[実施形態の概要]
第1実施形態乃至第4実施形態に係る通信制御方法は、移動通信システムにおいて、複数のユーザ端末からなる端末グループ内で行われる直接的な端末間通信であるD2D通信を制御するための方法である。前記通信制御方法は、高速移動状態にある前記端末グループが検知された場合に、ネットワークが、前記端末グループが在圏するサービングセル及び前記サービングセルに隣接する隣接セルにおいて、前記端末グループが前記D2D通信に使用する予定の無線リソースである対象無線リソースを予約するステップと、前記端末グループに含まれる第1のユーザ端末が、前記予約された対象無線リソースの中から、前記D2D通信に使用する無線リソースである割当無線リソースを決定する端末主導スケジューリングを行うステップと、を有する。
第1実施形態に係る通信制御方法は、前記高速移動状態にない前記端末グループに対して無線リソースを割り当てる場合に、前記ネットワークにおいて前記サービングセルを管理する第1の基地局が前記割当無線リソースを決定する基地局主導スケジューリングを行うステップをさらに有する。
第1実施形態の変更例1に係る通信制御方法は、前記高速移動状態にない前記端末グループに対して無線リソースを割り当てる場合に、前記ネットワークが、前記隣接セルにおいて前記対象無線リソースを予約せずに、前記サービングセルにおいて前記対象無線リソースを予約するステップをさらに有する。
第1実施形態では、前記対象無線リソースは、前記端末グループに含まれない第2のユーザ端末に対する割り当てが禁止される。
第1実施形態の変更例2では、前記対象無線リソースは、前記端末グループに含まれない第2のユーザ端末に対する割り当てが許容されている。前記通信制御方法は、前記対象無線リソースを前記第2のユーザ端末に割り当てる場合に、前記ネットワークが、前記端末グループの移動速度に基づいて、前記第2のユーザ端末に対して適用する変調・符号化方式を補正するステップをさらに有する。
第1実施形態の変更例3では、前記対象無線リソースは、前記端末グループに含まれない第2のユーザ端末に対する割り当てが許容されている。前記通信制御方法は、前記ネットワークが、送信電力レベルが低く設定されている前記第2のユーザ端末に対して前記対象無線リソースを優先的に割り当てるステップをさらに有する。
第1実施形態に係る通信制御方法は、前記第1のユーザ端末が前記高速移動状態を検知したことに応じて、前記第1のユーザ端末から前記サービングセルに対して第1の高速移動通知を送信するステップをさらに有する。
第1実施形態では、前記第1の高速移動通知は、前記端末グループにおいて前記D2D通信に使用されている無線リソースを示す使用リソース情報を含む。
第1実施形態の変更例4に係る通信制御方法は、前記第1の高速移動通知を受信した前記ネットワークが、前記対象無線リソースを示す予約リソース情報を前記第1のユーザ端末に対して送信するステップをさらに有する。
第1実施形態に係る通信制御方法は、前記サービングセルを管理する第1の基地局が、前記第1の高速移動通知の受信に応じて、前記隣接セルを管理する第2の基地局に対して第2の高速移動通知を送信するステップをさらに有する。前記第2の高速移動通知は、前記対象無線リソースを示す予約リソース情報を含む。
第1実施形態の変更例5に係る通信制御方法は、移動可能な中継局が前記サービングセルを管理しており、かつ前記端末グループと共に前記中継局が移動する場合に、前記中継局が、前記第1のユーザ端末から受信した前記第1の高速移動通知を破棄するステップをさらに有する。
第1実施形態の変更例5に係る通信制御方法は、移動可能な中継局が前記サービングセルを管理しており、かつ前記端末グループと共に前記中継局が移動する場合に、前記第1のユーザ端末が、前記サービングセルが変更された際に、変更後のサービングセルに対して前記第1の高速移動通知を送信するステップをさらに有する。
第1実施形態及び第2実施形態に係る通信制御方法は、前記ネットワークが、前記第1の高速移動通知の受信に応じて、前記高速移動状態にある前記端末グループに対して、前記サービングセル及び前記隣接セルを含むエリアにおいて共通に使用されるD2D無線ネットワーク一時識別子(D2D−RNTI)を割り当てるステップをさらに有する。
第2実施形態の変更例では、前記D2D−RNTIは、前記所定エリア内で1つ割り当てられる本体部分と、前記端末グループに含まれるユーザ端末ごとに異なる拡張部分と、を含む。
第1実施形態及び第2実施形態に係る通信制御方法は、前記ネットワークにおいて複数の基地局を収容するコアネットワークが、前記D2D−RNTIの割り当てを管理するステップをさらに有する。
第1実施形態及び第2実施形態に係る通信制御方法は、前記コアネットワークが、未割り当てのD2D−RNTIの中から前記端末グループに対して割り当てる前記D2D−RNTIを決定するステップと、前記決定したD2D−RNTIを、前記コアネットワークから前記端末グループに対して通知するステップと、をさらに有する。
第2実施形態に係る通信制御方法は、前記D2D−RNTIが割り当てられた前記端末グループが移動に伴って前記サービングセルを変更する場合に、ハンドオーバ手続を省略するステップをさらに有する。
第2実施形態に係る通信制御方法は、前記D2D−RNTIが割り当てられた前記端末グループが前記移動通信システムのサービスエリア外に移動した場合に、前記D2D通信を終了するステップをさらに有する。
第2実施形態に係る通信制御方法は、前記D2D−RNTIが割り当てられた前記端末グループが前記D2D通信を終了した場合に、前記D2D通信の終了から一定時間の経過後に前記D2D−RNTIを解放するステップをさらに有する。
第2実施形態に係る通信制御方法は、前記D2D−RNTIが割り当てられた前記端末グループが、移動に伴って、在圏するトラッキングエリアを変更する場合に、前記第1のユーザ端末から前記ネットワークに対してトラッキングエリア更新メッセージを送信するステップと、前記トラッキングエリア更新メッセージを受信した前記ネットワークが、新たなD2D−RNTIを前記端末グループに割り当てるステップと、をさらに有する。
第3実施形態に係る通信制御方法は、前記端末グループが前記高速移動状態から非高速移動状態に遷移した場合に、前記ネットワークにおいて前記サービングセルを管理する第1の基地局が、前記第1のユーザ端末に対して、前記サービングセルにおいて使用されるセル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)を割り当てるステップと、前記端末グループが前記高速移動状態から前記非高速移動状態に遷移した場合に、前記D2D−RNTIを解放するステップと、をさらに有する。
第3実施形態の変更例に係る通信制御方法は、前記端末グループが前記高速移動状態から前記非高速移動状態に遷移した場合であっても、前記端末グループが再び前記高速移動状態に遷移する可能性が高いと判断される場合には、前記C−RNTIを割り当てることなく前記D2D−RNTIを維持するステップをさらに有する。
第4実施形態に係る通信制御方法は、前記ネットワークが、前記第1の高速移動通知の受信に応じて、前記サービングセル及び前記隣接セルにおいて、前記端末グループから前記ネットワークへの状態通知に使用される上りリンク無線リソースである状態通知リソースを予約するステップと、前記予約した状態通知リソースを示す状態通知リソース情報を前記ネットワークから前記端末グループに対して送信するステップと、前記第1のユーザ端末が、前記状態通知リソース情報により示される前記状態通知リソースを使用して、前記D2D−RNTIと共に状態通知情報を前記ネットワークに送信するステップと、をさらに有する。
第1実施形態乃至第4実施形態に係るユーザ端末は、複数のユーザ端末からなる端末グループ内で行われる直接的な端末間通信であるD2D通信をサポートする移動通信システムにおいて、前記端末グループに含まれるユーザ端末である。前記ユーザ端末は、前記端末グループが高速移動状態にあることが検知された場合に、前記端末グループが在圏するサービングセル及び前記サービングセルに隣接する隣接セルにおいて予約された対象無線リソースの中から、前記D2D通信に使用する無線リソースである割当無線リソースを決定する端末主導スケジューリングを行う制御部を備える。
[第1実施形態]
以下において、本発明をLTEシステムに適用する場合の実施形態を説明する。
(システム構成)
図1は、第1実施形態に係るLTEシステムの構成図である。図1に示すように、第1実施形態に係るLTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
UE100は、ユーザ端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、接続先のセル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100の構成については後述する。
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータのルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能などを有する。
「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。複数のセルにより、1つのトラッキングエリアが構成される。トラッキングエリアは、アイドル状態にあるUE100の位置をネットワークが把握するためのエリア単位である。
