図1は、本発明の第1実施形態の飛来物除去工具1の分解構成図、図2(a)及び図3は、飛来物除去工具1の外観図、図2(b)は、爪31の正面図である。図4〜図6は、本発明の第1実施形態の飛来物除去工具1を用いて糸状の飛来物を除去する様子を示す図である。
本発明の第1実施形態の飛来物除去工具1は、飛来し送電線、柱上機器、架線金具などに付着した飛来物、特に凧糸のような糸状の飛来物(以下、糸状物Wと記す)の除去に好適な工具であって、糸状物Wに絡み付く飛来物除去具11と、飛来物除去具11が取付けられる絶縁操作棒101とで構成される。
飛来物除去具11は、絶縁操作棒101の先端部に取付けられ糸状物Wに絡み付く爪31を備える除去具本体21と、除去具本体21を絶縁操作棒101に連結するための連結具81とを備え、連結具81を介して絶縁操作棒101に連結され使用される。
除去具本体21は、糸状物に絡み付く2個の爪31と、爪31を支持する1つの支持体71とを有する。2個の爪31は、同一構成・同一形状である。爪31は、棒状の部材で形成されており、立設部41と立設部41の先端側に形成された鉤部51とを有し、側面視において直線状である。立設部41の中央から先端43及び鉤部51は、表面がローレット加工されている(図3参照)
立設部41は、直線状の部位であり、基端42が支持体71に固定され、支持体71の上面72に直交するように立設されている。立設部41の長さは、爪31全体の高さ、特に鉤部51の位置に影響する。後述のように立設部41と鉤部51の下部とで糸状物Wを係止部Aに導く導入部Bが形成されるため立設部41が極端に短いと、鉤部51の下部と支持体上面72との間隔ΔL(図4参照)が狭くなり、糸状物Wを導入部Bに導き入れることが難しくなる。一方、立設部41を不必要に長くすることは不経済である。
鉤部51は、立設部41の先端43に繋がる下向きの湾曲部58と湾曲部58の先端に繋がる降下部59と、降下部59に繋がる上向きの湾曲部60と湾曲部60の先端に繋がる上昇部61とを有し、ゼムクリップ形状を有する。上昇部61は立設部41に平行でありかつ接触している。鉤部51は、弾力性を有し、立設部41と上昇部61との間に糸状物Wを挟み込むことが可能である。
鉤部51は、湾曲部60のうち立設部41側が上向きに傾斜しているので立設部41と湾曲部60との間に上向き三角の空間部が形成される(図2(b))。この三角の空間部は、上向きの三角形ゆえ、底部が広く糸状物Wを導き入れ易く、導き入れた糸状物Wを立設部41と湾曲部60との交点A1に移動させ易い。
爪31において、立設部41と湾曲部60との交点A1、立設部41と上昇部61との間A2、さらには湾曲部58の内側A3は、いずれも糸状物Wを係止可能であり、この部分は係止部Aである。また立設部41と湾曲部60との間に形成される上向きの三角形の空間部は、係止部Aに糸状物Wを導き入れる導入部Bとなる。
導入部Bとの関係において湾曲部60の曲率半径が極端に小さいものは、ここに糸状物Wを導き難く、あるいは係止部A1に導かれた糸状物Wが外れ易く好ましくない。一方、湾曲部60の曲率半径を極端に大きくすると爪全体が大きくなり、場所を取り好ましくない。
また導入部Bに糸状物Wを導入し易くする点において、湾曲部60の頂点と支持体上面72との間隔ΔLもある程度の距離が必要である(図4参照)。この部分の間隔ΔLが極端に狭いと導入部Bに糸状物Wを導き難くなる。間隔ΔLは、立設部41の長さ及び降下部59の長さに大きく影響されるので、立設部41及び降下部59の長さはこの点を考慮して決めるのがよい。
上昇部61の長さは、立設部41と上昇部61との間に糸状物Wを挟み込むことができる長さがあればよい。
飛来物除去工具1は、後述の使用方法で説明するように係止部Aに糸状物Wを係止した後、回転させ爪31に糸状物Wを絡ませ、その後、飛来物除去工具1を引張ることで送電線路等から糸状物Wを取り除く。回転させ爪31に糸状物Wを絡ませるには、回転させた際に係止部Aに係止した糸状物Wが外れないことが重要である。
