以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、POSシステム100の構成を示す概略図である。
POSシステム100は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の小売店、居酒屋や喫茶店等の飲食店等の店舗において、会計処理、及び、レシートRを発行する処理を実行する。
図1に示すように、POSシステム100は、タブレット端末3と、印刷装置1とを備える。タブレット端末3は、会計に応じた会計処理を行う。印刷装置1は、タブレット端末3に無線通信により接続され、タブレット端末3の制御で、レシートRを発行する。
図1に示すように、印刷装置1には、現金を収容するキャッシュドロワー4、商品または商品の包装に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナー5、及び、IC(Integrated Circuit)カードから情報を読み取るICカードリーダー6が接続される。POSシステム100は、キャッシュドロワー4、バーコードスキャナー5、及びICカードリーダー6を含む構成であってもよい。
レシートRの発行に際し、タブレット端末3は、レシートRの発行に係る各種処理の実行を指示するコマンドを生成し、印刷装置1に送信する。印刷装置1は、タブレット端末3から受信したコマンドに基づいて、レシートRを発行する。
キャッシュドロワー4は、現金等を収納するトレイ41と、トレイ41を収納する筐体42とを備える。トレイ41は筐体42に対し開閉可能に取り付けられ、開状態で筐体42から突出し、現金等の出し入れが可能となる。また、閉状態では、トレイ41は筐体42に収容され、現金等の出し入れが不能になる。トレイ41は、後述するように印刷装置1の制御によって開かれる。
ICカードリーダー6は、接触式または非接触式のICカードに対し、データの読取り、及び/または書込を行う装置である。ICカードリーダー6は、例えば、クレジットカード、デビットカード、金融機関のキャッシュカード、いわゆる電子マネーなど、決済を行うためのICカードに対し読み取りを行う。また、ICカードリーダー6は、会員カードやポイントカードなど、決済以外の用途で使用されるICカードを読み取る用途でも使用可能である。
印刷装置1は、例えば、上述した各種の店舗に設けられるレジカウンターに設置される。また、印刷装置1に接続されるキャッシュドロワー4、バーコードスキャナー5、及び、ICカードリーダー6は、印刷装置1とともにレジカウンターまたはその近傍に設置される。
これに対し、タブレット端末3は、タブレット端末3を使用するレジ担当者(ユーザー)が手に持って使用する装置であり、持ち運ぶことも可能である。このため、タブレット端末3の位置に関して自由度が高く、ユーザーは店舗に合わせた使用方法を選択できる。例えば、ユーザーがタブレット端末3をレジカウンターに設置して使用してもよい。また、例えば、ユーザーが店舗内においてタブレット端末3を持ち歩き、ユーザーがレジカウンターに移動して会計処理を行ってもよい。
印刷装置1は、ラインサーマルプリンターであり、内部にロール紙を収容し、ライン型のサーマルヘッドによってロール紙にドットを形成して画像を印刷することにより、レシートRを出力する。印刷装置1は、レシートRを排出する排出口11を有する。
印刷装置1は、LED表示ユニット15を有する。LED表示ユニット15は、複数のLED(図示略)を備え、各LEDを所定の態様で点灯/消灯させることにより、印刷装置1の動作モードや、処理の状態等、印刷装置1に関する情報を表示する。印刷装置1が備える表示用の光源は、LED表示ユニット15に限らず、ランプであってもよいし、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いてもよく、その他の光源を用いてもよい。
タブレット端末3は、タッチパネル32を有する。タッチパネル32は、液晶表示パネルや有機ELパネル等の表示パネルと、当該表示パネルに重ねて設けられ、ユーザーのタッチ操作を検出するタッチセンサーと、を有する。タッチパネル32は、ユーザーが視認しタッチ操作可能な位置に設けられ、図1の例ではタブレット端末3の表面に配置される。
上述のように、印刷装置1はレジカウンター等に据え置きされて設置されるのに対し、タブレット端末3は、ユーザーが持ち運び可能な構成である。このため、ユーザーがタブレット端末3を持ったまま移動した場合など、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離が変化する。つまり、POSシステム100において印刷装置1とタブレット端末3との間の距離は一定でない。
POSシステム100は、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を、タブレット端末3において検出する。タブレット端末3が印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を検出するための具体的な構成として、本実施形態のPOSシステム100は、印刷装置1からタブレット端末3へビーコン信号を送信する。印刷装置1から送信されるビーコン信号としては、2.5GHz帯の無線電波を利用する無線ビーコンや赤外光(IR)を利用した光ビーコン等が挙げられるが、本実施形態では無線電波によるビーコン信号を使用する。
印刷装置1から送信されるビーコン信号は、タブレット端末3が受信するまでに減衰し、ビーコン信号をタブレット端末3が受信した場合の受信信号強度は、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を概ね反映する。このため、タブレット端末3におけるビーコン信号の受信信号強度に基づいて、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離について、推定し、算出し、或いは概算値を求めることができる。印刷装置1とタブレット端末3との間の距離または距離の概算値を推定或いは算出する処理を、距離を検出するという。
図2は、POSシステム100が備える各装置の機能的構成を示すブロック図であり、印刷装置1、及び、タブレット端末3の機能ブロックを示す。タブレット端末3は、端末装置に相当する。
タブレット端末3は、タブレット端末制御部30と、スピーカー31と、タブレット端末記憶部33と、タブレット端末無線通信部34と、ビーコン信号受信部35と、タッチパネル32とを備える。
タブレット端末制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等のハードウェア(いずれも図示略)を備える。タブレット端末制御部30は、所定の制御プログラムをCPUによって実行することにより、タブレット端末3の各部を制御する。ROMは、不揮発性の記憶装置であり、CPUが実行する制御プログラム、及び、この制御プログラムで処理されるデータを格納する。RAMは、CPUのワークエリアを構成する。CPUは、ROMやタブレット端末記憶部33から読み出した制御プログラムをRAMに展開し、展開された制御プログラムを実行して、タブレット端末3の各部を制御する。タブレット端末制御部30は、後述する処理部30aと、検出部30bと、状態判別部30cとを備える。処理部30aは、制御部に相当する。処理部30a、検出部30b、及び、状態判別部30cは、タブレット端末制御部30のCPUがプログラムを実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能部である。
