターニングした遮光層を覆うように位相シフト層を成膜し、この位相シフト層をエッチングしてパターニングすることにより位相シフトマスクが製造される。このように成膜とパターニングとを交互に行うと、装置間の搬送時間や処理待ち時間が長くなり生産効率が著しく低下する。しかも、所定の開口パターンを持つ単一のマスク越しに、位相シフト層と遮光層とを連続してエッチングすることができず、マスク(レジストパターン)を2回形成する必要があり、製造工程数が多くなる。従って、高い量産性で位相シフトマスクを製造できないという問題があった。
上記の点に鑑み、透明基板表面に位相シフト層とエッチングストッパー層と遮光層とをこの順に設けた位相シフトマスクが考えられる。位相シフト膜による位相シフトパターンは光を数%〜10数%透過させ、かつ光の位相角を略180度反転させるが、位相シフトパターンの近傍では、サイドローブが発生し、パネル側への転写時に、パネル側のレジストに漏洩光により、レジスト表面が感光し、その結果として、パターン精度が上がらない場合も予想される。
また、パターン形成においては、特許文献2,3に記載されるように、裏面露光の技術が知られている。
特開2011−13283号公報 特開平7−152146号公報 特開2005−202012号公報
サイドローブを低減させるため、その影響が残る位相シフトパターンエッジから0.5〜2.0μmの範囲で、遮光膜による遮光パターンを設けることが考えられる。しかし、
また、特許文献2,3に記載される技術では、このように遮光膜パターンを位相シフトパターンエッジより細くするためには、レジスト再塗布を含むリソグラフィー工程をもう一度繰り返さなければならず、複数回のレジスト膜を形成する必要があり、工程数が多いためこれを削減したいという要求があった。つまり、パターニング工程において、一回のレジスト塗布工程のみで、位相シフトパターン、エッチングストッパーパターン、遮光膜パターンを形成可能とし、製造工程の短縮を図りたいという要求があった。
さらに、遮光膜パターンが位相シフトパターンエッジより後退する寸法を所望の値として正確に設定することは困難であり、特許文献2,3に記載される技術では、複数回のレジスト膜形成において、レジストどうしのアライメントの正確性が低くなる可能性があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.位相シフトパターンから遮光パターンが後退した幅寸法を所望の値として正確に設定すること。
2.製造工程数を削減して、位相シフトパターンエッジ近傍に発現するサイドローブの影響を低減したエッジ強調型の位相シフトマスクを簡便に製造可能とすること。
本発明において製造するハーフトーンマスクは、図6(a)(b)に示すように、透明基板110上に積層された位相シフトパターン120と遮光パターン130とから形成された転写用パターンとを有するが、この転写用パターンの形状、すなわち遮光パターンと位相シフトパターンの形状は、ハーフトーンマスクの用途に応じて設定される。例えば、図6(a)(b)に示すホールパターンや、ラインアンドスペースパターンを転写用パターンとして備えることができる。
ここで、図6(c)に示すハーフトーンマスク100の光強度分布は、図7(c)に示すように、単層の位相シフトパターン120における光強度分布によって設定される転写寸法に対して、この転写寸法をより正確に形成可能とするために、単独では図8(c)に示す光強度分布を有す得る遮光パターン130を、位相シフトパターン120のエッジから後退させた位置に積層している。
これは、ハーフトーン型位相シフトマスクを使用して、例えば、パターン転写する場合、たとえばトホールパターンなどのパターンエッジ形状を位相効果により精度よく形成するためである。ここで、位相シフトパターンのエッジからホールと反対向きに離間するに伴って位相効果が小さくなる。このため、光半透過層である位相シフト層において露光光が遮光されるべき部分でも露光光が透過して、露光光透過部分(ホール等)が形成される領域以外が感光してしまうサイドローブ現象が生じることがある。
このようなサイドローブ現象を防止するために、位相シフト層上において、露光光が遮光されるべき部分では露光光が透過することがないように遮光層を形成している。このとき、パターンエッジにおける位相効果を維持しつつサイドローブ現象を防止するには、位相シフト層のエッジから所定の距離の位置となるように、正確に遮光層のエッジを配置する必要がある。
このため、遮光パターン130のエッジが、位相シフトパターン120のエッジから後退する寸法、すなわち、露出した位相シフトパターン120の幅寸法の設定が極めて重要となる。そこで、本願発明者らは、遮光層における高精度のサイドエッチングを新たなレジスト塗布の工程を経ずに実現することとした。
発明は、透明基板表面に、位相シフト層と遮光層とレジスト層とを順に形成する工程と、
前記レジスト層表面側から露光して、前記遮光層上に開口パターンを有するプレレジストパターンを形成する工程と、
前記プレレジストパターンにより前記遮光層および前記位相シフト層をエッチングしてプレ遮光パターンおよび位相シフトパターンを形成する工程と、
前記プレレジストパターン上側に反射面を有する反射部を配置する工程と、
前記透明基板裏面側から露光して前記反射面による反射により、前記プレレジストパターンを前記開口サイドから露光してレジストパターンを形成する工程と、
前記反射部の配置を解除する工程と、
前記レジストパターンにより、前記プレ遮光パターンをエッチングして前記遮光パターンを形成する工程と、
を有して、
平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンの線幅よりも前記遮光層に形成された遮光パターンの線幅が狭く設定される位相シフトマスクを製造することにより上記課題を解決した。
また、前記反射部が、コンタクト方式またはプロキシミティー方式によって前記レジスト層表面側に配置されることができる。
