以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る弁装置の漏れ検査方法を適用し得る弁装置(流量制御用三方弁)の一例としての三方弁型モータバルブを示す外観斜視図、図2(a)(b)(c)は正面図、同右側面図及びアクチュエータ部の底面図、図3は図2(b)のA−A線断面図、図4は図2(a)のB−B線断面図、図5は図2(a)のC−C線断面図、図6は三方弁型モータバルブのバルブ本体を示す断面図、図7は三方弁型モータバルブの要部を示す断面斜視図、図8は三方弁型モータバルブの要部を示す分解斜視図である。
三方弁型モータバルブ1は、回転型3方向弁として構成されている。三方弁型モータバルブ1は、図1に示すように、大別して、下部に配置されたバルブ部2と、上部に配置されたアクチュエータ部3と、バルブ部2とアクチュエータ部3の間に配置されたシール部4及びカップリング部5とから構成されている。アクチュエータ部3は、カップリング部5の上部に配置されており、内部は、閉空間を構成している。
バルブ部2は、図2乃至図8に示すように、SUS等の金属により略直方体状に形成されたバルブ本体6を備えている。バルブ本体6には、図3及び図4に示すように、その一方の側面(図示例では、左側面)に流体が流出する第1の流出口7と、円柱形状の空所からなる弁座8に連通した断面矩形状の第1の弁口9がそれぞれ設けられている。
本実施の形態では、第1の流出口7及び第1の弁口9をバルブ本体6に直接設けるのではなく、第1の弁口9を形成した第1の弁口形成部材の一例である第1のバルブシート70と、第1の流出口7を形成する第1の流路形成部材15とをバルブ本体6に装着することにより、第1の流出口7及び第1の弁口9を設けている。なお、第1の流出口7及び第1の弁口9は、バルブ本体6に直接設けても勿論良い。
第1のバルブシート70は、図9に示すように、バルブ本体6の内側に配置される角筒形状に形成された角筒部71と、バルブ本体6の外側に配置される円筒形状に形成された円筒部72と、角筒部71と円筒部72の間に円筒部82側へ向けて外径が大きくなるように配置されたテーパー部73とを一体的に備えている。第1のバルブシート70の角筒部71の内部には、矩形状(本実施の形態では、正方形状)の断面を有する角柱形状の第1の弁口9が形成されている。また、第1のバルブシート70の円筒部72の内部には、第1の流出口7を形成する第1の流路形成部材15の一端部が密封された状態で挿入されるように構成されている。第1のバルブシート70の円筒部72と第1の流路形成部材15との間は、図4に示すように、Oリング15aによって密封されている。第1のバルブシート70の円筒部72の内周面には、図9に示すように、Oリング15aを収容する凹溝75が設けられている。
第1のバルブシート70の材料としては、例えば、所謂“スーパーエンジニアリングプラスチック”が用いられる。スーパーエンジニアリングプラスチックは、通常のエンジニアリングプラスチックを上回る耐熱性や高温時の機械的強度を有するものである。スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、あるいはこれらの複合材料などが挙げられる。なお、第1のバルブシート70の材料としては、例えば、エンズィンガージャパン株式会社製の切削加工用PEEK樹脂素材である「TECAPEEK」(登録商標)、特に10%PTFEを配合して摺動性に優れた「TECAPEEK TF 10 blue」(商品名)などが好適に使用される。
バルブ本体6には、図6及び図7に示されるように、第1のバルブシート70の外形状に対応し当該バルブシート70と相似形状の凹所76が切削加工等により形成されている。凹所76は、第1のバルブシート70の角筒部71に対応した角筒部76aと、円筒部72に対応した円筒部76bと、テーパー部73に対応したテーパー部76cとを備えている。バルブ本体6の円筒部76bは、第1のバルブシート70の円筒部72より長さが長く設定されている。バルブ本体6の円筒部76bは、後述するように、第1の圧力作用部94を形成している。第1のバルブシート70は、バルブ本体6の凹所76に対して弁体としての弁軸34に接離する方向に微小な距離ではあるが移動自在に装着される。
第1のバルブシート70は、バルブ本体6の凹所76に装着された状態で、第1のバルブシート70の外周面とバルブ本体6の凹所76の内周面との間には、微小な間隙が形成されている。弁座8の内部に流入した流体は、第1のバルブシート70の外周の領域に微小な間隙を介して漏れて流入可能となっている。また、第1のバルブシート70の外周の領域へと漏れた流体は、当該第1のバルブシート70の円筒部72の外側に位置する空間からなる第1の圧力作用部94へと導入される。この第1の圧力作用部94は、流体の圧力を第1のバルブシート70の弁軸34と反対側の面70aに作用させるものである。弁座8の内部に流入する流体は、第1の弁口9を介して流出する流体の他、後述するように、第2の弁口18を介して流出する流体である。第1の圧力作用部94は、第1の流出口7との間が第1の流路形成部材15によって密封された状態で区画されている。
弁座8の内部に配置された弁軸34に作用する流体の圧力は、弁軸34の開閉度による流体の流量に依存する。弁座8の内部に流入する流体は、第1の弁口9と第2の弁口18を介して弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙にも流れ込む(漏れ入る)。したがって、第1のバルブシート70に対応した第1の圧力作用部94には、第1の弁口9から流出する流体以外に、弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙に流れ込んだ第2の弁口18から流出する流体も流れ込む(漏れ入る)。
また、第1のバルブシート70のテーパー部73と凹所76のテーパー部76cとの間には、図3、図4及び図7に示すように、微小な間隙が形成されている。その結果、バルブ本体6の凹所76は、第1のバルブシート70を装着した状態で、テーパー部73と凹所76のテーパー部76cとの間の微小な間隙に対応した距離だけ、当該バルブシート70がバルブ本体6の内外方向に沿って数100μm〜数mm程度にわたり移動(変位)自在であり、バルブシート70の装着位置が調整可能となっている。
第1のバルブシート70の角筒部71の先端には、図9(b)に示すように、バルブ本体6に形成された円柱形状の弁座8に対応した円柱形状の曲面の一部を成す平面円弧形状の間隙縮小部の一例としての凹部74が設けられている。凹部74の曲率半径Rは、弁座8の曲率半径又は弁軸34の曲率半径と略等しい値に設定される。バルブ本体6の弁座8は、後述するように、当該弁座8の内部で回転する弁軸34の齧りを防止するため、弁軸34の外周面との間に僅かな間隙を形成している。第1のバルブシート70の凹部74は、図10に示すように、当該第1のバルブシート70をバルブ本体6に装着した状態でバルブ本体6の弁座8より弁軸34側に突出するように装着されるか、又は弁軸34の外周面に接触するように装着される。その結果、弁軸34と当該弁軸34と対向する部材としてのバルブ本体6の弁座8の内面との間隙Gは、第1のバルブシート70の凹部74が突出した分だけ弁座8の他の部分に比較して部分的に縮小された値に設定される。このように、第1のバルブシート70の凹部74と弁軸34との間隙G1は、弁軸34と弁座8の内面との間隙G2より狭い(小さい)所要の値(G1<G2)に設定されている。なお、第1のバルブシート70の凹部74と弁軸34との間隙G1は、バルブシート70の凹部74が弁軸34に接触した状態、つまり間隙無しの状態(間隙G1=0)であっても良い。
ただし、第1のバルブシート70の凹部74が弁軸34に接触する場合には、弁軸34を回転駆動する際に凹部74の接触抵抗によって弁軸34の駆動トルクが上昇する虞れがある。そのため、第1のバルブシート70の凹部74が弁軸34に接触する程度は、弁軸34の回転トルクを考慮して調整される。すなわち、弁軸34の駆動トルクが増加しないか、増加してもその増加量が小さく、弁軸34の回転に支障がない程度に調整される。
第1の流路形成部材15は、図8に示すように、SUS等の金属によって比較的薄肉の円筒形状に形成されている。第1の流路形成部材15は、第1のバルブシート70の位置変動にかかわらず、第1の弁口9に連通した第1の流出口7を内部に形成している。
第1のバルブシート70の円筒部72の軸方向に沿った外側には、当該第1のバルブシート70が弁軸34に対して接離する方向に変位するのを許容しつつ、当該第1のバルブシート70を弁軸34に対して接離する方向に移動するのを許容する弾性部材の一例としての第1のウェーブワッシャー(波状ワッシャー)16が設けられている。第1のウェーブワッシャー16は、図11に示すように、ステンレスや鉄、あるいは燐青銅などからなり、正面に投影した形状が所要の幅を有する円環状に形成されている。また、第1のウェーブワッシャー16は、側面形状がウェーブ状(波状)に形成されており、その厚さ方向に沿って弾性変形が可能となっている。第1のウェーブワッシャー16の弾性率は、厚さや材質、あるいは波の数等によって決定される。第1のウェーブワッシャー16は、第1の圧力作用部94に収容されている。
