〔第1実施形態〕
以下に、本開示に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムの第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、機械式駐車装置10の乗降領域が前側乗降領域20bと奥側乗降領域20aとを有する縦列式となっている場合について説明する。また、乗降領域とは、機械式駐車装置10において車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる領域であり、本実施形態では乗降室20として説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る機械式駐車装置(立体駐車場)10の外観図である。機械式駐車装置10では、例えば地上に設けた乗入階17から車両を入出庫させる。そして、機械式駐車装置10は、車両を載置したパレット23を、乗入階17と車両を格納する格納庫18との間で昇降させることで車両を搬送する。なお、図1に示す機械式駐車装置10の構成は、一例であり、乗入階17を格納庫18よりも上層とする等、他の構成であってもよい。すなわち、機械式駐車装置10の構成は、車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗入階17(乗降室20)と車両の格納が行われる格納庫18との間で、搬送機(例えばパレット23等)を用いて車両を搬送させる構成であれば、どのような構成でもよい。また、本実施形態では、車両を搬送する搬送機をパレット式として説明するが、コンベア式、くし歯式(フォーク式)等の他の構成を適用することも可能である。
乗入階17には、車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降室20が設けられている。乗降室20の概略構成を図2に示す。本実施形態における乗降室20は、車両の進入方向(矢印W1)に対して前側乗降領域20bと奥側乗降領域20aとに分割されている(縦列式)。換言すると、乗降室20は、車両が進入する乗降室20の出入口扉21に対して、縦列方向に、前側乗降領域20bと奥側乗降領域20aとに分割されている。
乗降室20には、図2に示すように、区画扉27、複数のセンサ25a〜25l、複数の操作部22a〜22dが設けられている。以下、各センサ25a〜25lをそれぞれ区別するときには、センサ25a,25b等といい、区別する必要がない場合には、単にセンサ25(図8参照)という。また、他の構成についても同様の取り扱いとする。
乗降室20内における前側乗降領域20b及び奥側乗降領域20aのそれぞれにおいて、略中央に、車両を搬送するためのパレット23(搬送機)が配置される。車両は、前側乗降領域20b及び奥側乗降領域20aのいずれか一方において、配置されたパレット23により乗降室20から格納庫18へ搬送される。
区画扉27は、乗降室20内において、前側乗降領域20bと奥側乗降領域20aとを区分けする扉である。具体的には、区画扉27は、車両を入庫または出庫させる場合に奥側乗降領域20aへの出入を可能とする扉である。このため、区画扉27は、奥側乗降領域20aへ車両を入庫または出庫させる場合に開とされ、前側乗降領域20bのみにおいて車両を入庫または出庫させる場合(奥側乗降領域20aには車両が進入しない場合)には、安全のため(例えば、奥側乗降領域20aへの誤侵入等を防ぐため)に閉とされる。
乗降室20には、複数の監視区画A(A1〜A4)が予め設定されている。監視区画Aとは、例えば車両の運転者や機械式駐車装置10の管理人等の人が、直接的に視認して安全確認を行うことが可能なように設定された区画であり、仮想的に区分けされた領域である。安全確認は、例えば鏡等の媒介(特に、人が直接的に視認する場合と比較して視野等の視認性を低下させるもの)を介さず、人の目によって直接的に視認されることが好ましい。
図2に示すように、例えば、乗降室20には、4つの監視区画A1〜A4が設定されている。監視区画A1は、奥側乗降領域20aにおける車両の前方領域(区画扉27に対して奥側の領域)を監視する区画である。また、監視区画A2は、奥側乗降領域20aにおける車両の左右領域、及び後方領域(区画扉27に対して前側の領域)を監視する区画である。また、監視区画A3は、前側乗降領域20bにおける車両の前方領域(出入口扉21に対して奥側の領域)を監視する区画である。また、監視区画A4は、前側乗降領域20bにおける車両の左右領域、及び後方領域(出入口扉21に対して前側の領域)を監視する区画である。なお、図2に示す監視区画の区切りは一例であり、この例に限定されない。例えば、乗降室20には、少なくとも1つの監視区画が設定されていればよく、図2のような区分けに限定されない。
また、図2の例では、奥側乗降領域20a及び前側乗降領域20bのそれぞれにおいて、奥行き方向に領域を分割して複数の監視区画Aを設けているが、例えば、奥行き方向だけでなく左右方向に対しても領域を分割することにより、奥行き方向及び左右方向に対して複数の監視区画を設けることとしてもよい。
各監視区画Aには、各監視区画Aの安全確認を行った際に操作される操作部22(22a〜22d)が設けられている。例えば、監視区画A1には操作部22aが設けられており、監視区画A1の安全確認(例えば、物、人、動物等が居ないことを確認する)が行われた後に、人(例えば、運転者や管理人)によって操作される。また、各操作部22(22a〜22d)は、センサ25(25a〜25l)と対応付けられており、センサ25の有効化及び無効化を切り替えるためにも用いられる。なお、操作部22の詳細については、後述する。
図2では、操作部22(22a〜22d)を車両の進入方向に対して右側に設置している例を示しているが、操作部22(22a〜22d)の設置位置についてはこの例に限定されない。例えば、車両の進入方向に対して左側に設置してもよいし、左右両側に複数設置してもよい。また、図2に示した例では、操作部22dが乗降室20外に設けられているが、乗降室20内に設けられていてもよい。
乗降室20内には、複数のセンサ25(25a〜25l)が設けられている。センサ25は、複数の監視区画Aのそれぞれに対応して設けられ、対応する監視区画Aにおける物体の有無を検知する。具体的には、センサ25は、物体を検知可能なセンサであって、対応する監視区画内において物体があるか否かを検出する。なお、物体とは、例えば、人間や動物(例えば犬や猫等)、または物(例えば荷物等)である。
図2に示すように、奥側乗降領域20aには、車両前側センサ25a、車幅右センサ25b、車幅左センサ25c、車両後側センサ25d、右側人感センサ25e、左側人感センサ25fが設けられている。また、前側乗降領域20bには、車両前側センサ25g、車幅右センサ25h、車幅左センサ25i、車両後側センサ25j、右側人感センサ25k、左側人感センサ25lが設けられている。ここで、人感センサとは人の存在を検知するものである。なお、センサの種類は上記に限られず、適宜変更することが可能である。
奥側乗降領域20aにおいて、車両前側センサ25aは、奥側乗降領域20aにおける車両の前方領域を監視し、監視区画A1に対応して設けられている。車幅右センサ25b及び右側人感センサ25eは、奥側乗降領域20aにおける車両の右方領域を監視し、監視区画A2に対応して設けられている。車幅左センサ25c及び左側人感センサ25fは、奥側乗降領域20aにおける車両の左方領域を監視し、監視区画A2に対応して設けられている。車両後側センサ25dは、奥側乗降領域20aにおける車両の後方領域を監視し、監視区画A2に対応して設けられている。
また、前側乗降領域20bにおいて、車両前側センサ25gは、前側乗降領域20bにおける車両の前方領域を監視し、監視区画A3に対応して設けられている。車幅右センサ25h及び右側人感センサ25kは、前側乗降領域20bにおける車両の右方領域を監視し、監視区画A4に対応して設けられている。車幅左センサ25i及び左側人感センサ25lは、前側乗降領域20bにおける車両の左方領域を監視し、監視区画A4に対応して設けられている。車両後側センサ25jは、前側乗降領域20bにおける車両の後方領域を監視し、監視区画A4に対応して設けられている。
なお、図2に示すセンサ25の数や配置位置等は一例であり、適宜目的に応じて変更可能である。
操作部22とセンサ25とは互いに対応付けられており、操作部22を操作することにより、対応するセンサ25の有効化及び無効化の切り替えが可能な構成とされている。本実施形態においては、図3に示すように、操作部22aと車両前側センサ25aとが対応付けられ、操作部22bと、車幅右センサ25b、車幅左センサ25c、車両後側センサ25d、右側人感センサ25e、及び左側人感センサ25fとが対応付けられている。また、操作部22cと車両前側センサ25gとが対応付けられ、操作部22dと車幅右センサ25h、車幅左センサ25i、車両後側センサ25j、右側人感センサ25k、及び左側人感センサ25lとが対応付けられている。
なお、上記操作部22とセンサ25との対応付けは一例であり、例えば、複数の操作部22に対して一つのセンサ25が重複して対応付けられていてもよい。