EPC20は、コアネットワークに相当する。E−UTRAN10及びEPC20によりLTEシステムのネットワークが構成される。EPC20は、複数のeNB200を収容する。
EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御などを行う。また、MMEは、UE100が在圏するセル又はトラッキングエリアの情報を管理する。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
図2は、UE100のブロック図である。図2に示すように、UE100は、アンテナ101、無線送受信機110、ユーザインターフェイス120、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130、バッテリ140、メモリ150、及びプロセッサ160を備える。メモリ150及びプロセッサ160は、制御部を構成する。UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ160’としてもよい。
アンテナ101及び無線送受信機110は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機110は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナ101から送信する。また、無線送受信機110は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してプロセッサ160に出力する。
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの操作を受け付けて、該操作の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
メモリ150は、プロセッサ160により実行されるプログラム、及びプロセッサ160による処理に使用される情報を記憶する。プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
図3は、eNB200のブロック図である。図3に示すように、eNB200は、アンテナ201、無線送受信機210、ネットワークインターフェイス220、メモリ230、及びプロセッサ240を備える。メモリ230及びプロセッサ240は、制御部を構成する。
アンテナ201及び無線送受信機210は、無線信号の送受信に用いられる。無線送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナ201から送信する。また、無線送受信機210は、アンテナ201が受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してプロセッサ240に出力する。
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に用いられる。
メモリ230は、プロセッサ240により実行されるプログラム、及びプロセッサ240による処理に使用される情報を記憶する。プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。
MAC層は、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式)、UE100への割当リソースブロック、及び送信電力を決定(スケジューリング)するスケジューラを含む。
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してユーザデータ及び制御信号が伝送される。
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のための制御信号(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100は接続状態(RRC接続状態)であり、そうでない場合、UE100はアイドル状態(RRCアイドル状態)である。
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
図5は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンク(DL)にはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンク(UL)にはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのサブキャリア及び1つのシンボルによりリソースエレメントが構成される。
UE100に割り当てられる無線リソースのうち、周波数リソースはリソースブロックにより構成され、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により構成される。
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される領域である。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクユーザデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクユーザデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。
(D2D通信)
第1実施形態に係るLTEシステムは、直接的な端末間通信(UE間通信)であるD2D通信をサポートする。図6は、第1実施形態に係るD2D通信を説明するための図である。
ここでは、D2D通信を、LTEシステムの通常の通信であるセルラ通信と比較して説明する。セルラ通信は、データパスがネットワーク(E−UTRAN10、EPC20)を経由する通信モードである。データパスとは、ユーザデータの通信経路である。
これに対し、図6に示すように、D2D通信は、UE間に設定されるデータパスがネットワークを経由しない通信モードである。相互に近接する複数のUE100(UE100−1及びUE100−2)は、eNB200のセルにおいて、低送信電力で直接的に無線通信を行う。
このように、近接する複数のUE100が低送信電力で直接的に無線通信を行うことにより、セルラ通信と比べて、UE100の消費電力を削減し、かつ、隣接セルへの干渉を低減できる。
D2D通信に使用する無線リソースの割り当て(D2Dスケジューリング)については、ネットワーク主導で行われることが想定されている。具体的には、相互に近接する複数のUE100からなるD2Dグループ(端末グループ)が在圏するサービングセルを管理するeNB200が、D2D通信に使用する割当無線リソースを決定し、決定した割当無線リソースをD2Dグループに通知する。
しかしながら、このようなD2Dスケジューリングの手法では、D2Dグループが高速移動状態にある場合(例えば、電車又はバス内でD2D通信を行う場合)に、D2Dグループの移動に伴って、D2Dスケジューリングを行うeNB200を次々と切り替えていく必要がある。従って、D2D通信を可能とするために煩雑な通信制御が必要になる。
(第1実施形態に係る通信制御方法)
次に、第1実施形態に係る通信制御方法について説明する。具体的には、D2Dグループが高速移動する場合であっても煩雑な通信制御を必要とせずにD2D通信を可能とするための動作を説明する。
(1)概略動作
図7は、第1実施形態に係る概略動作を示すフロー図である。
図7に示すように、ステップS1において、D2Dグループの移動速度(V)が計測される。第1実施形態では、D2Dグループに含まれるUE100が移動速度(V)を計測する。
ステップS2において、D2Dグループの移動速度(V)が閾値(Vth)と比較される。第1実施形態では、D2Dグループに含まれるUE100が、移動速度(V)を閾値(Vth)と比較することにより、高速移動状態を検知する。
D2Dグループの移動速度(V)が閾値(Vth)未満である場合(ステップS2:No)、D2Dグループは高速移動状態ではない(非高速移動状態)。この場合、ステップS3において、D2Dグループのサービングセルを管理するeNB200が、D2Dスケジューリング(eNB主導スケジューリング)を行う。
これに対し、D2Dグループの移動速度(V)が閾値(Vth)以上である場合(ステップS2:Yes)、D2Dグループは高速移動状態である。この場合、ステップS4において、D2Dグループに含まれるUE100が、D2Dスケジューリング(UE主導スケジューリング)を行う。
(2)UE100の動作
図8は、第1実施形態に係るUE100の動作を示すフロー図である。
図8に示すように、ステップS11において、D2Dグループに含まれるUE100は、自身の移動速度(V)、すなわちD2Dグループの移動速度(V)を計測する。例えば、UE100は、GNSS受信機130を用いて周期的に得られる位置情報に基づいて移動速度(V)を計測する。或いは、UE100は、単位時間当たりのハンドオーバ回数、単位時間当たりのセル再選択回数、又は受信信号のフェージング速度などから移動速度(V)を推定してもよい。
ステップS12において、D2Dグループに含まれるUE100は、D2Dグループの移動速度(V)を閾値(Vth)と比較する。閾値(Vth)は、UE100が予め記憶していてもよく、ネットワークからUE100に設定してもよい。閾値(Vth)は、例えば50〜60km/h程度の値とすることができる。
