JP6930763B2 - ストレス状態の検出方法、及び、ストレス検出装置 - Google Patents

ストレス状態の検出方法、及び、ストレス検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、ストレス状態の検出方法、及び、ストレス検出装置に関する。
昨今、「ストレスは万病のもと」、すなわち、ストレスは心身に悪影響を与え、種々の疾患を誘発するとの認識が広まってきている。ストレスは、外部からの様々な刺激により精神的及び肉体的に負担がかかることで、心身に歪みが生じる状態を意味する。本来、ヒトをはじめとする動物が一時期的な精神的・肉体的ストレス等の外的ストレスを感じると、副腎からコルチゾールやアドレナリン等のホルモンが分泌され適度な刺激が身体に与えられる。心拍数の増加、心・血管の拡張、血糖値の増加、気管支弛緩等を介して、外的ストレスからの抵抗力を増強させることで身体は強化される。しかしながら、過度又は継続的に外的ストレスにさらされると、ホルモンの過剰分泌により身体の防御能力が低下し、結果として精神的又は肉体的異常が出現すると考えられている。ストレスが心身に与える影響には個人差があり、特にストレス感受性が高い者(高ストレス者)は、不登校や欠勤等の様々な問題が顕在化し日常生活に支障を来たすことがある。したがって、ストレス状態を正確に評価することは、健康管理、疾患の予防及び治療の上で極めて重要である。
そこで、2015年に、厚生労働省は、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施等を定めたストレスチェック制度を導入している。ストレスチェックでは、職業性のストレスと考えられる因子、ストレスによって起こる心身の反応、及び、ストレス反応に影響を与える他の因子に関する質問項目に労働者が回答し、各質問項目への回答を点数化する。かかる結果を一定規模の集団毎に集計・分析を行い、数値基準に基づいて点数により高ストレス者を選定する。しかしながら、ストレスチェックは労働者自身が質問項目に回答する自覚的検査であるため、意図的にストレスが無いように回答を操作することが可能であるため、高ストレス者を適切に選定することができない可能性がある。したがって、自覚的な検査と他覚的な検査を組み合わせて、実際の高ストレス者を選定することが重要になる。
現在までに、種々の他覚的なストレス検査が試みられている。急性ストレスを評価する方法として、コルチゾール等の副腎皮質系因子、テストステロン等の性腺系因子、アミラーゼ等の青斑核/ノルアドレナリン系因子、アドレナリンやノルアドレナリン等のカテコールアミン系因子等のストレスマーカを指標とする方法が報告されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、検体として汎用される血液、唾液、又は、尿ではなく、対象体の皮膚に窄刺具等により形成した微細孔から採取した組織液中のストレスマーカを測定するものである。また、対象体から採取した血清中のアポリポタンパク質A-II、ハプトグロブリン、ビタミンD結合タンパク質プリカーサ等を指標としてストレスを評価する方法が報告されている(特許文献2参照)。
更に、慢性ストレスを評価する方法として、唾液中のコルチゾールの一日の経時変化を指標とする方法が報告されている(特許文献3参照)。特許文献3に記載の方法は、多くの健常人において測定された一日の所定時間範囲にわたる唾液中のコルチゾール濃度から得られた標準コルチゾール濃度変化範囲と、特定の対象体において測定された唾液中のコルチゾール濃度変化とを比較し、標準コルチゾール変化範囲を逸脱した者を、慢性ストレスを有する可能性あると評価するものである。
特開2012−251857号公報 特開2007−225606号公報 特開2000−275248号公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法のように血液を検体とする場合に、血液採取血行為には痛み等の精神的かつ肉体的な負担を伴い、血液採取に伴うストレス負荷によりストレス状態を正確に評価できない可能性がある。更に、血液採取行為は、医療行為であるとの制約があると共に、感染症を誘発する恐れがあるという問題がある。特許文献1に記載の方法は、上記負担の軽減を目的とするものであるが、依然として侵襲性があり、上記負担を完全に解消するものではない。特許文献3に記載の方法に唾液を検体とする場合には、上記負担は軽減されるものの、特許文献1に記載されるように唾液は食事や喫煙等の外的要因によって変動する可能性があり、しかも唾液の分泌量や組成等の個人差が大きい。したがって、検体を採取する際のタイミング等の条件を詳細に設定する必要があり、唾液を採取する操作が煩雑になるという問題点がある。
上記した生理化学物質によるストレスマーカは、ストレスに応答し出現したとしても生体内で通常短時間で分解され消失してしまう。例えば、アドレナリン等のカテコールアミン系因子の血液中での半減期は1〜2分と非常に短い。したがって、測定値は、生体のストレス状態を反映していない可能性があり、対象体のストレス状態を正確に評価することは困難である。また、生理化学物質の生体内濃度は、生理的日内変動が大きく、また、個人間の睡眠覚醒リズムの相違等に起因した個人差が大きい。例えば、コルチゾールは、早朝高値、夜間低値の日内変動を示し、夕方以降は早朝値の半分以下となる。そのため、上記した生理化学物質の生体内濃度に一定の基準値を設けてストレス状態を簡便に評価することは困難である。更に、自律神経系の慢性ストレス評価においても、特許文献3に記載の方法のような日内変動や個人差の大きいコルチゾール等のホルモンをストレスマーカとすることができず、確立された評価方法が存在しないのが現状である。
したがって、生体のストレス状態を的確に反映可能なストレスマーカにより他覚的に対象体のストレス状態を評価できる技術の構築が依然として求められている。特に、非侵襲的手段により評価でき、日内変動や個人差等の少ないストレスマーカにより簡便かつ正確に対象体のストレス状態を評価できる技術の構築が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、対象体のストレス状態を、眼組織の一部である脈絡膜を指標として評価できることを見出した。特に、脈絡膜の厚さ又は容積が、対象体のストレス状態を的確に反映していることを見出した。かかる脈絡膜の変化は他覚的に検出することができ、正確に対象体のストレス状態を検出できる。また、光干渉断層法を利用することにより、非侵襲的に、しかも短時間かつ簡便に検出できる。
本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の〔1〕〜〔7〕に示す発明を提供する。
〔1〕対象体の脈絡膜の断層画像に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する工程を有するストレス状態の検出方法。
上記〔1〕の構成によれば、対象体の眼組織の一部である脈絡膜の断層画像に基づき、当該脈絡膜を指標として対象体のストレス状態を検出するストレス状態の検出方法を提供できる。本構成によれば、対象体のストレス状態を他覚的に検出できると共に、脈絡膜は生体のストレス状態を的確に反映できることから対象体のストレス状態を正確に検出できる。
更に、断層画像は眼に近赤外線を照射する光干渉断層法により取得することが可能であり、非接触かつ非侵襲的に、しかも短時間かつ簡便にストレス状態を検出できることから、対象体の精神的かつ肉体的負担を軽減できる。したがって、検出に際してのストレス負荷を排除でき、対象体のストレス状態を正確に検出できる。更に、眼球運動の影響も受け難いという利点もある。