センサ25の有効化とは、センサ25を作動させること(センサ25による検出を開始させること)、またはセンサ25の検知結果を初期化することによって行われる。すなわち、センサ25の有効化とは、センサ25を過去の検知状態に依らずに有効化後に新たな検知を行うことが可能な状態とすることである。本実施形態では、センサ25を動作させることによって有効化することとする。
また、センサ25の無効化とは、センサ25の作動を停止させること(センサ25による検出を停止させること)、またはセンサ25の検知結果を無効化する、換言すると、人や物体等を検知しているがその検知結果については物体等の検知とみなさずに無視することによって行われる。
図4は、本実施形態に係る操作部22の一構成例を示した図である。図4に示すように、操作部22は、入力部35と、安全確認の入力に関する情報を通知するための安全確認ランプ36(以下、単に「ランプ36」という。)と、センサ25の作動状態を通知するためのセンサ作動ランプ38(通知部:以下、単に「ランプ38」という)とを備えている。
入力部35は、各監視区画Aにおける人による安全確認の終了を入力するための機能と、センサ25の作動状態を切り替えるための機能とを兼ね備えている。図4では、入力部35が入力ボタンである場合を例示しているが、この例に限定されない。
例えば、入力部35は、後述するように、各利用者に対して個別の利用者IDが記録されたICカード(認証情報記録媒体)が付与されている場合には、そのICカードから利用者IDを読み取るICカードリーダ(認証情報読取部)として構成されていてもよい。この場合には、入力部35を介して入力された利用者IDが予め機械式駐車装置10に登録されている利用者認証情報と照会され、ユーザ認証が成功した場合に、入力操作が有効とされる。
また、入力部35は、ユーザが事前登録した暗証番号等を入力するためのテンキーやタッチパネル等として構成されていてもよい。このような場合には、入力部35を介して入力された暗証番号等が予め機械式駐車装置10に登録されている暗証番号等と照合され、両者が一致した場合に、入力操作が有効とされる。
入力部35に対して第1操作が行われた場合には、対応付けられているセンサ25が有効化される。また、入力部35に対して第2操作が行われた場合には、対応付けられている25が無効化される。また、入力部35に対して第3操作が行われた場合に、有効化されている全てのセンサ25が無効化される。
上記第1操作は、例えば、対応付けられているセンサ25が無効化されているときに入力部35を押下する操作である。この第1操作は、対応づけられている監視区画Aの安全を確認したときになされる操作でもある。
第2操作は、例えば、対応付けられているセンサ25が有効化されているときに入力部35を押下する操作である。このときの押下時間は予め設定されている閾値以下の時間とされる。
第3操作は、例えば、有効化されているセンサ25が存在する場合に、入力部35を閾値よりも長い期間押下する操作である。すなわち、第2操作と第3操作との違いは、押下時間の違いであり、押下時間が閾値以下であれば第2操作、閾値を超えている場合には第3操作として取り扱われる。
ランプ36は、例えば、入力部35の操作に連動して点灯、消灯、点滅することにより、ユーザに対して安全確認の入力に関する情報を通知する。例えば、ランプ36は、ユーザに対して安全確認の入力が必要な状態、安全確認の入力が終了した状態、安全確認の入力が不要である状態等をユーザに対して通知する。
例えば、ランプ36は、入力部35に対して第1操作が行われた場合に点灯し、第2操作又は第3操作が行われた場合に消灯又は点滅する。消灯は、安全確認の必要がないことを意味し、点滅は、当該操作部22に対応付けられている監視区画Aの安全確認を利用者に促すことを意味する。
ランプ38は、当該ランプ38が設けられている操作部22に対応するセンサ25が有効化されているか、無効化されているかを利用者に通知するためのものであり、センサ25の作動状態に応じて異なる表示態様を行う。
本実施形態では、一例として、対応するセンサ25が有効化されている場合には点灯し、無効化されている場合には消灯する。なお、異なる表示態様はこの例に限定されず、他の点灯態様(例えば、点滅と消灯、点滅の間隔を変化させる等)としてもよいし、ランプの色を変更することとしてもよい。例えば、センサ25が作動している場合には青色で点灯し、センサ25が無効化されている場合には赤色で点灯することとしてもよい。
また、ランプ36,38は、上記以外の態様によってそれぞれの情報を利用者に通知するような構成とされていてもよい。例えば、ランプに代えて液晶表示装置等の表示部が設けられていてもよいし、スピーカーを設け、ブザー音や音声ガイダンスによって情報をユーザに通知することとしてもよい。
また、操作部22の構成も図4に示した構成に限定されない。例えば、図5に示すように、入力部35とランプ36とが一体化された操作部22´とされていてもよい。
また、逆に、入力部35は、第1操作を行うための入力部、第2操作を行うための入力部、第3操作を行うための入力部等のように、それぞれ操作別に設けられていてもよい。また、複数の入力部を備える場合には、その一部の入力部が他の筐体(場所)に設けられていてもよい。
図2に戻り、乗降室20の出入口には出入口扉(開閉手段)21が設けられている。出入口扉21は、乗降室20内への出入を行うための扉であり、車両の入庫または出庫を行うときに開閉される。
乗降室20(乗入階17)の外部には操作盤30が設けられている。操作盤30は、例えば、ユーザが機械式駐車装置10における各種動作を実行させるための入力操作を行うための入力装置である。
図6は、本実施形態に係る操作盤30の斜視図である。操作盤30は、例えば、風雨からの保護と悪戯防止のために金属製の筐体50に収容されており、この筐体50には施錠可能な蓋51が設けられている。利用者が操作盤30を操作する際には、施錠を解錠して蓋51を開き、操作盤30にアクセスする。なお、例えば利用者が携帯している専用リモコンによって利用者の接近とともに自動的に蓋51の施錠を解錠するようにしてもよい。
操作盤30には、タッチパネル45、ICカードリーダ46、利用者に操作方法を音声で案内するためのスピーカー47、機械式駐車装置10の動作を非常停止させる非常停止ボタン48等が配置される。
タッチパネル45は、表示機能と入力機能とを兼ね備えている。タッチパネル45には、例えば、入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示されるとともに、入出庫の操作を利用者に行わせるための操作ボタン等が表示される。タッチパネル45の表示は後述する制御装置40によって制御され、また、タッチパネル45が利用者等によって操作されることにより入力された情報は、所定の通信媒体を通じて後述する制御装置40(図7,図8参照)に出力される。
ICカードリーダ46は、利用者個人を特定可能な利用者認証情報(以下「利用者ID」という。)が記憶されているICカード(認証情報記録媒体)から利用者IDを読み取る。なお、ICカードは、予め登録されている利用者、管理人、及び保守業者等が所持するものである。
上述した構成を備える機械式駐車装置10は、制御装置40によって制御される。
図7は、機械式駐車装置10の制御装置40のハードウェア構成を示した図である。制御装置40は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(中央演算処理装置)11、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置12、補助記憶装置13、キーボードやマウスなどの入力装置14、ディスプレイやプリンタなどの出力装置15、及び外部の機器と通信を行うことにより情報の授受を行う通信装置16等を備えている。
補助記憶装置13は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。この補助記憶装置13には、各種プログラム(例えば、監視制御プログラム)が格納されており、CPU11が補助記憶装置13から主記憶装置12にプログラムを読み出し、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。
図8は、本実施形態に係る制御装置40が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。図8に示すように、制御装置40は、入出庫制御部41、監視制御部42、ユーザ認証部43、及び認証情報データベース44を備えている。
入出庫制御部41は、例えば、各種モータ(不図示)を制御することによって、車両を搬送する搬送機や出入口扉21及び区画扉27を駆動させる。また、入出庫制御部41は、操作盤30からの入力情報に基づいて、操作盤30のタッチパネル45に表示させる表示画面等の制御を行う。なお、タッチパネル45の画面制御については、操作盤30が搭載する制御装置(図示略)によって行うこととしてもよい。
監視制御部42は、操作部22におけるユーザの入力操作に基づいてセンサ25の有効化及び無効化を制御するとともに、操作部22に設けられているランプ36,38の制御を行う。