また、本発明において、前記レジスト層がポジ型とされる手段を採用することもできる。
また、前記反射面における前記露光光の反射率が、45%〜65%とされることができる。
また、前記反射部が、金属クロム層からなる前記反射面をガラス板表面に形成されてなることが好ましい。
本発明においては、前記透明基板裏面側からの露光時間を制御して、平面視した前記位相シフトパターンのエッジから前記遮光パターンのエッジが後退した寸法を設定することができる。


本発明の位相シフトマスクの製造方法は、透明基板の表面に所定の開口パターンを有して順に積層された位相シフト層と遮光層とレジスト層とを形成する工程と、
前記レジスト層表面側に反射面を有する反射部を配置し、前記透明基板裏面側から入射した露光光の前記反射面による反射により、パターンを有する前記レジスト層を前記開口サイドから露光してレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンにより前記遮光層に遮光パターンを形成する工程と、
を有して、
平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンの線幅よりも前記遮光層に形成された遮光パターンの線幅が狭く設定される位相シフトマスクを製造することにより、位相シフトマスクとなる透明基板とは別体である反射部を、たとえば、レジスト層に近接あるいは当接するように配置し、パターン形成された位相シフト層と遮光層とをマスクとなるようにして、透明基板の裏面から照射した露光光を、このパターンに形成された開口を介して反射面で反射させて、パターンにおける開口側面からレジスト層を感光することで、位相シフトパターン輪郭(エッジ)から後退した位置でレジスト層を除去可能とする。これにより、一枚のレジスト層を二段階に露光して、それぞれの段階ごとに、位相シフト層にパターン形成すること、および、遮光層にパターン形成することができ、従来のように、露光、レジスト除去、別レジスト再塗布、再アライメント、再露光、といった工程を省略して、平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンの線幅よりも前記遮光層に形成された遮光パターンの線幅が狭く設定される位相シフトマスクを製造することが可能となる。また、セルフアライン効果があり、CD精度を向上することができる。
なお、本発明において、前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンのエッジよりも前記遮光層に形成された遮光パターンのエッジが平面視して後退した位置に配置されるとは、位相シフトマスクにおいて、透明基板の露出したパターンの配置されていない透光領域と、透明基板に位相シフト層のみが積層された位相シフト領域と、透明基板に位相シフト層および遮光層が積層された遮光領域と、が順に隣接して配置された際に、透光領域と位相シフト領域との境界である位相シフトパターンのエッジから、位相シフト領域と遮光領域との境界である遮光パターンのエッジまでの距離、すなわち、位相シフト領域の幅寸法が、ハーフトーンマスクとして露光時に位相シフトパターンが被露光物に正確に転写可能な光強度となるように設定されていることを意味する。
本発明において、前記透明基板と、
該透明基板の表面に形成された前記位相シフト層と、
前記位相シフト層に積層された前記遮光層と、を備え、
平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンの線幅よりも前記遮光層に形成された遮光パターンの線幅が狭く設定される位相シフトマスクを製造する方法であって、
前記遮光層上に前記レジスト層を成膜する工程と、
前記位相シフトパターンを形成するとともに前記遮光層と前記レジスト層とにも同じパターンを形成する工程と、
前記レジスト層表面側に前記反射面を有する反射部を配置し、前記透明基板裏面側から露光して前記反射層による反射により、前記位相シフトパターン上の前記レジスト層を前記開口サイドから露光して前記レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンにより前記遮光パターンを形成する工程と、
を有することにより、遮光層の上側(表面外側)に成膜したレジスト層に表面露光(表面側からの露光)をおこない、開口に対応する部分のレジスト層を除去して、これによって位相シフトパターンを形成し、さらに、形成されたパターンをマスクとして裏面露光(裏面側からの露光)することで、反射面からの反射光により、同一のレジスト層をパターン開口から透明基板面内方向(基板表面に沿った方向)にさらに感光して、この感光部分を除去することで、この除去されたレジスト層に対応する遮光層をさらに部分的に除去して、位相シフトパターンから遮光パターンが後退する幅寸法を所望の値として形成することができる。
これにより、上記の単一レジスト層のみで、位相シフトパターンと遮光パターンとを形成することが可能となり、製造工程数、製造時間、製造に伴う排出物量、製造コストを大幅に削減することが可能となる。
本発明は、前記透明基板表面に、前記位相シフト層と前記遮光層と前記レジスト層とを順に形成する工程と、
前記レジスト層表面側から露光して、前記遮光層上に前記開口パターンを有するプレレジストパターンを形成する工程と、
前記プレレジストパターンにより前記遮光層および前記位相シフト層をエッチングしてプレ遮光パターンおよび前記位相シフトパターンを形成する工程と、
前記プレレジストパターン上側に前記反射面を有する反射部を配置する工程と、
前記透明基板裏面側から露光して前記反射面による反射により、前記プレレジストパターンを前記開口サイドから露光して前記レジストパターンを形成する工程と、
前記反射部の配置を解除する工程と、
前記レジストパターンにより、前記プレ遮光パターンをエッチングして前記遮光パターンを形成する工程と、
