JP6928760B2 - 泡沫、スクリーンフォーマー用の組成物、およびその評価方法 - Google Patents
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Description
本発明の評価方法を用いれば、スクリーンフォーマー用の組成物として適しているか否かを判別することができるため、適している組成物を選択することで起泡性、泡持続性に優れるスクリーンフォーマーで起泡する製剤を提供することができる。
光学顕微鏡で観察することにより、簡便に、又は正確に、スクリーンフォーマー用の組成物として適しているか否か判別することができる。
当該基準を用いることにより、より正確な評価ができる。
(A)下記(I)又は下記(II)の処理前は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(B)下記(I)の処理後は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(I)前記組成物を開放系で静置する。
(II)前記組成物に応力を加える。
この評価方法によれば、スクリーンフォーマー用の組成物として適しているか否かを判別することができるため、適している組成物を選択することで良好な泡を呈する製品を提供することができる。当該評価方法は、それのみで用いることもできるし、前述した泡沫の島状構造体の評価と組み合わせて用いることもできる。
(C)前記(II)の処理後は、該処理前よりも多くのミセル像が観察される状態にある。
当該基準を用いることにより、より正確な評価ができる。
当該基準を用いることにより、より正確な評価ができる。
遠心分離によって前記組成物に応力を加えた後に光学顕微鏡観察することにより、より正確にミセル像を観察することが可能であり、より正確にスクリーンフォーマー用の組成物として適しているか否か判別することができる。
本発明の泡沫は、安全性が高く、持続性に優れる。
このような形態の泡沫は、持続性に優れる。
本発明の組成物は、前述した本発明の泡沫を形成するのに好適である。
非イオン性界面活性剤の濃度が前記範囲である組成物は、本発明の泡沫を形成するのにより好適である。
多価アルコールの濃度を前記範囲とすることによって、本発明の泡沫を形成するのにより好適である。また、保湿感などの使用実感を向上させることができる。
曇点以上で可溶化することにより製造して得られる組成物は、本発明の泡沫を形成するのにより好適である。
(A)下記(I)および下記(II)の処理前は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(B)下記(I)の処理後は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(I)前記組成物を開放系で静置する。
(II)前記組成物に応力を加える。
上記(A)および上記(B)の条件を充足する組成物は、本発明の泡沫を形成するのに好適である。
(C)前記(II)の処理後は、該処理前よりも多くのミセル像が観察される状態にある。
上記(C)の条件を充足する前記組成物は、発明の泡沫を形成するのにより好適である。
遠心分離によって応力を加えた場合に前記条件を充足する組成物は、発明の泡沫を形成するのにより好適である。
このような製造方法により、本発明の泡沫を形成するスクリーンフォーマー用の組成物としてより適している組成物を製造することが可能となる。
以上の本発明によれば、洗い流すことを前提としない皮膚外用剤として適用し得る、良好な泡を呈する新規なフォーム形態の製剤の設計、製造が可能となる。
本発明において、「泡沫」とは、集合体としての泡を意味し、空気層とこれを内包する泡沫殻とからなる。
本発明の泡沫は、これを構成する泡沫殻が、該泡沫殻の表面方向に広がる複数の島状構造体を有することを特徴とする(図3(C)、(D)参照)。図3(C)は、本発明の泡沫における一つの気泡の形成過程の断面の模式図である。図3(D)は、本発明の泡沫の模式図である。
前記島状構造体とは、連続相(海)において、不連続に、独立している構造体のことをいう。すなわち、本発明の泡沫は、前記島状構造体と、前記島状構造体間を埋める連続相と、からなる泡沫殻を有している。島状構造体は複数の変曲点を有する不定形な構造体であり得る。島状構造体は、好ましくは、扁平なミセルである。
泡沫を構成する泡沫殻の表面方向に広がる島状構造体、好ましくは扁平なミセルを含むことにより、泡沫殻が安定し、泡沫の泡持続性が向上する。
前記島状構造体の投影面積が前記範囲であると、本発明の泡沫は、持続性により優れた泡沫となる。
前記計測域とは、顕微鏡で実際に観察される縦×横の寸法である。前記計測域は、500μm四方以上であることが好ましい。
前記島状構造体の投影面積を測定する方法は、泡沫をスライドグラスに乗せ、観察した泡沫の吐出後から30秒後の顕微鏡写真(計測域500μm×700μm)をプリントし、スケールの10μm×10μmの部位(標準部位)を切り出し、秤量し、島状構造体部分を切り出し、秤量した値を標準部位の重さで割り、100μm2を掛けることにより求める方法が挙げられる。すなわち、(島状構造体の投影面積)={(島状構造体部分の写真の重量)/(標準部位の重量)}×100という式にそれぞれの値を当てはめることで、前記島状構造体の投影面積を導き出すことができる。
本発明の泡沫は、前記泡沫殻に必須成分として非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン界面活性剤は、泡沫を形成する作用を有する。
