JP6928324B1 - 滑膜細胞増殖抑制剤、関節腔注入剤、及び食品組成物 - Google Patents

滑膜細胞増殖抑制剤、関節腔注入剤、及び食品組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】新たな有効成分を含む滑膜細胞増殖抑制剤を提供すること。【解決手段】以下の(1)〜(6)のうちいずれか1つを少なくとも含む、滑膜細胞増殖抑制剤:(1)遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2のうち少なくともいずれか1つから生成されるタンパク質又はその断片、(2)上記(1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、(3)上記(1)及び(2)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸、(4)PEDF(Pigment epithelium−derived factor)又はその断片、(5)前記(4)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、(6)上記(4)及び(5)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸。【選択図】なし

Description

本開示は、滑膜細胞増殖抑制剤、関節腔注入剤、及び食品組成物に関する。
滑膜は、関節を構成する要素のひとつであり、関節包を覆う組織である。この滑膜の内部には、滑膜細胞、マクロファージ等の細胞が含まれる。
特許文献1では、ヒトのMindin(遺伝子名SPON2)ポリペプチドが開示されている。また、治療方法として、配列番号2のアゴニスト、又は、アンタゴニストを活用することが記載されている。
特許文献2では、セルピン融合ポリペプチド及びその使用方法を開示している。更には、特許文献2では、セルピン融合ポリペプチドを投与して、様々な症状を処置又は緩和することが開示されている。
特許文献3では、血管障害を予防または治療するための医薬組成物またはベクターに関する発明を開示している。更には、特許文献3では、医薬組成物が、色素上皮由来因子(PEDF)及びこれに関連する変異体等を活性成分として含有することが開示されている。
特表2001−500386号公報 特開2018−008956号公報 特開2005−336159号公報
滑膜細胞は、関節組織を構成する細胞の1種である。例えば、再生医療などで、関節組織を再生する場合には、滑膜細胞の増殖度合いを制御することが望ましい。また、滑膜細胞が異常増殖すると、種々の疾患を引き起こす可能性がある。従って、滑膜細胞の増殖を効果的に抑制する手段が必要とされている。本開示は、新たな有効成分を含む滑膜細胞増殖抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者は、様々な成分を検討したところ、特定のSpondin、及び、PEDFが、滑膜細胞の増殖を抑制することを見出した。
本開示の発明は、上記知見に基づいて完成され、一側面において、以下の発明を包含する。
(発明1)
以下の(1)〜(6)のうちいずれか1つを少なくとも含む、滑膜細胞増殖抑制剤:
(1)遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2のうち少なくともいずれか1つから生成されるタンパク質又はその断片、
(2)上記(1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、
(3)上記(1)及び(2)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸、
(4)PEDF(Pigment epithelium−derived factor)又はその断片、
(5)前記(4)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、
(6)上記(4)及び(5)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸。
(発明2)
発明1の滑膜細胞増殖抑制剤であって、前記滑膜細胞増殖抑制剤は、
(1)遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2のうち少なくともいずれか1つから生成されるタンパク質、
(2)上記(1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質、並びに、
(3)上記(1)及び(2)のいずれか1つのタンパク質をコードする配列を含む核酸、
のうちいずれか1つを少なくとも含む、滑膜細胞増殖抑制剤。
(発明3)
発明1の滑膜細胞増殖抑制剤であって、前記滑膜細胞増殖抑制剤は、
(i)遺伝子SPON2から生成されるタンパク質、
(ii)上記(i)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質、並びに、
(iii)上記(i)及び(ii)のいずれか1つのタンパク質をコードする配列を含む核酸、
のうちいずれか1つを少なくとも含む、滑膜細胞増殖抑制剤。
(発明4)
発明1の滑膜細胞増殖抑制剤であって、前記滑膜細胞増殖抑制剤は、
(4)PEDF(Pigment epithelium−derived factor)、