例えば、監視制御部42は、操作部22に対して第1操作(安全確認の終了の入力)が行われた場合に、その操作部22に対応するセンサ25を有効化させるとともに、第1操作された操作部22のランプ36,38を点灯させる。
また、監視制御部42は、操作部22に対して第2操作(対応するセンサの無効化操作)が行われた場合に、その操作部22に対応するセンサ25を無効化させるとともに、第2操作が行われた操作部22のランプ36を消灯又は点滅させ、ランプ38を消灯させる。
また、監視制御部42は、操作部22に対して第3操作(全てのセンサの無効化操作)が行われた場合に、有効化されている全てのセンサ25を無効化させるとともに、全ての操作部22のランプ36,38を消灯させる。
また、監視制御部42は、監視区画Aの安全をユーザに促す安全確認の誘導処理を行う。これは、予め設定されている順序に基づいて安全確認をユーザに行わせるための制御であり、安全確認を行わせたい監視区画に配置されている操作部22のランプ36を点滅させることで行われる。
例えば、監視制御部42は、乗降室20における人の出口に対して最も遠い位置の監視区画から順に安全確認を行うようにユーザを誘導する。本実施形態では、監視区画A1、A2、A3、A4の順番でユーザに安全確認を促すこととなり、このため、操作部22a、22b、22c、22dの順にランプ36を点滅させる。具体的には、まず、出入口扉21が開扉された後に、操作部22aのランプ36を点滅させて監視区画A1の安全確認をユーザに促す。これにより、ユーザによって安全確認が行われて操作部22aの入力部35a(以下、操作部22aに対応する入力部35を入力部35a、ランプ36をランプ36a、ランプ38をランプ38aと称し、他の操作部22b,22c,22dについても同様とする。)に対して第1操作が行われると、操作部22aのランプ36aを点灯させるとともに、操作部22bのランプ36bを点滅させる。そして、ユーザによって監視区画A2の安全確認が行われて操作部22bの入力部35bに対して第1操作が行われると、操作部22bのランプ36bを点灯させるとともに、操作部22cのランプ36cを点滅させる。以下、同様にして、操作部22c,22dのランプ36の点灯/点滅制御を行う。
また、監視制御部42は、全てのセンサ25が有効化される前に、有効化されたセンサ25によって物体が検知された場合には、有効化されている全てのセンサ25を無効化し、これに伴い、無効化したセンサ25に対応する全ての操作部22のランプ36,38を消灯させる。
なお、いずれかのセンサ25によって物体が検知された場合に、そのセンサ25が属する監視区画Aに対応付けられているセンサ25のみを無効化するのか、それとも、乗降室20内の全てのセンサ25を無効化するかについては、運用に応じて適宜設定することが可能である。なお、本実施形態では、いずれかのセンサ25によって物体が検知された場合には、有効化されている全てのセンサ25を無効化する処理を行う場合を例示して説明する。
なお、センサ25が全て有効化された状態でなければ、閉扉処理を行えないことから、物体が検知されたり、第2操作又は第3操作が行われることにより、センサが無効化された場合には、再度、無効化したセンサ25を有効化するために、利用者は、対応する操作部22に対して第1操作(人による安全確認の終了の入力)を行う必要がある。
監視制御部42は、センサ25による物体検知によってセンサ25を無効化した場合には、乗降室20内において物体が検知されたことを人に対して通知し、再度の安全確認を促すこととしてもよい。例えば、監視制御部42は、乗降室20において人等が侵入した可能性があることを表示や音声等により通知する。
また、監視制御部42は、奥側乗降領域20aにおいて入出庫が行われる場合に、奥側乗降領域20aに設定された全てのセンサ25が有効化された後でなければ、前側乗降領域20bにおける操作部22の入力を受け付けないこととしてもよい。すなわち、監視制御部42は、奥側乗降領域20aの安全確認が完了する前は、前側乗降領域20bに配置された操作部22c,22dへの操作を受け付けないこととしてもよい。「操作部22への操作を受け付けない」とは、前側乗降領域20bに配置された操作部22の入力部35が押下できないように物理的にロックする処理や、前側乗降領域20bに配置された操作部22を押下しても対応するセンサ25を有効化しない処理等が一例として挙げられる。また、監視制御部42は、奥側乗降領域20aの安全確認が完了する前に前側乗降領域20bに配置された操作部22への操作が行われた場合には、センサ25の有効化が完了していない旨を該人へ通知することとしてもよい。
ユーザ認証部43(図8参照)は、例えば、操作盤30から利用者IDを受信した場合に、受信した利用者IDと認証情報データベース44に格納されている認証情報とを照合し、ユーザ認証を行う。
認証情報データベースには、当該機械式駐車装置10を利用する利用者の認証情報(利用者ID)や管理人の認証情報等が格納されている。
〔入庫処理〕
次に、本実施形態に係る機械式駐車装置10の入庫処理について図9〜図14を参照して説明する。以下の入庫処理は、例えば、制御装置40の補助記憶装置13に格納されている各種プログラムをCPU11が主記憶装置12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実現される。
なお、入庫処理が開始されるときには、乗降室20内の全てのセンサ25は無効化されているものとする。また、以下の入庫処理では、奥側乗降領域20aに対して車両を入庫する場合を例示し、操作部22a、22b、22c、22dの順に安全確認を誘導する場合について説明するが、安全確認の順番については運用に応じて適宜設定することが可能である。
まず入庫を行う場合、利用者は車両を入出庫口の前に移動させ、降車して、操作盤30に向かう。そして、専用の鍵で施錠を解錠し筐体50の蓋51を開ける。制御装置40は、蓋51が開いたことを検知すると(図9のSA1)、操作盤30のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、制御装置40に送信される。制御装置40は、利用者IDが入力されると(SA3)、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証を行う(SA4)。具体的には、制御装置40のユーザ認証部43は認証情報データベース44にアクセスし、入力された利用者IDが登録されているか否かを判定する。この結果、第1のユーザ認証が成功しなかった場合には(SA5:NO)、タッチパネル45にユーザ認証に失敗したメッセージを表示させることによりユーザに認証が失敗したことを通知した上で、第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
一方、第1のユーザ認証が成功した場合(SA5:YES)、すなわち、利用者IDが認証情報データベース44に登録されている場合には、第1のユーザ認証が成功した利用者ID(第1認証情報)を制御装置40内の所定の記憶領域(図示略)に記憶するとともに(SA6)、格納庫18から空パレットを呼び出す。
空パレットが乗降室20の奥側乗降領域20aに到着すると(SA7)、制御装置40は出入口扉21及び区画扉27を開く(SA8)。そして、出入口扉21及び区画扉27が完全に開くと、制御装置40は利用者に対して入庫を促す入庫案内画面をタッチパネル45に表示させる。これにより、利用者は車両に乗り込み、車両を乗降室20内に移動させ、奥側乗降領域20aのパレット23に車両を載置させ、降車する。
一方、制御装置40は、出入口扉21及び区画扉27が完全に開いたことを確認すると、操作部22aのランプ36aを点滅させ、操作部22aに対応する監視区画A1の安全確認を促す(図10のSA9)。
続いて、監視区画A1の安全確認が利用者によって行われることにより、操作部22aの入力部35aが押下されたか否かを判定する(SA10)。すなわち、操作部22aに対して第1操作が行われたか否かを判定する。
そして、入力部35aが押下されると(SA10:YES)、ランプ36aを点灯させるとともに、操作部22aに対応するセンサ25を有効化する。これにより、車両前側センサ25aが有効化される。更に制御装置40は、操作部22bのランプ36bを点滅させることにより、利用者に対して監視区画A2の安全確認を促す(SA11)。また、制御装置40は、操作部22aのセンサ25を有効化させたことにより、操作部22aのランプ38aを点灯させる。
続いて、制御装置40は、センサ25によって物体が検知されたか否かを判定する(SA12)。この結果、物体が検知された場合には(SA12:YES)、全てのセンサ25、すなわち、この場合には、車両前側センサ25aを無効化し(SA13)、ステップSA9に戻る。
