JP4172098B2 - セルラー式通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話やPHSなどのセルラー式通信システムにおけるチャネル割当てに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動局の進行方向を考慮したチャネル割当て方法に関し、その移動局に対してチャネルを割当てるかどうかを決定するための基準確率値Pthredを固定値とし、過去のハンドオーバー履歴のみから、基準確率値Pthredとの比較により、チャネル割当て/非割当てを決定するセルラー式通信システムがあった。また、そのシステムは、自セルにハンドオーバーされる確率を何ステップ先までのゾーンを考慮して算出するかを決定する確率算出ゾーンと、ハンドオーバーに関する情報を何ステップ先までの他の基地局に通知するかを決定する同報ゾーンとの設定においては、同じステップ数nのゾーンまで、確率算出、ハンドオーバーに関する情報の同報を行うように構成されていた。また、移動局の移動速度に関係なく、同報ゾーンの大きさは一定で、移動局の移動方向に関係なく、ゾーン内の全セルに対して同報するもので、さらに、セルの配置関係から、最短距離に相当する経路のみを対象としてハンドオーバーされる確率を算出するものであり、この確率値は各移動局に対して同じ値が用いられていた。
【0003】
また、予約チャネルを開放する方法に関しては、移動局の進行方向を考慮したチャネル割り当て方法が提案されている。その方法は、ハンドオーバー確率を、自セルからnステップの範囲内の対象ゾーン(確率算出ゾーン)について算出し、ハンドオーバーまたは呼の終了を同報するゾーン(同報ゾーン)も自セルからnステップの範囲について行うというものであり、この方式では、チャネルの予約を開始してからある一定時間を経過するまでに、チャネル予約の対象である移動局がハンドオーバーしなかった場合にのみチャネルを開放するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したように、従来のセルラー式通信システムでは、空きチャネル数、移動局との距離、移動局の移動速度、移動局の加速度に関わらず、移動局に対して空きチャネルを確保するかを決定する基準確率値Pthredを固定値として運用していた。
【0005】
空きチャネル数との関係においては、基地局の空きチャネルが多く、割り当てる余裕がある場合には、基準確率値Pthredの値を低く設定し、より柔軟にチャネル割当てを実施してもよく、逆に空きチャネルが少ない場合には、慎重にチャネルを割り当てるために基準確率値Pthredの値は高く設定するべきである。
【0006】
また、移動局との距離との関係では、移動局が近くに存在する場合には、いつハンドオーバーされても対応できるようになるべく基準確率値Pthredの値を低く設定するべきであり、一方、移動局が遠くに存在する場合には、ある程度余裕を持って対応してもよいので、基準確率値Pthredは比較的高く見積もっても問題のないものである。
【0007】
また、移動局の移動速度との関係については、移動局が比較的高速で接近している場合には、いつハンドオーバーされても対応できるようになるべく基準確率値Pthredの値を低く設定すべきであり、一方、移動局が比較的低速で接近している場合には、ある程度余裕を持って対応してもよいので基準確率値Pthredは比較的高く見積もっても問題のないものである。
【0008】
さらに、移動局の加速度との関係においては、移動局が加速して接近している場合には、いつハンドオーバーされても対応できるようになるべく基準確率値Pthredの値を低く設定するべきであり、一方、移動局が減速して接近している場合には、ある程度余裕を持って対応してもよいので、基準確率値Pthredは比較的高く見積もっても問題のないものである。
【0009】
また、移動中の通話呼の品質を向上させるためのチャネル確保は必要であるが、冗長なチャネル確保はチャネルリソースの有効利用に反するので、このようなチャネル確保は無制限に実施されていいものではなく、必要最小限にして最大の効果を発揮するものでなければならないが、以上に説明したように、基準確率値Pthredを固定値として運用した場合は、チャネル割当ての最適化が図られていなかった。
【0010】
また、ハンドオーバー確率を算出する対象となるゾーン内に複数の移動局が存在する場合においても、各々の移動局に対するチャネル割当て数は0か1であるとしていたため、基地局が確保すべき全チャネル数は、各移動局のハンドオーバー確率の値によって、0から確率算出ゾーンに存在する全移動局数までの値を取り得たが、各基地局は移動局数とハンドオーバー確率から、最適な予約チャネル数を算出し移動局に割当てる必要がある。
【0011】
さらに、移動局がハンドオーバーした結果、確率算出ゾーンに移動してきた場合、同報によりハンドオーバーを通知された各基地局は、自セルに対してハンドオーバーされる確率を算出する。このとき起こり得る移動局の動作としては、(1)実際にハンドオーバーされる、(2)ハンドオーバーされる前に確率算出ゾーンにおいて呼が終了する、(3)通話中に再び確率算出ゾーン外へ出る、という動作が考えられるが、従来は、(3)の場合の動作が考慮されていなかった。確率算出ゾーン外へ出たということは、その移動局が確率算出の対象から外れることを意味する。従って、何らかの手段を用いて、確率を算出している基地局に対して「移動局が圏外に出た」ことを通知する必要があった。
【0012】
また、移動局の移動速度と同報ゾーンとの関係については、ハンドオーバーした移動局と、その移動局のハンドオーバー確率を算出する基地局との距離が同じであっても、その移動局が高速で近づいている場合は、確率値をもとに予測し始めてから実際にハンドオーバーされるまでの時間が短い。よって、このような場合、確率を算出して、予測する基地局は移動局が比較的遠隔に存在する時点から、移動局の存在を認識する必要があった。そのためには、同報する基地局は同報エリアを大きくしなければならず、また、同報情報を受ける側の基地局もそれに応じて確率算出対象ゾーンを広く設定しなければならなかった。
【0013】
移動局の移動方向と同報セルの関係においても、一般的に移動中の移動局は完全にランダムな方向へ移動するのではなく、その時点での移動方向から次の移動方向の確率がそれぞれ異なる。車や電車などの移動物体中の移動局の動きに代表されるように、速度ベクトルが瞬時に90度を越える(例えば、来た道を戻る)ようなことは希である。従って、移動局がハンドオーバーされた時点において同報する情報について、移動局が離れていく位置関係に存在するセルに対して通知することは、回線を利用して過多な情報を提供することになり、回線の有効利用の観点から問題であった。
【0014】