スピーカー31には、タブレット端末制御部30、または、タブレット端末制御部30に接続される音声信号出力回路(図示略)から、音声信号が入力される。スピーカー31は、入力される音声信号に基づく音声を出力する。スピーカー31は、報知部に相当する。
タブレット端末記憶部33は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する。タブレット端末記憶部33は、半導体メモリー素子や磁気的記憶装置等を備えて構成され、タブレット端末制御部30のCPUが実行するプログラムや、各種データを記憶する。本実施形態のタブレット端末記憶部33は、所定値データ33aを記憶する。所定値データ33aは、タブレット端末制御部30が印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を判定するための閾値である「所定値」のデータを含む。
タブレット端末無線通信部34は、タブレット端末制御部30の制御で、所定の無線通信規格に従って、印刷装置1との間で制御コマンドや各種データを送受信する。タブレット端末3と印刷装置1との間で実行される無線通信の通信方式は、例えばWi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の規格に準じた方式を利用できるが、その他の通信方式であってもよい。タブレット端末無線通信部34は、送信部、及び、データ受信部に相当する。
ビーコン信号受信部35は、所定周波数の無線信号であるビーコン信号を受信し、ビーコン信号を受信したことを示す制御信号をタブレット端末制御部30に出力する。ビーコン信号受信部35が出力する制御信号は、ビーコン信号受信部35がビーコン信号を受信したときの受信信号強度を示す情報を含む。ビーコン信号受信部35は、ビーコン受信部に相当する。
ビーコン信号受信部35は、印刷装置1が送信するビーコン信号の受信に適した構成であるが、印刷装置1が送信するビーコン信号以外の信号を受信してもよい。また、例えば印刷装置1が送信するビーコン信号に識別符号を含ませて、ビーコン信号受信部35が、受信するビーコン信号に含まれる識別符号により送信元を特定してもよい。この場合、ビーコン信号受信部35が、特定の送信元(例えば、印刷装置1)が送信するビーコン信号のみを受信する構成を実現できる。
検出部30bは、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を検出する。印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を検出する方法は上述の通り複数考えられるが、本実施形態では、検出部30bが、ビーコン信号受信部35がビーコン信号を受信した際の受信信号強度に基づいて、印刷装置1とタブレット端末3との距離を求める。検出部30bが算出する距離は、上述したように、印刷装置1とタブレット端末3との間の正確な距離でなくてもよく、例えば概算値であってもよいし、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を段階的に示す値であってもよい。例えば、検出部30bは、演算式を用いた演算処理により、ビーコン信号受信部35の受信信号強度から距離を求めてもよい。また、検出部30bは、ビーコン信号受信部35の受信信号強度と距離とを対応付けるテーブル等を用いて、ビーコン信号受信部35の受信信号強度を距離の概算値に換算(変換)してもよい。或いは、ビーコン信号受信部35の受信信号強度を、予め設定された複数の基準値に基づいて段階的に判定し、判定した段階に対応して設定された距離を、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離の概算値として求めてもよい。これらの演算式、テーブル、基準値、その他の設定値は、例えば、予め設定されてタブレット端末記憶部33に記憶されてもよい。
検出部30bは、算出した距離(距離の概算値であってもよい)を、処理部30aに出力する。
また、検出部30bは、例えばPOSシステム100が設置される環境(店舗など)を撮像する撮像画像データを解析して、印刷装置1及びタブレット端末3の位置を特定し、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を検出してもよい。また、例えば、印刷装置1とタブレット端末3との各々が、POSシステム100が設置される環境における位置を検出する位置検出手段(図示略)を備える構成としてもよい。この場合、印刷装置1が後述する印刷装置無線通信部22によって、検出した位置を示すデータをタブレット端末3に送信し、このデータをタブレット端末3がタブレット端末無線通信部34により受信すればよい。この構成では、検出部30bは、タブレット端末無線通信部34により受信したデータに基づき印刷装置1の位置を特定し、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を求めることができる。これらのいずれの構成、及び、その他の構成においても本発明を適用できる。
タッチパネル32は、表示部として機能し、タブレット端末制御部30の制御に従って、表示パネルに各種情報を表示する。タッチパネル32に表示される情報の一例として、会計用ユーザーインターフェース70について後述する。
また、タッチパネル32は、ユーザーの手や指あるいはその他の指示体によるタッチ操作を検出し、タッチ操作された位置を示す信号をタブレット端末制御部30に出力する。タブレット端末制御部30は、タッチパネル32からの入力に基づいて、タッチパネル32へのタッチ操作があったことを検出し、操作位置を取得する。
タブレット端末制御部30は、タッチパネル32に対する操作を検出した場合に、操作位置と、タッチパネル32における表示内容とに基づき、タッチ操作の内容を特定することができる。すなわち、タブレット端末制御部30は、タッチパネル32の操作位置に対応する位置に表示された表示オブジェクトを特定し、特定した表示オブジェクトに対応付けられた機能を、タッチ操作により指示された機能として求めることができる。
図3は、POSシステム100が備えるタブレット端末3の表示例を示す模式図であり、タッチパネル32に表示された会計用ユーザーインターフェース70の一例を示す。
図3に例示する会計用ユーザーインターフェース70の左上部には、一覧表示エリア71が設けられる。一覧表示エリア71は、顧客が購入した商品の商品名、商品の単価、及び、商品の数量を一覧表示する。
一覧表示エリア71の右方には、金額表示エリア72が設けられる。金額表示エリア72は、顧客が購入した商品の合計金額、会計に際して顧客から預かった貨幣の金額、及び、顧客に渡す釣銭の金額を表示する。
一覧表示エリア71の下方には、バーコード情報表示エリア73が設けられる。バーコード情報表示エリア73は、バーコードスキャナー5によって読み取られたバーコードの情報(以下、「バーコード情報」という。)を表示する。POSシステム100が読み取るバーコードの情報は、例えば、商品に割り当てられた商品コードである。