したがって、本構成のストレス状態の検出方法によれば、ストレス状態にある対象体を信頼性高く検出できる。ストレス状態にあると検出された対象体に対しては、適切な医療機関のへの受診やカウンセリングを推奨できる。特に、本構成のストレス状態の検出方法によれば、ストレスが特定の症状や疾患等として顕在化していない潜在的なストレス状態をも検出できる。そのため、早期にストレス状態を検出することができ、ストレスによって発症する症状や疾患の予防に繋げることができる。したがって、本構成のストレス状態の検出方法は労働者の定期的な健康診断等にも好適に利用することができ、労働者の心身の健康管理に貢献できる。ひいては、職場環境の改善にもつながり、仕事能率が上昇し労働生産性の向上にも寄与できる。
〔2〕前記ストレス状態を検出する工程は、前記断層画像から脈絡膜厚を算出し、算出された前記脈絡膜厚に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する上記〔1〕のストレス状態の検出方法。
〔3〕算出された前記脈絡膜厚が、中心窩下で300μm以上であるときにストレス状態にあると検出する上記〔2〕のストレス状態の検出方法。
上記〔2〕及び〔3〕の構成によれば、対象体の眼組織の一部である脈絡膜の断層画像に基づき、当該脈絡膜の厚さを指標として対象体のストレス状態を検出するストレス状態の検出方法を提供できる。脈絡膜の断層画像から明確かつ簡単に算出できる脈絡膜厚をストレス状態の指標とするため、より簡便かつ正確に対象体のストレス状態を検出できる。
特に、上記〔3〕の構成によれば、明確な基準値に基づいて対象体のストレス状態を検出することができ、ストレス状態の検出における簡便性及び正確性の更なる向上を期待できる。
〔4〕前記ストレス状態を検出する工程は、前記断層画像から脈絡膜の容積を算出し、算出された前記脈絡膜の容積に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する上記〔1〕のストレス状態の検出方法。
上記〔4〕の構成によれば、対象体の眼組織の一部である脈絡膜の断層画像に基づき、当該脈絡膜の容積を指標として対象体のストレス状態を検出するストレス状態の検出方法を提供できる。三次元画像等の脈絡膜の断層画像から明確かつ簡単に算出できる脈絡膜の容積を指標とするため、より簡便かつ正確に対象体のストレス状態を検出できる。
〔5〕前記ストレス状態を検出する工程は、算出された前記脈絡膜厚を、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子を用いて補正する工程を含む上記〔2〕又は〔3〕のストレス状態の検出方法。
上記〔5〕の構成によれば、算出された対象体の脈絡膜厚を、脈絡膜厚に影響を与える検出時刻、対象体の年齢、性別、現病歴、並びに、眼軸長及び等価球面積等の眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子を用いて補正することにより、更に正確に対象体のストレス状態を検出するストレス状態の検出方法を提供できる。
〔6〕前記ストレス状態を検出する工程は、算出された前記脈絡膜の容積を、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子を用いて補正する工程を含む上記〔4〕のストレス状態の検出方法。
上記〔6〕の構成によれば、算出された対象体の脈絡膜の容積を、脈絡膜の容積に影響を与える検出時刻、対象体の年齢、性別、現病歴、並びに、眼軸長及び等価球面積等の眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子を用いて補正することにより、更に正確に対象体のストレス状態を検出するストレス状態の検出方法を提供できる。
〔7〕対象体の脈絡膜の断層画像を取得する画像取得部と、
前記断層画像から脈絡膜厚又は脈絡膜の容積を算出する算出部と、
前記脈絡膜厚又は脈絡膜の容積に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する検出部とを備えたストレス検出装置。
上記〔7〕の構成によれば、対象体の眼組織の一部である脈絡膜の断層画像に基づき、脈絡膜厚又は脈絡膜の容積を指標として対象体のストレス状態を検出するストレス検出装置を提供できる。本構成のストレス検出装置は、生体のストレス状態を的確に反映する脈絡膜厚又は脈絡膜の容積を対象体のストレス状態の指標とするものであるから、信頼性高く対象体のストレス状態を検出できる。更に、脈絡膜の断層画像の取得に際して光干渉断層法を利用することにより、非接触かつ非侵襲的に、しかも短時間かつ簡便に被検体のストレス状態を検出できることから、対象体の精神的かつ肉体的負担を軽減できる。したがって、検出に際してのストレス負荷を排除でき、対象体のストレス状態を正確に検出できる。また、本構成のストレス検出装置は労働者の定期的な健康診断等にも好適に利用できることから、各健診センターや医療施設への設置等を通して労働者の心身の健康管理に貢献できる。
本実施形態に係るストレス検出装置の一例を示すブロック図である。 本実施形態に係るストレス検出装置の作動の一例を示すフローチャートである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と自覚的ストレスとの関連性を検証した結果を示すグラフである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と自覚的ストレスとの関連性を検証した結果を示すグラフである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と自覚的ストレスとの関連性を検証した結果を示すグラフである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と職業性ストレス簡易調査票(57項目)の結果との関連性の検証における職業性ストレス簡易調査票(57項目)の結果を示す。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)との関連性の検証結果を示すグラフである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚/眼軸長と職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)との関連性の検証結果を示すグラフである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性の検証における日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果を示すと共に、職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)との相関を示す。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚と日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性の検証結果を示すグラフである。 脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証を行った実施例1の結果を示し、本図は脈絡膜厚/眼軸長と日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性の検証結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係るストレス状態の検出方法及びストレス検出装置について詳細に説明する。ただし、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
(ストレス状態の検出方法)
