以下の説明では、本明細書の一部を形成し、かつ実施可能な特定の例を実例として示す添付図面を参照する。本開示の例の範囲から逸脱することなく、他の例を使用することができ、かつ構造上の変更を行うことができることを理解されたい。
これは、化学分析システム、およびその使用方法に関し、特に、加熱脱離装置を含む化学分析システム、およびガスクロマトグラフィ(GC)およびガスクロマトグラフィ質量分析(GCMS)などの技術と組み合わせたその使用方法に関する。いくつかの例では、化学分析システムは、サンプル容器、脱離装置、第1のカラムおよび第2のカラムを収容するサーマルチャンバ、コントローラによって制御される複数のバルブ、および検出器を含むことができる。
サンプルの予熱中、脱離装置は、摂氏80度から400度(例えば、80から120、200から300、120から300、120から400など)の範囲の脱離温度まで加熱でき、一方、カラムは摂氏30−50度の範囲内の開始温度にある。いくつかの例では、予熱中、サンプル容器、脱離装置、および第1のカラムを通る流れを避けることができるが、キャリア流体は第2のカラムを通ることができる。サンプルの1つ以上の化合物(例えば、水蒸気)は、予熱中に膨張して第1のカラムに入り、サンプルの予熱が終わるまで凝縮し得る。このようにして、サンプルの予熱中に、第2のカラムへのサンプルの事前注入を回避できる。
サンプル容器と第1のカラムに流れがなく予熱した後、サンプルの調製と脱離の流れが発生すると、サンプルは第1のカラムから第2のカラムにすばやく移動できる。第1のカラムの長さにより、化学分析装置によって制御される圧力と流れを安定させることができ、第1のカラムと第2のカラムの接続部でサンプルのより正確な分離を生成し得ることによって、分析の一貫性と性能が大幅に向上する。
サンプルの脱離後、サーマルチャンバは、第1のカラムおよび第2のカラムを経時的に摂氏200から300度程度の脱離温度まで加熱して、カラムから化合物を溶出させることができる。例えば、第2のカラムから1つ以上のサンプル化合物を溶出すると、注入された化学物質の化学的な分離を生じ得る。脱離には、サンプルの一部または全てをサンプル容器から第1のカラムに移すこと、サンプルの一部または全てを第1のカラムから第2のカラムに移すこと、および第2のカラムから検出器に、を容易にすることができる、スプリット移送またはスプリットレス移送を含む。このようにして、いくつかの例ではサンプルの一部が検出器に到達し、残りのサンプルは、第1のカラムからサンプル脱離装置に接続された第1のスプリットバルブにバックフラッシュされるか、または第1のカラムおよび第2のカラムの接続部に接続された第2のスプリットバルブを通り出る。クリーンアップ中に、第1のカラムに残っている1つ以上の対象でない化合物をシステムからバックフラッシュしたり、サンプル容器に残っている1つ以上の対象でない化合物をシステムから焼き出ししたりできる。
本明細書に記載のシステムおよび方法は、サンプルの1つ以上の対象化合物を予熱および脱離し、第2のカラムまたは検出器に入ることなくシステムから水および不要なマトリックスを実質的に除去できる。サンプルは第1のカラムに迅速に移動できるため、ピーク幅が減少し、そのため、システムのクロマトグラフ分離能が向上する。水を減らし、かつ化学分析装置から不要な重化合物を第2のカラムおよび検出器に入る前に除去すると、検出器における信号抑制を防ぎ、およびクリーンアップ時間を短縮しながら、第2のカラムと検出器の双方の汚染を減らすことができる。
図1は、本開示の例に係る例示的なガスクロマトグラフィ(GC)構成100を図示する。構成100は、ガスクロマトグラフィ(GC)またはガスクロマトグラフィ質量分析(GCMS)を使用してサンプル中の1つ以上の化合物を決定するよう使用されことができ、かつサンプル102、脱離装置104、および化学分析装置106を含むことができ、サンプル調製装置107、化学分離装置108、および検出器110を含むことができ、これらの全てについて以下に説明する。
サンプル102は、GCまたはGCMSが実施される、いくつかの対象に対応し得る。いくつかの例では、サンプル102は、1つ以上のテドラーバッグ、1つ以上の真空支援吸着剤抽出(VASE)装置、1つ以上の拡散性のサンプル収集装置、1つ以上のアクティブサンプリング装置、またはEPAメソッドTO15で説明されているような1つ以上の真空サンプリングステンレス鋼キャニスタのような、任意の適切な手段によって収集された気相サンプルから1つ以上の化学物質を濃縮した吸着剤を含むことができる。具体的には、吸着剤によって保持される揮発性および半揮発性ガス化合物は、屋外または屋内の空気、プロセスストリーム、スタックガス、埋立地ガス、バイオ廃棄物ガス、呼気サンプル、または液体または固体サンプルの上のヘッドスペースにある化学物質の集まりである。ヘッドスペース測定には、血液、尿、飲料水および廃水、土壌、消費者製品、木材、プラスチック、複合材料などの分析が含まれる。構成100は、吸着剤の使用によりオプションとして収集される食品および飲料(ワイン、ビール、清涼飲料)の香り、臭気、および腐敗の分析にさらに使用できる。いくつかの例では、サンプル102は、例えば、高温で分析されるよう直接脱離される材料を含み得る(例えば、材料から発する1つ以上の揮発性物質または半揮発性物質を分析するため)。直接脱離は、プラスチックやその他の合成物、消費者製品(汚染物質や臭気を検出するなど)、高温のアロマプロファイルが不快な臭気または対象のその他の化合物の特性と共に対象(タバコや他の製品など)である製品、およびその他の化合物で実施され得る。場合によっては、規制汚染物質も検出および測定できる。
サンプル容器内に保持することができるサンプル102は、化学分析装置106に脱離(例えば、熱脱離)される前に脱離装置104に入ることができる。いくつかの例では、サンプル容器は、脱離装置104を介して化学分析装置106に流体的に結合され得る。脱離およびサンプル調製プロセス中に、サンプル内の対象の化合物を濃縮し、および他の化合物の中の水蒸気やアルコールなどの不要な化合物を、脱離装置104によって、化学分離108ステージの前に、凝縮、バックフラッシュ、および/または分割により、システムから部分的または大部分を除去することができる。脱離装置104の例示的な詳細は、図3−8Bを参照して説明される。
化学分析装置106は、例えば、サンプル102の組成を決定するように、サンプルが脱離装置104から移送された後、サンプル102における化学分析を実施できる。いくつかの例では、化学分析装置106は、サンプル102のGCおよび/またはGCMSを実施してサンプル102の組成を決定する装置であり得る。
化学分析装置106は、1つ以上のカラム(例えば、2つのカラム、または3つ以上のカラム)を含むことができる。いくつかの例では、化学分析装置106に含まれる2つのカラムの第1のカラムは、図3−8を参照して以下で説明されるように、サンプル調製107で使用され得る。サンプル調製107は、水管理、マトリックス管理、および、例えば、第1のカラムから第2のカラムに続いて起こるスプリットレスデリバリのため、オプションとしてサンプルの1つ以上のターゲット化合物(例えば、微量分析用の重化合物)の濃度を含むことができる。2つのカラムの第1のカラムを使用して1つ以上の水管理を実施し、対象の重化合物に焦点を合わせ、および余分な水または対象外の重化合物をバックフラッシュすることにより、化学分析装置106(GCまたはGC−MSなど)はサンプル調整107を実施できる。化学分析装置106の内部でサンプル調製を行うと、冷接点やプラスチックバルブロータが存在し得る外部サンプル調製に比べて、分離カラムへの流路の長さを短くすることができ、それによって構成を清潔に保つことができる。この配置により、サンプルの流路の長さを短縮できるため、化学分析装置106の外部でサンプル調製を行うシステムと比較して、構成を清潔に保ち、メンテナンスを容易にし、および、より高いレベルで長時間実施できる。
いくつかの例では、化学分析装置106は、化合物をさらに分離することなくサンプル調製装置107を化学検出器110に直接結合することができる。いくつかの例では、化学分析装置106は、化学分離装置108(例えば、2つのカラムの第2のカラム、または2つ以上カラムの第2以上のカラム)をさらに含むことができる。調製されたサンプル102は、それらの特性(例えば、質量、揮発性、化学親和性など)に基づいてサンプル102内の化合物を分離することができる、化学分離108を通過することができる。いくつかの例では、化学分離装置108は、1つ以上の吸着剤を含むことができ、および濃縮サンプル102が通過できる1つ以上のキャピラリカラムであり得る。
最後に、化学分離装置108での分離後、サンプル102内の化合物は、化学分離装置108を出て、検出器110によって検出され得る。検出器110は、化学分離装置108を出る化合物の存在および/または同一性を検出するための任意の適切な検出器であり得る。例えば、検出器110は、質量分析計(例えば、GCMS構成内)であり得る。検出器は、例えば、FID、PID、ECD(電子捕獲検出器)、PDD、ELCD、CLD、またはFPDなどの非特異的検出器、またはIR、UV、およびVUVなどの分光法ベースの検出器であり得る。いくつかの例では、他の検出器タイプが可能である。サンプル102内の異なる化合物は、化合物の1つ以上の特性(例えば、質量、揮発性、化学親和性など)、および化学分離装置108の1つ以上の特性(例えば、キャピラリカラムの内径、キャピラリカラム内の吸着剤など)に応じて異なる時間で化学分離装置108を出ることができる。したがって、構成100は、サンプル102の化学分析(例えば、GCまたはGCMS)を実施して、サンプル102の組成を決定するために使用することができる。
脱離装置104の温度は、化学分析装置106の1つ以上の構成要素の温度とは別個に制御可能である。例えば、脱離装置104は、隔離された温度制御ゾーンを含むか、または熱的に結合されている。すなわち、脱離装置104の温度は、化学分析装置106の温度とは別個に制御することができる(例えば、化学分離108ステージ、または化学分析装置に含まれる1つ以上のカラム)。一連のバルブは、脱離装置104から化学分析装置106へのサンプルおよび/または1つ以上のキャリア流体の流れを制御または制限することができる。
脱離装置104は、例えば、交換可能なライナーをさらに含むことができる。いくつかの例では、交換可能なライナーは、ガラス、溶融シリカ、または不活性材料(例えば、サイロナイト)でオプションとしてコーティングされたステンレス鋼などの材料を含む。脱離装置104の交換可能なライナーは、化学分析構成100の汚染を低減する低コストの方法を提供する。いくつかの例では、脱離装置104のライナーを交換すると、実質的に分解せずに比較的低コストで脱離装置104を通る清潔なサンプル経路が回復する。加えて、化学分析装置106の1つ以上の構成要素(例えば、サンプル調製107で使用されるカラム)を交換して、経時的な化合物の蓄積によって引き起こされる汚染を低減することができる。このようにして、サンプル調製107に使用したカラムを交換することは、化学分離108のカラムに到達する汚染を減らす。
図2は、本開示の例に係る例示的なサンプル容器200を図示している。いくつかの例では、図1に図示するように、サンプル容器200は、構成100のサンプル102を提供するために使用されることができる。本開示の範囲から逸脱することなく、3.5インチの熱脱離チューブなどの他のサンプル容器が可能である。一例として、サンプル容器200は、1/32インチから3/8インチの間の直径(例えば、サンプル容器の外径または内径)を有することができる。いくつかの例では、他の寸法が可能である。サンプル容器200は、例えば、以下で説明するように様々なチャネルおよび/または空洞を含むチューブ状構造を含むことができる。いくつかの例では、サンプル容器200は、ステンレス鋼または別の適切な材料(例えば、実質的に不活性な材料)から製造され得る。サンプル容器200の表面の全部または一部は、例えば、化学蒸着(CVD)−堆積セラミックでコーティングされて、サンプル容器200の不活性度を増加させることができる。サンプル容器200の不活性度を同様に増加させる他のコーティングを同様に使用することができる。
