図1は本実施の形態に係る機械式駐車設備1の外観の一例を示す図である。機械式駐車設備1は、例えば、エレベータ式あるいは循環式等の機械式駐車設備である。機械式駐車設備1は、例えば複数階で構成されている。機械式駐車設備1では、例えば、2階以上の各階に複数の駐車室(駐車空間、格納場所あるいは格納棚とも呼ばれる)が設けられている。各駐車室には、自動車の車両10を駐車することが可能である。以後、機械式駐車設備1を単に「駐車設備1」と呼ぶことがある。
車両10は、駐車設備1の入出庫口2から、駐車設備1内の乗降室5(乗入室あるいは乗入部とも呼ばれる)に入る。図2は乗降室5内の様子の一例を示す図である。
図2に示されるように、車両10は乗降室5内においてパレット6上に位置する。駐車設備1では、車両10はパレット6上に搭載された状態で搬送される。パレット6が搬器によって搬送されることによって車両10が搬送される。パレット6はターンテーブル7によって旋回することが可能である。これにより、車両10は旋回して向きを変えることが可能である。なお、車両10は、パレット6に搭載されることなく、搬器によって直接搬送されてもよい。
乗降室5内には、乗降室5内の車両10を間に挟んで入出庫口2と対向するように鏡8及び表示装置9が設けられている。少なくとも車両10が入庫するときには、表示装置9に各種情報が表示される。
入庫の場合、車両10は、入出庫口2から乗降室5内に入って、パレット6上に位置する。車両10は、例えば前方から乗降室5に入る。そして、車両10から人が下りた後、パレット6が搬器で乗降室5から空きの駐車室まで搬送される。これより、車両10が駐車室に駐車される。
一方で、出庫の場合、その上に車両10が搭載されているパレット6が、搬器によって駐車室から乗降室5まで搬送される。これにより、車両10が乗降室5に搬送される。そして、ターンテーブル7が旋回することによって、車両10の向きが180度回転して、車両10の前方が入出庫口2に向くようになる。その後、乗降室5で人が車両10に乗った後、車両10は入出庫口2から駐車設備1の外側に出ていく。
以後、乗降室5において、入出庫口2側を「手前側」と呼び、表示装置9側を「奥側」と呼ぶことがある。また、乗降室5において、手前側から奥側を見て右側及び左側をそれぞれ単に「右側」及び「左側」と呼ぶことがある。
図3は、駐車設備1を外側から見た際の入出庫口2付近の様子の一例を示す図である。図3に示されるように、入出庫口2には扉3が設けられている。扉3は、例えばスライドドアである。図2の例では、入出庫口2の扉3、言い換えれば、乗降室5の扉3が開けられている。
駐車設備1の外壁には、入出庫口2の傍に運転操作盤4が設けられている。操作者は、運転操作盤4を操作することよって、駐車設備1に対して、情報を入力したり、指示を与えたりすることができる。操作者は、例えば、車両10の運転者であったり、駐車設備1の管理者であったりする。
図4は運転操作盤4の一例を示す図である。運転操作盤4は、表示部40と、テンキー41と、複数の操作ボタン42とを備えている。表示部40は、例えばタッチパネルディスプレイであって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。テンキー41及び複数の操作ボタン42は、例えばハードウェアボタンである。表示部40は、ソフトウェアボタンである操作ボタンを表示することが可能である。操作者は、表示部40に表示される操作ボタン、テンキー41及び操作ボタン42を操作することによって、駐車設備1に対して、情報を入力したり、指示を与えたりすることができる。例えば、操作者は、駐車設備1に、扉3を開閉させたり、ターンテーブル7を旋回させたり、パレット6を搬送させたりすることができる。
本実施の形態に係る駐車設備1は、当該駐車設備1内において、車両10の外側に、人、荷物等の物体が存在するか否かを判定することが可能である。ここでは、例えば、駐車設備1は、乗降室5内において車両10の外側に物体が存在するか否かを判定する。以後、この判定を「車外判定」と呼ぶことがある。
また、駐車設備1は、駐車設備1内の車両10の中に動体が存在するか否かを判定することが可能である。ここでは、例えば、駐車設備1は、乗降室5に存在する車両10内に、人の可能性が高い動体が存在するか否かを判定する。以後、この判定を「車内判定」と呼ぶことがある。また、人の可能性が高い動体が存在するか否かを判定することを、単に「人が存在するか否かを判定する」と言うことがある。車内判定は、車両10内に人が存在するか否かを判定する処理であると言える。
図5は、駐車設備1が備える、車外判定及び車内判定に関する構成の一例を主に示すブロック図である。図5に示されるように、駐車設備1は、制御装置11と、車外判定用の複数の検知センサ120を備える検知センサ群12と、車内判定を行う複数の動体検知装置13とを備えている。駐車設備1は、例えば、2つの動体検知装置13を備えている。2つの動体検知装置13は、互いに独立して車内判定を行う。制御装置11は、検知センサ群12を用いて車外判定を行う。
制御装置11は、駐車設備1の他の構成要素を制御することによって、駐車設備1の動作を統括的に管理する。制御装置11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを含む記憶部と、その他の各種回路とを備えている。制御装置11が備える少なくとも一部の機能は、CPUが記憶部内の各種プログラムを実行することによって実現される。
なお、制御装置11の全ての機能あるいは制御装置11の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、制御装置11の記憶部は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えてもよい。記憶部は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを備えてもよい。
制御装置11は、上述の表示装置9、運転操作盤4及びターンテーブル7以外にも、駆動装置14及び各動体検知装置13を制御する。駆動装置14は、車両10を搬送する搬器15を駆動する。駆動装置14は、制御装置11からの指示に応じて搬器15を制御する。
検知センサ群12の各検知センサ120は、例えば光電管センサ(光電センサとも呼ばれる)である。検知センサ120は、投光部及び受光部を備えている。投光部は例えば可視光を出力する。投光部及び受光部は互いに離れて配置されている。検知センサ120は、投光部と受光部との間に物体が存在すると反応することから、投光部と受光部との間に物体が存在することを検知することが可能である。各検知センサ120は、例えば、乗降室5内において、車両10が停車する空間の周辺に配置される。これにより、制御装置11は、検知センサ群12を用いて、乗降室5に停車する車両10の周辺に位置する物体を検知することが可能である。なお、投光部は可視光以外の光、例えば赤外線を出力してもよい。また、検知センサ120は光電管センサ以外のセンサであってもよい。
各動体検知装置13は乗降室5に配置される。各動体検知装置13は、乗降室5に停車する車両10の中における、人である可能性が高い動体を検知する車両内動体検知を行うことが可能である。以後、人の可能性が高い動体を検知することを、単に「人を検知する」と言うことがある。
図6は検知センサ群12の各検知センサ120及び各動体検知装置13の配置例を示す図である。図6には、奥向きに停車している車両10が示されている。
図6に示されるように、検知センサ群12は、例えば、検知センサ120a〜120gを備える。検知センサ120aの投光部121a及び受光部122aは、入出庫口2の近くに配置されている。検知センサ120aは、入出庫口2に存在する物体を検知することが可能である。
検知センサ120bの投光部121b及び受光部122bは、乗降室5において、停車する車両10よりも手前側に配置されている。したがって、検知センサ120bは、乗降室5において、車両10よりも手前側に存在する物体を検知することが可能である。