本実施形態に係るストレス状態の検出方法は、対象体の脈絡膜を指標として、対象体のストレス状態を検出するものである。当該検出方法は、従来においてはストレスマーカとしては認識されていなかった眼組織の一部である脈絡膜を対象体のストレス状態の指標とするものである。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法における対象体としては、ヒト、非ヒト霊長類、ウサギ、ラット、モルモット、マウス、イヌ、ネコ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等の動物が例示されるが、特に好ましくはヒトである。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法におけるストレス状態とは、様々な刺激によって心身に負荷がかかることで生じる緊張状態を意味する。ストレスを誘発する刺激はストレッサーと称され、ストレッサーとしては、環境的要因、身体的要因、心理的要因、及び、社会的要因等によるものがある。環境的要因としては、例えば、温度、湿度、光、天候、騒音、振動、有害物質の曝露、大気汚染等が挙げられる。身体的要因としては、例えば、外傷、病気、過度な運動、運動不足、肉体疲労、睡眠不足、栄養不足、加齢、不健康な生活習慣、肥満等が挙げられる。更に、生体内において活性酸素による酸化作用と、抗酸化物質等の抗酸化作用との均衡が崩れた結果、過剰に生成される活性酸素種等も身体的要因に含むことができる。心理的要因としては、例えば、不安、心配、欲求不満、怒り、恐怖、失望、葛藤等が挙げられる。社会的要因としては、人間関係、就職、転職、失業、入学、進学、成績不振、いじめ等が挙げられる。しかしながら、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法における検出対象となるストレス状態としては、ストレッサーにより誘発される状態である限り特に限定されず、短期的な急性ストレス状態及び長期にわたる慢性ストレス状態の何れであってもよい。ストレス状態にはストレスに関連する症状及び疾患(以下、それぞれ「ストレス症状」及び「ストレス疾患」と略する場合がある)が含まれ、また、心身に症状や疾患が顕在化していない潜在的なストレス状態をも検出の対象とすることができる。生体は、ストレッサー等の刺激に曝されると、自律神経系、内分泌系、免疫系等が相互作用し合うことでその恒常性を保持している。しかしながら、過度・継続的にストレッサーに曝されると自律神経系のバランスが崩れ、副交感神経がうまく機能せずに、交感神経の活動が亢進し続ける。このような交感神経が優位な状態が続くと、段階的にストレッサーに対する生体の抵抗力が衰え、自律神経系、内分泌系、及び、免疫系等の機能低下により様々な症状や疾患が誘発される。したがって、ストレス状態には、好ましくは、交感神経優位な状態、及び、かかる交感神経優位な状態により誘発される症状及び疾患を含むことができる。
ストレス症状としては、例えば、肩こり、動悸、眩暈、不眠、頭痛、体重変動、食欲低下、摂食障害、腹痛、依存症等の身体的症状、不安、怒り、焦燥、無気力等の心理的症状、過食、飲酒、引きこもり等の社会的症状等が含まれる。ストレス疾患としては、うつ病、神経症、自律神経失調症等の精神・神経疾患、高血圧症、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞等の循環器疾患、肥満症、糖尿病、高脂血症、甲状腺機能亢進症等の内分泌・代謝異常疾患、分泌気管支炎、過呼吸症候群等の呼吸器疾患、過敏性腸症候群、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、心因性嘔吐等の消化器疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症等の皮膚疾患、中心性漿液性脈絡膜網膜症(CSC)、眼精疲労、眼瞼痙攣、ドライアイ等の眼科疾患、メニエール病等の耳鼻咽喉科疾患、夜尿症等の泌尿・生殖器疾患、癌、慢性炎症等の炎症性疾患等を含めることができる。特には、精神・神経疾患が想定され、例えば、パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害、恐怖症等に代表される過剰な不安・恐怖によって苦しみ生活に支障をきたすような疾患である不安障害、及び、双極性障害、うつ病、気分変調性障害等に代表される気分に異常をきたす状態になってしまう疾患である気分障害等が含まれる。ストレス状態は、各種症状及び疾患の増悪等の要因となることから、ストレス症状及び疾患には、各種症状及び疾患の発症だけでなく、増悪も含まれる。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法において、ストレス状態の検出の指標となる脈絡膜は、網膜と強膜の間にある色素細胞と血管に富む組織であり、組織学的には、網膜側から基底板(ブルッフ膜)、脈絡毛細管板、血管板、脈絡上板の4層に区別できる。脈絡膜は、ほぼ血管により構成される組織であり、脈絡膜血流は全眼血流の85%に達するという報告がある(例えば、Experimental Eye Research, 15(1), 1973, p15-29を参照のこと)。そのため、生理化学物質の影響を強く受けることが導かれる。また、脈絡膜血管は、網膜血管とは異なり自己調節能が低く、血圧等の種々の生理的刺激により脈絡膜血管内を流れる血流量が変動するとの報告があり(例えば、Arch Ophthalmol, 83(1), 1970, p95-99を参照のこと)、脈絡膜血管は生体の全身状態の変化の影響を強く受けることになる。更には、脈絡膜血管には、血管の緊張に影響する受容体が発現されていることが知られており、特に妊娠高血圧症候群において脈絡膜血流が変化することが知られている。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法は、上記した通り眼組織の一部である脈絡膜をストレス状態の指標とするものである。脈絡膜は全身の血管の変化を反映できるものであることが考えられ、生体のストレス状態を的確に反映しているものと考えられる。一方で、従来においてはストレス状態と脈絡膜を含めた眼組織との関連性に関する知見は存在しなかった。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法は、好ましくは、対象体の脈絡膜の断層画像に基づいて前記対象体のストレス状態を検出するものである。脈絡膜の断層画像からは、脈絡膜厚や脈絡膜の容積等の脈絡膜の形態を含めた状態を詳細に把握できる。
脈絡膜の断層画像は、脈絡膜を含む眼の断層画像であり、好ましくは、脈絡膜を含む眼底の断層画像である。脈絡膜の厚さや容積等の脈絡膜の特徴値の算出のため、脈絡膜と網膜との境界、及び、脈絡膜と強膜との境界を抽出できることが好ましい。したがって、脈絡膜の断層画像は、脈絡膜に加え、少なくとも網膜の一部及び強膜の一部を含むことが好ましい。脈絡膜の断層画像は、例えば、網膜の中心窩下を含む領域、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から所定の方向に所定距離だけ離れた位置を含んだ領域の断層画像とすることができる。また、視神経乳頭を含む領域、視神経乳頭を基準として視神経乳頭から所定の方向に所定の距離だけ離れた位置を含む領域の断層画像とすることができる。更には、複数の領域を含んだ断層画像であってもよい。特に好ましくは、断層画像の取得の容易性の観点から、網膜の中心窩下を含む領域の断層画像である。また、脈絡膜の断層画像は、一次元画像、二次元画像、三次元画像の何れであってもよい。