バーコード情報表示エリア73の右方には、ソフトウェアテンキー74が設けられる。ソフトウェアテンキー74は、会計を確定する確定キー741、及び、小計(顧客が購入した商品の合計金額の計算)を指示する小計キー742を有する。タッチパネル32において、ソフトウェアテンキー74の数字キーがタッチ操作された場合、タブレット端末制御部30は数字の入力を検出する。同様に、確定キー741や小計キー742の表示位置がタッチ操作された場合、タブレット端末制御部30は、会計を確定する指示の入力、小計の指示の入力を検出する。
バーコード情報表示エリア73の下方には、メッセージ部75が設けられる。メッセージ部75には、ユーザーへのメッセージが表示される。
例えば、メッセージ部75には、「印刷装置から遠い位置にあります」というメッセージを表示することができる。このメッセージをメッセージ部75に表示することにより、タブレット端末3のユーザーに対し、タブレット端末3と印刷装置1との距離が大きいことを通知することができる。また、メッセージ部75に表示されるメッセージによって、例えば、タブレット端末3を使用しているユーザーに、印刷装置1へ近づくよう促したり、印刷装置1の状態を目視で確認するように案内したりすることができる。
金額表示エリア72の上方には、送信指示画像76が設けられる。送信指示画像76は、ユーザーが、タブレット端末3に対してコマンドの送信を指示する操作を行うための画像である。タッチパネル32において、送信指示画像76に対応する位置にタッチ操作が行われた場合、タブレット端末制御部30はコマンド送信の指示の入力を検出する。タブレット端末制御部30は、検出した入力に応じてコマンドを生成し、タブレット端末無線通信部34によって印刷装置1に送信する。
送信指示画像76の操作に応じてタブレット端末3が送信するコマンドは、オープンコマンド、または、ICカードリーダー制御コマンドである。オープンコマンド及びICカードリーダー制御コマンドはPOSシステム100において予め定義された制御コマンドである。タブレット端末3は、送信指示画像76の操作が行われた場合に、制御対象がキャッシュドロワー4であるか、ICカードリーダー6であるかに対応して、オープンコマンドまたはICカードリーダー制御コマンドを送信する。
オープンコマンドは、印刷装置1に対し、キャッシュドロワー4を開状態とする動作を実行させるためのコマンドである。
ICカードリーダー制御コマンドは、印刷装置1に対し、ICカードリーダー6の動作状態をアクティブにする制御を指示するコマンドである。ICカードリーダー制御コマンドは、読取装置であるICカードリーダー6の起動を指示するコマンドに相当する。
タブレット端末3がタッチパネル32に会計用ユーザーインターフェース70を表示している状態で、ユーザーは、上述した店舗における会計処理を行うことができる。
ユーザーは、商品等を購入する顧客の求めに応じてタッチパネル32に対するタッチ操作を行い、会計に関する入力を行う。例えば、ユーザーは、商品の数量、金額、小計の指示、顧客からの預かり金額、確定の指示などを入力する。
ユーザーの入力に基づき、タブレット端末3は会計処理を実行し、合計金額や釣り銭等を会計用ユーザーインターフェース70に表示する。会計処理が終了すると、タブレット端末3は、印刷装置1を制御して、会計に関する情報が印刷されたレシートRを発行させる。印刷装置1が発行したレシートRは、ユーザーにより顧客に引き渡される。
ユーザーの入力に応じて会計処理を行う場合、会計用ユーザーインターフェース70の操作、或いは、事前の設定により、決済手段が選択される。具体的には、顧客が支払いを行う手段として、現金による決済と、ICカードによる決済とを選択できる。現金による決済が選択されている状態で、会計処理を行う場合、タブレット端末3は、印刷装置1に対してオープンコマンドを送信し、印刷装置1によってキャッシュドロワー4を開状態に移行させる。これにより、キャッシュドロワー4からの現金の取り出し及び現金の収納が可能となるので、ユーザーは、顧客との間で現金のやり取りを行う。例えば、タブレット端末3は、会計用ユーザーインターフェース70の送信指示画像76がタッチ操作されたことを検出したときにオープンコマンドを送信する。また、タブレット端末3は、会計用ユーザーインターフェース70を利用する会計処理において現金出納以外の処理が完了し、印刷装置1にレシートRを発行させる場合に、レシートRの印刷を指示するコマンドとオープンコマンドとを印刷装置1に送信する。
また、決済手段としてICカードが選択されている状態で、会計処理を行う場合、タブレット端末3は、ICカードリーダー制御コマンドを印刷装置1に送信する。これにより、ICカードリーダー6がアクティブ状態となり、ICカードの読み取りが可能になる。
また、ICカードリーダー6は、ICカードで構成されるポイントカードや会員カード等を読み取る用途でも使用可能である。この場合、タブレット端末3は、会計処理において、ポイントカードや会員カード等を読み取るタイミングでICカードリーダー制御コマンドを送信する。
このように、タブレット端末3は、送信指示画像76が操作された場合、及び/または、会計処理における所定のタイミングで、印刷装置1に対し、オープンコマンドまたはICカードリーダー制御コマンドを送信する。
図2に例示するように、印刷装置1は、印刷装置制御部20と、印刷装置無線通信部22と、印刷部24と、印刷装置表示部25と、ビーコン信号送信部26と、印刷装置記憶部21と、印刷装置デバイス接続部23と、を備える。印刷装置デバイス接続部23には、キャッシュドロワー4、バーコードスキャナー5、及び、ICカードリーダー6がそれぞれ接続される。
印刷装置制御部20は、CPU、ROM、及びRAM等のハードウェア(いずれも図示略)を備える。印刷装置制御部20は、所定の制御プログラムをCPUによって実行することにより、印刷装置1の各部を制御する。ROMは、不揮発性の記憶装置であり、CPUが実行する制御プログラム、及び、この制御プログラムで処理されるデータを格納する。RAMは、CPUのワークエリアを構成する。CPUは、ROMや印刷装置記憶部21から読み出した制御プログラムをRAMに展開し、展開された制御プログラムを実行して、印刷装置1の各部を制御する。
印刷装置無線通信部22は、印刷装置制御部20の制御で、タブレット端末3のタブレット端末無線通信部34と相互に無線通信を実行し、コマンドや各種データを送受信する。
印刷部24は、印刷装置1に収容されたロール紙を搬送する搬送機構や、サーマルヘッドによりロール紙にドットを形成して画像を印刷する印刷機構、カッターによりロール紙を切断する切断機構等を備える。例えば、レシートRを発行する場合、印刷部24は、印刷装置制御部20の制御で、搬送機構によりロール紙を搬送する。印刷部24は、印刷装置制御部20の制御で、印刷機構のサーマルヘッドによりロール紙にレシートRに係る情報を印刷し、切断機構のカッターにより所定の位置でロール紙を切断して、レシートRを発行する。
印刷装置表示部25は、LED表示ユニット15(図1)に接続され、LED表示ユニット15が備えるLEDを点灯、消灯、或いは点滅させる。印刷装置表示部25が制御する表示部は、LED表示ユニット15に限らず、上述した有機ELランプ等の光源を備えたものであってもよい。また、印刷装置1を、液晶表示パネルを備える構成とすることもでき、この場合、印刷装置表示部25が液晶表示パネルの表示を制御する。
