本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体12に画像が記録される。記録媒体12としては、布帛又は建築用資材が例示される。記録媒体12は、長尺又は短尺の何れであってもよい。画像の記録に用いるインクは、例えば、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色である。但し、これら各色のインクとは異なる色のインクを用いてもよい。インクの色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。実施形態では、インク色を区別することなく説明する。図1では、インクジェット記録装置10の図示は、簡略化され、実際には色毎に設けられる各部の図示は、1色分のみとされている。ハッチングは、断面された部分を示す。
インクジェット記録装置10は、メインタンク20と、サブタンク21,22と、検出器25,26と、キャリッジ30と、接続流路35,36と、インクジェットヘッド40,41と、第一流路50と、第一送液部60と、第一弁61,62と、第四弁63と、第二流路65と、第二弁66と、第三流路67と、第二送液部68と、第三弁69と、第四流路70と、制御装置75を備える。図1で、前述の各流路の近傍又は内部に示す矢印は、その部分をインクが流れる方向を示す。
インクジェット記録装置10では、2個のインクジェットヘッド40,41により1色分の記録部が形成され、インクジェットヘッド40,41に対して各1個(合計2個)のサブタンク21,22が設けられる。記録部は、インクジェット記録装置10で記録媒体12に画像を記録する部分である。実施形態では、2個のサブタンク21,22と2個のインクジェットヘッド40,41を備えるインクジェット記録装置10を例として説明する。従って、インクジェット記録装置10は、上述した通り、2個の第一弁61,62を備える。第一流路50は、2個の第一部分51,52と、2個の第三部分54,55を含む。第一部分51,52と第三部分54,55については、後述する。
メインタンク20は、インクを貯留する。サブタンク21,22は、メインタンク20から供給されたインクを貯留する。メインタンク20からサブタンク21,22へのインクの供給に関する説明は、後述する。サブタンク21,22は、同様の構成を有する。サブタンク21,22は、気圧調整システムに繋がる。気圧調整システムは、真空ポンプと、圧縮機を含む。真空ポンプは、サブタンク21,22の各貯留室23の気圧を大気圧より低い圧力(負圧)とする。貯留室23は、サブタンク21,22でインクが貯留されるサブタンク21,22の内部空間である。圧縮機は、サブタンク21,22の各貯留室23の気圧を大気圧より高い圧力とする。即ち、サブタンク21,22では、インクが貯留された状態の貯留室23の気圧が、気圧調整システムによって調整される。このとき、サブタンク21,22の各貯留室23は、同じ圧力とされる。図1では、気圧調整システムの図示は、省略されている。
インクジェット記録装置10で記録媒体12に画像が記録される場合、サブタンク21,22では、貯留室23は、真空ポンプと通じ合った状態とされる。インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド40,41の複数のノズル42のうち、一部又は全部のインクジェットヘッドの複数のノズル42からインクを強制的に吐出させる場合、サブタンク21,22のうち、次のサブタンクの貯留室23は、圧縮機と通じ合った状態とされる。前述のサブタンクは、複数のノズル42からインクが吐出されるインクジェットヘッドに対応するサブタンクである。
サブタンク21には、検出器25が設けられる。検出器25は、サブタンク21に貯留されたインクの量を検出する。サブタンク22には、検出器26が設けられる。検出器26は、サブタンク22に貯留されたインクの量を検出する。検出器25,26としては、サブタンク21,22に貯留されたインクの量を検出できる公知のセンサが採用される。例えば、検出器25,26としては、公知の液面センサが採用される。検出器25,26として採用されるセンサの形式は、諸条件を考慮して適宜決定される。実施形態では、検出器25,26によるインクの量の検出は、サブタンク21,22に貯留されたインクの液面を検出して行われることとする。
検出器25,26は、液面レベル信号を出力する。液面レベル信号は、検出器25,26によって検出されたインクの液面のレベルを示す検出信号である。インクジェット記録装置10では、サブタンク21,22に貯留されたインクの量(液面のレベル)として、第一量と第二量と第三量が設定される。第一量は、サブタンク21,22に貯留されるインクの量の上限として設定された量である。第二量は、サブタンク21,22に貯留されるインクの量の下限として設定された量である。第三量は、後述する第一流路50へのインクの供給を停止させる基準として設定された量である。第一量と第二量と第三量の関係は、「第一量>第三量>第二量」とされる。第一量と第二量と第三量は、例えば、貯留室23の容積に対応させて設定される。例えば、第一量は、貯留室23の容積の85%の値とされ、第二量は、貯留室23の容積の20%の値とされ、第三量は、貯留室23の容積の80%の値とされる。但し、前述の比率は、例示である。第一量と第二量と第三量は、諸条件を考慮して適宜設定される。
実施形態では、インクの量が第一量である又は第一量より多い場合に検出器25,26から出力される液面レベル信号を「上限値信号」という。インクの量が第二量である又は第二量より少ない場合に検出器25,26から出力される液面レベル信号を「下限値信号」という。インクの量が第三量である場合に検出器25,26から出力される液面レベル信号を「停止信号」という。
キャリッジ30には、インクジェットヘッド40,41が搭載される。インクジェット記録装置10では、キャリッジ30にインクジェットヘッド40,41が搭載された状態で、インクジェットヘッド40の鉛直方向の上側にサブタンク21が設けられ、インクジェットヘッド41の鉛直方向の上側にサブタンク22が設けられる(例えば、後述する図2参照)。即ち、キャリッジ30には、インクジェットヘッド40,41とサブタンク21,22が設けられる。サブタンク21,22は、鉛直方向の同じ位置に設けられる。接続流路35は、サブタンク21とインクジェットヘッド40を繋ぐ。接続流路36は、サブタンク22とインクジェットヘッド41を繋ぐ。即ち、キャリッジ30上で、サブタンク21とインクジェットヘッド40は、接続流路35によって繋がり、サブタンク22とインクジェットヘッド41は、接続流路36によって繋がる。接続流路35には、サブタンク21からインクジェットヘッド40に供給されるインクが流れる。接続流路36には、サブタンク22からインクジェットヘッド41に供給されるインクが流れる。