脈絡膜の断層画像は、当該技術分野で公知の技術を用いる脈絡膜の断層画像化によって取得できる。脈絡膜の断層画像化は、好ましくは、光干渉断層法(Optical coherence tomography;以下、「OCT」と略する)に基づく装置(以下、「OCT装置」と称する)を用いて行うことができる。OCT装置は、光源から出射された光束を分岐させ、対象物の所定位置に入射させた測定光の反射又は散乱光と、参照物体から反射した参照光とを干渉させる干渉光学装置である。干渉光を利用して、測定光を入射させた位置の深度方向の対象物の構造を画像化する技術であり、対象物の断層画像を高分解能に取得できる。つまり、OCT装置は眼底に測定光を照射することにより、脈絡膜を含む眼底の断層画像を非侵襲的かつ高解像度で取得できる。しかも、OCT装置は他覚的に脈絡膜を検査できる装置であり、一般に眼科検診で日常的に行われる短時間型非侵襲的検査装置であることから対象体に対する負担も少ない。
OCT装置は、光波の干渉を時間領域で行うタイムドメインOCT(以下、「TD-OCT」と略する)、光波の干渉を周波数領域又は波長領域で行うフーリエドメインOCT(frequency-domain OCT:以下、「FD-OCT」と略する。)等を利用することができ、好ましくは、FD-OCTである。FD-OCTとしては、広帯域光源を用いるスペクトラルドメインOCT(Spectral-domain OCT:以下、「SD-OCT」と略する)、波長掃引レーザを用いる波長掃引型OCT(Swept-source OCT:以下、「SS-OCT」と略する)等が例示される。好ましくは、SS-OCTである。更に、深部強調画像(Enhanced depth imaging:以下、「EDI」と略する)によるEDI-OCTや、長波長光源を用いた高侵達(high-penetration-OCT、以下、「HP-OCT」と略する)等を利用できる。光源としては、1μm帯域、典型的には950 nm〜1100 nm程度、特には1050 nmの波長の光を射出する光源が好ましい。1μm帯の光源を用いると、網膜色素上皮等での光の吸収や中間透光体に混濁がある場合での散乱の影響を受けにくいこと等から、脈絡膜を含む眼底等の深部組織のより鮮明な画像を取得できる。
詳細には、測定光を対象体の眼底に照射することにより、照射位置の深度方向(z方向)の脈絡膜を含む眼底の一次元断層画像(z画像)を取得できる。更に、対象体の眼底に対して、照射位置を深度方向に垂直な方向(x方向)に一次元走査することにより脈絡膜を含む眼底の二次元断層画像(xz画像)を取得できる。一次元走査は、予め定められた直線又は曲線に沿って行うことができる。これにより、測定光の走査方向に沿った深度方向の二次元の断層画像を得ることができる。また、眼底に対して、照射位置を深度方向に垂直な方向(x、y方向)に二次元走査することにより脈絡膜を含む三次元画像(xyz画像)を取得できる。このとき、二次元走査は予め定められた領域内で行うことができる。つまり、予め定められた領域内を、対象体の眼底に対して位置をずらしながら測定光を繰り返し走査することにより取得した複数の二次元画像から三次元の断層画像を構築できる。これにより、脈絡膜を含めた眼底の構造を立体的に捉えることができる。特に、SS-OCTでは、数秒でx方向、y方向の3〜12mm程度の広い範囲を走査し深部方向の画像を取得できることから、脈絡膜を含めた眼底の鮮明な三次元の断層画像の構築が可能となる。
また、OCT装置による脈絡膜の断層画像の取得に要する時間は3秒程であり、眼球運動の影響を受け難いという利点もある。
脈絡膜の断層画像の取得は、運動時や運動直後を避けて取得することが好ましい。例えば、脈絡膜厚に関して、負荷の少ない中程度の強度の運動時において、少なくとも5分間は脈絡膜が顕著に厚くなったことが報告されている(例えば、Sayin N他著、Indian J Ophthalmol. 2015, 63(5), 445-450を参照のこと)。一方で、15分後には脈絡膜厚はベースラインと比較して有意な差が認められなかったことも報告されている。したがって、対象体が日常的な活動よりも運動強度の高い運動を行った場合には、運動終了時から所定時間(例えば、15分間、又は、30分間)経過後に脈絡膜の断層画像を取得することが好ましい。また、脈絡膜の断層画像の取得は、一般的には座位で行われ、左右何れかの眼の脈絡膜の断層画像であってもよいし、両眼の脈絡膜の断層画像であってもよい。
ストレス状態を検出する工程は、前記断層画像から脈絡膜厚を算出し、算出された前記脈絡膜厚に基づいて前記対象体のストレス状態を検出することを含むことができる。脈絡膜厚は脈絡膜の厚さであり、脈絡膜の断層画像から、例えば、網膜の最外側に位置する網膜色素上皮と脈絡膜の境界線から脈絡膜と強膜の境界線までの垂直距離として算出できる。網膜色素上皮と脈絡膜の境界の位置の特定、及び、脈絡膜と強膜の境界の位置の特定は、当該技術分野で公知の画像処理技術を利用して特定できる。例えば、断層画像内の画素値(例えば、輝度値)の変化から、これらの境界の位置を特定できる。また、脈絡膜厚の算出は、例えば、コンピュータの演算機能を利用することにより行ってもよい。
脈絡膜厚の算出は、脈絡膜の予め定められた位置で行うことが好ましい。例えば、網膜の中心窩の位置、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から所定の方向(例えば、上方、下方、鼻側、耳側)に所定距離だけ離れた位置等とすることができる。また、視神経乳頭の位置、又は、視神経乳頭を基準として視神経乳頭から所定の方向に所定の距離だけ離れた位置で測定してよい。更には、複数の位置で脈絡膜厚を測定してもよい。特に好ましくは、網膜の中心窩下の脈絡膜厚である。脈絡膜厚の算出は、左右何れかの眼の脈絡膜に対して行ってもよいし、両眼の脈絡膜に対して行ってもよい。また、両眼の脈絡膜厚を算出した後、脈絡膜が薄い方、若しくは厚い方のみをストレス状態の検出のために用いてもよいが、ストレス状態の相関関係が高い薄い方を検出のために用いることが好ましい。
ストレス状態にある対象体では、健康でストレス状態にない正常対照群に比較して、脈絡膜厚が有意に高い値を示す。例えば、高ストレス者においては、自律神経の過剰刺激により脈絡膜血管が拡張し脈絡膜が厚くなることが考えられる。具体的には、ストレス状態にある対象体の検出は、対象体の脈絡膜の断層画像から算出された脈絡膜厚と、例えば、ストレス状態にない健常体の脈絡膜の断層画像から予め算出された基準値との比較により実施できる。当該基準値よりも、対象体の脈絡膜厚の値が高ければ当該対象体はストレス状態にあるとして検出され、当該基準値よりも値が低ければ当該対象体はストレス状態にないと検出できる。なお、基準値の算出に用いるストレス状態にない健常体の選定は、厚生労働省が推奨している職業性ストレス簡易調査票(57項目)や日本語版気分・不安障害調査票(K6)等の、他の公知のストレスマーカ等のストレス検出方法により実施することができ、好ましくは複数のストレス検出方法を実施する。また、基準値は複数の健常体の平均値として算出することが好ましい。一旦基準値が定まれば、当該基準値をもってストレス状態を検出することができる。基準値としては、例えば、成人の場合、中心窩下で250μm、300μm、若しくは、それ以下の任意の値に設定でき、好ましくは、中心窩下で200〜300μmの任意の値に設定できる。