サンプル容器200は、下部空隙220を含むことができる。いくつかの例では、下部空隙220は、例えば、吸着剤または吸収剤であり得る吸着剤202を含むことができる。吸着剤は、例えば、Tenax TA、Tenax/Carboxen、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PLOT Q、および/またはカルボセンの組成の範囲である内径0.53 mmの多孔質層オープンチューブラ(PLOT)カラムの短片、または、サンプル収集装置200によって収集されるサンプルに基づいて選択できる他の吸着剤であり得る。以下で説明するように、いくつかの例では、分析のためにサンプルを収集するために吸着剤202を選択することができる。いくつかの例では、吸着剤202は、サンプル容器200の抽出端212に向かって配置することができる。すなわち、吸着剤202は、サンプル抽出装置のバルブ端214よりもサンプル容器200の抽出端212により近くなり得る。サンプル容器200の抽出端212は、以下により詳細に説明されるように、制御されたサンプル容器が下部空隙220に入ることができ、かつ吸着剤202に吸着または吸収できるように、サンプル容器の環境に開放することができる。いくつかの例では、下部空隙220は、熱分析が実施される材料を含むことができる。そのような例では、下部空隙220は、容器200の残りの部分から取り外されるように設計することができる。このようにして、下部空洞220は、分析後に充填、脱離され、および再充填または廃棄され得る。
サンプル容器200のバルブ端214(例えば、サンプル容器200の抽出端212の反対側)で、サンプル容器200は、例えば、シーリングプランジャ204、バネ205、および内部シール206を含むことができる。内部シール206は、例えば、フルオロエラストマーシール、ペルフルオロエラストマーシール、または任意の他の適切なシールであり得る。いくつかの例では、シーリングプランジャ204および内部シール206は、シーリングプランジャ204/内部シール206と下部空隙220/吸着剤202との間の内部チャネル230を通る流体(例えば、気体、液体など)の流れを選択的に制限することができる。例えば、シーリングプランジャ204がシール206に押し付けられると、サンプル容器200を通る流体の流れを制限することができ、およびシーリングプランジャ204がシール206から遠ざけられるか、さもなければ分離されると、サンプル容器200を通る流体の流れは制限され得ない。いくつかの例では、デフォルトの構成では、シーリングプランジャ204をシール206に押し付けて、サンプル容器200を通る流体の流れを制限できるように、スプリング205を介してシール206に対してシーリングプランジャ204を引っ張ることができる。いくつかの例では、バネ205は、化学蒸着(CVD)プロセスを使用してセラミック材料でコーティングされた316ステンレス鋼などの非反応性材料から製造することができる。サンプル容器200を通る流体の流れ(例えば、真空源に引き込まれる空気または加圧容器により許容されるキャリア流体)は、シーリングプランジャ204をシール206から遠ざけることにより(例えば、上からのピン、または他の手段のような機械的手段)許容される。例えば、真空源をバルブ端214でサンプル抽出装置100に結合して、シーリングプランジャ204を開き、かつシーリングプランジャ204、内部チャネル230、および下部空隙220を通して真空を引くことができる。加えて、いくつかの例では、シーリングプランジャ204は、開いたままで(例えば、連続真空排気中)、水またはアルコールなどの不要なマトリックスを、吸着剤202を通るサンプルから蒸発させることができる。
一例として、以下により詳細に説明するように、サンプルをサンプル容器200に収集することができるサンプル抽出プロセス中、真空は、シーリングプランジャ204、内部チャネル230、および下部空隙220を介して引き込まれ、下部空隙220内の吸着剤202によってサンプル収集を促進することができる。サンプルがサンプル容器200によって収集された後、シーリングプランジャ204は閉じたままであり(例えば、それはサンプル収集中であり得るので)、および、サンプルを環境から隔離して、サンプルを抽出と分析の間でサンプル容器200内に保管することができる。例えば、バネ205は、シーリングプランジャ204を開く機械力が存在しない場合にシーリングプランジャ204を閉じたままにすることができる。保管中、サンプル容器200は、サンプルの汚染を防ぐために隔離スリーブに保管することができる。
続いて、いくつかの例では、図3−8Bを参照して以下に説明するように、化学分析プロセス中に、キャリア流体をシーリングプランジャ204を介して内部チャネル230および下部空隙220に、および化学分析装置106に導入して、吸着剤202から化学分析装置106にサンプルの急速な脱離を可能にすることができる。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析プロセス中に、キャリア流体は、脱離ポート232を介して(例えば、シーリングプランジャ204を通る代わりに)、内部チャネル230および下部空隙220に、および化学分析装置106に導入され得る。
いくつかの例では、脱離ポート232は、下部空隙220およびサンプル容器200の外部と流体連通することができる。好ましくは、脱離ポート232の開放端は、例えば、サンプル抽出装置100が別の物体(例えば、脱離装置またはサンプルバイアル)に対してシールされるときに、ポート232が閉じられるように、外部シール208の間に位置することができる。いくつかの例では、サンプル容器200の他の場所のポートが可能である。
サンプル容器200は、例えば、1つ以上の外部シール208をさらに含むことができる。外部シール208は、エラストマー材料で作ることができ、およびフルオロエラストマーシールまたはパーフルオロエラストマーシールにすることができる。いくつかの例では、外部シール208は、V1tonTMシールまたは他の適切なシールであり得る。外部シール208は、端部212と214の間のサンプル容器200の外側に配置することができる。外部シール208は、例えば、サンプル容器200の外側の周りに取り付けられた1つ以上のガスケットまたはOリングを含むことができる。いくつかの例では、外部シール208を使用して、サンプル容器200と、サンプル脱離プロセス中にサンプル容器200を挿入できる脱離装置(例えば、脱離装置104)との間にシールを形成することができる。
図3は、本開示の例に係る例示的な化学分析システム300を図示している。いくつかの例では、化学分析システム300は、サンプル容器310、脱離装置320、サーマルチャンバ330(例えば、ガスクロマトグラフ用の温度制御オーブン)、複数のバルブ342−348、圧力/流量コントローラ350、および検出器360を含む。化学分析システム300は、脱離装置ヒータ326、サーマルチャンバ330、およびバルブ342−348などの化学分析システムの1つ以上の構成要素の動作を制御するための非一時的なコンピュータ可読媒体に収容されたソフトウェアおよび/または命令を実行する1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)(図示せず)をさらに含むことができる。
サンプル容器310は、例えば、サンプル容器200に対応することができる。他のサンプル容器も可能である。いくつかの例では、サンプル容器310は、シール312および脱離ポート314を含むことができる。サンプル容器310を使用して、分析前にサンプルを抽出、保存、および移送することができる。サンプル容器310は、図3に示されていないサンプル容器200の1つ以上の構成要素をさらに含むことができる。化学分析プロセス中、サンプル容器310は、脱離装置320を介して化学分析システムに結合することができる。脱離およびサンプル調製プロセス中に、サンプルの1つ以上の化合物を、サンプル容器310に含まれる吸着剤から第1のカラム332に放出することができる。
脱離装置320は、例えば、ライナー322、任意の導電性スリーブ324、スプリットポート325、ヒータ326、およびヒートシンク328を含むことができる。いくつかの例では、ライナー322が不活性または非反応性材料(例えば、ガラスまたはステンレス鋼)を含むことができる。オプションとして、ライナー322は、不活性または非反応性コーティング(例えば、サイロナイト)をさらに含む。ライナー322を取り外して交換することにより、化学分析システム300の複数の使用にわたって蓄積し得る化合物を除去することができる。このように、ライナー322を交換することにより化学分析システムを汚染除去することができる。いくつかの例では、ヒータ326は、絶縁材料によって取り囲まれたコイルヒータを含むことができ、脱離装置320を熱的に隔離し、かつ温度制御できるようにする。サンプル容器310は、例えば、ヒータ326を含む脱離装置320の両方に熱的に結合することができる。このようにして、ヒータは、脱離装置320を加熱するときにサンプル容器310を加熱することができる。オプションとして、脱離装置320は、サンプル容器310がヒータ326との改善された熱接触を可能にすることができる導電性スリーブ324を含むことができる。導電性スリーブ324は、導電性材料(例えば、アルミニウムまたは銅)を含むことができ、およびサンプル容器310を収容する内径、およびヒータ326によって収容できる外径を有するサイズにすることができる。いくつかの例では、脱離装置は、さらにヒートシンク328を含む。いくつかの例では、導電性スリーブ324をヒータ326内に配置することができ、脱離チューブを導電性スリーブ内に配置することができ、ライナー322を脱離チューブ内に配置することができ、およびサンプル容器310をライナー内に配置することができる。いくつかの例では、脱離チューブはサンプル容器310との空気圧シールを作成し、化学分析装置(例えば、第1のカラム332、第2のカラム334、および検出器360)への送達のために含まれるキャリア流体およびサンプルを保持する。脱離チューブは、ヒートシンク328に取り付けられた上部の方が下部よりも厚くすることができる。上部よりも薄い厚さを有することができる脱離チューブの下部は、任意の導電性スリーブ324またはヒータ326と接触することができる。脱離チューブは、第1のカラム332が漏れ止め接続を行うことができる底部に圧縮フィッティングを有することができる。スプリットポート325は、サンプル容器310(例えば、第1のカラム332に連結された端部)の送達端(例えば、抽出端212)を第1のスプリットバルブV3 346に接続するチャネルを作成することができる。
いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、接続部333で第2のカラム334に結合された第1のカラム332、およびキャリア流体336(例えば、キャリアガス)を収容する。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、対流式オーブンまたは第1のカラム332および第2のカラム334を加熱することができる別の温度制御された容器であり得る。サーマルチャンバ330の温度および動作は、化学分析システムを操作するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された1つ以上のプログラムを実行する化学分析システム300に動作可能に結合された1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)によって制御することができる。特定の実施形態では、以下に説明するように、サーマルチャンバ330は、第1のカラム332および第2のカラム334を含むガスクロマトグラフ用の温度制御オーブンである。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、サーマルチャンバ330の温度を高温(例えば、第1のカラム332から第2のカラム334へ、および/または第2のカラム334から検出器360へと1つ以上の化学物質を溶出させる温度)からより低い温度まで下げるために開くことができる1つ以上のベントを含むことができる。