インクジェットヘッド40,41は、複数のノズル42と、流入口43と、流出口44と、内部流路45を含む。インクジェットヘッド40,41は、複数のノズル42から同一色のインクを吐出する。インクジェットヘッド40,41は、同様の構成を有する。インクジェットヘッド40,41では、ノズル42の数は、4個とされている。1個のインクジェットヘッドに形成されるノズル42の数と配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。サブタンク21に貯留されたインクは、接続流路35を流れてインクジェットヘッド40の流入口43からインクジェットヘッド40に流入する。サブタンク22に貯留されたインクは、接続流路36を流れてインクジェットヘッド41の流入口43からインクジェットヘッド41に流入する。
インクジェットヘッド40,41に流入したインクは、複数のノズル42から吐出され、又は流出口44から後述する第一流路50の第三部分54,55に流出する。内部流路45は、本流部46と複数の支流部47を含む。本流部46は、流入口43と流出口44を繋ぐ。支流部47は、本流部46から分岐し、ノズル42に繋がる。即ち、インクは、インクジェットヘッド40,41に流入した後、本流部46を流出口44の側に流れ、その後、流出口44から第一流路50の第三部分54,55に流出する。本流部46を流れるインクの一部は、支流部47に流入し、ノズル42の側に流れる。
第一流路50と第二流路65と第三流路67と第四流路70は、インクが流れる管状の流路である。第一流路50は、インクジェットヘッド40とサブタンク21を繋ぎ、インクジェットヘッド41とサブタンク22を繋ぐ。第一流路50には、ノズル42から吐出されずにインクジェットヘッド40,41から流出してサブタンク21,22に流入するインクが流れる。インクジェット記録装置10では、第一流路50は、複数の管状の流路を接続して形成される。実施形態では、第一流路50を、前述の複数の管状の流路の機能に着目した任意の部分に分けて説明する。即ち、第一流路50は、第一部分51,52と、第二部分53と、第三部分54,55と、第四部分56と、第五部分57を含む。
実施形態では、第一流路50をインクが流れる方向を「循環方向」という。循環方向の上流側は、第一流路50を形成する第一部分51,52と第二部分53と第三部分54,55と第四部分56と第五部分57の近傍又は内部に示す矢印の後端側であり、循環方向の下流側は、前述の矢印の先端側である。第一流路50では、循環方向の最上流側の端部は、インクジェットヘッド40,41の各流出口44に繋がり、循環方向の最下流側の端部は、サブタンク21,22に繋がる。
第一部分51は、サブタンク21に繋がる。第一部分51は、サブタンク21に流入するインクが流れる第一流路50の部分である。第一部分52は、サブタンク22に繋がる。第一部分52は、サブタンク22に流入するインクが流れる第一流路50の部分である。サブタンク21,22に繋がる第一部分51,52の各端部は、第一流路50の循環方向の最下流側の端部となる。第一部分51,52は、更に、第二部分53に繋がる。即ち、第一部分51は、第二部分53とサブタンク21を繋ぐ。第一部分52は、第二部分53とサブタンク22を繋ぐ。第二部分53は、第一部分51にインクを流出させ、第一部分52にインクを流出させる第一流路50の部分である。即ち、第二部分53は、インクを第一部分51,52に分配する。第二部分53は、マニホールドと称される。
第三部分54は、インクジェットヘッド40に繋がる。第三部分54は、インクジェットヘッド40の流出口44に接続される。第三部分54は、インクジェットヘッド40から流出するインクが流れる第一流路50の部分である。第三部分55は、インクジェットヘッド41に繋がる。第三部分55は、インクジェットヘッド41の流出口44に接続される。第三部分55は、インクジェットヘッド41から流出するインクが流れる第一流路50の部分である。インクジェットヘッド40,41の各流出口44に接続される第三部分54,55の各端部は、第一流路50の循環方向の最上流側の端部となる。第三部分54,55は、更に、第四部分56に繋がる。即ち、第三部分54は、インクジェットヘッド40と第四部分56を繋ぐ。第三部分55は、インクジェットヘッド41と第四部分56を繋ぐ。
第四部分56は、第三部分54,55を流れたインクを合流させる第一流路50の部分である。第四部分56は、マニホールドと称される。図1では、第一部分52に対して第四部分56が奥側に設けられた状態で第一部分52と第四部分56が重ねて図示されている。第五部分57は、第四部分56と第二部分53を繋ぐ。第五部分57は、第四部分56から流出して第二部分53に流入するインクが流れる第一流路50の部分である。詳細は後述するが、第一流路50を流れるインクの一部は、第五部分57から第二流路65に流入する。
第一送液部60は、第一流路50に設けられ、第一流路50にインクを流す。第一送液部60は、第一弁61,62の開閉状態と第二弁66の開閉状態と第三弁69の開閉状態とに関わらず駆動する。従って、第一送液部60は、第一弁61,62と第二弁66と第三弁69の各開閉状態に関わらず第一流路50にインクを流す。実施形態では、第一送液部60が設けられる第一流路50の位置を「第一位置」という。第一位置は、第四部分56と第二部分53の間となる第五部分57の所定の位置である。第一送液部60としては、公知のポンプが例示される。但し、第一送液部60としては、ポンプとは異なる公知の機構を採用することもできる。第一弁61,62は、第一流路50の第二位置に設けられ、第一流路50を開閉する。第二位置は、第一位置より循環方向の下流側となる第一流路50の所定の位置である。第一弁61が設けられる第二位置は、第一部分51の所定の位置であり、第一弁62が設けられる第二位置は、第一部分52の所定の位置である。即ち、第一弁61は、第一部分51を開閉し、第一弁62は、第一部分52を開閉する。第一弁61,62としては、公知の電磁弁が採用される。