検知センサ120cの投光部121c及び受光部122cは、乗降室5において、車両10よりも奥側に配置されている。したがって、検知センサ120cは、乗降室5において、車両10よりも奥側に存在する物体を検知することが可能である。
検知センサ120dの投光部121d及び受光部122dは、乗降室5において、車両10よりの右側に配置されている。したがって、検知センサ120dは、乗降室5において、車両10よりも右側に存在する物体を検知することが可能である。また、検知センサ120dは、車両10における、乗降室5の右側に存在するドアが開いていることも検知することが可能である。
検知センサ120eの投光部121e及び受光部122eは、乗降室5において、検知センサ120dの投光部121d及び受光部122dよりも右側に配置されている。したがって、検知センサ120eは、乗降室5において、検知センサ120dが物体を検知する範囲よりも右側に存在する物体を検知することが可能である。
検知センサ120fの投光部121f及び受光部122fは、乗降室5において、車両10よりの左側に配置されている。したがって、検知センサ120fは、乗降室5において、車両10よりも左側に存在する物体を検知することが可能である。また、検知センサ120fは、車両10における、乗降室5の左側に存在するドアが開いていることも検知することが可能である。
検知センサ120gの投光部121g及び受光部122gは、乗降室5において、検知センサ120fの投光部121f及び受光部122fよりも左側に配置されている。したがって、検知センサ120gは、乗降室5において、検知センサ120fが物体を検知する範囲よりも左側に存在する物体を検知することが可能である。
制御装置11は、車外判定において、検知センサ120a〜120gのそれぞれについて、物体を検知しているか否かを確認する。そして、制御装置11は、検知センサ120a〜120gの少なくとも一つが物体を検知する場合には、車両10の外側に物体が存在すると判定する。一方で、制御装置11は、検知センサ120a〜120gのいずれもが物体を検知していない場合には、車両10の外側に物体が存在しないと判定する。
2つの動体検知装置13は、乗降室5において、車両10よりも奥側に配置されている。2つの動体検知装置13は互いに離れて配置されている。2つの動体検知装置13の検知エリア230は部分的に重なっている。2つの動体検知装置13の検知エリア230は、乗降室5で停車する車両10内の空間の大部分をカバーしている。
一方の動体検知装置13の検知エリア230は、奥向きで停車する車両10内の空間のうち、主に、前列の運転席から、前列の助手席の後方の部分をカバーしている。よって、一方の動体検知装置13は、車内判定(車両内動体検知)において、運転席に存在する人や、助手席の後方の席に存在する人などを主に検知することが可能である。一方の動体検知装置13は、車両10内の他の部分に存在する人も検知することが可能である。
他方の動体検知装置13の検知エリア230は、奥向きで停車する車両10内の空間のうち、主に、前列の助手席から、前列の運転席の後方の部分をカバーしている。よって、他方の動体検知装置13は、車内判定(車両内動体検知)において、助手席に存在する人や、運転席の後方の席に存在する人などを主に検知することが可能である。他方の動体検知装置13は、車両10内の他の部分に存在する人も検知することが可能である。
なお、検知センサ群12が備える検知センサ120の数及び配置例は、図6の例には限られない。また、動体検知装置13の数及び配置例は、図6の例には限られない。また、車両10をフロントガラス側から見て、運転席及び助手席は、前列の左側及び右側にそれぞれ位置してもよいし、前列の右側及び左側にそれぞれ位置してもよい。つまり、車両10は、右ハンドルであってもよいし、左ハンドルであってもよい。
<動体検知装置の詳細>
図7は動体検知装置13の構成の一例を示す図である。駐車設備1が備える複数の動体検知装置13は互いに同様の構成を有している。動体検知装置13は、送信波VTを出力し、その送信波VTについての反射物300での反射波VRを受信する。そして、動体検知装置13は、送信波VTと反射波VRに基づいて、車両10内の人を検知する車両内動体検知を行う。
図7に示されるように、動体検知装置13は、信号発生器130と、アンテナ131と、検波器132,133と、A/D変換器134と、制御部135とを備えている。これらの構成要素は、例えば、一つのケース139内に収納される。動体検知装置13は、信号発生器130で生成される送信波(進行波)VTをアンテナ131から送信し、当該送信波VTについての複数の反射物300での反射波VRをアンテナ131で受信する。そして、動体検知装置13は、送信波VTと、アンテナ131で受信される複数の反射波VRとが合成されることによって生じる定在波(合成波)に基づいて、車両10内の人を検知する。複数の反射物300には、車両10内の人及びカーアクセサリーなどが含まれる。
信号発生器130は、制御部135からの指示に従って、出力する送信波VTの周波数を変化させることが可能である。アンテナ131から送信される送信波VTは電波である。電波は、その周波数が3000GHz以下の電磁波である。本実施の形態では、送信波VTは例えばマイクロ波である。マイクロ波は、その周波数が3GHz以上30GHz以下の電磁波である。
検波器132,133は、互いに異なる位置において定在波の電力を検出し、検出した電力を示す検出信号を出力する。A/D変換器134は、検波器132,133から出力される検出信号をアナログ形式からデジタル形式に変換して出力する。
制御部135は、例えば、CPU等で構成されたマイクロコンピュータである。制御部135は、一種のデジタル回路であって、A/D変換器134から出力される、デジタル形式の検出信号に基づいて、人の有無を判定する。制御部135は、機能ブロックとして、関数生成部136と、動体判定部137と、周波数制御部138とを備えている。関数生成部136は、A/D変換器134から出力される検出信号に基づいて、後述する判定用関数を生成する。動体判定部137は、関数生成部136で生成される判定用関数に基づいて、車両10内での人の有無を判定する。周波数制御部138は、信号発生器130が生成する送信波VTの周波数を制御する。
以上の構成を有する動体検知装置13では、検波器132,133、A/D変換器134、関数生成部136及び動体判定部137によって、定在波(合成波)に基づいて車両10内に人が存在するか否かを判定する判定部140が構成されている。
なお、A/D変換器134は、マイクロコンピュータである制御部135が備えていてもよい。また、制御部135の少なくとも一部の機能は、制御装置11が備えていてもよい。また、制御部135が備える少なくとも一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路で構成されてもよい。
<判定用関数>
次に判定用関数の生成方法について説明する。以下の説明では、複数の反射物300を区別するために、当該複数の反射物300に対して1番からの連続する複数の正の整数をそれぞれ割り当てる。
本実施の形態では、図7に示されるようにx軸が定められる。x軸の原点x=0は任意の点でよいが、本実施の形態では、例えば信号発生器130の位置を原点とする。送信波VTの振幅及び周波数をそれぞれA及びfとし、光速をcとすると、送信波VTは以下の式(1)で示される。
周波数fは、周波数制御部138による信号発生器130の制御によって、f=f0−fw/2からf=f0+fw/2まで変化させられる。
k番の反射物300までの距離をdkとし、x軸上の任意の点における、送信波VTに対する反射波VRの大きさの比及び両者の位相差を、それぞれγk、φkとすると、k番の反射物300からの反射波VRkは以下の式(2)で示される。
反射物300がn(≧1)個存在するとき、ある周波数fにおける定在波の電力p(f,x)は、以下の式(3)で示される。
ここで、周波数fは、中心周波数をf0、周波数の変化分を表す変数をfdとすると、以下の式(4)で表すことができる。
図7に示されるような、信号発生器130とアンテナ131との間の点x=x1,x2では、信号源の直近であることと空間の伝搬損失を考えれば、γk≪1と考えることができる。この場合、p(f,x)はfdの関数として以下の式(5)のように近似することができる。