キャリア流体336は、不活性または非反応性ガスを含むことができる。第1のカラム332として使用できる例示的なタイプのカラムは、サイロナイト被覆チューブおよび薄膜キャピラリチューブのカラムを含むが、他のタイプのカラムを使用することができる。第1のカラム332は、時間の経過とともに第1のカラムに蓄積された1つ以上の化学物質を廃棄するために取り外して交換することができ、それにより後続の分析で使用する新しい流路を作成する。
第1のカラム332は、例えば、0.01−0.04インチ(0.25−1mm)、0.02−0.04インチ(0.5−1mm)、0.01−0.013インチ(0.25−0.33mm)、または0.01−0.02インチ(0.25−0.53mm)の範囲の内径を有し得る。第1のカラム332は、例えば、0.2から2メートルまたは5メートルまでの範囲の長さを有し得る。本開示の範囲から逸脱することなく、第1のカラム332の他の寸法が可能である。いくつかの例では、分析対象の化合物に応じて、化学分析システム300をカスタマイズし、および/または数回使用した後に第1のカラム332に蓄積した汚染物質を除去するために、第1のカラム332を取り外して交換することができる。第1のカラム332の容積は、例えば、化合物の第2のカラム334への事前装填を可能にすることなく、サンプルの予熱および/または脱離中のサンプルの1つ以上の化合物の膨張に対応するのに十分であり得る。いくつかの例では、第1のカラム332の容積は、第1のカラム332を通って接続部333へ、および第2のカラム334への流れが開始される時間の間の遅延を誘発するのに十分である。この遅延は、例えば、サンプルが接続部に到達する前に、接続部333を通る流れ、接続部での圧力、および第2のカラム334および第2のスプリットバルブV4 348(開いている場合)への流れの間のスプリット比を安定させるための時間を提供できる(所定のレベルまたは所定のレベルの閾値内のレベルに到達)。すなわち、いくつかの例では、サンプルが接続部333に到達すると、流量は所定の流量の閾値内にあり、圧力は所定の圧力の閾値内にあり、分割比は所定の分割比の閾値内にある。圧力、流量、および分割比のこのような一貫性により、化学分析システム300は再現可能な分析を実施できる。
第2のカラム334は、例えば、0.007から0.013インチ(0.18−0.32mm)の範囲の内径、例えば、約0.01インチ(0.25mm)の内径を有することができる。第2のカラムは、15から30メートルまたは30から60メートルの範囲の長さを有することができる。本開示の範囲から逸脱することなく、第2のカラム334の他の寸法が可能である。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、脱離装置320とは別個の熱的に隔離され温度制御されたゾーンである。すなわち、サーマルチャンバ330の温度を制御して、第1のカラム332および第2のカラム334の温度を、脱離装置320内のサンプル容器の温度とは別に設定することができる。
複数のバルブは、例えば、脱離バルブV1 342、バイパスバルブV2 344、第1のスプリットバルブV3 346、および第2のスプリットバルブV4 348を含むことができる。いくつかの例では、バルブ342−348は、化学分析システムを操作するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された1つ以上のプログラムを実行する化学分析システム300に動作可能に結合された1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)によって制御することができる。脱離バルブV1 342は、脱離ポート314を介してサンプル容器310に流体連結することができ、および第1のスプリットバルブV3 346は、例えば、スプリットポート325で熱脱離器320を介してサンプル容器310に流体連結することができる。バイパスバルブV2 344は、例えば、接続部333での第1のカラム332の出口でのキャリア流体336の供給を選択的に迂回(例えば、流体的に連結および分離)することができる。いくつかの例では、バイパスバルブV2 344が開いている場合、サンプル容器310からの熱膨張および/または拡散により(例えば、サンプル容器310の予熱中に)、第1のカラム332に入った化合物は、第2のカラム334に入るのではなく、第1のカラムに残る。第2のスプリットバルブV4 348は、例えば、第1のカラム332の出口の一部または大部分を、第2のカラム334への流れの残りと接続部333で化学分析システムの第2のスプリットポートに選択的に迂回(例えば、流体的に連結および分離)することができる。いくつかの例では、第1のスプリットバルブV3 346および第2のスプリットバルブV4 348をスプリット制御352に結合することができる。スプリットコントロール352は、例えば、第1のスプリットバルブV3 346および/または第2のスプリットバルブV4 348を通る圧力および/または流れを制御することができる。いくつかの例では、サンプルに含まれる1つ以上の化合物は、第2のカラム334または検出器360に実質的に入ることなく化学分析システム300から出ることができる。バルブ342−348の動作は、化学分析システム300に動作可能に結合された1つ以上のコントローラ、プロセッサ、またはコンピュータによって制御することができる。バルブ342−348の動作のタイミングは、図4−8Bを参照して以下に説明される。
いくつかの例では、化学分析は、図1を参照して説明した検出器110に対応することができる検出器360で実施することができる。検出器360は、GC、GC−MS、または他の分析技術を実施して、化学サンプルに含まれる1つ以上の化合物の濃度を決定できる。
図4は、本開示の例に係る化学分析を実施する例示的なプロセス400を図示している。プロセス400は、サンプルの任意の予熱402、化学分析装置へのサンプルの脱離を含む脱離およびサンプル調製404、および化学分析後の分析およびクリーンアップ406のステップを含む。プロセス400を実施する特定の例は、以下の図5A−8Bを参照して説明される。いくつかの例では、図4−8Bを参照して説明した任意のプロセスの任意のステップを実行、開始、制御、または支援するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアおよび/または命令を1つまたは複数のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)が実行する。
任意の予熱402の間、脱離装置320は、摂氏30から70度の範囲の開始温度から80から400(例えば、80から120、200から300、120から300、120から400など)の範囲の脱離温度まで加熱することができ、一方、サーマルチャンバ330(およびそれにより第1のカラム332および第2のカラム334)は、摂氏30から50度の範囲の開始温度にある。このようにして脱離装置320を加熱すると、例えば、サンプル容器310を加熱することができる。いくつかの例では、脱離装置320は摂氏150度ほどの初期温度を有することができ、およびサンプル容器310は摂氏25から35度の範囲の初期温度(すなわち、室温)を有することができる。サンプル容器310および脱離装置320の他の初期温度が可能である。
いくつかの例では、予熱402の間、バイパスバルブV2 344および第2のスプリットバルブV4 348を開くことができ、および脱離バルブV1 342および第1のスプリットバルブV3 346を閉じることができる。そのような構成は、サンプル容器310および第1のカラム332に加圧されているがゼロの流れ状態を作り出すことができる。このようにして、予熱中に膨張し得るサンプルの1つ以上の化合物は、第2のカラム33に入ることなく第1のカラム332に入ることができる。これらの化合物が第1のカラム332に入ると、サーマルチャンバ330の温度が比較的低いために再凝縮する可能性がある。すなわち、第1のカラム332の容積は、サンプル予熱中の膨張、および、いくつかの例では、1つ以上の化合物のいくらかの凝縮に対応することができる。予熱中にこのように動作することができる開示の例は、図5A−Bを参照して以下で説明される。
いくつかの例では、予熱402の間、バイパスバルブV2 344を開くことができ、および脱離バルブV1 342、第1のスプリットバルブV3 346、および第2のスプリットバルブV4 348を閉じることができる。このように、予熱中に膨張し得るサンプルの1つ以上の化合物は、第2のカラム334に入ることなく、第1のカラム332に入ることができる。これらの化合物が第1のカラム332に入ると、サーマルチャンバ330の温度が比較的低いために再凝縮する可能性がある。すなわち、第1のカラム332の容積は、サンプルの予熱中の1つ以上の化合物の膨張および凝縮に対応することができる。予熱中にこのように動作することができる開示の例は、図7A−8Bを参照して以下で説明される。
脱離およびサンプル調製404中、脱離装置320は、脱離温度に留まることができ、一方、サーマルチャンバ330はその開始温度(例えば、摂氏30から50度)に留まることができる。脱離中、1つ以上の化合物は、サンプル容器310から第1のカラム332へ、第1のカラム332から第2のカラムへ、および/または第2のカラム334から検出器360へ移動することができる。オプションとして、以下で説明するように、脱離およびサンプル調製404中に、第1および第2のスプリットバルブV3 346およびV4 348の1つ以上を開くことができる。
いくつかの例では、脱離およびサンプル調製404の間、脱離バルブV1 342および第2のスプリットバルブV4 348を開くことができ、および、バイパスバルブV2 344および第1のスプリットバルブV3 346を閉じることができる。このようにして、サンプル中の1つ以上の化合物は、サンプル容器310から第1のカラム332へ、第1のカラム332から第2のカラム334へ、および第2のカラム334から検出器360へ移動することができる。脱離およびサンプル調製404中に第2のスプリットバルブV4 348を開くと、サンプルの一部が化学分析装置300から出ることができ、かつ第1のカラム332を通る流量を増加させることができ、これにより、それらは第2のカラム334に移送されるので、化合物のバンド幅を減少させることができる。例えば、第2のスプリットバルブV4 348を開いてサンプルを分割すると、第2のカラム334に移送されるサンプルの量を減らすことで、第2のカラム334への負荷を最適化できる(例えば、容器310はカラム334の化学容量よりも大きい化学容量を有することができ:したがって、最終的に第2のカラム334に移送されるサンプルの量を減らすことは有益である)。バイパスバルブV2 344を閉じ、および脱離バルブV1 342と第2のスプリットバルブV4 348を開くことで流れを変更すると、圧力コントローラ340が所望の設定値を再確立できるまで、キャリア流体の圧力を一時的に無効にできる。しかしながら、第1のカラム332の使用と、第1のカラムと第2のカラム334の間の接続部333に到達する脱離サンプルの遅延の遅延により、圧力の安定化と、その後の第2のスプリットバルブV4 348と第2のカラム334の間の正確な分割を可能とし、それによりシステムの再現性が向上する。サンプルの調製および脱離404中に、このように動作する本開示の例は、図5A−8Bを参照して以下に説明される。この構成では、少なくとも脱離404プロセスの一部の間、水蒸気は第1のカラム332上で凝縮したままであり得る。
分析およびクリーンアップ406中に、第1のカラム332およびサンプル容器310をバックフラッシュおよび/または焼き出すことができ、第2のカラム334および/または検出器360に移送されない残りの化合物を除去することができる。例えば、1つ以上の重化合物は、脱離404を通じて第1のカラム332に残ることができ、およびクリーンアップ406中に除去することができる。このとき、サーマルチャンバ330は、例えば、摂氏80から400度、または摂氏200から300度の範囲の最終温度まで、経時的に第1のカラム332および第2のカラム334を徐々に加熱することができる。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、毎分摂氏6度程度の速度で温度を上げることができる。サーマルチャンバ330の最終温度は、脱離装置320の脱離温度と同じでも異なっていてもよい。