を有することにより、位相シフトパターンと平面視してほぼ同形とされるプレ遮光パターンおよびプレレジストパターンに対して、パターン開口領域よりも遮光層で覆われる遮光領域側に向けて後退した開口輪郭を有するレジストパターンを形成する。このとき、位相シフトパターンとプレ遮光パターンとをマスクとして裏面露光することで、反射面の反射光により、プレレジストパターンをパターン開口から透明基板面内方向(基板表面に沿った方向)にさらに感光させて除去することが可能となる。これにより、一枚のレジスト層を剥離することなく二段階に露光して、それぞれの段階ごとに、位相シフトパターンおよびプレ遮光パターンを形成すること、および、遮光パターンを形成することができる。
また、前記反射部が、コンタクト方式またはプロキシミティー方式によって前記レジスト層表面側に配置されることにより、位相シフトマスクとなる透明基板とは別体である反射部を、たとえば、レジスト膜に近接あるいは当接するように配置し、パターン形成された位相シフト層と遮光層とをマスクとなるようにして、透明基板の裏面から照射した露光光を、このパターンに形成された開口を介して反射面で反射させて、パターンにおける開口側面からレジスト層を感光して、位相シフトパターンから遮光パターンが後退する幅寸法を所望の値として形成することが可能となる。
また、本発明において、前記レジスト層がポジ型とされることにより、表面露光と裏面露光とのそれぞれの工程で、露光・感光させて、所定部分を除去することが可能となる。特に裏面露光工程において、レジスト層のサイドから反射により露光するためにはポジ型であることが必要である。
また、前記反射面における前記露光光の反射率が、45%〜65%とされることにより、反射光を所望の状態に制御して、サイドからのレジスト層への露光・感光が所定の状態となるように制御することを容易にできる。
また、前記反射部が、金属クロム層からなる前記反射面をガラス板表面に形成されてなることにより、位相シフトマスクとは別体であるガラス基板に反射面となるクロム層を形成することで、反射光による裏面露光工程のみこの反射面を遮光層に当接または近接させ、またこのガラス基板を移動させることで、透明基板からの除去工程としてのウェット処理などを特に設ける必要がなく、また、ガラス基板を繰り返し使用することが可能なため、消耗する材料などを必要としないため、余計な材料コストを必要とせず、製造コストを削減すること、ガラス基板の洗浄工程以外の製造工程数を削減すること、および、製造にかかる時間を減少することが可能となる。
本発明においては、前記透明基板裏面側からの露光時間を制御して、平面視した前記位相シフトパターンのエッジから前記遮光パターンのエッジが後退した寸法を設定することにより、サイドローブ現象を防止して、高精度に位相シフトの特性を制御可能な位相シフトマスクを製造することができる。これにより、パターン11CD精度を高めることが可能となる。
さらに、本発明においては、前記透明基板から離間する側の前記位相シフト層表面に、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層が形成され、前記エッチングストッパー層上に前記遮光層が形成される位相シフトマスクを製造する方法であって、前記エッチングストッパー層を形成する工程と、前記マスク越しに前記遮光層と前記エッチングストッパー層とを順次エッチングして遮光パターンとエッチングストッパーパターンとを形成する工程と、前記エッチングストッパー層を更にエッチングする工程と、を有することができる。これにより、エッチングストッパー層も裏面露光におけるマスクとすることが可能となる。
または、本発明において、前記位相シフト層が、Cr,Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種以上の金属を主成分とすることができる。
本発明によれば、使用するレジスト枚数を削減して、必要な工程数を削減し、裏面露光光の制御のみで、サイドローブ現象を防止し、より正確な位相シフト効果を有する位相シフトマスクを製造することを可能とすることができるという効果を奏することが可能となる。
本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態を示す工程図である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態を示す工程図である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の実験例を示すSEM写真である。 位相シフトマスクを説明するための模式平面図(a)、断面図(b)、光強度分布を示す図(c)である。 位相シフトマスクを説明するための模式平面図(a)、断面図(b)、光強度分布を示す図(c)である。 位相シフトマスクを説明するための模式平面図(a)、断面図(b)、光強度分布を示す図(c)である。
以下、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における位相シフトマスクの製造方法を示す工程図であり、図2は、本実施形態における位相シフトマスクの製造方法を示す工程図であり、図において、符号MBは位相シフトマスクブランクスである。
本発明の位相シフトマスクブランクスMBは、図1(a)に示すように、透明基板Sと、この透明基板S上に形成された位相シフト層11と、位相シフト層11上に形成されたエッチングストッパー層12と、このエッチングストッパー層12上に形成された遮光層13とで構成される。
透明基板Sとしては、透明性および光学的等方性に優れた材料からなる石英ガラスや、SiO,Al,B,RO,RO等を含む低膨張ガラス等からなる透光性を有する平板が用いられ、例えば、石英ガラス基板を用いることができる。透明基板Sの大きさは特に制限されず、当該マスクを用いて露光する基板(例えばFPD用基板、半導体基板)に応じて適宜選定される。本実施形態では、径寸法100mm程度の基板や、一辺50〜100mm程度から、一辺300mm以上の矩形基板に適用可能であり、更に、縦450mm、横550mm、厚み8mmの石英基板や、最大辺寸法1000mm以上で、厚み10mm以上の基板も用いることができる。