ただし、式(5)中のΘは以下の式(6)で表される。
本実施の形態では、送信波VTは、例えば、24GHz帯の電波であって、送信波VTの占有帯域幅は76MHz以下である。したがって、f0≫fdと考えることができる。この場合、Θは以下の式(7)のように近似できる。
検波器132,133が、Θ=0、Θ=π/2となるような2か所で定在波の電力p(fd,x)を検出すると、検波器132,133からは、以下に説明する、互いに直交する2つの検出信号が出力される。
式(7)において、Θ=0となる位置xを検波位置x1とすると、x1=0となる。また、Θ=π/2となる位置xを検波位置x2とすると、x2=−λ/8となる。ただし、λ=c/f0である。
したがって、x=x1の位置で検出される定在波の電力p(fd,x1)と、x=x2の位置で検出される定在波の電力p(fd,x2)は、式(5)より、以下の式(8),(9)で表される。
本実施の形態では、検波器132は、x=x1の位置での定在波の電力を検出し、式(8)で示される検出信号p(fd,0)を出力する。一方で、検波器133は、x=x2の位置での定在波の電力を検出し、式(9)で示される検出信号p(fd,−λ/8)を出力する。A/D変換器134は、検波器132,133から出力されるアナログ形式の検出信号p(fd,0)及び検出信号p(fd,−λ/8)をデジタル形式に変換して制御部135に出力する。
p(fd,0)、p(fd,−λ/8)をfdで微分したものを、それぞれpdiff(fd,0)、pdiff(fd,−λ/8)とすると、pdiff(fd,0)、pdiff(fd,−λ/8)は以下の式(10),(11)で示される。
−pdiff(fd,−λ/8)を実部、−pdiff(fd,0)を虚部とする解析信号pa(fd)は以下の式(12)で示される。
解析信号pa(fd)をfdに関してフーリエ変換すると、以下の式(13)で示される信号P(x)が得られる。
式(13)中のSa(z)はシンク関数であって、以下の式(14)で示される。
信号P(x)は距離xを変数とする関数である。信号P(x)は、上記の非特許文献1では、距離スペクトルP(x)として示されている。
本実施の形態では、制御部135の関数生成部136は、A/D変換器134からの検出信号p(fd,0),p(fd,−λ/8)に基づいて信号P(x)を求める。そして、関数生成部136は、求めた信号P(x)を判定用関数P(x)として使用する。関数生成部136は、検出信号p(fd,0),p(fd,−λ/8)から式(10),(11)で示される信号pdiff(fd,0),pdiff(fd,−λ/8)を求めて、信号pdiff(fd,0),pdiff(fd,−λ/8)から式(12)で示される解析信号pa(fd)を求める。そして、関数生成部136は、解析信号pa(fd)から判定用関数P(x)を求める。
反射物300が一つの場合には(n=1)、判定用関数P(x)の振幅は、x=d1のとき、つまり、距離xが反射物300までの距離d1と一致するとき(x−d1=0)、最大となる。
判定用関数P(x)は、距離xを変数とし、当該変数の値に応じて振幅及び位相が変化する複素信号であると言える。式(13)は以下の式(15)のように書き直すことができる。
式(15)は以下の式(16)のように書き直すことができる。
Dk(x)及びEk(x)は、以下の式(17),(18)で表される。
Dk(x)ejEk(x)は、k番の反射物300に対応する複素信号であって、k番の反射物300がP(x)に与える影響を示している。Dk(x)ejEk(x)を個別複素信号と呼ぶと、判定用関数P(x)は、1番からn番の複数の反射物300にそれぞれ応じた複数の個別複素信号D1(x)ejE1(x)〜Dn(x)ejEn(x)を足し合わせた信号、つまり当該複数の個別複素信号D1(x)ejE1(x)〜Dn(x)ejEn(x)の合成信号であると言える。個別複素信号Dk(x)ejEk(x)は、変数xと、当該個別複素信号Dk(x)ejEk(x)に応じたk番目の反射物300までの距離dkとの間の差分距離に応じて変化する。具体的には、式(17)に示されるように、個別複素信号Dk(x)ejEk(x)の振幅Dk(x)は、変数xと、当該個別複素信号Dk(x)ejEk(x)に応じた反射物300までの距離dkとの間の差分距離(x−dk)に応じて変化する。
さらに、個別複素信号Dk(x)ejEk(x)の振幅Dk(x)は、当該振幅Dk(x)を示す式にシンク関数が含まれていることから、距離dkが一定であれば、差分距離(x−dk)の絶対値|x−dk|が大きくなるほど小さくなる傾向にある。
図8は(x−dk)とSa(x−dk)の関係を示す図である。図8に示されるように、(x−dk)が大きくなるほど、あるいは(x−dk)が小さくなるほど、Sa(x−dk)は小さくなる傾向にある。したがって、式(17)中のSa(2πfw/c×(x−dk))は、絶対値|x−dk|が大きくなるほど小さくなる傾向にある。よって、振幅Dk(x)は、距離dkが一定であれば、絶対値|x−dk|が大きくなるほど小さくなる傾向にある。したがって、振幅Dk(x)は、x=dkのとき最大となる。
判定用関数P(x)では、Sa(2πfw/c×(x−dk))の存在により、変数xが、k番の反射物300までの距離dkと一致する場合には、複数の反射物300のうち、k番の反射物300の影響が比較的強く表れる。
以上のようにして、制御部135は、定在波に基づいて判定用関数P(x)を求める。制御部135の動体判定部137は、関数生成部136で求められた判定用関数P(x)に基づいて人の有無を判定する。
<動体検知>
k番の反射物300が動体である場合には、当該反射物300は動くため、当該反射物300までの距離dkが変化する。その結果、式(15)から分かるように、判定用関数P(x)の振幅|P(x)|及び位相arg(P(x))は変化する。一方で、上述のように、判定用関数P(x)では、変数xが、k番の反射物300までの距離dkと一致する場合には、複数の反射物300のうち、k番の反射物300の影響が強く表れる。したがって、ある対象距離xzでの判定用関数P(x)の関数値P(xz)(複素信号P(xz))の振幅|P(xz)|の時間変化を観測することによって、その対象距離xzに動体が存在するか否かを判定することができる。同様に、関数値P(xz)の位相arg(P(xz))の時間変化を観測することによって、対象距離xzに動体が存在するか否かを判定することができる。
そこで、動体判定部137は、振幅|P(x)|及び位相arg(P(x))の時間変化に基づいて、人の可能性が高い動体の有無を判定する。以下にこの点について詳細に説明する。以後、人の可能性が高い動体の有無を判定することを、単に「人の有無を判定する」と言うことがある。
時刻tでの振幅|P(x)|及び位相arg(P(x))を、それぞれAM(xz,t)及びPH(xz,t)とする。そして、振幅AM(xz,t)の時間変化を表す振幅変化量ΔAM(xz,t)と、位相PH(xz,t)の時間変化を表す位相変化量ΔPH(xz,t)とを、それぞれ以下の式(19),(20)で表す。
式(19)に示されるように、振幅変化量ΔAM(xz,t)は、時刻tでの振幅AM(xz,t)から、それよりも少し前の時刻(t−Δt)での振幅AM(xz,t−Δt)を差し引いて得られる差分値である。同様に、位相変化量ΔPH(xz,t)は、式(20)に示されるように、時刻tでの位相PH(xz,t)から、それよりも少し前の時刻(t−Δt)での位相PH(xz,t−Δt)を差し引いて得られる差分値である。
本実施の形態では、動体判定部137は、関数生成部136で求められた判定用関数P(x)から、対象距離xzについての振幅変化量ΔAM(xz,t)及び位相変化量ΔPH(xz,t)を求める。そして、動体判定部137は、求めた振幅変化量ΔAM(xz,t)及び位相変化量ΔPH(xz,t)に基づいて、車両10内に人が存在するか否かを判定する。
動体判定部137は、ΔAM(xz,t)及びΔPH(xz,t)に基づいて人の有無を判定する際には、ΔAM(xz,t)及びΔPH(xz,t)を用いて、例えば以下の式(21)で示される判定値Rを求める。