いくつかの例では、分析およびクリーンアップ406中に、脱離バルブV1 342、バイパスバルブV2 344、および第1のスプリットバルブV3 346を開いて、および第2バイパスバルブV4 348を閉じることができる。この構成により、第1のカラム332がバックフラッシュされ、それにより、第1のカラム332に残っている過剰な凝縮水または対象でないより重い化合物を除去することができる。例えば、第1のカラム332に残っている可能性がある水蒸気および対象でない重化合物は、化学分析システム300から除去することができる。クリーンアップ406中に、このように動作することができる本開示の例は、図5A−6Bを参照して以下で説明される。
いくつかの例では、分析およびクリーンアップ406中に、脱離バルブV1 342および第2のスプリットバルブV4 348を閉じることができ、およびバイパスバルブV2 344および第1のスプリットバルブV3 346を開くことができる。この構成では、流れが第2のカラム334を介して継続して、検出器360に対象の化合物を溶出することができ、一方、対象ではない化合物を含み得る第1のカラム332を第1のスプリットバルブV3 346からバックフラッシュできる。分析およびクリーンアップ406中に、このように動作することができる本開示の例は、図7A−7Bを参照して以下で説明される。
いくつかの例では、分析およびクリーンアップ406中に、脱離バルブV1 342および第1のスプリットバルブV3 346を開くことができ、およびバイパスバルブV2 344および第2のスプリットバルブV4 348を閉じることができる。このようにして、サンプル容器310は、第1のカラム332内に含まれる1つ以上の化合物が第2のカラム334に移動できる間、焼き出すことができる。クリーンアップ406中に、このように動作する本開示の例は、図8A−8Bを参照して以下で説明される。
図5Aは、本開示のいくつかの例に係る化学分析を実施するための例示的なプロセス500を図示している。プロセス500は、真空支援吸着剤抽出(VASE)を使用して抽出された水サンプル内の揮発性化合物(揮発性有機化合物またはVOCなど)の分析や、VASEを使用して抽出された食品および飲料サンプルの分析などの用途で使用できる。そのような対象の化合物は、例えば、摂氏−50度から摂氏230度の範囲、または摂氏400度以上の沸点を有し得る。いくつかの例では、サンプル中の1つ以上の対象の化合物の濃度は、0.5から100ppbまたは0.005から100ppbの範囲である。
プロセス500は、構成100または化学分析システム300などの化学分析システムを使用して実施することができる。一例として、プロセス500を実施するとき、第1のカラム332は、内径が0.02から0.04(0.5から1mm)インチの範囲で、かつ長さが0.2から2メートルのサイロナイト被覆チューブであり得、および第2のカラム334は、30から60メートルの範囲の長さで、0.007から0.013インチ(0.18から0.32mm)の範囲の内径を有することができる。いくつかの例では、他のカラムのタイプおよび寸法が可能である。いくつかの例では、プロセス500中の任意のステップにおいて、実行、開始、制御、または支援するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアおよび/または命令を1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)が実行する。
サンプル容器310およびサーマルチャンバ330がそれぞれの開始温度にある間、バイパスバルブV2 344および第2のスプリットバルブV4 348を開くことができる(プロセス500のステップ502)。いくつかの例では、脱離装置320の開始温度は摂氏30から70度(例えば、60から70)の範囲であり得、およびサーマルチャンバの開始温度は、摂氏30から50(例えば、35から50)の範囲であり得る。化学分析システム300が次の分析を開始する準備ができるまで、時間が経過し得る。いくつかの例では、化学分析システム300は、次の分析を開始する準備ができたときに、READY信号を送信するGCまたはGCMSを含む。
サンプル容器310は、脱離装置320に挿入できる(プロセス500のステップ504)。いくつかの例では、サンプル容器310を挿入することは、以前の分析で使用されたサンプル容器または「ブランク」サンプル容器を取り外すことを含む。「ブランク」サンプル容器は、吸着剤またはサンプルを含まないが、以前に使用されたサンプル容器の代わりに使用して、サンプルが装填されていないときにシステム300を閉じることができる。
脱離装置320は、脱離温度まで加熱することができ(例えば、摂氏80度から400度または200度から300度)、例えば、ヒータ326を使用する(プロセス500のステップ506)。脱離装置320の加熱には、例えば、1分程度の時間を要することがある。いくつかの例では、脱離装置320を加熱することにより、サンプル容器310も加熱することができる。この間、第1のカラム332はその開始温度(例えば、摂氏30から50度の範囲)に留まることができ、サンプル容器310内で膨張する1つ以上の化合物は、それらが第2のカラムに達すると再凝縮を生じ得る。
脱離バルブV1 342を開くことができ、かつバイパスバルブV2 344を閉じることができる(プロセス500のステップ508)。キャリア流体336は、脱離バルブV1 342を通って流れ、サンプル容器310を通って第1のカラム332に、第1のカラム332から第2のカラム334に、および第2のカラム334から検出器360に流れ、サンプルの一部は、第2のスプリットバルブV4 348を介して化学分析システム300から排出される。いくつかの例では、第2のスプリットバルブV4 348を開いてスプリットトランスファーを実施すると、第1のカラムを通過するサンプルの流量が増加し、それによりクロマトグラフィ分解能が向上する。サンプル移送のスプリット比は、例えば、第2のカラム334と第2のスプリットバルブV4 348との間の4:1から50:1(例えば、4:1から10:1)の範囲であり得る。このようにして、化合物は第1のカラム332から第2のカラム334に迅速に移動することができ、一方、過剰な水および他のマトリックス成分の一部を除去することができる。いくつかの例では、過剰な水と他のマトリックス成分をほとんど除去できる。脱離中に第2のスプリットバルブV4 348を開くと、対象の全ての化合物の第2のカラム334への送達時間が短縮され得、それによってバンド幅が減少し、およびクロマトグラフの分解能が向上する。例えば、第2のスプリットバルブV4 348がオフで、対象の化合物を完全に脱離して第2のカラム334に移送するために6ccのガスを使用する場合、送達される化合物のため毎分2ecの標準的な第2のカラム流量で3分かかり、非常に軽い化合物が広いバンド幅を有し、強度が低く、かつ互いに分離されない。例えば、毎分30ccでスプリット流れをオンにすることにより(例えば、第2のスプリットバルブV4 348を開くことにより)、脱離装置320を通る6ccの総流量を12秒未満で達成することができ、それにより、化合物を第2のカラム344に12秒未満で送達し、サンプル堆積の狭いバンドを可能とし、これにより、化合物が分離する可能性が高くなる。サンプルの対象の1つ以上の化合物が第1のカラム332から第2のカラム334に溶出し得、一方、水の一部または大部分は第1のカラムで凝縮したままになり得る。
サンプル容器310からのサンプルの脱離が完了すると、第1のカラム332および第2のカラム334は、例えば、サーマルチャンバ330を使用して、最終温度(例えば、摂氏80度から400度または200度から300度)まで経時的に加熱し始めることができる(プロセス500のステップ510)。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、毎分約摂氏6度の速度で徐々に加熱することができる。このように第1のカラム332および第2のカラム334を加熱すると、第1および第2のカラム内の1つ以上の化合物が第1のカラムおよび第2のカラムを通って検出器360に向かって溶出し得、一方で、他の化合物(例えば、水蒸気および/または対象外の重化合物)は、第1のカラム332に残り得る。第2のスプリットバルブV4 348は開くことができるので、第1のカラム332を通る流量は、第2のカラム332を通る流量より高くなり得、第2のカラム内の化合物のバンド幅を減少させる。検出器360へのサンプルの溶出は、3分から60分(例えば、3から6)の範囲内の時間で生じさせることができる。サンプルが検出器360に溶出する時間は、サンプルの複雑さやサーマルチャンバの温度プログラミングなど、多くの要因に依存し得る。
バイパスバルブV2 344および第1のスプリットバルブV3 346を開くことができ、および第2のスプリットバルブV4 348を閉じることができる(プロセス500のステップ512)(例えば、第2のカラム334に移送されたサンプルの一部が検出器360によって検出された後)。サンプル容器310は、焼き出しすることができ、例えば、サンプル容器に残っている1つ以上の化合物が化学分析システム300から出ることを可能にする。この間、サーマルチャンバ330は、その最終温度まで加熱され続けることができる(例えば、第1のカラム332の溶出およびクリーンアップのため)。バイパスバルブV2 344を開くことにより、この時点で第1のカラム332に残っている1つ以上の化合物(例えば、水蒸気および/または対象外の重化合物)を第1のスプリットバルブV3 346からバックフラッシュすることができ、第2のカラム334または検出器360に入らず、化学分析システム300を出る。第2のカラム334に含まれる対象の化合物は、第2のカラムを通って移動し続け、検出器360に溶出することができる。
脱離バルブV1 342および第1のスプリットバルブ346を閉じることができる(プロセス500のステップ514)。いくつかの例では、焼き出し期間が完了した後にステップ514が発生する。
脱離装置320、第1のカラム332、および第2のカラム334を開始温度まで冷却することができる(例えば、ヒータ326は電力をOFFにされ得、または作動を停止され得、およびサーマルチャンバ330は作動を停止され得、および/またはサーマルチャンバの1つ以上のベントは開かれ得る)(プロセス500のステップ516)。前述のように、脱離装置320の開始温度は摂氏30から70度の範囲であり得、およびサーマルチャンバ330の開始温度は摂氏30から50度の範囲であり得る。
したがって、プロセス500は、サンプル容器310からのサンプルから、第1のカラム332および第2のカラム334を介して、検出器360に1つ以上のターゲット化合物を脱離および溶出することができる。水蒸気は、脱離装置320が予熱されている間に、第1のカラム332上で凝縮し得、第1のカラム332を介して第2のカラム334に膨張し続ける能力を低下させる。サンプルの一部を第2のスプリットバルブV4 348と第1のスプリットバルブV3 346で分割すると、溶出の間に、第2のカラム334(および最終的には検出器360)に入ることができる蒸発水蒸気と対象でない重化合物の量を減らすことができる。サーマルチャンバ330がその脱離温度まで加熱されている間に、第2のスプリットバルブV3 346およびバイパスバルブV2 344を開くと、第1のカラムに残っている水蒸気および/または対象でないより重い化合物が、第1のスプリットバルブV3 346を通り、第2のカラム334または検出器360に入ることなく、または、いくつかの例では、汚染することなく、システムを出るように、第1のカラム332からバックフラッシュすることがさらに可能になる。