また、透明基板Sの表面を研磨することで、透明基板Sのフラットネスを低減するようにしてもよい。透明基板Sのフラットネスは、例えば、20μm以下とすることができる。これにより、マスクの焦点深度が深くなり、微細かつ高精度なパターン形成に大きく貢献することが可能となる。さらにフラットネスは10μm以下と、小さい方が良好である。
位相シフト層11は、Crを主成分とするものであり、具体的には、Cr単体、並びにCrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物および酸化炭化窒化物から選択される1つで構成することができ、また、これらの中から選択される2種以上を積層して構成することもできる。
位相シフト層11は、300nm以上500nm以下の波長領域の何れかの光(例えば、波長365nmのi線)に対して略180°の位相差をもたせることが可能な厚さ(例えば、90〜170nm)で形成される。
エッチングストッパー層12としては、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、WおよびHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするものを用いることができ、例えば、Ni−Ti−Nb−Mo膜を用いることができる。
遮光層13は、Crを主成分とするものであり、具体的には、Cr単体、並びにCrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物および酸化炭化窒化物から選択される1つで構成することができ、また、これらの中から選択される2種以上を積層し、さらに、表面に露光光や描画光に対する反射抑制機能を持たせた反射抑制層を最表面に有して構成することもできる。
これら位相シフト層11、エッチングストッパー層12、遮光層13は、例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法、ALD法等により成膜できる。
本実施形態の位相シフトマスクMは、たとえば、180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層(位相シフトパターン)11を有し、この位相シフト層11に形成された位相シフトパターン11aの開口幅よりも遮光層13に形成された遮光パターン13bの開口幅が広く設定される。
当該位相シフトマスクMによれば、上記波長領域の光、特にg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)を含む複合波長を露光光として用いることで、位相の反転作用により光強度が最小となる領域を形成して、露光パターンをより鮮明にすることができる。このような位相シフト効果により、パターン精度が大幅に向上し、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。位相シフト層は酸化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロムなどで形成することができ、さらにSiを含んだ酸化系膜でも窒化系膜でも酸窒化系膜でも形成することが可能である。
また、上記位相シフト層の厚みは、i線に対して略180°の位相差をもたせる厚みとすることができる。さらに、h線またはg線に対して略180°の位相差をもたせることが可能な厚みで上記位相シフト層を形成してもよい。ここで「略180°」とは、180°又は180°近傍を意味し、例えば、180°±10°以下である。この位相シフトマスクによれば、上記波長領域の光を用いることで位相シフト効果に基づくパターン精度の向上を図ることができ、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。これにより、高画質のフラットパネルディスプレイを製造することができる。
本実施形態の位相シフトマスクは、例えばFPD用ガラス基板に対するパターニング用マスクとして構成することができる。後述するように、当該マスクを用いたガラス基板のパターニングには、露光光にi線、h線およびg線の複合波長が用いられる。
以下、本実施形態の位相シフトマスクブランクスMBから位相シフトマスクMを製造する位相シフトマスクの製造方法について説明する。
本実施形態の位相シフトマスクブランクスMBは、図1(a)に示すように、まず、ガラス基板Sの表面S1上に、DCスパッタリング法などを用いて、Crを主成分とする位相シフト層11、Niを主成分とするエッチングストッパー層12、Crを主成分とする遮光層13を順に成膜する。位相シフト層11、エッチングストッパー層12、遮光層13は、いずれもガラス基板Sの表面S1の全面に渡り、均一な厚さとなるように成膜される。
次に、図1(b)に示すように、位相シフトマスクブランクスMBの最上層である遮光層13の上にフォトレジスト層(レジスト層)PR1が形成される。フォトレジスト層PR1は、ポジ型フォトレジスト材料により構成されている。フォトレジスト層PR1としては、例えば、長瀬ケムテックス社製GRX−M237等とされる液状レジストが用いられ、例えばスピン塗布等の手法を用いて形成される。
続いて、図1(c)に示すように、フォトレジスト層PR1をガラス基板Sの表面S1側から露光光feを照射して露光するとともに、図1(d)に示すように、現像することで現像領域PRを削除し、遮光層13の上にプレレジストパターンPR1aを形成する。
具体的には、遮光層13の開口形成予定領域PRを覆うレジスト層PR1に露光光feを照射(露光)し、有機溶媒等からなる現像液をスプレー方式等の手法によりレジスト層PR1に供給して現像し、位相シフトパターン11aの形成予定領域を覆うプレレジストパターンPR1aを形成する。