判定値Rがしきい値よりも大きいときには、動体検知装置13からの距離xzに、人の可能性が高い動体が存在する可能性が高いと言える。一方で、判定値Rがしきい値以下のときに、動体検知装置13からの距離xzに、人の可能性が高い動体が存在しない可能性が高いと言える。動体判定部137は、判定値Rに基づいて、車両10内に人が存在するか否かを判定する。
このようにして、判定部140は、定在波に基づいて、車両10内に人が存在するか否かを判定することが可能である。
<車内判定の詳細>
次に、動体検知装置13が車内判定を行う際の当該動体検知装置13の動作について詳細に説明する。図9は車内判定の一例を示すフローチャートである。ここでは、乗降室5に停車する車両10の内部の空間は、概ね、動体検知装置13から1m〜5mの範囲に存在するものとする。2つの動体検知装置13は互いに同様に動作する。
本例では、動体検知装置13の検知エリア230は、動体検知装置13から1m〜5mの範囲となっている。そして、車内判定(車両内動体検知)では、例えば17個の対象距離xzが使用される。具体的には、1m、1.25m、1.5m、1.75m、2m、2.25m、2.5m、2.75m、3m、3.25m、3.5m、3.75m、4m、4.25m、4.5m、4.75m、5mが対象距離xzとして使用される。これにより、動体検知装置13は、当該動体検知装置13から1m〜5mの範囲内での17個の対象距離xzのいずれかに人が存在するか否かを判定することができる。つまり、車両10内の空間を検知エリア230に適切に設定することができる。
図9に示されるように、車内判定では、まずステップs1において、動体判定部137は、判定用関数P(x)に基づいて、17個の対象距離xzのそれぞれでのAM(xz)及びPH(xz)を所定時間Δtごとに2回求める。これにより、17個の対象距離xzのそれぞれについて、AM(xz,t)、AM(xz,t−Δt)、PH(xz,t)及びPH(xz,t−Δt)が得られる。
次にステップs2において、動体判定部137は、17個の対象距離xzのそれぞれについて、ステップs1で求めたAM(xz,t)及びAM(xz,t−Δt)を用いて、ΔAM(xz,t)を求める。同様に、動体判定部137は、17個の対象距離xzのそれぞれについて、ステップs1で求めたPH(xz,t)及びPH(xz,t−Δt)を用いて、ΔPH(xz,t)を求める。
次にステップs3において、動体判定部137は、17個の対象距離xzのそれぞれについて、ステップs2で求めたΔAM(xz,t)及びΔPH(xz,t)を用いて判定値Rを求める。これにより、17個の対象距離xzにそれぞれ対応する17個の判定値Rが得られる。
次にステップs4において、動体判定部137は、ステップs3で求めた17個の判定値Rのうちの最大値がしきい値よりも大きい場合には、動体検知装置13から1m〜5mの範囲内に、つまり車両10内に人が存在すると判定する。一方で、動体判定部137は、当該最大値がしきい値以下の場合には、動体検知装置13から1m〜5mの範囲内に、つまり車両10内に人が存在しないと判定する。
なお、動体検知装置13は、ステップs4において、17個の判定値Rのうちの最大値がしきい値以上の場合には、車両10内に人が存在すると判定し、当該最大値が当該しきい値未満の場合に、車両10内に人が存在しないと判定してもよい。
また、動体検知装置13は、ステップs4において、17個の判定値Rの合計値がしきい値よりも大きい場合に車両10内に人が存在すると判定し、当該合計値が当該しきい値以下の場合に車両10内に人が存在しないと判定してもよい。
また、動体検知装置13は、ステップs4において、17個の判定値Rの合計値がしきい値以上の場合に車両10内に人が存在すると判定し、当該合計値が当該しきい値未満の場合に車両10内に人が存在しないと判定してもよい。
また、動体検知装置13は、車両10内のどの位置に人が存在するか否かを判定する場合には、17個の判定値Rのそれぞれについて、当該判定値Rがしきい値以上であるか否か、あるいはしきい値よりも大きいか否かを判定してもよい。この場合、動体検知装置13は、対象距離xzに対応する判定値Rが、しきい値以上であれば、あるいはしきい値よりも大きければ、車両10内でのその対象距離xzに人が存在すると判定する。
また、動体検知装置13は、ΔAM(xz,t)及びΔPH(xz,t)のうち、ΔAM(xz,t)だけに基づいて車内判定を行ってもよい。この場合には、判定値Rは例えば以下の式(22)で示される。
また、動体検知装置13は、ΔAM(xz,t)及びΔPH(xz,t)のうち、ΔPH(xz,t)だけに基づいて車内判定を行ってもよい。この場合には、判定値Rは例えば以下の式(23)で示される。
また上記の例では、2つの動体検知装置13のそれぞれが車内判定を行っているが、この代わりに、制御装置11が、2つの動体検知装置13で生成される判定用関数P(x)に基づいて、車両10内に人が存在するか否かを判定する車内判定を行ってもよい。
<入庫時の駐車設備の動作フロー>
次に、入庫時の駐車設備1の動作フローについて説明する。図10,11は入庫時の駐車設備1の動作を示すフローチャートである。制御装置11は、例えば、利用者(車両10の運転者)の暗証番号が入力されると、当該暗証番号を用いて、駐車設備1の利用者が正規の利用者であるか否かの認証を行う。操作者は、運転操作盤4のテンキー41を操作することによって、制御装置11に暗唱番号を入力することができる。
制御装置11は、利用者の認証に失敗すれば、例えば、その旨を運転操作盤4の表示部40に表示する。一方で、制御装置11は、利用者の認証に成功すれば(ステップs11)、ステップs12において、入庫呼びか否かを判定する。具体的には、ステップs12において、制御装置11は、利用者の車両10が駐車設備1に駐車されているか否かを判定する。制御装置11は、利用者の車両10が駐車設備1に駐車されていないと判定すると、入庫呼びであると判定する。制御装置11は、入庫呼びであると判定すると、ステップs13において、駆動装置14を通じて搬器15を制御し、搬器15に空きパレットを乗降室5に搬送させる。空きパレットが乗降室5に到着するまでは、運転操作盤4の表示部40には、図12に示されるように、例えば、空きパレットの搬送中であることを通知する通知情報400が表示される。
一方で、制御装置11は、利用者の車両10が駐車設備1に駐車されていると判定すると、出庫呼びであると判定する。その後、駐車設備1は出庫動作を行う。なお、操作者は、カードあるいはリモコンを利用して、利用者の認証を制御装置11に実行させることができる。
空きパレットが乗降室5に到着すると、ステップs14において、制御装置11は検知センサ群12を用いて車外判定を開始する。車外判定が開始すると、制御装置11は継続的に車外判定を行う。
次にステップs15において、制御装置11は乗降室5の扉3を開ける。このとき、乗降室5内の表示装置9には、図13に示されるように、入庫が可能であることを通知する通知情報900が表示される。その後、車両10が乗降室5内に入ると、入出庫口2付近の検知センサ120aが反応し、制御装置11は、継続的に行っている車外判定において、車両10の外側に物体が存在すると判定する(ステップs16)。
ステップs16の後、ステップs17において、制御装置11は、駐車設備1の状態を運転ロックに設定する。駐車設備1の状態が運転ロックに設定されると、駐車設備1は運転操作盤4に対する操作を受け付けず、操作者は、駐車設備1に扉3を開閉させたり、搬器15を移動させたりできなくなる。
ステップs17の後、ステップs18において、制御装置11は、車両10が乗降室5内の定位置に停車したか否かを判定する。駐車設備1には、車両10が定位置に停車したか否かを判定するための、検知センサ120と同様の複数の検知センサが設けられている。制御装置11は、ステップs16において、当該複数の検知センサを用いて、車両10が乗降室5内の定位置に停車したか否かを判定する。制御装置11は、車両10が乗降室5内の定位置に停車したと判定するまで、ステップs18を繰り返し実行する。