ビーコン信号送信部26は、印刷装置制御部20の制御に従い、所定の通信規格に従って、一定の時間間隔でビーコン信号を送信する。これにより、印刷装置1は、ビーコン信号を発信するビーコン装置として機能する。ビーコン信号送信部26が出力するビーコン信号の送信出力は一定である。
ビーコン信号送信部26は、印刷装置1の電源がオンである間は、ビーコン信号を常時送信する構成とすることができる。この場合、ビーコン信号送信部26は、印刷装置1の電源のオン/オフに連動して、ビーコン信号の送信を開始/停止する。また、ビーコン信号送信部26は、印刷装置1の動作状態が所定の状態の場合に、ビーコン信号を送信する構成であってもよい。例えば、印刷装置1がエラーの発生により停止した状態において、ビーコン信号送信部26がビーコン信号の送信を停止する構成であってもよい。
印刷装置1からビーコン信号を送信する構成は、図2の例に限定されない。例えば、ビーコン信号送信部26の代わりに、印刷装置1とは別体として構成され、ビーコン信号を発信する発信機を用いてもよい。具体的には、電池を内蔵する使い捨て型の発信機を用いることができる。この発信機を、例えば印刷装置1の筐体に貼り付けることで、印刷装置1からビーコン信号を送信する構成を実現できる。この発信機は、印刷装置1とは別の電源を有し、印刷装置1とは独立して動作するので、例えば、印刷装置1の動作状態の影響を受けずに、ビーコン信号を常時送信する。
印刷装置記憶部21は、半導体メモリー素子や磁気的記憶装置等を備えて構成され、印刷装置制御部20のCPUが実行するプログラムや、各種データを記憶する。
印刷装置デバイス接続部23は、外部のデバイスを有線接続する1または複数のポート、及び、上記ポートによる通信を制御するインターフェース回路(図示略)を備える。上記ポートは、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格、USB以外のシリアル通信規格(RS232C等)、パラレル通信規格(IEEE1284等)に準拠したものとすることができる。また、その他の通信規格に従ったポートを有する構成であってもよい。印刷装置デバイス接続部23は、印刷装置制御部20の制御で、ポートに接続されたデバイスと通信を実行し、各種のデータや信号を送受信する。なお、印刷装置デバイス接続部23が無線通信機能を備え、デバイスと無線通信する構成でもよい。
図2の例では、印刷装置デバイス接続部23に、シリアルケーブルを介してキャッシュドロワー4が接続される。また、印刷装置デバイス接続部23に、USBケーブルによりバーコードスキャナー5及びICカードリーダー6がそれぞれ接続される。印刷装置1は、後述するように、タブレット端末3から受信したコマンドに基づいて、キャッシュドロワー4及びICカードリーダー6を制御できる。ICカードリーダー6は、読取装置に相当する。
キャッシュドロワー4は、ロック部43と、開閉センサー44とを有する。
ロック部43は、キャッシュドロワー4のトレイ41を閉状態で筐体42に対してロックする機構を備える。トレイ41は、バネ等の付勢部(図示略)によって、筐体42に対して開く方向に付勢されていて、閉状態ではロック部43によって開かないように(閉状態を維持するように)保持される。ロック部43は、トレイ41のロックを解除するアクチュエーター43aを備える。アクチュエーター43aが駆動すると、トレイ41のロックが解除され、トレイ41は付勢部の付勢力によって、筐体42から突出するように動き、開状態となる。すなわち、キャッシュドロワー4が開錠される。
開閉センサー44は、キャッシュドロワー4の状態を検出するセンサーであり、具体的には、キャッシュドロワー4が開状態であること、または、閉状態であることを検出するセンサーである。例えば、開閉センサー44は、アクチュエーター43aの位置や、トレイ41の位置に対応して出力が変化するスイッチ式のセンサーとすることができる。キャッシュドロワー4が印刷装置デバイス接続部23に接続された状態で、印刷装置制御部20は、開閉センサー44の出力値を取得可能である。開閉センサー44の出力値に基づき、印刷装置制御部20は、キャッシュドロワー4が開状態であるか、閉状態であるかを判別できる。
印刷装置1は、キャッシュドロワー4のアクチュエーター43aを駆動させることにより、トレイ41を開かせる、すなわちキャッシュドロワー4を閉状態から開状態に移行させることができる。また、印刷装置1は、開閉センサー44の出力値に基づいて、キャッシュドロワー4の状態(開状態であるか閉状態であるか)を判別できる。
バーコードスキャナー5は、バーコードや二次元コード等の画像コードを光学的に読み取り、読み取ったデータを印刷装置デバイス接続部23に出力する。POSシステム100では、商品の包装や伝票類等に付されたバーコードがバーコードスキャナー5によって読み取られる。印刷装置デバイス接続部23は、バーコードスキャナー5から入力されたデータを、印刷装置制御部20に出力する。
ICカードリーダー6は、ICカードに記録されたデータを読み取り、読み取ったデータを印刷装置デバイス接続部23に出力する。ICカードリーダー6は、ICカードリーダー制御部61と、ICカードリーダー制御部61の制御に従ってICカードに対するデータの読取り及び/または書込を行う読取部62とを有する。読取部62の動作の対象は、接触式のICカード、非接触式のICカード、或いは無線タグ(RF(Radio Frequency)タグ)等が挙げられる。印刷装置デバイス接続部23は、ICカードリーダー制御部61から入力されたデータを、印刷装置制御部20に出力する。
ICカードリーダー6は、ICカードに対する読取/書込の動作を実行するアクティブ状態と、ICカードに対する読取/書込の動作を実行しない非アクティブ状態との2つの動作状態を切り替え可能である。アクティブ状態において、ICカードリーダー6はICカードの検出を実行し、読取部62により読み取り可能なICカードを検出した場合に、検出したICカードから情報を読み取るとともに、その後の読取/書込の動作を待機する。非アクティブ状態において、ICカードリーダー6は、ICカードの検出を行わない。このため、非アクティブ状態で、ICカードが読取部62により読み取り可能な位置まで接近したり、読取部62に接続されたりしても、読取部62はICカードからの情報の読み取りを行わない。
ICカードリーダー6のアクティブ状態と非アクティブ状態との切り替えは、ICカードリーダー制御部61が行う。ICカードリーダー制御部61は、印刷装置デバイス接続部23から送信される制御データに従って、ICカードリーダー6の動作状態を切り替える。
POSシステム100の使用環境において、タブレット端末3が印刷装置1から離れた位置で使用される可能性があることは上述した通りであり、この場合はキャッシュドロワー4及びICカードリーダー6もタブレット端末3から離れている。キャッシュドロワー4は現金を収容する装置であり、ICカードリーダー6は決済を行う装置であるから、これらが動作するときにはユーザーの目視による監視あるいは管理が行われることが、セキュリティーの面で好ましい。いわば、キャッシュドロワー4及び/またはICカードリーダー6は、ユーザーの監視対象の装置である。