D2Dグループの移動速度(V)が閾値(Vth)以上である場合(ステップS12:Yes)、D2Dグループは高速移動状態である。この場合、ステップS13において、高速移動状態を検知したUE100は、高速移動通知(第1の高速移動通知)をサービングセルに送信する。高速移動通知は、D2DグループにおいてD2D通信に使用されている無線リソースを示す使用リソース情報を含む。
(3)eNB200の動作
図9は、第1実施形態に係るeNB200の高速移動通知受信時における動作を示すフロー図である。
図9に示すように、ステップS21において、D2Dグループ(i)に含まれるUE100のサービングセルを管理するeNB200は、当該UE100から高速移動通知を受信する。
高速移動通知を受信した場合(ステップS21:Yes)、ステップS22において、eNB200は、当該高速移動通知に含まれる使用リソース情報を取得する。
ステップS23において、eNB200は、使用リソース情報が示す無線リソースを、D2Dグループ(i)がD2D通信に使用する予定の無線リソースである対象無線リソースとして予約する。以下において、予約される対象無線リソースを「予約リソース」という。eNB200は、予約リソースを記憶する。
ステップS24において、eNB200は、隣接セルを管理する他のeNB200(隣接eNB200)に対して高速移動通知(第2の高速移動通知)を送信する。高速移動通知は、予約リソースを示す予約リソース情報を含む。eNB200から高速移動通知を受信した隣接eNB200は、当該高速移動通知に含まれる予約リソース情報が示す予約リソースを記憶する。
図10は、第1実施形態に係るeNB200のスケジューリング時における動作を示すフロー図である。当該動作は、UE100から高速移動通知(第1の高速移動通知)を受信したeNB200、及び当該eNB200から高速移動通知(第2の高速移動通知)を受信した隣接eNB200により実行される。
図10に示すように、ステップS31において、eNB200は、D2Dグループへの予約リソースを読み出す。
D2Dグループへの予約リソースが存在する場合(ステップS32:Yes)、ステップS33において、eNB200は、当該予約リソースの割り当てを禁止する。すなわち、eNB200は、当該D2Dグループに含まれないUE100に対して予約リソースを割り当てないようにスケジューリングを行う。
(4)動作シーケンス
図11は、第1実施形態に係る動作を示すシーケンス図である。ここでは、UE100−1及びUE100−2によりD2Dグループが構成されており、UE100−2がD2D通信に関する制御を行うUEであると仮定している。
また、eNB200−1は、当該D2Dグループのサービングセルを管理しており、eNB200−2及びeNB200−3は当該サービングセルに隣接する隣接セルを管理する。本シーケンスの初期状態において、UE100−1及びUE100−2のそれぞれはRRC接続状態であり、UE100−1及びUE100−2のそれぞれにはeNB200−1からセル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)が割り当てられている。
図11に示すように、ステップS101において、eNB200−1は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に対する割当無線リソースを決定し、割当無線リソースをUE100−2に通知する。UE100−2は、eNB200−1から通知された割当無線リソースをUE100−1に通知し、当該割当無線リソースを使用してUE100−1及びUE100−2によりD2D通信を行う(ステップS102)。或いは、eNB200−1は、割当無線リソースをUE100−1及びUE100−2に通知し、当該割当無線リソースを使用してUE100−1及びUE100−2によりD2D通信を行なってもよい。
ステップS103において、UE100−2は、自身の移動速度(V)、すなわちD2Dグループの移動速度(V)を計測し、計測した移動速度(V)を閾値(Vth)と比較する。ここでは、移動速度(V)が閾値(Vth)以上であると仮定して、説明を進める。
ステップS104において、高速移動状態を検知したUE100は、高速移動通知(第1の高速移動通知)をeNB200−1に送信する。高速移動通知は、D2DグループにおいてD2D通信に使用されている無線リソース(RB)を示す使用リソース情報を含む。高速移動通知は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれに割り当てられているC−RNTIをさらに含む。高速移動通知は、計測された移動速度(V)を示す速度情報をさらに含んでもよい。速度情報は、例えばMCSの補正に利用される。MCSの補正については、第1実施形態の変更例2において後述する。
ステップS105において、高速移動通知を受信したeNB200−1は、当該高速移動通知に含まれる使用リソース情報及び速度情報を取得し、取得した使用リソース情報が示す無線リソースを予約リソース(RB)として記憶する。
ステップS106において、eNB200−1は、UE100−2から受信した高速移動通知をEPC20に転送する。
ステップS107において、高速移動通知を受信したEPC20は、高速移動通知に含まれる各C−RNTIに基づいて、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に対してD2D無線ネットワーク一時識別子(D2D−RNTI)を割り当てる。D2D−RNTIは、サービングセル及び隣接セルを含む広いエリアにおいて共通に使用されるRNTIである。例えば、D2D−RNTIは、高速移動状態にあるD2Dグループを識別するためのものであって、トラッキングエリアごとに1つ割り当てられる場合と、D2Dグループごとに1つ割り当てられる場合と、D2Dグループに含まれるUE100ごとに1つ割り当てられる場合と、がある。EPC20は、D2D−RNTIの割り当てを管理する。具体的には、EPC20は、予め用意された複数のD2D−RNTIのうち未割り当てのD2D−RNTIの中から、D2Dグループに対して割り当てるD2D−RNTIを決定する。
なお、EPC20は、D2Dグループに対してD2D−RNTIを割り当てた後、割り当てるD2D−RNTIを変更してもよい。この場合、EPC20は、eNB200を介して、変更後のD2D−RNTIを含むメッセージをD2Dグループに対して送信する。
ステップS108において、EPC20は、D2Dグループに対して割り当てたD2D−RNTIを含む高速移動通知応答をeNB200−1に送信する。高速移動通知応答は、eNB200−1からの高速移動通知に含まれていた各C−RNTIをさらに含む。
ステップS109において、高速移動通知応答を受信したeNB200−1は、高速移動通知(第2の高速移動通知)をeNB200−2及びeNB200−3に送信(報知)する。高速移動通知は、高速移動通知応答に含まれるD2D−RNTIと、当該D2DRNTIが示すD2Dグループについて記憶した予約リソース(RB)を示す予約リソース情報と、を含む。高速移動通知を受信したeNB200−2及びeNB200−3のそれぞれは、当該高速移動通知に含まれる予約リソース情報(予約リソース)を記憶する。さらに、eNB200−1は、D2Dグループに含まれるUE100とのRRC接続に関する設定情報(以下、「RRC設定情報」)を高速移動通知(第2の高速移動通知)に含めてもよい。この場合、高速移動通知を受信したeNB200−2及びeNB200−3のそれぞれは、当該高速移動通知に含まれるRRC設定情報をD2D−RNTIと対応付けて記憶する。
ステップS110において、eNB200−1は、高速移動通知応答をD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に送信する。高速移動通知応答は、当該D2Dグループに対して割り当てられたD2D−RNTIを含む。高速移動通知応答を受信したUE100−1及びUE100−2のそれぞれは、当該高速移動通知応答に含まれるD2D−RNTIを記憶する。UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、D2D−RNTIを記憶した後、RRC接続状態からRRCアイドル状態に遷移する。
ステップS111において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソース(RB)を使用してD2D通信を行う。具体的には、UE100−2は、予約リソース(RB)の中から、D2D通信に使用する無線リソースである割当無線リソースを決定するUE主導スケジューリングを行う。そして、UE100−2は、決定した割当無線リソースをUE100−1に通知し、当該割当無線リソースを使用してUE100−1及びUE100−2によりD2D通信を行う。
(第1実施形態のまとめ)
上述したように、第1実施形態に係る通信制御方法は、複数のUE100(UE100−1及びUE100−2)からなるD2Dグループ内で行われるD2D通信を制御するための方法である。高速移動状態にあるD2Dグループが検知された場合に、ネットワークは、D2Dグループが在圏するサービングセル及びサービングセルに隣接する隣接セルにおいて、D2DグループがD2D通信に使用する予定の無線リソースである対象無線リソース(予約リソース)を予約する。D2Dグループに含まれるUE100は、予約リソースの中から、D2D通信に使用する無線リソースである割当無線リソースを決定するUE主導スケジューリングを行う。