本実施形態の爪31においては、交点A1については立設部41と湾曲部60のうち立設部41側の上向きに傾斜している部分が、立設部41と上昇部61との間A2については立設部41及び上昇部61が、湾曲部58の内側A3については、立設部41及び降下部59が回転させた際に係止した糸状物Wが外れないように機能する。よって爪31においては、これらが外れ防止部となる。
2つの爪31は、鉤部51が互い平行に支持体71に固定されている。但し、2つの爪31の配置は、これに限定されるものではない。
支持体71は、爪31を支持する略直方体状の部材であり、連結具81と連結するための連結部材でもある。支持体71には、除去具本体21を連結具81に着脱可能に取付けるための取付孔73が設けられており、ここに連結ボルト95が挿通され連結具81と連結される。これにより除去具本体21は、連結具81に対して鉛直方向を起点に左右に約90°の範囲内で任意の角度に固定することができる(図2、図3参照)。
連結具81は、除去具本体21を絶縁操作棒101に連結するための部材であり、絶縁操作棒101の先端部に設けられた連結部111に着脱自在に連結する。連結具81は、連結部111の円筒状の基体113が嵌り込む、底部が開口した円筒状の連結部85と連結部85の上部に取付けられた連結板90とを有する。
連結部85は、天井面は閉止し、側面に、操作棒101の連結部111の基体113から左右に突出するように設けられた係止ピン115が係止するための係止溝86が設けられている。
連結板90は、除去具本体21の支持体71と連結する板状の部材であり、中央部に取付孔91が設けられている。連結板90は、除去具本体21を連結した状態で2つの爪31が平面視において絶縁操作棒101のほぼ中心位置となるように、連結部85の中心からずれた位置に設けられている。なお連結板90及び支持体71の互いの接触面には、ずれ難くするための菊座部93が設けられている。
絶縁操作棒101は、従来から間接活線作業で使用されている絶縁操作棒であり、共用操作棒、ホットスティックとも呼ばれている。絶縁操作棒101は、先端に連結具81の連結部85に嵌合する連結部111を有する。連結部111は、側面に係止ピン115が設けられた円筒の基体113と、基体113の先端側に取付けられたプッシュロッド117と、基体113の基端側に取付けられたプッシュリング119とを有する。
プッシュロッド117及びプッシュリング119は、連結部111と連結具81の連結部85とを強固に連結するための部材であり、共にスプリングより連結部111の先端方向に付勢されている。飛来物除去具11と絶縁操作棒101との連結は、連結具81を絶縁操作棒101の連結部111に押し込むようにして嵌め込み、回転させることでロック、固定される。この連結機構は、通常、ツイストロック機構と呼ばれる。
以上からなる飛来物除去工具1は、除去具本体21と連結具81とが連結ボルト95を介して連結される。このとき除去具本体21を連結具81に対して使い易い角度にすればよい。この飛来物除去具11が絶縁操作棒101に連結具81を介して連結されることで使用可能状態となる。
飛来物除去工具1の使用方法の一例及び作用効果について説明する。糸状物Wに対して爪31の導入部Bが、糸状物Wの上となるように飛来物除去工具1を近付ける。この状態から飛来物除去工具1を下げ、糸状物Wを2つの爪31の導入部Bに誘い込み、立設部41と上昇部61との間A2で糸状物Wを挟み込む。この状態から絶縁操作棒101を回転させ、糸状物Wを爪31に絡ませる(図5参照)。
爪31は、弾性を有し、さらに立設部41の中央から先端43及び鉤部51は表面がローレット加工されているので、導入部Bに誘い込まれた糸状物Wは、滑り難く立設部41と上昇部61との間A2に挟まれ易い。糸状物Wを立設部41と上昇部61との間A2に挟むことができなかったとしても、糸状物Wは立設部41と湾曲部60との交点A1に係止し(図4参照)、絶縁操作棒101を回転させることで爪31に巻き取られる。
糸状物Wが細い場合は、あるいは糸状物Wがピンと張られているような場合には、湾曲部58の内側A3に糸状物Wを係止させることができ(図6参照)、この状態から絶縁操作棒101を回転させ爪31に糸状物Wを巻き付けてもよい。
糸状物Wを爪31に十分に巻付けた後、絶縁操作棒101を下げれば、糸状物Wが送電線路等から外れ、あるいは糸状物Wを切断させ、取り除くことができる。