そこで、POSシステム100は、タブレット端末3と印刷装置1との間の距離が大きい場合、すなわち、タブレット端末3が印刷装置1から遠く離れている場合には、決済に係るコマンドの送信を抑制する状態に移行する。この状態はタブレット端末3の動作状態の1つであり、以下の説明ではコマンド送信抑制状態と呼ぶ。コマンド送信抑制状態において、タブレット端末3は、印刷装置1に対するオープンコマンド、及び、ICカードリーダー制御コマンドの送信を行わない。このため、キャッシュドロワー4は開かれず、ICカードリーダー6はアクティブ状態に移行しない。
タブレット端末3は、コマンド送信抑制状態に移行するべき条件が成立したか否かを判定するための基準として、所定値を用いる。所定値は、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離の閾値であり、予め設定され、タブレット端末3が記憶する。詳細には、所定値は、タブレット端末記憶部33に記憶される所定値データ33aに含まれる。
所定値は、タブレット端末3を使用するユーザーが、監視対象を目視により管理することが困難になる程度の値に設定される。タブレット端末3は、監視対象の装置がユーザーの監視下にない状態、或いは、監視が困難となる可能性が高い状態である場合に、コマンド送信抑制状態に移行するべき条件が成立したと判定し、コマンド送信抑制状態に移行する。
ここで、タブレット端末3は、印刷装置1との間の距離を検出するために、印刷装置1が送信するビーコン信号を受信したときの受信信号強度を、所定値を基準として判定する。言い換えれば、タブレット端末3は、印刷装置1が送信するビーコン信号の受信信号強度に基づき、コマンド送信抑制状態に移行する。
ビーコン信号の受信信号強度は、印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を概ね反映するから、ビーコン信号の受信信号強度に基づき印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を検出することは合理的である。
受信信号強度と距離との相関は厳密かつ正確なものではなく、例えば、受信信号強度は、POSシステム100が使用される環境の影響を受ける。具体的には、柱や壁などの、いわゆる障害物の存在によって、ビーコン信号が減衰することがある。しかし、ビーコン信号を減衰させる要素である障害物は、ユーザーの視界を遮るものであることが多い。従って、これらの障害物は、ユーザーが目視により監視対象の装置を監視することを難しくする要素ともなり得る。この観点からも、印刷装置1から送信されるビーコン信号の受信信号強度に基づく判定を行い、コマンド送信抑制状態に移行することは、合理的である。
勿論、他の方法により印刷装置1とタブレット端末3との間の距離を検出する場合も、タブレット端末3が印刷装置1から遠く離れている場合にコマンド送信抑制状態に移行することは、上述したように合理的である。
タブレット端末3の動作状態として、コマンド送信抑制状態のほかに、オープンコマンド及びICカードリーダー制御コマンドを送信可能な動作状態がある。この動作状態を、以下の説明では通常動作状態と呼ぶ。
また、通常動作状態、及び、コマンド送信抑制状態に共通してタブレット端末3が送信可能なコマンドがある。タブレット端末3がコマンド送信抑制状態で送信を抑制するコマンドは、タブレット端末3が送信可能なコマンドの一部であり、具体的には決済に係るコマンド(より詳細には、決済に利用されるデバイスの制御を指示するコマンド)である。これらの抑制されるコマンドを、例えば、抑制対象コマンドと呼ぶことができる。上述のオープンコマンド及びICカードリーダー制御コマンドは抑制対象コマンドに含まれる。タブレット端末3が送信するコマンドのうち、抑制対象コマンド以外のコマンドとしては、例えば、印刷コマンド、ステータス要求コマンド、設定コマンド、リセットコマンドが挙げられる。印刷コマンドは、印刷装置1にレシートR等を印刷させるためのコマンドである。ステータス要求コマンドは、印刷装置1に対し、動作状態を示すステータス情報の送信を要求するコマンドである。また、設定コマンドは印刷装置1に対し印刷設定や動作設定を指示するコマンドであり、リセットコマンドは印刷装置1に対しリセットを指示するコマンドである。
タブレット端末3は、コマンド送信抑制状態においても、抑制対象コマンド以外のコマンドを受信し、送信できる。勿論、通常動作状態では、タブレット端末3は、抑制コマンドを含むコマンドを送信できる。
以下、実施形態におけるタブレット端末3、及び、印刷装置1の動作を説明する。図4は、POSシステム100の動作を示すフローチャートである。図4(A)はタブレット端末3の動作を示し、図4(B)は印刷装置1の動作を示す。
タブレット端末制御部30の処理部30aは、印刷装置1に対してコマンドを送信するトリガーの有無を判定する(ステップSA1)。コマンド送信のトリガーは、例えば、会計用ユーザーインターフェース70の送信指示画像76へのタッチ操作を検出したことである。また、上述した会計処理において、オープンコマンド或いはICカードリーダー制御コマンドを送信するタイミングに到達することもトリガーに該当する。コマンド送信のトリガーが発生していない場合(ステップSA1:NO)、タブレット端末制御部30は、トリガーが発生するまでステップSA1で待機する。
コマンド送信のトリガーを検出した場合(ステップSA1:YES)、タブレット端末制御部30は、送信するコマンドの種類が、抑制対象コマンドであるか否かを判定する(ステップSA2)。処理部30aは、送信するコマンドの種類が抑制対象コマンドであると判定した場合(ステップSA2;Yes)、ステップSA3に移行する。
検出部30bは、ビーコン信号をビーコン信号受信部35が受信したことを検知し(ステップSA3)、ビーコン信号受信部35におけるビーコン信号の受信信号強度に基づいて、印刷装置1との距離を検出する(ステップSA4)。
処理部30aは、タブレット端末記憶部33に記憶された所定値データ33aに含まれる所定値と、ステップSA4で検出部30bが検出した距離とを比較し、検出部30bが検出した距離が所定値以上か否かを判定する(ステップSA5)。
ステップSA4で、検出部30bは、ビーコン信号受信部35がビーコン信号を受信しない状態では距離を検出できない。このため、タブレット端末制御部30は、ビーコン信号受信部35がビーコン信号を受信するまでステップSA3で待機するが、ステップSA3でビーコン信号を受信するために待機する時間に上限を設けてもよい。待機時間の上限は、例えば、タブレット端末記憶部33に記憶される設定値で定めることができる。
この場合、タブレット端末制御部30は、ステップSA2で抑制対象コマンドであると判定してから、待機時間が上限に達した場合に、待機を終了する。タブレット端末制御部30は、以前にビーコン信号受信部35がビーコン信号を受信したときの受信信号強度を用いて、ステップSA4の処理を実行し、検出部30bにより距離を検出する。或いは、タブレット端末制御部30は、以前に検出部30bが検出した距離を、所定値と比較して、ステップSA4の判定を行ってもよい。これらの構成は、ビーコン信号受信部35がビーコン信号を受信した受信信号強度、及び/又は、検出部30bが検出した距離を、タブレット端末記憶部33またはタブレット端末制御部30のRAMに記憶することで実現できる。これらの場合において、ステップSA4で参照される受信信号強度やステップSA5で参照される距離は、過去の受信信号強度または距離のうち最新のものであることが望ましい。例えば、タブレット端末記憶部33またはRAMに、最新の受信信号強度や距離を常時記憶する構成とすればよい。