前記ストレス状態を検出する工程は、算出された対象体の脈絡膜厚を、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、並びに、眼軸長及び等価球面積等の眼構造から得られる指標から選択される少なくとも1つの因子を用いて補正する工程を含むことができる。例えば、脈絡膜厚は年齢と負の相関が認められ、年齢と共に脈絡膜が菲薄化することが報告されている(Wakatsuki Y他著、PLoS One. 2015 Dec 3;10(12):e0144156)。脈絡膜厚には日内変動が認められ、脈絡膜は早朝には厚いが日中には段階的に薄くなること、かかる脈絡膜厚の変動幅に左右の差はないこと等が報告されている(例えば、Tan CS他著、InvestOphthalmol Vis Sci, 2012;53(1):261-266等を参照のこと)。更に、一部の眼疾患及び全身性病態により脈絡膜厚に影響を及ぼし、例えば、中心漿液性網脈絡膜症や原田病などでは脈絡膜厚が有意に肥厚化し、逆に、強度近視眼、加齢黄斑変性、緑内障、及び、糖尿病網膜症等では菲薄化していることが報告されている。また、年齢に加え、眼軸、等価球面積との関係についても報告されており(例えば、上記したTan CS他著、Invest Ophthalmol Vis Sci, 2012;53(1):261-266、Ikuno Y他著、Invest Ophthalmol Vis Sci, 2010;51(4):2173-2176、Wen Bin Wei他著、Ophthalmology, 2013;120(1):175-180等を参照のこと)、眼軸が短い、又は、等価球面積が大きいほど、脈絡膜が厚いこと等が報告されている。更には、flatter cornea、矯正視力がよいほど脈絡膜は厚いことが報告されている。一方で、血圧、眼灌流圧、眼圧、喫煙、飲酒量、血中の脂質・グルコース濃度、糖尿病、動脈性高血圧等と脈絡膜厚とは特に相関はないことも報告されている(上記したWen Bin Wei他著、Ophthalmology, 2013;120(1):175-180等を参照のこと)。したがって、上記因子が脈絡膜厚に与える影響を補正することにより、より正確な対象体のストレス状態を検出できる。
例えば、上記因子が検出時刻や年齢等のように因子の数値変動により脈絡膜厚が変動する場合には、上記因子が標準値にあってストレス状態にない群から算出された脈絡膜厚を標準脈絡膜厚として定める。そして、上記因子が標準値ではない場合にストレス状態にない群から算出された脈絡膜厚に対する標準脈絡膜厚の比(標準脈絡膜厚/算出された脈絡膜厚)を補正係数とする。かかる補正係数を算出された脈絡膜厚に対して乗算することにより、対応する上記因子が標準値にない対象体から算出された脈絡膜厚を補正できる。また、上記因子の数値変動と脈絡膜厚の変動との相関関係が得られる場合には、かかる相関関係に基づいて補正できる。例えば、上記因子が性別の場合には、一方の性の脈絡膜厚に基づき、他方の性の脈絡膜厚を補正できる。また、例えば、上記因子が現病歴のように因子の有無により脈絡膜厚が変動する場合には、上記因子の何れをも有さず、かつ、ストレス状態にない群から算出された脈絡膜厚を標準脈絡膜厚として、上記因子の何れか一つを有するストレス状態にない群から算出された脈絡膜厚に対する標準脈絡膜厚の比(標準脈絡膜厚/算出された脈絡膜厚)を補正係数として、かかる補正係数に基づいて、対応する上記因子を有する対象体から算出された脈絡膜厚を補正できる。補正は、脈絡膜厚の算出と同様に、例えば、コンピュータの演算機能を利用することにより行ってもよい。
ストレス状態を検出する工程は、前記断層画像から脈絡膜の容積を算出し、算出された前記脈絡膜の容積に基づいて前記対象体のストレス状態を検出することを含むことができる。脈絡膜の容積は、網膜の最外側に位置する網膜色素上皮と脈絡膜の境界線と脈絡膜と強膜の境界線により囲まれる部分の容積とすることができ、上記した脈絡膜厚に基づいて算出できる。脈絡膜の容積の算出は、例えば、コンピュータの演算機能を利用することにより行ってもよい。
脈絡膜の容積の算出は、脈絡膜の予め定められた領域で行うことが好ましい。例えば、網膜の中心窩の位置、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から所定の方向(深部方向(z方向)とは垂直な方向(x方向)、例えば、上方、下方、鼻側、耳側)に所定距離だけ離れた位置等を中心点とした領域の脈絡膜の容積として算出できる。また、視神経乳頭の位置、又は、視神経乳頭の位置を基準として視神経乳頭から所定の方向に所定の距離だけ離れた位置を中心点とした領域の脈絡膜の容積として算出してもよい。更には、複数の領域の脈絡膜の容積を算出してもよい。特に好ましくは、網膜の中心窩の位置を中心とした領域の脈絡膜の容積である。脈絡膜の容積の算出する領域の大きさは特に制限はないが、例えば3mm×3mm、6mm×6mm、10mm×10mmとすることができる。脈絡膜の容積の算出は、左右何れかの眼の脈絡膜に対して行ってもよいし、両眼の脈絡膜に対して行ってもよい。また、両眼の脈絡膜厚を算出した後、脈絡膜の容積が大きい方、若しくは小さい方のみをストレス状態の検出のために用いてもよい。
ストレス状態にある対象体では、健康でストレス状態にない正常対照群に比較して、脈絡膜の容積が有意に高い値を示す。対象体の脈絡膜の断層画像から算出された脈絡膜の容積と、例えば、ストレス状態にない健常体の脈絡膜の断層画像から予め算出された基準値との比較により前記対象体のストレス状態を検出できる。当該基準値よりも、対象体の脈絡膜の容積の値が高ければ当該対象体はストレス状態にあるとして検出され、値が低ければ当該対象体はストレス状態にないと検出できる。基準値としては、例えば、成人の場合、中心窩と中心とした9 mm×9 mm(最大で12 mm×9 mm)の領域下で、24.3 mm3以下の任意の値、好ましくは20.3 mm3に設定できる。
更に、本実施形態に係るストレス状態の検出方法は、対象体の脈絡膜の断層画像から算出された脈絡膜の容積に基づいて、被検体のストレス強度を測定するように構成することもできる。
前記ストレス状態を検出する工程は、算出された対象体の脈絡膜の容積を、検出時刻、対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標等等から選択される少なくとも1つの因子を用いて補正する工程を含むことができる。ここで、眼構造から得られる指標としては、眼軸長及び等価球面積等が例示されるが、これらに限定するものではない。脈絡膜の容積についても、上記した脈絡膜厚と同様に上記した因子によって影響を受ける。したがって、上記した因子が脈絡膜の容積に与える影響を補正することにより、より正確な対象体のストレス状態を検出できる。
補正は、上記因子が検出時刻や年齢等のように因子の数値変動により脈絡膜の容積が変動する場合には、上記因子が標準値にあってストレス状態にない群から算出された脈絡膜の容積を標準容積として定める。そして、上記因子が標準値ではない場合にストレス状態にない群から算出された脈絡膜の容積に対する標準容積の比(標準容積/算出された脈絡膜の容積)を補正係数とする。かかる補正係数を算出された脈絡膜の容積に対して乗算することにより、対応する上記因子が標準値にない対象体から算出された脈絡膜の容積を補正できる。上記因子の数値変動と脈絡膜の容積の変動との相関関係が得られる場合には、かかる相関関係に基づいて補正できる。例えば、上記因子が性別の場合には、一方の性の脈絡膜の容積に基づき、他方の性の脈絡膜の容積を補正できる。また、例えば、上記因子が現病歴のように因子の有無により脈絡膜の容積が変動する場合には、上記した因子の何れをも有さず、かつ、ストレス状態にない群から算出された脈絡膜の容積を標準容積として、上記した因子の何れか一つを有するストレス状態にない群から算出された脈絡膜の容積に対する標準容積の比(標準容積/算出された脈絡膜の容積)を補正係数として、かかる補正係数に基づいて、対応する上記した因子を有する対象体から算出された脈絡膜の容積を補正できる。補正は、脈絡膜の容積の算出等と同様に、例えば、コンピュータの演算機能を利用することにより行ってもよい。
本実施形態に係るストレス状態の検出方法によれば、対象体のストレス状態を他覚的に検出できると共に、脈絡膜は生体のストレス状態を的確に反映できることから対象体のストレス状態を正確に検出できる。したがって、従来の自覚的なストレス検出方法であるストレスチェック等で問題となる対象体の意図的な回答の変更によるストレス状態の不検出等が生じる余地がなく、高ストレス者を信頼性高く選定できる。