乗降室5内において、車両10が定位置よりも前に(奥側)ある場合には、図14に示されるように、表示装置9には、車両10が定位置よりも前にあることを通知する通知情報901が表示される。また、車両10が定位置よりも後ろ(手前側)にある場合には、図15に示されるように、表示装置9には、車両10が定位置よりも後ろにあることを通知する通知情報902が表示される。また、車両10の高さが制限を超える場合には、図16に示されるように、表示装置9には、車両10の高さが制限を超えていることを通知する通知情報903が表示される。駐車設備1には、車両10の高さが制限を超えているか否かを判定するための、検知センサ120と同様の検知センサが設けられている。制御装置11は、当該検知センサを用いて、車両10の高さが制限を超えているか否かを判定する。なお、通知情報900〜903は、運転操作盤4の表示部40にも表示されてもよい。
ステップs18において、車両10が乗降室5内の定位置に停車したと判定されると、ステップs19において、制御装置11は、利用者が乗降室5から退場したか否かを判定する。制御装置11は、利用者が乗降室5から退場したと判定するまで、ステップs19を繰り返し実行する。制御装置11は、検知センサ120aが物体を検知した直後の車外判定において、車両10の外側に物体が存在しないと判定すると、利用者が乗降室5から退場したと判定する。
ステップs19において、制御装置11が、利用者が乗降室5から退場したと判定すると、ステップs20において、駐車設備1は、安全確認ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となる。
安全確認ボタンは、運転操作盤4が有する複数の操作ボタン42に含まれている。安全確認ボタンは、操作者が、乗降室5内の無人を確認したことを駐車設備1に通知するためのボタンである。駐車設備1が、安全確認ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となると、駐車設備1は、乗降室5内の無人を確認することと、乗降室5内の無人を確認した後に安全確認ボタンを操作することとを操作者に通知する。例えば、図17に示されるように、運転操作盤4の表示部40には、乗降室5内の無人を確認することを通知する通知情報410と、乗降室5内の無人を確認した後に安全確認ボタンを操作することを通知する通知情報411とが表示される。
なお、通知情報410,411の少なくとも一方は、文字列ではなく、図形で表されてもよい。また、通知情報410の表示に加えてあるいは通知情報410の表示の代わりに、乗降室5内の無人を確認することを音声で操作者に通知してもよい。また、通知情報411の表示に加えてあるいは通知情報410の表示の代わりに、安全確認ボタンを操作することを音声で操作者に通知してもよい。
ステップs20の後、ステップs21において、操作者が安全確認ボタンを操作すると、図11に示されるように、ステップs22において、制御装置11は、各動体検知装置13に車内判定を開始させる。車内判定が開始すると、各動体検知装置13は、上述の図9に示される車内判定を繰り返し実行する。
ステップs22の後の最初の車内判定において、2つの動体検知装置13の少なくとも一方が、車両10内に人が存在すると判定すると(ステップs23でのYes)、ステップs24において、駐車設備1は、車両10内の無人を確認することを通知する車両内状態確認通知を行う。さらに、ステップs24では、駐車設備1は、車両内確認ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となる。一方で、最初の車内判定において、2つの動体検知装置13のそれぞれが、車両内に人が存在しないと判定すると(ステップs23でのNo)、ステップs26が実行される。
車両内確認ボタンは、運転操作盤4が有する複数の操作ボタン42に含まれている。車両内確認ボタンは、操作者が、車両10内の無人を確認したことを駐車設備1に通知するためのボタンである。
ステップs24では、例えば、図18に示されるように、運転操作盤4の表示部40が、車両10内の無人を確認することを通知する通知情報420を表示する。また表示部40は、車両10内の無人を確認した後に車両内確認ボタンを操作することを通知する通知情報421を表示する。
なお、通知情報420,421の少なくとも一方は、文字列ではなく、図形で表されてもよい。また、通知情報420の表示に加えてあるいは通知情報420の表示の代わりに、車両10内の無人を確認することを音声で操作者に通知してもよい。また、通知情報421の表示に加えてあるいは通知情報421の表示の代わりに、車両内確認ボタンを操作することを音声で操作者に通知してもよい。また、車両内確認ボタンは、表示部40が表示するソフトウェアボタンであってもよい。
ステップs24の後、ステップs25において、操作者が車両内確認ボタンを操作すると、ステップs26が実行される。ステップs26では、運転ロックが解除する。運転ロックが解除すると、運転操作盤4の表示部40には、図19に示されるように、扉3を閉めることを通知する通知情報430が表示される。
また、運転ロックが解除すると、ステップs27において、駐車設備1は、操作者による終了扉閉処理を受け付けることが可能な状態となる。終了扉閉処理とは、入庫が終了した後に扉3を閉めるための処理である。終了扉閉処理には、利用者を再度認証するための処理と、扉閉ボタンの操作とが含まれる。利用者を再度認証するための処理としては、例えば、利用者の暗証番号の入力が考えられる。
ステップs27の後、制御装置11は、利用者の暗証番号が入力されると、当該暗証番号を用いて、その利用者が正規の利用者であるか否かの認証を行うとともに、その利用者が、入庫の最初に認証した利用者と同じであるか否かを判定する。利用者が正規の利用者であって、入庫の最初に認証した利用者と同じであると制御装置11が判定した場合には(ステップs28)、ステップs29において、駐車設備1は、扉閉ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となる。扉閉ボタンは、運転操作盤4が備える複数の操作ボタン42に含まれる。
ステップs29の後、ステップs30において扉閉ボタンが操作されると、制御装置11は、ステップs31において各動体検知装置13に車内判定を終了させる。また、駐車設備1は扉3を閉める。
扉3が完全に閉まってからの数秒後のステップs32において、制御装置11は車外判定を終了する。その後、制御装置11は駆動装置14を通じて搬器15を制御し、搬器15に車両10を空きの駐車室まで搬送させる。車両10が駐車室まで搬送されると、制御装置11は、利用者を識別するための利用者識別情報と、車両10が搬送された駐車室を識別するための駐車室識別情報とを関連付けて駐車管理テーブルに登録する。これにより、駐車設備1の入庫動作が完了する。制御装置11は、上述のステップs12において、駐車管理テーブルを参照することによって、利用者の車両10が駐車設備1に駐車されているか否かを特定することができる。利用者識別情報は、暗証番号であってもよいし、入庫時に使用されるカードあるいはリモコンから取得される情報であってもよい。
ステップs26において運転ロックが解除された後、ステップs30において扉閉ボタンの操作が受け付けられるまでに、車両10の外側に物体が存在すると車外判定で判定されると、駐車設備1の状態は運転ロックとなる。その後、ステップs19が実行される。例えば、車両内確認ボタンが操作された後に、すぐに利用者が乗降室5内に戻った場合などにおいては、図11に示されるステップs33において、車両10の外側に物体が存在すると判定されることがある。この場合、ステップs34において、駐車設備1の状態は運転ロックに設定される。その後、図10に示されるステップs19が再度実行されると、駐車設備1は同様に動作する。
また、ステップs19において、利用者が乗降室5から退場したと判定されてから、ステップs26が実行されるまでに、車両10の外側に物体が存在すると車外判定で判定されると、ステップs19が再度実行される。