このように、第1実施形態では、高速移動状態にあるD2Dグループについて、広いエリアで予約リソースを設定し、予約リソースの範囲内でUE主導スケジューリングを行う。ここで「広いエリア」とは、少なくともサービングセル及び隣接セルを含むエリアであって、例えばトラッキングエリアである。
よって、D2Dグループが高速移動状態にある場合(例えば、電車又はバス内でD2D通信を行う場合)であっても、D2Dグループの移動に伴って、D2Dスケジューリングを行うeNB200を次々と切り替えていく必要がない。従って、煩雑な通信制御を必要とせずにD2D通信を可能とすることができる。
第1実施形態では、高速移動状態にないD2Dグループに対して無線リソースを割り当てる場合に、D2Dグループのサービングセルを管理するeNB200がD2Dスケジューリング(eNB主導スケジューリング)を行う。よって、高速移動状態にないD2Dグループについては、セルラ通信と同様にeNB200がスケジューリングを行うことにより、D2D通信に対する割当無線リソースをきめ細かに制御できる。
第1実施形態では、予約リソースは、D2Dグループに含まれないUE100に対する割り当てが禁止される。よって、D2Dグループに含まれるUE100とD2Dグループに含まれないUE100との間で干渉が生じることを防止できる。
第1実施形態では、UE100が高速移動状態を検知したことに応じて、UE100からサービングセルに対して高速移動通知(第1の高速移動通知)を送信する。よって、ネットワークは、D2Dグループが高速移動状態にあることを把握できる。
第1実施形態では、高速移動通知(第1の高速移動通知)は、D2DグループにおいてD2D通信に使用されている無線リソースを示す使用リソース情報を含む。よって、ネットワークは、D2D通信に使用されている無線リソースを予約リソースとして設定することにより、D2Dグループにおいて当該無線リソースの使用を継続可能になる。
第1実施形態では、eNB200は、高速移動通知(第1の高速移動通知)の受信に応じて、隣接eNB200に対して高速移動通知(第2の高速移動通知)を送信する。第2の高速移動通知は、予約リソースを示す予約リソース情報を含む。よって、隣接eNB200においても予約リソースを設定可能になる。
第1実施形態では、EPC20は、高速移動状態にあるD2Dグループに対して、サービングセル及び隣接セルを含むトラッキングエリアにおいて共通に使用されるD2D−RNTIを割り当てる。よって、高速移動状態にあるD2Dグループをトラッキングエリア内で識別できる。
第1実施形態では、EPC20は、未割り当てのD2D−RNTIの中からD2Dグループに対して割り当てるD2D−RNTIを決定し、決定したD2D−RNTIをD2Dグループに対して通知する。よって、高速移動状態にあるD2Dグループを一意に識別できる。
[第1実施形態の変更例1]
上述した第1実施形態では、高速移動状態にないD2Dグループに対してeNB主導スケジューリングを適用していた。しかしながら、高速移動状態にないD2Dグループに対してUE主導スケジューリングを適用してもよい。
第1実施形態の変更例1では、高速移動状態にないD2Dグループに対して無線リソースを割り当てる場合に、ネットワーク(eNB200)が、隣接セルにおいて予約リソースを設定せずに、サービングセルにおいて予約リソースを設定する。そして、D2Dグループに含まれるUE100は、予約リソースの中から割当無線リソースを決定するUE主導スケジューリングを行う。
このように、第1実施形態の変更例1では、高速移動状態にないD2Dグループについては、リソース予約を行う範囲をサービングセルに限定した上で、UE主導スケジューリングを適用する。よって、D2Dスケジューリングに伴うネットワークの負荷を削減できる。
[第1実施形態の変更例2]
上述した第1実施形態では、予約リソースは、D2Dグループに含まれないUE100に対する割り当てが禁止されていた。しかしながら、無線リソースの利用効率を高めるために、予約リソースは、D2Dグループに含まれないUE100に対する割り当てが許容されていてもよい。
第1実施形態の変更例2では、予約リソースは、D2Dグループに含まれないUE100に対する割り当てが許容されている。D2Dグループに含まれないUE100に対して予約リソースを割り当てる場合に、ネットワーク(eNB200)は、D2Dグループの移動速度に基づいて、D2Dグループに含まれないUE100に対して適用する変調・符号化方式(MCS)を補正する。
図12は、第1実施形態の変更例2に係るMCS補正方法を説明するための図である。第1実施形態で説明したように、各eNB200は、高速移動通知に含まれる速度情報を共有している。速度情報は、D2Dグループ(i)の移動速度(V)を示す情報である。
図12に示すように、eNB200は、D2Dグループ(i)に対応する予約リソースをD2Dグループ(i)に含まれないUE100に対して割り当てる場合に、D2Dグループ(i)の移動速度(V)に基づいて、当該UE100に対して適用するMCSを補正する。本変更例では、D2Dグループ(i)の移動速度(V)が低い程、D2Dグループ(i)からの干渉の影響が大きいとみなして、誤り耐性を向上するようにMCSを補正する。すなわち、本来適用すべき候補MCSよりも誤り耐性の高いMCS(低速なMCS)に補正する。さらに、D2Dグループ(i)の移動速度(V)が低い場合で、本来適用すべき候補MCSの補正が不能である場合には、予約リソースを割当て禁止とする。
図12の例では、D2Dグループ(i)の移動速度(V)が“Vth1>V≧Vth0”の場合であって、D2Dグループ(i)に含まれないUE100の候補MCSが“mi2<MCS”の場合、“補正MCS=候補MCS−2”とする。その他の場合、割当禁止とする。
また、D2Dグループ(i)の移動速度(V)が“Vth2>V≧Vth1”の場合であって、D2Dグループ(i)に含まれないUE100の候補MCSが“mi1<MCS”の場合、“補正MCS=候補MCS−1”とする。その他の場合、割当禁止とする。
さらに、D2Dグループ(i)の移動速度(V)が“V>Vth2”の場合、“補正MCS=候補MCS”とする。
このように、D2Dグループに含まれないUE100に予約リソースを割り当てる場合に、ネットワーク(eNB200)は、D2Dグループの移動速度に基づいて、D2Dグループに含まれないUE100に対して適用するMCSを補正する。よって、無線リソースの利用効率を高めつつ、D2Dグループからの干渉の影響を抑圧できる。
[第1実施形態の変更例3]
第1実施形態の変更例3では、第1実施形態の変更例2と同様に、予約リソースは、D2Dグループに含まれないUE100に対する割り当てが許容されている。
また、D2Dグループに含まれないUE100に対して予約リソースを割り当てる場合に、ネットワーク(eNB200)は、送信電力レベルが低く設定されているUE100に対して、予約リソースを優先的に割り当てる。ここで送信電力レベルとは、例えばセルラ通信における送信電力レベルである。また、送信電力レベルが低く設定されているUE100とは、例えばeNB200の近傍に存在するUE100である。そのようなUE100は、良好な無線通信を行うことが可能であり、干渉耐性が高い。
よって、送信電力レベルが低く設定されているUE100に対して予約リソースを優先的に割り当てることにより、無線リソースの利用効率を高めつつ、D2Dグループからの干渉の影響を抑圧できる。
さらに、第1実施形態の変更例3を、第1実施形態の変更例2と併用することにより、D2Dグループからの干渉の影響をより一層抑圧できる。
[第1実施形態の変更例4]
上述した第1実施形態では、ネットワーク(eNB200)は、D2Dグループで使用している無線リソースを示す使用リソース情報に基づいて、D2Dグループで使用している無線リソースを予約リソースとして設定していた。しかしながら、D2Dグループで使用している無線リソースに基づくことなく予約リソースを設定してもよい。
図13は、第1実施形態の変更例4に係る動作を示すシーケンス図である。ここでは、上述した第1実施形態に係る動作シーケンスとの相違点を説明する。
図13に示すように、ステップS101乃至S103は、上述した第1実施形態と同様である。
ステップS104’において、高速移動状態を検知したUE100は、高速移動通知(第1の高速移動通知)をeNB200−1に送信する。本変更例では、高速移動通知は、使用リソース情報を含まない。
ステップS105’において、高速移動通知を受信したeNB200−1は、当該高速移動通知に含まれる速度情報を取得する。
ステップS106’において、eNB200−1は、UE100−2から受信した高速移動通知をEPC20(コアネットワーク)に転送する。
ステップS107’において、高速移動通知を受信したEPC20は、高速移動通知に含まれる各C−RNTIに基づいて、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に対してD2D−RNTIを割り当てる。本変更例では、EPC20において予約リソースが管理されており、EPC20が予約リソース(RB)を設定する。
ステップS108’において、EPC20は、D2Dグループに対して割り当てたD2D−RNTI及び予約リソース(RB)を含む高速移動通知応答をeNB200−1に送信する。高速移動通知応答を受信したeNB200−1は、当該高速移動通知応答に含まれる予約リソース(RB)を記憶する。