さらに、第1のウェーブワッシャー16の外側には、当該第1のウェーブワッシャー16を介して弁軸34と第1のバルブシート70の凹部74との間隙G1を調整する調整部材の一例としての第1の調整リング77が配置される。第1の調整リング77は、図12に示すように、耐熱性を有する合成樹脂又は金属によって外周面に雄ネジ77aが形成された相対的に長さが短く設定された円筒形状の部材からなる。第1の調整リング77の外側の端面には、当該第1の調整リング77をバルブ本体6に設けられた雌ネジ部78に締め付けて装着する際に、締付量を調整するための図示しない治具を係止して当該第1の調整リング77を回転させるための凹溝77bが180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
バルブ本体6には、図6に示すように、第1の調整リング77を装着するための第1の雌ネジ部78が設けられている。バルブ本体6の開口端部には、外周に向けて直径が拡大するようにテーパー部79が設けられている。テーパー部79には、Oリング79aが介在される。
第1の調整リング77は、バルブ本体6の雌ネジ部78に対する締め込み量を調整することにより、当該第1の調整リング77が第1のウェーブワッシャー16を介して第1のバルブシート70を内側に向けて押動する量(距離)を調整するものである。第1の調整リング70の締め込み量を増加させると、第1のバルブシート70は、図10に示すように、第1の調整リング77によって第1のウェーブワッシャー16を介して押され、凹部74が弁座8の内周面から突出して弁軸34に近接する方向に変位し、当該凹部74と弁軸34との間隙G1が減少する。また、第1の調整リング77の締め込み量を予め少ない量に設定すると、第1のバルブシート70は、第1の調整リング77によって押動される距離が減少し、弁軸34から離間した位置に配置され、第1のバルブシート70の凹部74と弁軸34との間隙G1が相対的に増大する。第1の調整リング77の雄ネジ77a及びバルブ本体6の雌ネジ部78は、そのピッチが小さく設定されており、第1のバルブシート70の突出量を微調整可能に構成されている。
また、バルブ本体6の一側面には、図3及び図4に示すように、流体を流出させる図示しない配管等を接続するため接続部材の一例としての第1のフランジ部材10が4本の六角穴付きボルト11により取り付けられている。図8中、符号11aは、六角穴付きボルト11が締結されるネジ孔を示している。第1のフランジ部材10は、バルブ本体6と同様にSUS等の金属により形成される。第1のフランジ部材10は、バルブ本体6の側面形状と略同一の側面矩形状に形成されたフランジ部12と、フランジ部12の内側面に円筒形状に突設された挿入部13(図3参照)と、フランジ部12の外側面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部14とを有している。第1のフランジ部材10の挿入部13と第1の流路形成部材15との間は、図4に示すように、Oリング13aによって密封されている。第1のフランジ部材10の挿入部13の内周面には、Oリング13aを収容する凹溝13bが設けられている。配管接続部14の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2や直径約0.58インチの雌ネジに設定されている。なお、配管接続部14の形状は、テーパー付き雌ネジ或いは雌ネジに限定されるものではなく、チューブを装着するチューブフィッティングなどでもよく、第1の流出口7から流体を流出可能なものであれば良い。
バルブ本体6には、図3及び図4に示すように、その他方の側面(図中、右側面)に流体が流出する第2の流出口17と、円柱形状の空所からなる弁座8に連通した断面矩形状の第2の弁口18がそれぞれ設けられている。
本実施の形態では、第2の流出口17及び第2の弁口18をバルブ本体6に直接設けるのではなく、第2の弁口18を形成した弁口形成部材の一例としての第2のバルブシート80と、第2の流出口17を形成した第2の流路形成部材25とをバルブ本体6に装着することにより、第2の流出口17及び第2の弁口18を設けている。
第2のバルブシート80は、図9に符号を括弧付きで示すように、第1のバルブシート70と同様に構成されている。すなわち、第2のバルブシート80は、バルブ本体6の内側に配置される角筒形状に形成された角筒部81と、バルブ本体6の外側に配置される円筒形状に形成された円筒部82と、角筒部81と円筒部82の間に円筒部82側へ向けて外径が大きくなるよう配置されたテーパー部83とを一体的に備えている。第2のバルブシート80の角筒部81の内部には、矩形状(本実施の形態では、正方形状)の断面を有する角柱形状の第2の弁口18が形成されている。また、第2のバルブシート80の円筒部82の内部には、第2の流出口17を形成する第2の流路形成部材25の一端部が密封された状態で挿入されるように配置されている。第2のバルブシート80の円筒部82と第2の流路形成部材25との間は、図4に示すように、Oリング25aによって密封されている。第2のバルブシート80の円筒部82の内周面には、図9に示すように、Oリング25aを収容する凹溝85が設けられている。
バルブ本体6には、図6及び図7に示されるように、第2のバルブシート80の外形状に対応し当該バルブシート80と相似形状の凹所86が切削加工等により形成されている。凹所86は、第2のバルブシート80の角筒部81に対応した角筒部86aと、円筒部82に対応した円筒部86bと、テーパー部83に対応したテーパー部86cとを備えている。バルブ本体6の円筒部86bは、第2のバルブシート80の円筒部82より長さが長く設定されている。バルブ本体6の円筒部86bは、後述するように、第2の圧力作用部96を形成している。第2のバルブシート80は、バルブ本体6の凹所86に対して弁体としての弁軸34に接離する方向に微小な距離ではあるが移動自在に装着される。
第2のバルブシート80は、バルブ本体6の凹所86に装着された状態で、バルブシート80の角筒部81とバルブ本体6の角筒部86aとの間には、微小な間隙が形成されている。弁座8の内部に流入した流体は、微小な間隙を介して第2のバルブシート80の外周の領域に流入可能となっている。また、第2のバルブシート80の外周の領域へと流入した流体は、当該第2のバルブシート80の円筒部82の外側に位置する空間からなる第2の圧力作用部96へと導入される。この第2の圧力作用部96は、流体の圧力を第2のバルブシート80の弁軸34と反対側の面80aに作用させるものである。弁座8の内部に流入する流体は、第2の弁口18を介して流出する流体の他、第1の弁口9を介して流出する流体がある。第2の圧力作用部98は、第2の流出口17との間が第2の流路形成部材25によって密封された状態で区画されている。
弁座8の内部に配置された弁軸34に作用する流体の圧力は、弁軸34の開閉度による流体の流量に依存する。弁座8の内部に流入する流体は、第1の弁口9と第2の弁口18を介して弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙にも流れ込む(漏れ入る)。したがって、第2のバルブシート80に対応した第2の圧力作用部96には、第2の弁口18から流出する流体以外に、弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙に流れ込んだ第1の弁口9から流出する流体も流入する。
また、第2のバルブシート80のテーパー部83と凹所86のテーパー部86cとの間には、図3及び図4に示すように、微小な間隙が形成されている。その結果、バルブ本体6の凹所86は、第2のバルブシート80を装着した状態で、テーパー部83と凹所86のテーパー部86cとの間の微小な間隙に対応した距離だけ、当該バルブシート80がバルブ本体6の内外方向に沿って数100μm〜数mm程度にわたり移動自在であり、バルブシート80の装着位置が調整可能となっている。なお、第2のバルブシート80は、第1のバルブシート70と同じ材料により形成されている。