プレレジストパターンPR1aは、位相シフト層11および遮光層13のエッチングマスクとして機能し、位相シフト層11の位相シフトパターン11aおよび遮光層13のプレ遮光パターン13aに応じて適宜形状が定められる。
ここで、プレレジストパターンPR1aは、位相シフト層11が遮光層13よりも露出する領域を覆った状態に形成されており、形成する位相シフトパターン11aの開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状に設定される。したがって、プレレジストパターンPR1aは、後述する遮光パターン13bの開口幅寸法よりも狭い開口幅寸法として形成される。
次いで、図1(e)に示すように、このプレレジストパターンPR1aをエッチングマスクとして、プレレジストパターンPR1a越しに第1エッチング液を用いて遮光層13をウェットエッチングする。第1エッチング液としては、硝酸第2セリウムアンモニウム((NHCe(NO)及び硝酸や過塩素酸等の酸を含む純水からなるクロム用エッチング液等を用いることができ、例えば、過塩素酸(HClO)を含有する硝酸セリウム第2アンモニウムを用いることが好ましい。ここで、エッチングストッパー層12は第1エッチング液に対して高い耐性を有するため、遮光層13のみがパターニングされてプレ遮光パターン13aが形成される。プレ遮光パターン13aは、プレレジストパターンPR1aに対応した開口幅を有する形状とされる。さらに、図1(f)に示すように、デスカム処理をおこなう。なおデスカム処理とは、レジスト表面を疎水性(水をはじく)から親水性(水に濡れやすい)に改質して、エッチング液の処理ムラをなくすために導入している工程で、酸素プラズマをレジストパターン表面に曝すものである。
次いで、図1(g)に示すように、プレレジストパターンPR1a越しに第2エッチング液を用いてエッチングストッパー層12をウェットエッチングする。第2エッチング液としては、硝酸に酢酸、過塩素酸、過酸化水素水および塩酸から選択した少なくとも1種を添加したものを好適に用いることができる。ここで、遮光層13および位相シフト層11は第2エッチング液に対して高い耐性を有するため、エッチングストッパー層12のみがパターニングされてプレエッチングストッパーパターン12aが形成される。プレエッチングストッパーパターン12aは、プレ遮光パターン13aおよびプレレジストパターンPR1aの開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状とされる。
次いで、図2(a)に示すように、プレレジストパターンPR1a越しに、つまり、プレレジストパターンPR1aを除去しない状態で、第1エッチング液を用いて位相シフト層11をウェットエッチングする。ここで、位相シフト層11がパターニングされて位相シフトパターン11aが形成される。位相シフトパターン11aは所定の開口幅寸法を有する形状とされる。
同時に、プレ遮光パターン13aは位相シフト層11と同じCr系材料で構成されるとともに、プレ遮光パターン13aの側面が露出しているために多少サイドエッチングされて、位相シフトパターン11aの開口幅寸法よりも多少大きな開口幅を有する形状の遮光パターン13bが形成される。
しかし、遮光層13は、位相シフト層11と同じCr系材料で構成されているため、このサイドエッチング量はあまり大きくならない。
また、遮光層13において、エッチングのみで必要な形状を形成可能なように、プレ遮光パターン13aのサイドエッチング量を大きくするには、位相シフト層11のエッチング量に対してプレ遮光パターン13aのサイドエッチング量を大きくするとともに、トータルのエッチング処理時間を長くする必要があるが、このように、エッチング処理時間を長くした場合、エッチング液により、プレ遮光パターン13aのサイドエッチング以上のダメージがプレ遮光パターン13aあるいは位相シフトパターン11aに発生する可能性がある。
形成されたプレレジストパターンPR1a、位相シフトパターン11a、プレエッチングストッパーパターン12a、プレ遮光パターン13aは、いずれも、平面視してほぼ等しい開口パターンを有するものとされる。これらプレレジストパターンPR1a、位相シフトパターン11a、プレエッチングストッパーパターン12a、プレ遮光パターン13aに形成された開口は、レジスト層PR1、位相シフト層11、エッチングストッパー層12、遮光層13の厚み方向に貫通しており、その底面においては、ガラス基板Sの表面S1が露出した状態とされている。
次いで、図2(b)に示すように、プレレジストパターンPR1a、位相シフトパターン11a、プレエッチングストッパーパターン12a、プレ遮光パターン13aの形成されたガラス基板Sの表裏面を反転させるとともに、反射部20として反射層21が全面に形成されたガラス基板22をプレレジストパターンPR1a表面に当接するように配置する。
反射層21は、たとえば、金属クロムからなる層とされて、その表面となる反射層21aにおける露光光に対する反射率が45%〜65%とされている。
さらに、反射層21においては、後述するように、露光光を散乱するように反射することが好ましい。このため、反射層21は露光光を反射するに耐えうる厚さ寸法を有するとともに、反射層21における露光光を反射する反射面21aは、後述するプレレジストパターンPR1aの側面を露光可能な程度な粗さを有する。
具体的には、金属クロムからなる反射層21における組成を調整して上記の反射率を有するようにするか、金属クロムからなる反射層21における膜厚調整による透過率を制御して上記の反射率を有するようにすることができる。
反射層21としては、反射面21aが所定の反射率を呈することができて、マスク形成処理中に位相シフト層11、エッチングストッパー層12、遮光層13に悪影響をおよぼさなければ、クロム膜以外にも、アルミニウム等、他の金属からなる膜とすることも可能であるが、反射面21aの反射率が65%を越えると、反射部20を使用した露光時にレジスト像断面に定在波が発生し、パターン幅精度が低下するので好ましくない。