第一弁61が開かれた状態である場合、第二部分53から第一部分51に流出したインクは、第一弁61を通過してサブタンク21の側に流れる。第一弁61が閉じられた状態である場合、第一部分51でのインクの流れは、遮断される。第一弁62が開かれた状態である場合、第二部分53から第一部分52に流出したインクは、第一弁62を通過してサブタンク22の側に流れる。第一弁62が閉じられた状態である場合、第一部分52でのインクの流れは、遮断される。例えば、第一弁61,62は、サブタンク21,22の一方又は両方に貯留されているインクの量が多く、これを減少させる場合、閉じられた状態となる。第一弁61,62は、サブタンク21,22に貯留されているインクの量が前述した状態でない場合、開かれた状態となる。
第四弁63は、循環方向とは反対となる方向へのインクの流れを防止する逆止弁である。第四弁63は、第一流路50の第五位置に設けられる。第一流路50を循環方向に流れるインクは、第四弁63を通過する。第五位置は、第一位置及び第二位置と後述する第三位置及び第四位置より循環方向の上流側となる第一流路50の所定の位置である。第五位置は、第四部分56と第一送液部60の間となる第五部分57の所定の位置である。
第二流路65は、第一流路50とメインタンク20を繋ぐ。第二流路65には、第一流路50から流出してメインタンク20に流入するインクが流れる。第二流路65は、第一流路50の第三位置に繋がる。換言すれば、第二流路65は、第三位置で第一流路50から分岐する。第三位置は、第一位置及び第五位置より循環方向の下流側で且つ第二位置より循環方向の上流側となる第一流路50の所定の位置である。第三位置は、第一送液部60と第二部分53の間となる第五部分57の所定の位置である。第一送液部60から送り出されたインクは、第五部分57から第二流路65に流入する。その後、インクは、第二流路65を流れてメインタンク20に流入する。第二弁66は、第二流路65に設けられ、第二流路65を開閉する。第二弁66としては、公知の電磁弁が採用される。
第一流路50を介して循環されるインクをメインタンク20に回収する場合、第二弁66は、開かれた状態となる。第一送液部60は、駆動する。第一弁61,62は、閉じられた状態となる。第一送液部60から送り出されたインクは、上述した通り、第五部分57から第二流路65に流入する。第二流路65に流入したインクは、メインタンク20の側に流れる。前述のインクは、第二弁66を通過してメインタンク20に流入する。第一流路50を介して循環されるインクの一部がメインタンク20に回収される。メインタンク20へのインクの回収を停止する場合、第二弁66は、閉じられた状態となる。第二弁66が閉じられた状態である場合、第二流路65でのインクの流れは、遮断される。第五部分57を流れるインクは、第三位置をそのまま循環方向に流れ、第二部分53に流入する。
第三流路67は、メインタンク20と第一流路50を繋ぐ。第三流路67には、メインタンク20から流出して第一流路50に流入するインクが流れる。第三流路67は、第一流路50の第四位置に繋がる。換言すれば、第三流路67は、第一流路50の第四位置に合流する。第四位置は、第一位置、第二位置及び第三位置より循環方向の上流側で且つ第五位置より循環方向の下流側となる第一流路50の所定の位置である。第四位置は、第五位置と同様、第四部分56と第一送液部60の間となる第五部分57の所定の位置である。第三流路67を流れて第一流路50に流入したインクは、第一送液部60により第一流路50を循環される。第四弁63は、第一流路50に流入したインクが第一流路50を循環方向とは反対となる方向に流れることを防止する。
第二送液部68は、第三流路67に設けられ、第三流路67にインクを流す。第二送液部68としては、公知のポンプが例示される。但し、第二送液部68としては、ポンプとは異なる公知の機構を採用することもできる。実施形態では、第三流路67をインクが流れる方向を「補給方向」という。第三弁69は、第三流路67に設けられ、第三流路67を開閉する。第三流路67における第二送液部68と第三弁69の配置に関し、第三弁69は、第二送液部68より補給方向の下流側に設けられる。換言すれば、第二送液部68は、第三弁69より補給方向の上流側に設けられる。第三弁69としては、公知の電磁弁が採用される。第四流路70は、第三流路67から分岐し、第三流路67とメインタンク20を繋ぐ。第四流路70の分岐位置は、第二送液部68と第三弁69の間となる第三流路67の所定の位置とされる。
メインタンク20から第一流路50にインクを供給する場合、第三弁69は、開かれた状態となる。第二送液部68は、駆動する。メインタンク20に貯留されたインクは、メインタンク20から流出して第三流路67に流入する。その後、インクは、第二送液部68から送り出され、第三流路67を流れて第一流路50に流入する。第二送液部68から送り出されたインクの一部は、第四流路70に流入する。その後、インクは、第四流路70を流れてメインタンク20に流入する。メインタンク20から第一流路50へのインクの供給を停止する場合、第三弁69は、閉じられた状態となる。第三弁69が閉じられた状態である場合、第三流路67でのインクの流れは、遮断される。但し、第二送液部68を駆動させることで、第二送液部68から送り出されたインクは、第三流路67から第四流路70に流入する。その後、インクは、前述したように、メインタンク20に流入する。メインタンク20に貯留されたインクを循環させることができる。メインタンク20に貯留されたインクを循環させる場合、第二送液部68は、第三弁69の開閉状態に関わらず駆動する。
制御装置75は、制御部76と、接続インターフェース80を備える。実施形態では、接続インターフェース80を「接続I/F80」と記載する。制御部76は、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作を制御する。例えば、制御部76は、インクジェットヘッド40,41からのインクの吐出を制御する。制御部76は、第一弁61,62の開閉と、第二弁66の開閉と、第三弁69の開閉を制御する。制御部76は、例えば、CPU77と、記憶部78と、RAM79を含む。CPU77は、演算処理を実行する。記憶部78は、例えば、不揮発性のメモリ及び/又はハードディスクである。記憶部78には、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作用のプログラムが記憶される。前述のプログラムは、記憶部78に予めインストールされる。