第2のバルブシート80の角筒部81の先端には、図9(b)に示すように、バルブ本体6に形成された円柱形状の弁座8に対応した円柱形状の曲面の一部を成す平面円弧形状の間隙縮小部の一例としての凹部84が設けられている。凹部84の曲率半径Rは、弁座8の曲率半径又は弁軸34の曲率半径と略等しい値に設定される。バルブ本体6の弁座8は、後述するように、当該弁座8の内部で回転する弁軸34の齧りを防止するため、弁軸34の外周面との間に僅かな間隙を形成している。第2のバルブシート80の凹部84は、当該第2のバルブシート70をバルブ本体6に装着した状態でバルブ本体6の弁座8より弁軸34側に突出するように装着されるか、又は弁軸34の外周面に接触するように装着される。その結果、弁軸34と当該弁軸34と対向する部材としてのバルブ本体6の弁座8の内面との間隙Gは、第2のバルブシート80の凹部84が突出した分だけ弁座8の他の部分に比較して部分的に縮小された値に設定される。このように、第2のバルブシート80の凹部84と弁軸34との間隙G3は、弁軸34と弁座8の内面との間隙G2より狭い(小さい)所要の値(G3<G2)に設定されている。なお、第2のバルブシート80の凹部84と弁軸34との間隙G3は、バルブシート80の凹部84が弁軸34に接触した状態、つまり間隙無しの状態(間隙G3=0)であっても良い。
ただし、第2のバルブシート80の凹部84が弁軸34に接触する場合には、弁軸34を回転駆動する際に凹部84の接触抵抗によって弁軸34の駆動トルクが上昇する虞れがある。そのため、第2のバルブシート70の凹部84が弁軸34に接触する程度は、初期的に、弁軸34の回転トルクを考慮して調整される。すなわち、弁軸34の駆動トルクが増加しないか、増加してもその増加量が小さく、弁軸34の回転に支障がない程度に調整される。
第2のバルブシート80の円筒部82の外側には、当該第2のバルブシート80が弁軸34に対して接離する方向に変位するのを許容しつつ、当該第2のバルブシート80を弁軸34に対して接触する方向に押動する弾性部材の一例としての第2のウェーブワッシャー(波形ワッシャー)26が設けられている。第2のウェーブワッシャー26は、図11に示すように、ステンレスや鉄、あるいは燐青銅などからなり、正面に投影した形状が所要の幅を有する円環状に形成されている。また、第2のウェーブワッシャー26は、側面形状がウェーブ状(波状)に形成されており、その厚さ方向に沿って弾性変形が可能となっている。第2のウェーブワッシャー26の弾性率は、厚さや材質、あるいは波の数等によって決定される。第2のウェーブワッシャー26としては、第1のウェーブワッシャー16と同一のものが使用される。
さらに、第2のウェーブワッシャー26の外側には、当該第2のウェーブワッシャー26を介して弁軸34と第2のバルブシート80の凹部84との間隙G3を調整する調整部材の一例としての第2の調整リング87が配置される。第2の調整リング87は、図12に示すように、耐熱性を有する合成樹脂又は金属によって外周面に雄ネジ87aが形成された相対的に長さが短く設定された円筒形状の部材からなる。第2の調整リング87の外側の端面には、当該第2の調整リング87をバルブ本体6に設けられた雌ネジ部88に締め付けて装着する際に、締付量を調整するための図示しない治具を係止して当該第2の調整リング87を回転させるための凹溝87bが180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
バルブ本体6には、図6及び図7に示すように、第2の調整リング87を装着するための第2の雌ネジ部88が設けられている。バルブ本体6の開口端部には、外周に向けて直径が拡大するようにテーパー部89が設けられている。テーパー部89には、Oリング89aが介在される。
第2の調整リング87は、バルブ本体6の雌ネジ部88に対する締め込み量を調整することにより、当該第2の調整リング877が第2のウェーブワッシャー26を介して第2のバルブシート80を内側に向けて押動する量(距離)を調整するものである。第2の調整リング87の締め込み量を増加させると、第2のバルブシート80は、図10に示すように、第2の調整リング87によって第2のウェーブワッシャー26を介して押され、凹部84が弁座8の内周面から突出して弁軸34に近接する方向に変位し、当該凹部84と弁軸34との間隙G3が減少する。また、第2の調整リング87の締め込み量を予め少ない量に設定すると、第2のバルブシート80は、第2の調整リング87によって押動される距離が減少し、弁軸34から離間した位置に配置され、第2のバルブシート80の凹部84と弁軸34との間隙G3が相対的に増大する。第2の調整リング87の雄ネジ87a及びバルブ本体6の雌ネジ部88は、そのピッチが小さく設定されており、第2のバルブシート80の突出量を微調整可能に構成されている。
バルブ本体6の他方の側面には、図3及び図4に示すように、流体を流出させる図示しない配管を接続するため接続部材の一例としての第2のフランジ部材19が4本の六角穴付きボルト20により取り付けられている。第2のフランジ部材19は、第1のフランジ部材10と同様にSUS等の金属により形成される。第2のフランジ部材19は、バルブ本体6の側面形状と同一の側面矩形状に形成されたフランジ部21と、フランジ部21の内側面に円筒形状に突設された挿入部22と、フランジ部21の外側面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部23とを有している。第2のフランジ部材19の挿入部22と第2の流路形成部材25との間は、図4に示すように、Oリング22aによって密封されている。第2のフランジ部材19の挿入部22の内周面には、Oリング22aを収容する凹溝22bが設けられている。配管接続部23の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2や、直径約0.58インチの雌ネジに設定されている。なお、配管接続部23の形状は、配管接続部14と同様、テーパー付き雌ネジ或いは雌ネジに限定されるものではなく、チューブを装着するチューブフィッティングなどでもよく、第2の流出口17から流体を流出可能なものであれば良い。
尚、図3及び図4に示す実施の形態では、第1及び第2の流路形成部材15,25を第1及び第2のフランジ部材10,19にわたり長尺に設けた場合について図示したが、第1及び第2の流路形成部材15,25は、これよりも短くとも良い。すなわち、第1及び第2の流路形成部材15,25は、図7に示すように、第1及び第2の調整リング77,87の内側にそれぞれ配置される第1及び第2の密封部材97,98までに達する相対的に短い長さに設定しても良い。第1及び第2の調整リング77,87は、第1及び第2のウェーブワッシャー16,26と同様に、第1及び第2の圧力作用部96の内部に配置される。第1及び第2の調整リング77,87の内周面及び外周面には、第1及び第2の流路形成部材15,25との間を密封する図示しないOリングを収容する凹溝97a,98aが形成されている。また、第1及び第2のフランジ部材10,19は、バルブ本体6に設けられたテーパー部89に介在されるOリング89aによって密封されるのではなく、図7に示すように、第1及び第2のフランジ部材10,19のフランジ部12,21の内面に設けられた凹溝12a,21aに装着されるOリング79a,89aによって密封されるように構成しても良い。
ここで、流体としては、例えば、圧力が0〜1MPa、0〜80℃程度の温度に調整された水(純水など)などが好適に使用される。また、流体としては、例えば、−20〜+120℃程度の温度範囲において、−20℃程度の温度においても凍結せず、+120℃程度においても沸騰しないフロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、エチレングリコール等の流体が使用される。
また、バルブ本体6には、図3に示すように、その下端面に流体が流入する第3の弁口として断面円形状の流入口26が開口されている。バルブ本体6の下端面には、流体を流入させる図示しない配管を接続するため接続部材の一例としての第3のフランジ部材27が4本の六角穴付きボルト28により取り付けられている。流入口26の下端部には、第3のフランジ部材27を装着するためテーパー状に拡径したテーパー部26aを介して円筒部26bが開口されている。なお、流入口26の下端部には、図7に示すように、テーパー部26aを設けずに円筒部26bのみを設けるように構成しても良い。第3のフランジ部材27は、第1及び第2のフランジ部材10,19と同様にSUS等の金属により形成される。第3のフランジ部材27は、バルブ本体6の下端面形状より小さい平面矩形状に形成されたフランジ部29と、フランジ部29の上端面に円筒形状に突設された挿入部30と、フランジ部29の下端面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部31とを有している。配管接続部31の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2や直径約0.58インチの雌ネジに設定されている。バルブ本体6の流入口26の下端内周端には、第3のフランジ部材27のフランジ部29との間にOリング32を装着するための面取り33が施されている。なお、配管接続部31の形状は、テーパー付き雌ネジ或いは雌ネジに限定されるものではなく、チューブを装着するチューブフィッティングなどでもよく、流入口26から流体を流入可能なものであれば良い。なお、第3のフランジ部材27のフランジ部29の密封構造は、図7に示すように、第1及び第2のフランジ部材10,19と同様に、フランジ部29の内面に設けられた図示しない凹溝に装着されるOリングによって密封されるように構成しても良い。