また、セルラー式通信システムは、運用されている実際の道路・交通環境を考慮すると、周囲360 度全て均等な確率で移動局がハンドオーバーされることや、セル間の最短ステップが移動局の最も遷移確率が高いルートであるということはほとんどありえない。つまり、移動局の移動方向によってハンドオーバーされる移動局の数にはばらつきがあり、また、道路がカーブしている場所においては、必ずしも最短距離を確率算出対象とすることは適当でない。従来は、計算量を抑えるために無数の経路から最短ルートのみを確率算出の対象としていたが、計算量を増加させることなく、より現実的なハンドオーバー確率の算出方法を採用する必要があった。さらに、移動局の移動の性質は、その行動パターンから個々の移動局によって様々である。したがって、移動局とその移動局のハンドオーバー確率を算出する基地局が同じ位置関係にある場合でも、そのハンドオーバー確率は移動局毎に異なるものでなければならない。
【0015】
また、予約チャネルを開放する方法に関する問題点について説明する。先に説明した、移動局の進行方向を考慮したチャネル割り当て方法の場合、ハンドオーバー確率を自セルからnステップの範囲内の対象ゾーン(確率算出ゾーン)にすると共に、同じnステップの範囲(同報ゾーン)内のセルに対してハンドオーバーまたは呼の終了を同報していた。この方式では、ある基地局Aは移動局がnステップ先のセルに到着したことは認識できるが、nステップ先のセルから(n+1)ステップ先のセルに移動したことは認識できない。nステップ先のセルから(n+1)ステップ先のセルにハンドオーバーすると、もはや基地局Aに対しては同報メッセージが届かなくなる。このような場合、基地局Aは移動局がnステップ先のセルに滞在しつづけていると判断するため、移動局が離れていくにも関わらず、不要なチャネル予約を継続することになる。
【0016】
基地局が有するチャネルは有限であり、最大限の有効利用を図る必要があり、移動局が自セルに到着するか否かだけでなく、多様な情報から移動局の動きを読み取り冗長なチャネル確保を抑制するために必要に応じてチャネルを開放することが重要である。移動局が同報ゾーンに存在する場合には、同報メッセージ中の基地局のIDから何ステップ先に移動局が存在するかが分かるので、そのIDを断続的に管理することにより、少なくとも、移動局が自セルから離れていく状態、または、移動局が自セルに近づいている状態、または、移動局が止まっている状態のいずれの状態であるかを判別することができる。この情報を用いて、さらなるチャネルの有効利用を図る必要がある。
【0017】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、無駄なチャネル確保が抑制され、チャネルリソースの最小限度の利用の範囲内で移動呼の通話品質の維持、向上が図れるセルラー式通信システムの構造を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載のセルラー式通信システムは、無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、自セルから数セル先に存在する複数の移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を各々算出し、自セルの全チャネル数に対して空きチャネル数が多い場合には、ハンドオーバーされる確率の低い移動局に対してもチャネルが確保されるように、空きチャネル数が少ない場合には、ハンドオーバーされる確率の高い移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項2記載のセルラー式通信システムは、無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、該基地局に近い移動局が存在する場合には、該移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴ものである。
【0020】
請求項3記載のセルラー式通信システムは、無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて、前記複数の移動局は、ハンドオーバーしたセルを構成する基地局に時刻情報を含むハンドオーバーに関する情報を同報し、該ハンドオーバーを受信した基地局は、他の基地局に対して前記時刻情報を同報送信し、該時刻情報を受信した基地局は夫々、前記時刻情報から前記移動局の移動速度を算出すると共に、前記移動局の移動速度が速い場合には、該移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4記載のセルラー式通信システムは、無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて、前記移動局は夫々、ハンドオーバーしたセルを構成する基地局に時刻情報を含むハンドオーバーに関する情報を同報し、該ハンドオーバーを受信した基地局は、他の基地局に対して前記時刻情報を同報送信し、該時刻情報を受信した基地局は夫々、前記時刻情報から前記移動局の移動加速度を算出すると共に、前記移動局の移動加速度が大きい場合には、該移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5記載のセルラー式通信システムは、無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、自セルから数セル先に存在する複数の移動局がハンドオーバーしたセルの方向から、それらの移動局が自セルハンドオーバーされる確率を各々算出し、これらの確率から確保すべきチャネル数の期待値を求めて、予めチャネル確保を行うことを特徴とするものである。
【0023】
請求項6記載のセルラー式通信システムは、請求項5記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局が、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を各々算出するように設定されているとき、ハンドオーバー先のセルを構成する基地局は、(n+1)ステップ先までのセルを構成する基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報し、前記基地局は夫々、他の基地局から同報された情報から自セルに移動局がハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とするものである。
【0024】
請求項7記載のセルラー式通信システムは、請求項6記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、ハンドオーバー発生したときに同報する情報に時刻情報を付与し、ハンドオーバーの時刻差から前記移動局の移動速度を判別し、移動速度が速ければnステップの範囲を有する、ハンドオーバーされる確率を算出する確率算出ゾーンと、(n+1)ステップの範囲を有する、ハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを共に大きくすることを特徴とするものである。