RAM79は、CPU77が記憶部78に記憶されたプログラムを実行する際の作業領域となる。RAM79には、開閉フラグが記憶される。開閉フラグは、第一弁61,62と第二弁66と第三弁69の各弁に対応付けられる。開閉フラグは、第一弁61,62と第二弁66と第三弁69の各弁の開閉状態を示す。即ち、開閉フラグ「ON」は、開かれた状態を示し、開閉フラグ「OFF」は、閉じられた状態を示す。例えば、第一弁61が開かれた状態である場合、第一弁61に対応付けられた開閉フラグは、ONとされる。第一弁61が閉じられた状態である場合、第一弁61に対応付けられた開閉フラグは、OFFとされる。
接続I/F80には、検出器25,26が接続される。検出器25,26からの液面レベル信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。液面レベル信号は、接続I/F80から制御部76に出力される。接続I/F80には、第一弁61,62と第二弁66と第三弁69が接続される。第一弁61,62と第二弁66と第三弁69の各弁に対する開放信号と閉鎖信号は、接続I/F80から出力される。開放信号は、出力先の弁を開かれた状態とする指令信号である。閉鎖信号は、出力先の弁を閉じられた状態とする指令信号である。第一弁61,62と第二弁66と第三弁69のうちの所定の弁に開放信号が出力された場合、出力先の弁に対応付けられた開閉フラグは、ONとされる。第一弁61,62と第二弁66と第三弁69のうちの所定の弁に閉鎖信号が出力された場合、出力先の弁に対応付けられた開閉フラグは、OFFとされる。図1では、接続I/F80と検出器25,26を接続する電気配線の図示と、接続I/F80と第一弁61,62、第二弁66及び第三弁69を接続する電気配線の図示は、省略されている。
<第一弁、第二弁及び第三弁の開閉動作>
第一弁61,62と第二弁66と第三弁69の開閉動作について、2つの実施例を説明する。インクジェット記録装置10で記録媒体12に画像が記録される場合、制御部76(CPU77)は、インクジェットヘッド40,41の複数のノズル42からのインクの吐出を制御しつつ、第一弁61,62の開閉と、第二弁66の開閉と、第三弁69の開閉を制御する。
<第一実施例>
第一実施例は、検出器25,26による検出状態がサブタンク21,22に貯留されたインクの量(貯留量)が共に「第二量<貯留量<第三量」である状態からサブタンク21の貯留量が第二量以下に変化した場合を例とする。第二量以下は、第二量である場合と、第二量より少ない場合を含む。即ち、第二量以下は、前述の2つの場合の何れかである。検出器25,26によって検出されたサブタンク21,22の貯留量が共に「第二量<貯留量<第三量」である場合、第一弁61,62は、開かれた状態であり、第二弁66と第三弁69は、閉じられた状態である。第一送液部60は、駆動している。第二送液部68は、駆動している。
サブタンク21の貯留量が第二量以下である場合、検出器25は、下限値信号を出力する。検出器25からの下限値信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器25からの下限値信号を取得する。検出器25からの下限値信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁62に閉鎖信号を出力し、第三弁69に開放信号を出力する。閉鎖信号は、接続I/F80から第一弁62に出力される。第一弁62は、貯留量の増加対象であるサブタンク21とは異なるサブタンク22に繋がる第一部分52に設けられた弁である。即ち、制御部76は、貯留量の増加対象であるサブタンク21とは異なるサブタンク22に繋がる第一部分52に設けられた第一弁62に閉鎖信号を出力する。開放信号は、接続I/F80から第三弁69に出力される。第一弁61は、開かれた状態のままとされる。第二弁66は、閉じられた状態のままとされる。
第一弁62への閉鎖信号に伴い、第一弁62は、閉じられた状態へと切り替わる。第一部分52でのインクの流れは、遮断される。インクは、サブタンク22に流入しない。第一流路50では、第一部分52を経由するインクの循環は、停止する。第三弁69への開放信号に伴い、第三弁69は、開かれた状態へと切り替わる。第二送液部68から送り出されたインクは、第三弁69を通過して第一流路50の側に流れ、第一流路50に流入する。但し、第二送液部68から送り出されたインクの一部は、第四流路70に流入する。第一流路50では、新たなインクは、前述した通り、第一部分52を流れない。新たなインクを含むインクは、第一部分51を流れてサブタンク21に流入する。サブタンク21の貯留量は、漸次増加する。
その後、サブタンク21の貯留量が第三量となった場合、検出器25は、停止信号を出力する。検出器25からの停止信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器25からの停止信号を取得する。検出器25からの停止信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁62に開放信号を出力し、第三弁69に閉鎖信号を出力する。開放信号は、接続I/F80から第一弁62に出力される。閉鎖信号は、接続I/F80から第三弁69に出力される。第一弁61は、開かれた状態のままとされる。第二弁66は、閉じられた状態のままとされる。
第一弁62への開放信号に伴い、第一弁62は、開かれた状態へと切り替わる。第一流路50では、第一部分52を経由するインクの循環が再開される。インクは、第一部分52を流れ、サブタンク22に流入する。第一流路50では、第一部分51を経由するインクの循環が継続される。第三弁69への閉鎖信号に伴い、第三弁69は、閉じられた状態へと切り替わる。第三流路67では、第一流路50の側へのインクの流れは、遮断される。第一流路50へのインクの供給は、停止する。