一方、センサ25によって物体が検知されていない場合(SA12:NO)には、制御装置40は、操作部22aの入力部35aが押下されたか否かを判定する(SA14)。すなわち、制御装置40は、入力部35aに対して第2操作又は第3操作が行われたか否かを判定する。この結果、操作部22aの入力部35aが押下された場合には(SA14:YES)、全てのセンサ25、すなわち、この場合には、車両前側センサ25aを無効化し(SA13)、ステップSA9に戻る。また、この場合、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、入力部35aが押下されていない場合には(SA14:NO)、操作部22bの入力部35bが押下されたか否かを判定する(SA15)。すなわち、監視区画A2の安全確認が利用者によって行われることにより、操作部22bに対して第1操作が行われたか否かを判定する。この結果、入力部35bが押下されていない場合には(SA15:NO)、ステップSA12に戻る。一方、入力部35bが押下されている場合には(SA15:YES)、操作部22bのランプ36bを点灯させるとともに、操作部22bに対応するセンサ25を有効化する。これにより、車幅右センサ25b、車幅左センサ25c、車両後側センサ25d、右側人感センサ25e、左側人感センサ25fが有効化される。更に、制御装置40は、操作部22cのランプ36cを点滅させることにより、利用者に対して監視区画A3の安全確認を促す(SA16)。また、制御装置40は、操作部22bのセンサ25を有効化させたことにより、操作部22bのランプ38bを点灯させる。
続いて、センサ25によって物体が検知されたか否かを判定する(SA17)。この結果、物体が検知された場合には(SA17:YES)、有効化されている全てのセンサ25を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯し(SA13)、ステップSA9に戻る。また、この場合、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、センサ25によって物体が検知されていない場合(SA17:NO)には、制御装置40は、操作部22bの入力部35bが押下されたか否かを判定する(図11のSA18)。すなわち、操作部22bに対して第2操作又は第3操作が行われたか否かを判定する。
この結果、操作部22bの入力部35bが押下された場合には(SA18:YES)、押下時間が閾値以下であるか否かを判定する(SA19)。この結果、閾値を超えている場合、すなわち、操作部22bに対して第3操作が行われた場合には(SA19:NO)、有効化されている全てのセンサ25を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯して(図10のSA13)、ステップSA9に戻る。また、この場合、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、図11のステップSA19において、押下時間が閾値以下である場合には(SA19:YES)、制御装置40は、操作部22bに対して第2操作が行われたと判定し、操作部22bに対応するセンサ25を無効化するとともに、ランプ36bを点滅させ(SA20)、図10のステップSA12に戻る。これにより、操作部22bに対応付けられている車幅右センサ25b、車幅左センサ25c、車両後側センサ25d、右側人感センサ25e、左側人感センサ25fが無効化される。また、センサ25の無効化に伴い、制御装置40は、操作部22bのランプ38bを消灯させる。
また、ステップSA18において、入力部35bが押下されていない場合には(SA18:NO)、操作部22cの入力部35cが押下されたか否かを判定する(SA21)。すなわち、監視区画A3の安全確認が利用者によって行われることにより、操作部22cに対して第1操作が行われたか否かを判定する。この結果、入力部35cが押下されていない場合には(SA21:NO)、図10のステップSA17に戻る。一方、入力部35cが押下されている場合には(SA21:YES)、操作部22cのランプ36cを点灯させるとともに、操作部22cに対応するセンサ25を有効化する。これにより、車両前側センサ25gが有効化される。更に、制御装置40は、操作部22dのランプ36dを点滅させることにより、利用者に対して監視区画A4の安全確認を促す(SA22)。また、制御装置40は、操作部22cのセンサ25を有効化させたことにより、操作部22cのランプ38cを点灯させる。
続いて、センサ25によって物体が検知されたか否かを判定する(SA23)。この結果、物体が検知された場合には(SA23:YES)、有効化されている全てのセンサ25を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯し(図10のSA13)、ステップSA9に戻る。また、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、センサ25によって物体が検知されていない場合(SA23:NO)には、制御装置40は、操作部22cの入力部35cが押下されたか否かを判定する(図12のSA24)。すなわち、操作部22cに対して第2操作又は第3操作が行われたか否かを判定する。この結果、操作部22cの入力部35cが押下された場合には(SA24:YES)、押下時間が閾値以下であるか否かを判定する(SA25)。この結果、閾値を超えている場合、すなわち、操作部22cに対して第3操作が行われた場合には(SA25:NO)、有効化されている全てのセンサ25を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯して(図10のSA13)、ステップSA9に戻る。また、この場合、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、ステップSA25において、押下時間が閾値以下である場合には(SA25:YES)、制御装置40は、操作部22cに対して第2操作が行われたと判定し、操作部22cに対応するセンサ25を無効化するとともに、ランプ36cを点滅させ(SA26)、図10のステップSA17に戻る。これにより、操作部22cに対応付けられている車両前側センサ25gが無効化される。また、センサ25の無効化に伴い、制御装置40は、操作部22cのランプ38cを消灯させる。
一方、ステップSA24において、入力部35cが押下されていない場合には(SA24:NO)、制御装置40は、操作部22dの入力部35dが押下されたか否かを判定する(SA27)。すなわち、監視区画A4の安全確認が利用者によって行われることにより、操作部22dに対して第1操作が行われたか否かを判定する。この結果、入力部35dが押下されていない場合には(SA27:NO)、図11のステップSA23に戻る。一方、入力部35dが押下されている場合には(SA27:YES)、操作部22dのランプ36dを点灯させるとともに、操作部22dに対応するセンサ25を有効化する(SA28)。これにより、車幅右センサ25h、車幅左センサ25i、車両後側センサ25j、右側人感センサ25k、左側人感センサ25lが有効化され、この結果、乗降領域内の全てのセンサ25が有効化される。また、制御装置40は、操作部22dのセンサ25を有効化させたことにより、操作部22dのランプ38dを点灯させる。
続いて、制御装置40は、センサ25によって物体が検知されたか否かを判定する(SA29)。この結果、物体が検知された場合には(SA29:YES)、有効化されている全てのセンサ25を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯し(図10のSA13)、ステップSA9に戻る。また、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、センサ25によって物体が検知されていない場合(SA29:NO)には、制御装置40は、操作部22dの入力部35dが押下されたか否かを判定する(図13のSA30)。すなわち、操作部22dに対して第2操作又は第3操作が行われたか否かを判定する。この結果、操作部22dの入力部35dが押下された場合には(SA30:YES)、押下時間が閾値以下であるか否かを判定する(SA31)。この結果、閾値を超えている場合、すなわち、操作部22dに対して第3操作が行われた場合には(SA31:NO)、有効化されている全てのセンサ25を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯して(図10のSA13)、ステップSA9に戻る。また、この場合、制御装置40は、センサ25の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、ステップSA31において、押下時間が閾値以下である場合には(SA31:YES)、制御装置40は、操作部22dに対して第2操作が行われたと判定し、操作部22dに対応するセンサ25を無効化するとともに、ランプ36dを点滅させ(SA32)、図11のステップSA23に戻る。これにより、操作部22dに対応付けられている車幅右センサ25h、車幅左センサ25i、車両後側センサ25j、右側人感センサ25k、左側人感センサ25lが無効化される。また、センサ25の無効化に伴い、制御装置40は、操作部22dのランプ38dを消灯させる。