非イオン性界面活性剤は、前記島状構造体を形成する限り、特段の限定なく適用することができる。
(X群)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルケニルエーテル
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが好ましく例示できる。
また、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルにおいて、また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は2〜50が好ましく、4〜45がより好ましく、4〜40が更に好ましく、6〜30が特に好ましい。
前記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウレート等のポリオキシエチレンの、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステルが好ましく例示できる。
また、前記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルにおいて、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は5〜70が好ましい。より好ましくは、5〜65である。さらに好ましくは、5〜55である。
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが好適に例示できる。
また、前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおいて、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は10〜50が好ましく、5〜25がより好ましい。
ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルケニルエーテルとしては、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンセチルなどが好ましく例示できる。
また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は2〜30が好ましく、4〜20がより好ましい。また、ポリオキシプロピレンの平均付加モル数は10〜20が好ましく、6〜16がより好ましい。
脂肪族アルカノールアミド型界面活性剤は、外用医薬や化粧品などの通常の皮膚外用剤で使用されるものであれば特段の定めなく適用できる。具体例を挙げれば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)などが好適に例示でき、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミドが好適に例示できる。
前記HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤は、皮膚外用剤などに配合可能であれば特段の定めなく適用することができる。
前記HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが好適に例示できる。
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタンなどが好適に例示できる。より好ましくは、モノステアリン酸ソルビタンである。
前記HLBが9以上の非イオン性界面活性剤と、HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤の組み合わせの例としては、非イオン性界面活性剤として、HLBが9以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルにHLBが5以下のモノステアリン酸グリセリン及び/又はモノステアリン酸ソルビタンを組み合わせる形態、HLB値が9以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルに加え、HLBが9以上のポリオキシチレン脂肪酸エステル、ポリオキシチレン化されたソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシチレン化されていても良いヒマシ油より選択される1種又は2種以上と、HLB値が5以下のモノステアリン酸グリセリン及び/又はモノステアリン酸ソルビタンを組み合わせる形態が例示できる。
本発明の泡沫は、イオン性界面活性剤(但し、リン脂質を除く)を好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは実質的に含まないことが好ましい。これにより、安全性の高い泡沫とすることが可能である。
本発明の泡沫におけるアルコールは、非イオン性界面活性剤と相互作用することにより、泡沫殻を強固にする。
本発明の泡沫におけるアルコールは、多価アルコールであることが好ましい。
グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、
1,2−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が好
適に例示できる。
また、本発明の多価アルコールの分子量は、好ましくは、3500以下、より好ましくは、2000以下であることが好ましい。