ステップS109において、高速移動通知応答を受信したeNB200−1は、高速移動通知(第2の高速移動通知)をeNB200−2及びeNB200−3に送信する。高速移動通知は、高速移動通知応答に含まれるD2D−RNTIと、当該D2D−RNTIが示すD2Dグループについて記憶した予約リソースを示す予約リソース情報と、を含む。高速移動通知を受信したeNB200−2及びeNB200−3のそれぞれは、当該高速移動通知に含まれる予約リソース情報(予約リソース)を記憶する。
ステップS110’において、eNB200−1は、高速移動通知応答をD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に送信する。本変更例では、高速移動通知応答は、当該D2Dグループに対して割り当てられたD2D−RNTIだけでなく、ネットワーク側で設定した予約リソース(RB)を示す予約リソース情報を含む。
ステップS111において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソース情報が示す予約リソース(RB)を使用してD2D通信を行う。
このように、第1実施形態の変更例4では、予約リソース(RB)をネットワーク主導で設定する。特に、EPC20で予約リソース(RB)を管理・設定することにより、トラッキングエリアなどの広いエリアについて、予約リソース(RB)を重複なく設定できる。
[第1実施形態の変更例5]
上述した第1実施形態では、移動可能な中継局(以下、「モバイルリレー」という)の存在を考慮していなかった。モバイルリレーは、eNB200とUE100との間で中継伝送を行うノードであって、電車又はバスなどに設置される。
しかしながら、D2Dグループのサービングセルを管理しているモバイルリレーが当該D2Dグループと共に移動する場合には、D2Dグループが高速移動状態であってもサービングセルは変更されないため、上述した第1実施形態に係る動作を適用困難である。
第1実施形態の変更例5では、モバイルリレーがD2Dグループのサービングセルを管理しており、かつD2Dグループと共にモバイルリレーが移動する場合に、モバイルリレーは、D2Dグループに含まれるUE100から受信した高速移動通知(第1の高速移動通知)を破棄する。モバイルリレーがUE100からの高速移動通知を破棄することにより、高速移動通知がeNB200に伝送されなくなり、意図しない動作を防止できる。
但し、D2Dグループがモバイルリレーの配下ではなくなった場合には、上述した第1実施形態に係る動作を適用可能にすることが望まれる。
そこで、第1実施形態の変更例5では、モバイルリレーがサービングセルを管理しており、かつD2Dグループと共にモバイルリレーが移動する場合に、D2Dグループに含まれるUE100は、サービングセルが変更された際に、変更後のサービングセルに対して高速移動通知(第1の高速移動通知)を送信する。よって、上述した第1実施形態に係る動作を適用可能とすることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。第2実施形態は、システム構成については第1実施形態と同様である。
(第2実施形態に係る通信制御方法)
第2実施形態では、高速移動状態にあるD2Dグループがサービングセル及び/又はトラッキングエリアを変更する際の動作を主として説明する。
図14は、D2Dグループがサービングセルを変更する際の動作を示すシーケンス図である。ここでは、D2DグループがeNB200−4のセルからeNB200−2のセルへサービングセルを変更すると仮定している。
図14に示すように、高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソースの範囲内でUE主導スケジューリングを行いながらD2D通信を行う(ステップS201)。また、高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、D2D−RNTIが割り当てられたことに応じてRRCアイドル状態に遷移している。
D2D−RNTIが割り当てられたD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)が移動に伴ってサービングセルを変更する場合に、UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、ハンドオーバ手続を省略する。UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、ハンドオーバ手続を省略する代わりに、セル再選択を行なってもよい。そして、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、サービングセルが変更されても、予約リソースの範囲内でUE主導スケジューリングを行いながらD2D通信を継続する(ステップS202)。
一方、非高速移動状態にあるD2Dグループについては、eNB200−4がeNB主導スケジューリングを行っており、割当無線リソースをeNB200−4からD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に通知する(ステップS211)。そして、当該割当無線リソースを使用してUE100−1及びUE100−2によりD2D通信を行う(ステップS212)。非高速移動状態にあるD2Dグループは、D2D−RNTIが割り当てられておらず、RRC接続状態である。
D2D−RNTIが割り当てられていないD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)が移動に伴ってサービングセルを変更する場合に、UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、ハンドオーバ手続を行う(ステップS213)。UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、ハンドオーバ手続において新たなC−RNTIが割り当てられる。
ハンドオーバ後において、eNB200−2がeNB主導スケジューリングを行い、割当無線リソースをeNB200−2からD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に通知する(ステップS214)。そして、当該割当無線リソースを使用してUE100−1及びUE100−2によりD2D通信を行う(ステップS215)。
図15は、高速移動状態にあるD2Dグループがトラッキングエリアを変更する際の動作を示すフロー図である。ここでは、高速移動状態にあるD2Dグループに含まれるUE100−2の動作を例に説明するが、当該D2Dグループに含まれるUE100−1もUE100−2と同様の動作を行う。
図15に示すように、UE100−2は、ネットワークから受信する無線信号に基づいて、サービングセルのセルIDが検知されたか否かを判定する。サービングセルのセルIDが検知されない場合(ステップS41:No)、すなわち、サービスエリア外(すなわち、圏外)である場合、ステップS44において、UE100−2は、D2D通信を終了する。UE100−2は、D2D通信を終了しても、D2D−RNTIを保持し続ける。そして、UE100−2は、D2D通信の終了から一定時間の経過後にD2D−RNTIを解放する。
一方、サービングセルのセルIDが検知された場合(ステップS41:Yes)、ステップS42において、UE100−2は、当該セルIDに基づいて、サービングセルの属するトラッキングエリアが変更されているか否かを判定する。
サービングセルの属するトラッキングエリアが変更されている場合(ステップS42:Yes)、ステップS43において、UE100−2は、トラッキングエリア更新(TAU)を行う。具体的には、UE100−2は、サービングセルを介してEPC20(MME)に対してTAUメッセージを送信する。EPC20は、TAUメッセージの受信に応じて、D2Dグループに割り当てるD2D−RNTIを更新する。
UE100−2は、トラッキングエリアの変更を検知してから、新たなD2D−RNTIが割り当てられるまでは、D2D通信を一時中断(但し、物理層の接続は維持)する。そして、UE100−2は、新たなD2D−RNTIが割り当てられると、D2D通信を再開する。
図16は、第3実施形態に係る動作を示すシーケンス図である。先ず、D2DグループがeNB200−4のセルからeNB200−2のセルへサービングセルを変更する場合の動作を説明する。eNB200−1のセル及びeNB200−2のセルはトラッキングエリア1に属しており、eNB200−3のセル及びeNB200−4のセルはトラッキングエリア2に属している。
図16に示すように、ステップS221において、高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソースの範囲内でUE主導スケジューリングを行いながらD2D通信を行う。また、高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、D2D−RNTIが割り当てられたことに応じてRRCアイドル状態に遷移している。
ここで、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、セルIDに基づいてサービングセルの変更を検知する。また、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、新たなサービングセルが属するトラッキングエリアが、変更前のサービングセルが属するトラッキングエリアとは異なることを検知する。