上記実施形態の爪31は、立設部41の中央から先端43及び鉤部51の表面にローレット加工が施されているが、これは糸状物Wが爪31の表面を滑り難く、絡み付き易くするためのものであり、ローレット加工に代わる他の凹凸加工、滑止め加工であってもよい。凹凸加工、滑止め加工は、爪31の表面に直接的に加工するものであっても、爪31の表面に他の部材を取付け実現したものであってもよい。
爪31の表面に他の部材を取付け、爪31の表面に凹凸加工を施す方法としては、例えば小さな鉤状のフックが多数設けられた面ファスナを貼付する方法がある。爪31の表面に他の部材を取付け、爪31の表面に滑止め加工を施す方法としては、表面テープを貼付する方法、その他、粘着剤を塗布し、あるいは粘着テープを貼付する方法がある。
上記実施形態では、1個の支持体71に対して2個の爪31が固定されているが、爪31の個数は、1個であってもよく、3個以上であってもよい。
図7(a)は、本発明の第2実施形態の飛来物除去工具2の斜視図、図7(b)は、爪32の正面図である。図8及び図9は、本発明の第2実施形態の飛来物除去工具2の使用方法を説明するための図である。図1〜図6に示す第1実施形態の飛来物除去工具1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の飛来物除去工具2も第1実施形態の飛来物除去工具1と同様に、飛来し送電線、柱上機器、架線金具などに付着した飛来物、特に凧糸のような糸状物Wを除去するための工具であって、糸状物Wに絡み付く飛来物除去具12と、飛来物除去具12が取付けられる絶縁性の棒材151とで構成される。
第2実施形態の飛来物除去工具2は、第1実施形態の飛来物除去工具1と異なり、飛来物除去具12が、棒材151の先端152に直接、着脱不能に固着されている。具体的には、連結具82が円柱状の台座88を有し、台座88が棒材151の先端152に直接、着脱不能に固着されている。連結板90は、台座88の上面に設けられている。棒材151は、絶縁性のパイプ、丸棒等であり、伸縮自在に構成されていてもよい。
このような連結機構は、棒材151の先端側に連結具が不要となるため構成が簡単となる。また飛来物除去工具2の先端部の重量も軽くなるため、飛来物除去専用の工具として適している。但し、飛来物除去工具2においても、飛来物除去工具1と同様の構成を採用し、飛来物除去具12を絶縁操作棒101の先端部に着脱自在に固定してもよい。
除去具本体22は、糸状物Wに絡み付く4個の爪32と、爪32を支持する1つの支持体71とを有する。4個の爪32は、同一構成・同一形状である。爪32は、爪31と同様に棒状の部材で形成されており、立設部41と立設部41の先端側に形成された鉤部52とを有し、側面視において直線状である。立設部41の中央から先端43及び鉤部52の表面には、ローレット加工などの凹凸加工、あるいは滑り止め加工が施されている。
鉤部52は、立設部41の先端43に繋がる下向きの湾曲部58と湾曲部58の先端に繋がる降下部62とを有し、全体として逆J字形状を有する。降下部62は、先端63が立設部41から離れるように傾斜している。飛来物除去工具2では、湾曲部58の内側に糸状物Wを導き、飛来物除去工具2を回転させることで糸状物Wを湾曲部58に絡み付かせる(図8、図9参照)。
爪32においては、湾曲部58が係止部A、立設部41と湾曲部58及び降下部62との間に形成される空間部が、係止部Aに糸状物Wを導き入れる導入部B、立設部41及び降下部62が外れ防止部となる。よって湾曲部58は、糸状物Wを導き、かつこの部分に保持できる大きさが必要であり、降下部62は、飛来物除去工具2を回転させたとき湾曲部58に導かれた糸状物Wが湾曲部58から外れない長さが必要である。
また導入部Bに糸状物Wを導入し易くする点において、降下部62の先端63と支持体上面72との間隔ΔLもある程度の距離が必要である(図8参照)。この部分の間隔ΔLが極端に狭いと導入部Bに糸状物Wを導き難くなる。間隔ΔLは、立設部41の長さ及び降下部62の長さ、降下部62の傾斜角度に大きく影響されるので、立設部41及び降下部62の長さ及び降下部62の斜角度は、この点を考慮して決めるのがよい。