前記任意の成分としては、例えば、流動パラフィンやスクワランなどの炭化水素類、ホホバ油、ドデカン酸オレイルエステル、セチルイソオクタネート等のエステル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキル−2−メチルピロリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの炭素数2〜4の炭酸アルキレン、クロタミトン、クエン酸トリエチル、ジエチレングリコールのエチルエーテル、トリアセチン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルなどの炭素数5〜12の二塩基酸のジエステル、ベンジルアルコール等の溶剤類、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの増粘剤、パラベン、クロルヘキシジングルコネート等の殺菌剤などが好適に例示できる。これらの任意成分の内、好適なものを適宜選択し、含有させることができる。
本発明はまた、特に、抗真菌剤として、ナフチルアミン系、ベンジルアミン系、アゾール系、ジチオラン系の抗真菌剤を含有する形態も好適に例示できる。
前記有効成分は、水に対する溶解性に応じて、泡沫殻の連続相または島状構造体のいずれに含むこともできる。例えば、水不溶性、水難溶性の有効成分については、適切な溶剤に溶解され、少なくとも島状構造体の内部に含むことが好ましい。
(Y群)
N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、ベンジルアルコール、アジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエステル
前記Y群の極性溶剤は、難溶解性の薬剤(有効成分)の溶解性に優れ、難溶解性の薬剤を本発明の泡沫に安定に含有することができる。
前記有機塩及び/又は無機塩としては、塩酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、ソルビン酸、乳酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、リンゴ酸、アルギニン、アンモニア水、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウム、又はそれらの塩が挙げられるがこれに限定されない。
本発明の泡沫は、安全性が高く、泡持続性を有するため、患部に負担をかけることなく、均一に塗布することができる。
このような性質から、本発明の泡沫は、皮膚疾患に対する有効成分を含有する医薬として用いることが好ましい。この場合には、塗布後除去しないで用いられる。
本発明の泡沫は、次項で説明するスクリーンフォーマー用の組成物をスクリーンフォーマーに通すことで調製することができる。
ここで、スクリーンフォーマーとは、液体を加圧し、ネット状のスクリーンを通過させることにより、組成物を空気と混合せしめ、発泡させる機構のものを意味し、ポンプフォーマー、チューブフォーマーなどが知られており、特にポンプフォーマーが好ましく例示できる。ポンプフォーマーとはポンプでくみ上げた内容物を、泡状の形態で吐出する機構である。このようなスクリーンフォーマーを備えた容器は公知であり(例えば、特開2012−45525号公報、特開2008−307478号公報を参照)、市販品も存在するので、これを適宜用いることができる。
以下、スクリーンフォーマー用の組成物について詳述する。
本発明のスクリーンフォーマー用の組成物(以下、本発明の組成物)は、前述した本発明の泡沫の調製に用いられる組成物である。
本発明の組成物は、泡沫形成剤として、非イオン性界面活性剤を含む。すなわち、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤以外の泡沫を形成し得る成分(典型的には、イオン性界面活性剤)を、これが泡沫形成能を発揮する形態で含まない。例えば、イオン性界面活性剤(但し、リン脂質を除く)の含有量は、好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは実質的に含有しない。非イオン性界面活性剤の好ましい形態については、<1>本発明の泡沫の項の記載が当てはまる。
例えば、非イオン性界面活性剤は、組成物全量に対し1〜15質量%含有されることが好ましい。また、非イオン性界面活性剤は、組成物全量に対し好ましくは2〜12質量%、更に好ましくは2〜10質量%、より好ましくは2.5〜10質量%、特に好ましくは2.5〜7質量%含有される。前記所定のHLB値を有する非イオン性界面活性剤の占める割合は、非イオン性界面活性剤の総量に対して、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。例えば、非イオン性界面活性剤の全量をHLB値が9以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上、特に好ましくは13以上の非イオン性界面活性剤で構成することも好ましい。
また、HLB値が9以上の非イオン性界面活性剤と、HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤を共に配合する場合は、HLB値の加重平均が9〜16であることが好ましい。
本発明の組成物は、アルコールの含有量を前記範囲とすることで、吐出した泡沫を長時間保持することができ、また保湿感などの使用実感を向上させることができる。
エタノールを10〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%含有する形態。