印刷装置1との距離が所定値以上であると判定した場合(ステップSA5:YES)、処理部30aは、コマンド送信抑制状態に移行する(ステップSA6)。処理部30aは、印刷装置1との距離が所定値以上であることを、タッチパネル32の表示により報知する(ステップSA7)。この動作において、タッチパネル32は報知部に相当する。また、ステップSA6で、タブレット端末3の動作状態が既にコマンド送信抑制状態である場合、処理部30aは、コマンド送信抑制状態を維持する。この場合も、ステップSA7で報知を行うことが好ましい。ステップSA7では、具体的には、会計用ユーザーインターフェース70のメッセージ部75に文字によるメッセージや、印刷装置1との距離が遠いことを示す画像を表示する。この情報は、タブレット端末3と印刷装置1との距離が大きく、タブレット端末3が印刷装置1から離れていることをユーザーに報知する効果がある。ステップSA7で、処理部30aは、スピーカー31から、印刷装置1との距離が所定値以上であることを知らせる音声を出力することにより、報知を行ってもよい。
また、処理部30aは、会計用ユーザーインターフェース70の送信指示画像76の表示状態を、操作できないことを示す表示状態に変更する(ステップSA8)。
送信指示画像76は、通常動作状態において、会計用ユーザーインターフェース70中に予め設定された色、サイズ、形状のボタンとして表示される。この表示状態は、通常表示状態であり、より具体的にはコマンド送信抑制状態でないときの表示状態である。処理部30aは、コマンド送信抑制状態においては、送信指示画像76の表示状態をグレーアウト表示とする。このため、ステップSA6でコマンド送信抑制状態に移行した場合、処理部30aは、送信指示画像76の表示状態を変更する。
グレーアウト表示は、会計用ユーザーインターフェース70における送信指示画像76の表示色を、通常表示状態よりも薄い色、或いは、彩度及び/または輝度が低いグレー等の色で表示する表示状態である。グレーアウト表示は、送信指示画像76の操作が無効である、或いは無効になることを表現する方法である。送信指示画像76の表示状態がグレーアウト表示に変更されることにより、ユーザーは、キャッシュドロワー4を開状態に移行させられない状態であることを知ることができる。
処理部30aは、ステップSA7でメッセージ部75に情報を表示する動作或いは音声を出力する動作と、ステップSA8で送信指示画像76をグレーアウト表示に切り替える動作とを、逆の順序で行ってもよいし、同時に行ってもよい。また、処理部30aは、ステップSA7で表示による報知を行う際に、コマンド送信抑制状態に移行したことと合わせて、コマンドを送信しない(送信しなかった)ことを報知してもよい。
続いて、状態判別部30cは、キャッシュドロワー4の状態を判定し、処理部30aは判定結果に応じて報知を行う(ステップSA9)。
ステップSA9において、状態判別部30cは、キャッシュドロワー4が開状態であるか閉状態であるかを判定する。例えば、ステップSA9で、状態判別部30cは、例えば、キャッシュドロワー4が開状態であるか閉状態であるかを問い合わせるコマンドをタブレット端末無線通信部34により印刷装置1に送信してもよい。具体的には、キャッシュドロワー4の状態(開状態であるか閉状態であるか)を含むステータス情報の送信を要求するステータス要求コマンドを送信する。このコマンドに応じて印刷装置1が送信するステータス情報に基づき、状態判別部30cは、キャッシュドロワー4の状態を判定できる。また、状態判別部30cは、過去に印刷装置1に対してタブレット端末3が送信したコマンドや、印刷装置1から受信したステータス情報の履歴から、キャッシュドロワー4が開状態であるか閉状態であるかを判定してもよい。
処理部30aは、キャッシュドロワー4が開状態であると判定された場合に、報知を行う。処理部30aは、例えば、スピーカー31によってキャッシュドロワー4が開状態であることを示す音声を出力させることにより、音声による報知を行ってもよい。また、処理部30aは、タッチパネル32に、キャッシュドロワー4が開状態であることを報知する情報を表示して、表示による報知を行ってもよい。この情報は、例えば、会計用ユーザーインターフェース70のメッセージ部75に表示することができる。これにより、タブレット端末3は、タブレット端末3とキャッシュドロワー4とが離れていて、キャッシュドロワー4が開状態であることを報知できる。ステップSA9の動作を実行後、タブレット端末制御部30は、本処理を終了する。
なお、ステップSA9において、状態判別部30cは、ICカードリーダー6の状態がアクティブ状態であるか否かを判定してもよい。この場合、処理部30aは、状態判別部30cによりICカードリーダー6がアクティブ状態であると判定された場合に、報知を行ってもよい。
一方、処理部30aは、検出部30bが検出した距離が所定値より短いと判定した場合(ステップSA5;No)、通常動作状態に移行する(ステップSA10)。ステップSA10で、タブレット端末3の動作状態が既に通常動作状態である場合、処理部30aは、通常動作状態を維持する。ステップSA10で、処理部30aは、通常動作状態に移行するとともに、送信指示画像76の表示状態を通常表示状態とする。ステップSA10において既に送信指示画像76が通常表示状態である場合は、表示状態を変更しない。また、ステップSA10で送信指示画像76がグレーアウト表示されている場合、グレーアウト表示が解除され、通常表示状態に変更される。
処理部30aは、ステップSA1のトリガーに対応するコマンドを生成し、タブレット端末無線通信部34により印刷装置1へ送信する(ステップSA11)。
また、処理部30aは、ステップSA1のトリガーに対応するコマンドが抑制対象コマンドでないと判定した場合(ステップSA2;No)、このコマンドを生成して送信する(ステップSA10)。
印刷装置制御部20の処理部20aは、印刷装置無線通信部22によってタブレット端末3からコマンドを受信したか否かを判定する(ステップSB1)。コマンドを受信しない状態では(ステップSB1:NO)、受信するまでステップSB1で待機する。
タブレット端末3からコマンドを受信した場合(ステップSB1:YES)、処理部20aは、ステップSB1で受信したコマンドを実行する(ステップSB2)。例えば、ステップSB1でオープンコマンドを受信した場合、処理部20aは、ステップSB2で、オープンコマンドに基づいてキャッシュドロワー4を制御し、キャッシュドロワー4を開状態にする。ここで、処理部20aは、例えば印刷装置デバイス接続部23からシリアルケーブルを介して、キャッシュドロワー4に対し、アクチュエーター43aを駆動させる信号を出力する。処理部20aは、キャッシュドロワー4の開閉センサー44の出力値を印刷装置デバイス接続部23により取得して、キャッシュドロワー4が開状態に移行したことを確認してもよい。
また、ステップSB1でICカードリーダー制御コマンドを受信した場合、処理部20aは、ステップSB2で、印刷装置デバイス接続部23から制御データをICカードリーダー6に送信し、ICカードリーダー6をアクティブ状態に移行させる。
また、ステップSB1で印刷コマンドを受信した場合、処理部20aは、ステップSB2で、印刷コマンドに基づいて印刷部24を制御して印刷動作を実行し、例えばレシートRを発行する。