また、反射部20として、反射層21および反射層21の形成されたガラス基板(ガラス板)22は、所定の平坦度、平面度を有し、かつ、上述した反射面21aにおける反射特性を呈することが可能であれば、これらの構成は特に限定されるものではない。
続いて、図2(c)に示すように、プレレジストパターンPR1aをガラス基板Sの裏面面S2側から露光光reを照射して露光する。この露光光reを裏面照射することにより、プレ遮光パターン13aおよび位相シフトパターン11aによって遮光されない部分、つまり、位相シフトパターン11a、エッチングストッパーパターン12a、プレ遮光パターン13aに形成された開口を通った露光光reは、反射層21に到達してこの反射面21aによって反射される。
反射層21の反射面21aによって反射された露光光reは、反射層21の反射面21aが上述した状態とされていることにより、いわば散乱するようにして横方向(ガラス基板Sの面内方向)に反射される。
この横方向に反射された露光光reによって、プレレジストパターンPR1aの開口サイド(側面)である現像領域PRSを感光させるとともに、表面露光ごと同様にして現像することで現像領域PRSを削除し、図2(d)に示すように、レジストパターンPR1bを形成することができる。
ここで、プレレジストパターンPR1aにおけるサイド感光(側面感光)される範囲は、そのまま現像領域PRSとなるが、この現像領域PRSの大きさ、つまり、プレレジストパターンPR1aにおけるサイド感光(側面感光)される横方向深さは、露光光reによる露光時間を制御することで、設定することが可能である。
具体的には、反射層21における反射面21aの反射率と、レジスト層11における感度をあらかじめ所定の値に設定し、露光光reを照射する露光時間を長くすれば、現像領域PRSの大きさを大きく設定することができ、露光光reを照射する露光時間を短くすれば、現像領域PRSの大きさを小さく設定することができる。現像領域PRSの幅寸法は、例えば、200nm〜1000nmの範囲内で設定できる。
後述するように、現像領域PRSの大きさは、そのまま位相シフトパターン11aの露出する領域となるので、位相シフト層11に対して遮光層13が後退する寸法、つまり、位相シフト効果を、この裏面露光における露光光reを照射する露光時間によって制御可能とすることができる。
裏面露光および現像処理が終了した後、反射部20を取り外す。このとき、反射部20は、ガラス基板Sとは別体であるため、ただ単に、反射部20を移動させるだけで、反射層21を除去することが可能である。
次いで、図2(e)に示すように、このレジストパターンPR1b越しに第1エッチング液を用いて遮光層13をウェットエッチングする。ここで、エッチングストッパー層12は第1エッチング液に対して高い耐性を有するため、遮光層13のみがパターニングされて遮光パターン13bが形成される。遮光パターン13bは、レジストパターンPR1bに対応した開口幅を有する形状とされる。ここで、位相シフトパターン11aも多少サイドエッチングされるが、プレレジストパターンPR1aの形成時に、その分を考慮して形状を設定しておく。
さらに、図1(f)と同様に、デスカム処理をおこなうことができる。
次いで、図2(f)に示すように、第2エッチング液を用いて遮光パターン13bの側面から露出しているエッチングストッパー層12aをウェットエッチングして、遮光パターン13bに対応した開口幅を有するエッチングストッパーパターン12bとして、レジストパターンPR1aを除去する。レジストパターンPR1aの除去には、公知のレジスト剥離液を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、レジストパターンPR1aの除去は遮光パターン13b形成後でも良好である。
以上により、図2(g)に示すように、位相シフトパターン11aの開口幅よりも遮光パターン13b(およびエッチングストッパーパターン12b)の開口幅が広いエッジ強調型の位相シフトマスクMが得られる。
位相シフトパターン11aは、遮光層13の除去された領域における厚さが、g線に対応した光強度がゼロになる厚さTg(例えば、145nm)に対応した値とされている。あるいは、h線、i線に対応した厚さTh(例えば、133nm)、Ti(例えば、120nm)とすることもできる。あるいは、位相シフト層11の厚さはTgよりも大きな値とすることができる。
本実施形態によれば、遮光パターン13bの外側に露出する位相シフトパターン11aの幅は、裏面露光における露光光reを照射する露光時間によって設定できる。
さらに、現像領域PRSの大きさを制御するためには、露光光reによって照射する露光時間の設定以外でも、反射層21の反射率の設定や、露光光reの強度設定、すなわち、レジストパターンPR1に付与されるエネルギーを所定値となるように設定するといった手法を採用することもできる。
図1および図2においては、位相シフトパターン11aおよび遮光パターン13bの側面が垂直に形成されているように示しているが、実際には、膜厚方向におけるエッチングレートの差を起因とする凹凸が生じている。
したがって、プレレジストパターンPR1aの幅寸法に対して、遮光パターン13bにおける平面視してレジスト層PR1側とエッチングストッパー層12b側との間の幅寸法(遮光パターン13b側目の傾斜状態)、位相シフトパターン11aの均一厚さ領域の幅寸法、平面視して位相シフトパターン11aがエッチングストッパー層12aから後退する寸法、位相シフトパターン11aの厚さが減少するダレ幅(位相シフトパターン11a側面の傾斜状態)、とされる各寸法が所定の値となるように各層の成膜条件、裏面露光における露光光reを照射する露光時間およびエッチング条件を所望の状態に設定する。
このとき、遮光パターン13bが、平面視してレジスト層PR1側よりもエッチングストッパー層12b側が開口内側領域(ガラス基板Sの表面S1露出領域)側に位置する傾斜状態と、平面視してエッチングストッパー層12b側よりもレジスト層PR1側がガラス基板Sの表面S1露出領域側に位置する傾斜状態と、が選択可能である。