【0025】
請求項8記載のセルラー式通信システムは、請求項6記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、ハンドオーバー発生したときに、自セルから離れていく位置関係にある前記移動局が存在するセルを構成する基地局に対しては、該基地局が自セルから(n+1)ステップの範囲内であっても、ハンドオーバーに関する情報を同報通知しないことを特徴とするものである。
【0026】
請求項9記載のセルラー式通信システムは、請求項5記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにンドオーバーされる確率を各々算出する確率算出ゾーンと、自セルから(n+1)ステップ先までのセルを構成する各基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを設定し、過去のトラフィック履歴から利用頻度の高いルートを考慮して前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とするものである。
【0027】
請求項10記載のセルラー式通信システムは、請求項5記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにンドオーバーされる確率を各々算出する確率算出ゾーンと、自セルから(n+1)ステップ先までのセルを構成する各基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを設定し、ゾーン単位の遷移確率から前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とするものである。
【0028】
請求項11記載のセルラー式通信システムは、請求項9または請求項10記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、前記移動局が有する固有のIDをキーとして、該移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とするものである。
【0029】
請求項12記載のセルラー式通信システムは、請求項1記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにンドオーバーされる確率を各々算出する確率算出ゾーンと、自セルから(n+1)ステップ先までのセルを構成する各基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを設定し、前記移動局の呼が終了したとき、または、前記移動局が前記確率算出ゾーン外のセルにハンドオーバーしたときに、前記同報ゾーン内の基地局に対して通知を行うと共に、チャネル確保を解除することを特徴とするものである。これにより、呼の終了と同時に基地局が即座にチャネルを開放することができる
【0030】
請求項13記載のセルラー式通信システムは、請求項1記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率が所定値以上であっても、所定時間内に自セルに対してハンドオーバーされなかったときには、タイマのタイムアウトによりチャネル確保を解除することを特徴とするものである。これにより、統計情報からハンドオーバーされると予想された移動局が、実際にはタイムアウト時間を経過してもハンドオーバーされなかった場合に、この移動局に関するチャネルの設定を無効にすることが可能となる。
【0031】
請求項14記載のセルラー式通信システムは、請求項1記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率が所定値以上であっても、所定時間内にどのセルに対してもハンドオーバーされなかったときには、タイマのタイムアウトによりチャネル確保を解除することを特徴とするものである。これにより、タイマのタイムアウトにより、移動局がある特定のセルに止まっていることを検知し、この移動局に関するチャネルの設定を無効にすることができる。
【0032】
請求項15記載のセルラー式通信システムは、請求項1記載のセルラー式通信システムにおいて、前記基地局は夫々、前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率が所定値以上であっても、自セルから離れていく方向のセルに前記移動局がハンドオーバーされたときには、チャネル確保を解除することを特徴とするものである。これにより、ハンドオーバー先の基地局からの同報メッセージにより移動局が自セルから離れる方向に移動していることを検知し、この移動局に関するチャネルの設定を無効にすることが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明のセルラー式通信システムの一実施形態を図1の説明図に基いて説明する。例えば、セルAの全チャネル数が4であり、空きチャネル数が1つの場合は基準確率値Pthred=0.6とし、空きチャネル数が2つの場合は基準確率値Pthred=0.3とする。このようにハンドオーバーされる確率に応じて基準確率値Pthredを動的に変えるように構成することによって、セルAから数ゾーン離れた移動局Mについて、セルAに対してハンドオーバーされる確率Pが0.5 である場合、セルAの全チャネル数4に対して空きチャネルが1つあればP<Pthredであるため、セルAを構成する基地局は、移動局Mに対してチャネル割当てを行わないが、空きチャネルが2つあればP>Pthredとなるため、セルAを構成する基地局は、移動局Mに対してチャネル割当てを行うようになる。
【0034】
次に、本発明のセルラー式通信システムの異なる実施形態を図2の説明図に基いて説明する。セルAに隣接するセルの範囲(隣接ゾーン)をゾーンBとし、ゾーンBの外側に隣接するゾーンをゾーンCとする。ここで、移動局がゾーンCに存在する場合、基準確率値Pthred=0.55 とし、移動局がゾーンBに存在する場合、基準確率値Pthred=0.4としておく。
【0035】
まず、移動局MがセルAに接近する場合について説明する。今、移動局がゾーンCからゾーンBへハンドオーバーし、ゾーンCにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pcが0.5 、ゾーンBにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pbが0.6 である場合(図2の1−1の場合)は、ゾーンCにおいては、P<Pthredであることから、移動局Mに対してチャネル割当てを行わない。一方、ゾーンBにおいては、Pb>Pthredとなるため、セルAを構成する基地局は、移動局Mに対してチャネル割当てを行う。