更に、光干渉断層法を利用することにより、非接触かつ非侵襲的に、しかも短時間かつ簡便にストレス状態を検出できることから、対象体の精神的かつ肉体的負担を軽減できる。したがって、検出に際してのストレス負荷を排除でき、対象体のストレス状態を正確に検出できる。更に、眼球運動の影響も受け難いという利点もある。また、従来のバイオマーカはストレスに応答し生体内に出現しても短時間で分解され消失してしまうことからストレス状態を把握が困難であるとの問題点があったが、本実施形態に係るストレス状態の検出方法によればそのような問題も生じない。また、本実施形態に係るストレス状態の検出方法は、後述のストレス検出装置等を用いた評価手段やコンピュータ等により自動的にストレス状態を検出するように構成してもよい。
したがって、本実施形態に係るストレス状態の検出方法によれば、ストレス状態にある対象体を信頼性高く検出できる。ストレス状態にあると検出された対象体に対しては、適切な医療機関のへの受診やカウンセリングを推奨できる。特に、本実施形態に係るストレス状態の検出方法によれば、ストレスが特定の症状や疾患等として顕在化していない潜在的なストレス状態をも検出できる。そのため、早期にストレス状態を検出することができ、ストレスによって発症する症状や疾患の予防に繋げることができる。したがって、本実施形態に係るストレス状態の検出方法は労働者の定期的な健康診断等にも好適に利用することができ、労働者の心身の健康管理等に貢献できる。ひいては、職場環境の改善にもつながり、仕事能率が上昇し労働生産性の向上にも寄与できる。
(ストレス検出装置)
本実施形態に係るストレス検出装置Xは、例えば、図1に示すように、画像取得部11、入力部12、演算部13、検出部14、記憶部15、表示部16等を備えることができる。本実施形態におけるストレス検出装置Xは、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン又はタブレット端末等で構成されており、画像取得部11を通信インターフェースとして、OCT装置10と無線又は有線により通信可能となっている。演算部13および検出部14は、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構成されており、記憶部15は、ROMやRAM等で構成されており、表示部16は液晶画面等の公知のディスプレイで構成されている。なお、ストレス検出装置XをOCT装置10と一体で設けてもよいし、演算部13などの一部の機能をOCT装置10に組み込んでも良く、特に限定されない。
画像取得部11では、上記したOCT装置10から対象体の脈絡膜を含む眼底の断層画像情報を取得する。OCT装置10は、光源と、光源から出射された光束を分岐して被検眼の内部に照射すると共に対象体の眼底からの測定光を導く測定光学系と、光源から出射された光束を分岐して参照物体に照射すると共にその反射光である参照光を導く参照光学系と、測定光学系により導かれた測定光と参照光学系により導かれた参照光とを合成した干渉光を受光し電気信号に変換して出力する受光素子と、を含むことができる。
入力部12は、オペレータによる操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作入力信号を演算部13に出力する。入力部12は、ボタンやスイッチ、キーボードによって構成されている。入力部12では、例えば、対象体の情報(年齢、性別、現病歴、眼軸長等)や検査日時等を入力できる。
演算部13は、画像取得部11にて取得した断層画像信号を処理する。演算部13は、例えば、画像信号処理部13aと算出部13bとを有している。
画像信号処理部13aは、画像取得部11の出力信号に基づいて、各種の画像処理等を施すことで脈絡膜を含む眼底の断層画像を生成する。画像信号処理部13aで生成された断層画像は記憶部15に格納されると共に、表示部16に出力するように構成されている。
算出部13bでは、画像信号処理部13aで生成された脈絡膜を含む眼底の断層画像に基づいて、脈絡膜の特徴値を算出する。脈絡膜の特徴値としては、対象体の脈絡膜厚、脈絡膜の容積等が例示できる。脈絡膜厚及び脈絡膜の容積の定義については、上記の(ストレス状態の検出方法)の項で説明した通りである。
脈絡膜厚は、網膜色素上皮と脈絡膜との境界線、及び、脈絡膜と強膜との境界線を特定し、両境界線間の垂直距離を測定することにより算出できる。網膜色素上皮と脈絡膜との境界線、及び、脈絡膜と強膜との境界線の特定は、公知の画像処理技術を適用することにより行うことができ、予め設定されたアルゴリズムに従って自動的に行うこともできる。
例えば、脈絡膜の断層画像において、深度方向に画素値(例えば、輝度値等)を検索し、画素値の変化を検出することにより、境界線を抽出できる。画素値の変化が乏しく境界線を自動で抽出することが困難である場合等には、オペレータが表示部に表示された断層画像を目視し、当該断層画像内に境界を手動で書き込む等の方法により境界線を特定してもよい。
脈絡膜厚の測定は、定められた測定位置で、上記で特定された両境界線間の距離を測定することで行う。測定は、例えば、断層画像において、両境界間の深度方向に並ぶ画素数をカウントすることにより行うことができる。
脈絡膜値の算出の基準となる網膜の中心窩や視神経乳頭の位置の特定は、脈絡膜の断層画像において、公知の画像処理技術を適用することにより自動的に行うように設定できる。また、オペレータが手動により特定してもよい。
脈絡膜の容積は、脈絡膜の三次元の断層画像において、上記で算出した厚み情報を付加することにより算出することができ、好ましくは、予め設定した特定領域内における容積を算出する。
算出部13bでは、算出部13bで脈絡膜の断層画像から算出された脈絡膜の特徴値を、例えば入力部12で入力された検出時刻、対象体の年齢、性別、現病歴、並びに、眼軸長及び等価球面積等の眼構造から得られる指標等の脈絡膜の特徴値に影響を与える因子の影響を排除するために補正を行うことができる。脈絡膜の特徴値の補正は、上述した補正内容と同様であるので説明を省略する。
検出部14では、算出部13bで脈絡膜の断層画像から算出された脈絡膜の特徴値に基づいて、対象体のストレス状態を検出する。検出部14では、算出部13bで算出された脈絡膜の特徴値が、記憶部15に記憶されたストレス状態にない健常体の脈絡膜の断層画像から予め算出された基準値以上であるか否かを検出する。かかる、対象体の脈絡膜の特徴値と、基準値との比較は公知の統計学的手法に基づいて行うことができる。検出部14は、検出結果を、ストレス状態の検出結果として、記憶部15に記憶すると共に表示部16に出力する。
記憶部15は、オペレータが入力部12より入力した対象体の情報や検査日時等の入力データ、演算部13の画像信号処理部13aで形成された脈絡膜の断層画像、算出部13bで算出された対象体の脈絡膜の特徴値、及び、検出部14で検出されたストレス状態等の情報を格納している。また、記憶部15は、脈絡膜の特徴値を算出するための算出プログラムや、ストレス状態を検出するための検出プログラム及び検出の際に用いる基準値等をも格納している。更に、記憶部15は、検出時刻、対象体の年齢、性別、現病歴、並びに、眼軸長及び等価球面積等の眼構造から得られる指標等の脈絡膜の特徴値に影響を与えることが知られる因子の影響を補正するための補正プログラム等を格納している。
表示部16は、入力部で入力された対象体の情報や検査日時、画像信号処理部で形成された脈絡膜の断層画像、及び、算出部で脈絡膜の断層画像から算出された脈絡膜の特徴値、検出部で基準値との比較により脈絡膜の特徴値に基づいて検出されたストレス状態の検出結果等を表示する。また、表示部16は、検出結果によりストレス状態にあると検出された場合には受診やカウンセリングが必要であるとして警告を表示することなどができる。
本実施形態に係るストレス検出装置Xの動作の一例について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