一方、ステップSA30において、入力部35dが押下されていない場合には(SA30:NO)、制御装置40は、乗降領域内の全てのセンサ25が有効化されたと判定し、操作盤30のタッチパネル45に第2のユーザ認証画面を表示させる(SA33)。
第2のユーザ認証画面を確認した利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、制御装置40に送信される(SA34)。制御装置40は利用者IDを受信すると第2のユーザ認証を行う(SA35)。第2のユーザ認証では、受信した利用者ID(第2認証情報)が認証情報データベース44に登録されている利用者IDであるか否かを判定するとともに、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第2のユーザ認証で入力された利用者ID(第2認証情報)とが所定の関連性を有するか、例えば、両者が同一か否かを判定する照合処理が行われる。このように、第2のユーザ認証では、操作盤30を操作した利用者が操作盤30を操作する権限を持つものであるか否か、及び、入庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。なお、第2のユーザ認証では、第1のユーザ認証で入力された利用者IDと第2のユーザ認証で入力された利用者IDとが所定の関連性を有するか否かのみを判定することとしてもよい。
第2のユーザ認証が成功しなかった場合(SA36:NO)、ステップSA33に戻り、第2のユーザ認証画面を表示させる。なお、このとき、認証に失敗した旨を通知することとしてもよい。
また、第2のユーザ認証が成功した場合には(SA36:YES)、制御装置40は、乗降室20内の最終無人確認を利用者に行わせるための最終無人確認ボタン(起動許可ボタン)をタッチパネル45に表示させるとともに、利用者に最終無人確認を行わせるためのガイダンスを表示させる(SA37)。
そして、無人確認ボタンが押下されると(SA38:YES)、制御装置40はタッチパネル45に出入口扉21及び区画扉27を閉めるための扉閉ボタンを表示させるとともに、閉扉ボタンを操作するように利用者を促すガイダンスを表示させる(図14のSA39)。
そして、閉扉ボタンが押されると(SA40:YES)、制御装置40は、出入口扉21及び区画扉27の閉扉動作を開始し、閉扉が完了すると車両を載置したパレットの搬送を行う(SA41)。これにより、車両が搬送機によって乗降室20から格納庫18へ格納される。更に、制御装置40は、所定の記憶領域に格納した第1の利用者IDを消去し(SA42)、入庫処理を終了する。
なお、車両を出庫させる場合についても、図9から図14に示すフローと同様の処理が行われる。すなわち、車両を出庫させる場合には、車両が乗降室20から出庫した後(出入口扉21が閉とされる前)、監視区画A1から監視区画A4の順に安全確認を行うように、安全確認が促される。
以上説明したように、本実施形態に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムによれば、利用者の操作入力によって、乗降室20内に配置されたセンサ25の有効化及び無効化を切り替えることが可能となる。これにより、乗降室20内における監視状態にユーザの意思を反映させることが可能となる。
この結果、例えば、利用者が庫内に忘れ物をした場合には、センサを無効化させることにより、センサによる検知を気にすることなく、忘れものを取りにいくことが可能となる。例えば、センサによって物体が検知された場合にブザーがなるような機械式駐車装置では、そのようなブザー音が耳障りな場合がある。本実施形態によれば、ユーザが自身の意思で庫内に進入するような場合や、庫内にいるときに、既にセンサを有効化させた領域に進入するような場合に、自分の意思でセンサの有効化及び無効化を切り替えることができるので、上記のようなブザー音が耳障りとなるような事象を回避することが可能となる。
また、乗降室20内に設けられた全てのセンサが有効化された後でなければ、第2のユーザ認証や閉扉指示を行うことができないので、安全性を高めることが可能となる。すなわち、センサ25によって物体が検知された場合や、利用者の意思でセンサ25を無効化した場合には、無効化されたセンサ25を有効化するために、利用者がそのセンサ25に対応する操作部22の場所に赴き、安全確認を行った上でセンサ25を有効化させる必要がある。
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムについて説明する。
上述した第2実施形態では、乗降領域が奥側乗降領域20aと前側乗降領域20bとに区分けされた縦列式となっている場合について説明したが、本実施形態では、前側乗降領域20bのみを有する単列式の機械式駐車装置を例に挙げて説明する。
以下、上述した第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる点について主に説明する。
図15は、本実施形態に係る乗降室20の概略構成図である。図15に示すように、本実施形態では、乗降室20内を奥行き方向に分割するのではなく、左右方向に分割し、複数の監視区画A3、A4を設けている。本実施形態では、入庫車両の進入方向に向かって右側の領域に監視区画A3を、左側の領域に監視区画A4を設定した場合を例示している。なお、監視区画A3,A4の設定についてはこの例に限定されず、更に細かく左右方向に監視区画を区切ることとしてもよいし、奥行き方向に対しても領域を分割して複数の監視区画を設けることとしてもよい。
本実施形態において、操作部22c、22dは、乗降室20の外側に設けられている。例えば、操作部22cは監視区画A3に対応しており、監視区画A3における人による安全が確認された場合に操作される。また、操作部22dは監視区画A4に対応しており、監視区画A4における人による安全が確認された場合に操作される。
なお、上記操作部22c,22dの配置位置は一例であり、この例に限定されない。例えば、全ての操作部22c,22dが乗降室20内に設けられていてもよいし、一部の操作部22が乗降室20内に設けられていてもよい。
操作部22c、22dは、乗降室20内の各センサ25と対応付けられている。本実施形態では、図16に示すように、操作部22cは、車両前側センサ25g、車幅右センサ25h、車両後側センサ25j、及び右側人感センサ25kと対応付けられている。操作部22dは、車両前側センサ25g、車幅左センサ25i、車両後側センサ25j、及び左側人感センサ25lと対応づけられている。
このような機械式駐車装置における入庫処理は、例えば、図9〜図14に示した入庫処理の手順において、奥側乗降領域20aに関する安全確認及びセンサの有効化が省略された手順となるため、ここでの詳細な説明は省略する。
このように、本実施形態に係る機械式駐車装置によれば、操作部22c,22dと、センサ25g〜25lが対応付けられ、操作部22c,22dに対して第1操作を行うことによってセンサ25を有効化でき、操作部22c,22dに対して第2操作又は第3操作を行うことで、対応するセンサまたは全てのセンサを無効化することが可能となる。このように、利用者による操作部22への操作入力によって、乗降室20内に配置されたセンサ25の有効化及び無効化を切り替えることができ、乗降室内における監視状態にユーザの意思を反映させることが可能となる。
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムについて説明する。
上述した第2実施形態では、操作盤30と、複数の操作部22c,22dとが個別に設けられていた。本実施形態に係る機械式駐車装置は、操作盤30に操作部22c、22dの機能が設けられている。
図17は、本実施形態に係る操作盤30´の一部の領域を切り出して示した図である。図17に示すように、操作盤30´には、操作部22cが備える入力部35c、ランプ36c,38cが設けられるとともに、操作部22dが備える入力部35d、ランプ36d,38dが設けられている。なお、入力部35c,35dは図17に示すように、物理的な入力ボタンとして設けられてもよいし、タッチパネル45に表示されるような画面上のボタンであってもよい。また、上述した各実施形態では、入力部35が所定の閾値よりも長い期間押下された場合に第3操作として取り扱い、有効化されている全てのセンサ25を無効化することとしたが、これに代えて、全てのセンサ25を無効化するための入力部を追加で設けることとしてもよい。
また、複数の操作部22の機能を操作盤30´に設ける場合、一部の監視区画については目視による安全確認が難しい場合がある。例えば、図15に示すように、操作盤30から監視区画A4の安全確認を目視によって行う場合、入庫車両に視界が妨げられて安全確認が十分に行えない場合がある。このような場合、利用者は監視区画A4の安全確認が十分に行える位置に移動して、安全確認を行った後に、操作盤30の入力部35dに対して第1操作を行うこととなる。このような場合を鑑み、例えば、乗降室20内にカメラ(図示略)を設け、カメラによって取得された画像を操作盤30に設けられたタッチパネル45又は操作盤30から視認できる位置に設けられたモニタ(図示略)に表示することとしてもよい。これにより、利用者は操作盤30の位置にて、モニタを介して監視区画A4の安全確認を行うことが可能となる。また、カメラとモニタに代えて、ミラーを使用することとしてもよい。