エタノールに加え多価アルコールを含有する形態。
ポリエチレングリコールを0.5〜30質量%、より好ましくは1.5〜25質量%含有し、且つ他の多価アルコールも含有する形態。
1,3−ブチレングリコールを5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%含有する形態。
前記1,3−ブチレングリコールに加え他の多価アルコールも含有する形態。
前述のアルコール、取り分け、多価アルコールを高濃度で含有することにより、非イオン界面活性剤との相互作用により、空気との界面が強化された泡沫殻を有する泡を形成することができる。また、アルコールを高濃度で含有することにより、保湿感を実感できる組成物となる。
また、本発明の組成物は、前記極性溶剤の含有量が、難溶解性の薬剤(有効成分)の含有量の20〜250質量倍とすることが好ましく、より好ましくは30〜200質量倍である。
本発明の組成物は、前記極性溶剤の濃度を上記範囲とすることで、吐出した泡沫の強度を高めることができ、かつ有効成分を組成物に安定的に配合することができる。
さらに、本発明の組成物は、前記極性溶剤の濃度を上記範囲とすることで、塗布及び延展時の刺激感を低減することができる。
本発明の組成物は前記リン脂質の濃度を上記範囲とすることで、吐出した泡沫の強度を高めるとともに、泡沫がpHの影響を受けて性状が変化するのを防ぐ作用を有する。さらに塗布延展時の使用感を向上させるとともに、皮膚が刺激を受けるのを避けることができる。
本発明の組成物は、アルカリ性においては洗浄剤などとして、弱酸性においては、皮膚への刺激を低減した医薬品、化粧品などに適用することができる。特に、弱酸性においては、塗布後除去しない形態で使用される医薬品や化粧品に好適である。
本発明の組成物は、前記誘導体およびその塩の含有量を上記範囲とすることで、有効成分又は製剤成分の分解、変性などを抑制し、製剤安定性を向上させることができる。
リン脂質を除くイオン性界面活性剤の含有量の総和は1質量%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
また、非イオン性界面活性剤のうち、アルカノールアミド型界面活性剤もその使用は制限されることが好ましく、特に好ましい形態では実質的に含有しない。また、非イオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、粘膜においてアナフィラキシーを誘起することから、その使用が制限されることが好ましい。これらの非イオン性界面活性剤の使用量は、非イオン性界面活性剤に占める割合として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは含有しない。
また、シリコーンについても実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の組成物は可溶化状態であることを特徴とする。可溶化状態とは、肉眼観察上では、透明で、干渉色も、にごりも有さない形態である。また、可溶化状態は、マイクロエマルションの状態を含む。マイクロエマルション(ナノエマルションを含む)は100nm以下の微細な粒子径のミセル(マイクロミセル乃至はナノミセル)の分散物であり、熱力学的に安定なミセル溶液である。可溶化状態であることは、組成物が透明であることをもって確認できる。また、常法により、粒子サイズを測定することにより可溶化状態を確認することもできる。
本発明の組成物は、好ましくは、O/W型のマイクロエマルションである。このような形態において、組成物がアルコール、好ましくは多価アルコールを含む場合には、(アルコール+非イオン性界面活性剤)/(水+アルコール)のO/W型であることが好ましい。また、更に極性溶剤を含む場合には、油相に極性溶剤を含むことが好ましい。例えば、本発明の組成物は(溶剤+多価アルコール+非イオン性界面活性剤)/(水+一価アルコール+多価アルコール)のO/W型のマイクロエマルションであることが好ましい。
本発明の組成物は、水を40〜85質量%、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%含有することを特徴とする。
本発明の組成物において、水はスクリーンフォーマーで吐出したときに泡沫を形成するための重要な構成要素である。
本発明の組成物は、水の量を前記範囲とすることで、起泡性や泡持続性により優れた泡沫を形成することができる。また、外用の際に、塗布している間安定に泡を維持するためには、水の量を前記範囲とすることが有効である。
(A)下記(I)又は下記(II)の処理前は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(B)下記(I)の処理後は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(C)下記(II)の処理後は、該処理前よりも多くのミセル像が観察される状態にある。
(I)前記組成物を静置する。
(II)前記組成物に応力を加える。
前記光学顕微鏡の観察倍率は、好ましくは100〜4000倍であり、より好ましくは100〜2000倍、さらに好ましくは100〜1000倍である、特に好ましくは、100〜500倍である。
本発明の組成物の好ましい形態を定義するにあたり、開放系で静置する等の経時的条件あるいは応力負荷条件を加えた後に、ミセルが観察できるか否かは重要である。