図5Bは、本開示の例に係る化学分析プロセス500中のバルブ342−348、ヒータ326、およびサーマルチャンバ330の状態を示す例示的な表520を図示している。プロセス500は、予熱530(例えば予熱402)、脱離およびサンプル調製540(例えば、脱離およびサンプル調製404)、および分析およびクリーンアップ550(例えば、分析およびクリーンアップ406)を含むことができる。V1 521(例えば、脱離バルブV1 342)、V2 522(例えば、バイパスバルブV2 344)、V3 523(例えば、第1のスプリットバルブV3 346)、およびV4 524(例えば、第2のスプリットバルブV4 348)の動作、脱離装置(例えば、脱離装置320)の温度525(例えば、ヒータ326により制御される)、および予熱中のカラム1および2(例えば、第1のカラム332および第2のカラム334)温度526(例えば、サーマルチャンバ330により制御される)、脱離540、およびプロセス500のクリーンアップ550について以下で説明する。
予熱530は、プロセス500のステップ502−506を含むことができる。いくつかの例では、予熱530の間、V1 521を閉じること531ができ、V2 522を開くこと532ができ、V3 523を閉じること533ができ、およびV4 524を閉じること534ができる。例えば、脱離装置の温度525は、脱離温度535(例えば、摂氏80から400または200から300度)に加熱することができ、およびカラム1および2の温度526は、開始温度536(例えば、摂氏30から50度)にすることができる。いくつかの例では、脱離装置320を加熱すると、脱離装置に含まれるサンプル容器310も加熱される。
脱離およびサンプル調製540は、プロセス500のステップ508を含むことができる。いくつかの例では、脱離およびサンプル調製540中に、V1 521を開くこと541ができ、V2 522を閉じること542ができ、V3 523を閉じること543ができ、およびV4 524を開くこと544ができる。サンプル容器の温度525は、脱離温度545(例えば、摂氏200から300度)のままであり得、およびカラム1および2の温度826は、開始温度(例えば、摂氏30から50度)のままであり得る。
分析およびクリーンアップ550は、プロセス500のステップ510−512を含むことができる。いくつかの例では、分析クリーンアップ550中、V1 521を開くこと551ができ、V2 522を開くこと552ができ、V3 523を開くこと553ができ、およびV4 524を閉じること554ができる。脱離装置の温度525は、脱離温度545(例えば、摂氏200から300度)のままであり得る。カラム1および2の温度526は、例えば、第2のカラム334から検出器360に対象の化合物を溶出するために、経時的に、最終温度546(例えば、摂氏80度から400度または200度から300度)まで加熱し始めることができる。いくつかの例では、クリーンアップ550中に、サンプル容器310が焼き出された後、プロセス500のステップ514および516を実施することができる。この間、例えば、化学分析が検出器360で実施される。
図6Aは、本開示のいくつかの例に係る化学分析を実施するための例示的なプロセス600を図示している。プロセス600は、重VOCやSVOCを含むターゲット化合物の微量分析などの用途で使用できる。いくつかの例では、サンプル内の対象の1つ以上の化合物の濃度が、サブppb(例えば、0.005−10)と低い範囲である。
プロセス600は、構成100または化学分析システム300などの化学分析システムを使用して実施することができる。一例として、プロセス600を実施するとき、第1のカラム332は、0.01から0.021(0.25から0.53mm)インチの範囲の内径、および5メートル程度の長さを有することができ、および第2のカラム334は、30から60メートルの範囲の長さ、および約0.01インチ(0.25mm)の内径を有することができる。第1のカラム332は、第2のカラム334上のフィルムよりも幾分薄いまたは弱いサンプルを吸収するフィルムを含むことができる。このような構成により、例えば、保持力の低い第1のカラム332から保持力の強い第2のカラム334にサンプルが通過する際に、サンプルのさらなる「再集束」を可能にしつつ、第1のカラム332での脱離中のサンプルの保持が可能になる。いくつかの例では、プロセス600中の任意のステップにおいて、実行、開始、制御、または支援するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアおよび/または命令を1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)が実行する。
脱離装置320およびサーマルチャンバ330がそれらの開始温度にある間に、バイパスバルブV2 344を開くことができる(プロセス600のステップ602)。いくつかの例では、脱離装置320は、摂氏30から70度(例えば、50から70度)の範囲の開始温度を有することができ、およびサーマルチャンバ330は、摂氏30から50度の範囲の開始温度を有することができる。検出器360が次の分析を開始する準備が整うまで、時間が経過し得る。
サンプル容器310は脱離装置320に挿入することができる(プロセス600のステップ604)。いくつかの例では、サンプル容器310を挿入することは、以前の分析で使用されたサンプル容器または「ブランク」サンプル容器を取り外すことを含む。「ブランク」サンプル容器は、吸着剤またはサンプルを含まないが、以前に使用したサンプル容器の代わりに使用して、サンプルが装填されていないときにシステム300を閉じることができる。
脱離バルブV1 342および第2のスプリットバルブV4 348を開くことができ、およびバイパスバルブV2 344を閉じることができる(プロセス600のステップ606)。
脱離装置320は、脱離温度(例えば、摂氏80から400度)まで加熱することができ、例えば、ヒータ326を使用する(プロセス600のステップ608)。いくつかの例では、このように脱離装置320を加熱すると、脱離装置内に保持されたサンプル容器310も加熱される。この間、第1のカラム332および第2のカラム334は、その開始温度(例えば、摂氏30から50度)に留まることができ、対象の1つ以上の化合物(例えば、「重」VOCsおよびSVOCs)のような、サンプルの1つ以上の化合物が第1のカラム332によって吸着よび吸収されることになる。いくつかの例では、第1のカラム332に入る1つ以上の化合物は、第2のスプリットバルブV4 338を介して化学分析システムから除去できる。例えば、サンプルに含まれる水蒸気および対象でない1つ以上のより軽い化合物(例えば、1つ以上のターゲット化合物の沸点よりも低い沸点を有する1つ以上の化合物)は、第2のスプリットバルブV4を通して化学分析システム300を出ることができる。ステップ608は、いくつかの例では、2分から5分の範囲の期間続くことができる。
第2のスプリットバルブV4 348を閉じることができ、および第1のスプリットバルブV3 346を開くことができる(プロセス600のステップ610)。サンプル容器310に含まれる1つ以上の化合物は、第1のスプリットバルブV3 346を介してシステム300から焼き出すことができる。
第1のカラム332および第2のカラム334は、例えば、サーマルチャンバ330を使用して、脱離温度(例えば、摂氏200から300度)まで加熱することができる(プロセス600のステップ612)。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、毎分摂氏約6度の速度で徐々に加熱することができる。このように、第1のカラム332および第2のカラム334を加熱することにより、第1内の1つ以上の化合物(例えば、対象の1つ以上の「重」化合物)を第2のカラムおよび第2のカラムから検出器360に溶出させることができる。
脱離装置320は、その開始温度まで、またはその開始温度近くまで冷却することができる(例えば、ヒータ326の電源を切るか、停止することができる)(プロセス600のステップ614)。いくつかの例では、脱離装置320は、クリーンアップ後に冷却される。このようにして、脱離装置320を冷却すると、例えば、脱離装置320内に保持されたサンプル容器310も冷却することができる。
第1のカラム332および第2のカラム334は、それらの開始温度まで冷却することができる(例えば、サーマルチャンバ330を停止し、および/またはサーマルチャンバの1つ以上のベントを開くことができる)(プロセス600のステップ616)。第1のカラムおよび第2のカラムを冷却することにより、システム300は、前述のように、適切な開始温度で次の実行を開始するよう準備され得る。すなわち、サンプル容器310は、摂氏30から70度の範囲の開始温度を有することができ、および第1のカラム332および第2のカラム334は、摂氏30から50度の範囲の開始温度を有することができる。
バイパスバルブV2 344を開くことができる(プロセス600のステップ618)。このとき、第2のスプリットバルブV4 348は開いていても閉じていてもよい。このときに第2のスプリットバルブV4を開くことは、流量変動を減らし、および次のサンプルが脱離バルブV1 342と第2のスプリットバルブV4 348を開くことで脱離されるときの流れ方向の変化の間のより一定の圧力遷移を実現できる。
脱離バルブV1 342および第1のスプリットバルブV3 346は閉じることができる(プロセス600のステップ619)。新しいサンプル容器310が分析のためにシステム300に挿入されるとき、バルブはこの構成のままでよい。このとき、第2のスプリットバルブV4 348は開いていても閉じていてもよい。このときに第2のスプリットバルブV4を開くことは、流量変動を減らし、次のサンプルが脱離バルブV1 342と第2のスプリットバルブV4 348を開くことで脱離されるときの流れ方向の変化の間のより一定の圧力遷移を実現できる。
図6Bは、本開示の例に係る化学分析プロセス600中のバルブ342−348、ヒータ326、およびサーマルチャンバ330の状態を示す例示的な表620を図示する。プロセス600は、脱離およびサンプル調製640(例えば、脱離およびサンプル調製404)および分析およびクリーンアップ650(例えば、分析およびクリーンアップ406)を含むことができる。いくつかの例では、プロセス600は予熱を必要としない。むしろ、脱離装置320は、脱離およびサンプル調製640中に加熱される。V1 621(例えば、脱離バルブV1 342)、V2 622(例えば、バイパスバルブV2 344)、V3 623(例えば、第1のスプリットバルブV3 346)、およびV4 624(例えば、第2のスプリットバルブV4 348)の動作、脱離装置(例えば、脱離装置320)温度625(例えば、ヒータ326により制御)、および脱離およびサンプル調製640中のカラム1および2(例えば、第1のカラム332および第2のカラム334)温度626(例えば、サーマルチャンバ330により制御)、およびプロセス600の分析およびクリーンアップ650について以下で説明する。
脱離およびサンプル調製640は、プロセス600のステップ606−608を含むことができる。いくつかの例では、脱離およびサンプル調製640中に、V1 621を開くこと641ができ、V2 622を閉じること642ができ、V3 523を閉じること643ができ、およびV4 624を開くこと644ができる。脱離装置の温度625は、その脱離温度645(例えば、摂氏80度から400度)まで加熱することができる。いくつかの例では、脱離装置320を加熱すると、脱離装置内に保持されたサンプル容器310も加熱することができる。
分析およびクリーンアップ650は、プロセス600のステップ612を含むことができる。いくつかの例では、分析クリーンアップ650中に、V1 621を開くこと651ができ、V2 622を閉じること652ができ、V3 623を開くこと653ができ、およびV4 624を閉じること654ができる。脱離装置の温度625は、その脱離温度(例えば、摂氏80度から400度または200度から300度)645に維持することができる。カラム1および2の温度626は、例えば、最終温度646(例えば、摂氏200から300度)まで徐々に加熱することができる。いくつかの例では、クリーンアップ650中に、サンプル容器310が焼き出された後、プロセス600のステップ614−619を実施することができる。この間、検出器360は、サンプルの化学分析を行うことができる。