上述したように、サブタンク21の貯留量が第二量以下となり、第一部分52でのインクの流れを遮断させた状態で第一流路50にインクを供給しつつ、サブタンク21にインクを流入させている場合、サブタンク22では、貯留量が第二量以下に減少することがある。この場合、検出器26は、下限値信号を出力する。検出器26からの下限値信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器26からの下限値信号を取得する。検出器26からの下限値信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁62に開放信号を出力する。開放信号は、接続I/F80から第一弁62に出力される。第一弁61と第三弁69は、開かれた状態のままとされる。第二弁66は、閉じられた状態のままとされる。
第一弁62への開放信号に伴い、第一弁62は、開かれた状態へと切り替わる。第一流路50では、第一部分52を経由するインクの循環が再開される。インクは、第一部分52を流れ、サブタンク22に流入する。サブタンク22の貯留量は、漸次増加する。第一流路50では、第一部分51を経由するインクの循環が継続される。その後、サブタンク21の貯留量が第三量となった場合、検出器25は、停止信号を出力する。検出器25からの停止信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器25からの停止信号を取得する。サブタンク22の貯留量が第三量となった場合、検出器26は、停止信号を出力する。検出器26からの停止信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器26からの停止信号を取得する。
検出器25からの停止信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁62の開閉状態を判断する。制御部76は、第一弁62に対応付けられた開閉フラグのON又はOFFにより第一弁62の開閉状態を判断する。第一弁62が閉じられた状態である場合、制御部76は、上述した通り、第一弁62に開放信号を出力し、第三弁69に閉鎖信号を出力する。従って、これに関するこの他の説明は、省略する。第一弁62が開かれた状態である場合、制御部76は、第一弁61に閉鎖信号を出力する。第一弁61への閉鎖信号に伴い、第一弁61は、閉じられた状態へと切り替わる。第一部分51でのインクの流れは、遮断される。インクは、サブタンク21に流入しない。第一流路50では、第一部分51を経由するインクの循環は、停止する。第一流路50では、第一部分52を経由するインクの循環が継続される。
検出器26からの停止信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁61の開閉状態を判断する。制御部76は、第一弁61に対応付けられた開閉フラグのON又はOFFにより第一弁61の開閉状態を判断する。第一弁61が閉じられた状態である場合、制御部76は、第一弁61に開放信号を出力し、第三弁69に閉鎖信号を出力する。第一弁61への開放信号に伴い、第一弁61は、開かれた状態へと切り替わる。第一流路50では、第一部分51を経由するインクの循環が再開される。インクは、第一部分51を流れ、サブタンク21に流入する。第一流路50では、第一部分52を経由するインクの循環が継続される。第三弁69への閉鎖信号に伴い、第三弁69は、閉じられた状態へと切り替わる。第三流路67では、第一流路50の側へのインクの流れは、遮断される。第一流路50へのインクの供給は、停止する。第一弁61が開かれた状態である場合、制御部76は、第一弁62に閉鎖信号を出力する。第一弁62への閉鎖信号に伴い、インクジェット記録装置10では、第一弁61,62は、上述した状態と同様の状態となる。従って、この点に関するこの他の説明は、省略する。
<第二実施例>
第二実施例は、検出器25,26による検出状態がサブタンク21,22の貯留量が共に「第二量<貯留量<第一量」である状態からサブタンク21の貯留量が第一量以上に変化した場合を例とする。第一量以上は、第一量である場合と、第一量より多い場合を含む。即ち、第一量以上は、前述の2つの場合の何れかである。検出器25,26によって検出されたサブタンク21,22の貯留量が共に「第二量<貯留量<第一量」である場合、第一弁61,62は、開かれた状態であり、第二弁66と第三弁69は、閉じられた状態である。第一送液部60は、駆動している。第二送液部68は、駆動している。
サブタンク21の貯留量が第一量以上である場合、検出器25は、上限値信号を出力する。検出器25からの上限値信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器25からの上限値信号を取得する。検出器25からの上限値信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁61,62に閉鎖信号を出力し、第二弁66に開放信号を出力する。閉鎖信号は、接続I/F80から第一弁61,62に出力される。第一弁61は、貯留量の減少対象であるサブタンク21に繋がる第一部分51に設けられた弁である。第一弁62は、貯留量の減少対象であるサブタンク21とは異なるサブタンク22に繋がる第一部分52に設けられた弁である。即ち、制御部76は、全ての第一弁61,62に閉鎖信号を出力する。開放信号は、接続I/F80から第二弁66に出力される。第三弁69は、閉じられた状態のままとされる。
第一弁61,62への閉鎖信号に伴い、第一弁61,62は、閉じられた状態へと切り替わる。第一部分51,52でのインクの流れは、遮断される。インクは、サブタンク21,22に流入しない。第一流路50では、インクの循環は、停止する。第二弁66への開放信号に伴い、第二弁66は、開かれた状態へと切り替わる。第一送液部60から送り出されたインクは、第五部分57から第二流路65に流入する。第二流路65に流入したインクは、メインタンク20の側に流れる。前述のインクは、第二弁66を通過してメインタンク20に流入する。第一流路50を循環されていたインクの一部は、メインタンク20に回収される。サブタンク21,22の貯留量は、漸次減少する。
その後、サブタンク21の貯留量が第三量となった場合、検出器25は、停止信号を出力する。検出器25からの停止信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器25からの停止信号を取得する。検出器25からの停止信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁61,62に開放信号を出力し、第二弁66に閉鎖信号を出力する。開放信号は、接続I/F80から第一弁61,62に出力される。閉鎖信号は、接続I/F80から第二弁66に出力される。第三弁69は、閉じられた状態のままとされる。