(ステップS101)
OCT装置10によって撮影された対象体の眼の断層画像信号(断層画像データ)を画像取得部11により取得する。
(ステップS102)
次いで、画像信号処理部13aにより取得された断層画像信号に基づいて、画像信号処理部13aが各種の画像処理等を施すことで脈絡膜を含む眼底の断層画像を生成する。このとき、画像信号処理部13aで生成した脈絡膜を含む眼底の断層画像を記憶部15に格納すると共に、脈絡膜を含む眼底の断層画像を表示部16に表示してもよい。また、脈絡膜の断層画像が、記憶部に格納された脈絡膜の断層画像の正常範囲を逸脱する場合には、OCT装置10の作動や対象体の眼の配置等を適宜補正し、再度ステップS101を実行するように構成してもよい。
(ステップS103)
算出部13bは、画像信号処理部13aで生成した脈絡膜を含む眼底の断層画像に基づき、記憶部15に格納された脈絡膜の特徴値の算出に関する算出プログラムに従い、脈絡膜の特徴値(脈絡膜の厚さ又は容積)を算出し、算出した脈絡膜の特徴値に関する情報を表示部16に出力するように制御する。このとき、算出部13bは、必要に応じて、記憶部15に格納された脈絡膜の特徴値の補正に関する補正プログラムに従い、脈絡膜の特徴値の補正を行ってもよい。また、表示部16は、入力された情報に基づいて脈絡膜の特徴値や補正内容を画像表示してもよい。
(ステップS104)
検出部14は、算出部13bで算出された脈絡膜の特徴値に関する情報と、記憶部15に格納されている脈絡膜の特徴値の基準値とに基づき、対象体はストレス状態にあるか否かを検出する。具体的には、検出部14では、脈絡膜の特徴値が基準値以上である場合には、対象体はストレス状態にあると検出し、脈絡膜の特徴値が基準値未満である場合には、対象体はストレス状態に無いと検出する。
次いで、検出部14での検出結果を表示部16に出力し、表示部16は入力された情報に基づいて対象体のストレス状態を画面表示する。このとき、検出部14の検出結果によりストレス状態にあると検出された場合には受診やカウンセリングが必要であるとして警告画面等を表示するように構成してもよい。なお、検出部14は、ストレス状態を多段階で検出して、表示部16で「高ストレス」「中ストレス」「低ストレス」など文字表示してもよいし、多段階で数値表示してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1.脈絡膜厚とストレスや不安との関連性についての検証
本実施例では、ストレスや不安と、眼組織の一部である脈絡膜厚との関連性を検証した。ここでは、自覚的なストレス検出方法による検出結果との関連性について評価した。
1.方法1−1.実施期間1−1−1.実施日
2017年7月〜10月の間の連続する3日〜4日間1−1−2.実施時間
夕方〜夜
1−2.対象体
大阪大学医学部付属病院の職員からランダムに選出した成人男女14人(内訳:男性6人、女性8人)。対象体のプロファイルを下記表1に要約する。
Figure 0006930763
1−3.検証手法
以下の3種類の方法で、対象体のストレス状態を検証した。
1−3−1.脈絡膜厚による検証
対象体に対して、SS-OCT(TOPCON(登録商標)SS-OCT、TOPON社製)による脈絡膜厚の測定を行った。脈絡膜の測定は、中心窩脈絡膜厚の測定により行った。具体的には、中心窩網膜が断層画面に対して出来るだけ垂直になるように眼底の断層画像を取得し、中心窩の網膜色素上皮の直下から、脈絡膜の下縁と思われる位置までの罫線を垂直に下ろし、その距離を中心窩脈絡膜厚として測定した。断層画像の取得に際しては、固視点の位置を微調整して、中心窩が断層画像の中心に来るように微調整した。また、対象体に対してIOLmaster(ZEISS社製)により眼軸長を測定すると共に、血圧及び脈拍の測定、並びに、BUT検査を実施した。また、測定時に、対象体が感じている自覚的ストレスを自己評価で点数化した。自覚的ストレスは、5段階(5:とてもある、4:ややある、3:少しだけある、2:ほとんどない、1:全くない)で評価した。
1−3−2.職業性ストレス簡易調査票による検証
対象体に対して、厚生労働省が推奨している職業性ストレス簡易調査票(57項目)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/stress-check_j.pdfを参照のこと)によるアンケートを実施し、アンケートの結果を素点換算表により採点した。職業性ストレス簡易調査票(57項目)は、A領域(ストレスの原因と考えられる因子)、B領域(ストレスによって起こる心身の反応)、C領域(ストレス反応に影響を与える他の因子)の3つの領域に分かれている。素点換算表による高ストレス者の選定方法は、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルに基づいて行った(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150803-1.pdfを参照のこと)。
1−3−3.日本語版気分・不安障害調査票(K6)による検証
対象体に対して日本語版気分・不安障害調査票(K6)によるアンケート(http://www.city.noshiro.akita.jp/upload/download/118779download.pdfを参照のこと)を実施し、アンケート結果を回収した。K6は Kessler他(Kessler RC他著、Psychological Medicine, 2002, 32, 959-976等を参照のこと)によって開発された気分・不安障害を測定する6項目、5件法の尺度であり、日本でも適応することができることが報告されている(Sakurai K他著、Psychiatry Clin Neurosci., 2011;65(5):434-441等を参照のこと)。カットオフ値については、上記したSakurai K他著、Psychiatry Clin Neurosci., 2011;65(5):434-441、Kessler RC他著、ARCH GEN PSYCHIATRY 2003;60:184-189、Bert LR Cornelius他著, BMC Public Health,2013;13:128、南部泰士他著、厚生の指標、2014年5月、第61巻、第5号、第23〜30頁、及び、川上憲人他著、平成16年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)「自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究」 分担研究報告書「成人期における自殺予防対策のあり方に関する精神保健的研究」等の報告に基づいて決定した。
2.結果2−1.各測定項目
対象体の平均中心窩脈絡膜厚、眼軸長、血圧、脈拍、BUT検査の測定結果を下記表2に要約する。
Figure 0006930763
2−2.脈絡膜厚と自覚的ストレスとの関連性
上記1−3−1.で測定した脈絡膜厚と自覚的ストレスとの関連性について検証した。
その結果を図3〜図5に示す。その結果、自覚的ストレスが高い場合には脈絡膜が厚くなり、自覚的ストレスが低い場合には脈絡膜が薄くなる一定の傾向は認められたが、自覚的ストレスが低いにも関わらず、脈絡膜厚の値が大きい対象体も認められた。ここで言う自覚的ストレスはアンケートによる自己申告のものであるため、ストレスがあったとしても自己で調整が出来る。一方脈絡膜の測定は他覚的検査であり、対象体の身体所見を直接反映している可能性があるため、真のストレスを反映している可能性がある。
2−3.脈絡膜厚と職業性ストレス簡易調査票(57項目)の結果との関連性