また、扉閉ボタンが操作されてから車外判定が終了するまでに、車両10の外側に物体が存在すると車外判定で判定されると、駐車設備1の状態は運転ロックとなる。この場合、駐車設備1から監視センター等に駐車設備1の異常が通知されることがある。駐車設備1から管理センター等に異常が通知されない場合には、駐車設備1の状態が運転ロックになっていることを発見した次の利用者等が、監視センター等に連絡することになる。
また、ステップs23において車両10内に人が存在すると判定された後であって、ステップs25が実行される前に、車内判定が行われてもよい。この場合、ステップs23とステップs25の間に行われる車内判定において、車両10内に人が存在すると判定されたときには、車両内状態確認通知が維持され、車両内確認ボタンに対する操作を駐車設備1が受け付けることが可能な状態が維持される。一方で、当該車内判定において、車両10内に人が存在しないと判定されたときには、例えば、ステップs26が実行されて運転ロックが解除される。あるいは、制御装置11は、ステップs23で車両10内に人が存在すると判定されたことを優先して、その後の当該車内判定において車両10内に人が存在しないと判定されたことを無視する。これにより、車両内状態確認通知が維持され、車両内確認ボタンに対する操作を駐車設備1が受け付けることが可能な状態が維持される。
このように、駐車設備1では、車外判定が行われることから、駐車設備1内に人が閉じ込められたり、車両10の外側に人、荷物等の物体が存在している状態で当該車両10が搬送されたりする可能性を低減することができる。また、駐車設備1では、車内判定が行われることから、車両10内に人が存在している状態で当該車両10が搬送される可能性を低減することができる。よって、駐車設備1の安全性を向上することができる。
また本例では、ステップs23において車両10内に人が存在すると判定された場合には、操作者が車両内確認ボタンを操作することによって運転ロックが解除する。したがって、車内判定において、車両10内の揺れているカーアクセサリー等を人の可能性が高い動体であると判定したとしても、操作者は、車両10内の無人を確認した上で車両内確認ボタンを操作することによって、駐車設備1に運転ロックを解除させることができる。よって、車内判定において、人以外の動体が人の可能性が高い動体として判定されたとしても、駐車設備1は入庫動作を継続して行うことができる。
上記の例では、安全確認ボタンが操作された後に車内判定が開始しているが、安全確認ボタンが操作される前に車内判定が開始してよい。図20,21は、安全確認ボタンが操作される前に車内判定が開始する場合の駐車設備1の動作の一例を示すフローチャートである。
図20に示されるように、駐車設備1は上述のステップs11〜s19を実行する。ステップs19において、利用者が乗降室5から退場したと判定されると、ステップs51において、制御装置11は、各動体検知装置13に車内判定を開始させる。
次にステップs20において、駐車設備1は、安全確認ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となる。その後、ステップs21において、制御装置11が、安全確認ボタンに対する操作を受け付けると、ステップs26において運転ロックが解除される。以後、駐車設備1は上記と同様に動作する。
また、ステップs20の後に、継続して行われている車外判定において、車両10の外側に物体が存在すると判定されると(ステップs52)、上記と同様に、ステップs19が実行される。
また本例では、ステップs19において利用者が乗降室5から退場したと判定された直後に車内判定が開始していることから、図10,11に示される例とは異なり、ステップs21の前においても、車両10内に人が存在すると判定される可能性がある。この場合には、上記と同様にステップs24が実行されて、車両内状態確認通知が行われるとともに、駐車設備1が車両内確認ボタンに対する操作を受け付けることが可能な状態となる。例えば、図21に示されるように、ステップs20とステップs21との間のステップs53において、2つの動体検知装置13の少なくとも一つが車両10内に人が存在すると判定すると、ステップs24が実行される。その後、ステップs25において車両内確認ボタンが操作され、そして、ステップs21において安全確認ボタンが操作されると、ステップs26において運転ロックが解除する。以後、駐車設備1は同様に動作する。
また本例では、ステップs53において車両10内に人が存在すると判定された後であって、ステップs25が実行される前に車内判定が行われることがある。この車内判定において、車両10内に人が存在すると判定されたときには、車両内状態確認通知が維持され、車両内確認ボタンに対する操作を駐車設備1が受け付けることが可能な状態が維持される。一方で、当該車内判定において、車両10内に人が存在しないと判定されたときには、例えば、車両内状態確認通知が終了し、車両内確認ボタンに対する操作を駐車設備1が受け付けることが可能な状態が解除される。あるいは、制御装置11は、ステップs53で車両10内に人が存在すると判定されたことを優先して、その後の当該車内判定において車両10内に人が存在しないと判定されたことを無視する。これにより、車両内状態確認通知が維持され、車両内確認ボタンに対する操作を駐車設備1が受け付けることが可能な状態が維持される。
なお、図20,21の例では、運転操作盤4に、安全確認ボタン及び車両内確認ボタンの代わりに、それらのボタンを兼用する一つの兼用確認ボタンが設けられてもよい。この場合、図21に示されるように、ステップs20,s21の間のステップs53が実行される場合には、ステップs25が実行されずに、ステップs21において、兼用確認ボタンが操作される。
また、ステップs51は、ステップs19の前に実行されてもよい。例えば、ステップs51は、ステップs13とステップs15との間に実行されてもよい。
また、図10,11,20,21の例では、扉閉ボタンが操作された後すぐに車内判定が終了していたが、車外判定と同様に扉3が完全に閉まってからの数秒後に車内判定が終了してもよい。この場合、扉閉ボタンが操作されてから車内判定が終了するまでに、車両10内に人が存在すると車内判定で判定されると、駐車設備1の状態は運転ロックとなる。その後、例えば、駐車設備1から監視センター等に駐車設備1の異常が通知される。また、駐車設備1から管理センター等に異常が通知されない場合には、駐車設備1の状態が運転ロックになっていることを発見した次の利用者等が、監視センター等に連絡する。
また、車内判定については、扉閉ボタンが操作されたときにだけ行われてもよい。例えば、車内判定は、扉閉ボタンが操作されたときに開始し、扉3が完全に閉まってからの数秒後に終了してもよい。
以上のように、駐車設備1では、動体検知装置13が、送信波VTと反射波VRとの合成波である定在波に基づいて、車両10内に人が存在するか否かを判定する。上述のように、定在波を用いることによって、対象距離xzに動体が存在するか否かを判定することができる。したがって、対象距離xzを適切に変化させることによって、車両10内の空間を、動体検知装置13の検知エリア230に適切に設定することができる。
これに対して、上述の特許文献1に記載されているようなドップラセンサを用いて、車両10内の人の検知を行う場合を考える。ドップラセンサを用いる場合には、ドップラセンサからある距離に動体が存在するか否かを判定することが困難であることから、車両10の外側に人が存在する場合であっても、その人を検知してしまう。その結果、車両10内に人が存在しないにもかかわらず、車両10に人が存在すると誤って判定する可能性がある。さらに、扉3が閉まっている状態で、ドップラセンサを用いて車両10内の人を検知する場合には、扉3が風等で振動する場合には、その扉の振動を動体として検知してしまう。その結果、車両10内に人が存在しないにもかかわらず、車両10に人が存在すると誤って判定する可能性がある。
本例では、車両10内の範囲を、動体検知装置13の検知エリア230に適切に設定することができることから、動体検知装置13は、車両10の外側の人や、扉3の振動を検知しにくくなる。よって、動体検知装置13は、車両10内に人が存在するか否かをより正確に判定することができる。その結果、車両10内の人の検知精度を向上することができる。