バルブ本体6の中央には、第1及び第2のバルブシート70,80を装着することによって断面矩形状の第1の弁口9及び断面矩形状の第2の弁口18が設けられる弁座8を備えている。弁座8は、後述する弁体の外形状に対応した円柱形状に形成された空所からなる。また、弁座8の一部は、第1及び第2のバルブシート70,80によって形成されている。円柱形状に形成された弁座8は、バルブ本体6の上端面に貫通した状態で設けられる。バルブ本体6に設けられる第1の弁口9及び第2の弁口18は、図13に示すように、円柱形状に形成された弁座8の中心軸(回転軸)Cに対して軸対称に配置されている。更に説明すると、第1の弁口9及び第2の弁口18は、円柱形状に形成された弁座8に対して直交するように配置されており、第1の弁口9の一方の端縁は、中心軸Cを介して第2の弁口18の他方の端縁と対向する位置(180度異なる位置)に開口されている。また、第1の弁口9の他方の端縁は、中心軸Cを介して第2の弁口18の一方の端縁と対向する位置(180度異なる位置)に開口されている。なお、図13では、便宜上、弁座8と弁軸34との間隙は図示が省略されている。
また、第1の弁口9及び第2の弁口18は、図3及び図4に示すように、上記のごとく、バルブ本体6に第1及び第2のバルブシート70,80を装着することによって形成される断面正方形状等の断面矩形状に形成された開口部からなる。第1の弁口9及び第2の弁口18は、その一辺の長さが第1の流出口7及び第2の流出口17の直径より小さく設定されており、当該第1の流出口7及び第2の流出口17に内接する断面矩形状に形成されている。
弁体の一例としての弁軸34は、図14に示すように、SUS等の金属により外形が略円柱形状に形成されている。弁軸34は、大別して、弁体として機能する弁体部35と、当該弁体部35の上下にそれぞれ設けられて弁軸34を回転自在に支持する上下の軸支部36,37と、上軸支部36の上部に設けられたシール部38と、シール部38の上部にテーパー部39を介して設けられたカップリング部40とを一体的に備えている。
上下の軸支部36,37は、弁体部35より外径が小さく同一又は異なる直径を有するように設定された円筒形状にそれぞれ形成されている。下軸支部37の軸方向に沿った長さは、上軸支部36より若干長く設定されている。下軸支部37は、図3に示すように、バルブ本体6に設けられた弁座8の下端部にベアリング41を介して回転自在に支持されている。弁座8の下部には、ベアリング41を支持する環状の支持部42が内周へ向けて突出するように設けられている。ベアリング41、支持部42及び第3の弁口26は、同一の内径に設定されており、弁体部35の内部へと温度制御用流体が抵抗を殆ど生じることなく流入するよう構成されている。一方、上軸支部36には、スラストワッシャー43が装着されており、弁軸34が後述するシール筐体53に押圧されることで発生する負荷を低減させている。
また、弁体部35は、図3及び図14(b)に示すように、第1及び第2の弁口9,18の開口高H1より高さが低い開口高H2を有する略半円筒形状の開口部44が設けられた円筒形状に形成されている。弁体部35の開口部44が設けられた弁動作部45は、予め定められた中心角α(例えば、約190度)を有する半円筒形状(円筒形状の部分のうち、開口部44を除いた略半円筒形状)に形成されている。弁動作部45は、開口部44の上下に位置する弁体部35を含めて第1の弁口9を閉状態から開状態に切り替えると同時に、第2の弁口18を逆方向の開状態から閉状態に切り替えるよう弁座8内に且つ弁座8の内周面に金属同士の齧りを防止するため微小な間隙を介して非接触状態となるよう回転自在に配置されている。弁動作部45の上下に配置された上下の弁軸部46,47は、図14に示すように、弁動作部45と同一の外径を有する円筒形状に形成されており、弁座8の内周面に微小な間隙を介して非接触状態にて回転自在となっている。弁動作部45及び上下の弁軸部46,47、更にはシール部38にわたる内部には、円柱形状の空所48が下端部に向けて貫通した状態で設けられている。
また、弁動作部45は、周方向(回転方向)に沿った両端面45a,45bがその中心軸Cと交差する(直交する)方向に沿った断面形状が曲面形状に形成されている。更に説明すると、弁動作部45は、図14に示すように、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が開口部44に向けて凸形状を成す円弧形状に形成されている。両端部45a,45bの曲率半径は、例えば、弁動作部45の厚さTの1/2に設定される。その結果、両端部45a,45bの断面形状は、半円形状となる。
弁動作部45は、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が円弧形状に限定されるものではなく、周方向(回転方向)に沿った両端面45a,45bが曲面形状に形成されても良い。弁動作部45としては、図15(b)に示すように、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が外周面側に位置する第1の曲線部50と、内周面側に位置して第1の曲線部50より曲率半径が小さい第2の曲線部51を滑らかに接続した曲線状に形成することも可能である。
弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、図15に示すように、弁軸34が回転駆動されて第1及び第2の弁口9,18を開閉する際に、流体の流れの中において、第1及び第2の弁口9,18の周方向に沿った端部から突出する又は退避するように移動(回転)することで第1及び第2の弁口9,18を開状態から閉状態あるいは閉状態から開状態へと移行させる。このとき、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積をより一層リニア(直線状)に変化させるため、断面形状が曲面形状に形成されていることが望ましい。
また、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、これに限定されず、図16に示すように、半径方向に沿った平面形状に形成しても良い。弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bを平面形状に形成した場合でも、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積を略リニア(直線状)に変化させることができる。
シール部4は、図3に示すように、弁軸34を液密状態に密封するものである。シール部4は、SUS等の金属によって弁軸34を挿通する挿通孔52を有する円筒形状に形成されたシール筐体53を有している。シール筐体53は、図6に示すように、バルブ本体6の上端面に設けられた円柱形状の凹部54に配置されている。シール筐体53は、環状のシール部材55,56を介して弁軸34との位置関係が決まり、位置決めピン58(図2(b)参照)を介して後述するスペーサ部材59に対して回り止め状態に固定される構造となっている。シール筐体53の内周面には、弁軸34を密封するOリング等からなる2つの環状のシール部材55,56が上下に配置されている。シール部材55,56としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製のOリングが用いられる。上方に位置するシール部材56は、押さえ部材56aにより押さえられている。また、シール筐体53は、Oリング等からなる環状のシール部材57によりバルブ本体6に対して密封されている。
カップリング部5は、シール部4が内蔵されたバルブ本体6とアクチュエータ部3との間に配置されている。カップリング部5は、弁軸34と当該弁軸34を一体に回転させる図示しない回転軸とを連結するためのものである。カップリング部5は、シール部4とアクチュエータ部3の間に配置されたスペーサ部材59と、スペーサ部材59の上部に固定されたアダプタプレート60と、スペーサ部材59及びアダプタプレート60の内部に貫通状態で形成された円柱形状の空間61に収容され、弁軸34と図示しない回転軸とを連結するカップリング部材62とから構成されている。スペーサ部材59は、SUS等の金属又は耐熱性を有する合成樹脂によりバルブ本体6と略同一の平面形状を有する比較的高さが低い角筒状に形成されている。スペーサ部材59は、ネジ止め等の手段によってバルブ本体6及びアダプタプレート60の双方に固定される。また、アダプタプレート60は、図2(c)に示すように、SUS等の金属又は耐熱性を有する合成樹脂により平面多角形の板状に形成されている。アダプタプレート60は、六角孔付きボルト63によりアクチュエータ部3の基盤64に固定した状態で取り付けられる。