【0036】
次に、ゾーンCにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pcが0.5 、ゾーンBにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pbが0.5 の場合(図2 の1−2参照)は、ゾーンCにおいては、Pc<Pthredであることから、移動局Mに対してチャネル割当てを行わない。一方、ゾーンBにおいては、Pb>Pthredとなるため、セルAを構成する基地局は、移動局Mに対してチャネル割当てを行う。この場合のように、移動局のハンドオーバー確率がゾーンを移動しても変化しない場合においても、上記のような値の設定であれば、移動局に対してチャネルが割り当てられることになる。
【0037】
次に、移動局MがセルAから遠ざかる場合について説明する。ゾーンCにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pcが0.5 、ゾーンBにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pbが0.6 で、移動局MがゾーンBに存在するとすると(図2の2−1参照)、Pb>Pthredの関係からセルAにおいてチャネル割当てされている。そこで、移動局MがゾーンCへハンドオーバーした場合、Pc<Pthredとなるため、セルAにおいて割り当てられたチャネルはこの時点において解放される。
【0038】
次に、ゾーンCにおけるセルAへのハンドオーバー確率がPc0.5 、ゾーンBにおけるセルAへのハンドオーバー確率Pbが0.5 の場合(図2の2−2参照)は、ゾーンBにおいては、Pb>Pthredであるため、移動局Mに対してチャネル割当てを行う。一方、ゾーンCにおいては、Pc<Pthredとなるため、セルAを構成する基地局は、移動局Mに対して割当てたチャネルを解放する。この場合のように、移動局のハンドオーバー確率がゾーンを移動しても変化しない場合においても、上記のような値の設定であれば、移動局に対するチャネル割当てが解放されることになる。
【0039】
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図3の説明図に基いて説明する。移動局MがセルD0にハンドオーバーされた際、セルD0からセルAに対してハンドオーバーに関する情報が同報されるように構成されており、その同報情報の中に、図に示すようにハンドオーバーされた時の時刻情報が含まれるように構成しておく。同様に移動局MがセルD0からセルC0へハンドオーバーされた際には、セルC0は時刻情報を同報送信する。この時、セルAは、セルD0からの同報情報の時刻とセルC0からの同報情報の時刻の差から移動局Mの移動速度を算出する。セルC0からセルB0への移動速度も同様にして、セルC0からの同報時刻とセルB0からの同報時刻との差から算出する。ここで、移動局MがセルD0にハンドオーバーされた時点での基準確率値Pthredの値を0.5 とすると、移動局Mが高速でセルAに接近する場合、移動局Mのハンドオーバーに備え、Pthred=0.4に設定する。移動局Mが低速でセルAに接近する場合、移動局Mが通話状態でセルAまで到着する確率、即ち、セルAにハンドオーバーする確率が低くなったと判断し、基準確率値Pthred=0.6に設定する。ちなみに、移動局MがセルAから遠ざかる方向に移動している場合には、速度に関係なく基準確率値Pthredを上昇させる。
【0040】
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図3の説明図に基いて説明する。前述した方法で移動局Mの速度を算出し、セルD0からセルC0へハンドオーバーされたときの速度とセルC0からセルB0へハンドオーバーされた時の速度とを比較することにより、移動局の加速度を算出する。ここで、移動局MがセルD0にハンドオーバーされた時点での基準確率値Pthredの値を0.5 とすると、移動局Mが加速してセルAに接近する場合、移動局Mのハンドオーバーに備え、基準確率値Pthred=0.4に設定する。一方、移動局Mが減速してセルAに接近する場合、移動局Mが通話状態でセルAまで到着する確率、即ち、セルAにハンドオーバーする確率が低くなったと判断し、基準確率値Pthred=0.6に設定する。ちなみに、移動局MがセルAから遠ざかる方向に移動している場合には、加速しているか減速しているかに関係なく、基準確率値Pthredを上昇させる。
【0041】
さらに、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図4の説明図に基いて説明する。セルAの確率算出ゾーン(図4ではセルAから3ステップ先までの範囲)に3台の移動局PS1〜PS3が存在し、セルAに対するハンドオーバー確率がそれぞれ、P1=0.3、P2=0.6、P3=0.6であるとすると、この場合、セルAにおいて確保すべきチャネル数の期待値Vは次式により1.5 となる。
V={(1−P2)(1−P3)P1+(1−P3)(1−P1)P2+(1−P1)(1−P2)P3}×1+{P2P3(1−P1)+P3P1(1−P2)+P1P2(1−P3)}×2+(P1P2P3)×3=1.5
従って、この場合、セルAを構成する基地局はハンドオーバー呼用に2チャネルを割当てるようにする。
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図5の説明図に基いて説明する。移動局が、図に示すように、0から5のルートを経てハンドオーバーする場合、まず、移動局が1に到達した時点において、セルAにはハンドオーバーの同報情報が通知される。つまり、ここでは、n=3に設定され、(n+1)である4ステップ先までハンドオーバーに関する情報を通知するというように設定されており、移動局がセルE3から4ステップの位置にあたるセルAに対しては、この時点で同報される(以下、この状態を同報通知ゾーンが4であるという表現を用いて表すこととする)。しかし、この時点では、ハンドオーバー確率の計算は実行しない。これは、nステップ先までの範囲であるハンドオーバー確率算出対象ゾーンが3であるためである。つまり、セルAから3ステップ先までのゾーン(Dゾーン)までしかハンドオーバー確率を算出しないように設定されているためである。
【0042】
次に、2から4のルートにおいて、ハンドオーバー確率の計算が実行され、この場合の例では、ルート2の場合はP2=0.4<Pthredより、チャネル割当て無し、ルート3の場合はP3=0.6 >Pthredより、チャネル割当てを実行し、ルート4の場合はP4<Pthredより、上記割当てチャネルを解放することになる。ここで、さらに、ルート5にハンドオーバーした場合、セルAには同報され、セルAは移動局が確率算出対象ゾーンから外れたことを認識し、ハンドオーバー確率の演算を終了する。