また、機械式駐車装置の中には、出入口扉21を閉める際に、操作盤30´に設けられた安全確認ボタンや無人確認ボタンを操作し、両方のボタンが操作された場合に、閉扉を許可するような運用を行っているものがある。
このような機械式駐車装置においては、無人確認ボタンに入力部35cの機能を持たせ、安全確認ボタンに入力部35dの機能を持たせることとしてもよい。すなわち、無人確認ボタンが既に押下されている状態(第1操作済み状態)において、無人確認ボタンが再度押下された場合には、予め対応付けられている一部のセンサ25又は全てのセンサ25を無効化するような構成としてもよい。
また、安全確認ボタンについても同様に、安全確認ボタンが既に押下されている状態において、安全確認ボタンが再度押下された場合には、予め対応付けられている一部のセンサ25又は全てのセンサ25を無効化するような構成としてもよい。また、この場合には、無効確認ボタンの押下状態も解除されることとなる。
このような構成とすることにより、新たな操作部22を設けることなく、既存の物理的構成においてソフトウェア的な処理を変更するのみで対応することが可能となる。
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムについて説明する。
上述した第1実施形態では、乗降領域が奥側乗降領域20aと前側乗降領域20bとに区分けされた縦列式となっている場合について説明したが、本実施形態では、乗降領域が、入庫乗降領域70aと出庫乗降領域70bとに分けられたバース式となっている場合について説明する。以下、本実施形態に係る機械式駐車装置60について、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
図18は、本第4実施形態に係る機械式駐車装置60の外観図である。本実施形態における機械式駐車装置60は、バース式であり、例えば地上に設けた乗入階から車両を入出庫させる。図18に示すように、乗入階には、乗降室70(乗降領域)が設けられており、乗降室70は、入庫乗降領域70a(入庫バース)と出庫乗降領域70b(出庫バース)とに分けられている。
車両を入庫させる場合、入庫のために入庫乗降領域70aに駐車された車両は、横送りコンベア61a〜61dによって入庫リフト62へ移される。そして入庫リフト62によって車両が格納庫66まで搬送(降下)され、横送りコンベア61c〜61fによって入庫リフト62から走行台車63へ車両が移動される。そして、入庫車両を載置した走行台車63は台車走行路64を走行して所定の格納棚67まで移動する。その後、横送りコンベア61e〜61hによって、走行台車63上の入庫車両が所定の格納棚67へ格納される。
また、車両を出庫させる場合、出庫車両は、横送りコンベア61e〜61hによって格納棚67から走行台車63へ移され、また、横送りコンベア61e、61f、61i、61jによって走行台車63から出庫リフト65に移される。そして、出庫車両は、出庫リフト65によって出庫乗降領域70bまで搬送(上昇)され、横送りコンベア61i〜61lによって出庫乗降領域70bに移される。なお、図18のバース式の機械式駐車装置60の構成は一例であり乗降室70(入庫乗降領域70a及び出庫乗降領域70b)を備える構成であれば適宜変更可能である。
図19は、本実施形態における乗降室70(入庫乗降領域70a及び出庫乗降領域70b)の概略構成を示す図である。入庫乗降領域70aには、監視区画B1,B2が設定されている。監視区画B1は、矢印W2の方向で侵入し入庫乗降領域70aに駐車した車両の後方領域を監視する区画であり、監視区画B2は、駐車した車両の右方領域、左方領域、前方領域を監視する区画である。
また、出庫乗降領域70bには、監視区画B3,B4が設定されている。監視区画B3は、出庫乗降領域70bで駐車した車両(矢印W3の方向へ出庫)の前方領域を監視する区画であり、監視区画B4は、該車両の右方領域、左方領域、後方領域を監視する区画である。
入庫乗降領域70aには、複数のセンサ75として、車両後側センサ75a、車両前側センサ75b、入庫バース人感センサ75cが設けられている。入庫乗降領域70aにおいて、車両後側センサ75aは、車両の後方領域を監視し、監視区画B1に対応して設けられる。また、車両前側センサ75bは、車両の前方領域を監視し、監視区画B2に対応して設けられる。入庫バース人感センサ75cは、車両の右方領域、左方領域を監視し、監視区画B2に対応して設けられる。
また、出庫乗降領域70bには、複数のセンサ80として、車両前側センサ80a、車両後側センサ80b、出庫バース人感センサ80cが設けられている。出庫乗降領域70bにおいて、車両前側センサ80aは、車両の前方領域を監視し、監視区画B3に対応して設けられる。また、車両後側センサ80bは、車両の後方領域を監視し、監視区画B4に対応して設けられる。出庫バース人感センサ80cは、車両がある場合には車両の右方領域、左方領域を監視(出庫準備でバースに車両が無い場合には、バースの中央部の左右領域を監視)し、監視区画B4に対応して設けられる。
なお、図19におけるセンサ75,80の配置及び数は一例であり、この例に限定されない。また、監視区画の設定についても一例であり、この例に限定されない。
また、乗降室70には、図19に示すように、操作部76(76a〜76d)が配置されている。操作部76a,76bは、センサ75(75a〜75c)に対応付けられている。具体的には、操作部76aは、監視区画B1における物体の有無を人が視認可能な位置に配置されており、車両後側センサ75aと対応付けられている。また、操作部76bは、監視区画B2における物体の有無を人が視認可能な位置に配置されており、車両前側センサ75b及び入庫バース人感センサ75cと対応付けられている。
また、操作部76c,76dは、センサ80(80a〜80c)に対応付けられている。具体的には、操作部76cは、監視区画B3における物体の有無を人が視認可能な位置に配置されており、車両前側センサ80aと対応付けられている。また、操作部76dは、監視区画B4における物体の有無を人が視認可能な位置に配置されており、車両後側センサ80b及び出庫バース人感センサ80cと対応付けられている。
操作部76(76a〜76d)の構成は、第1実施形態で述べた通りであり、また、操作部76a(76a〜76d)に対して第1操作、第2操作、第3操作が行われることにより、センサ75、80の有効化、無効化が切り替え可能とされている点も第1実施形態と同様である。
また、乗降室70外には、入庫乗降領域70a及び出庫乗降領域70bにそれぞれ対応する操作盤77が設置されている。
上述した構成を備える機械式駐車装置60は、制御装置82によって制御される。制御装置82のハードウェア構成は、第1実施形態で説明した通りである。図20は、制御装置82が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。図20に示すように、機械式駐車装置60の入出庫を制御する入出庫制御部83、安全確認に係る制御及びセンサによる監視制御を行う監視制御部84等を備えている。また、制御装置82は、上述した第1実施形態と同様に、ユーザ認証部等を備えているがここでの説明は省略する。
〔入庫処理〕
以下、本実施形態に係る制御装置82による入庫処理について図21〜図22を参照して説明する。なお、本実施形態の入庫処理では、上述した第1実施形態と同様にユーザ認証処理等についても行われるが、ここでは、ユーザ認証処理等については省略し、車両が入庫乗降領域70aに載置された後における処理について主に説明する。また、以下の説明において、操作部76a、76bの構成は、図4に示した構成とし、本実施形態においても、入力部35、ランプ36,38を引用する。また、操作部76aにおける入力部35を入力部35a、ランプ36をランプ36aとし、操作部76bについても同様とする。
まず、車両が入庫乗降領域70aに載置されると、出入口から最も遠い位置に設けられた監視区画B1に対応する操作部76aのランプ36aを点滅させ、利用者に対して監視区画A1の安全確認を促す(SB1)。
続いて、監視区画B1の安全確認が利用者によって行われることにより、操作部76aの入力部35aが押下されたか否かを判定する(SB2)。すなわち、操作部76aに対して第1操作が行われたか否かを判定する。
そして、入力部35aが押下されると(SB2:YES)、操作部76aのランプ36aを点灯させるとともに、操作部76aに対応するセンサ75を有効化する。これにより、車両後側センサ75aが有効化される。更に制御装置82は、操作部76bのランプ36bを点滅させることにより、利用者に対して監視区画B2の安全確認を促す(SB3)。また、制御装置82は、操作部76aのセンサ75を有効化させたことにより、操作部76aのランプ38aを点灯させる。