4個の爪32は、湾曲部58が一定の方向に向くように支持体71に固定されている。但し、4個の爪32の取付け方向は、これに限定されるものではない。また爪32は、1個であっても2個、3個、5個以上であってもよい。
飛来物除去工具2の使用方法の一例及び作用効果について説明する。飛来物除去工具2の使用方法は、第1実施形態の飛来物除去工具1と同じであり、作用効果も基本的に同じである。
糸状物Wに対して爪32の導入部Bが、糸状物Wの上となるように飛来物除去工具2を近付ける。この状態から飛来物除去工具2を下げ、糸状物Wを2つの爪32の湾曲部58の内側に接触させる。この状態から棒材151を回転させ、糸状物Wを爪32に絡ませる(図8、図9参照)。
糸状物Wを爪32に十分巻付けた後、棒材151を下げれば、糸状物Wが送電線路から外れ、あるいは糸状物Wを切断させ、取り除くことができる。
飛来物除去工具2は、1個の爪32が備える係止部Aが1ケ所と飛来物除去工具1に比較して少ないが、飛来物除去工具1に比較して構成が簡単であり安価に製造することができる。また飛来物除去工具2の先端部の重量が軽いため使い易い。
図10は、本発明の第3実施形態の飛来物除去工具3の外観図である。図1〜図6に示す第1実施形態の飛来物除去工具1、図7〜図9に示す第2実施形態の飛来物除去工具2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の飛来物除去工具3も第1実施形態の飛来物除去工具1と同様に、飛来し送電線、柱上機器、架線金具などに付着した飛来物、特に凧糸のような糸状物Wを除去するための工具であって、糸状物Wに絡み付く飛来物除去具13が絶縁性の棒材151の先端152に取付けられてなる。
飛来物除去具13は、1個の爪33のみで構成され、爪33の基端42が絶縁性の棒材151に先端152に直接固着されている。但し、爪33の個数が2個以上であってもよく、また飛来物除去工具1と同様の構成を採用し、絶縁操作棒101の先端部に着脱自在に取付けてもよく、飛来物除去工具2と同様の構成を採用し、爪33の向きを変更可能に棒材151の先端152に固定してもよい。
爪33は、爪31と同様に棒状の部材で形成されており、立設部41との立設部41の先端側に形成された鉤部53とを有し、側面視において直線状である。立設部41の中央から先端43及び鉤部53の表面には、ローレット加工などの凹凸加工、あるいは滑り止め加工が施されている。
鉤部53は、立設部41の先端43に繋がる、立設部41に直交するように屈曲した屈曲部64と、屈曲部64の先端に繋がる斜めに降下する降下部65と、降下部65の先端に繋がる斜めに上昇する上昇部66とを有する。降下部65は、先端が立設部41に近付くように傾斜し、上昇部66は、先端が立設部41に接触するように傾斜している。
爪33においては、鉤部53が弾力性を有するため立設部41と上昇部66との交点A1の他、交点A1を通過させ屈曲部64の内側A3に糸状物Wを係止可能であり、これら部分が係止部Aである。また立設部41と上昇部66とで形成される上向きの三角形の空間部は、係止部Aに糸状物Wを導き入れる導入部Bとなり、さらにこれらは外れ防止部としても機能する。
飛来物除去工具3は、飛来物除去工具1、2と異なり爪33が1個であるが、使用方法及び作用効果は、飛来物除去工具1、2と基本的に同じである。図10は、屈曲部64の内側A3に糸状物Wを係止させた状態であり、棒材151を回転させることで爪33に糸状物Wを絡み付かせることができる。
図11(a)は、本発明の第4実施形態の飛来物除去工具4の外観図、図11(b)は、飛来物除去工具4の使用方法を説明するための図である。図1〜図6に示す第1実施形態の飛来物除去工具1、図7〜図9に示す第2実施形態の飛来物除去工具2、図10に示す第3実施形態の飛来物除去工具3と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第4実施形態の飛来物除去工具4も第1実施形態の飛来物除去工具1と同様に、飛来し送電線、柱上機器、架線金具などに付着した飛来物、特に凧糸のような糸状物Wを除去するための工具であって、絶縁性の棒材151に先端152に取付けられ糸状物Wに絡み付く飛来物除去具14を有する。