カップリング部材62は、図3に示すように、金属や耐熱性を有する合成樹脂、或いはセラミクス等により円柱形状に形成されたものである。弁軸34の上端には、水平方向に沿って貫通するように凹溝65が設けられている。そして、弁軸34は、カップリング部材62に設けられた凸部66を凹溝65に嵌合することによりカップリング部材62に連結固定されている。一方、カップリング部材62の上端には、水平方向に沿って貫通するように凹溝67が設けられている。図示しない回転軸は、カップリング部材62に設けられた凹溝67に図示しない凸部を嵌合することによりカップリング部材62に連結固定される。スペーサ部材59は、シール部材55,56からの漏れを検査するための検査用の開口部68を側面に有している。開口部68は、例えば、その直径が約4mmの円筒状に形成されている。
アクチュエータ部3は、図2に示すように、平面矩形状に形成された基盤64を備えている。基盤64の上部には、ステッピングモータやエンコーダ等からなる駆動手段を内蔵した直方体形状の箱体として構成されたケーシング90がビス91止めにより装着されている。アクチュエータ部3の駆動手段は、制御信号に基づいて図示しない回転軸を所望の方向に所定の精度で回転可能なものであれば良く、その構成は限定されない。駆動手段は、ステッピングモータ及び当該ステッピングモータの回転駆動力をギア等の駆動力伝達手段を介して回転軸に伝達する駆動力伝達機構、並びに回転軸の回転角度を検出するエンコーダ等の角度センサにより構成される。
なお、図2中、符号92はステッピングモータ側ケーブルを、93は角度センサ側ケーブルをそれぞれ示している。これらステッピングモータ側ケーブル92及び角度センサ側ケーブル93は、三方弁型モータバルブ1を制御する図示しない制御装置にそれぞれ接続される。
<三方弁型モータバルブの動作>
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、次のようにして流体の流量が制御される。
三方弁型モータバルブ1は、図8に示すように、組立時又は使用する際の調整時に、第1及び第2のフランジ部材10,19がバルブ本体6から一旦取り外され、調整リング77,87が外部に露出した状態とされる。この状態で、図示しない治具を用いて調整リング77,87のバルブ本体6に対する締付量を調整することにより、図10に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80におけるバルブ本体6の弁座8に対する突出量を変化させる。調整リング77,87のバルブ本体6に対する締付量を増加させた場合には、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84がバルブ本体6の弁座8の内周面から突出し、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1が減少して、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面とが接触するに至る。一方、調整リング77,87のバルブ本体6に対する締付量を減少させた場合には、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84がバルブ本体6の弁座8の内周面から突出する長さが減少し、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1が増加する。
本実施の形態では、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1が10μm未満に設定される。ただし、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1は、この値に限定されるものではなく、当該値より小さい値、例えば間隙G1=0μm(接触状態)であっても良く、10μm以上に設定しても良い。
三方弁型モータバルブ1は、図1に示すように、第3のフランジ部材27を介して流体が図示しない配管を介して流入し、第1のフランジ部材10及び第2のフランジ部材19を介して流体が図示しない配管を介して流出する。また、三方弁型モータバルブ1は、図13(a)に示すように、例えば、動作を開始する前の初期状態において、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると同時に第2の弁口18を開放(全開)した状態とされる。
三方弁型モータバルブ1は、図3に示すように、アクチュエータ部3に設けられた図示しないステッピングモータを所定量だけ回転駆動させると、ステッピングモータの回転量に応じて図示しない回転軸が回転駆動される。三方弁型モータバルブ1は、回転軸が回転駆動されると、当該回転軸に連結固定された弁軸34が回転軸の回転量(回転角)と同一の角度だけ回転する。弁軸34の回転に伴って弁動作部45が弁座8の内部において回転し、図15(a)に示すように、弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を徐々に開放して、流入口26から流入した流体が弁座8の内部に流入するとともに、第1のハウジング部材10から第1の流出口7を介して流出する。
このとき、弁動作部45の周方向に沿った他端部45bは、図15(a)に示すように、第2の弁口18を開放しているため、流入口27から流入した流体が弁座8の内部に流入して弁軸34の回転量に応じて分配されるととともに、第2のハウジング部材19から第2の流出口17を介して外部に流出する。
三方弁型モータバルブ1は、図15(a)に示すように、弁軸34が回転駆動されて弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を徐々に開放すると、弁座8並びに弁軸34の内部を通って流体が第1及び第2の弁口9,18を介して第1及び第2の流出口9,18を介して外部に供給される。
また、三方弁型モータバルブ1は、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bが断面曲面形状又は断面平面形状に形成されているため、弁軸34の回転角度に対して第1及び第2の弁口9,18の開口面積をリニア(直線状)に変化させることが可能となる。また、弁動作部45の両端部45a,45bによって流量が規制される流体が層流に近い状態で流動すると考えられ、第1の弁口9及び第2の弁口18の開口面積に応じて流体の分配比(流量)を精度良く制御することができる。
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、上述したように、初期的に、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると同時に第2の弁口18を開放(全開)した状態とされる。
このとき、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると、理想的には、流体の流量がゼロとなる筈である。
しかしながら、三方弁型モータバルブ1は、図10に示すように、弁軸34が弁座8の内周面に対して金属同士の齧りを防止するために、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して非接触状態となるよう回転自在に配置されている。その結果、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間には、微小な間隙G2が形成されている。そのため、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)した場合であっても、流体の流量がゼロとならず、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に存在する微小な間隙G2を介して流体が少量ながら第2の弁口18側へ流れ込もうとする。
ところで、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、図10に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80に凹部74,84が設けられており、当該凹部74,84が弁座8の内周面から弁軸34側に突出して、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間の間隙G1を部分的に縮小している。