【0043】
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図6の説明図に基いて説明する。セルAを構成する基地局は、隣接セルB5に移動局がハンドオーバーされたときに、時刻情報を含んだ同報情報を受信する。セルAを構成する基地局はこの時刻を記憶しておき、次にセルB5からセルAにハンドオーバーされたときの時刻との差から、移動局の移動速度を算出する。ここで、ハンドオーバー時における移動局の移動速度Vと、(n+1)のステップの範囲を有する同報通知ゾーンとの関係がn+1=V/10となるように設定しておく。このように構成することによって、(1)のように、V=40(km/h)の場合はn+1=4となり、V=20(km/h)の場合はn+1=2となり、移動局の移動速度に応じて同報通知ゾーンの大きさを可変にすることができる。
【0044】
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図7の説明図に基いて説明する。図のように、移動局がセルB2からセルAへハンドオーバーされる場合を考える。このとき、セルAを構成する基地局は、基地局内部で保有する図中のテーブルを参照する。テーブルの一番左の列は、セルAに隣接するセルが記載され、テーブルの中央の列は、同報通知ゾーンの1つ外側のゾーンに属するセルであって、セルAと、テーブルの一番左の列に記載されたセル(例えば、セルB2)とを結ぶ直線上に位置するセルが記載されている。さらに、テーブルの一番右の列にセルAの同報通知ゾーン、及び、テーブルの中央に記載されたセル(図ではセルE5)の同報通知ゾーンに属するセル(図ではセルB2,C2−C4,D2−D6)が記載されている。テーブルの一番右の列に記載された各セルが、移動局から遠ざかる位置関係にあるセルとして同報対象から除外され、残りの黒色で示されたセルに対してのみ、セルAからハンドオーバー情報が通知されるように構成されている。
【0045】
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図8〜図10の説明図に基いて説明する。図8に示すように、確率算出対象ゾーン外のEゾーンからセルD12へハンドオーバーされる場合を考える。従来は、セルD12からセルAへの最短ステップである、D12→C9→B5→A、D12→C8→B5→A、D12→C8→B4→Aの3ルートを無条件に選択して確率算出の対象ルートとしていた。
【0046】
本発明では、確率算出の対象ルートをセルD12からセルAへの全ルートを対象候補とし、実際に移動局が過去に移動したデータから確率算出の対象ルートを決定する。例えば、移動局がD12→C9→C10とハンドオーバーした場合、従来は、セルC10へハンドオーバーされた時点で確率算出の対象ルートがC10からの最短ステップ、即ち、C10→B6→A、C10→B5→Aに変更されていたが、本発明ではリングデータベースを形成して対象ルートを決定するようにする。
【0047】
まず、図9に基いて、同報される情報について説明する。図は、移動局ID(PSID)が12121010の移動局が、セルC1からセルAに移動していく際に、各基地局からセルAを構成する基地局CAに同報される情報について説明したものである。同報通信のメッセージには、ハンドオーバー元の基地局ID(CS−ID)と、ハンドオーバー先の基地局ID(CS−ID)と、移動局ID(PS−ID)とが含まれており、図に示す場合は、セルC1,C2,C3,C4を構成する基地局X1〜X4から、セルAを構成する基地局CAに、図に示す4つのメッセージが送信される。
【0048】
次に、同報された情報を受信した基地局側の処理を図10に基いて説明する。同報された情報を受信したセルAの基地局CAでは、図9に示した4つのメッセージの移動局ID(PS−ID)が同じであるため、これらのメッセージから移動局がどのようにハンドオーバーしてきたかという情報を得て、その頻度を記憶しておく。図に示す例では、基地局X1→基地局X2→基地局X3→基地局X4というようにハンドオーバー先が変化したので、リンクデータベースのX1→X2→X3→X4に対応するカウント値をインクリメントする。また、ハンドオーバー情報を受信する毎に、ハンドオーバー先の基地局ID(CS−ID)別に受信数を、ハンドオーバー先CS−ID統計データベースとして記憶しておく。
【0049】
以上に説明したように、データベースを構成しておき、図8に示すように、ハンドオーバー先CS−ID統計データベースから、ゾーンEからセルD12にハンドオーバーされた移動局の総数を求め、セルD12からセルAに移動するルートのうち、例えば、その総数の1割以上の数をカウントしたルートを、リンクデータベースから抽出し、それらのルートを、以降の確率算出の対象ルートとして採用するように構成しておく。図に示す例では、ゾーンEからセルD12にハンドオーバーされた移動局の総数が1000であり、その1割(100)以上の数の履歴が存在するルートとして、リンクデータベースから、D12→C9→B5→A、D12→C8→B4→A、D12→C9→C10→B6→Aという3つのルートが抽出されている。但し、セルAにハンドオーバーされる前に移動局が呼終了した場合は、リンクデータを記録しないようにする。以上のようにして、セルD12からセルAにハンドオーバーされた全移動局から得られるリンクデータを基に、確率算出の対象ルートが決定される。この場合、最短ルートであったとしても、D12→C8→B5→Aのルートは確率算出の対象から除外されることになる。
【0050】
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図11の説明図に基いて説明する。同報により移動局のハンドオーバー情報を通知された基地局は、従来の場合は、移動局が位置するセルから自セルへの最短ステップを選択し、図8に示した発明の場合は、過去の移動局が移動したデータから経由頻度の高いルートを選択して、自セルへのハンドオーバー確率を算出し、チャネルの割当て/非割当てを決定していた。本実施例では、図11に示すようにリンクデータベースをルートで管理するのではなく、ゾーン単位で管理するように構成する。つまり、経由ルートに関係なく、ゾーンD→ゾーンC→ゾーンB→ゾーンAを経由した移動局は全てリンクデータベースで、ZoneD→ZoneC→ZoneB→ZoneAの項目に対応するカウント値としてインクリメントする。このようにして過去に移動局が移動したデータを管理し、確率算出の対象を決定する。