続いて、制御装置82は、センサ75によって物体が検知されたか否かを判定する(SB4)。この結果、物体が検知された場合には(SB4:YES)、全てのセンサ75、すなわち、この場合には、車両後側センサ75aを無効化し(SB5)、ステップSB1に戻る。また、制御装置82は、全てのランプ38を消灯させる。
一方、センサ75によって物体が検知されていない場合(SB4:NO)には、制御装置82は、操作部76aの入力部35aが押下されたか否かを判定する(SB6)。すなわち、制御装置82は、入力部35aに対して第2操作又は第3操作が行われたか否かを判定する。この結果、操作部76aの入力部35aが押下された場合には(SB6:YES)、全てのセンサ75、すなわち、この場合には、車両後側センサ75aを無効化するとともに全てのランプ36を消灯させ(SB5)、ステップSB1に戻る。また、制御装置40は、センサ75の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、入力部35aが押下されていない場合には(SB6:NO)、操作部76bの入力部35bが押下されたか否かを判定する(SB7)。すなわち、監視区画B2の安全確認が利用者によって行われることにより、操作部76bに対して第1操作が行われたか否かを判定する。この結果、入力部35bが押下されていない場合には(SB7:NO)、ステップSB4に戻る。一方、入力部35bが押下されている場合には(SB7:YES)、操作部76bのランプ36bを点灯させるとともに、操作部76bに対応するセンサ75を有効化する(SB8)。これにより、車両前側センサ75b、入庫バース人感センサ75cが有効化される。また、制御装置82は、操作部76bのランプ38bを点灯させる。
続いて、制御装置82は、センサ75によって物体が検知されたか否かを判定する(SB9)。この結果、物体が検知された場合には(SB9:YES)、有効化されている全てのセンサ75を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯し(SB5)、ステップSB1に戻る。また、制御装置82は、全てのセンサ75が無効化されることに伴い、全てのランプ38を消灯する。
一方、センサ75によって物体が検知されていない場合(SB9:NO)には、操作部76bの入力部35bが押下されたか否かを判定する(図22のSB10)。すなわち、操作部76bに対して第2操作又は第3操作が行われたか否かを判定する。この結果、操作部76bの入力部35bが押下された場合には(図22のSB10:YES)、押下時間が閾値以下であるか否かを判定する(SB11)。この結果、押下時間が閾値を超えている場合、すなわち、操作部76bに対して第3操作が行われた場合には(SB11:NO)、有効化されている全てのセンサ75を無効化するとともに、点灯している全てのランプ36を消灯して(図21のSB5)、ステップSB1に戻る。また、この場合、制御装置82は、センサ75の無効化に伴い、全てのランプ38を消灯させる。
一方、ステップSB11において、押下時間が閾値未満である場合には(SB11:YES)、制御装置82は、操作部76bに対して第2操作が行われたと判定し、操作部76bに対応するセンサ75を無効化するとともに、ランプ36bを点滅させ(SB12)、図21のステップSB4に戻る。これにより、操作部76bに対応付けられている車両前側センサ75b、入庫バース人感センサ75cが無効化される。また、センサ75の無効化に伴い、制御装置82は、操作部76bのランプ38bを消灯させる。
一方、ステップSB10において、入力部35bが押下されていない場合には(SB10:NO)、制御装置82は、乗降室内の全てのセンサ75が有効化されたと判定し、入庫乗降領域70aの操作盤77のタッチパネル(図示略)に最終無人確認ボタン(図示略)を表示させる(SB13)。利用者又は管理人によって、最終無人確認ボタンが押下されると(SB14:YES)、制御装置40は、機械式駐車装置60における動作を開始させる起動処理を行う(SB15)。これにより、入庫車両が搬送機によって入庫乗降領域70aから入庫リフト62へ搬送される。
なお、車両を出庫させる場合についても、図21及び図22に示すフローと同様の手順に従って出庫処理が行われる。すなわち、車両を出庫させる場合には、車両が出庫乗降領域70bから出庫された後(搬送機が稼働する前)に開始され、監視区画B3から監視区画B4の順に安全確認を行うように、安全確認処理等が実行される。また、出庫乗降領域70bへ車両を一旦移動させたが、何らかの要因によって出庫を行わずにそのまま再入庫をするような場合にも、図21及び図22に示すフローに従い、車両を出庫乗降領域70bから再入庫させる処理を行うこととしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムによれば、利用者の操作入力によって、乗降室70内に配置されたセンサ75,80の有効化及び無効化を切り替えることが可能となる。これにより、乗降室70内における監視状態にユーザの意思を反映させることが可能となる。
〔第5実施形態〕
次に、本開示の第5実施形態に係る機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムについて説明する。
上述した第2実施形態では、1つの乗降室20のみを備える単列式の機械式駐車装置について説明したが、本実施形態に係る機械式駐車装置90は、図23に示すように、複数の単位乗降領域100a〜100cが横列方向に配列された乗降領域100を備える単列式の昇降横行式機械式駐車装置とする。機械式駐車装置90において、乗降領域100は、例えば柵等で囲われており、車両が進入する側の面には図示しないゲート扉(開閉手段)が設けられている。
図24は、本実施形態における乗降領域100の概略構成である。本実施形態において、機械式駐車装置90には、車両はバックで入庫し、前進出庫するが、この態様に限定されない。図24では、一例として、乗降領域100が8つの単位乗降領域100a〜100hを備える場合を例示している。乗降領域100には、単位列における車両の進入方向に対して奥側に位置する監視区画C1(奥方監視区画)と、車両の進入方向に対して手前側に位置する監視区画C2(前方監視区画)とが設定されている。監視区画C1は、乗降領域100へ駐車した車両の後方領域を監視する区画であり、監視区画C2は、駐車した車両の前方領域を監視する区画である。昇降横行式(単列)では、単位乗降領域100a〜100hが横列方向に単列配置されているため、監視区画は、各単位乗降領域100a〜100hにまたがって設定される。すなわち、監視区画C1は、単位配列された各単位乗降領域100a〜100hの奥側領域を監視する区画であり、監視区画C2は、単位配列された各単位乗降領域100a〜100hの前側領域を監視する区画である。なお、監視区画として、駐車した車両の左右方向の領域を監視する区画を設けることとしてもよい。また、監視区画は、各単位乗降領域にまたがって設定される場合に限られず、任意に設定可能である。
そして、乗降領域100には、車両後側センサ103、車両前側センサ104及び区画センサ105a〜105iが設けられている。乗降領域100において、車両後側センサ103は、車両の後方領域を監視し、監視区画C1に対応して設けられる。また、車両前側センサ104は、車両の前方領域を監視し、区画センサ105a〜105iは単位乗降領域の左右の領域をそれぞれ監視し、監視区画C2に対応して設けられる。
また、乗降領域100には、複数の操作部110a,110bが配置されている。操作部110aは、乗降領域100の内部であって、監視区画C1における物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている。操作部110aは、監視区画C1に対応した車両後側センサ103に対応付けられている。なお、本実施形態では、操作部110aは、2つの単位乗降領域に対して1つ設けている。
操作部110bは、監視区画C2における物体の有無を人が視認可能な位置に配置されている。操作部110bは、監視区画C2に対応した車両前側センサ104及び区画センサ105a〜105iに対応付けられている。なお、本実施形態では、操作部110bは、2つの単位乗降領域に対して1つ設けている。
本実施形態において、操作部110aは乗降領域100内に設けられ、操作部110bは乗降領域100外に設けられているが、これらの配置については限定されない。例えば、操作部110a,110bはともに乗降領域100内に設けられていてもよいし、乗降領域外に設けられていてもよい。操作部110aが乗降領域100外に設けられる場合には、操作部110bと操作部110aとが横行方向において交互になるように配置されてもよい。
なお、監視区画と、センサと、安全確認ボタンとは互いに関連付けられているため、設定された監視区画の位置及び数に応じて、センサ及び安全確認ボタンの配置位置及び数は適宜変更される。また、乗降領域100には、操作盤106が設けられている。