第一弁61,62への開放信号に伴い、第一弁61,62は、開かれた状態へと切り替わる。第一流路50では、インクの循環が再開される。インクは、第一部分51,52を流れ、サブタンク21,22に流入する。第二弁66への閉鎖信号に伴い、第二弁66は、閉じられた状態へと切り替わる。第二流路65では、メインタンク20の側へのインクの流れは、遮断される。メインタンク20へのインクの回収は、停止する。
上述したように、サブタンク21の貯留量が第一量以上となり、第一部分51,52でのインクの流れを遮断させた状態でメインタンク20にインクを回収させている場合、サブタンク22では、貯留量が第二量以下に減少することがある。この場合、検出器26は、下限値信号を出力する。検出器26からの下限値信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器26からの下限値信号を取得する。検出器26からの下限値信号が制御部76で取得された場合、制御部76は、第一弁62に開放信号を出力する。開放信号は、接続I/F80から第一弁62に出力される。第一弁61と第三弁69は、閉じられた状態のままとされる。第二弁66は、開かれた状態のままとされる。
第一弁62への開放信号に伴い、第一弁62は、開かれた状態へと切り替わる。第一流路50では、第一部分52を経由するインクの循環が再開される。インクは、第一部分52を流れ、サブタンク22に流入する。サブタンク22の貯留量は、漸次増加する。その後、サブタンク22の貯留量が第三量となった場合、検出器26は、停止信号を出力する。検出器26からの停止信号は、接続I/F80を介して制御装置75に入力される。制御部76は、検出器26からの停止信号を取得する。検出器26からの停止信号が取得された場合、制御部76は、第一弁62に閉鎖信号を出力する。但し、このタイミングで、上述した制御により第一弁61,62に開放信号が出力されていた場合、第一弁62への閉鎖信号の出力は、省略される。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)インクジェット記録装置10では、第一流路50と第二流路65と第三流路67が設けられる。第一流路50は、インクジェットヘッド40とサブタンク21を繋ぎ、インクジェットヘッド41とサブタンク22を繋ぐ。第一流路50には、ノズル42から吐出されずにインクジェットヘッド40,41から流出してサブタンク21,22に流入するインクが流れる。第一流路50には、第一位置に第一送液部60が設けられ、第二位置に第一弁61,62が設けられる。第二流路65は、第一流路50とメインタンク20を繋ぐ。第二流路65は、第一流路50の第三位置に繋がる。第二流路65には、第一流路50から流出してメインタンク20に流入するインクが流れる。第二流路65には、第二弁66が設けられる。第三流路67は、メインタンク20と第一流路50を繋ぐ。第三流路67には、メインタンク20から流出して第一流路50に流入するインクが流れる。第三流路67には、第二送液部68と第三弁69が設けられる。
第一弁61は、第一流路50の第一部分51を開閉し、第一弁62は、第一流路50の第一部分52を開閉する。第二弁66は、第二流路65を開閉する。第三弁69は、第三流路67を開閉する。制御部76は、検出器25,26からの液面レベル信号を取得する。制御部76は、第一弁61,62の開閉と、第二弁66の開閉と、第三弁69の開閉を制御する。制御部76は、検出器25,26からの液面レベル信号(上限値信号、下限値信号及び停止信号)に従い前述の制御を実行する。
そのため、インクジェットヘッド40,41とサブタンク21,22の間でインクを循環させることができる。この場合、第一弁61,62は、開かれた状態となる。第二弁66と第三弁69は、閉じられた状態となる。第三流路67を介して第一流路50にインクを流入させ、サブタンク21,22の貯留量を増加させることができる。検出器25からの下限値信号が取得され、サブタンク21の貯留量を増加させる場合、第一弁61は開かれた状態となり、第一弁62は、閉じられた状態となる。第二弁66は、閉じられた状態となる。第三弁69は、開かれた状態となる。検出器26からの下限値信号が取得され、サブタンク22の貯留量を増加させる場合、第一弁61は閉じられた状態となり、第一弁62は、開かれた状態となる。第二弁66は、閉じられた状態となる。第三弁69は、開かれた状態となる。第一流路50のインクを第二流路65を介してメインタンク20に回収することができる。検出器25,26の何れかからの上限値信号が取得され、サブタンク21の貯留量又はサブタンク22の貯留量を減少させる場合、第一弁61,62は、閉じられた状態となる。第二弁66は、開かれた状態となる。第三弁69は、閉じられた状態となる。第一流路50からのインクの回収と第一流路50へのインクの供給を個別に行うことができる。第一流路50からのインクの回収をスムーズに行うことができる。第一流路50へのインクの供給をスムーズに行うことができる。インクジェット記録装置10では、第一送液部60は、前述の何れの場合も駆動し、第一流路50にインクを送液する。第二送液部68も常時駆動し、第三流路67にインクを送液する。
(2)第三流路67は、第一流路50の第四位置に繋がる。第四弁63は、第一流路50の第五位置に設けられる。そのため、インクの循環を安定させることができる。第一流路50に流入したインクが第一流路50を逆流することを防止することができる。
インクジェット記録装置10とは異なり、第三流路が繋がる第一流路の位置は、第一送液部より循環方向の下流側で且つサブタンクより循環方向の上流側とすることもできる。この説明では、第三流路が繋がる第一流路の位置が前述の位置となる、インクジェット記録装置10の比較対象であるインクジェット記録装置を「比較例のインクジェット記録装置」という。比較例のインクジェット記録装置では、インクが第一流路に流入した後、サブタンクの貯留量が急激に増加することが想定される。そのため、比較例のインクジェット記録装置では、サブタンクの貯留量が急激に増加することで、貯留室の圧力が変動することがある。サブタンクで貯留室の圧力が変動すると、このサブタンクと繋がるインクジェットヘッドのノズルに形成されるメニスカスが不安定な状態となる。従って、比較例のインクジェット記録装置では、ノズルからのインクの吐出が阻害されることがある。