したがって、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34が弁座8の内周面に対して金属同士の齧りを防止するため、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して非接触状態となるよう回転自在に配置されていても、流体が第1の弁口9から弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に存在する微小な間隙G2へ流れ込むことが、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間隙が部分的に縮小された領域である間隙G1により大幅に制限されて抑制される。
そのため、三方弁型モータバルブ1では、弁軸34と当該弁軸34と対向する第1及び第2のバルブシート70,80との間隙を部分的に縮小するよう設けられた凹部74,84を備えない三方弁型モータバルブに比較して、当該三方弁型モータバルブ1の全閉時における流体の漏れを大幅に抑制することが可能となる。
望ましくは、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1は、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84を弁軸34の外周面と接触させることにより、間隙G1,G2を大幅に縮小することができ、当該三方弁型モータバルブ1の全閉時における流体の漏れが大幅に抑制される。
また同様に、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の弁動作部45が第2の弁口18を閉塞(全閉)とした場合にも、流体が第2の弁口18を介して、他方の第1の弁口9側に漏れて流出するのを大幅に抑制することができる。
さらに、本実施の形態では、図3に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80の弁軸34と反対側の面70a,80aに、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して流体の圧力を作用させる第1及び第2の圧力作用部94,96が設けられている。そのため、三方弁型モータバルブ1は、図13(a)に示すように、開度0%つまり第1の弁口9が全閉の付近、及び開度100%つまり第1の弁口9が全開の付近において、第1及び第2の弁口9,18が全閉に近づくと、当該第1及び第2の弁口9,18から流出する流体の量が大幅に減少する。これに伴って、三方弁型モータバルブ1は、全閉状態に近づく弁口では、流出する流体の圧力が低下する。そのため、例えば開度0%つまり第1の弁口9が全閉のとき、流入口26から圧力700KPa程度の流体が流入し、略700KPaのまま第2の弁口18から流出する。このとき、全閉に近い状態である第1の弁口9側は、出口側の圧力が例えば100KPa程度まで低下する。その結果、第2の弁口18と第1の弁口9との間に600KPa程度の圧力差が生じることになる。
したがって、対策を講じない三方弁型モータバルブ1では、第2の弁口18と第1の弁口9との間の圧力差によって弁軸34が相対的に圧力の低い第1の弁口9側に移動(変位)し、弁軸34がベアリング41に片当たりした状態となる。そのため、弁軸34を閉じる方向に回転駆動する際の駆動トルクが増大して、動作不良を生じる虞れがある。
これに対して、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、図17に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80の弁軸34と反対側の面に、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して漏れる流体の圧力を第1及び第2のバルブシート70,80に作用させる第1及び第2の圧力作用部94,96が設けられている。そのため、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、第2の弁口18と第1の弁口9との間の圧力差が生じる場合であっても、相対的に圧力が高い側の流体の圧力が弁軸34の外周面と弁座8の内周面との微小な間隙を介して第1及び第2の圧力作用部94,96に作用する。その結果、相対的に100KPa程度と圧力が低い側の第1のバルブシート70は、当該第1の圧力作用部94に作用する相対的に圧力が100KPa程度と高い側の流体の圧力によって、弁軸34を適正な位置へと戻すように作用する。したがって、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、第2の弁口18と第1の弁口9との間の圧力差によって弁軸34が相対的に圧力の低い第1の弁口9側に移動(変位)するのを防止乃至抑制し、弁軸34がベアリング41によって滑らかに支持された状態を維持することができ、弁軸34を閉じる方向に回転駆動する際の駆動トルクが増大するのを防止乃至抑制することができる。
また、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、第1の弁口9が全開の付近、つまり第2の弁口18が全閉状態に近いときにも同様に動作し、弁軸34を回転駆動する際の駆動トルクが増大するのを防止乃至抑制することができる。
[実施の形態2]
図18は本発明の実施の形態2に係る流量制御弁の一例としての三方弁型モータバルブを示すものである。
本実施の形態2に係る三方弁型モータバルブ1は、異なる2種類の流体を混合するものではなく、同一の流体を二つに分配する分配用の三方弁型モータバルブ1として構成されたものである。
分配用の三方弁型モータバルブ1は、上述した混合用の三方弁型モータバルブ1と同一の構造を有している。ただし、分配用の三方弁型モータバルブ1は、図18に示すように、バルブ本体6の下端部に流入口26を有しているとともに、バルブ本体6の両側面に第1の流出口7及び第2の流出口17を有している。その他の構成は、上述した混合用の三方弁型モータバルブ1と同一である。
[実施の形態3]
図19は本発明の実施の形態3に係る流量制御弁の一例としての二方弁型モータバルブを示すものである。
本実施の形態3に係る二方弁型モータバルブ1は、1種類の流体の流量を制御する流量制御用の二方弁型モータバルブ1として構成されたものである。
すなわち、流量制御用の二方弁型モータバルブ1は、図19に示すように、バルブ本体6の一側面に単一の流入口17を有しているとともに、バルブ本体6の底面に流出口26を備えている。その他の構成は、上述した混合用の三方弁型モータバルブ1と同一である。
<弁装置の漏れ検査方法>
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法は、例えば、上記の如く構成される三方弁型モータバルブ1の組立完了時又は組立最終工程であって当該三方弁型モータバルブ1の出荷前に、三方弁型モータバルブ1の弁軸34のシール部38における漏れを検査するために実行される。
三方弁型モータバルブ1は、図3に示すように、バルブ本体6に対して弁体の一例である弁軸34を回転自在に支持するため、弁軸34のシール部38を2つの環状のシール部材55,56によってシール(封止)して流体の外部への漏れを防止している。このとき、三方弁型モータバルブ1は、シール部材55,56の傷、弁軸34のシール部38における外径の寸法誤差、あるいはシール部材55,56を収容する凹溝の寸法誤差など種々の要因によって、弁軸34のシール部38から流体が外部に漏れる虞れを有している。
そこで、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法では、図20に示すように、三方弁型モータバルブ1に対して第1及び第2のハウジング部材10,19の代わりに、第1及び第2の流出口7,17を閉塞する第1及び第2の閉塞用治具201,202が装着される。このとき、三方弁型モータバルブ1は、組立が完了したものであっても良いが、第1及び第2のハウジング部材10,19を装着する前の状態の未完成品であっても良い。
第1及び第2の閉塞用治具201,202は、図21及び図22に示すように、第1及び第2のハウジング部材10,19と異なって、開口部を有しない平面円形状の平板からなる治具本体203を有している。第1及び第2の閉塞用治具201,202の治具本体203には、三方弁型モータバルブ1の弁本体6に4本の六角穴付きボルト11,20によってネジ止めするためのネジ孔204が開口されている。また、第1及び第2の閉塞用治具201,202の内側面には、三方弁型モータバルブ1の弁本体6の側面を密封するため環状のパッキン部材205が接着等の手段により設けられている。