開放系で静置する等の負荷が小さい条件を加えた後に、ミセルが観察される組成物は、持続性が低い泡沫を形成する可能性が高い。一方で、前記負荷が小さい条件を加えた後に、ミセルが観察されない、もしくはほとんど観察されない組成物は、持続性が高い泡沫を形成する可能性が高い。
また、応力を加える等の大きい負荷によって、ミセルが観察される組成物は、起泡性に優れており、かつ持続性の高い泡沫を形成する可能性が高い。
本発明の組成物は、前述した構成成分を室温以上で可溶化することにより製造することができる。本発明の組成物は、前述した構成成分を50℃以上で可溶化することにより製造することが好ましく、より好ましくは非イオン性界面活性剤の曇点以上で可溶化することにより製造する。
本発明の組成物は、室温付近で可溶化することにより製造することもできるが、非イオン性界面活性剤の曇点以上で可溶化することで、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適している組成物を製造することができる。
以下に、本発明の組成物を用いて本発明の泡沫が形成される過程について、模式図を参照して説明する。
典型的なフォーム剤であるイオン性界面活性剤を含む組成物による泡沫形成は、イオン性界面活性剤からなる二重膜構造(図1参照)が空気界面で空気を包含し、閉鎖空間を形成して起こる(図2参照)。これは、二重膜構造の表面張力が、小さいために、一枚の膜で空気を包含できるが故に起こる現象である。
これに対し、本発明の泡沫の形成過程は、非イオン性界面活性剤による表面張力の低下が少ないため、一枚の膜で空気を包含することができないと推定される。そのため、スクリーンフォーマーに通すことによる空気との接触によって、次のような過程を経て泡沫が形成されると推定される。
2)形成したミセルは、空気界面との接触面積を増加させるために扁平化する(図3(B))。
3)ミセルの扁平化は、ミセルの表面張力と、連続相とのバランスで終結し、表面に扁平化したミセルと、これらのミセルとミセルとの間を埋める連続相とからなる膜(泡沫殻)が生成する。
4)生成した膜(泡沫殻)が空気を包含し、泡沫を形成する(図3(C))。
この扁平化したミセルが、本発明の泡沫の気液界面に島状構造体として観察される(図3(D))。また、この扁平化したミセルと連続相のつくる膜が、本発明の泡沫における泡沫殻である。
本発明のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法(以下、本発明の評価方法)は、非イオン性界面活性剤を泡沫形成剤として含んだ組成物をスクリーンフォーマーに通して泡沫を形成させて、前記泡沫の気液界面に複数の島状構造体が形成されていることを認めた場合には、スクリーンフォーマー用の組成物として適したものであると判別し、前記泡沫の気液界面に前記島状構造体が形成されていないと認めた場合には、スクリーンフォーマー用の組成物として適していないものであると判別する。
本発明の評価方法は、これらの製造方法や、製造手順の違いによって生じる起泡性および泡持続性の差異を、泡沫の気液界面に島状構造体が形成されているか否かによって判別することができる。前記島状構造体とは、連続相(海)に対して、不連続で、独立している構造体のことをいう。
上記判別方法は、2つ以上の組成物を比べる相対的な判別方法であるが、絶対的な判別方法として好ましくは、前記島状構造体の投影面積の平均値が、1000μm2以上である場合に、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適していると判別し、より好ましくは1500μm2以上である場合に、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適していると判別する。
また、本発明の評価方法では、計測域で観察される60%以上、好ましくは80%以上の前記島状構造体の前記投影面積が1000μm2以上である場合に、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適していると判別することが好ましい。
前記計測域に特段の定めはないが、好ましくは泡沫の一つの気泡の1/3が収まるスケールが、より好ましくは泡沫の少なくとも一つの気泡が収まるスケールが好ましい。具体的には前記計測域が、好ましくは300μm四方以上であり、より好ましくは500μm四方以上であり、さらに好ましくは1000μm四方以上である。
本発明の評価方法では、泡沫の吐出後から泡沫の消失まで観察を行うことができるが、前記島状構造体の形成しているか否かの判別、および前記島状構造体の泡沫殻表面方向から観察した場合の投影面積の測定は、島状構造体の形および大きさが経時的に変化せず、安定化した後に測定することが好ましい。具体的には、好ましくは前記泡沫の吐出後10秒〜3分間の間、より好ましくは前記泡沫の吐出後20秒〜2分間の間、さらに好ましくは前記泡沫の吐出後30秒〜1分間の間に前記判別および前記投影面積の測定を行う。
好ましくは、下記(A)および(B)の条件を充足する場合に、スクリーンフォーマー用の組成物として適したものであると判別する。
より好ましくは、下記(A)、(B)および(C)の条件を充足する場合に、スクリーンフォーマー用の組成物として適したものであると判別する。
(A)下記(I)又は下記(II)の処理前は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(B)下記(I)の処理後は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(C)下記(II)の処理後は、該処理前よりも多くのミセル像が観察される状態にある。