また、扉3が開いた状態で、ドップラセンサを用いて車両10内の動体の検知を行う場合には、入出庫口2の外側に存在する人を検知する可能性がある。
これに対して、本例では、車両10内の範囲を、動体検知装置13の検知エリア230に適切に設定することができることから、上記のように、扉3が開いている状態でも、動体検知装置13は車両10内の人を適切に検知することができる。
本例のように、扉3が開いている状態で車内判定を行う場合、車両10内に人が存在すると判定されたときには、操作者は、扉3を開けるための操作を駐車設備1に行う必要なくすぐに車両10内の様子を確認することができる。
また、扉3が閉まった後は、操作者は駐車設備1の近くに存在しない可能性が高いため、扉3が閉まった後に車内判定を行ったとしても、その結果を操作者が知ることができない可能性がある。これに対して、扉3が開いている状態では、操作者は駐車設備1の近くに存在することから、扉3が開いている状態で車内判定を行うことによって、その結果を操作者は確実に知ることができる。よって、駐車設備1内に人が閉じ込められる可能性を低減することができる。
また本例のように、扉3が閉まった後、搬器15等の機械的構成がすぐに動作を開始する場合には、扉3が開いている状態で車内判定を行うことによって、駐車設備1内に人が存在する状態で機械的構成が動くことをより確実に防止することができる。よって、駐車設備1の安全性をより向上することができる。
<動体検知装置の配置位置の詳細>
図22,23は、2つの動体検知装置13の配置位置を詳細に説明するための図である。図22には、乗降室5に停車する車両10を屋根側から見た様子が示されている。図23には、乗降室5に停車する車両10をサイドガラス側から見た様子が示されている。図22,23には、駐車設備1が収容することが可能な最大の車両10である最大収容可能車両10Aと、それよりも小さい車両10Bとが示されている。車両10Bについては、車両10の前列に位置する運転席10x及び助手席10yと、車両10の後列に位置する後部座席10zとが図22に示されている。なお、運転席10x及び助手席10yの位置は逆であってもよい。また図22には、車両10が駐車室500に駐車している際の当該駐車室500が二点鎖線で仮想的に示されている。本例では、駐車室500の面積は、パレット6の面積とほぼ同じである。図22では、説明の便宜上、駐車室500の面積と、パレット6の面積とが同じであるとしている。以後、停車車両10と言えば、乗降室5に停車している車両10を意味する。
図22に示されるように、2つの動体検知装置13は、停車車両10の前方において、停車車両10の幅方向DR1に沿って並んで配置されている。乗降室5を天井側から見ると、図22に示されるように、一方の動体検知装置13は、停車車両10の幅方向DR1における中心を通る中心線CLに対して、他方の動体検知装置13とは反対側に位置している。2つの動体検知装置13は、中心線CLから同じ距離D2に位置している。
2つの動体検知装置13の距離D1は所定値α以下に設定される。所定値αは、駐車室500の幅W20と同等である。つまり、所定値αは、幅W20と同じか、ほぼ同じである。距離D1は、例えば、幅W20に対して80%〜90%に設定される。駐車室500の幅W20は、最大収容可能車両10Aの幅W10、つまり駐車設備1が収容可能な車両10の最大の幅W10に対して所定値βだけ加算した値に設定される。所定値βは、例えば、幅W10の数%に設定される。
図23に示されるように、2つの動体検知装置13の高さH1は互いに同じである。高さH1は、最大収容可能車両10Aの高さH10、つまり、駐車設備1が収容可能な車両10の最大の高さH10と同等である。つまり、高さH1は、高さH10と同じか、ほぼ同じである。高さH1は、例えば、高さH10の90%〜110%に設定される。
以上のように乗降室5に配置された2つの動体検知装置13のそれぞれは、図22,23に示されるように、停車車両10のフロントガラス10fに向けて送信波VTを送信する。一方の動体検知装置13は、フロントガラス10fの運転席10x側から、助手席10yの後方に向けて、送信波VTを送信する。他方の動体検知装置13は、フロントガラス10fの助手席10y側から、運転席10xの後方に向けて、送信波VTを送信する。
また、図23に示されるように、各動体検知装置13は、停車車両10のフロントガラス10fに向かうように斜め下方に送信波VTを送信する。
各動体検知装置13からフロントガラス10fに向けて送信された送信波VTは、当該フロントガラス10fを透過して、車両10内に入る。そして、送信波VTについての車両10内の動体での反射波VRは、フロントガラス10fを透過して、動体検知装置13のアンテナ131で受信される。
このように、動体検知装置13は、フロントガラス10fに向けて送信波VTを送信することから、停車車両10内に人が存在するか否かをより正確に判定することができる。以下に、この点について詳細に説明する。
<フロントガラスに向けた送信波の送信>
ここで、上述の検知センサ120のように、可視光を送信する光センサを用いて車両10内の人を検知することを考える。フロントガラス10fについては、可視光透過率が70%以上必要であることから、光センサが送信する可視光は、フロントガラス10fを透過して車両10内に届く。したがって、フロントガラス10fに向けて可視光を送信する光センサを用いて、運転席10x及び助手席10yに存在する人を検知することは可能であるかもしれない。しかしながら、可視光は車両10内の座席を透過しないため、当該光センサを用いて後部座席10zの人を検知することは困難である。
これに対して、動体検知装置13が送信する送信波VTは電波であるため、車両10内の座席を透過することが可能である。また、フロントガラス10fに、熱吸収等のための金属膜が取り付けられると、フロントガラス10fの近くに配置されるETC(Electronic Toll Collection System)車載器は電波を受信しにくくなるため、フロントガラス10fには金属膜が取り付けられる可能性は低い。したがって、動体検知装置13がフロントガラス10fに向けて送信波VTを送信すると、送信波VTは、フロントガラス10fを透過し、さらに運転席10x及び助手席10yを透過して後部座席10zまで届く。よって、動体検知装置13は、運転席10x及び助手席10yに存在する人だけではなく、後部座席10zの人も検知することが可能である。
<運転席及び助手席側のサイドガラスに向けた送信波の送信>
フロントガラス10fと同様に、運転席10x及び助手席10y側のサイドガラス(以後、「前方のサイドガラス」と呼ぶ)については、可視光透過率が70%以上必要である。したがって、前方のサイドガラスに向けて可視光を送信する光センサを用いて、運転席10x及び助手席10yに存在する人を検知することは可能であるかもしれない。しかしながら、上記のように、可視光は座席を透過しないため、当該光センサを用いて後部座席10zの人を検知することは困難である。
また、前方のサイドガラスについては、熱吸収等のための金属膜が取り付けられることがある。したがって、動体検知装置13が前方のサイドガラスに向けて送信波VTを送信する場合には、送信波VTが車両10内に届きにくい可能性がある。よって、この場合には、動体検知装置13の人の検知精度が低下する可能性がある。
<後部座席側のサイドガラス及びリアガラスに向けた送信波の送信>
後部座席側のサイドガラス(以後、「後方のサイドガラス」と呼ぶ)及びリアガラスについては、可視光透過率の規定が存在しない。したがって、後方のサイドガラス及びリアガラスに対して、ミラーフィルムあるいはカーテンなどが取り付けられる可能性がある。よって、後方のサイドガラスあるいはリアガラスに向けて可視光を送信する光センサを用いる場合には、車両10内の人を検知することができない可能性がある。
また、後方のサイドガラス及びリアガラスについても、熱吸収等のための金属膜が取り付けられることがある。したがって、動体検知装置13が後方のサイドガラスあるいはリアガラスに向けて送信波VTを送信する場合には、送信波VTが車両10内に届きにくい可能性がある。よって、この場合には、動体検知装置13の人の検知精度が低下する可能性がある。