また、閉塞用治具としては、これに限定されるものではなく、図23乃至図25に示すように、三方弁型モータバルブ1の流入口26等を閉塞する閉塞用治具210を用いても良い。この閉塞用治具210は、三方弁型モータバルブ1の第1乃至第3のハウジング部材10,19,27に螺合され、当該三方弁型モータバルブ1の流入口26や第1及び第2の流出口7,17を閉塞する雄ネジ状に形成されている。閉塞用治具210の雄ネジ部211は、第1乃至第3のハウジング部材10,19,27の口径である直径約21mmのテーパー付き雌ネジからなるRc1/2や、直径約0.58インチの雌ネジ等に対応して、直径約21mmのテーパー付き雄ネジであるPT(R)1/2や、直径約0.58インチの雄ネジに形成されている。
閉塞用治具210の端部には、当該閉塞用治具210を作業者が手で回転させることによって開閉操作する円板状の操作部212が一体的に設けられている。閉塞用治具210の操作部212の外周は、滑りを防止するためローレット加工213が施されている。また、閉塞用治具210の操作部212の内側面には、三方弁型モータバルブ1の第1乃至第3のハウジング部材10,19,27の端面を密封するためのパッキン部材214やOリング215が設けられている。Oリング215は、操作部212の内側面に設けられた凹溝216に挿入されている。閉塞用治具210の材質は、特に限定されずステンレス等であっても良いが、加工性などを考慮してメッキ処理を施した真鍮(BS)などが用いられる。また、閉塞用治具210のサイズとしては、必要に応じて、三方弁型モータバルブ1の第1乃至第3のハウジング部材10,19,27のサイズに合わせて、PT(R)1/8,PT1/4,PT3/8,PT1/2,PT3/4など種々のものが用意される。
また、三方弁型モータバルブ1には、図20に示すように、第3のハウジング部材27に検査用気体の一例としてのヘリウムガスを当該三方弁型モータバルブ1の内部に圧入する供給管220が接続される。供給管220は、開閉バルブ221を介してヘリウムガスを収容したヘリウムガスボンベ222に接続されている。ヘリウムガスボンベ222には、所定の圧力のヘリウムガスが収容されている。
次に、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法では、図21に示すように、第1及び第2の流出口7,17を第1及び第2の閉塞用治具201,202によって閉塞するとともに、第3のハウジング部材27に供給管220を接続する工程が終了した後、図20に示すように、ヘリウムガスボンベ222の容器バルブ223を開いて当該ヘリウムガスボンベ222から所要の圧力のヘリウムガスが第3のハウジング部材27から三方弁型モータバルブ1の内部に供給される。このとき、三方弁型モータバルブ1の内部の圧力、つまり圧入されるヘリウムガスの圧力は、0.3MPa以上1.5MPa以下に設定される。ヘリウムガスの圧力が0.3MPa未満である場合には、弁軸34のシール部38と2つの環状のシール部材55,56間の漏れを確実に検知することが困難であり、ヘリウムガスの圧力が1.5MPaを超える場合には、既存の設備で圧入することが困難となる。本実施の形態では、例えば、ヘリウムガスの圧力は、0.45MPaとなるように設定される。
このように、三方弁型モータバルブ1は、第1及び第2の流出口9,18が第1及び第2の閉塞用治具201,202によってそれぞれ閉塞された後、第3のハウジング部材27から所要の圧力のヘリウムガスが供給される。そのため、三方弁型モータバルブ1は、図3に示すように、弁軸34のシール部38をシールするシール部材55,56に漏れが無ければ、三方弁型モータバルブ1の内部に供給されたヘリウムガスが外部に漏れることはない。
しかしながら、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34のシール部38をシールするシール部材55,56に傷、シール部材55,56を収容する凹溝の寸法誤差、あるいは弁軸34のシール部38の加工誤差などが存在すると、弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間の密封が不十分となり、図26に示すように、弁座8の内部に供給された所要圧力(0.45MPa)のヘリウムガスが弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間隙から外部に漏れる場合がある。
弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間隙から漏れたヘリウムガスは、空気より密度が小さく、弁軸34のシール部38の外周に沿って鉛直方向に沿った上方と移動し、カップリング部5のスペーサ部材59に設けられた検査用開口68から外部に漏出する。
そのため、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法では、図20に示すように、三方弁型モータバルブ1の検査用開口68の近傍にガス検知装置の一例としてのヘリウムリークディテクタ250のスニファープローブ251を近づけることにより、弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間隙から漏れたヘリウムガスの濃度が測定され検知される。試験時間は、ヘリウムガスの圧入を開始してから10〜120秒に設定される。仮に、弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間隙に漏れがある場合には、10秒以上経過すれば、ヘリウムリークディテクタ250のスニファープローブ251によって漏れたヘリウムガスを確実に検知することができ、120秒以下としたのは、検知工程の時間が不必要に長くなるのを回避するためである。ヘリウムリークディテクタ250は、真空ポンプ等を内蔵した本体252と、本体252の上部に設けられた液晶パネル等からなる表示部253とを備えている。ヘリウムリークディテクタ250としては、例えば、Inficon社製の『ヘリウムリークディテクタ スニファー機』型式:Protec P3000が使用される。
ヘリウムリークディテクタ250によって検知されたヘリウムガスの濃度が予め定められた基準値である5.0×10−7(Pa・m3/s)未満である場合には、三方弁型モータバルブ1に漏れが発生していないか又は漏れが許容範囲内であるため、三方弁型モータバルブ1は、合格品であると判定される。この場合、ヘリウムリークディテクタ250は、判定結果を音などによって作業者に通知するように構成しても良い。ここで、ヘリウムガスの濃度の基準値を5.0×10−7(Pa・m3/s)としたのは、実験的に気密検査を行った際に、当該5.0×10−7(Pa・m3/s)未満であれば、三方弁型モータバルブ1の漏れに異常が発生したことがないためである。
一方、ヘリウムリークディテクタ250によって検知されたヘリウムガスの濃度が予め定められた基準値5.0×10−7(Pa・m3/s)以上である場合には、三方弁型モータバルブ1に許容範囲を越える漏れが発生していると判定される。そのため、この三方弁型モータバルブ1は、不合格品とされる。不合格品とされた三方弁型モータバルブ1は、シール部材55,56等によるシール状態が検査され、必要に応じてシール部材55,56の交換等が行われて漏れ検査が再度行われる。
このように、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法では、三方弁型モータバルブ1の第1及び第2の流出口7,17を第1及び第2の閉塞用治具201,202によってそれぞれ閉塞するとともに、第3のハウジング部材27から供給管220を介して所要圧力のヘリウムガスを供給することにより、三方弁型モータバルブ1の弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間隙からの漏れを容易且つ確実に検知することができる。
また、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法では、検査対象である三方弁型モータバルブ1をチャンバで覆う必要がないため、三方弁型モータバルブ1の漏れを容易に検知することができる。
<弁装置の漏れ検査装置>
図27は本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知方法を適用するのに好適な漏れ検知装置300を示す概略構成図である。
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知装置300は、図27に示すように、平板状の装置基板301を備えている。装置基板301の上部には、その一端部(図中、左端部)にエアシリンダ302が固定した状態で配置されている。また、装置基板301の上部には、エアシリンダ302と対向する側の端部(図中、右端部)に検査対象用の弁装置としての三方弁型モータバルブ1の一端部を保持するブロック状の固定部材303が固定した状態で設けられている。固定部材303には、三方弁型モータバルブ1の内部に検査用気体の一例としてのヘリウムガスを圧入する圧入孔304が水平方向に沿って貫通するように開口されている。固定部材303は、圧入部材の一例を構成している。固定部材303のエアシリンダ302側の側面には、三方弁型モータバルブ1の一方の排出口を閉塞する閉塞部材の一例としてのパッキン部材305が設けられている。パッキン部材305には、固定部材303の圧入孔304と連通するように圧入孔306が開口されている。パッキン部材305は、シリコンゴム等の通気性を有しない弾性体からなる。パッキン部材305は、固定部材303の側面に接着等の手段により気密状態で設けられている。