上記1−3−1.で測定した脈絡膜厚と上記1−3−2.で実施した職業性ストレス簡易調査票(57項目)の結果との関連性を検証した。図6に職業性ストレス簡易調査票(57項目)の結果を示す。図7に脈絡膜厚と職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)との関連性の検証結果を示すと共に、図8に脈絡膜厚/眼軸長と職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)との関連性の検証結果を示す。なお、脈絡膜厚は3日間又は4日間の平均中心窩脈絡膜厚である。その結果、職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)と脈絡膜厚は正の相関が認められ、ストレスによって起こる心身の反応が高い場合には脈絡膜が厚くなり、心身の反応が低い場合には脈絡膜が薄くなることが理解できる。特に、脈絡膜が薄い方での比較では、かなりの相関が認められた(Pearsonの相関係数=0.490879(図7))。これらの結果より、脈絡膜がストレスマーカであることが判明した。職業性ストレス簡易調査票(57項目)の調査票は回答を計算値に当てはめて算出するため、より精度の高いストレス調査票と考える。そのため本項目で得られたデータは強く脈絡膜がストレスと関連して厚みが変化すると理解できる。
2−4.脈絡膜厚と日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性
上記1−3−1.で測定した脈絡膜厚と上記1−3−3.で実施した日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性を検証した。図9に日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果を示すと共に、職業性ストレス簡易調査票(57項目)のストレスによって起こる心身の反応(B領域)との相関を示す。その結果、両者の間には相関が認められた。
図10に脈絡膜厚と日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性の検証結果を示すと共に、図11に脈絡膜厚/眼軸長と日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果との関連性の検証結果を示す。なお、脈絡膜厚は3日間又は4日間の平均中心窩脈絡膜厚である。その結果、日本語版気分・不安障害調査票(K6)の結果と脈絡膜厚は正の相関が認められ、K6の点数が高い場合には脈絡膜が厚くなり、K6の点数が低い場合には脈絡膜が薄くなることが理解できる。特に、脈絡膜が薄い方での比較では、かなりの相関が認められた(Pearsonの相関係数=0.453832(図10))これらの結果より、2−3.で得られた結果と同様に、脈絡膜がストレスマーカであることが判明した。日本語版気分・不安障害調査票(K6)は世界的にも使用されているものである。したがって、本研究のデータより世界的にも脈絡膜の厚みがストレスマーカであることが当然言えると理解でき、脈絡膜が厚ければ対象体はストレス状態にあると信頼性高く検出されることが理解できる。
2−5.その他の解析結果
脈絡膜厚に影響を与えることが報告されている因子について、検討した結果を下記表3〜表5に要約する。表3は、脈絡膜厚の測定時刻と中心窩脈絡膜厚(左右)の測定結果を示す。表4は、年齢と平均中心窩脈絡膜厚(左右)の測定結果を示し、年齢と脈絡膜厚には正の相関が認められることが理解できる。表5は、性別と平均中心窩脈絡膜厚(左右)の測定結果を示し、女性の方が男性よりも脈絡膜が厚い傾向があることが認められた。したがって、測定された脈絡膜厚に対して、年齢や性別等の脈絡膜厚に影響を与える因子に関して補正を行うことにより、より正確に脈絡膜厚に基づいて対象体のストレス状態を検出できることが理解できる。
測定時刻と中心窩脈絡膜厚
Figure 0006930763
Figure 0006930763
Figure 0006930763
本発明は、ストレス状態の検出を必要とする全ての技術分野、例えば、ストレス状態の早期発見やストレス状態により誘発される疾患や症状の予防等に利用することができ、特に労働者の健康管理等に利用できる。
10 :OCT装置
11 :画像取得部
12 :入力部
13 :演算部
13a :画像信号処理部
13b :算出部
14 :検出部
15 :記憶部
16 :表示部
X :ストレス検出装置

Claims (7)

  1. 対象体の脈絡膜の断層画像に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する工程を有し、
    前記断層画像は、網膜の中心窩下を含む領域、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から所定の方向に所定の距離だけ離れた領域を含んでおり、
    前記ストレス状態を検出する工程は、網膜の中心窩の位置、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から前記所定の方向に前記所定の距離だけ離れた位置を、中心位置として算出された脈絡膜厚又は脈絡膜の容積に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する工程を含む、ストレス状態の検出方法。
  2. 算出された前記脈絡膜厚が、中心窩下で300μm以上であるときにストレス状態にあると検出する請求項1に記載のストレス状態の検出方法。
  3. 前記ストレス状態を検出する工程は、算出された前記脈絡膜厚を、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子を用いて補正する工程を含む請求項1又は2に記載のストレス状態の検出方法。
  4. 前記ストレス状態を検出する工程は、算出された前記脈絡膜の容積を、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子を用いて補正する工程を含む請求項1又は2に記載のストレス状態の検出方法。
  5. 前記ストレス状態を検出する工程は、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子の差異に基づいて、ストレス状態にない群における脈絡膜厚又は脈絡膜の容積に関する補正係数を算出し、当該補正係数を用いて、前記脈絡膜厚又は前記脈絡膜の容積を補正して前記対象体のストレス状態を検出する工程を含む、請求項1又は2に記載のストレス状態の検出方法。
  6. 対象体の脈絡膜の断層画像を取得する画像取得部と、
    前記断層画像から脈絡膜厚又は脈絡膜の容積を算出する算出部と、
    前記脈絡膜厚又は脈絡膜の容積に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する検出部とを備え、
    前記断層画像は、網膜の中心窩下を含む領域、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から所定の方向に所定の距離だけ離れた領域を含んでおり、
    前記算出部は、網膜の中心窩の位置、又は、網膜の中心窩を基準として中心窩から前記所定の方向に前記所定の距離だけ離れた位置を、中心位置として算出された脈絡膜厚又は脈絡膜の容積に基づいて前記対象体のストレス状態を検出する、ストレス検出装置。
  7. 前記検出部は、検出時刻、前記対象体の年齢、性別、現病歴、及び、眼構造から得られる指標から選択される少なくともの1つの因子の差異に基づいて、ストレス状態にない群における脈絡膜厚又は脈絡膜の容積に関する補正係数を算出し、当該補正係数を用いて、前記脈絡膜厚又は前記脈絡膜の容積を補正して前記対象体のストレス状態を検出する、請求項6に記載のストレス検出装置
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