位相シフト層11における厚さ方向のエッチングレートは、ガラス基板S表面に位相シフト層11を成膜する際に、成膜厚さの増大に従ってクロム粒のグレインサイズを大きくする等の膜特性の調整により、ガラス基板S表面よりエッチングストッパー層12側のエッチング速度を低くすることができる。グレインサイズがガラス基板S側とエッチングストッパー層12側とで異なり、エッチングストッパー層の方が10%以上小さいように設定することができる。さらに、20%以上で小さければ、さらなる効果を得ることができる。位相シフト層11の組成は連続的に変化させてもよく、段階的に変化させてもよい。
同様に、遮光層13における厚さ方向のエッチングレートは、エッチングストッパー層12表面に遮光層13を成膜する際に、成膜厚さの増大に従ってクロム粒のグレインサイズを大きくする等の膜特性の調整により、エッチングストッパー層12表面側より外表面側のエッチング速度を低くすることができる。グレインサイズをエッチングストッパー層側と該表面側で異なり、外表面側の方が10%以上小さいように設定することができる。さらに、20%以上で小さければ、さらなる効果を得ることができる。遮光膜13の組成は連続的に変化させてもよく、段階的に変化させてもよい。
また、位相シフト層11におけるエッチング速度に対する遮光層13におけるエッチング速度を大きく設定することで、裏面露光後のエッチング処理における位相シフト層11でのサイドエッチングの影響を小さくすることができる。
さらに、位相シフトパターン11aにおける厚さ方向のエッチングレートは、上述した位相シフト層11におけるサイドエッチングレートの比を、エッチングストッパー層12側のエッチング速度に対するガラス基板S側のエッチング速度の比の値が
(エッチングストッパー層12側のエッチング速度)/(ガラス基板S側のエッチング速度)=7.10〜21.78となるように設定してもよい。
上記のようにプレレジストパターンPR1aに対する裏面露光時間を設定することで、プレレジストパターンPR1aにおける現像領域PRSが基板面内方向(横方向)に変化して、プレ遮光パターン13aのエッチング領域が基板面内方向(横方向)に変化することになる。したがって、位相シフト層11と遮光層13との両方のエッチング量、サイドエッチングレートおよびこれらの比を設定するといった面倒な手順を踏まずに、単一パラメータとなる裏面露光時間を設定することのみで、サイドローブ現象を防止しつつ、位相シフトパターン11aに対して遮光パターン13bが後退する幅寸法、つまり、遮光パターン13bに対して位相シフトパターン11aの露出する幅寸法を変化させることができる。
これにより、遮光パターン13bに対する平面視した位相シフトパターン11aの幅寸法を、所定の範囲に設定することができる。
本実施形態によれば、透明基板S上に、位相シフト層11、エッチングストッパー層12および遮光層13をこの順で積層して位相シフトマスクブランクスMBを構成した。この位相シフトマスクブランクスMBの遮光層13上にプレレジストパターンPR1aを形成し、反射層21を用いてプレレジストパターンPR1aに対する裏面露光時間を制御することで、エッジ強調型の位相シフトマスクMを製造できる。従って、高精細な視認性の高い位相シフトマスクMを、レジスト層PR1を除去し異なるレジスト層を再形成することなく、少ない工程数で、短時間に製造することが可能となる。
本実施形態によれば、位相シフトマスクMは、300nm以上500nm以下の波長領域の例えばg線、h線、i線とされるいずれかの光に対して180°の位相差をもたせることが可能な位相シフトパターン11aを有する。ここで、遮光パターン13bのエッジに隣接して形成された位相シフトパターン11aの幅寸法を0.5μm〜2.0μm程度として設定することができる。
したがって、上記製造方法によれば、上記波長領域の光を用いることで位相シフト効果に基づくパターン精度の向上を図ることができ、さらに焦点深度を深くすることができるため、例えば、2.0μm程度とされるマスクパターン線幅に対応して、位相シフト効果を奏する均一厚さとなる位相シフト層11aの露出幅を幅寸法0.5μm程度として設定し、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。これにより、高画質のフラットパネルディスプレイを製造することができる。
なお、上記の実施形態においては、位相シフト層11および遮光層13のエッチングレート設定において、グレインサイズの制御により設定するとして説明したが、成膜条件、膜組成等、他の要因によって設定することも可能である。
また、本実施形態においては、裏面露光時にガラス基板22をプレレジストパターンPR1a表面に当接するようにコンタクト方式として配置したが、ガラス基板22をプレレジストパターンPR1a表面から離間したプロキシミティー方式として配置してもよい。プロキシミティー方式の場合には、後述する反射面21aの反射率、および、露光時間は、対応した露光を実現するように所定の値に変化させて設定することもできる。
さらに、上記の実施形態の位相シフトマスクMにおいては、位相シフト層11としてクロムを含む層としたが、MoSi系からなるもの、あるいは、クロムからなる層にMoSi層を積層したもの、といった膜構成とすることもできる。これに加えて、位相シフトマスクMとして、クロム系の位相シフト層に対して、MoSi系のエッチングストッパー層12とすることも可能である。
いずれの層構成とした場合でも、裏面露光の露光時間のみで遮光パターン13bに対して位相シフトパターン11aの露出する幅寸法を変化させ、最適なエッジ強調型の位相シフトマスクMを製造できる。
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
<実験例>