したがって、プロセス600を使用して、水も管理しながら、ターゲット化合物の高い回収率(例えば、ほぼ100%)で、サブpptレベル以下で人間の鼻で検出できる化学物質を検出できまる。例えば、プロセス600は、SVOCsを介した重いVOCsの微量分析が実施される場合に使用され得る。脱離およびサンプル調製640中、対象の1つ以上の化合物を第1のカラム332に保持しながら、キャリア流体(例えば、キャリアガス)、水蒸気、および対象でないより軽い化合物を、高い比率で(例:10:1または50:1)、第2のスプリットバルブV4 348から分離することができる。サンプルがサンプル容器310から移送され、対象の1つ以上の化合物が第1のカラム332に保持された後、サーマルチャンバ330を加熱し、および第2のスプリットバルブV4 348が閉じられ、大部分(例えば、ほぼ100%)の対象の化合物は第1のカラム332から第2のカラム334に溶出し、かつ検出器360に溶出することができる。第1のスプリットバルブV3は、分析およびクリーンアップ中に開いて、サンプル容器310を焼き出し、再利用できるようにすることができる。このような方法で分析できるターゲット化合物の例には、飲料水に含まれるゲオスミンと2−MIB、ワインと水の中のトリハロアニソール(例:ワインの「コルク栓をすること」に原因があるトリクロロアニソール)、および、種々のマトリックスの中のメチルピラジンを含む、0.1から50pptの範囲の嗅覚の検出限界の化学物質を含む。他の芳香剤や臭気には、硫黄含有化合物など、低い検出限界が必要な場合がある。
図7Aは、本開示のいくつかの例に係る化学分析を実施するための例示的なプロセス700を図示している。いくつかの例では、プロセス700は、数日から数週間(例えば、2週間)にわたって、拡散性のサンプル容器(例えば、3.5インチの熱脱離チューブ)を使用して、収集された空気サンプルを分析するなどの用途で使用でき、BTEXおよび他の有機化合物を検出する。例えば、プロセス700を使用して、EPA法 325A/Bを使用して収集されたサンプルを分析することができる。いくつかの例では、対象の1つ以上の化合物は、摂氏40−140度の範囲の沸点を有することができる。対象の1つ以上の化合物は、例えば、空中浮遊有機化合物であり得る。いくつかの例では、サンプル中の対象の1つ以上の化合物の濃度は、0.5から30ppbの範囲である。
プロセス700は、構成100または化学分析システム300などの化学分析システムを使用して実施することができる。一例として、プロセス700を実施するとき、第1のカラム332は、0.009から0.021インチ(0.25から0.53mm)の範囲の内径および5メートル程度の長さを有する薄膜のプレカラムであり得、および第2のカラム334は、15から30メートルの範囲の長さ、および0.007から0.013インチ(0.18から0.32mm)の範囲の内径を有することができる。他のカラムのタイプと寸法も可能である。いくつかの例では、プロセス700中の任意のステップにおいて、実行、開始、制御、または支援するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアおよび/または命令を1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)が実行する。
脱離装置320およびサーマルチャンバ330が開始温度にある間に、バイパスバルブV2 344を開くことができる(プロセス700のステップ702)。いくつかの例では、脱離装置320の開始温度は摂氏30から70度の範囲であり得、およびサーマルチャンバの開始温度は摂氏30から50度の範囲であり得る。化学分析システム300が次の分析を開始する準備ができるまで、時間が経過し得る。いくつかの例では、化学分析システム300は、次の分析を開始する準備ができたときに、READY信号を送信するGCまたはGC−MSを含む。
サンプル容器310は、脱離装置320に挿入することができる(プロセス700のステップ704)。いくつかの例では、サンプル容器310を挿入することは、以前の分析で使用されたサンプル容器または「ブランク」サンプル容器を取り外すことを含む。「ブランク」サンプル容器は、吸着剤またはサンプルを含まないが、以前に使用したサンプル容器の代わりに使用して、サンプルが装填されていないときにシステム300を閉じることができる。
脱離装置320は、脱離温度(例えば、摂氏80度から400度、または摂氏200度から300度)まで加熱することができ、例えば、ヒータ326を使用する(プロセス700のステップ706)。脱離装置320の加熱には、例えば、30秒程度の時間がかかり得る。いくつかの例では、脱離装置320を加熱すると、脱離装置内に保持されたサンプル容器310も加熱することができる。この間、第1のカラム332は、開始温度のままであり得、サンプル容器310内で膨張する化合物が第1のカラムに到達すると再凝縮する。いくつかの例では、第1のカラム332の容積は、サンプルの膨張に対応することができ、第1のカラムから第2のカラム334への化合物の事前装填または早期の移動を防ぐことができる。
サンプル容器320または第1のカラム332を通る流れがなく、脱離温度に脱離装置320を予熱した後、脱離バルブV1 342および第2のスプリットバルブV4 348を開くことができ、およびバイパスバルブV2 344を閉じることができる(プロセス700のステップ708)。この間、第1のスプリットバルブV3 346は閉じたままにすることができる。キャリア流体336は、脱離バルブV1 342、第1のカラム332を通って流れることができ、その後、流れは、サンプル容器310を通って第1のカラム332へ、第1のカラム332から第2のカラム334へ、および第2のカラム334から検出器360へ流れるように、第2のスプリットバルブV4から出ていく大部分の流れを備える、20:1から30:1の範囲の分割比で、または50:1の分割比で第2のスプリットバルブV4 348と第2のカラム334の間で分割することができる。
2から5分間の脱離時間、および、第2のカラムに分流された流れの少量を備える第1のカラム332を通る対象の全ての化合物を移送するのに必要な時間の後、脱離バルブV1 342および第2のスプリットバルブV4 348を閉じることができ、および、バイパスバルブV2 344および第1のスプリットバルブV3 346を開くことができる(プロセス700のステップ710)。この時間中、第1のカラム332がバックフラッシュされている間、流れは第2のカラム334を通って続くことができる。第2のカラム334に含まれる1つ以上の化合物は、検出器に溶出することができ、第1のカラム332に含まれる化合物は、第2のカラム334に入ることが防止される。このように、対象のより軽い化合物は検出され得るが、対象でないより重い化合物は、バックフラッシュおよび/または化学分析システム300から焼き出すことができる。この方法でサンプル化合物を分離することにより、より重い化合物が第2のカラム334を汚染するのを防ぐことができる。
第1のカラム332および第2のカラム334は、例えば、サーマルチャンバ330を使用して、経時的に最終温度(例えば、摂氏80から400または200から300度)まで加熱することができる(プロセス700のステップ712)。いくつかの例では、サーマルチャンバ330は、毎分摂氏約6度の速度で徐々に加熱することができる。このように第1のカラム332および第2のカラム334を加熱すると、第1のカラム内の1つ以上の化合物が第1のスプリットバルブV3 346にバックブラッシュされ、および第2のカラム内の1つ以上の化合物は、温度が上昇するにつれ検出器360に向かって溶出することができる。検出器360へのサンプルの溶出は、5から60分の範囲の時間で発生させることができる。
脱離装置320は、開始温度まで冷却することができる(例えば、ヒータ326の電源を切るか、停止することができる)(プロセス700のステップ714)。いくつかの例では、脱離装置320を冷却すると、脱離装置内に保持されたサンプル容器310も冷却することができる。この時間中に、対象の1つ以上の化合物が第2のカラム334から検出器360へ溶出することができ、および、第1のカラム332に残る対象でない1つ以上の化合物(例えば、沸点の低い1つ以上の重化合物)が第1のスプリットバルブV3 346を介してバックフラッシュされ、第2のカラム334または検出器360に到達することなく化学分析システム300を出ることができる。
第1のカラム332および第2のカラム334を、それらの開始温度まで、冷却することができる(例えば、サーマルチャンバ330を停止し、および/またはサーマルチャンバの1つ以上のベントを開くことができる)(プロセス700のステップ716)。システム300を冷却することにより、前述のように、開始温度(例えば、摂氏30度から50度)で、次の実行を開始することができる。
第1のスプリットバルブV3 346を閉じることができる(プロセス700のステップ718)。
図7Bは、本開示の例に係る化学分析プロセス700中のバルブ342−348、ヒータ326、およびサーマルチャンバ330の状態を示す例示的な表720を図示する。プロセス700は、予熱730(例えば、予熱402)、脱離およびサンプル調製740(例えば、脱離およびサンプル調製404)、および分析およびクリーンアップ750(例えば、分析およびクリーンアップ406)を含むことができる。V1 721(例えば、脱離バルブV1 342)、V2 722(例えば、バイパスバルブV2 344)、V3 723(例えば、第1のスプリットバルブV3 346)、およびV4 724(例えば、第2のスプリットバルブV4 348)の動作、脱離装置(例えば、脱離装置320)温度725(例えば、ヒータ326により制御される)、および予熱中730のカラム1および2(例えば、第1のカラム332および第2のカラム334)温度726(例えば、サーマルチャンバ330により制御される)、脱離およびサンプル調製740、およびプロセス700の分析およびクリーンアップ750について以下で説明する。
予熱730は、プロセス700のステップ702−706を含むことができる。いくつかの例では、予熱730の間、V1 721を閉じること731ができ、V2 722を開くこと732ができ、V3 723を閉じること733ができ、およびV4 724を閉じること734ができる。脱離装置の温度725は、脱離温度735(例えば、摂氏200から300度)まで加熱することができ、およびカラム1および2の温度726は、例えば、開始温度736(例えば、摂氏30から50度)とすることができる。
脱離およびサンプル調製740は、プロセス700のステップ708を含むことができる。いくつかの例では、脱離およびサンプル調製740中、V1 721を開くこと741ができ、V2 722を閉じること742ができ、V3 723を閉じること743ができ、およびV4 724を開くこと744ができる。脱離装置の温度725は、脱離温度745(例えば、摂氏80から400度または200から300度)に維持することができ、およびカラム1および2の温度726は、例えば、開始温度(例えば、摂氏30から50度)に維持することができる。
分析およびクリーンアップ750は、プロセス700のステップ710−712を含むことができる。いくつかの例では、分析およびクリーンアップ750中、V1 721はで開くこと751ができ、V2 722はで開くこと752ができ、V3 723は開くこと753ができ、およびV4 724は閉じること754ができる。脱離装置の温度725は、脱離温度(例えば、摂氏80から400度または300から400度)に維持することができ、およびカラム1および2の温度726は、例えば、最終温度746(例えば、摂氏200から300度)に、徐々に加熱することができる(例えば、毎分摂氏約6度の速度で)。このようにして、第1のカラム332に残っている1つ以上の化合物を、第1のスプリットバルブV3 346を通してバックフラッシュすることができる。いくつかの例では、第1のカラム332およびサンプル容器310がクリーンアップ750中にバックフラッシュされた後、プロセス700のステップ714および718が実施され得る。