飛来物除去具14は、飛来物除去具13と同様に1本の爪34のみで構成され、爪34の基端42が絶縁性の棒材151の先端152に直接固着されている。但し、爪34の個数は2個以上であってもよく、また飛来物除去工具1と同様の構成を採用し、絶縁操作棒101の先端部に着脱自在に取付けてもよく、飛来物除去工具2と同様の構成を採用し、爪34の向きを変更可能に棒材151の先端152に固定してもよい。
爪34は、爪31と同様に棒状の部材で形成されており、立設部41との立設部41の先端側に形成された鉤部54とを有し、側面視において直線状である。立設部41の中央から先端43及び鉤部54の表面には、ローレット加工などの凹凸加工、あるいは滑り止め加工が施されている。
鉤部54は、立設部41の先端43に繋がる、斜めに降下する降下部67からなる。降下部67は、先端が立設部41から遠ざかるように傾斜し、全体として逆V字形状を有する。
爪34においては、立設部41と降下部67の交点A1に糸状物Wを係止可能であり、この部分が係止部Aである。また立設部41と降下部67とで形成される上向きの三角形の空間部は、係止部Aに糸状物Wを導き入れる導入部Bとなり、さらにこれらは外れ防止部としても機能する。
飛来物除去工具4は、飛来物除去工具3と同様に爪34が1個であるが、使用方法及び作用効果は、飛来物除去工具1、2と基本的に同じである。図11(b)は、係止部Aに糸状物Wを係止させ、棒材151を回転させ糸状物Wを爪34に絡ませ、飛来物除去工具4を下げ、糸状物Wを送電線路等から外し、あるいは糸状物Wを切断させる様子を示す。
図12は、本発明の第5実施形態の飛来物除去工具5の外観図である。図7〜図9に示す第2実施形態の飛来物除去工具2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第5実施形態の飛来物除去工具5も第2実施形態の飛来物除去工具2と同様に、飛来し送電線、柱上機器、架線金具などに付着した飛来物、特に凧糸のような糸状物Wを除去するための工具である。第5実施形態の飛来物除去工具5は、基本構成を飛来物除去工具2と同じくするが爪が異なる。
飛来物除去工具2では、同一形状、同一構造の4個の爪32が、支持体71に対して同じ向き、同じ高さに取付けられている。これに対して飛来物除去工具5では、4個の爪のうち図12において、右側の2個の爪35は、爪32と比較して鉤部52の形状・構造は同じであるが、立設部41の高さが低い。また左側の2個の爪32は、飛来物除去工具2の爪32と同一形状、同一構造であるが、鉤部52の方向が右側の爪35と反対向きに取付けられている。
飛来物除去工具5の使用方法は、飛来物除去工具2と同じであるが、高さの異なる鉤部52を有する爪32、35が取付けられ、さらにこれら爪32、35の鉤部52が共に支持体71から遠ざかるように外向きに取付けられているので、導入部Bに糸状物Wを導入し易く使い易い。
図13は、本発明の第6実施形態の飛来物除去工具6の外観図である。図1〜図6に示す第1実施形態の飛来物除去工具1と同一の構成、図7〜図9に示す第2実施形態の飛来物除去工具2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第6実施形態の飛来物除去工具6も第1実施形態の飛来物除去工具1と同様に、飛来し送電線、柱上機器、架線金具などに付着した飛来物、特に凧糸のような糸状物Wを除去するための工具である。第6実施形態の飛来物除去工具6は、基本構成を飛来物除去工具2と同じくするが、爪が異なる。
飛来物除去工具2では、同一形状、同一構造の4個の爪32が、支持体71に対して同じ向きに取付けられている。これに対して飛来物除去工具6では、4個の爪のうち図13において右側の2個の爪32は、飛来物除去工具2の爪32と同じであり、左側の2個の爪31は、飛来物除去工具1の爪31と同一である。但し、左側の2個の爪31は、鉤部51の方向が右側の爪32と反対向きに取付けられている。
飛来物除去工具6の使用方法は、飛来物除去工具2と同じであるが、形状・構造の異なる鉤部51、52を有する爪31、32が取付けられ、さらにこれら爪31、32の鉤部51、52が共に支持体71から遠ざかるように外向きに取付けられているので、導入部Bに糸状物Wを導入し易く使い易い。