次に、本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を図12の説明図に基いて説明する。ルート単位の確率算出を行う場合にも、ゾーン単位の確率算出を行う場合にも適用できるが、ここでは、ルート単位の確率算出を行う場合について説明する。図10に示した例では、同報により通知されるハンドオーバーに関する情報に移動局のID(PS−ID)を含むように構成していたが、これは、リンクデータベースを構成するために必要なデータであった。しかし、図10に示した例では、リンクデータベースの各項目(各ルート)に対応してインクリメントされるカウント値は、どの移動局によってもたらされたかに関係なくインクリメントされるように構成されていた。
【0051】
図12に示す発明では、図10に示したリンクデータベースを拡張し、移動局のID(PS−ID)を区別できるように構成した。つまり、1つのルートでも移動局のID(PS−ID)別にカウントするように構成している。このように構成しておき、移動局ID(PS−ID)をキーとして、移動局のID(PS−ID)別の、新たなリンクデータベースを構成する。この新たなリンクデータベースには、各ルートについて移動局毎のインクリメント値が設定されている。同様にして、ハンドオーバー先CS−ID統計データベースも、移動局のID(PS−ID)をキーとして新たなデータベースを構成しておく(図示省略)。そして、移動局のハンドオーバー確率Pを、同一の移動局IDに対応した値に基いて、P=(PS−IDをキーとしたリンクデータベース中のインクリメント値) /(PS−IDをキーとしたハンドオーバー先CS−ID統計データベース中のインクリメント値)として求め、この値をチャネル割当てを決定する基準確率値Pthredと比較して空きチャネルの割当て制御を行うように構成する。
【0052】
次に、図13に基づいてチャネルの開放の方法に関して本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態について説明する。移動局がセルC1で発呼し、セルB6を経由してセルAで呼を終了した場合、セルAを構成する基地局は、セルAの同報ゾーン内の全セルに対して、移動局の呼が終了したことを通知する。通知を受けた各基地局は、この移動局に関するチャネル予約を行っていた場合、そのチャネル予約を解除する。
【0053】
図13に示したセルラー式通信システムで、確率算出ゾーンを自セルからnステップの範囲内とし、同報ゾーンを自セルから(n+1)ステップの範囲内とするというように、同報ゾーンを確率算出ゾーンよりも広く設定してもよい。例えば、図14に示すように、確率算出ゾーンを自セルから2ステップの範囲内とし、同報ゾーンを自セルから3ステップの範囲内とする。通話中の移動局がセルB6からセルAへハンドオーバーした場合、セルAを構成する基地局は、ゾーンB〜ゾーンDのセルに対してハンドオーバー情報を通知する。このとき、実際にハンドオーバー確率を算出し、必要であれば、チャネル予約を行うのはゾーンB〜ゾーンCに存在する基地局のみとする。
【0054】
移動局がセルB6に存在しているとき、セルD14,D15は、それぞれ確率算出ゾーンに位置するが、移動局がセルB6からセルAへハンドオーバーすると、移動局は同報ゾーン内に位置するが、確率算出ゾーンからは外れるため、セルD14,D15を構成する基地局は、その移動局に対してチャネル予約を行っていた場合、この移動局に関するチャネル予約を解除する。
【0055】
次に、図15に基づいてチャネルの開放の方法に関して本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態について説明する。確率算出ゾーンは自セルから2ステップの範囲内であり、同報ゾーンは自セルから3ステップの範囲内であるとして説明する。また、通話中の移動局が、図に示すように、セルE19,セルD14,セルC9,セルC8,セルB4の順にハンドオーバーし、セルB4において呼を終了したとする。
【0056】
セルAを構成する基地局は、移動局がセルD14へハンドオーバーしたときに同報ゾーンに入るので、セルD14を構成する基地局からのハンドオーバー情報を受信するが、確率算出はこの時点では開始しない。移動局がセルC9へハンドオーバーしたとき、セルAは確率算出ゾーンへ入ることから、セルAを構成する基地局は、この時点でチャネル予約に関するタイマを起動する。そして確率算出の結果、セルAにおいてチャネル予約が実行される。その後、セルC8,セルB4へとハンドオーバーし、この時点において先のタイマがタイムアウトした場合は、セルAを構成する基地局は、自セルに対してハンドオーバーしないものと判断して先のチャネル予約を解除する。
【0057】
次に、図16に基づいてチャネルの開放の方法に関して本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態について説明する。図で、セルXは、セルAの確率算出ゾーンに位置するセルであり、移動局がセルXにおいて発呼し、セルXを構成する基地局は、同報ゾーンに対してメッセージを通知する。メッセージを受信した各基地局は、移動局がセルXからハンドオーバーすることによってタイマを起動する。この場合のタイマは発呼によって起動されるだけでなく、ハンドオーバーによっても起動される。また、このタイマは図15に示した実施形態のタイマと同一のタイマであってもよい。
【0058】
セルAはセルXの確率算出ゾーンに位置することから、ハンドオーバー確率を算出する。そして確率算出の結果、セルAにおいてチャネル予約が行われれるが、移動局がセルXからハンドオーバーすることなく通話状態を継続し、先のタイマがタイムアウトした場合、セルAを構成する基地局は、自セルに対してハンドオーバーしないものと判断して、先のチャネル予約を解除する。
【0059】
最後に、図17に基づいてチャネルの開放の方法に関して本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態について説明する。システムの確立算出ゾーンのステップ数は3であるとして説明する。通話中の移動局がセルB2からセルAにハンドオーバーされた場合、セルAを構成する基地局は、同報ゾーン(ゾーンB〜ゾーンE)に位置する基地局にメッセージを通知する。確率算出ゾーン(ゾーンB〜ゾーンD)のセルのうち、移動局が離れていく位置関係に属するセル(セルB2、セルC2〜C4、セルD2〜D6)を構成する各基地局は、この移動局に関するチャネルの予約を実施している場合、チャネル予約を解除する。ここで、便宜上、ゾーンBを第1ゾーン、ゾーンCを第2ゾーン、ゾーンDを第31ゾーンというようにすると、例えば、セルC4については、セルB2は第1ゾーン、セルAは第2ゾーンであることから、移動局がセルB2からセルAへハンドオーバーした場合、セルC4は移動局が離れていく位置関係にあることになる。セルC4において、この移動局に関するチャネル予約を実行していた場合、セルC4を構成する基地局はチャネルの予約を解除する。
【0060】
【発明の効果】