ステップS222において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、eNB200−2のセルとのRRC接続を確立するために、eNB200−2に対してランダムアクセス手続(RACHシーケンス)を行う。
ステップS223において、eNB200−2のセルとのRRC接続を確立したD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、トラッキングエリア更新(TAU)を行う。具体的には、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、eNB200−2を介してEPC20(MME)に対してTAUメッセージを送信する。
ステップS224において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)及びネットワークは、第1実施形態で説明した動作により、新たなトラッキングエリアに含まれる各セルおいて予約リソースを設定し、かつ新たなトラッキングエリアで共通に使用されるD2D−RNTIを設定(更新)する。ここで、EPC20は、TAUメッセージの受信に応じて、D2Dグループに割り当てるD2D−RNTIを更新する。
ステップS225において、EPC20は、変更前のトラッキングエリアに属するeNB200−3及びeNB200−4に対して、D2D−RNTIの解放を要求する。
ステップS226において、eNB200−3及びeNB200−4のそれぞれは、EPC20からのD2D−RNTI解放要求に応じて、D2D−RNTIを解放する。また、eNB200−3及びeNB200−4のそれぞれは、D2D−RNTIを解放するとともに、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に対応するリソース予約を解放する。
なお、トラッキングエリアの変更が生じない場合には、ステップS222乃至S226の処理は行われない。
ステップS227において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、D2D通信を行う。
次に、セルIDが検知されない場合、すなわち、高速移動状態にあるD2Dグループがサービスエリア外(圏外)に移動した場合の動作を説明する。
ステップS231において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、セルIDが検知されない場合に、D2D通信を終了し、D2D通信の終了から一定時間の経過後にD2D−RNTIを解放する。
ステップS232において、EPC20は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)がサービスエリア外に移動したことを検知し、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てていたD2D−RNTIを解放する。D2Dグループがサービスエリア外に移動したことをネットワークにおいて把握するための方法としては、第1の方法乃至第3の方法がある。第1の方法は、周期的にネットワークからD2Dグループに対してページングを行い、D2Dグループからのページング応答(alive ack)の有無を確認する方法である。第2の方法は、ページングなしでD2Dグループからネットワークに対して周期的にalive ackを送信し、alive ackの有無を確認する方法である。第3の方法は、D2Dグループが周期的にネットワークとの再同期手順を行い、再同期手順の有無を確認する方法である。なお、第1の方法乃至第3の方法の何れにおいてもD2D−RNTIによりD2Dグループを識別可能である。
ステップS233において、EPC20は、eNB200−3及びeNB200−4に対して、D2D−RNTIの解放を要求する。
ステップS234において、eNB200−3及びeNB200−4のそれぞれは、EPC20からのD2D−RNTI解放要求に応じて、D2D−RNTIを解放する。また、eNB200−3及びeNB200−4のそれぞれは、D2D−RNTIを解放するとともに、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に対応するリソース予約を解放する。
(第2実施形態のまとめ)
上述したように、第2実施形態では、D2D−RNTIが割り当てられたD2Dグループが移動に伴ってサービングセルを変更する場合に、ハンドオーバ手続を省略する。高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、トラッキングエリアで共通のD2D−RNTIにより管理されているため、ハンドオーバ手続を省略可能である。
第2実施形態では、D2D−RNTIが割り当てられたD2Dグループは、サービスエリア外に移動した場合に、D2D通信を終了する。よって、ネットワークにより管理不能なD2D通信が行われることを防止できる。
第2実施形態では、D2D−RNTIが割り当てられたD2Dグループは、サービスエリア外に移動してD2D通信を終了した場合に、D2D通信の終了から一定時間の経過後にD2D−RNTIを解放する。換言すると、D2D−RNTIが割り当てられたD2Dグループは、D2D通信を終了しても一定時間が経過するまではD2D−RNTIを保持する。よって、当該一定時間内に再びサービスエリア内に移動した場合には、D2D通信を再開できる。
第2実施形態では、D2D−RNTIが割り当てられたD2Dグループは、移動に伴って、在圏するトラッキングエリアを変更する場合に、UE100からネットワークに対してTAUメッセージを送信する。TAUメッセージを受信したネットワークは、新たなD2D−RNTIをD2Dグループに割り当てる。よって、トラッキングエリア単位でD2Dグループを管理できる。なお、リソース予約もトラッキングエリア単位で行われており、TAUが発生した際に新たなトラッキングエリア内の各セルにおいてリソース予約が改めて行われる。
[第2実施形態の変更例]
上述したように、D2D−RNTIは、高速移動状態にあるD2Dグループを識別するためのものであって、トラッキングエリアごとに1つ割り当てられる場合と、D2Dグループごとに1つ割り当てられる場合と、D2Dグループに含まれるUE100ごとに1つ割り当てられる場合と、がある。
ここで、D2D−RNTIにおいて、トラッキングエリアで1つの共通部分を設け、残りの部分でD2Dグループに含まれる各UE100を識別できれば、ネットワークは、1つのD2D−RNTIで、高速移動状態にあるD2Dグループであることを識別できるとともに、当該D2Dグループに含まれるUE100を識別できる。
そこで、第2実施形態の変更例では、D2D−RNTIは、トラッキングエリア内で1つ割り当てられる本体部分(共通部分)と、D2Dグループに含まれるUE100ごとに異なる拡張部分(下位拡張番号)と、を含む。このようにD2D−RNTIを拡張することにより、拡張部分(下位拡張番号)を使用してUE100を識別できる。
[第3実施形態]
第3実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。第3実施形態は、システム構成については第1実施形態と同様である。
(第3実施形態に係る通信制御方法)
第3実施形態では、高速移動状態にあるD2Dグループが非高速移動状態に遷移する際の動作を主として説明する。
図17は、第3実施形態に係る動作パターン1を示すシーケンス図である。ここでは、D2DグループがeNB200−1のセルに在圏すると仮定している。eNB200−1のセル及びeNB200−2のセルは同一のトラッキングエリアに属する。
図17に示すように、ステップS301において、高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソースの範囲内でUE主導スケジューリングを行いながらD2D通信を行う。
ここで、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、高速移動状態でなくなったことを検知する。具体的には、D2Dグループの移動速度(V)が閾値(Vth)未満になったことを検知する。
ステップS302において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、eNB200−1のセルとのRRC接続を確立するために、eNB200−1に対してランダムアクセス手続(RACHシーケンス)を行う。動作パターン1では、当該ランダムアクセス手続においては、UE100−1及びUE100−2のそれぞれにC−RNTIは割り当てられない。
ステップS303において、UE100−2は、非高速移動状態に遷移したことを示す高速移動解除通知をサービングセル(eNB200−1)に送信する。高速移動解除通知は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられているD2D−RNTIを含む。
ステップS304において、高速移動解除通知を受信したeNB200−1は、当該高速移動解除通知をEPC20に転送する。
ステップS305において、高速移動解除通知を受信したEPC20は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられているD2D−RNTIを解放する。
ステップS306において、EPC20は、D2D−RNTIの解放要求をeNB200−1及びeNB200−2に送信する。当該解放要求は、解放対象のD2D−RNTIを含む。