(5)前記(4)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質、並びに、
(6)上記(4)及び(5)のいずれか1つのタンパク質をコードする配列を含む核酸、
のうちいずれか1つを少なくとも含む、滑膜細胞増殖抑制剤。
(発明5)
発明1〜4のいずれか1つに記載の滑膜細胞増殖抑制剤を含む、関節腔注入剤。
(発明6)
以下の(1)〜(6)のうちいずれか1つを少なくとも含み、滑膜細胞増殖抑制効果を有する食品組成物:
(1)遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2のうち少なくともいずれか1つから生成されるタンパク質又はその断片、
(2)上記(1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、
(3)上記(1)及び(2)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸、
(4)PEDF(Pigment epithelium−derived factor)又はその断片、
(5)前記(4)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、
(6)上記(4)及び(5)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸。
一側面において、本開示の組成物は、特定のSpondinファミリー、及びPEDFのいずれかに関連する成分を少なくとも含む。これにより、滑膜細胞の増殖を抑制することができる。
Spondin−2(遺伝子SPON2によって生成されるタンパク質)及びPEDFによる滑膜細胞の増殖の抑制効果を示す。縦軸は、コントロールの450nmの波長の光の吸光度を100%として、他のサンプルの吸光度を正規化した。
以下、発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、発明の理解を促進するためのものである。即ち、発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.滑膜細胞増殖抑制剤
一実施形態において、本開示は、滑膜細胞増殖抑制剤に関する。
本明細書において、滑膜細胞増殖抑制剤とは、複数の成分を組み合わせてなる物質である。滑膜細胞増殖抑制剤は、特定の状態に限定されず、常温において、固体状態であってもよいし、液体状態であってもよいし、或いは、半固体状態(ゲル状態)であってもよい。
一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、以下の(1)〜(6)のうちいずれか1つを少なくとも含むことができる。
(1)遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2のうち少なくともいずれか1つから生成されるタンパク質又はその断片、
(2)上記(1)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、
(3)上記(1)及び(2)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸、
(4)PEDF(Pigment epithelium−derived factor)又はその断片、
(5)前記(4)のタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質又はその断片、
(6)上記(4)及び(5)のいずれか1つのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸。
上記(1)〜(3)は、Spondinファミリーに属するタンパク質又はその断片、及びその類似体、並びにこれらをコードする遺伝子等に関する。上記(4)〜(6)は、Serpinスーパーファミリーに属するタンパク質であるPEDF又はその断片、及びその類似体、並びにこれらをコードする遺伝子等に関する。以下では、滑膜細胞増殖抑制剤が含むことができる各成分について詳述する。
1−1 遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2によって生成されるタンパク質及びその類似体
遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2(ここで、遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2は、ヒト型に限定されず、他の種の遺伝子であってもよいが、好ましくは、ヒトSPON1及びヒトSPON2である)は、それぞれ、Spondin1(F−Spondin)、及び、Spondin−2(mindin)と呼ばれるタンパク質をコードする。なお、誤解を避けるために説明すると、R−Spondin1及びR−Spondin2と称されるタンパク質は、それぞれ、遺伝子Rspo1及びRspo2に対応するものである。従って、R−Spondin1及びR−Spondin2は、遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2から生成されるタンパク質とは異なる。また、これらのタンパク質は、他のタンパク質と融合されてもよいが、好ましくは、融合されていないタンパク質である。
遺伝子SPON1によって生成されるタンパク質のアミノ酸配列は、例えば、以下の配列、又はこれを含む配列であってもよい。
FSDETLDKVPKSEGYCSRILRAQGTRREGYTEFSLRVEGDPDFYKPGTSYRVTLSAAPPSYFRGFTLIALRENREGDKEEDHAGTFQIIDEEETQFMSNCPVAVTESTPRRRTRIQVFWIAPPAGTGCVILKASIVQKRIIYFQDEGSLTKKLCEQDSTFDGVTDKPILDCCACGTAKYRLTFYGNWSEKTHPKDYPRRANHWSAIIGGSHSKNYVLWEYGGYASEGVKQVAELGSPVKMEEEIRQQSDEVLTVIKAKAQWPAWQPLNVRAAPSAEFSVDRTRHLMSFLTMMGPSPDWNVGLSAEDLCTKECGWVQKVVQDLIPWDAGTDSGVTYESPNKPTIPQEKIRPLTSLDHPQSPFYDPEGGSITQVARVVIERIARKGEQCNIVPDNVDDIVADLAPEEKDEDDTPETCIYSNWSPWSACSSSTCDKGKRMRQRMLKAQLDLSVPCPDTQDFQPCMGPGCSDEDGSTCTMSEWITWSPCSISCGMGMRSRERYVKQFPEDGSVCTLPTEETEKCTVNEECSPSSCLMTEWGEWDECSATCGMGMKKRHRMIKMNPADGSMCKAETSQAEKCMMPECHTIPCLLSPWSEWSDCSVTCGKGMRTRQRMLKSLAELGDCNEDLEQVEKCMLPECPIDCELTEWSQWSECNKSCGKGHVIRTRMIQMEPQFGGAPCPETVQRKKCRIRKCLRNPSIQKLRWREARESRRSEQLKEESEGEQFPGCRMRPWTAWSECTKLCGGGIQERYMTVKKRFKSSQFTSCKDKKEIRACNVHPC(配列番号1)
遺伝子SPON2によって生成されるタンパク質のアミノ酸配列は、例えば、以下の配列、又はこれを含む配列であってもよい。
QPLGGESICSARALAKYSITFTGKWSQTAFPKQYPLFRPPAQWSSLLGAAHSSDYSMWRKNQYVSNGLRDFAERGEAWALMKEIEAAGEALQSVHEVFSAPAVPSGTGQTSAELEVQRRHSLVSFVVRIVPSPDWFVGVDSLDLCDGDRWREQAALDLYPYDAGTDSGFTFSSPNFATIPQDTVTEITSSSPSHPANSFYYPRLKALPPIARVTLVRLRQSPRAFIPPAPVLPSRDNEIVDSASVPETPLDCEVSLWSSWGLCGGHCGRLGTKSRTRYVRVQPANNGSPCPELEEEAECVPDNCV(配列番号2)
また、遺伝子SPON1、及び/又はSPON2によって生成されるタンパク質の配列について、軽微な改変を行ったとしても、同様の効果が得られる。具体例として、N末端側に特定の配列を付加したりしてもよい。例えば、上記配列番号1のN末端側に、MRLSPAPLKLSRTPALLALALPLAAALA(配列番号4)の配列を付加してもよい。また、上記配列番号2のN末端側に、MENPSPAAALGKALCALLLATLGAAG(配列番号5)の配列を付加してもよい。別の具体的な例として、前記配列番号1〜2のうち少なくともいずれか1つの配列と類似の配列を含むタンパク質であっても、同様の効果を得ることができる。配列の類似性(又は同一性)は、例えば、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は、95%以上であってもよい(例えば、blastpなどを利用して判定された類似性)。また、上述した配列番号1〜2のうち少なくともいずれか1つの配列又はこれに類似する配列の一部を有するタンパク質の断片を、滑膜細胞増殖抑制剤の成分として配合してもよい。好ましくは、これらの類似体及び断片は、滑膜細胞の増殖を抑制する効果を有する。
このように、遺伝子SPON1、及び/又はSPON2によって生成されるタンパク質、その類似体、及びこれらの断片が、滑膜細胞増殖抑制剤の有効成分として適用可能である。しかし、滑膜細胞増殖抑制効果の観点から、遺伝子SPON2によって生成されるタンパク質及びその類似体(類似体の具体例については、上記の通り)が好ましい。
1−2 遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2によって生成されるタンパク質をコードする配列を含む核酸
一実施形態において、上記「1−1 遺伝子SPON1及び遺伝子SPON2によって生成されるタンパク質及びその類似体」に記載のタンパク質及びその断片に加えて、或いは、これらに代えて、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、これらのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸を含むことができる。核酸は、DNAであってもよく、そして、RNA(例えば、mRNA)であってもよい。好ましくは、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、上述したDNAを任意の形態で含むことができる。例えば、上述したDNAのコーティング領域は、プラスミド、ベクター等に組み込んでもよい。
1−3 PEDF及びその類似体
PEDFは、SerpinF1とも称される。そして、PEDFは、Serpinスーパーファミリーに属する。Serpinスーパーファミリーは、30種類以上のタンパク質を含む。これらのタンパク質は、セリンプロテアーゼ阻害活性を有する点で共通する。しかし、PEDFは、このセリンプロテアーゼ阻害活性を有さない。この観点から、PEDFは、Serpinスーパーファミリーのなかでも異質な存在である。
ここで、PEDFはヒト型に限定されず、他の種であってもよいが、好ましくは、PEDFは、ヒトPEDFである。更に好ましくは、PEDFは、以下のアミノ酸配列を含む、又は以下の配列から成る。
QNPASPPEEGSPDPDSTGALVEEEDPFFKVPVNKLAAAVSNFGYDLYRVRSSMSPTTNVLLSPLSVATALSALSLGAEQRTESIIHRALYYDLISSPDIHGTYKELLDTVTAPQKNLKSASRIVFEKKLRIKSSFVAPLEKSYGTRPRVLTGNPRLDLQEINNWVQAQMKGKLARSTKEIPDEISILLLGVAHFKGQWVTKFDSRKTSLEDFYLDEERTVRVPMMSDPKAVLRYGLDSDLSCKIAQLPLTGSMSIIFFLPLKVTQNLTLIEESLTSEFIHDIDRELKTVQAVLTVPKLKLSYEGEVTKSLQEMKLQSLFDSPDFSKITGKPIKLTQVEHRAGFEWNEDGAGTTPSPGLQPAHLTFPLDYHLNQPFIFVLRDTDTGALLFIGKILDPRGP
(配列番号3)
また、PEDFタンパク質に軽微な改変を行ったとしても、同様の効果が得られる。具体例として、N末端側に特定の配列(例えば、メチオニンを付加したり、MQALVLLLCIGALLGHSSC(配列番号6)の配列)を付加したりしてもよい。別の具体的な例として、前記配列番号3の配列と類似の配列を含むタンパク質であっても、同様の効果を得ることができる。配列の類似性(又は同一性)は、例えば、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は、95%以上であってもよい(例えば、blastpなどを利用して判定された類似性)。また、上述した配列番号3又はこれに類似する配列の一部を有するタンパク質の断片を、滑膜細胞増殖抑制剤の成分として配合してもよい。好ましくは、PEDFタンパク質の類似体及び断片は、滑膜細胞の増殖を抑制する効果を有する。
1−4 PEDF及びその類似体をコードする核酸
一実施形態において、上記「1−3 PEDF及びその類似体」に記載のタンパク質及びその断片に加えて、或いは、これらに代えて、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、これらのタンパク質又はその断片をコードする配列を含む核酸を含むことができる。核酸は、DNAであってもよく、そして、RNA(例えば、mRNA)であってもよい。好ましくは、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、上述したDNAを任意の形態で含むことができる。例えば、上述したDNAのコーティング領域は、プラスミド、ベクター等に組み込んでもよい。
1−5 その他の成分
一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、上述したタンパク質及び/又は核酸以外に、任意の成分を含んでもよい。例えば、賦形剤、キャリア、pHバッファ、トランスフェクション促進剤、培地成分、他の治療薬等が挙げられる。キャリアとしては、エクソソーム、アデノ随伴ウイルス等が挙げられる。トランスフェクション促進剤は、カチオン性脂質、リン酸及び塩化カルシウムの組み合わせなどであってもよい。
また、一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、上述したタンパク質を産生する細胞を含んでもよい。例えば、前記細胞は、上述したタンパク質を産生するための遺伝子をコードしてもよい。
一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤の成分をコントロールすることが好ましい。例えば、特定の細胞を培養した後の培地成分等の場合、細胞から分泌された多種多様な成分が含まれることがある。こうした場合、どのような成分が含まれるか特定するのに労力がかかり、治療への適用が難しくなる可能性がある。一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、例えば、培地特有の成分(例えば、コンタミを防ぐ抗生物質)を含まない。また、別の一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、例えば、細胞を含まない。
1−6 剤型
一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、任意の剤型であってもよい。ディッシュ上の細胞(又は培地)に添加する場合には、液体状であってもよい。また、後述する投与形態に依存して、適宜任意の剤型に設定することができる。例えば、経口投与の場合、剤型は、顆粒、細粒、錠剤、シロップ、徐放剤等を含むことができる。例えば、注射による投与の場合には、剤型は、注射剤(例えば、関節注)を含むことができる。また、治療目的に応じて、他の治療薬と組み合わせた剤型を形成してもよい。好ましい実施形態において、剤型は、非血管投与に適した剤型であり、更に好ましくは、関節腔内注入に適した剤型である。
2.用途
一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、滑膜細胞の増殖を原因とする疾患に利用することができる。別の例としては、再生医療などで、インビトロで関節組織を再生する場合において、培地の成分などに添加して、滑膜細胞が適切に増殖するように制御してもよい。また、適用対象は、ヒトに限定されず、例えば、他の動物種であってもよい。
3.投与形態
一実施形態において、本開示の滑膜細胞増殖抑制剤は、任意の方法で患者に投与することができる。例えば、経口投与してもよく、或いは、非経口投与してもよい。非経口投与の例として、例えば、静脈注射、皮下注射、及び、筋肉注射などが挙げられる。或いは、エレクトロポーレーションによって、関節の部位の細胞に上述したDNA及び/又はRNAを導入してもよい。経口投与の場合には、目的部位である関節まで所望の成分が送達されるように、追加成分を配合してもよい。例えば、胃での分解を妨げるタンパク質分解酵素阻害剤、及び/又は、腸の粘膜吸収を促進するための吸収促進剤を配合してもよい。近年、脈管投与(例えば、インスリン注射)に代わる方法として、ペプチド、タンパク質医薬等の経口投与に関する研究が進んでおり、こうした技術を応用することで経口投与形態の滑膜細胞増殖抑制剤を実現することができる。
4.機能性食品
一実施形態において、本開示は、食品組成物に関する。
一実施形態において、本開示の食品組成物は、滑膜細胞の異常増殖を原因とする疾患の治療又は予防を目的として配合された成分を含有する。一実施形態において、滑膜細胞の異常増殖を原因とする疾患の治療又は予防を目的として配合された成分は、上述した本開示の滑膜細胞増殖抑制剤が含む成分と同じ成分である。
一実施形態において、本開示の食品組成物は、特定の状態に限定されず、常温において、固体状態であってもよいし、液体状態であってもよいし、或いは、半固体状態(ゲル状態)であってもよい。従って、一実施形態において、本開示の食品組成物は、咀嚼して摂取する食品だけでなく、飲料なども含む。
好ましくは、上述した滑膜細胞増殖抑制剤の経口投与の場合と同様、目的部位である関節まで所望の成分が送達されるように、追加成分を食品組成物に配合してもよい。例えば、胃での分解を妨げるタンパク質分解酵素阻害剤、及び/又は、腸の粘膜吸収を促進するための吸収促進剤を配合してもよい。
5.Spondin−2又はPEDFによる滑膜細胞の増殖抑制効果
滑膜細胞(コスモ・バイオ CDD−H−2910−RA (P3) ARE)を準備した。滑膜細胞は、37℃、5%CO2インキュベーター内にて、培養した。培地は、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、SIGMA D6046)に10%FBS(牛胎児血清、GIBCO 10437−028)を配合した物を使用した。一定期間培養後、1ウェルあたり3x10^3個となるように、滑膜細胞を96wellプレートに播種した。
53時間後、リコンビナントのSpondin−2又はPEDFを、以下の最終濃度となるように添加した。
PEDF:20ng/mL(PeproTech #130−13)
Spondin−2:30ng/mL(RayBiotech #230−00845−50)
また、培地だけを添加したものをコントロールとして採用した。
添加後、66時間さらに培養した。その後、Cell Counting kit−8(同仁化学研究所社:CK04)及び2030 ARVO X3プレートリーダー(PerkinElmer)を用いて、450nmの波長の光の吸光度から細胞数(Viability)を測定した(同仁化学研究所社推奨プロトコールに従った)。
コントロール(培地だけ添加)での吸光度を100%又は1として、他のサンプルの吸光度を正規化した。結果を図1に示す。
PEDF及びSpondin−2の両方とも、滑膜細胞の増殖を抑制する効果があることが示された。
以上、発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に適用することができる。また、特記しない限り、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (1)

  1. 以下の(1)〜(6)のうちいずれか1つを少なくとも含む、滑膜細胞増殖抑制剤を含む、関節腔注入剤:
    (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質、
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質であって、滑膜細胞の増殖を抑制するタンパク質、
    (3)上記(1)及び(2)のいずれか1つのタンパク質をコードする配列を含む核酸、
    (4)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質、
    (5)配列番号3で表されるアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有する配列を含むタンパク質であって、滑膜細胞の増殖を抑制するタンパク質、
    (6)上記(4)及び(5)のいずれか1つのタンパク質をコードする配列を含む核酸。
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