操作部110a、110bの構成及び機能は、第1実施形態において説明した操作部22と同様であり、操作部110a、110bに対して第1操作が行われることにより、対応するセンサが有効化され、第2操作が行われることにより、対応するセンサが無効化され、第3操作が行われることにより、有効化されている全てのセンサが無効化される。
そして、上述した第1実施形態において説明した入庫処理において、監視区画A1,A2に関する手順を除いた入庫処理が行われることにより、本実施形態に係る機械式駐車装置においても、センサの有効化及び無効化に利用者の意思を反映させることが可能となる。
また、本実施形態では、単列式の昇降横行式の機械式駐車装置90を例示したが、更に、図25に示すように、機械式駐車装置90の単位列に係る乗降領域100が、縦列方向に複数配置された縦列式の昇降横行式機械式駐車装置としてもよい。この場合には、第1実施形態と上記第5実施形態に係る機械式駐車装置の監視制御方法を組み合わせればよい。
また、例えば、本開示に係る機械式駐車装置については、上述した各実施形態に係る機械式駐車装置の構成に限定されず、垂直循環方式、多層階循環方式、水平循環方式、エレベータ方式、エレベータ・スライド方式、平面往復方式、二・多段昇降方式(ピット式)、昇降横行式(ピット式)等さまざまな方式の機械式駐車装置とすることが可能である。
以上、本開示について各実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した各種フローも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
以上説明した各実施形態に記載の機械式駐車装置及びその監視制御方法並びに監視制御プログラムは例えば以下のように把握される。なお、以下の括弧に付される符号は、本開示の理解を助けるための一例としての参照符号であり、各構成要素はこの符号に係る構成に限定されない。
本開示に係る機械式駐車装置(10)は、車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域を有する機械式駐車装置であって、前記乗降領域(乗降室20)に予め設定された複数の監視区画(A:A1〜A4)のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサ(25:25a〜25l)と、人により操作される操作部(22:22a〜22d)と、前記操作部において所定の第1操作が行われた場合に、前記センサを有効化し、前記操作部において所定の第2操作が行われた場合に、前記センサを無効化する制御装置(40)と、を備える。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、利用者の操作入力によって、乗降領域内に配置されたセンサの有効化及び無効化を切り替えることが可能となる。これにより、乗降領域内における監視状態にユーザの意思を反映させることが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)は、複数の前記操作部を備え、各前記操作部は前記センサと対応付けられており、前記制御装置は、前記操作部に対して前記第1操作が行われる度に、前記第1操作が行われた前記操作部に対応する前記センサを有効化することとしてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、操作部に対して順番に第1操作を行っていくことで、段階的にセンサを有効化することが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記制御装置は、前記操作部に対して前記第2操作が行われた場合に、前記第2操作が行われた前記操作部に対応する前記センサを無効化することとしてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、無効化したいセンサに対応する操作部に対して第2操作を行うことにより、一部のセンサを無効化することが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記制御装置は、前記操作部に対して所定の第3操作が行われた場合に、有効化されている全ての前記センサを無効化することとしてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、有効化されている全てのセンサを無効化したい場合には、いずれかの操作部に対して第3操作を行うことにより、一括して全てのセンサを無効化することが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記操作部は、入力ボタンを有し、前記第1操作及び前記第2操作は、前記入力ボタンを押下する操作であり、前記操作部に対応する前記センサが無効化されているときに前記入力ボタンを押下する操作が前記第1操作であり、前記操作部に対応する前記センサが有効化されているときに前記入力ボタンを押下する操作が前記第2操作としてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、操作部に対する第1操作と第2操作とを共通の入力部に対して行うことが可能となる。これにより、構成を簡素化できる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記第3操作は、有効化されている前記センサが存在する場合に、前記入力ボタンを所定の閾値よりも長い期間押下する操作としてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、操作部に対する第3操作を第1操作、第2操作と共通の入力部に対して行うことが可能となる。これにより、更に構成を簡素化することができる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記操作部は、ユーザ認証情報を入力するための認証情報入力部を備え、前記第1操作及び前記第2操作の少なくともいずれか一方は、前記認証情報入力部にユーザ認証情報を入力する操作を含んでいてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、センサを有効化及び無効化の少なくともいずれか一方に対してユーザ認証を必要とするので、第三者によるセンサの有効化や無効化を回避することができる。これにより、安全性を高めることが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記操作部は、前記乗降領域内に設けられていてもよいし、複数の前記操作部を備えている場合には、少なくとも一つの前記操作部が前記乗降領域外に設けられていてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)は、前記乗降領域の出入口に設けられた開閉手段を備え、前記制御装置は、全ての前記センサが有効化されている状態において、前記開閉手段の起動を許可することとしてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、全てのセンサが有効化された状態でなければ開閉手段を起動させることができないので、安全性を高めることが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)は、利用者によって操作されるとともに、乗降室外に設けられた操作盤を有し、全てのまたは一部の前記操作部が前記操作盤に設けられていてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、乗降室外に設けられた操作盤に全てまたは一部の操作部が設けられていることにより、操作部の設置数を低減することができ、コスト低減及びシステム構成の簡素化を図ることが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)において、前記操作部は、前記センサの有効化状態及び無効化状態を通知する通知部を備えていてもよい。
本開示に係る機械式駐車装置(10)によれば、利用者はセンサの作動状態を容易に確認することが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)の監視制御方法は、車両の入庫及び出庫の少なくとも一方が行われる乗降領域と、前記乗降領域に予め設定された複数の監視区画のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記監視区画における物体の有無を検知するセンサと、人により操作される操作部とを備える機械式駐車装置の監視制御方法であって、前記操作部において所定の第1操作が行われた場合に、前記センサを有効化し、前記操作部において所定の第2操作が行われた場合に、前記センサを無効化する。
本開示に係る機械式駐車装置(10)の監視制御方法によれば、利用者の操作入力によって、乗降領域内に配置されたセンサの有効化及び無効化を切り替えることが可能となる。これにより、乗降領域内における監視状態にユーザの意思を反映させることが可能となる。
本開示に係る機械式駐車装置(10)の監視制御プログラムは、コンピュータを上記記載の制御装置として機能させるための監視制御プログラムである。