(I)前記組成物を静置する。
(II)前記組成物に応力を加える。
当該評価方法は、組成物の評価方法として、単独で用いることができる。また、前述した泡沫の島状構造体についての評価と組み合わせて用いることもできる。
下記の表1に示した処方成分を全て合わせて、70℃で加温溶解した後に、30℃まで攪拌冷却し、組成物1を製造した。なお、表1中の処方成分は、質量%にて表示している。
下記の表1に示した処方成分を、室温で相溶させ組成物2を製造した。また、下記の表1に示した処方成分を50℃で可溶化し、撹拌冷却して組成物3を製造した。さらに、下記の表1に示した処方成分を80℃で可溶化し、撹拌冷却して組成物4を製造した。
下記の表1に示した処方成分を全て合わせて、実施例1と同様の操作を行い、組成物5を製造した。
下記の表1に示した処方成分を全て合わせて、実施例1と同様の操作を行い、組成物6を製造した。
前記組成物1〜6をポンプフォーマーに通して、泡沫を形成させた。前記泡沫をスライドグラスに乗せた状態で、光学顕微鏡観察を行い、起泡性および泡持続性について評価を行った。また、泡沫をスライドグラスに乗せた状態で、光学顕微鏡観察(計測域500μm×700μm)を行い、前記泡沫の気液界面に島状構造体が形成されているか評価を行った。それぞれの評価項目について、以下の基準により評価した。結果を図4に示す。
また、組成物1および2に関しては、前記島状構造体の投影面積を測定した。投影面積は、泡沫の吐出後から30秒後の顕微鏡写真をプリントし、スケールの10μm×10μmの部位(標準部位)を切り出し、秤量し、島状構造の部分を切り出し、秤量した値を前記標準部位の重さで割り、100μm2を掛けることにより求めた。
○・・・起泡性が高い
×・・・起泡性が低い
(泡持続性)
◎・・・泡持続性が非常に高い
○・・・泡持続性が高い
×・・・泡持続性が低い
(島状構造体)
◎・・・大きい島状構造体が形成されている
○・・・島状構造体が形成されている
×・・・島状構造体が形成されていない、もしくはほとんど形成されていない
組成物3および4に次いで、組成物1および組成物2が起泡性および泡持続性に優れていた。組成物5は起泡性に優れているが泡持続性が低く、組成物6は起泡性および泡持続性ともに優れていなかった。
さらに、組成物5に形成されている構造体は、構造体同士が一部融合しており、独立していないため、島状構造体ではない。また、組成物6には、島状構造体がほとんど形成されていないことがわかる。
この結果から、泡沫の気液界面に島状構造体が形成されている場合には、泡沫殻が安定し、持続性の高い泡沫となることがわかった。
また、この結果から、組成物をスクリーンフォーマーに通して泡沫を形成させ、前記泡沫の気液界面に島状構造体が形成されている場合には、スクリーンフォーマーに適した組成物であると判別し、前記島状構造体が形成されていない場合には、適していないと判別することができることが示された。
さらに、この結果から、前記島状構造体の泡沫殻表面方向から観察した場合の投影面積が大きいほど、スクリーンフォーマーにより適した組成物であると判別することができることが示された。
前記組成物1〜6を、調製直後にスライドグラス上に乗せ顕微鏡観察を行った。さらに、スライドグラス上に1時間静置した後に、光学顕微鏡観察を行った。前記調製直後および大気下1時間静置後のそれぞれの光学顕微鏡観察により、ミセルの形成を認めるか否かの評価を行った。ミセル形成を認めるか否かは、以下の基準により評価した。結果を図4に示した。
○・・・ミセルが観察されない、もしくはほとんどミセルが観察されない
×・・・ミセルが観察される
この試験例2の結果から、組成物1〜4は、マイクロミセル乃至はナノミセルを含有するマイクロエマルション(ナノエマルションを含む)であることが推定された。
また、試験例1の結果を併せて考察すると、起泡性および泡持続性に優れた組成物1〜4では、大気下1時間静置後にミセルが観察されず、泡持続性が低い組成物5と起泡性および泡持続性が低い組成物6はミセルが観察されたことから、組成物を大気下放置後に光学顕微鏡観察を行った場合、ミセルが観察されない、もしくはほとんどミセルが観察されない場合には、スクリーンフォーマー用の組成物として適していると判別し、ミセルが観察される場合には、スクリーンフォーマー用の組成物として適していないと判別することができることが示された。
組成物2〜4をそれぞれポリエチレン製の遠心分離用チューブに100μL入れ、遠心分離(15000g、1分間)を行った。遠心分離後、組成物2〜4をそれぞれスライドグラス上に乗せ、光学顕微鏡観察を行い、観察されるミセルの評価行った。観察されるミセルの評価は、以下の基準により評価した。結果を図5に示した。
◎・・・ミセルが出現し、かつそのミセルの粒径が大きい
○・・・ミセルが出現する
△・・・ミセルがわずかに出現する
×・・・ミセルが出現しない
なお、上記の「そのミセルの粒径が大きい」とは、組成物2〜4で比べた時の相対的な評価である。
この試験例3の結果と、試験例1の結果を併せると、起泡性および泡持続性に最も優れていた組成物4に応力を加えると、ミセルが出現し、かつそのミセルが大きいことがわかった。
すなわち、組成物に応力を加えた後に、組成物を顕微鏡観察し、ミセルの形成を認め、かつそのミセルが大きい場合はスクリーンフォーマー用の組成物としてより適していると判別することができることが示された。
組成物1〜4について、試験例2においては、大気下1時間静置後でもミセルは観察されず、試験例3においては、前記応力を加えることで、1〜100ミクロン程度の大きさのミセルが観察された。これにより、組成物は、マイクロエマルション(ナノエマルションを含む)であると判断された。