エアシリンダ302は、図28に示すように、シリンダ本体321の内部にピストン322が摺動自在となるよう装着されている。ピストン322に連結されたピストンロッド323の先端は、シリンダ本体321の外部に突出している。ピストンロッド323の先端には、可動部材324が取り付けられている。可動部材324の固定部材303側に位置する側面には、三方弁型モータバルブ1の他方の排出口を閉塞する閉塞部材の一例としてのパッキン部材325が設けられている。パッキン部材325は、パッキン部材305と同様、シリコンゴム等の通気性を有しない弾性体からなる。パッキン部材325は、可動部材324の側面に接着等の手段により設けられている。可動部材324は、ピストンロッド323と共に固定部材303と接離する方向に沿って移動することにより固定部材303との間に三方弁型モータバルブ1を気密状態に挟持する。
シリンダ本体321には、ピストン322によって区画された一方の空気室326に圧縮空気を供給する第1の供給口327と、ピストン322によって区画された他方の空気室328に圧縮空気を供給する第2の供給口329とを備えている。第1及び第2の供給口328,329は、他方の供給口329,327に圧縮空気が供給されたときにはピストン322が反対方向に移動するとき排気口として機能する。なお、エアシリンダ302としては、例えば、SMC株式会社製のエアシリンダが使用される。
図29は漏れ検知装置300を駆動する駆動系を示す回路図である。
エアシリンダ302は、第1及び第2の配管331,332を介して5ポート電磁弁330に接続されている。5ポート電磁弁330は、エアシリンダ302の第1及び第2の供給口328,329に供給される高圧空気の圧入方向を切り替えて当該エアシリンダ302を動作させる。5ポート電磁弁330は、図28に示すように、例えば、長手方向に沿った両端部が閉塞されて気密な円筒形状に形成された弁本体333を備えている。5ポート電磁弁330は、弁本体333の左側面に開口された第1及び第2ポート334,335を備えている。第1及び第2ポート334、335は、第1及び第2の配管331,332を介してエアシリンダ302の第1及び第2吸気口327,329にそれぞれ接続されている。また、5ポート電磁弁330は、弁本体333の右側面の中央に配置される高圧吸気が供給される第3ポート336と、弁本体333の上下に配置されたエアシリンダ302の第1及び第2吸気口327,329から排気する際の排気用の第4及び第5排気ポート337,338を備えている。さらに、5ポート電磁弁330の弁本体333の内部には、第1〜第5ポート334〜338を切り替える弁体339が図示しないソレノイド及びスプリングによって図中上下方向に沿って摺動可能に配置されている。5ポート電磁弁330は、例えば、図示しないソレノイドがOFF状態の場合、図示しないスプリングの付勢力によって弁体339が図31に示す位置に移動し、第3ポート336と第1ポート334を連通させるとともに、第2ポート335と第5ポート338を連通させる。一方、図示しないソレノイドがON状態の場合には、図示しないソレノイドが動作して弁体339が図28中下方に移動し、第3ポート336と第2ポート335を連通させるとともに、第1ポート334と第4ポート337を連通させる。
5ポート電磁弁330の第3ポート336には、図31に示すように、図示しないコンプレッサから第3の配管340を介して高圧空気が供給される。第3の配管340には、高圧空気の供給を開閉する開閉弁341が介在されている。
また、5ポート電磁弁330には、当該5ポート電磁弁330の図示しないソレノイドへの通電をON/OFFするシリンダ駆動用スイッチ342が接続されている。
漏れ検知装置300には、固定基板303の圧入孔304に検査用気体の一例としてのヘリウムガスを供給するヘリウムガスボンベ343が第の配管344を介して接続されている。第4の配管344には、ヘリウムガスの供給を開閉する開閉弁345が介在されている。そして、固定部材303の圧入孔304には、ヘリウムガスボンベ343の装置バルブ346を開くことにより第4の配管344及び開閉弁345を介して検査用気体の一例としてのヘリウムガスが供給される。
漏れ検知装置300は、図31(a)に示すように、シリンダ駆動用スイッチ342をON状態とすると5ポート電磁弁330の弁体339が下方へ移動し、5ポート電磁弁330を介してエアシリンダ302の空気室328に高圧空気が送られ、エアシリンダ302が動作してピストンロッド323が伸張する。そして、ピントンロッド323の先端に取り付けられた可動部材324と固定部材303との間に三方弁型モータバルブ1が挟持され、当該三方弁型モータバルブ1の第1及び第2の流出部9,18が閉塞される。
また、漏れ検知装置300は、図31(b)に示すように、シリンダ駆動用スイッチ342をOFF状態とすると、5ポート電磁弁330の弁体339が上方へ移動し、5ポート電磁弁330を介してエアシリンダ302の他方の空気室326に高圧空気が送られ、エアシリンダ302が動作してピストンロッド323が引き込まれる。そして、ピストンロッド323の先端に取り付けられた可動部材324と固定部材303による三方弁型モータバルブ1の挟持状態が解除され、三方弁型モータバルブ1が取り外される。
<弁装置の漏れ検査装置の動作>
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1の漏れ検知装置300では、図23に示すように、例えば、検査前の準備工程として、三方弁型モータバルブ1の第3のハウジング部材27に閉塞用治具210が螺合されて閉塞される。
次に、漏れ検知装置300では、図27に示すように、検査を行う三方弁型モータバルブ1の一方のハウジング部材19が固定部材303のパッキン部材305に接触するように配置する。このとき、固定部材303は、パッキン部材305の圧入孔306が三方弁型モータバルブ1の第2のハウジング部材19の開口内に位置するように、三方弁型モータバルブ1の位置が調整される。
その後、漏れ検知装置300は、シリンダ駆動用スイッチ342をON状態とすると、5ポート電磁弁330を介してエアシリンダ302に高圧空気が送られる。すると、エアシリンダ302は、図31(a)に示すように、ピストン322が図中左方向に移動してピントンロッド323が伸張する。そして、ピントンロッド323の先端に取り付けられた可動部材324のパッキン部材325によって三方弁型モータバルブ1の他方の第1のハウジング部材9が閉塞される。
次に、漏れ検知装置300では、ヘリウムガスボンベ343からヘリウムガスを供給する開閉弁345を開いて、第4の配管344を介して固定部材303の圧入孔304及びパッキン部材305の圧入孔306から三方弁型モータバルブ1の内部に第1のハウジング部材9からヘリウムガスを圧入する圧入工程が実行される。
その後、三方弁型モータバルブ1の検査用開口にヘリウムリークディテクタ250のスニファープローブ251を近づけてヘリウムガスの漏れ量を計測する。
ヘリウムリークディテクタ250の計測値が予め定められた基準値5.0×10−7(Pa・m3/s)未満である場合には、三方弁型モータバルブ1に漏れがないか又は漏れが存在しても許容範囲内であるとして合格品と判定される。一方、ヘリウムリークディテクタ250の計測値が予め定められた基準値5.0×10−7(Pa・m3/s)以上である場合には、三方弁型モータバルブ1に漏れがあるとして不合格品と判定される。不合格品と判定された三方弁型モータバルブ1は、シール部材55,56の部品交換なども含めて再調整され、漏れ検査が再度実行される。
このように、本実施の形態に係る漏れ検知装置300では、三方弁型モータバルブ1の第3のハウジング部材27を閉塞治具210によって閉塞した状態で漏れ検知装置300にセットし、シリンダ駆動用スイッチ342をON状態とした後、三方弁型モータバルブ1の内部に第1のハウジング部材9からヘリウムガスを圧入し、当該三方弁型モータバルブ1の検査用開口からのヘリウムガスの漏れをヘリウムリークディテクタ250によって計測するだけで良いため、三方弁型モータバルブ1の弁軸34のシール部38とシール部材55,56との間からの漏れを容易且つ確実に検出することができる。
なお、弁装置としては、前記実施の形態のものに限定されるものではなく、ダイヤフラム式バルブやベローズ式バルブなどにも適用できることは勿論である。