これに対して、インクジェット記録装置10では、第四位置が第一位置より循環方向の上流側である。そのため、第一流路50に流入したインクは、その直後にサブタンク21,22に流入しない。インクは、第一流路50に流入した後、第一送液部60を介して第一流路50(第五部分57)を送液される。そのため、サブタンク21,22に流入するインクの量を一定の状態に維持することが可能となる。従って、インクジェット記録装置10によれば、第一流路50へのインクの流入に伴い、サブタンク21,22で貯留室23の圧力が変動することを抑制することができる。インクジェットヘッド40,41で複数のノズル42に形成されるメニスカスを安定させることができる。記録媒体12に画像を高品質に記録することができる。インクジェット記録装置10の構成をシンプルにすることができる。インクジェット記録装置10では、比較例のインクジェット記録装置より、インクがインクジェットヘッド40,41に到達するまでに流れる距離を長くすることができる。インクがインクジェットヘッド40,41に到達する前に、インクの温度を自然に上昇させることが可能となる。
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
(1)図1に示すインクジェット記録装置10は、例えば、シリアル型のインクジェット記録装置とされる。シリアル型のインクジェット記録装置10について、図2を参照して説明する。図2に基づく説明では、図1に示すインクジェット記録装置10との対応を明らかにするため、共通する又は対応する各部に対する符号は、上記同様とする。但し、図2では、メインタンク20と第一送液部60と第一弁61,62と第四弁63と第二流路65と第二弁66と第三流路67と第二送液部68と第三弁69と第四流路70と制御装置75の図示は、省略されている。第一流路50では、第一部分51,52の一部と第三部分54,55の一部が図示され、これ以外の部分の図示は、省略されている。サブタンク21,22と検出器25,26とインクジェットヘッド40,41と第一部分51,52と第三部分54,55は、4色分図示されている。記録媒体12は、長尺の記録媒体とされている。図2に示すシリアル型のインクジェット記録装置10は、上述した各部の他、移動部85と、搬送部95を備える。
移動部85は、記録媒体12に対してキャリッジ30を往復移動させる。この説明では、移動部85によってキャリッジ30が往復移動される方向を「主走査方向」という。移動部85は、2個のプーリ86,87と、タイミングベルト88と、第一モータ89を備える。プーリ86は、搬送部95を基準として、主走査方向の第一側に設けられる。プーリ87は、搬送部95を基準として、主走査方向の第二側に設けられる。プーリ87は、回転自在に支持される。タイミングベルト88は、張力が作用した状態でプーリ86,87に架け渡される。タイミングベルト88には、支持部90を介してキャリッジ30が取り付けられる。第一モータ89は、プーリ86に連結される。第一モータ89は、プーリ86を回転させる。第一モータ89としては、例えば、エンコーダ付きのサーボモータが採用される。図2で、プーリ86の内部に示す矢印は、プーリ86の回転方向を示す。図2に示すシリアル型のインクジェット記録装置10では、例えば、第一流路50と第二流路65と第三流路67と第四流路70は、主走査方向へのキャリッジ30の往復移動に対応可能な状態で設けられる。
搬送部95は、記録媒体12を搬送する。この説明では、搬送部95によって記録媒体12が搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向は、主走査方向に直交する。図2に示すシリアル型のインクジェット記録装置10では、搬送部95による記録媒体12の搬送は、間欠的に行われる。搬送部95は、ベルトコンベアである。搬送部95は、一対の搬送ローラ96,97と、無端ベルト98と、第二モータ99を備える。搬送ローラ96は、搬送方向の第四側に設けられ、搬送ローラ97は、搬送方向の第三側に設けられる。キャリッジ30を基準とした場合、搬送方向の第三側は、キャリッジ30より搬送方向の上流となり、搬送方向の第四側は、キャリッジ30より搬送方向の下流となる。無端ベルト98は、環状のベルトである。無端ベルト98は、張力が作用した状態で搬送ローラ96,97に架け渡される。記録媒体12は、無端ベルト98の外周面に載せ置かれる。第二モータ99は、搬送ローラ96に連結される。第二モータ99としては、例えば、エンコーダ付きのサーボモータが採用される。第二モータ99は、搬送ローラ96を搬送方向に対応する方向に回転させる。無端ベルト98は、搬送ローラ96の回転に伴い、搬送方向に対応する方向に回転する。搬送ローラ97は、無端ベルト98の回転に従動して搬送方向に対応する方向に回転する。図2で、搬送ローラ96の内部に示す矢印は、搬送ローラ96の回転方向を示す。
図2に示すシリアル型のインクジェット記録装置10で記録媒体12に画像が記録される場合、移動部85と搬送部95は、次のように動作する。移動部85では、第一モータ89が時計回りと反時計回りに往復して回転する。第一モータ89の回転に伴い、プーリ86が左右両側に往復して回転する。第一モータ89が所定の方向に回転することでプーリ86が左回転すると、タイミングベルト88も左回転する。プーリ87は、左回転するタイミングベルト88に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ30は、主走査方向の第二側から第一側に移動する。キャリッジ30が、主走査方向の第一側の移動端に到達すると、第一モータ89の回転方向は反転し、プーリ86は、右回転する。プーリ86が右回転すると、タイミングベルト88も右回転する。プーリ87は、右回転するタイミングベルト88に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ30は、主走査方向の第一側から第二側に移動する。キャリッジ30が、主走査方向の第二側の移動端に到達すると、第一モータ89の回転方向は再度反転し、プーリ86は、再度左回転する。