したがって、プロセス700は、EPA法325A/Bを使用して収集された空気サンプルを分析するために使用され得、ベンゼンを検出する(例えば、石油精製所の周りで収集される)。いくつかの例では、このような分析を使用して、ベンゼンのレベルが1立方メートルあたり9マイクログラム以下であることを確認できる。いくつかの例では、3.5インチの熱脱離チューブを使用してサンプルを収集できる。ベンゼンの収集中に、いくつかの例では、他のより重い化合物も収集できる。プロセス700を使用して、より重い化合物が化学分析システム300の流路を汚染することなく(例えば、これらの化合物が第2のカラム334に入るのを防ぎ、および脱離装置ライナー322および/または必要に応じて第1のカラム332を置き換える)、ベンゼンのレベルを分析することができる。1つ以上のターゲット化合物が第2のカラム334に移動したら、バイパスバルブV2 334を開くと、これらの化合物が検出器360で検出され得、第1のカラム332に含まれた対象でない1つ以上の重化合物がシステムからバックフラッシュされるのを防ぐ。このように、重化合物は、第2のカラム334を汚染することができないため、実行時間が短縮され、かつクリーンアップが簡素化される。システム300のメンテナンスが必要な場合、第1のカラム332、脱離装置ライナー322、およびサンプル容器310を交換して、次のサンプルのための新しい流路を提供することができる。このようなメンテナンスは、外部のトラップ装置で使用される、ロータリーバルブ、ローター、移送ライン、および電子機器のクリーニングと修理よりも簡単であり得る。
図8Aは、本開示のいくつかの例に係る化学分析を実施するための例示的なプロセス800を図示している。いくつかの例では、プロセス800は、拡散サンプル容器を使用して収集された屋内または屋外の空気サンプルを1−8時間または24時間から1か月の範囲で経時的に分析し、空中浮遊有機化合物を検出するような用途で使用できる。いくつかの例では、対象の1つ以上の化合物は、摂氏120−500度の範囲の沸点を有し得る。いくつかの例では、サンプル中の対象の1つ以上の化合物の濃度は、0.01から30ppbの範囲である。
プロセス800は、構成100または化学分析システム300などの化学分析システムを使用して実施することができる。一例として、プロセス800を実施するとき、第1のカラム332は、0.009から0.021インチ(0.25から0.53mm)の範囲の内径、および約5メートル程度の長さを有する薄膜プレカラムであり得、および第2のカラム334は、15から60メートルの範囲の長さ、および0.007から0.013インチ(0.18−0.32mm)の範囲の内径を有し得る。第1のカラム332は、第2のカラム334上のフィルムよりも幾分薄いまたは弱いサンプルを吸収するフィルムを有することができる。この構成により、第1のカラム332での脱離中のサンプルの保持が可能になり、保持力の低い第1のカラム332から保持力の強い第2のカラム334にサンプルが通過する際のサンプルのさらなる「再集束」が可能になる。いくつかの例では、プロセス800中の任意のステップにおいて、実行、開始、制御、または支援するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアおよび/または命令を1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ(例えば、コントローラ350)、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)が実行する。
脱離装置320およびサーマルチャンバ330がそれらの開始温度にある間に、バイパスバルブV2 344を開くことができる(プロセス800のステップ802)。いくつかの例では、脱離装置320の開始温度は摂氏30から70度の範囲であり得、およびサーマルチャンバ330の開始温度は摂氏30から50度の範囲であり得る。化学分析システム300が次の分析を開始する準備ができるまで、時間が経過する可能性がある。いくつかの例では、化学分析システム300は、次の分析を開始する準備ができたときにREADY信号を送信するGCまたはGC−MSを含む。
サンプル容器310は、脱離装置320に挿入することができる(プロセス800のステップ804)。いくつかの例では、サンプル容器310を挿入することは、以前の分析で使用されたサンプル容器または「ブランク」サンプル容器を取り外すことを含む。「ブランク」サンプル容器は、吸着剤またはサンプルを含まないが、以前に使用したサンプル容器の代わりに使用して、サンプルが装填されていないときにシステム300を閉じることができる。
脱離装置320は、脱離温度(例えば、摂氏200から300度)まで加熱することができ、例えば、ヒータ326を使用する(プロセス800のステップ806)。脱離装置320の加熱には、例えば、最大1分かかることがある。この間、第1のカラム332は開始温度のままであり、サンプル容器310内で膨張する化合物が第1のカラムに到達すると再凝縮する。いくつかの例では、このように脱離装置320を加熱すると、脱離装置320によって保持されたサンプル容器310も加熱することができる。
脱離バルブV1 342および第2のスプリットバルブV4 348を開くことができ、およびバイパスバルブV2 344を閉じることができる(プロセス800のステップ808)。このステップは、サンプル(例えば、脱離装置320および/またはサンプル容器310)が、予熱温度より下、または最終脱離温度までに達すると発生し得る。このとき、サンプル中の1つ以上の化合物は、サンプル容器310から第1のカラム332に流れることができる。
サンプル中の重化合物の第1のカラム332への2から6分間の脱離後、第2のスプリットバルブV4 348をオフにし、および第1のスプリットバルブV3 346をオンにして、第1のスプリットバルブV3を通して残りのサンプル残留物のほとんどを効果的に焼き出すことができる(プロセス800のステップ810)。このとき、第1のカラム332に含まれる任意のサンプル化合物は、第2のカラム334に移送することができる。
第1のカラム332および第2のカラム334を、例えば、サーマルチャンバ330を使用して、最終温度(例えば、摂氏80度から400度または200度から300度)まで徐々に加熱することができる(プロセス800のステップ812)。いくつかの例では、サーマルチャンバ330を、毎分摂氏約6度の速度で徐々に加熱することができる。この方法で、第1のカラム332および第2のカラム334を加熱すると、第1および第2のカラム内の1つ以上の化合物が第1のカラムおよび第2のカラムを通って検出器360に向かって溶出することができる。いくつかの例では、第2のカラム334は、第1のカラム332よりも厚いフィルム層を有することができ、これにより、より良好なピーク形状およびクロマトグラフィ分解能を提供することができる。検出器360へのサンプルの移送は、5から60分の範囲の時間の間発生させることができる。
脱離装置320、第1のカラム332、および第2のカラム334は、開始温度まで冷却することができる(例えば、ヒータ326およびサーマルチャンバ330が、電源を切られ、または停止される)(プロセス800のステップ814)。システム300を冷却することにより、前述のように、次の実行を開始温度で開始できる(例えば、サーマルチャンバ330では摂氏30から50度、およびサンプル容器310では摂氏30から70度)。
図8Bは、本開示の例に係る化学分析プロセス800中のバルブ342−348、ヒータ326、およびサーマルチャンバ330の状態を示す例示的な表820を図示している。プロセス800は、予熱830(例えば、予熱402)、脱離およびサンプル調製840(例えば、脱離およびサンプル調製404)、および分析およびクリーンアップ850(例えば、分析およびクリーンアップ406)を含むことができる。V1 821(例えば、脱離バルブV1 342)、V2 822(例えば、バイパスバルブV2 344)、V3 823(例えば、第1のスプリットバルブV3 346)、およびV4 824(例えば、第2のスプリットバルブV4 348)の動作、脱離装置(例えば、脱離装置310)温度825(例えば、ヒータ326により制御される)、および予熱中830のカラム1および2(例えば、第1のカラム332および第2のカラム334)温度826(例えば、サーマルチャンバ330により制御される)、脱離およびサンプル調製840、およびプロセス800の分析およびクリーンアップ850について以下で説明する。
予熱830は、プロセス800のステップ802−806を含むことができる。いくつかの例では、予熱中830、V1 821を閉じること831ができ、V2 822を開くこと832ができ、V3 823を閉じること833ができ、およびV4 824を閉じること834ができる。脱離装置の温度825は、脱離温度835(例えば、摂氏200から300度)まで加熱することができ、およびカラム1および2の温度826は、例えば、開始温度836(例えば、摂氏30から50度)とすることができる。
脱離およびサンプル調製840は、プロセス800のステップ808を含むことができる。いくつかの例では、脱離およびサンプル調製840中、V1 821を開くこと841ができ、V2 822を閉じること842ができ、V3 823を閉じること843ができ、およびV4 824を開くこと844ができる。脱離装置の温度825は、脱離温度845(例えば、摂氏200から300度)に維持することができ、およびカラム1および2の温度826は、例えば、開始温度であり得る。
分析およびクリーンアップ850は、プロセス800のステップ810−812を含むことができる。いくつかの例では、分析およびクリーンアップ850中、V1 821を開くこと851ができ、V2 822を閉じること852ができ、V3 823を開くこと853ができ、およびV4 824を閉じること854ができる。例えば、脱離装置の温度825は、脱離温度855(例えば、摂氏200から300度)に維持することができ、およびカラム1および2の温度826は、最終温度846(例えば、摂氏80から400度または摂氏200から300度)まで徐々に加熱することができる。いくつかの例では、クリーンアップ850中にサンプルが焼き出された後、プロセス800のステップ814を実施することができる。この間、検出器360はサンプルの化学分析を実施することができる。
したがって、プロセス800を使用して、周囲空気および屋内空気中の広範囲の化合物を検出することができる。空気サンプルは、監視期間中の空中浮遊濃度の高感度時間加重平均を得るために1から30日間、分析対象の空気がある領域(例えば、野外または屋内環境)に拡散チューブを配置することによって収集できる。脱離およびサンプル調製840中に、1つ以上の対象の比較的重い化合物を第1のカラム332によって収集することができ、1つ以上のより軽い化合物、水蒸気、およびキャリア流体を第2のスプリットバルブV4 348を通して実質的に除去することができる。脱離およびサンプル調製後、第2のスプリットバルブV4 348が閉じられると、第1のカラム332にトラップされたままの化合物(例えば、ターゲット化合物の100%)が第2のカラム334および検出器360に溶出し得る。このようにして、これらの化合物の検出限界を増加または最大化できる。
いくつかの例では、図1−8Bを参照して上述したシステムのいずれかは、図1−8Bを参照して上述した任意のプロセスまたは方法において、実行、開始、制御、または支援するための非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアおよび/または命令を実行する1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータシステムなど)を含み得る。いくつかの例では、各ソフトウェアプロセスは、コンピューティングクラスタまたはメインフレームの異なるプロセッサで実行できる。代替的または追加的に、いくつかの例は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせのような、1つ以上のプロセッサおよび/またはコンピュータ制御プロセスを実装してもよい。