このほか、処理部20aは、ステップSB2で、設定コマンド、ステータス要求コマンド等の各種コマンドを実行できる。
ステップSB2でコマンドを実行した後、処理部20aは、ステータス情報を生成してタブレット端末3に送信する(ステップSB3)。ここで処理部20aが生成するステータス情報は、タブレット端末3が送信したコマンドの実行結果を示す情報を含む。また、印刷装置1の動作を示す情報など、各種の情報を含んでもよいし、含まなくてもよい。
処理部30aは、タブレット端末無線通信部34により、印刷装置1が送信するステータス情報を受信する(ステップSA12)。処理部30aは、受信したステータス情報に基づく出力を実行し(ステップS13)、本処理を終了する。
ステップSA13で、処理部30aは、例えば、会計用ユーザーインターフェース70のメッセージ部75に、ステータス情報に基づく表示を行う。例えば、タブレット端末制御部30は、メッセージ部75に、キャッシュドロワー4が開錠されたことを示すメッセージ等を表示する。
処理部30aは、コマンド送信抑制状態で、印刷装置1からタブレット端末無線通信部34により受信するデータの処理を停止あるいは抑制してもよい。この場合、印刷装置1が送信するデータとしては、バーコードスキャナー5の読取りデータや、ICカードリーダー6の読取りデータ等が挙げられる。処理部30aは、コマンド送信抑制状態において、上記データをタブレット端末無線通信部34で受信した場合に、これらのデータに基づく会計処理等を抑制し、或いは停止する。この構成によれば、タブレット端末3と印刷装置1との間の距離が所定値以上である場合に、印刷装置1とタブレット端末3との間のデータ処理の進行を抑制することができ、処理の適正化を図ることができる。具体的には、印刷装置1に接続されるバーコードスキャナー5やICカードリーダー6等の装置をユーザーが管理または監視しにくい状況で、これらの装置から入力されるデータに基づく会計処理の進行を防止でき、会計処理の正確性をより確実に担保できる。
以上、説明したように、本実施形態のタブレット端末3は、印刷装置1との距離を検出する検出部30bと、印刷装置1の制御を指示するコマンドを送信するタブレット端末無線通信部34とを備える。タブレット端末3は、検出部30bより検出された印刷装置1との距離が所定値以上である場合に、タブレット端末無線通信部34による抑制対象コマンドの送信を抑制する処理部30aを備える。印刷装置1の制御を指示するコマンドの一例は、本実施形態で説明したように、印刷装置1に対してキャッシュドロワー4を制御する動作、ICカードリーダー6をアクティブ状態に移行させる動作等を指示するコマンドである。
本発明を適用したタブレット端末3、及び、タブレット端末3の制御方法によれば、検出部30bにより検出された印刷装置1との距離が所定値以上である場合に、タブレット端末3は、抑制対象コマンドの送信を抑制できる。これにより、タブレット端末3と印刷装置1との距離が所定値以上である状態で、印刷装置1によるコマンドの実行を制限でき、印刷装置1により適切にコマンドを実行させることができる。
また、タブレット端末3は、タッチパネル32を備え、処理部30aは、検出部30bにより検出された印刷装置1との距離が所定値以上である場合に、その旨をタッチパネル32に表示して報知する。例えば、タブレット端末3は、タブレット端末3に表示する会計用ユーザーインターフェース70において、メッセージ部75に、印刷装置1との距離が所定値以上であることを示す情報を表示する。この構成によれば、タブレット端末3は、タブレット端末3と印刷装置1との距離が所定値以上である旨をタッチパネル32に表示する。この表示により、タブレット端末3を使用するユーザーに、印刷装置1からの距離が所定値以上であることを容易に知らせることができる。
また、処理部30aは、操作に応じてタブレット端末無線通信部34によりコマンドを送信させる送信指示画像76をタッチパネル32に表示させる。処理部30aは、検出部30bにより検出された印刷装置1との距離が所定値以上である場合に、送信指示画像76を操作不可能に表示する。例えば、処理部30aは、送信指示画像76の表示状態を、通常表示状態からグレーアウト表示に変更する。この構成によれば、タブレット端末3の操作に応じて印刷装置1にコマンドを送信する構成において、コマンドを送信する操作が不可能な状態とすることができ、さらに、操作できないことを表示によりユーザーに通知できる。このため、タブレット端末3と印刷装置1との距離が所定値以上である場合に、タブレット端末3を操作するユーザーによるコマンドの送信に係る操作を抑制または防止し、コマンドの実行を適正化できる。
また、タブレット端末3は、印刷装置1からデータを受信するタブレット端末無線通信部34を備える。処理部30aは、検出部30bにより検出された印刷装置1との距離が所定値以上である場合に、タブレット端末無線通信部34で受信したデータに基づく処理を実行しない構成であってもよい。この場合、タブレット端末3は、タブレット端末3が印刷装置1との距離が所定値以上である状態で印刷装置1とタブレット端末3との間のデータ処理の進行を抑制し、適正化を図ることができる。
また、印刷装置1は、キャッシュドロワー4と接続可能であって、タブレット端末3が送信する上記コマンドは、キャッシュドロワー4を開状態とすることを指示するオープンコマンドであってもよい。この場合、印刷装置1にキャッシュドロワー4が接続され、印刷装置1がタブレット端末3から受信したオープンコマンドに基づいてキャッシュドロワー4を制御する構成において、タブレット端末3がオープンコマンドの送信を抑制する。これにより、印刷装置1によるキャッシュドロワー4の制御を適正化できる。
また、タブレット端末3は、キャッシュドロワー4の開閉状態を判別する状態判別部30cと、スピーカー31と、を備える。処理部30aは、状態判別部30cによってキャッシュドロワー4が開状態であると判別された場合であって、検出部30bにより検出されたキャッシュドロワー4との距離が所定値以上である場合、スピーカー31によってその旨を報知する。この構成によれば、タブレット端末3は、タブレット端末3とキャッシュドロワー4とが離れていて、キャッシュドロワー4が開状態である場合に、スピーカー31によってキャッシュドロワー4が開状態であることを報知できる。また、タブレット端末3は、報知部としてタッチパネル32を用いてもよく、この場合、印刷装置1とタブレット端末3との距離が所定値以上であり、キャッシュドロワー4が開いていることを、表示により報知できる。
また、POSシステム100において、印刷装置1は、ICカードからデータを読み取るICカードリーダー6と接続可能である。また、タブレット端末3は、印刷装置1に対し、外部装置の動作を制御するコマンドとして、ICカードリーダー6の動作状態をアクティブ状態に切り換えさせるICカードリーダー制御コマンドを送信する。この構成では、印刷装置1がICカードリーダー6と接続され、印刷装置1がタブレット端末3から受信したコマンドに基づいてICカードリーダー6を制御する場合に、タブレット端末3から印刷装置1へのICカードリーダー制御コマンドの送信を抑制する。これにより、ICカードからデータを読み取るICカードリーダー6の制御を適正化できる。
上記実施形態では、検出部30bが、ビーコン信号受信部35におけるビーコン信号の受信信号強度に基づいて、印刷装置1とタブレット端末3との距離を算出する構成(ステップSA4)を説明した。この構成では、処理部30aが、検出部30bにより算出された距離に基づき、コマンド送信抑制状態に移行するか否かを判定する(ステップSA5)。