搬送部95は、キャリッジ30の主走査方向の第二側から第一側への移動と、キャリッジ30の主走査方向の第一側から第二側への移動に対応させて、記録媒体12を搬送方向に搬送する。即ち、搬送部95による記録媒体12の搬送は、前述したキャリッジ30の主走査方向への各移動に応じて間欠的に行われる。各色のインクは、キャリッジ30が主走査方向に移動している所定のタイミングで各色のインクジェットヘッド40,41の複数のノズル42から記録媒体12に向けて吐出される。その後、各色のインクは、記録媒体12の表面に着弾する。これに伴い、記録媒体12の表面には、画像が記録される。図2で、キャリッジ30より搬送方向の第四側に図示された記録媒体12の表面部分に付した模様は、記録媒体12に記録された画像に対応する。移動部85は、画像の記録が終了するまで動作する。従って、キャリッジ30の主走査方向への往復移動は、画像の記録が終了するまで繰り返される。搬送部95は、画像の記録が終了した後、所定のタイミングで停止する。搬送部95の停止に伴い、搬送方向への記録媒体12の搬送も終了する。
図2に示すシリアル型のインクジェット記録装置10では、キャリッジ30の往復移動に伴い、サブタンク21,22に貯留されたインクが揺れ動き、液面が波立つことがある。キャリッジ30が往復移動している状態で検出されたインクの量に応じてインクの回収又はインクの供給を実行することができる。サブタンク21,22に貯留されたインクが揺れ動き、液面が波立つ場合、検出器25,26では、検出遅延が生じることがある。検出遅延は、停止信号の出力遅延に繋がり、サブタンク21,22の貯留量が第一量以上となる原因の1つとなる。
図1に示すインクジェット記録装置10は、ライン型のインクジェット記録装置であってもよい。インクジェット記録装置10がライン型である場合、インクジェットヘッド40,41では、複数のノズル42は、記録媒体12の幅方向に配列される。記録媒体12の幅方向は、上述した搬送方向に直交する。インクジェット記録装置10がライン型である場合、このインクジェット記録装置10は、搬送部95と同様の搬送部を備える。この搬送部は、上記同様、記録媒体12を搬送する。但し、記録媒体12の搬送は、連続的に行われる。シリアル型及びライン型のインクジェット記録装置は、共に公知のインクジェット記録装置である。従って、シリアル型又はライン型のインクジェット記録装置10に関するこの他の説明は、省略する。
(2)サブタンク21は、インクジェットヘッド40の鉛直方向の上側に設けられ、サブタンク22は、インクジェットヘッド41の鉛直方向の上側に設けられる。サブタンク21とインクジェットヘッド40は、接続流路35によって繋がる。サブタンク22とインクジェットヘッド41は、接続流路36によって繋がる。接続流路35,36は、省略してもよい。この場合、サブタンク21は、貯留室23と流入口43が通じ合う状態でインクジェットヘッド40の鉛直方向の上側に直接設けられる。サブタンク22は、貯留室23と流入口43が通じ合う状態でインクジェットヘッド41の鉛直方向の上側に直接設けられる。
(3)インクジェット記録装置10では、1色分の記録部が2個のインクジェットヘッド40,41によって形成される。1色分の記録部を形成するインクジェットヘッドの数は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、1色分の記録部は、1個のインクジェットヘッドによって形成されてもよい。この場合、インクジェットヘッド40に対して各1個のサブタンク21と検出器25を設け、インクジェットヘッド41に対して各1個のサブタンク22と検出器26を設けた図1の構成に準じ、1色分の記録部を形成する1個のインクジェットヘッドには、サブタンクと検出器が各1個設けられる。制御部76は、上記に準じ、前述の検出器からの上限値信号と下限値信号と停止信号に従い、前述のサブタンクに繋がる第一流路に設けられた第一弁の開閉と、第二弁66の開閉と、第三弁69の開閉を適宜制御する。この他、1色分の記録部は、3個以上のインクジェットヘッドによって形成されてもよい。
(4)サブタンク21,22に貯留されたインクの量(液面のレベル)として、第一量と第二量と第三量が設定される。例えば、第一量は、貯留室23の容積の85%の値とされ、第二量は、貯留室23の容積の20%の値とされ、第三量は、貯留室23の容積の80%の値とされる。第一量と第三量の関係について、「第三量=条件値N<第一量」のように、第一量と第三量の基準となる条件値Nは、同一の値としてもよい。前述の関係式における条件値Nは、任意の値とされる。例えば、条件値Nは、貯留室23の容積の80%又は85%とされる。この場合、検出器25は、サブタンク21の貯留量が条件値Nを超えた場合、上限値信号を出力し、サブタンク21の貯留量が条件値Nとなった場合、停止信号を出力する。検出器26は、サブタンク22の貯留量が条件値Nを超えた場合、上限値信号を出力し、サブタンク22の貯留量が条件値Nとなった場合、停止信号を出力する。制御部76は、検出器25,26からの上限値信号又は停止信号を取得し、上記同様の制御を実行する。
(5)サブタンク21の貯留量又はサブタンク22の貯留量が第一量以上となり、第一流路50からメインタンク20にインクを回収する場合、第一弁61,62は、共に閉じられた状態とされる。前述の場合、閉じられた状態とされる第一弁は、第一弁61,62のうちの何れか一方の第一弁としてもよい。上限値信号が検出器25から出力された場合、第一弁61を閉じられた状態とし、上限値信号が検出器26から出力された場合、第一弁62を閉じられた状態としてもよい。即ち、閉じられた状態とされる第一弁は、第一部分51,52のうちの次の第一部分に設けられた第一弁としてもよい。前述の第一部分は、サブタンク21,22のうちの次のサブタンクに繋がる第一部分である。前述のサブタンクは、下限値信号を出力した検出器が設けられたサブタンクである。
(6)第二流路65が繋がる第一流路50の第三位置は、第一送液部60と第二部分53の間となる第五部分57の所定の位置とされる。第三位置は、第二部分53の所定の位置としてもよい。第三流路67が繋がる第一流路50の第四位置は、第四部分56と第一送液部60の間となる第五部分57の所定の位置とされる。第四位置は、第四部分56の所定の位置としてもよい。この場合、2個の第四弁63が第三部分54,55に各1個設けられる。