ステップS307において、D2D−RNTIの解放要求を受信したeNB200−1及びeNB200−2のそれぞれは、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられているD2D−RNTIを解放する。
ステップS308において、eNB200−1は、UE100−1及びUE100−2のそれぞれに割り当てるC−RNTIを決定する。C−RNTIは、UE100−1及びUE100−2のそれぞれで異なる。
ステップS309において、eNB200−1は、高速移動解除通知応答をUE100−2に送信する。当該高速移動解除通知応答は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられていたD2D−RNTIと、UE100−2に割り当てるC−RNTI(C−RNTI1)と、D2Dグループに含まれる各UE100に割り当てるC−RNTI(C−RNTI群)と、を含む。
ステップS310において、eNB200−1は、高速移動解除通知応答をUE100−1に送信する。当該高速移動解除通知応答は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられていたD2D−RNTIと、UE100−1に割り当てるC−RNTI(C−RNTI2)と、D2Dグループに含まれる各UE100に割り当てるC−RNTI(C−RNTI群)と、を含む。
UE100−1及びUE100−2のそれぞれはRRC接続状態に遷移し、UE主導スケジューリングからeNB主導スケジューリングに切り替わる。
ステップS311において、eNB200−1は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)への割当無線リソースを決定し、割当無線リソースをD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に通知する。
ステップS312において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、通知された割当無線リソースを使用してD2D通信を行う。
図18は、第3実施形態に係る動作パターン2を示すシーケンス図である。動作パターン2では、第2実施形態の変更例で説明したように、D2D−RNTIに拡張番号(EX−ID)が設定されている点で動作パターン1とは異なる。
図18に示すように、ステップS321において、高速移動状態にあるD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソースの範囲内でUE主導スケジューリングを行いながらD2D通信を行う。
ここで、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、高速移動状態でなくなったことを検知する。具体的には、D2Dグループの移動速度(V)が閾値(Vth)未満になったことを検知する。
ステップS322において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、eNB200−1のセルとのRRC接続を確立するために、eNB200−1に対してランダムアクセス手続(RACHシーケンス)を行う。動作パターン2では、当該ランダムアクセス手続において、UE100−1及びUE100−2のそれぞれにC−RNTIが割り当てられる。
UE100−1及びUE100−2のそれぞれはRRC接続状態に遷移し、UE主導スケジューリングからeNB主導スケジューリングに切り替わる。
ステップS323において、UE100−2は、非高速移動状態に遷移したことを示す高速移動解除通知をサービングセル(eNB200−1)に送信する。動作パターン2では、高速移動解除通知は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられているD2D−RNTIだけでなく、UE100−2に割り当てられたC−RNTI(C−RNTI1)と、UE100−2に割り当てられている拡張番号(EXP−ID1)と、を含む。
また、UE100−1は、非高速移動状態に遷移したことを示す高速移動解除通知をサービングセル(eNB200−1)に送信する。高速移動解除通知は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられているD2D−RNTIだけでなく、UE100−1に割り当てられたC−RNTI(C−RNTI2)と、UE100−2に割り当てられている拡張番号(EXP−ID2)と、を含む。
ステップS324において、eNB200−1は、UE100−2から受信した高速移動解除通知に含まれるD2D−RNTI及び拡張番号(EXP−ID1)を取得し、当該D2D−RNTI及び拡張番号(EXP−ID1)を含む高速移動解除通知をEPC20に送信する。
また、eNB200−1は、UE100−1から受信した高速移動解除通知に含まれるD2D−RNTI及び拡張番号(EXP−ID2)を取得し、当該D2D−RNTI及び拡張番号(EXP−ID2)を含む高速移動解除通知をEPC20に送信する。
ステップS325において、高速移動解除通知を受信したEPC20は、UE100−2に割り当てられている拡張番号(EXP−ID1)及びUE100−1に割り当てられている拡張番号(EXP−ID2)を解放する。
ステップS326において、EPC20は、D2D−RNTIの解放要求をeNB200−1及びeNB200−2に送信する。当該解放要求は、解放対象のD2D−RNTI及び拡張番号(EXP−ID)を含む。
ステップS327において、D2D−RNTIの解放要求を受信したeNB200−1及びeNB200−2のそれぞれは、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に割り当てられているD2D−RNTIと、UE100−2に割り当てられている拡張番号(EXP−ID1)と、UE100−1に割り当てられている拡張番号(EXPID2)と、を解放する。
ステップS328において、eNB200−1は、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)への割当無線リソースを決定し、割当無線リソースをD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に通知する。
ステップS329において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、通知された割当無線リソースを使用してD2D通信を行う。
なお、一つの予約リソースを複数のD2Dグループで共用可能な場合において、その内の一つのD2Dグループが解放され、かつ他に同一リソースを使用している他のD2Dグループが存在する場合、そのリソースは、予約から削除されない。これに対し、他に同一リソースを使用しているD2Dグループが存在しない場合、そのリソースは、予約から削除される。
(第3実施形態のまとめ)
上述したように、D2Dグループが高速移動状態から非高速移動状態に遷移した場合に、D2Dグループのサービングセルを管理するeNB200は、D2Dグループに含まれる各UE100に対して、当該サービングセルにおいて制御のために使用されるC−RNTIを割り当てる。また、D2Dグループが高速移動状態から非高速移動状態に遷移した場合に、D2Dグループに含まれる各UE100及びネットワークは、D2D−RNTIを解放する。よって、D2Dグループが高速移動状態から非高速移動状態に遷移した場合には、UE主導スケジューリングからeNB主導スケジューリングに切り替えることができる。
[第3実施形態の変更例]
上述した第3実施形態では、D2Dグループが高速移動状態から非高速移動状態に遷移した場合に、C−RNTIの割り当てを行うとともに、D2D−RNTIを解放していた。しかしながら、D2Dグループが一時的に非高速移動状に遷移し、再び高速移動状態に遷移(復帰)する場合には、C−RNTIを割り当てずに、D2D−RNTIを維持することが望ましい。このような断続的な高速移動状態は、例えば電車が一時的に駅に停車する又はバスが一時的に停留所に停車するような状況下で生じ得る。
そこで、第3実施形態の変更例では、D2Dグループが高速移動状態から非高速移動状態に遷移した場合であっても、D2Dグループが再び高速移動状態に遷移する可能性が高いと判断される場合には、C−RNTIを割り当てることなくD2D−RNTIを維持する。ここで、D2Dグループが再び高速移動状態に遷移する可能性が高いと判断される場合とは、例えば、高速移動通知/高速移動解除通知が一定時間内に一定回数発生するような場合である。このような場合、D2Dグループに含まれるUE100、及びネットワークは、断続モードを設定する。
図19は、第3実施形態の変更例に係る高速移動解除時における動作を示すフロー図である。本フローは、D2Dグループに含まれるUE100、又はネットワークにより行われる。
図19に示すように、ステップS51において、断続モードが設定されているか否かを判定する。
断続モードが設定されていない場合(ステップS51:No)、ステップS52において、高速移動解除に応じてD2D−RNTIを解放する。そして、ステップS53において、タイマT1を起動する。タイマT1は、断続モードを設定すべきか否かを判定するためのタイマである。