本発明の構成はこれに限定されず、例えば、処理部30aが、コマンド送信抑制状態に移行するか否かを、ビーコン信号受信部35の受信信号強度に基づき判定してもよい。
すなわち、検出部30bは、ビーコン信号受信部35におけるビーコン信号の受信信号強度を取得する。ここで、検出部30bは、受信信号強度を段階的に示す値に換算してもよい。例えば、検出部30bは、ビーコン信号受信部35の受信信号強度を、予め設定された複数の基準値に基づいて段階的に判定し、判定した段階を出力してもよい。
処理部30aは、検出部30bが取得した受信信号強度または受信信号強度を段階的に示す値に基づき、コマンド送信抑制状態に移行するか否かを判定する動作を行う。この動作は、上述したステップSA5(図4(A))に代えて実行される。この場合、処理部30aが、ビーコン信号の受信信号強度を判定するための値として、所定値を用いてもよく、この所定値は、印刷装置1とタブレット端末3との距離の判定に用いる所定値とは別の値として、所定値データ33aに含まれてもよい。
この構成では、タブレット端末3は、ビーコン信号を受信するビーコン信号受信部35と、外部装置の制御を指示するコマンドを送信するタブレット端末無線通信部34とを備える。タブレット端末3は、ビーコン信号受信部35より受信したビーコン信号の強度に基づいて、タブレット端末無線通信部34による上記コマンドの送信を抑制する処理部30aを備える。外部装置の制御を指示するコマンドの一例は、上記の抑制対象コマンドである。
この構成によれば、タブレット端末3がビーコン信号受信部35により受信するビーコン信号の強度に基づいて、タブレット端末3からのコマンドの送信を抑制できる。例えば、タブレット端末3が受信するビーコン信号の強度が所定値以下である場合に、タブレット端末3から印刷装置1へのコマンドの送信を抑制できる。この場合、ビーコン信号の発信源からタブレット端末3が遠く離れている場合など、ビーコン信号の受信強度が低くなる状況において、コマンドの送信を抑制できる。このように、タブレット端末3の位置や設置環境の影響を反映するビーコン信号の強度に基づき、コマンドの送信を抑制する。これにより、タブレット端末3から印刷装置1へのコマンドの送信を適正化し、印刷装置1によって適切にコマンドを実行させることができる。
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、印刷装置1の制御を指示するコマンドとして、オープンコマンド、及び、ICカードリーダー制御コマンドを例示した。本発明はこれに限定されず、例えば、バーコードスキャナー5に関する制御動作を指示するコマンドであってもよい。また、印刷装置1に接続される他の装置の制御を指示するコマンドであってもよい。例えば、カスタマーディスプレイ(図示略)等、情報を表示する表示装置が印刷装置1に接続された構成で、この表示装置の表示のオン/オフを切り替える制御を印刷装置1に実行させるコマンドであってもよい。これらのコマンドを、上記の抑制対象コマンドに含めてもよい。この場合、ユーザーの目視による監視が難しい場合に、表示装置による情報の表示を停止或いは抑制できる。このように、印刷装置1の制御を指示するコマンドは、印刷装置1に接続される外部デバイスの制御を指示するコマンドであると、より効果的である。
また、上記各実施形態では、ビーコン信号をビーコン信号送信部26が送信し、ビーコン信号受信部35により受信する構成を説明した。また、オープンコマンドやステータス要求コマンド等のコマンドや、ステータス情報を、タブレット端末無線通信部34と印刷装置無線通信部22とが送受信する構成を説明した。この構成では、ビーコン信号送信部26及びビーコン信号受信部35を、ビーコン信号の送受信に適した構成とすることができる。また、タブレット端末無線通信部34と印刷装置無線通信部22とを、ビーコン信号等の受信を考慮しない構成とすることができ、例えば、広帯域の無線通信に適した企画を採用できる。また、本発明はこの構成に限定されず、例えば、タブレット端末無線通信部34と印刷装置無線通信部22とがビーコン信号も送受信してもよい。この場合、装置構成を簡略化できるという利点がある。
また、上記構成では、印刷装置1が、ラインサーマルヘッドを有する印刷部24を備えたサーマルプリンターである例を説明した。本発明はこれに限定されず、印刷部24は、シリアルインパクトドットマトリックスプリンターの構成を具備するものであってもよい。また、インクジェット式プリンターの構成、或いは、レーザープリンターの構成を有するものであってもよく、印刷方式は任意である。
さらに、上記構成では、タブレット端末3がコマンドを送信する外部装置が、印刷装置1である場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、印刷装置1以外の装置であってもよい。すなわち、キャッシュドロワー4やICカードリーダー6等のデバイスが接続され、タブレット端末3が送信するコマンドに従って、上記のデバイスの動作状態を切り替える装置であれば、何でもよい。例えば、コンピューター、携帯電話機やスマートフォン等の情報端末、サーバー装置、外部デバイスを制御するコントローラー等が挙げられるが、形状、機能、性能等は何ら制限されない。
また、印刷装置1は、他の機能を有する装置(例えば、複合機)に実装され、当該装置の一部機能として実現されてもよい。
また、上記構成において、タブレット端末3は、タブレット型コンピューターに限定されず、スマートフォン等の情報端末であってもよく、ユーザーが持ち運び可能であってコマンドを送信可能な構成であればよい。
また、例えば、上述したタブレット端末3の制御方法が、タブレット端末3が備えるコンピューター、または、タブレット端末3に接続される外部装置を用いて実現される場合、以下の態様で構成することも可能である。すなわち、本発明を、当該方法を実現するためにコンピューターが実行するプログラム、このプログラムをコンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体の態様で構成することも可能である。或いは、このプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。上記記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体または半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray(登録商標)Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型の、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、タブレット端末3や、タブレット端末3に接続された外部装置が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置でもよい。このことは、印刷装置1についても同様である。
また例えば、図を用いて説明した各機能ブロックはハードウェアとソフトウェアにより任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。