以上のように、フロントガラス10fには金属膜が取り付けられる可能性は低く、電波が車両10内の座席を透過することから、図22,23に示されるように、動体検知装置13が、送信波VTを電波としてフロントガラス10fに向けて送信することによって、車両10内に人が存在するか否かをより確実に判定することができる。よって、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また、2つの動体検知装置13の距離D1が大きくなると、各動体検知装置13が送信する送信波VTは、サイドガラスに当たり易くなり、上記の理由により、車両10内の広範囲に送信波VTが届きにくくなる。本例のように、距離D1が、駐車室500の幅W20と同等である所定値α以下に設定されることにより、送信波VTがフロントガラス10fに当たりやすくなる。これにより、車両10内の広範囲に送信波VTが届きやすくなり、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また、図23に示されるように、動体検知装置13がフロントガラス10fに向かうように送信波VTを斜め下方に送信する場合には、最大収容可能車両10Aのように、背の高い車両10であっても、背の低い車両10Bであっても、フロントガラス10fから車両10内に送信波VTが入りやすくなる。よって、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また、動体検知装置13の高さH1が大きすぎると、フロントガラス10fを透過した送信波VTが後部座席まで届きにくくなる。また、高さH1が小さすぎると、最大収容可能車両10Aのように、背の高い車両10のフロントガラス10fに送信波VTが届きにくくなる。本例のように、高さH1が最大収容可能車両10Aの高さH10と同等に設定されることよって、背の高い車両10と背の低い車両10のそれぞれについて、車両10内の広範囲に送信波VTが届きやすくなる。よって、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また、図22に示されるように、送信波VTの一部が、運転席10xと助手席10yの間を通過する場合には、具体的には、運転席10xの背もたれ10xxと助手席10yの背もたれ10yyの間を通通する場合には、当該一部については座席で減衰しなくなる。そのため、送信波VTが後部座席10zに届きやすくなる。さらに、送信波VTの一部が、運転席10xの背もたれ10xxと助手席10yの背もたれ10yyの間を通通する場合には、後部座席10zの動体からの反射波VRの一部も、運転席10xの背もたれ10xxと助手席10yの背もたれ10yyの間を通通しやすくなり、当該一部については座席で減衰しなくなる。これにより、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また、図22に示されるように、動体検知装置13が、フロントガラス10fの運転席10x側から、助手席10yの後方に向けて、送信波VTを送信する場合には、当該送信波VTは、運転席10xと助手席10yの間を通過しやすくなる。同様に、動体検知装置13が、フロントガラス10fの助手席10y側から、運転席10xの後方に向けて、送信波VTを送信する場合には、当該送信波VTは、運転席10xと助手席10yの間を通過しやすくなる。よって、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
なお上記の例では、2つ動体検知装置13の高さは、同じであるが、互いに異なっていてもよい。この場合には、互いに車高の異なる複数種類の車両10のそれぞれについて、当該車両10内の人を検知しやすくなる。
また、図22,23に示される例と異なるように各動体検知装置13が配置される場合であっても、送信波VT及び反射波VRがフロントガラス10fを透過し、送信波VTが後部座席10zまで届き、送信波VT及び反射波VRが運転席10x及び助手席10yの間を通過することができる。
例えば、図24に示されるように、2つの動体検知装置13の距離D1が、図22の例とは異なり、駐車室500の幅W20よりも大きい場合であっても、送信波VT及び反射波VRがフロントガラス10fを透過し、送信波VTが後部座席10zまで届き、送信波VT及び反射波VRの一部が運転席10x及び助手席10yの間を通過することができる。
また、2つの動体検知装置13が、互いに交差する方向に送信波VTを送信するのではなく、図25に示されるように、互いに平行な方向に送信波VTを送信する場合であっても、送信波VT及び反射波VRがフロントガラス10fを透過し、送信波VTが後部座席10zまで届き、送信波VT及び反射波VRの一部が運転席10x及び助手席10yの間を通過することができる。
また上記の例では、乗降室5に、2つの動体検知装置13が設けられているが、3つ以上の動体検知装置13が設けられてもよい。また、乗降室5に、1つの動体検知装置13だけが設けられてもよい。図26は、乗降室5に1つの動体検知装置13だけが設けられている様子の一例を示す図である。図26の例であっても、送信波VT及び反射波VRがフロントガラス10fを透過し、送信波VTが後部座席10zまで届き、送信波VT及び反射波VRの一部が運転席10x及び助手席10yの間を通過することができる。
また、動体検知装置13は、乗降室5において、車両10よりも手前側(入出庫口2側)に配置されてもよい。この場合には、動体検知装置13は、車両10のリアガラスに向けて送信波VTを送信する。また、動体検知装置13は、乗降室5において、車両10の右側あるいは左側に配置されてもよい。この場合には、動体検知装置13は、車両10の前方のサイドガラスに向けて送信波VTを送信してもよいし、車両10の後方のサイドガラスに向けて送信波VTを送信してもよい。また、乗降室5において、車両10よりも奥側、手前側、右側及び左側のうちの複数の箇所に、少なくとも一つの動体検知装置13が配置されてもよい。
また上記の例では、動体検知装置13の高さH1は固定であるが、制御装置11が高さH1を変化できてもよい。この場合には、乗降室5に停車する車両10の高さを検出するセンサを設けて、制御装置11は、当該センサで検出される高さに応じて、動体検知装置13の高さH1を変化させてもよい。これにより、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また上記の例では、2つの動体検知装置13の距離D1は固定であるが、制御装置11が距離D1を変化できてもよい。この場合には、乗降室5に停車する車両10の幅を検出するセンサを設けて、制御装置11は、当該センサで検出される幅に応じて、距離D1を変化させてもよい。これにより、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また上記の例では、動体検知装置13が送信波VTを送信する向きは固定であるが、制御装置11が当該向きを変化できてもよい。この場合には、乗降室5に停車する車両10の高さ及び幅の少なくとも一方を検出するセンサを設けて、制御装置11は、当該センサで検出される高さ及び幅の少なくとも一方に応じて、動体検知装置13が送信波VTを送信する向きを変化させてもよい。これにより、車両10内の人の検知精度がさらに向上する。
また上記の例では、扉3及び壁で囲まれた乗降室5に存在する車両10の中に人が存在するか否かを判定したが、上記で説明した乗降室5とは異なる空間に存在する車両10の中に人が存在するか否かを判定してもよい。例えば、駐車室500内の車両10の中に人が存在するか否かを判定してもよい。また、扉の無い空間に存在する車両10の中に人が存在するか否かを判定してもよい。また、壁及び扉の無い空間に存在する車両10の中に人が存在するか否かを判定してもよい。また、柵で囲われた空間に存在する車両10の中に人が存在するか否かを判定してもよい。また、扉の代わりにゲートを有する空間に存在する車両10の中に人が存在するか否かを判定してもよい。
以上のように、駐車設備1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。