以上、第1〜第6実施形態の飛来物除去工具1、2、3、4、5、6において糸状物Wに絡み付く各種の爪を示したが、飛来物除去工具で使用可能な爪は、これに限定されるものではなく、立設部と鉤部とを備える爪を使用することができる。特に、糸状物Wが係止する係止部Aと係止部Aに糸状物Wを導く導入部Bと、係止部Aに糸状物Wを係止させた状態で飛来物除去具を回転させたとき、糸状物Wが係止部Aから外れることを防止する外れ防止部を備える爪を好適に使用することができる。
図14は、本発明の飛来物除去工具で使用可能な他の爪36であり、(a)は背面側上方から見た斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図である。第1〜第6実施形態の飛来物除去工具1、2、3、4、5、6の爪と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第1〜第6実施形態に示す爪31、32、33、34、35は、いずれも鉤部51、52、53、54が1つであったが、本実施形態に示す爪36は、鉤部52を2つ備える。また上記実施形態に示す爪31、32、33、34、35は、いずれも側面視において一直線上であったが、本実施形態に示す爪36は、側面視において逆J字形状を有する。具体的な構造は次の通りである。
爪36は、下部の支持部68の先端に左右に開く湾曲した分岐部69が設けられ、この分岐部69に繋がるように左右にそれぞれ立設部41及び鉤部52が設けられている。分岐部69に繋がる左右各々の立設部41及び鉤部52からなる部分は、爪32と同じ形状、構造である。
爪36は、支持部68、分岐部69及び立設部41は側面視において一直線上に配置され、鉤部52は、正面側に突出している。立設部41の中央から先端43及び鉤部52の表面にローレット加工などの凹凸加工、あるいは滑り止め加工が施されている点は、爪32と同じである。
このような爪36は、第1、第2実施形態の飛来物除去工具1、2の爪31、32と同様に、支持体71に固定し、絶縁操作棒101、棒材151の先端152に取付け使用することができる。また棒材151の先端152に直接取付け使用することもできる。このような飛来物除去工具の使用方法及び作用効果は、本発明の第1〜第6実施形態の飛来物除去工具1、2、3、4、5、6と基本的に同じである。
図15は、本発明の比較例としての飛来物除去工具10の外観図である。図7〜図9に示す第2実施形態の飛来物除去工具2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。比較例としての飛来物除去工具10は、基本構成を飛来物除去工具2と同じくするが、爪が異なる。飛来物除去工具10の爪は、複数の立設部41のみからなり、鉤部がない。このような爪は、鉤部がないため糸状物Wを絡め取ることができない。
以上、第1〜第6実施形態の飛来物除去工具1、2、3、4、5、6を用いて説明したように本発明に係る飛来物除去具及び飛来物除去工具は、飛来物に絡み付く1つ以上の爪が、立設部の先端に設けられた鉤部を有するので、容易に送電線路等に付着した糸状飛来物に絡み付き、取り除くことができる。また本発明に係る飛来物除去具及び飛来物除去工具は、爪を備える除去具本体と絶縁操作棒又は絶縁性の棒材とで構成することができるので、構成が簡便で使い易く、また安価に製造することができる。
本発明に係る飛来物除去具及び飛来物除去工具は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲において変更することができる。例えば、上記実施形態では、糸状物Wが爪の表面を滑り難く絡み付き易くするために、爪にローレット加工、その他の凹凸加工、滑止め加工等が施されているが、製造コスト低減を優先させ、これら加工を省略してもよい。爪に滑止め加工等が施されていなくても、爪は、係止部及び外れ防止部を有するので、糸状物Wを絡め取ることができる。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。