1)スクリーンフォーマーを通すことにより組成物に応力がかかると、組成物中のマイクロミセルが空気界面に集合し、マクロミセルの合一が起こる。
2)合一して形成されたミセルは、空気界面との接触面積を増加させるために扁平化する。
3)ミセルの扁平化は、ミセルの表面張力と、連続相とのバランスで終結し、表面に扁平化したミセルと、これらのミセルとミセルとの間を埋める連続相とからなる膜(泡沫殻)が生成する。
4)生成した膜(泡沫殻)が空気を包含し、泡沫を形成する。
すなわち、また、非イオン性界面活性剤は、組成物中でマイクロミセルを形成しており、泡沫においては、泡沫殻において、扁平なミセルを構成する。光学顕微鏡観察によって泡沫の気液界面に観察された島状構造体は扁平なミセルである。
すなわち、組成物の構成成分のみによって泡沫の性質が決まるわけではないことが示された。室温で製造した組成物2よりも、50℃で製造した組成物3がスクリーンフォーマー用の組成物として適しており、50℃で製造した組成物3よりも、80℃で製造した組成物4がスクリーンフォーマー用の組成物として適していることから、組成物に含まれている非イオン性界面活性剤の曇点以上で組成物を製造することで、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適している組成物を製造できることが示された。
Claims (8)
- 非イオン性界面活性剤を泡沫形成剤として用いるスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法であって、前記組成物をスクリーンフォーマーに通して泡沫を形成させて、前記泡沫の気液界面に複数の島状構造体が形成されていることを認めた場合には、スクリーンフォーマー用の組成物として適したものであると判別し、前記泡沫の気液界面に前記島状構造体が形成されていないと認めた場合には、スクリーンフォーマー用の組成物として適していないものであると判別することを特徴とする、スクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
- 前記泡沫の気液界面に前記島状構造体が形成されているか否か、光学顕微鏡で観察することにより判別することを特徴とする、請求項1に記載のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
- 前記島状構造体の泡沫殻表面方向から観察した場合の投影面積が大きいほど、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適していると判別することを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
- さらに、前記組成物をスクリーンフォーマーに通さずに光学顕微鏡で観察した場合において、下記(A)および下記(B)の条件を充足する場合に、スクリーンフォーマー用の組成物として適したものであると判別することを特徴とする、請求項1〜3何れか一項に記載のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
(A)下記(I)又は下記(II)の処理前は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(B)下記(I)の処理後は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(I)前記組成物を開放系で静置する。
(II)前記組成物に応力を加える。 - さらに、下記(C)の条件を充足する場合に、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適したものであると判別することを特徴とする、請求項4に記載のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
(C)前記(II)の処理後は、該処理前よりも多くのミセル像が観察される状態にある。 - 前記(C)において、観察されるミセル像の粒径が大きいほど、スクリーンフォーマー用の組成物としてより適していると判別することを特徴とする、請求項5に記載のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
- 前記(II)の処理が、前記組成物に遠心分離により応力を加える処理であることを特徴とする、請求項4〜6何れか一項に記載のスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
- 非イオン性界面活性剤を泡沫形成剤として用いるスクリーンフォーマー用の組成物の評価方法であって、前記組成物を光学顕微鏡で観察した場合において、下記(A)〜(C)の条件を充足する場合に、スクリーンフォーマー用の組成物として適したものであると判別することを特徴とする、スクリーンフォーマー用の組成物の評価方法。
(A)下記(I)又は下記(II)の処理前は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(B)下記(I)の処理後は、ミセル像が観察されない状態又はほとんどミセル像が観察されない状態にある。
(C)下記(II)の処理後、該処理前よりも多くのミセル像が観察される状態にある。
(I)前記組成物を開放系で静置する。
(II)前記組成物に応力を加える。
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