したがって、上記によれば、本開示のいくつかの例は、化学分析システムに関連し、それは、接続部で第2のカラムに流体的に接続された第1カラム、第2のカラムに流体的に接続された検出器、化学分析を実施するように構成された検出器、第1のカラムにサンプルを含むサンプル容器を流体的に結合するよう構成された脱離装置、脱離装置に熱的に結合された第1のヒータ、接続部でキャリア流体を選択的に迂回させるように構成されたバイパスバルブを含む複数のバルブ、および、第1のカラムが第1の期間中に開始温度にある間に、第1のヒータを使用して、脱離装置を脱離温度まで加熱するように構成された1つ以上のコントローラを含む。追加的または代替的に、いくつかの例では、コントローラは、第1の期間中にバイパスバルブを開き、それによって、脱離装置および第1のカラムを通るキャリア流体およびサンプルの流れを防ぐようにさらに構成される。追加的または代替的に、いくつかの例では、脱離装置と第1のカラムを通るキャリア液とサンプルの流れを防ぐことで、第2のカラムに事前に送達することなく膨張が可能になり、サンプルに含まれる水が第1の期間中に第1のカラムで凝縮し、1つ以上のコントローラは、さらに、第1の時間後の第2時間の間、流量制御装置を介して接続部をサンプルベントに流体的に結合および分離するように構成された第2のスプリットバルブを開くよう構成され、および所定の圧力レベルの第1の閾値内の圧力レベルおよび所定の流量の第2の閾値内の流量を有する脱離流を確立し、接続部に到達する前に遅延で、それにより第2のカラムと第2のスプリットバルブの分割比の再現性を改善するようさらに構成される。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析システムは、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2のヒータを含み、コントローラはさらに、第1の期間後の第2の期間中に、第2のヒータを使用して、第1のカラムおよび第2のカラムを最終温度に加熱するように構成され、第1のカラムに先に送達されたサンプルの溶出を促進する。追加的または代替的に、いくつかの例では、第1のカラムおよび第2のカラムの最終温度は摂氏200から300度の範囲にあり、および、第2のヒータは、毎分摂氏6度程度の速度で、第1のカラムおよび第2のカラムを最終温度まで加熱する。追加的または代替的に、いくつかの例では、脱離装置の脱離温度は摂氏80から400度の範囲であり、および第1のカラムおよび第2のカラムの開始温度は摂氏30から50度の範囲である。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析システムは、サンプル容器の送達端と反対側のサンプル容器の脱離端からキャリア流体を選択的に迂回させるように構成された脱離バルブ、第1のカラムに結合されたサンプル容器の送達端、サンプル容器を流量制御装置を介して第1サンプルベントに流体的に結合および分離するように構成された第1のスプリットバルブ、および流量制御装置を介して接続部を第2サンプルベントに流体的に結合および分離するように構成された第2のスプリットバルブをさらに含む。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析システムは、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2のヒータをさらに含み、1つ以上のコントローラは、さらに、第1の期間を含む予熱ステージ中に、バイパスバルブおよび第2のスプリットバルブ開くように構成され、かつ脱離バルブおよび第1のスプリットバルブを閉じるよう構成され、予熱ステージ後の脱離およびサンプル調製ステージ中に、脱離バルブおよび第2のスプリットバルブを開くよう構成され、およびバイパスバルブおよび第1のスプリットバルブを閉じるよう構成され、および、脱離およびサンプル調製ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、第2のヒータを使用して、第1のカラムおよび第2のカラムを最終温度まで加熱し始めるよう構成され、脱離バルブ、バイパスバルブ、および第1のスプリットバルブを開くよう構成される。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析システムは、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2のヒータをさらに含み、1つ以上のコントローラは、第1の期間を含む脱離およびサンプル調製ステージ中に、脱離バルブおよび2第2のスプリットバルブを開くよう構成され、およびバイパスバルブおよび第1のスプリットバルブを閉じるよう構成され、および、脱離およびサンプル調製ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、脱離バルブ、バイパスバルブ、および第1のスプリットバルブを開くよう構成され、2番目のスプリットバルブを閉じるよう構成され、および、第2のヒータを使用して、第1のカラムおよび第2のカラムを最終温度まで加熱し始めるよう構成される。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析システムは、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2のヒータをさらに含み、1つ以上のコントローラは、さらに、第1の期間を含む予熱ステージ中に、バイパスバルブを開くよう構成され、および、脱離バルブ、第1のスプリットバルブ、および第2のスプリットバルブを閉じるよう構成され、予熱ステージ後の脱離およびサンプル調製ステージ中に、脱離バルブおよび第2のスプリットバルブを開くよう構成され、バイパスバルブおよび第1のスプリットバルブを閉じるよう構成され、脱離およびサンプル調製ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、第2ヒータを使用して、第1のカラム、および第2のカラムを最終温度まで加熱するよう構成され、バイパスバルブおよび第1スプリットバルブを開くよう構成され、および脱離バルブおよび第2のスプリットバルブを閉じるよう構成される。追加的または代替的に、いくつかの例では、化学分析システムは、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2のヒータをさらに含み、1つ以上のコントローラは、さらに、第1の期間を含む予熱ステージ中に、バイパスバルブを開くよう構成され、および、脱離バルブ、第1のスプリットバルブ、および第2のスプリットバルブを閉じるよう構成され、予熱ステージ後の脱離およびサンプル調製ステージ中に、脱離バルブと第2のスプリットバルブを開くうよう構成され、および、バイパスバルブおよび第1のスプリットバルブを閉じるよう構成され、および、脱離およびサンプル調製ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、脱離バルブおよび第1のスプリットバルブを開くよう構成され、および、バイパスバルブおよび第2のスプリットバルブを閉じるよう構成される。追加的または代替的に、いくつかの例では、第1の期間を含む予熱ステージ中に、第1のカラムの容積がサンプルの膨張に対応し、サンプルは第1のカラムから第2のカラムに移動せず、および、サンプルに含まれる水と1つ以上の不要なマトリックス化合物が第1のカラムで凝縮し、予熱ステージ後の脱離およびサンプル調製ステージ中に、第1のカラムの容量は、接続部にサンプルの送達の遅延を可能にし、遅延後、接続部を通る流量は安定し、かつ所定の流量の閾値内にあり、および接続部の圧力は所定の圧力の閾値内にあり、第2のカラムと第2のスプリットバルブの間の分割流量比の再現性を改善し、および、サンプルに含まれる水および1つ以上の望ましくないマトリックス化合物の少なくとも第1の部分は、接続部に結合された第2のスプリットポートを通って化学分析システムを出て、脱離およびサンプル調製ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、第1のカラムはバックフラッシュされ、それにより、第1のカラムの入口端部に結合された第1のスリップポートを介する化学分析システムから、サンプルに含まれる水および1つ以上の不要なマトリックス化合物の第2部分を取り除き、入口端部は接続部に連結された第1のカラムの反対側の端部および第1のカラムの端部にある。
本開示のいくつかの例は、化学分析プロセスを実施する方法に関し、方法は、サンプル容器にサンプルを提供すること、脱離装置を介して第1のカラムにサンプル容器を流体的に結合することであって、第1のカラムは接続部で第2のカラムに流体的に結合される結合すること、化学分析プロセスの予熱ステージ中に、第1ヒータを使用して、第1のカラムと第2のカラムが開始温度にある間に、脱離装置を脱離温度まで加熱すること、および、キャリア流体、サンプル容器、および第1のカラムに接続部を流体的に結合するよう構成されたバイパスバルブで、バイパスして、それにより、脱離装置および第1のカラムを通るキャリア流体およびサンプルの流れを防止すること、および、検出器を使用してサンプルを分析することを備える。追加的または代替的に、いくつかの例では、方法は、さらに、予熱ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2ヒータを使用して、第1のカラムおよび第2のカラムを最終温度に加熱し、第1のカラムに以前に送達されたサンプルの溶出を促進することを含む。追加的または代替的に、いくつかの例では、第1のカラムおよび第2のカラムの最終温度は摂氏200から300度の範囲にある。追加的または代替的に、いくつかの例では、サンプル容器の脱離温度は、摂氏80から400度の範囲であり、および第1のカラムおよび第2のカラムの開始温度は、摂氏30から50度の範囲である。追加的または代替的に、化学分析プロセスの予熱ステージ中のいくつかの例では、脱離装置と第1のカラムを通る流れがない。
本開示のいくつかの例は、命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、化学分析装置に動作可能に結合された1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに方法を実行させ、方法は、サンプルを含むサンプル容器を、脱離装置を介して第1のカラムに流体的に結合することであって、第1のカラムは、接続部で第2のカラムに流体的に結合される結合すること、化学分析プロセスの予熱ステージ中に、第1ヒータを使用して、第1のカラムおよび第2のカラムが開始温度にある間に脱離装置を脱離温度まで加熱すること、および、接続部をキャリア流体、サンプル容器、および第1のカラムに流体的に結合するよう構成されたバイパスバルブで、バイパスして、それにより、脱離装置および第1のカラムを通るキャリア流体およびサンプルの流れを妨げること、および、検出器を使用してサンプルの組成を分析することを含む。追加的または代替的に、いくつかの例では、方法は、さらに、予熱ステージ後の分析およびクリーンアップステージ中に、第1のカラムおよび第2のカラムに熱的に結合された第2のヒータを使用して、第1のカラムおよび第2のカラムを最終温度に加熱して、第1のカラムに以前に送達されたサンプルの溶出を促進することを含む。追加的または代替的に、いくつかの例では、第1のカラムおよび第2のカラムの最終温度は摂氏200から300度の範囲にある。追加的または代替的に、いくつかの例では、脱離装置の脱離温度は摂氏80から400度の範囲であり、および第1のカラムおよび第2のカラムの開始温度は摂氏30から50度の範囲である。追加的または代替的に、化学分析プロセスの予熱ステージ中のいくつかの例では、脱離装置と第1のカラムを通る流れがない。
添付図面を参照して例が十分に説明されたが、様々な変更および修正が当業者に明らかになることに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の例の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである。