JP6926531B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、天然ゴムを50重量%以上含むジエン系ゴムとシリカとカーボンブラックとを含有する、重荷重用空気入りタイヤに好適なタイヤトレッド用ゴム組成物が開示されている(請求項等)。特許文献1によると、このような構成のゴム組成物を用いることでタイヤの耐摩耗性および低発熱性を両立させることができる旨が記載されている。
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考にタイヤ用ゴム組成物を調製し、タイヤを製造したところ、その低発熱性及び耐摩耗性は確かに高いレベルにあるが、将来の要求レベルの向上を考慮すると、さらに改善する必要があることが明らかになった。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
上記ジエン系ゴムが、芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を10〜40質量%含み、天然ゴムを60〜90質量%含み、
上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、芳香族ビニルに由来する繰り返し単位の含有量が18質量%以上であり、ガラス転移温度が−60℃以下であり、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、ビニル構造の割合が8モル%以下であり、1,4−トランス構造の割合が75モル%以下であり、1,4−シス構造の割合が17〜90モル%であり、
上記シリカの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、15〜45質量部であり、
シリカ比率が、0.4以上1以下である、タイヤ用ゴム組成物。
ここで、上記シリカ比率は、上記シリカ及び上記カーボンブラックの合計の含有量に対する上記シリカの含有量の割合を質量比で表したものである。
(2) 上記1,4−トランス構造の割合が70モル%以下であり、上記1,4−シス構造の割合が30モル%以上である、上記(1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、末端が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化錫、環状シラザン、アルコキシシラン、エポキシド、アミン、ケトン及び後述する式(N)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の変性剤で変性された芳香族ビニル−共役ジエン共重合体である、上記(1)又は(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 上記シリカのCTAB吸着比表面積が、150m2/g以上300m2/g未満である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに配置した空気入りタイヤ。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、ジエン系ゴムと、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤とを含有する。
ここで、上記ジエン系ゴムは、芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を10〜40質量%含み、且つ、天然ゴムを60〜90質量%含む。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は、芳香族ビニルに由来する繰り返し単位の含有量が18質量%以上であり、ガラス転移温度が−60℃以下であり、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、ビニル構造の割合が8モル%以下であり、1,4−トランス構造の割合が75モル%以下であり、1,4−シス構造の割合が17〜90モル%である。
また、上記シリカの含有量は上記ジエン系ゴム100質量部に対して15〜45質量部である。
また、シリカ比率は0.4以上1以下である。ここで、上記シリカ比率は、上記シリカ及び上記カーボンブラックの合計の含有量に対する上記シリカの含有量の割合を質量比で表したものである。
本発明では、特定の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体(芳香族ビニルに由来する繰り返し単位の含有量が高く、ビニル構造の割合が低く、且つ、1,4−シス構造の割合が高い芳香族ビニル−共役ジエン共重合体)を使用する点に大きな特徴があると考えられる。
まず、上述した特定の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は芳香族ビニルに由来する繰り返し単位の含有量が高いため、このことがタイヤにしたときの耐摩耗性に繋がると考えられる。
また、上述した特定の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体は1,4−シス構造の割合が高いために柔軟な構造を維持し、ヒステリシスロスが小さく、タイヤにしたときに優れた低発熱性を示すものと考えらえる。
結果として、本発明の組成物は、タイヤにしたときに耐摩耗性及び低発熱性に優れるものと推測される。
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは、芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を10〜40質量%含み、且つ、天然ゴムを60〜90質量%含む。
ジエン系ゴムに含有される特定の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体(以下、「特定共重合体」とも言う)は、芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体である。ここで、上記芳香族ビニルに由来する繰り返し単位の含有量は18質量%以上である。また、上記共役ジエンに由来する繰り返し単位の各ミクロ構造の割合は特定の範囲である。具体的には、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、ビニル構造の割合は8モル%以下であり、1,4−トランス構造の割合は75モル%以下であり、1,4−シス構造の割合は17〜60モル%である。また、ガラス転移温度は−60℃以下である。特定共重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、溶液重合型共重合体(特に、溶液重合型SBR)であることが好ましい。
特定共重合体は、芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体である。すなわち、特定共重合体は、芳香族ビニルと共役ジエンとを共重合した共重合体である。特定共重合体は、芳香族ビニル及び共役ジエンに加え、さらに別のモノマーを共重合した共重合体であってもよい。
上記芳香族ビニルは特に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、およびジメチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができる。これらの中でも、本発明の効果がより優れる理由から、スチレン、α−メチルスチレン、および4−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。これらの芳香族ビニルは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエンは特に制限されないが、例えば、ブタジエン(例えば、1,3−ブタジエン)、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、1,3−ブタジエン、イソプレンであるのが好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述のとおり、特定共重合体は、芳香族ビニル及び共役ジエンに加え、さらに別のモノマーを共重合した共重合体であってもよい。そのようなモノマーとしては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−へプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンなどを挙げることができる。
(1)ビニル構造
特定共重合体において、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、ビニル構造の割合は8モル%以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5モル%以下であることが好ましい。下限は特に制限されず、0モル%である。
ここで、ビニル構造の割合とは、共役ジエンに由来する全繰り返し単位のうち、ビニル構造(例えば、共役ジエンが1,3−ブタジエンである場合は1,2−ビニル構造)を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
特定共重合体において、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、1,4−トランス構造の割合は75モル%以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、70モル%以下であることが好ましく、70モル%未満であることがより好ましく、60モル%以下であることがさらに好ましい。下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがさらに好ましい。
ここで、1,4−トランス構造の割合とは、共役ジエンに由来する全繰り返し単位のうち、1,4−トランス構造を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
特定共重合体において、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、1,4−シス構造の割合は17〜90モル%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、20〜88モル%であることが好ましく、25〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることがさらに好ましく、40〜75モル%であることが特に好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、40〜55モル%であることが好ましい。
ここで、1,4−シス構造の割合とは、共役ジエンに由来する全繰り返し単位のうち、1,4−シス構造を有する繰り返し単位が占める割合(モル%)を言う。
また、共役ジエンに由来する繰り返し単位は、ビニル構造、1,4−トランス構造及び1,4−シス構造からなるため、各構造の割合(モル%)の合計は100モル%である。
特定共重合体のガラス転移温度(Tg)は−60℃以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、−70℃以下であることが好ましく、−80℃以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、−100℃以上であることが好ましく、−90℃以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出したものとする。
特定共重合体の分子量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、重量平均分子量(Mw)で1,000〜10,000,000であることが好ましく、2,000〜5,000,000であることがより好ましく、3,000〜2,000,000であることがさらに好ましい。また、本発明の効果がより優れる理由から、数平均分子量(Mn)で500〜5,000,000であることが好ましく、1,000〜2,500,000であることがより好ましく、1,500〜1,000,000であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
特定共重合体の好適な態様としては、例えば、末端が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化錫、環状シラザン、アルコキシシラン、エポキシド、アミン、ケトン及び後述する式(N)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の変性剤(以下、「特定変性剤」とも言う)で変性された態様が挙げられる。上記態様の場合、本発明の効果がより優れる。
なお、特定変性剤がハロゲン化チタン、ハロゲン化錫または後述する式(N)で表される化合物である場合、特定共重合体の末端はカーボンブラックと相互作用すると推測され、特定変性剤が環状シラザン、アルコキシシランまたはアミンである場合、特定共重合体の末端はシリカと相互作用すると推測され、特定変性剤がエポキシドまたはケトンである場合、特定共重合体の末端はシリカまたはカーボンブラックと相互作用すると推測される。
本発明の効果がより優れる理由から、特定変性剤は、環状シラザン、アルコキシシラン、又は、後述する式(N)で表される化合物であることが好ましく、後述する式(N)で表される化合物であることがより好ましい。
以下、各特定変性剤について説明する。
ハロゲン化チタンは特に制限されないが、例えば、TiCl3、TiBr3、Ti(OC2H5)Cl2、Ti(OC4H9)Cl2、TiCl4、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(OC4H9)Cl3等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、TiCl3(トリクロロチタン)、TiCl4(テトラクロロチタン)が好ましく、テトラクロロチタンがより好ましい。
ハロゲン化錫は特に制限されないが、例えば、フッ化錫、塩化錫、臭化錫、ヨウ化錫、アスタチン化錫などが挙げられる。
環状シラザンは環状のシラザンであれば特に制限されない。
ここで、シラザンとは、ケイ素原子と窒素原子とが直接結合した構造を有する化合物(Si−N結合を有する化合物)を意図する。
環状シラザンは、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(S)で表される化合物であることが好ましい。
R1は、本発明の効果がより優れる理由から、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10)、アルキルシリル基(好ましくは、炭素数1〜10)、芳香族炭化水素基(好ましくは、炭素数6〜18)であることが好ましい。
R2は、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜10)であることが好ましい。
上記式(S)中、Lは、2価の有機基を表す。
2価の有機基としては、例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基。好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基。好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基(−CmH2mO−:mは正の整数)、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
Lは、本発明の効果がより優れる理由から、アルキレン基(好ましくは、炭素数1〜10)であることが好ましい。
なお、環状シラザンのケイ素原子は求電子性を示すと考えられる。
アルコキシシランは、アルコキシシリル基を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシシリル基中のアルコキシ基の数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、2個以上であることが好ましい。
なお、アルコキシシランのケイ素原子は求電子性を示すものと考えられる。
エポキシドは、オキサシクロプロパン(オキシラン)構造を有する化合物であれば特に制限されない。
エポキシドの具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、1−フェニルプロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグルシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、1−メトキシ−2−メチルプロピレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、2−エチルオキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、パルミチルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、カプリルグリシジルエーテルおよびカプロイルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アミンは、アミノ基(−NR2:Rは水素原子又は炭化水素基を表す。2つのRは同一であっても異なっていてもよい。)を有する化合物であれば特に制限されない。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アジリジンであることが好ましい。アジリジンとしては、例えば、N−メチルアジリジン、N−エチルアジリジン、N−イソプロピルアジリジン、N−フェニルアジリジン、N−(4−メチルフェニル)アジリジン、N−メチル−2−メチルアジリジンなどが挙げられる。
ケトンは、ケトン基(−CO−)を有する化合物であれば特に制限されない。
ケトンの具体的としては、アセトン、ベンゾフェノン、および、これらの誘導体などが挙げられる。
ベンゾフェノンの誘導体としては、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル(4,4’−ジアミノ)−ベンゾフェノン、N,N−ジメチル−1−アミノベンゾキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノベンゾキノン、N,N−ジメチル−1−アミノアントラキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアセチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
以下、下記式(N)で表される化合物について説明する。
上述した特定共重合体を製造する方法は特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。芳香族ビニル含有量、ミクロ構造の割合、及び、ガラス転移温度を特定の範囲にする方法は特に制限されないが、例えば、重合するモノマーの種類、モノマーの量比、開始剤の種類、開始剤の量比、反応温度などを調整することで、芳香族ビニル含有量、ミクロ構造の割合、及び、ガラス転移温度を特定の範囲にすることができる。
特定共重合体を製造する方法の好適な態様としては、例えば、有機リチウム化合物、アルキルアルミニウム及び金属アルコラートを用いて調製された開始剤(以下、「特定開始剤」とも言う)を用いて芳香族ビニル及びジエンを含むモノマーを共重合する方法(以下、「本発明の方法」とも言う)が挙げられる。上記方法を用いた場合、得られる特定共重合体を含有する本発明の組成物はタイヤにしたときにより優れた機械的特性及び耐摩耗性を示す。
上述のとおり、本発明の方法では、有機リチウム化合物、アルキルアルミニウムおよび金属アルコラートを用いて調製された開始剤(特定開始剤)が使用される。本発明の方法では特定開始剤が使用されるため、得られる特定重合体において、ジエンに由来する繰り返し単位のうちビニル構造が占める割合が抑えられる(例えば、8モル%以下)ものと考えられる。
有機リチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム等のモノ有機リチウム化合物;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチオペンタン、1,6−ジリチオヘキサン、1,10−ジリチオデカン、1,1−ジリチオジフェニレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4−ジリチオベンゼン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリチオ−2,4,6−トリエチルベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物が挙げられる。特に、本発明の効果がより優れる理由から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのモノ有機リチウム化合物が好ましい。
アルキルアルミニウムは、アルミニウム原子(Al)にアルキル基(鎖状、分岐状、環状)が結合した化合物であれば特に制限されない。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。アルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ペンチルジエチルアルミニウム、2−メチルペンチル−ジエチルアルミニウム、ジシクロヘキシルエチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリ(2,2,4−トリメチルペンチル)アルミニウム、トリドデシルアルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライドなどが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、トリオクチルアルミニウムが好ましい。
金属アルコラート(金属アルコキシド)は、アルコールのヒドロキシ基の水素を金属で置換した化合物であれば特に制限されない。
上記金属としては特に制限されないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属(3〜11族の金属)、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンなどが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルカリ土類金属が好ましく、バリウムであることがより好ましい。
上記アルコールは、鎖状、分岐状または環状の炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置換した化合物であれば特に制限されない。アルコールの炭素数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
芳香族ジビニルは、ビニル基を2つ有する芳香族化合物であれば特に制限されない。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ジビニルベンゼンが好ましい。
特定開始剤の調製方法は特に制限されないが、上述した有機リチウム化合物、アルキルアルミニウムおよび金属アルコラート等を、溶媒に溶解させる方法などが挙げられる。
溶媒の種類は特に制限されず、例えば、有機溶剤などを使用することができるが、本発明の効果がより優れる理由から、アルコール以外であることが好ましい。
モノマー(混合物)は芳香族ビニル及びジエンを含む。芳香族ビニル及びジエンの具体例及び好適な態様は上述のとおりである。
モノマー中の芳香族ビニルの割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、18質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
また、モノマー中のジエンの割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、82質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。また、下限は、本発明の効果がより優れる理由から、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
モノマーは、芳香族ビニル及びジエンに加え、さらに別のモノマーを含んでいてもよい。そのようなモノマーの具体例は、上述した「その他のモノマー」と同じである。
上述のとおり、本発明の方法では、特定開始剤を用いて芳香族ビニル及びジエンを含むモノマーを共重合する。特定開始剤およびモノマーについては上述のとおりである。
ここで、フェノール化合物とは、フェノール性水酸基またはその金属塩を有する化合物を意図する。また、アミン化合物とはアミノ基(−NH2、−NHR、−NR2)を有する化合物を意図する。ここで、Rは置換基を表す。置換基の具体例および好適な態様は、後述する式(P)中のRと同じである。−NR2の2つのRは同一であっても、異なっていてもよい。
フェノール化合物としては、例えば、下記式(P)で表される化合物が挙げられる。
上記式(P)中、Rは、水素原子または置換基を表す。複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記置換基としては、1価の置換基であれば特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アシル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、シリル基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜30)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2〜30)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜30)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記式(P)中、Xは、水素原子、−OX1基または置換基を表す。X1については上述のとおりである。また、置換基の具体例は、上述した式(P)中のRと同じである。
重合を停止する方法は、本発明の効果がより優れる理由から、ハロゲン化チタン、ハロゲン化錫、環状シラザン、アルコキシシラン、エポキシド、アミン、ケトンおよび下記式(N)で表される化合物から選ばれる求電子剤(以下、「特定求電子剤」とも言う)を用いて重合を停止する方法が好ましい。
すなわち、本発明の方法は、特定開始剤を用いて芳香族ビニル及びジエンを含むモノマーを共重合し、その後、特定求電子剤を用いて重合を停止する方法が好ましい。
特定求電子剤の定義、具体例及び好適な態様は、上述した特定変性剤と同じである。
特定求電子剤を用いて重合を停止することで、末端が特定求電子剤(特定変性剤)で変性された共重合体が得られる。
特定開始剤に対する特定求電子剤の量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、有機リチウム化合物に対する求電子剤の割合(特定求電子剤/有機リチウム化合物)はモル比で、0.1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
本発明の効果がより優れる理由から、アルキルアルミニウム(アルキルAl)に対する特定求電子剤の割合(特定求電子剤/アルキルAl)はモル比で、0.1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
本発明の効果がより優れる理由から、金属アルコラートに対する求電子剤の割合(求電子剤/金属アルコラート)はモル比で、0.1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
上述のとおり、ジエン系ゴムは天然ゴムを60〜90質量%含む。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、70〜80質量%であることが好ましい。
上記ジエン系ゴムは特定共重合体及び天然ゴム以外のその他のゴム成分を含有していてもよい。そのようなその他のゴム成分としては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、特定共重合体以外のスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
上述のとおり、本発明の組成物は、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有する。
本発明の組成物は充填剤としてシリカを含有する。
本発明の組成物に含有されるシリカは特に制限されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
なお、本明細書において、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、充填剤としてカーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m2/gであることが好ましく、70〜150m2/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカ比率は0.4以上1以下である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、0.5〜1であることが好ましい。
ここで、シリカ比率は、上述したシリカ及び上述したカーボンブラックの合計の含有量に対する上述したシリカの含有量の割合を質量比で表したものである。例えば、後述する実施例1の場合、シリカの配合量が30質量部であり、カーボンブラックの配合量が20質量部であるため、シリカ比率は0.60(=30÷(30+20))である。
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、シランカップリング剤、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、充填剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤、アルキルトリエトキシシラン(特に、炭素数3〜20のアルキル基を有するもの)などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100〜160℃)で混合し、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いた空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をキャップトレッドに用いた(配置した)空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5及びビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
また、タイヤトレッド部3は、アンダートレッド9及びその外側に配置されたキャップトレッド10から構成される。
なお、キャップトレッド10は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車、トラック、バス、建設用車両、産業用車両等の種々の車両に有用である。
以下のとおり、特定共重合体及び特定ポリシロキサンを合成した。
n−BuLi(関東化学製:1.60mol/L(ヘキサン溶液),18mL,28.8mmol)、バリウムビス(2−エチルヘキソキシド)(Ba(OCH2CH(C2H5)CH2CH2CH2CH3)2)(STREM製:1M(トルエン/ヘキサン溶液)7.5mL)、トリオクチルアルミニウム(Aldrich製:25wt%(ヘキサン溶液),45mL)及びシクロヘキサン(関東化学製:10mL)を用いて調製された開始剤溶液(上述した特定開始剤に相当)のうち、60mLを、1,3−ブタジエン(708g,13098mmol)とスチレン(関東化学製:300g,2883mmol)と4−tert−butylpyrocatechol(4.79g,28.8mmol)の混合物のシクロヘキサン(4.24kg)溶液に加えて、60℃で14時間攪拌した。室温に冷却後、メタノール(関東化学製:3.44g)を投入し、重合を停止した。得られた溶液を取り出し、減圧下で濃縮した。その濃縮溶液をメタノール(5L)に流し込み、メタノール不溶成分を分離した。その結果、スチレン−ブタジエン共重合体(未変性SBR)(895g,Mn=360,000,Mw=500,000,PDI=1.4)を88%の収率で得た。なお、IR分析によって、ビニル/トランス/シス=3/62/35と見積もられた。また、芳香族ビニル含有量(スチレンに由来する繰り返し単位の含有量)は31質量%、ガラス転移温度は−84℃であった。
n−BuLi(関東化学製:1.60mol/L(ヘキサン溶液),18mL,28.8mmol)、バリウムビス(2−エチルヘキソキシド)(Ba(OCH2CH(C2H5)CH2CH2CH2CH3)2)(STREM製:1M(トルエン/ヘキサン溶液)7.5mL)、トリオクチルアルミニウム(Aldrich製:25wt%(ヘキサン溶液),45mL)及びシクロヘキサン(関東化学製:10mL)を用いて調製された開始剤溶液(上述した特定開始剤に相当)のうち、60mLを、1,3−ブタジエン(721g,13330mmol)とスチレン(関東化学製:300g,2883mmol)と4−tert−butylpyrocatechol(4.79g,28.8mmol)の混合物のシクロヘキサン(4.24kg)溶液に加えて、60℃で14時間攪拌した。室温に冷却後、N,N−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(22.4g)及びリチウムジイソプロピルアミド(アルドリッチ製(2M溶液):10mL)のシクロヘキサン(10mL)混合溶液を投入し、重合を停止した。得られた溶液を取り出し、減圧下で濃縮した。その濃縮溶液をメタノール(5L)に流し込み、メタノール不溶成分を分離した。その結果、末端がアルコキシシランで変性されたスチレン−ブタジエン共重合体(アルコキシシラン末端変性SBR)(827g,Mn=350,000,Mw=490,000,PDI=1.4)を81%の収率で得た。なお、IR分析によって、ビニル/トランス/シス=4/61/35と見積もられた。また、芳香族ビニル含有量(スチレンに由来する繰り返し単位の含有量)は26質量%、ガラス転移温度は−85℃であった。
下記表1に示される成分を、下記表1に示される割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表1に示される成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、150℃のバンバリーミキサーで2分間混合した。次に、ロールを用いて、硫黄及び加硫促進剤を混合し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
得られたタイヤ用ゴム組成物について下記のとおり評価を行った。
得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。そして、得られた加硫ゴム試験片について、JIS K6394:2007に準じ、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件でtanδ(60℃)を測定した。
結果を表1に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が小さいほどtanδ(60℃)が小さく、タイヤにしたときに低燃費性に優れる。
tanδ(60℃)の評価と同様の手順に従って、加硫ゴム試験片を作製した。
得られた加硫ゴム試験片について、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を用いて、JIS K6264−2:2005に準拠し、付加力4.0kg/cm3(=39N)、スリップ率30%、摩耗試験時間4分、試験温度を室温の条件で摩耗試験を行い、摩耗質量を測定した。そして、下記のとおり指数を算出した。結果を表1に示す。指数が大きいほど摩耗量が少なく、タイヤにしたときに耐摩耗性に優れる。
指数=(比較例1の試験片の摩耗質量/各例の摩耗質量)×100
・NR:TSR20(天然ゴム)
・BR:NIPOL BR 1220(ブタジエンゴム、日本ゼオン社製)
・特定共重合体1(未変性SBR):上述のとおり合成した特定共重合体1(未変性SBR)
・特定共重合体2(アルコキシシラン末端変性SBR):上述のとおり合成した特定共重合体2(アルコキシシラン末端変性SBR)
・CB(ISAF):シースト6(ISAF級カーボンブラック、N2SA=119m2/g
・シリカ1(CTAB=160m2/g):ZEOSIL 1165MP(シリカ、CTAB=160m2/g、ローディア社製)
・シリカ2(CTAB=200m2/g):Premium 200MP(シリカ、CTAB=200m2/g、ローディア社製)
・シランカップリング剤:Si69(シランカップリング剤、Evonik社製)
・老化防止剤:サントフレックス6PPD(フレキシス社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸(NOF CORPORATION社製)
・加硫促進剤:ノクセラーNS−P(大内新興化学社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業社製)
実施例1と2との対比(特定共重合体2を含有し、且つ、ジエン系ゴム100質量部に対してシリカを30質量部含有する態様同士の対比)から、シリカのCTABが180m2/g以上である実施例2は、より優れた耐摩耗性を示した。
また、実施例2〜4の対比(特定共重合体2及びシリカ2を含有する態様同士の対比)から、シリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して40質量部以下である実施例2及び3は、より優れた耐摩耗性を示した。なかでも、シリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して35質量部以下である実施例2は、さらに優れた耐摩耗性を示した。
また、実施例2と5との対比(ジエン系ゴム100質量部に対してシリカ2を30質量部含有する態様同士の対比)から、特定共重合体が、末端が特定変性剤で変性された実施例2は、より優れた耐摩耗性を示した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (5)
- ジエン系ゴムと、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤とを含有し、
前記ジエン系ゴムが、芳香族ビニルと共役ジエンとの共重合体である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を10〜40質量%含み、天然ゴムを60〜90質量%含み、
前記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、芳香族ビニルに由来する繰り返し単位の含有量が18質量%以上であり、ガラス転移温度が−60℃以下であり、共役ジエンに由来する繰り返し単位のうち、ビニル構造の割合が5モル%以下であり、1,4−トランス構造の割合が75モル%以下であり、1,4−シス構造の割合が17〜90モル%であり、
前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、15〜45質量部であり、
シリカ比率が、0.4以上1以下である、タイヤ用ゴム組成物。
ここで、前記シリカ比率は、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計の含有量に対する前記シリカの含有量の割合を質量比で表したものである。 - 前記1,4−トランス構造の割合が70モル%以下であり、前記1,4−シス構造の割合が30モル%以上である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカのCTAB吸着比表面積が、150m2/g以上300m2/g未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに配置した空気入りタイヤ。
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