これに対し、断続モードが設定されている場合(ステップS51:Yes)、ステップS54において、タイマT2を起動し、D2D−RNTIを解放しない。タイマT2は、断続モードを維持すべき期間を規定するタイマである。
図20は、第3実施形態の変更例に係る非高速移動状態から高速移動状態への遷移時における動作を示すフロー図である。本フローは、D2Dグループに含まれるUE100、又はネットワークにより行われる。
図20に示すように、ステップS61において、断続モードが設定されているか否かを判定する。
断続モードが設定されている場合(ステップS61:No)、ステップS62において、タイマT2を停止する。
これに対し、断続モードが設定されていない場合(ステップS61:Yes)、ステップS63において、タイマT1が起動中であるか否かを判定する。
タイマT1が起動中である場合(ステップS63:Yes)、ステップS64において、断続モードを設定し、タイマT1を停止する。
なお、D2DグループにおいてD2D通信を終了する場合には、断続的モードを解除し、タイマT1及びT2を停止する。
[第4実施形態]
第4実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。第4実施形態は、システム構成については第1実施形態と同様である。
(第4実施形態に係る通信制御方法)
上述したように、高速移動状態にあるD2DグループはRRCアイドル状態であるため、通常、ランダムアクセス手続によりRRC接続を確立しなければ、ネットワークに対して情報を送信できない。しかしながら、状態通知などの少量のデータ送信を行うためだけにRRC接続を確立することは非効率である。そこで、第4実施形態では、高速移動状態にあるD2Dグループが効率的にネットワークに対して状態通知を行うための動作を主として説明する。
図21は、第4実施形態に係る初期設定動作を示すシーケンス図である。ここでは、上述した第1実施形態に係る動作シーケンスとの相違点を説明する。
図21に示すように、ステップS401乃至S403は、上述した第1実施形態と同様である。
ステップS404において、高速移動状態を検知したUE100は、高速移動通知(第1の高速移動通知)をeNB200−1に送信する。高速移動通知は、移動速度(V)及びC−RNTIを含む。
ステップS405において、高速移動通知を受信したeNB200−1は、当該高速移動通知に含まれる速度情報を取得する。
ステップS406において、eNB200−1は、UE100−2から受信した高速移動通知をEPC20(コアネットワーク)に転送する。
ステップS407において、高速移動通知を受信したEPC20は、高速移動通知に含まれる各C−RNTIに基づいて、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に対してD2D−RNTIを割り当てる。第4実施形態では、EPC20において予約リソースが管理されており、EPC20が予約リソース(RB)を設定する。さらに、EPC20において状態通知用の上りリンク無線リソースである状態通知用リソース(UL−GRANT)が管理されており、EPC20が状態通知用リソース(UL−GRANT)を設定する。
ステップS408において、EPC20は、D2Dグループに対して割り当てたD2D−RNTI、予約リソース(RB)、及び状態通知用リソース(UL−GRANT)を含む高速移動通知応答をeNB200−1に送信する。高速移動通知応答を受信したeNB200−1は、当該高速移動通知応答に含まれる予約リソース(RB)及び状態通知用リソース(UL−GRANT)を記憶する。
ステップS409において、高速移動通知応答を受信したeNB200−1は、高速移動通知(第2の高速移動通知)をeNB200−2及びeNB200−3に送信する。高速移動通知は、D2D−RNTIと、移動速度(V)情報と、予約リソース(RB)を示す予約リソース情報と、状態通知用リソース(UL−GRANT)を示す状態通知用リソース情報と、を含む。高速移動通知を受信したeNB200−2及びeNB200−3のそれぞれは、当該高速移動通知に含まれる予約リソース(RB)及び状態通知用リソース(UL−GRANT)を記憶する。
ステップS410において、eNB200−1は、高速移動通知応答をD2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)に送信する。第4実施形態では、高速移動通知応答は、当該D2Dグループに対して割り当てられたD2D−RNTIだけでなく、ネットワーク側で設定した予約リソース(RB)を示す予約リソース情報と、ネットワーク側で設定した状態通知用リソース(UL−GRANT)を示す状態通知用リソース情報と、を含む。UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、高速移動通知応答に含まれる情報を記憶する。
ステップS411において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソース情報が示す予約リソース(RB)を使用してD2D通信を行う。
図22は、第4実施形態に係る状態通知動作を示すシーケンス図である。ここでは、第2実施形態の変更例で説明したように、D2D−RNTIに拡張番号(EX−ID)が設定されるケースを想定する。
図22に示すように、ステップS421において、D2Dグループ(UE100−1及びUE100−2)は、予約リソース(RB)を使用してD2D通信を行う。
UE100−2は、ネットワークに対して状態通知を行うべきイベントが発生したことを検知する。
ステップS422において、UE100−2は、サービングセル(eNB200−1)との同期を確立する。ここで、セルサーチによりサービングセルとの下りリンクの同期を確立し、ランダムアクセス手続により上りリンクの同期を確立する。ランダムアクセス手続は、UE100からeNB200−1に対してランダムアクセスプリアンブルを送信する処理と、eNB200−1からUE100に対してランダムアクセス応答を送信する処理と、からなる。eNB200−1は、ランダムアクセスプリアンブルに基づき上りリンクの遅延を測定し、上りリンクの遅延を保証するためのタイミング補正値をランダムアクセス応答に含めて送信する。但し、ランダムアクセス手続を行うものの、RRC接続を確立する手続は行わない。
ステップS423において、UE100−2は、状態通知用リソース(UL−GRANT)を使用して、状態通知メッセージをサービングセル(eNB200−1)に送信する。状態通知メッセージは、D2Dグループに割り当てられているD2D−RNTIと、UE100−2に割り当てられている拡張番号(EX−ID1)と、通知すべき状態を示す通知情報と、を含む。通知情報は、例えば、位置情報、D2Dグループ内UE情報(UE数)、alive ack、又はUEの識別情報などである。なお、状態通知メッセージの送信に適用されるMCSは予め規定されており、UE100−2は、予め規定されたMCSを適用して状態通知メッセージを送信する。
状態通知メッセージを受信したeNB200−1は、当該状態通知メッセージをEPC20に転送する。ここで、eNB200−1は、状態通知メッセージに含まれるD2DRNTIに基づいて、当該D2D−RNTIに対応するRRC設定情報を取得し、当該RRC設定情報を使用して状態通知メッセージを処理する。
(第4実施形態のまとめ)
上述したように、ネットワークは、D2Dグループに含まれるUE100からの高速移動通知(第1の高速移動通知)の受信に応じて、サービングセル及び隣接セルにおいて、D2Dグループからネットワークへの状態通知に使用される状態通知リソース(UL−GRANT)を予約する。ネットワークは、予約した状態通知リソース(UL−GRANT)を示す状態通知リソース情報をD2Dグループに対して送信する。そして、D2Dグループに含まれるUE100は、状態通知リソース(UL−GRANT)を使用して、D2D−RNTIと共に状態通知情報をネットワークに送信する。よって、高速移動状態にあるD2Dグループに含まれるUE100は、同期を改めて確立すればよく、RRC接続を確立しなくても状態通知情報をネットワークに送信できる。
[その他の実施形態]
上述した各実施形態では、D2Dグループの移動速度(V)は、D2Dグループに含まれるUE100により計測されていた。しかしながら、移動速度(V)は、ネットワーク側で計測されてもよい。例えば、UE100の位置情報を管理するサーバ装置が存在する場合に、サーバ装置が管理する位置情報に基づいて移動速度(V)を計測する。或いは、MME300が管理する在圏セル情報から単位時間当たりのハンドオーバ回数を算出し、単位時間当たりのハンドオーバ回数から移動速度(V)を推定してもよい。或いは、D2Dグループに含まれるUE100からeNB200が受信する受信信号のフェージング速度から移動速度(V)を推定してもよい。そして、ネットワークは、D2Dグループの移動速度(V)を閾値(Vth)と比較することにより高速移動状態を検知する。
上述した各実施形態では、移動通信システムの一例としてLTEシステムを説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。LTEシステム以外のシステムでは、上述した各実施形態においてeNB200(基地局)が行っていた動作を、基地局以外のネットワーク装置(例えば、基地局制御装置)が行なってもよい。
日本国特許出願第2013−175715号(2013年8月27日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。