上記効果を確認するため、次の実験を行った。即ち、ガラス基板S上に、スパッタリング法により、位相シフト層11たるクロムの酸化窒化炭化膜を120nmの厚さで成膜し、エッチングストッパー層12たるNi−Ti−Nb−Mo膜を30nmの厚さで成膜し、遮光層13たる酸化窒化クロム主成分の層と酸化窒化炭化クロム主成分の層とで構成される膜を100nm程度の合計厚さで成膜して、位相シフトマスクブランクスMBを得た。
この位相シフトマスクブランクスMB上に、表面露光によりプレレジストパターンPR1aを形成し、このプレレジストパターンPR1a越しに硝酸セリウム第2アンモニウムと過塩素酸との混合エッチング液を用いて遮光層13をエッチングしてプレ遮光パターン13aを形成し、さらに硝酸と過塩素酸との混合エッチング液を用いてエッチングストッパー層12をエッチングしてプレエッチングストッパーパターン12aを形成した。次いで、硝酸セリウム第2アンモニウムと過塩素酸との混合エッチング液を用いて位相シフト層11をエッチングして位相シフトパターン11aを形成した。
さらに、クロムを80nmの膜厚で成膜したガラス基板22をプレレジストパターンPR1a上に載置し、ガラス基板Sの裏面S2から露光してプレレジストパターンPR1aをサイド露光して、レジストパターンPR1bを形成した後、このレジストパターンPR1b越しに硝酸セリウム第2アンモニウムと過塩素酸との混合エッチング液を用いてプレ遮光パターン13aをエッチングして遮光パターン13bを形成し、さらに硝酸と過塩素酸との混合エッチング液を用いてプレエッチングストッパーパターン12aをエッチングしてエッチングストッパーパターン12bを形成することで、エッジ強調型の位相シフトマスクMを得た。
このとき、裏面露光における露光高強度を同一として、露光時間を7.0sec、60sec、そして、180secとして変化させこれらを実験例1〜3とした。
この露出時間に対応する露光からプレレジストパターンPR1aに付与されるエネルギーはそれぞれ、実験例1で40mJ/cm、実験例2で342mJ/cm、実験例3で1026mJ/cm、となる。
実験例1〜3のそれぞれに対応した断面SEM写真を図3〜図5として示す。
これらの写真から、遮光パターン13bに対して位相シフトパターン11aの露出する幅寸法(長さ寸法)が、実験例1で0.04μm、実験例2で1.12μm、実験例3で1.88μmとなった。
これらの結果から、裏面露光の露光時間を制御することで、遮光パターン13bに対して位相シフトパターン11aの露出する幅寸法(長さ寸法)を精密に制御できることがわかった。
本発明の活用例として、特にTFTコンタクトホールパターン作製時に適応する位相シフト効果を持った下置き型ハーフトーンマスクで、サイドエッチレートの大きい遮光膜を成膜可能とし、製造プロセスを短縮可能とすることや、TFTラインアンドパターンを挙げることができる。
MB…位相シフトマスクブランクス
M…位相シフトマスク
S…ガラス基板(透明基板)
S1…表面
S2…裏面
PR1…レジスト層(フォトレジスト層)
PR1a…プレレジストパターン
PR…現像領域
PR1b…レジストパターン
PRS…現像領域
fe…露光光
re…露光光
11…位相シフト層
11a…位相シフトパターン
12…エッチングストッパー層
12a…プレエッチングストッパーパターン
12b…エッチングストッパーパターン
13…遮光層
13a…プレ遮光パターン
13b…遮光パターン
20…反射部
21…反射層
21a…反射面
22…ガラス基板

Claims (6)

  1. 明基板表面に、位相シフト層と遮光層とレジスト層とを順に形成する工程と、
    前記レジスト層表面側から露光して、前記遮光層上に開口パターンを有するプレレジストパターンを形成する工程と、
    前記プレレジストパターンにより前記遮光層および前記位相シフト層をエッチングしてプレ遮光パターンおよび位相シフトパターンを形成する工程と、
    前記プレレジストパターン上側に反射面を有する反射部を配置する工程と、
    前記透明基板裏面側から露光して前記反射面による反射により、前記プレレジストパターンを前記開口サイドから露光してレジストパターンを形成する工程と、
    前記反射部の配置を解除する工程と、
    前記レジストパターンにより、前記プレ遮光パターンをエッチングして前記遮光パターンを形成する工程と、
    を有して、
    平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンの線幅よりも前記遮光層に形成された遮光パターンの線幅が狭く設定される位相シフトマスクを製造することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  2. 前記反射部が、コンタクト方式またはプロキシミティー方式によって前記レジスト層表面側に配置されることを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスクの製造方法。
  3. 前記レジスト層がポジ型とされることを特徴とする請求項1または2記載の位相シフトマスクの製造方法。
  4. 前記反射面における前記露光光の反射率が、45%〜65%とされることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の位相シフトマスクの製造方法。
  5. 前記反射部が、金属クロム層からなる前記反射面をガラス板表面に形成されてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の位相シフトマスクの製造方法。
  6. 前記透明基板裏面側からの露光時間を制御して、平面視した前記位相シフトパターンのエッジから前記遮光パターンのエッジが後退した寸法を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の位相シフトマスクの製造方法。
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