以上のように構成したことにより、請求項1記載のセルラー式通信システムによれば、空きチャネルを考慮したチャネル割当てを行うことができるので、チャネルリソースの最小限度の利用の範囲内で、移動呼の通話品質を維持することができるという効果を奏する。
【0061】
請求項2記載のセルラー式通信システムによれば、移動局との位置関係を考慮したチャネル割当てを行うことができ、移動局の到達時刻までの間の無駄なチャネル確保が抑制され、チャネルリソースの最小限度の利用の範囲内で、移動呼の通話品質を維持することができるという効果を奏する。
【0062】
請求項3記載のセルラー式通信システムによれば、移動局の到達時刻を考慮したチャネル割当てを行うことができ、移動局の到達時刻までの間の無駄なチャネル確保が抑制され、チャネルリソースの最小限度の利用の範囲内で、移動呼の通話品質を維持することができるという効果を奏する。
【0063】
請求項4記載のセルラー式通信システムによれば、移動局の到達時刻を考慮したチャネル割当てを行うことができ、移動局の到達時刻までの間の無駄なチャネル確保が抑制され、チャネルリソースの最小限度の利用の範囲内で、移動呼の通話品質を維持することができるという効果を奏する。
【0064】
請求項5記載のセルラー式通信システムによれば、複数の移動局が存在する環境下において、移動中の通話呼の通話品質の維持、向上を実現することができるという効果を奏する。
【0065】
請求項6記載のセルラー式通信システムによれば、ハンドオーバーされる確率の低い移動局をいち早く検出し、割当てチャネルを解放することにより、チャネルリソースを有効活用できるという効果を奏する。例えば、率算出ゾーンに侵入した後、確率算出ゾーン外へハンドオーバーした通話呼に対するチャネル割当て制御を行うことが可能となる。
【0066】
請求項7記載のセルラー式通信システムによれば、複数の移動局が存在する環境下において、高速移動中の通話呼の通話品質の維持、向上を実現することができ、移動局の移動速度に依存することなく、各基地局に対して確率を算出し始めてから実際にハンドオーバーされるまでの猶予時間を保証することが可能となる。
【0067】
請求項8記載のセルラー式通信システムによれば、移動局の移動方向に合わせて、ハンドオーバー情報を最小必要限度に抑制することが可能となり、冗長な回線利用を最小限度に抑え、回線リソースを有効活用できるという効果を奏する。
【0068】
また、請求項9及び請求項10記載のセルラー式通信システムによれば、実際の移動局の移動特性を反映することにより、セル間の最短ステップと移動局の最も遷移確率が高いルートが一致しない道路・交通環境における予測のヒット率を向上させることができる。
【0069】
また、請求項11記載のセルラー式通信システムによれば、移動局の移動動作を画一化せず、移動局毎の移動の性質を反映して移動局毎に最適な遷移確率を適用することにより、個々の移動局についてハンドオーバーの予測精度が向上し、各々通話呼の通話品質の維持、向上を実現することができるという効果を奏する。
【0070】
また、請求項12記載のセルラー式通信システムによれば、確率算出ゾーンに位置する各基地局が、移動局の通話の終了したことを即座に検知することが可能であることから、終了した呼に対する無駄なチャネル予約を回避することが可能となる。また、同報ゾーンを拡張することにより、移動局が確率算出ゾーン内から外に移動した場合においても、各基地局が正しい移動局の動きを検知することが可能であるため、より確率算出の精度が向上するという効果を奏する。
【0071】
また、請求項13記載のセルラー式通信システムによれば、自セルに対するハンドオーバーの見込みのない移動中の通話呼に対する冗長なチャネル予約を早期に回避し、より可能性のある移動局に対してより多くのチャネルを割り当てることができるという効果を奏する。
【0072】
また、請求項14記載のセルラー式通信システムによれば、自セルに対するハンドオーバーの見込みのない通話呼に対する冗長なチャネル予約を早期に回避し、より可能性のある移動局に対してより多くのチャネルを割り当てることができるという効果を奏する。
【0073】
また、請求項15記載のセルラー式通信システムによれば、自セルに対するハンドオーバーの見込みのない移動中の通話呼に関して、特に自セルから離れていく移動局を、基地局のIDから得られるゾーン情報を基にして即座に検知し、このような移動局に対する冗長なチャネル予約を早期に回避し、より可能性のある移動局に対してより多くのチャネルを割り当てることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセルラー式通信システムの一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明のセルラー式通信システムの異なる実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図9】本発明のセルラー式通信システムの同報メッセージを示す説明図である。
【図10】本発明のセルラー式通信システムのデータベースを示す説明図である。
【図11】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図13】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図14】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図15】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図16】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【図17】本発明のセルラー式通信システムのさらに異なる実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
X0〜X4 基地局
M,PS1〜PS3 移動局

Claims (15)

  1. 無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて
    前記基地局は夫々、自セルから数セル先に存在する複数の移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を各々算出し、自セルの全チャネル数に対して空きチャネル数が多い場合には、ハンドオーバーされる確率の低い移動局に対してもチャネルが確保されるように、空きチャネル数が少ない場合には、ハンドオーバーされる確率の高い移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするセルラー式通信システム。
  2. 無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて
    前記基地局は夫々、該基地局に近い移動局が存在する場合には、該移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするセルラー式通信システム。
  3. 無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて
    前記複数の移動局は、ハンドオーバーしたセルを構成する基地局に時刻情報を含むハンドオーバーに関する情報を同報し、該ハンドオーバーを受信した基地局は、他の基地局に対して前記時刻情報を同報送信し、
    該時刻情報を受信した基地局は夫々、前記時刻情報から前記移動局の移動速度を算出すると共に、前記移動局の移動速度が速い場合には、該移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするセルラー式通信システム。
  4. 無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて
    前記移動局は夫々、ハンドオーバーしたセルを構成する基地局に時刻情報を含むハンドオーバーに関する情報を同報し、該ハンドオーバーを受信した基地局は、他の基地局に対して前記時刻情報を同報送信し、
    該時刻情報を受信した基地局は夫々、前記時刻情報から前記移動局の移動加速度を算出すると共に、前記移動局の移動加速度が大きい場合には、該移動局に対してチャネルが確保されるように、前記移動局に対してチャネルを割当てるかを決定する基準となる基準確率値を変化させるよう構成されていることを特徴とするセルラー式通信システム。
  5. 無線信号により基地局を介して通話を行う複数の移動局と、各セルを構成し、前記移動局より送信される無線信号を受信すると共に、前記移動局に対して無線信号を送出する複数の基地局とから構成されるセルラー式通信システムにおいて
    前記基地局は夫々、自セルから数セル先に存在する複数の移動局がハンドオーバーしたセルの方向から、それらの移動局が自セルハンドオーバーされる確率を各々算出し、これらの確率から確保すべきチャネル数の期待値を求めて、予めチャネル確保を行うことを特徴とするセルラー式通信システム。
  6. 前記基地局が、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を各々算出するように設定されているとき、ハンドオーバー先のセルを構成する基地局は、(n+1)ステップ先までのセルを構成する基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報し
    前記基地局は夫々、他の基地局から同報された情報から自セルに移動局がハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とする請求項5記載のセルラー式通信システム。
  7. 前記基地局は夫々、ハンドオーバー発生したときに同報する情報に時刻情報を付与し、ハンドオーバーの時刻差から前記移動局の移動速度を判別し、移動速度が速ければnステップの範囲を有する、ハンドオーバーされる確率を算出する確率算出ゾーンと、(n+1)ステップの範囲を有する、ハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを共に大きくすることを特徴とする請求項6記載のセルラー式通信システム。
  8. 前記基地局は夫々、ハンドオーバー発生したときに、自セルから離れていく位置関係にある前記移動局が存在するセルを構成する基地局に対しては、該基地局が自セルから(n+1)ステップの範囲内であっても、ハンドオーバーに関する情報を同報通知しないことを特徴とする請求項6記載のセルラー式通信システム。
  9. 前記基地局は夫々、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにンドオーバーされる確率を各々算出する確率算出ゾーンと、自セルから(n+1)ステップ先までのセルを構成する各基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを設定し、過去のトラフィック履歴から利用頻度の高いルートを考慮して前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とする請求項5記載のセルラー式通信システム。
  10. 前記基地局は夫々、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにンドオーバーされる確率を各々算出する確率算出ゾーンと、自セルから(n+1)ステップ先までのセルを構成する各基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを設定し、ゾーン単位の遷移確率から前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とする請求項5記載のセルラー式通信システム。
  11. 前記基地局は夫々、前記移動局が有する固有のIDをキーとして、該移動局が自セルにハンドオーバーされる確率を算出することを特徴とする請求項9または請求項10記載のセルラー式通信システム。
  12. 前記基地局は夫々、自セルからnステップの範囲に存在する複数の移動局が自セルにンドオーバーされる確率を各々算出する確率算出ゾーンと、自セルから(n+1)ステップ先までのセルを構成する各基地局に対してハンドオーバーに関する情報を同報する同報ゾーンとを設定し、前記移動局の呼が終了したとき、または、前記移動局が前記確率算出ゾーン外のセルにハンドオーバーしたときに、前記同報ゾーン内の基地局に対して通知を行うと共に、チャネル確保を解除することを特徴とする請求項1記載のセルラー式通信システム。
  13. 前記基地局は夫々、前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率が所定値以上であっても、所定時間内に自セルに対してハンドオーバーされなかったときには、タイマのタイムアウトによりチャネル確保を解除することを特徴とする請求項1記載のセルラー式通信システム。
  14. 前記基地局は夫々、前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率が所定値以上であっても、所定時間内にどのセルに対してもハンドオーバーされなかったときには、タイマのタイムアウトによりチャネル確保を解除することを特徴とする請求項1記載のセルラー式通信システム。
  15. 前記基地局は夫々、前記移動局が自セルにハンドオーバーされる確率が所定値以上であっても、自セルから離れていく方向のセルに前記移動局がハンドオーバーされたときには、チャネル確保を解除することを特徴とする請求項1記載のセルラー式通信システム。
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